2. 死亡災害の撲滅を目指した対策の推進 林業における伐木等作業の安全対策参照第 13 次労働災害防止計画 (2018~2022 年度 ) 1) 林業における伐木等作業の安全対策と関係団体との連携と取組み 伐木等作業における安全対策のあり方に関する検討会の議論の結果を踏まえ 安全対策の充実強化を図る

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目 次 林業作業に対する安衛法令上の規制の概要 車両系木材伐出機械に係る労働災害発生状況と問題点 車両系木材伐出機械に係る改正労働安全衛生規則の内容 木材伐出機械等の運転の業務に係る特別教育 ( カリキュラム ) 2

(印刷用セット版)車両系木材伐出機械安衛則等改正ハ゜ンフレット

第12次労働災害防止計画の評価

別紙 平成 30 年度安全衛生教育促進運動実施要領 1 趣旨安全衛生教育促進運動は 労働者の安全と健康を守る上で中核となる安全衛生教育についてその重要性を啓発し 実施を促進するため 平成 25 年度から中央労働災害防止協会が主唱し 実施している運動である わが国の労働災害は 関係者のたゆまぬ努力によ

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基発 0214 第 9 号 平成 31 年 2 月 14 日 都道府県労働局長殿 厚生労働省労働基準局長 ( 公印省略 ) 労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について 労働安全衛生規則の一部を改正する省令 ( 平成 31 年厚生労働省令第 11 号 以下 改正省令 という ) 及び安全衛生

足場関係審議会説明資料(当日配布セット版)

かかり木の処理の作業における労働災害防止のためのガイドライン 第 1 目的等 1 目的 本ガイドラインは 近年の人工林における間伐作業の増加等を背景に かかり木の処理の作業における死亡災害が増加する傾向にあること等を踏まえ 労働安全衛生関係法令と相まって かかり木の処理に係る事前の実地調査の実施 新

資料 5 事故防止に向けた政策動向 平成 29 年 10 月 厚生労働省労働基準局安全衛生部

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(傍線部分は改正部分)改正後改正前目次目次第一編(略)第一編(略)第二編安全基準第二編安全基準第一章~第七章(略)第一章~第七章(略)第八章伐木作業等における危険の防止(第四百七十七条 第第八章伐木作業等における危険の防止五百十七条)第一節伐木 造材等(第四百七十七条 第四百八十四条)第二節木馬運材

過去 10 年間の業種別労働災害発生状況 ( 大垣労働基準監督署管内 ) 令和元年 4 月末現在年別 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 対前年比全産業 % (6

平29・6・13(火) 平成29年度 神奈川県医師会 産業医部会 総会・研修会

2017年度 施行簿 労働基準局 安全衛生部 安全課分

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安全衛生管理規程作成例

2 安全衛生教育の実施等 () 6 派遣労働者を雇い入れたときに雇入れ時の安全衛生教育を行 はい いいえ っています () 7 派遣労働者の派遣先事業場を変更するなど 作業内容を変更 はい いいえ したときは 当該派遣労働者に対し 作業内容変更時の安全 衛生教育を行っています ()() 8 6 及び

JNIOSH-SRR-No.46 JNIOSH-SRR-No.46(06) (06) 図 ミュンヘンにおける足場 図 中桟が 階段 妻側にも設置してある 1 趣 サンフランシスコにおける足場 交さ筋かいの下に下桟が設置してある 旨 足場からの墜落 転落災害の防止については 平成年6月に労働安全衛生規

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平成26年度中小規模事業場安全衛生サポート事業(累計):1ページ

建設業における総合的労働災害防止対策の基本的考え方 建設業の特徴は重層下請構造の下 所属の異なる労働者が同一場所で作業する形態であり 短期間に作業内容が変化するという事業の性質から 工事現場における元方事業者による統括管理の実施 関係請負人を含めた自主的な安全衛生活動の推進を基本に 工事現場を管理す

(2) 計画期間 2018 年度から 2022 年度までの 5 か年を計画期間とする (3) 計画の目標 山形労働局 県内事業者 労働者等関係者が一体となって 一人の被災者も出さな いという基本理念の実現に向け 以下の目標を計画期間中に達成することを目指す 1 死亡災害全業種を通じての目標死亡災害に

更には 死亡災害が年々減少傾向をたどる一方 墜落 転落は死に直結する可能性が非常に高いことから他業種にも対策を打つ施策が必要になったことによる このように 墜落 転落災害 を特定災害対策に掲げ 災害の発生防止に力を入れており 各労働局では特に墜落 転落災害の多い建設業に対し 建設現場の一斉監督指導を

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労災リスクインフォ(第21号)

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特定個人情報の取扱いの対応について

目 次 Ⅰ 第 13 次労働災害防止計画 1 計画のねらい 1 (1) 計画が目指す職場 2 (2) 計画期間 2 (3) 計画の目標 2 (4) 計画の評価と見直し 2 2 第 12 次労働災害防止計画の取組結果 2 3 安全衛生を取り巻く現状と課題 3 (1) 労働災害の発生状況と課題 3 ア建

66 条の 6 改正のねらい 果通知 第 第 1 章改正労働安全衛生法 逐条解説 第 5 節 すべての健康診断結果の労働者への通知 特殊健康診断結果の追加 ( 第 66 条の 6 関係 ) 労働安全衛生法において 一般健康診断については 健康診断の実施後にその結果を本人へ通知する義務が規定されている

法律 出典 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年 8 月 10 日法律第 145 号 ) 政令 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 36 年 1 月 26 日政令第 11 号 ) 省令 医薬品 医療機器等の品質

近年の状況を見ると 労働災害による死亡者数こそ減少しているものの いまだその水準は低いとはいえず 第三次産業の労働者数の急速な増加や労働力の高齢化もあって 労働災害による休業 4 日以上の死傷者数に至っては かつてのような減少は望めず これまでとは異なった切り口や視点での対策が求められています また

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滋賀労働基準協会H29年度事業計画

特定個人情報の取扱いの対応について

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別添 平成 31 年度における建設業の安全衛生対策の推進に係る留意事項 1 足場等からの墜落 転落防止対策事業者は 建設業における死亡災害のうち 墜落 転落災害が 4 割以上を占めていることから 引き続き墜落 転落災害防止に係る労働安全衛生規則 ( 以下 安衛則 という ) の遵守徹底を図るとともに

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一般社団法人送電線建設技術研究会関西支部社会保険等の加入促進計画 1. はじめに 平成 27 年 4 月 24 日制定 建設産業においては 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ( 以下 社会保険等 という ) の 1 法定福利費を適正に負担しない企業が存在し 技能労働者の医療 年金など いざというと

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資料4-1表紙目次

目次 1 計画のねらい (1) 計画の期間 1 (2) 計画の目標 1 (3) 計画の評価と見直し 1 2 第 12 次労働災害推進計画中の労働災害発生状況 2 3 死亡等重篤な災害の撲滅を目指した対策の推進 (1) 論理的な安全衛生管理の定着と推進 2 (2) はさまれ 巻き込まれ等災害防止を重点

平成 28 年 9 月 14 日 厚生労働省安全衛生部 安全課建設安全対策室長 車両系木材伐出機械等に対する規制に係る問答について ( 労働安全衛生規則の一部を改正する省令 ( 平成 25 年厚生労働省令第 125 号 ) 関係問答 ) 1 適用関係 安全基準関係 特別教育

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いる また 引き続き 過労死等ゼロ 緊急対策 に沿って 企業におけるメンタルヘルス対策の取組の実施を強力に推奨することとしている また 病気を抱えた労働者の治療と仕事の両立支援については 働き方改革実行計画 に基づき 企業の意識改革や企業と医療機関の連携強化 治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕

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アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

1

働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

< 目次 > はじめに 1 1 計画のねらい 1 (1) 計画が目指す社会 1 (2) 計画の期間 目標 1 (3) 計画の評価と見直し 1 2 労働災害の動向と課題 1 (1) 静岡県内の労働災害の推移 1 (2) 業種別の労働災害の動向 2 (3) 年齢別の動向 3 3 重点施策 4 (1) 労

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平成27年度事業計画書


エコロジーコミュニティコーポレート カルチャーガバナンス166 労働安全衛生 103-1,103-2,103-3,403-2 中長期目標と実績 主な目標 花王は2020 年にグローバルでトップレベルの安全衛生を満たす企業になることをめざしています 社員 協力会社共に 死亡 機能損失災害 人 休業度数

福利厚生基本計画

1. 現状 1

個人情報保護法と 行政機関個人情報保護法の 改正点概要

5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し これを適確に実施する こと ( 輸送の安全に関する目標 ) 第 5 条前条に掲げる方針に基づき 目標を策定する ( 輸送の安全に関する計画 ) 第 6 条前条に掲げる目標を達成し 輸送の安全に関する重点施策に応じて 輸送の安全を確 保

重点事項ごとの具体的取組 (1) 死亡災害の撲滅を目指した対策の推進 建設業における墜落 転落災害等の防止 製造業における施設 設備 機械等に起因する災害等の防止 林業における伐木等作業の安全対策等 (2) 過労死等の防止等の労働者の健康確保対策の推進 労働者の健康確保対策の強化 過重労働による健康

1 背景及び趣旨 検討会設置の背景 検討事項等 3 検討会参集者 印は座長 労働安全衛生法令では 高さ 2 メートル以上での作業時には 作業床 柵等を設けることが規定されているが それが困難な場合 安全帯の使用等も認められている 井上均 臼井伸之介 日本安全帯研究会技術委員長 大阪大学大学院人間科学

JISQ 原案(本体)

①資料3 労働政策審議会各分科会・部会の審議状況について

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愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

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●子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案

中央労働災害防止協会発表

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( 別添 ) チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン 1 趣旨 目的林業における労働災害は チェーンソーに起因するものの割合が高く 林業における休業 4 日以上の労働災害の約 2 割を占めている そして 被災部位としては チェーンソーに起因する労働災害の約 7 割で下肢を被災している

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京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

事務ガイドライン ( 第三分冊 )13 指定信用情報機関関係新旧対照表 Ⅰ-2 業務の適切性 現行改正後 ( 案 ) Ⅰ-2 業務の適切性 Ⅰ-2-4 信用情報提供等業務の委託業務の効率化の観点から 内閣総理大臣 ( 金融庁長官 ) の承認を受けて信用情報提供等業務の一部を委託することが可能とされて

2 上記 1と同等以上の精度を有する分析方法として以下に掲げる方法 (1) 廃止前の平成 8 年 3 月 29 日付け基発第 188 号 建築物の耐火等吹付け材の石綿含有率の判定方法について の別紙の第 3の3の 位相差顕微鏡を使用した分散染色法による分散色の確認 による定性分析の方法 ( 以下 分

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職業性熱中症の発生に関わる屋外気象条件の解析

●アレルギー疾患対策基本法案

雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項 第 1 趣旨 この留意事項は 雇用管理分野における労働安全衛生法 ( 昭和 47 年法律第 57 号 以下 安衛法 という ) 等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の取扱いについて 個人情報の保護に関する法律についての

< 目次 > はじめに 1 1 計画のねらい 1 (1) 計画が目指す社会 1 (2) 計画期間 2 (3) 計画の目標 2 (4) 計画の評価と見直し 3 2 安全衛生を取り巻く現状と施策の方向性 3 (1) 死亡災害の発生状況と対策の方向性 3 (2) 死傷災害の発生状況と対策の方向性 5 (3

建設工事従事者の安全及び健康の確保に 関する三重県計画 平成 31 年 4 月 三重県

中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

スライド 1

23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

平成19年度 病院立入検査結果について

令和 2 3 年度入札参加資格審査の改正について 1 建設工事における令和 2 3 年度入札参加資格審査主観的評価項目の改正 平成 年度 令和 2 3 年度 ア工事成績評点 ( 算定式 ) 最大 点 イ工事件数評点 ( 算定式 ) (H30 業種別最大 - 値 ) ウ優

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他のシステム構築 MENU エコアクション 21 構築 開催時間 :13:30~16:00 ( 最少催行人員 5 名 ) 講習内容 : エコアクション 21 ガイドラインの説明 / 効率的構築方法の説明実施日受講料場所申込締切 2018 年度 2018 年 5/11 ( 金 ) 6,000 円テクノ

平成 29 年 12 月末現在 認定事業場は 112 件 (97 企業 ) 適用事業場数は 248 事業場となっている ⑷ 安全衛生教育の推進 第 7 次計画 期間中に本部が実施した安全衛生教育は 平成 29 年 12 月末現在 本部教育部では 18 講座で計 201 回 延べ 9,906 人であり

Ⅲ 計画の目標 13 次防計画では 死亡災害及び休業 4 日以上の死傷災害 ( 以下 死傷災害 といいます ) に関 し それぞれ災害の多い業種や事故の種類 ( 型 起因物 ) を重点とした目標や過労死等の健康障害 防止対策などの労働衛生に関する目標も定めています 1 死亡災害の目標等 死亡災害を減

資料 6-2 第 13 次鉱業労働災害防止計画における 目標設定について ( 案 ) 平成 30 年 2 月 1 日産業保安グループ鉱山 火薬類監理官付

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第3章 指導・監査等の実施

資料 4 建設業における労働安全衛生対策 厚生労働省 安全衛生部

表2

2012年度 発議文書台帳(施行簿) 労働基準局安全衛生部科学物質対策課分

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事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

Transcription:

法令 動向 第 13 次労働災害防止計画の林業を重点業種に指定された 1. 安全衛生を取り巻く現状と死亡災害の発生状況と対策の方向性 1) 初めに死亡災害についは 近年は年間 1,000 人を切るところまで改善している しかしながら 平成 10 年以降の 20 年間の死亡災害の発生状況について 労働災害防止計画の5 年ごとに平均して見ると 重点業種として取り組んできた製造業は全業種平均の減少率に届かず 同じく重点業種の一つであった建設業は減少率こそ全業種平均を上回ったが 依然として死亡災害全体の3 分の1を占める状況にあり 引き続き重点業種として対策に取り組むことが必要である また 林業については 第 12 次労働災害防止計画では重点業種としていないが この間の労働災害発生の傾向や強度率の高さを考慮すれば 今回 重点業種に追加することが下記抜粋統計表より必要であると計画された 参照資料 : 厚生労働省第 13 次労働災害防止計画 - 1 -

2. 死亡災害の撲滅を目指した対策の推進 林業における伐木等作業の安全対策参照第 13 次労働災害防止計画 (2018~2022 年度 ) 1) 林業における伐木等作業の安全対策と関係団体との連携と取組み 伐木等作業における安全対策のあり方に関する検討会の議論の結果を踏まえ 安全対策の充実強化を図るとともに その周知徹底について林野庁や関係団体等と連携して取り組み実施する 林野庁と連携し 林業普及指導員等による伐木等作業現場での労働災害の防止対策について指導の充実を図る 2) 関係団体との連携により実施する林業 木材製造業災害防止規定の順守 木材伐出機械等の規制 労働安全衛生規則 平成 26 年 6 月 1 日施行 平成 26 年 6 月 1 日から 伐木等機械 走行集材機械 架線集材機械 ( 以下 車両系木材伐出機械 という ) 簡易架線集材装置は 労働安全衛生法令( 安衛法令 ) の木材伐出機械等として 新たに規制の対象となった これまでは 木材伐出機械等のうち 機械集材装置 運材索道について安衛法令が適用されていたが 車両系木材伐出機械による休業 4 日以上の死傷災害が増加傾向にあり 死亡災害など重篤な災害の割合が高くなっていることから 新たに規制の対象とした : 新設 ( 改正を含む ) (1) 車両系木材伐出機械 前照灯 ヘッドガードの設置 防護柵等 シートベルト装着規制 転倒時保護構造及びシートベルト ワイヤロープ 地形などの調査 作業計画 最大使用荷重などの厳守 制動装置などの点検と補修 作業指揮者他規定安衛則第 151 条 85,86 87 88.89 90 他 (2) 機械集材装置 運材索道制動装置等 ワイヤロープ 集材機又は運材機 転倒時保護構造及びシートベルト ヘッドガード 作業場所の地形等 支柱とする立木等の調査及び記録 作業計画 作業指揮者 立入禁止 ブーム等の落下による危険防止他規定安衛則第 151 条の 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 他 (3) 簡易架線集材装置制動装置等 ワイヤロープ 機械集材装置の作業索 巻過防止装置等 集材機 転倒時保護構造及びシートベルト 防護柵等 運転者と荷掛け又は荷外しをする合図 他規定安衛則第 151 条の 155 156 157 158 159 160 161 162 163 他 (4) 機械 装置の運転業務従事者に対する特別教育の実施平成 26 年 12 月 1 日施行伐木等機械 ( 新設学科 6 時間 実技 6 時間 ) 走行集材機械( 新設学科 6 時間 - 2 -

実技 6 時間 ) 架線集材機械 簡易架線集材機械( 新設学科 6 時間 実技 8 時間 ) 機械集材装置等 ( 既存学科 6 時間 実技 8 時間 ) 安衛則第 6 の 2 号 6 ノ 3 号 7 の 2 号 3) 平成 27 年 7 月 27 日厚生労働大臣認可 施行同年 10 月 25 日適用 ( 労働災害防止団体法第 36 条第 1 項第 1 号等 講ずべき具体的措置などを設定 ) ( 同法第 41 条第 1 項 同規定の会員に遵守義務等 ) 林業 木材製造業労働災害防止協会は 最近の労働安全衛生法令等の改正を踏まえ 林業 木材製造業労働災害防止規程 の変更を行った (1) リスクアセスメントの定着作業に入る前に簡易リスクアセスメント記録書 ( 林業 )( ) に基づき 危険性又は有害性等の調査を行うように努めなければならない ( : 林災防で平成 27 年 5 月に作成した様式 ) (2) チェーンソーの取扱い作業に係る安全基準の充実振動障害防止のために 国の指針の基準に適合したチェーンソーを選定しなければならない 〇チェーンソー防護服の着用を義務化 ( 従来は努力義務 ) チェーンソー作業防護衣の着用により 多発する切創災害の防止効果が顕著に表れている 今回の変更においてチェーンソーを用いて作業を行う場合 チェーンソー防護衣を着用しなければならない 〇チェーンソーを用いた伐倒作業での立入禁止区域の拡大 ( 拡大充実化 ) チェーンソーによる伐倒作業で 他作業者の伐倒による死亡災害が多発していることから 立入禁止区域について従来伐倒木の樹高の 1.5 倍としていたものを今回の変更 樹高の 2 倍以上 立入禁止区域 で2 倍以上とした (3) 熱中症予防の強化 (WBGT 値の活用 )( 新設 ) 熱中症を予防するため 暑さ指数 (WBGT 値 ) の活用 作業者への熱への順化の状態等の管理 熱中症指数モニター に努めなければならない (4) 木材伐出機械等による作業の安全強化車両系木材伐出機械を用いる場合 原木等の飛来により危険を防止するため 防護柵等の措置を講じなければならない 簡易架線集材装置を用いる場合 機械や原木等に接触するおそれのある箇所へ作業者を立ち入らせてはならない 等 - 3 -

(5) アドレナリンの自己注射器 ( ) の 携帯について義務規定化 蜂毒 従来は努力義務規定であった 今回は変更により 抗体検査の結果養成の者については 自己注射器の携帯を義務化とした ( ) 伐木等作業の安全対策 : 自己注射器 蜂毒に起因するアナフィラキシーショックに対する補助治療剤 4) 平成 29 年 7 月 28 日厚生労働大臣認可 施行同年 10 月 26 日適用林業 木材製造業労働災害防止協会は 最近の労働安全衛生法等の改正や 会員適用事業の範囲の見直し 木材製造業における業種の多様化と機械設備等の技術革新が進展してきたこと等を踏まえ 林業 木材製造業労働災害防止規程 を変更した (1) 化学物質のリスクアセスメントの実施 ストレスチェック及び面接指導 受動喫煙防止措置を含んだ また チェーンソーによる伐木作業の安全に関するガイドライン ( 平成 27 年 12 月 ) を盛り込み チェーンソーによる伐木等作業の安全対策を強化した (2) 工作機械等による危険防止を新設し 労働安全衛生規則を内包した (3) 木材加工用機械以外に ドラムバーカ チップ製造機械による 木材剥皮機械作業 木材チップ製造機械作業 を新設した (4) 木製品製造作業 を新たに章立てし 近年の業種の変化と製造機械の多様化に着目し 集成材製造作業 プレカット材製造作業 合板製造作業 を新設した 死亡災害の割合が高いフォークリフト作業 コンベヤー作業 非定常作業を新設した (5) 総則関係 : 〇平成 26 年労働安全衛生法一部改正した 化学物質管理 ストレスチェック 受動喫煙防止措置を内包した 〇安全管理者等職務の明確化した 特別教育 職長教育 能力向上教育等安全衛生教育を充実した 〇チェーンソーを用いて行う伐木等業務従事者等 危険有害業務従事者に対する 5 年毎に行う安全衛生教育の実施に関する事項を規定した 3. 安全衛生現状と施策の方向性 安全衛生の取組強化 健康意識の高揚参照抜粋第 13 次労働災害防止計画 (2018~2022 年度 ) 1) 対策の方向性林業については伐木等作業における 激突され による災害が最も多く発生しており 対策が必要である - 4 -

2) 林業における伐木等作業の安全対策林野庁と連携し 林業普及指導員等による伐木等作業現場での労働災害の防止対策について指導を充実させる 3) 企業 業界単位での安全衛生の取組の強化 企業単位での安全衛生管理体制を推進する 業界団体内の体制整備の促進する 安全衛生専門人材の育成 労働安全 労働衛生コンサルタント等の事業場外の専門人材の活用を総合的に検討し 安全衛生管理組織の強化を図る. 職長教育 雇入れ時教育等の安全衛生教育の充実の検討や実施を推進安全衛生に関する専門家の育成やその活用を支援する 国民の全体安全 健康意識の高揚等 危険体感教育及び震災に備えた対策の推進労働者の危険感受性の低下が 労働災害が減少しとして VR( バーチャル リアリティ ) 技術を応用した危険感受性を高めるための教育の推進を図る 独立行政法人労働者健康安全機構と連携し 産業機械や化学物質等の安全衛生に関する研究を推進し 施策を活用する 4. 関連資料 参考資料出典 : 厚生労働省ホームページ 林業 木材製造業災害防止協会およびそのホームページ 一般社団法人東京技能者協会 / 一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会東京支部 - 5 -