社会科学習指導案

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ICTを軸にした小中連携

スライド 1

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基礎を育てることを主なねらいとしている 現在 地方自治体を取り巻く状況は 少子高齢化 情報化 グローバル化 経済の変動などによ り急速に変化している また 地方分権を推進する法律がつくられ 各地方自治体は 財政の健全 化や組織の改編 市町村合併等の新しい枠組みづくりに取り組んでいる さらに 子育て支

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

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(3) 指導観公民的分野は地理的分野と歴史的分野の学びの積み重ねによるところが大きい 用語や概念も高度化し 生徒の感想にも 難しい と感じるものが多くなっている そこで その難しいと感じる公民の用語などは積極的に用語集を活用し 難しい言葉に対する抵抗感を少しでも和らげるよう授業でも活用している また

中学校第 3 学年社会科 ( 公民的分野 ) 単元名 よりよい社会をめざして 1 本単元で人権教育を進めるにあたって 本単元は 持続可能な社会を形成するという観点から 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を設けて探究し 自分の考えをまとめさせ これらの課題を考え続けていく態度を育てる

各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

思考力 判断力 表現力等 読むこと テクストに表された世界を 言葉の意味や文章の展開を手掛かりに 感じたり想像したりする力 細かな描写や表現を手がかり 作品を深く読む力 学びに向かう力 人間性等 国語を通じて 自分のものの見方 考え方を深めようとするとともに 考えを伝え合うことで 集団の考えを発展さ

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(2) 各学年の目標 ア 知識 に関する目標 社会生活についての総合的な理解 第 3 学年 身近な地域や市区町村の地理的環境 地域の安全を守るための諸活動や地域 の産業と消費生活の様子 地域の様子の移り変わりについて 人々の生活と の関連を踏まえて理解する 第 4 学年 県の地理的環境の特色 地域の

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

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考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

しかし児童生徒の多くは 税は 自分たちの生活に必要なもの とは思っていません まずはその否定的なイメージを払拭して 税は 自分たちのためにあり 自分たちで支えていくもの ということを理解してもらいましょう 税金の身近な使途 税金の使い道を 身近なところから知ってもらいましょう このほか 国際協力 や

し, 定期的に評価することで 自己の考え を自覚する場面を意図的に設定している 本教材の学習においては, 様々な情報の中から必要な情報を取り出し, 整理 分析し, それに基づいた自分の考えを表現する活動を通して, 自己の考えの深まりや広がり を実感させることによって, 課題改善につなげたいと考えてい

北九州市学力向上ステップアップ事業第Ⅱ期推進指定校 実施計画

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題


第 2 問問題のねらい青年期と自己の形成の課題について, アイデンティティや防衛機制に関する概念や理論等を活用して, 進路決定や日常生活の葛藤について考察する力を問うとともに, 日本及び世界の宗教や文化をとらえる上で大切な知識や考え方についての理解を問う ( 夏休みの課題として複数のテーマについて調

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政経 311 政治・経済

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イ 各科目の特徴 < 公共 > 公共の目標 人間と社会の在り方についての見方 考え方を働かせ 現代の諸課題を追究したり解決したりする活動を通して 広い視野に立ち グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質 能力を次のとおり育成することを目

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教育研究グループ報告書

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

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上に食に関する指導の充実が求められている 食環境の乱れが社会的課題とっている今日 中学生が食生活の自立を目指した学習をすることは大切なことであるので 本時は 自分や家族の食生活の中で見付けた問題点の改善に自主的に取り組むことができるように 指導を進めることにした 指導に当たっては これまでの学習を踏

第 2 学年 5 組理科学習指導案 日時平成 26 年 12 月 12 日 ( 金 ) 場所城北中学校授業者酒井佑太 1 単元名電気の世界 2 単元について (1) 教材観今日の私たちの日常生活において 電気製品はなくてはならないものであり 電気についての基礎的な知識は必要不可欠である しかし 実際

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

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目 次 (1) 財政事情 1 (2) 一般会計税収 歳出総額及び公債発行額の推移 2 (3) 公債発行額 公債依存度の推移 3 (4) 公債残高の累増 4 (5) 国及び地方の長期債務残高 5 (6) 利払費と金利の推移 6 (7) 一般会計歳出の主要経費の推移 7 (8) 一般会計歳入の推移 8

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中学校における授業実践事例 1 第 3 学年社会科 消費生活と経済 1 学校名 職氏名萩市立田万川中学校教諭室谷雄二 2 生徒 3 学年 15 人 3 学習指導案 (1) 題材名消費生活と経済 (2) 題材の目標経済活動の意義について消費生活を中心に理解させるとともに 価格の働きに着目させて市場経済

目 次 (1) 財政事情 1 (2) 一般会計税収 歳出総額及び公債発行額の推移 2 (3) 公債発行額 公債依存度の推移 3 (4) 公債残高の累増 4 (5) 国及び地方の長期債務残高 5 (6) 利払費と金利の推移 6 (7) 一般会計歳出の主要経費の推移 7 (8) 一般会計歳入の推移 8

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Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

(2) -2,4,1 3 y=-x-2 をかいた ( 人 ) 4 (1) y=2x-9,y=2x,y=3x+3 (2) y=x+11 (3) 指導観校内の研究テーマが 考える力を引き出す授業のあり方 ということで, 数学科では考える力とは何かを分析し,11 項目に整理した 1 帰納的に考える力 2

山梨大学教職大学院専攻長 堀哲夫教授提出資料

4 指導観 (1) 単元観高等学校学習指導要領第 2 章第 3 節公民第 2 款第 3 政治 経済 2 内容 (2) 現代の経済には以下のように記述されている 現代の日本経済及び世界経済の動向について関心を高め 日本経済のグローバル化をはじめとする経済生活の変化 現代経済の仕組みや機能について理解さ

「標準的な研修プログラム《

租税教育の目的は, 租税に関する意義, 役割, 機能, 仕組み等の租税制度を知るとともに, 申告納税制度の理念や納税者の権利及び義務を理解し, 健全な納税者意識を醸成することにあり, 当租税教育推進連絡協議会では, 教育関係者並びに税務関係者が協力して租税教育を推進し, その効果を高めることを目的に

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新学習指導要領の理念と カリキュラム マネジメント 2019( 平成 31) 年 1 月 16 日 文部科学省 3 階講堂 天笠茂 ( 千葉大学特任教授 )

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(2) 系統観 小学校社会科 ( 第 6 学年 ) 世界の中の日本の役割について, 我が国と経済や文化などでの面でつながりが深い国の人々の様子などを調査し, 外国の人々と共に生きていくためには異なる文化や習慣を理解し合うことが大切であることを考える 中学校社会科 ( 第 1 学年地理的分野 ) 世界

小中学生講義用テキスト 講義型 解説書スライド解説 授業開始前機材準備や資料の置き場所等の確認のため 授業開始の直前ではなく 余裕をもって学校に到着するようにしましょう 学校の先生の承諾があれば早めに教室に入り クラスの雰囲気に馴染めるよう 児童生徒とコミュニケーションをとりましょう 自己紹介 自己

○数学科 2年 連立方程式

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第 4 学年算数科学習指導案 平成 23 年 10 月 17 日 ( 月 ) 授業者川口雄 1 単元名 面積 2 児童の実態中条小学校の4 年生 (36 名 ) では算数において習熟度別学習を行っている 今回授業を行うのは算数が得意な どんどんコース の26 名である 課題に対して意欲的に取り組むこ

1. わたしたちと税のかかわりについて考えてみよう 1 わたしたちの身の回りには, さまざまな税とのかかわりがあります ( 注 ) 住民税とは 道府県民税と市町村民税を合わせた呼び方です みんなで調べてみよう! 他にはどんな税があるのだろう? これらの税は, だれが, どんな方法で, どこに納めるの

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英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

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第 7 章財政運営と世代の視点 unit 26 Check 1 保有する資金が預貯金と財布中身だけだとしよう 今月のフロー ( 収支 ) は今月末のストック ( 資金残高 ) から先月末のストックを差し引いて得られる (305 頁参照 ) したがって, m 月のフロー = 今月末のストック+ 今月末

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第 2 学年 * 組保健体育科 ( 保健分野 ) 学習指導案 1 単元名生涯の各段階における健康 ( イ ) 結婚生活と健康 指導者間中大介 2 単元の目標 生涯の各段階における健康について, 課題の解決に向けての話し合いや模擬授業, ディベート形式のディスカッションなどの学習活動に意欲的に取り組む

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資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

平成29年度 中学校英語科教育 理論研究

エコポリスセンターとの打合せ内容 2007

図 4-1 総額 と 純計 の違い ( 平成 30 年度当初予算 ) 総額ベース で見た場合 純計ベース で見た場合 国の財政 兆円兆 国の財政 兆円兆 A 特会 A 特会 一般会計 B 特会 X 勘定 Y 勘定 一般会計 B 特会 X 勘定 Y 勘定

一般会計 特別会計を含めた国全体の財政規模 (1) 国全体の財政規模の様々な見方国の会計には 一般会計と特別会計がありますが これらの会計は相互に完全に独立しているわけではなく 一般会計から特別会計へ財源が繰り入れられているなど その歳出と歳入の多くが重複して計上されています また 各特別会計それぞ

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平成 年度授業改善 ( 中学校社会 ) 第 2 学年社会科 ( 歴史的分野 ) 学習指導案 1 単元名 近代国家の歩みと国際社会 - 新しい価値観のもとで - ( 帝国書院 ) 2 単元について 本単元は, 学習指導要領の内容 (1) ウ及び (5) イを受け, 開国とその影響, 富国強

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平成 28 年度予算編成方針 我が国の経済は 景気は引き続き緩やかな回復基調を維持しているが その影響が地方経済にまで十分に行き渡っているとは言えず 我々地方の行財政運営の基本となる税等一般財源を確保するためには 臨時財政対策債に頼らざるを得ない状況が続くものと考える また 税制改正も予測されること

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タイトル

学年第 3 学年 2 単元名 ( 科目 ) いろいろな関数の導関数 ( 数学 Ⅲ) 3 単元の目標 三角関数 対数関数 指数関数の導関数を求めることができる 第 次導関数の意味を理解し 求めることができる 放物線 楕円 双曲線などの曲線の方程式を微分することができる 4 単元の学習計画 三角関数 対

保健体育科学習指導案

3 題材の目標 (1) (2) 4 題材の評価規準 ( 指導要録の四つの観点 ( 生活や技術への関心 意欲 態度 ) から題材の学習を通して目指す生徒の姿を示します ) 文章の語尾は 評価規準の作成, 評価方法の工夫改善のための参考資料 ( 中学校技術 家庭 ) 平成 23 年 11 月 ( 国立教

とで児童に活動の見通しを持たせ, 自分で課題を立て情報を集め整理し, 発表する等に取り組めるようにしていきたい 調査計画の場面では, 目的に照らしてどのような調査をしていくことがよいのか児童にしっかりと考えさせたい 例えば, データはどう集めたらよいのか, アンケートを実施する場合には, 誰にアンケ

前に準備しておく ただし 膨大な資料をすべて読み解くことは不可能なため あらかじめ指導者側 ( 社会科担当 司書教諭 学校司書 ) で各学習課題に応じた複数の資料を選んでおく 資料を分析 選択する段階においては 学習課題をもっとも適切に解決できるもの また 事後の発表会を踏まえ もっとも効果的に相手

基礎 基本の定着 習得すべき基礎 基本について 基本的人権の考え方や個人の尊重, 法の下の平等の原理についての理解 平等権をめぐる現代社会の諸課題とそれらに対する法整備の理解 自由権の種類とその内容の理解 社会権の種類とその内容の理解 参政権と請求権の種類とその内容の理解 公共の福祉と国民の義務の理

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5 主体的 対話的で深い学びの視点 (1) 主体的な学びとしての視点主体的な学びとして 本単元ではプレゼンテーションを作成する段階で 聞き手の関心を最大限ひきつけることができるようなテーマの設定を生徒たち自身に行わせたい このことにより 教師から与えられたテーマではなく 自分たち自身もより興味 関心

【学習指導要領改訂】 高等学校の新教科・科目構成(案)|旺文社教育情報センター

たい 生徒は九州地方のイメージを漠然と 自然が多い 山がある 空気がおいしい というような自然や環境がよいことをあげていた そこで 九州地方の環境と産業の関わりや環境保全への取組 持続可能な社会を目指した活動についてなど 九州の地域的特色を捉えさせることが重要である そのために 環境保全には人々の積

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第 5 学年 社会科学習指導案 1 単元名自動車をつくる工業 2 目標 我が国の自動車工業の様子に関心を持って意欲的に調べ, 働く人々の工夫や努力によって国民生活を支える我が国の工業生産の役割や発展について考えようとしている ( 社会的事象への関心 意欲 態度 ) 我が国の自動車工業について調べた事

人間科学部専攻科目 スポーツ行政学 の一部において オリンピックに関する講義を行った 我が国の体育 スポーツ行政の仕組みとスポーツ振興施策について スポーツ基本法 や スポーツ基本計画 等をもとに理解を深めるとともに 国民のスポーツ実施状況やスポーツ施設の現状等についてスポーツ行政の在り方について理

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社会科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 授業者秋山雅文 1 日時 : 平成 29 年 11 月 25 日 ( 土 ) 公開授業 Ⅱ 2 場所 : 社会科教室 3 対象 :3 年 4 組 34 名 ( 男子 16 名, 女子 18 名 ) 4 単元名 : 財政と国民の福祉 題材名 : 国債返済シミュレーション 5 題材のねらいと研究主題との関連 (1) 題材のねらい新学習指導要領では, 育成をめざす 資質 能力 を 知識 理解, 思考力 判断力 表現力等, 学びに向かう力 人間性等 の三つの柱で示している その具体的内容と前年度の研究内容から, 本校社会科で育成をめざす 資質 能力 を次のように設定した 社会的事象についての考察や社会的課題の解決に向けての構想を論理的に説明する力 根拠を持って意見や考えを交換し合意形成に向かおうとする力社会科は内容教科であり, その内容を学習していくことでめざす 資質 能力 が育成されていくと捉えている 社会科の教科目標は, 広い視野に立ち, グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質 能力の基礎を育成することである また, 21 世紀型能力 に言う実践力とは, 自律的活動力, 人間関係形成力, 社会参画力, 持続可能な未来への責任であり, 社会科の求める 公民 の姿でもある 新学習指導要領では, 社会科の教科目標実現に向けて3つの方策が示されている 我が国の国土と歴史, 現代の政治, 経済, 国際関係等に関して理解するとともに, 調査や諸資料から様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けさせる 社会的事象の意味や意義, 特色や相互の関係を多面的 多角的に考察したり, 社会に見られる課題の解決に向けて選択 判断したりする力, 思考 判断したことを説明したり, それらを基に議論したりする力を養う 社会的事象について, よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に解決しようとする態度を養うとともに, 多面的 多角的な考察や深い理解を通して涵養される我が国の国土や歴史に対する愛情, 国民主権を担う公民として, 自国を愛し, その平和と繁栄を図ることや, 他国や他国の文化を尊重することの大切さについての自覚などを深める

本校社会科では, これらの内容を積極的に取り入れた授業を研究している 本題材では, 国債に関わる課題を切り口として, その返済に向けての予算案を作成する 国債返済シミュレーション を計画した 予算案を作成するに当たって, まず国債金依存度の高さと税収増加の難しさを, 実感を伴う現実的な数値で捉えることができる 歳出項目ごとに削減を検討する中から, 政策の必要性や有効性を考えることができる また, 国土防衛や国民教育など, 将来の保障を見すえて政策を選ぶ必要性に目が向くことと思われる これらは, 社会の構成者としての公民に必要な資質の育成に意義深いものと考える (2) 重点的に育成をめざす資質 能力 < 知識 技能 > 財政や福祉の事象等に関する理解などを図るための知識 社会情勢等についてまとめる技能 < 思考力 判断力 表現力等 > 財政や福祉に関する事象等の意味や意義, 特色や相互の関連を考察する力 社会にみられる課題を把握して, その解決に向けて構想する力 考察したことや構想したことを説明する力 上記の力を基に議論する力 < 学びに向かう力 人間性等 > 主体的に学習に取り組む態度 多面的 多角的な考察や深い理解を通して涵養される自覚 (3) 汎用的に活用できる資質 能力 論理的, 批判的思考力 ( 思考力 ) 持続可能な未来への責任 ( 実践力 ) (4) 本質的な問いと永続的理解 包括的な問い 本質的な問い 永続的理解 理想の社会とはどのようなものか 国民が望む政治とはどのようなものか 国民の負担は少ないほど良く, 社会保障は手厚いほど良いが, 健全な財政には限りがあり, どこに満足の基準を置くかを譲り合うことが大切である (5) 主体的 対話的な活動 班活動 国債返済シミュレーション で予算案の作成に取り組む 意見交換他班の説明を聞き, 問題点を指摘し合うことを通して予算案を修正する 合意形成各班の予算案をまとめて, 最善と思われる予算案を作成する

6 パフォーマンス課題国債の返済計画を考案する 国債の残高減少を目標として, 当初 5 年間の歳入 歳出を操作する予算案を作成する 5 年間で減少できた金額から推計によって, 国債の完済まで必要な年数を算出する方法で,20~50 年での完済を条件とする 増税や経費削減が国民生活にどのような影響を与えるかを想定し, 国民に理解を求める説明をおこなう 7 生徒の実態と指導観生徒たちは, これまでに政治, 経済のしくみとともに社会保障の内容について学習している また, 地方財政の実情について, 歳入 歳出の主な項目や地域によって異なる実情があることも理解している 本単元に入って, 累進課税と社会保障が実施されることで副次的に所得が再分配されたり, 公共事業が社会資本の整備と同時に景気を調整する機能を持っていたりすることを学び, 政策は多方面に関わる影響を持つことを認識しつつある 国債を返済するために財政を操作することが, 国民生活にどのような影響を及ぼすか考えることで, 視野を広く持った見方を養うことができると考える さらに, 歳出の内容を考えるに当たって, 望ましい社会の姿を描くことにより, 将来的な社会形成に向けての意欲を高めたり, 自分なりの考えを持ったりするきっかけとなる学習を仕組みたいと考えた 8 単元の学習指導計画 学習項目 学習内容 第 1 時 財政のはたらき 財政の持つ3つの機能について概略を知る 歳入, 歳出の内容とその割合をまとめる 経済上の政府の役割と家計, 企業との関わりを考える 第 2 時 国の収入を支える税と国債 税の種類をまとめ, 負担の公平性について考える 国債のしくみと収支に占める割合を知る 第 3 時 景気の動きとその対策 景気変動のしくみと経済活動との関わりを考える 景気対策の主体と効果をまとめる 第 4 時 社会保障のしくみと財源 社会保障の内容についてまとめる 社会保障費の現状を知る 第 5 時 少子高齢社会における福祉の充実 年金制度のしくみと現状から課題と方向性を考える 福祉に関わる課題をまとめる 第 6 時 環境保全の担い手としての政府 公害問題と対策を知る 環境問題の解決に向けての動きを考える 第 7 時 ( 本時 ) 国債返済シミュレーション (2 時間 ) 国債の現状を知り, 今後の方向性を考える

9 単元の評価評価の観点 (1) 主体的に取り組む態度 将来の社会について, 自分の考えを持とうとする姿勢 自分の考えを伝え, 他の考えを聞いて深めようとする態度 (2) 知識 技能 財政や福祉に関する事象を正しく捉える力 将来の社会を描き, まとめる力 (3) 思考力 判断力 表現力等 社会への影響を考慮しながら国債の返済を進める計画をつくる力 社会の負担についての理解を得られるよう適切に説明する力 総括的評価の方法 パフォーマンス課題 国債返済シミュレーション 20~50 年での完済をめざして, 社会の状況をもとに影響を考慮して財政を操作し,5 年分の予算案を作成する国民に負担を求めるに当たり, 理解を得るための説明を考える 単元のふりかえり経済の主体の関わりや所得再分配, 景気対策との関連性を図にまとめる福祉や環境に関する課題をまとめ, 今後の方向性について自分の考えをまとめる 単元テスト財政や福祉に関する事象を正しく理解する

10 本時の目標 国債や社会の情勢をもとに, 国債返済の予算案を作成する 予算から考えられる社会への影響や国民の負担から, 将来の社会の課題について考える 11 本時の展開学習活動 予想される生徒の反応 教師の支援, 備考 導入 1 国債の現状を知る ( 一斉 ) 国債残高, 歳入 歳出に占める国債金 国債費の割合を国家予算などと比較しながら確認し, 本時の課題を把握する 国債が占める比重の大きさと抱えた国債残高の多さにおどろく スライドを用いて, 国債残高に対する1 年間の利子額と同じ程度のものや地方予算との比較比較を示し, 国債の現状を印象づける 展開 1 2 国債返済シミュレーションを作成する ( 班活動 ) 5 年分の予算案を作成 歳入, 歳出とも 2.5 兆円を単位に配分 歳入項目は税収と国債金 歳出項目は社会保障費, 公共事業費, 教育費, 防衛費, 国債費, 地方交付金 国債残高の短期間での完済は非常に困難であることに気づく 国債金に依存した財政になっていることに気づく 国債の増加と国民の負担がてんびんにかけられる構図に気づく 2 人に1 台の端末を用いて表計算ソフトで予算案を作成させる 早くできた班の予算案をビジョンに投影し, 他班の参考にさせる 2 案を並べて投影して予算案作成の意図を説明させ, 予想される社会への影響を指摘させた後に多数決で二者択一をおこなう 多数を得た案を残し, 何度も修正しながらよりよい予算案をつくる 展開 2 3 国債返済予算を説明する 作成した予算について, 国債の返済割合と, 社会に与える影響, 国民の負担について説明する 国民に対して, 負担に理解を求める説明をする 他班との意見交換を通して予算案を修正していく 政策の実施には財源が必要であること, 最低限必要な政策が多くあることに気づく 他班の予算案に見られる問題点を指摘する 異なる要望を折衷することが重要であることに気づく 2 案を並べて投影して折衷して1 案とし, また新しい案を並べて折衷することを繰り返す スライドを用いて, それぞれの歳入, 歳出項目が増減した影響を示す 50 年後の社会における予想される変化を考えさせ, 予算案修正の参考 にさせる

ま 4 望ましい方向性を考える 国債返済の割合が国債 今後の課題を箇条書きに と 各班が作成した予算や意見 に対する国民の意識の して示すことにより, 将 め 交換の内容から最善と思わ 表れ, 削減できない歳 来どのようなことが望 れる案を確定する 出項目が望まれている まれるかを考えさせる 社会の姿を現している ことにきづく 12 本時のルーブリック 作成した予算案について 発表した説明について 国債の返済状況 社会への影響 国民の負担 理解を求める説明 評価 A 30 年以内での完済が予測される 現在の課題を放置せず, 将来に問題を起こさない 国民に求める負担を最小限に抑えている 予算編成の意図や狙いが明らかで, 納得できる 評価 B 50 年以内での完済が予測される 現在の課題には対応しているが, 将来が問題視される 国民に求める負担が明らかに増加している 予算について全面的な理解を得るには至っていない 評価 C 50 年かけても完現在の課題に対応国民が負担できる予算について理解済が見込めないできていない限界を越えているを得がたい