省エネセミナー「連携制御」説明資料

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Transcription:

情報 産業社会システム事業部会産業システム事業委員会 中小規模の工場 ビル等の省エネ / 節電セミナー 省エネ実現に必要となる 連携制御について 情報 産業システム部会 産業システム事業委員会 1

本日のアジェンダ 1. 目的と背景 2. 連携制御の概要と事例 3. 導入ガイドライン 4. 検証ガイドライン 5. 連携制御導入の着眼点 6. まとめと今後の展開

1. 目的と背景

連携制御の目的と背景 エネルギーは需要と供給のミスマッチが起きやすく多くのエネルギーが無駄に使われている 見える化だけでは効果が小さく次のステップが必要 全体最適をはかる制御技術による省エネは 既設設備を活用できポテンシャルが非常に高い 全体最適を志向したコンセプトを 連携制御 と命名し 普及を行う 連携制御ガイドブック を発行 HP にて公開 ( 和文 英文 ) HTTP://Home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=1&ca2=123

目的 : 連携制御ガイドブック 連携制御の導入検討 対象読者 : QCD + Energy の最適化をはかる連携制御を具体的に紹介し普及を行う 設備導入責任者エネルギー管理責任者

制御システムベンダーの省エネエキスパート 6 社 13 名で構成 2012 年度メンバー 鈴木康央 主査 アズビル株式会社 鈴木勝幸 副主査 株式会社日立製作所 高野一志 委員 横河電機株式会社 井上賢一 委員 横河電機株式会社 大内俊之 委員 横河電機株式会社 植木和夫 委員 アズビル株式会社 瀬川潔 委員 アズビル株式会社 黒谷憲一 委員 富士電機株式会社 松本宏治 委員 富士電機株式会社 松井哲郎 委員 富士電機株式会社 藤田賢一 委員 株式会社荏原電産 鈴木健司 委員 三菱電機株式会社 若狭裕 オブザーバ 社 ) 日本電気計測器工業会 / 横河電機株式会社

2. 連携制御の概要と事例

連携制御とは ~ 背景 利点 エネルギーは貯蔵 移動が難 需要 ~ 供給ミスマッチ 最大需要に合わせた供給設備設計 需要少で効率低下 ( 部分負荷運転 ) 動力 熱源設備等の供給側を ダイナミックに変動する需要にあわせて最適運用する全体最適アプローチが必要 連携制御はこれに応えるため 需要側 供給側の設備同士を互いに連携して全体最適制御する技術 既存の供給 需要設備を有効に使い省エネを実現する先進的な制御技術

連携制御の概念図 供給側の設備群を連携する供給連携 需要側と供給側を連携する需給連携 需要側同士を連携する需需連携 電気 供給設備 受配電システム 需給連携 電気 需要設備 配電設備 コジェネシステムガス 燃料 照明設備生産設備コンプレッサ 供給連携 圧縮空気 需需連携 生産設備生産システム蒸気空調機器 工場 熱源システム冷水 温水照明設備空調機器 オフィス

連携制御のカテゴリ 1. 供給機器連携 2. 供給設備連携 3. 需給連携 4. 需給双方向連携 5. 需要設備連携 ( 需需連携 )

供給機器連携 供給設備内での各機器の個々の特性を考慮して運転を制御する手法 機器の組合せや設定を最適配分してコストあるいは CO 2 排出量を最小化 例えば 電気を使う熱源と燃料 ガスを使う熱源の負荷の最適配分や ボイラ ポンプ コンプレッサーなどの複数の機器の最適運転制御など 機器個々の特性 ( 例 : 大型 / 小型 旧式 / 最新などの組合せ ) を考慮した負荷の最適配分を行う 供給設備 受配電機器 1 機器 2 コジェネ機器 1 機器 2 エネルギー 生産システム 1 生産システム 2 需要設備 熱源機器 1 機器 2 オフィス

供給設備連携 近隣の供給設備間の連携運転を制御する手法 例えば 隣接工場の供給設備を一つの供給設備とみなした負荷の最適配分や工場内の複数供給設備を一つの供給設備とみなした負荷の最適配分など 供給設備間の負荷を最適に配分 供給設備 1 供給設備 2 受配電熱源受配電コジェネ エネルギー 生産システム 1 オフィス オフィス 需要設備 1 需要設備 2

需給連携 需要設備の需要量に応じて供給設備の運転を制御する手法 需要量の実際値に基づいた供給機器の負荷の最適配分を行うもの 需要量の予測値に基づくものなど 例えば 小さな規模では設備冷却水の設備側運転状態に応じた流量の制御などが該当する 大きな規模では工場のエネルギーセンターや地域冷暖房プラントにおける気象情報などを用いた 熱源と蓄熱槽の最適運転制御など 供給設備 受配電 コジェネ 熱源 エネルギー 生産システム 1 生産システム 2 オフィス 需要設備 需要量

需給双方向連携 需要設備の需要量に応じて供給設備の運転を制御し さらに供給設備の能力を超える需要がある場合 需要側の調整を行う手法 需要側の調整としては 操業調整を行う場合 生産計画の変更を行う場合がある 電力デマンドの制約量に合わせた操業調整などが電力を大量に消費するプラントで行われてきたが 今後さらに双方の連携がすすみ 生産スケジュールの組み換えなどへ適用範囲が広がる需要の調整 供給設備 受配電コジェネ熱源 エネルギー 生産システム 1 生産システム 2 オフィス 需要設備 需要量

需要設備連携 需要設備の生産システム同士が連携し 需要側の調整を行う手法 需要側の調整としては 操業調整を行う場合 生産計画の変更を行う場合がある 既に節電対策のように 電力デマンドの制約量に合わせた操業調整などが電力を大量に消費するプラントで行われている 現状は生産ラインの同時停止がほとんどだが 今後 生産スケジュールをもとに 生産システムの順次停止起動など 制御方式の高度化が進むと予想 供給設備 受配電 コジェネ エネルギー 生産システム 1 生産システム 2 需要設備 熱源 オフィス

連携制御の事例 カテゴリ 主な事例 1 供給機器連携 熱源機器の負荷配分の最適化 ユーティリティ機器の負荷配分の最適化 熱源/ 圧縮機 / 搬送機器 ( ポンプ ) の最適化台数制御 * *: 能力の異なる機器の連携のみを対象とする 2 供給設備連携 熱源設備間の負荷配分の最適化 ユーティリティ設備間の負荷配分の最適化 補機連動制御( コンプレッサー + 冷却水ポンプなど ) 複数コンプレッサー室の統合制御など 3 需給連携 地域冷暖房 圧縮空気系 冷却装置系など 4 需給双方向連携 電力大量消費プラント夜間操業 高炉を持つ製鉄所のオフガス利用 供給側としては ユーティリティ設備( 原動力設備 ) 5 需要設備連携 ( 需需連携 ) 生産ライン調整 デマンドサイドマネジメント/ デマンドレスポンス

工場の原動力設備最適運用 [ 供給機器連携 ] 電気を使う熱源と燃料 ガスを使う熱源の負荷の最適配分や ボイラ ポンプ コンプレッサーなど機器個々の特性を考慮した負荷の最適配分を行う 連携制御 受電設備 コジェネ設備 ボイラ群 ボイラ等制御システム 蒸気 冷凍機群 熱交換器群 冷凍機制御システム 蓄熱槽 熱源設備 電力負荷 冷水 温水負荷 製造設備 ( 空調負荷主体 )

複数コンプレッサー室統合制御 - 供給設備連携 - 台数制御 台数制御 連携制御導入前 圧縮機 No.1 圧縮機 No.3 圧縮機 No.2 圧縮機 No.4 圧縮機 No.5 圧縮機 No.6 圧縮機 No.9 圧縮機 圧縮機 圧縮機 タンク No.7 No.8 タンク No.10 タンク 第一コンプレッサー室 生産ラインA 第二コンプレッサー室生産ラインB 生産ラインC 個々に制御していた圧縮機群を連携させて無駄な運転をなくす 連携制御 連携制御導入後 圧縮機 No.1 圧縮機 No.3 圧縮機 No.2 圧縮機 No.4 圧縮機 No.5 圧縮機 No.6 圧縮機 No.9 圧縮機 圧縮機 圧縮機 タンク No.7 No.8 タンク No.10 タンク 第一コンプレッサー室 生産ラインA 第二コンプレッサー室生産ラインB 生産ラインC

地域冷暖房熱供給設備連携制御 - 需給連携 - 地域冷暖房の需要家 ( ビル テナントなど ) のエネルギー需要を予測し 供給側の熱源機器群を最適に運用する 燃料 買電 連携制御 ボイラ 1 ボイラ 2 ボイラ 3 スチームタービン 吸収式冷凍機 1 吸収式冷凍機 2 熱交 1 熱交 2 ターボ式冷凍機 1 ターボ式冷凍機 2 ターボ式冷凍機 3 蓄熱槽蓄熱槽 蒸気 冷水 温水 エネルギー 電力需要量 需要家

店舗向けショーケース 冷凍機連携制御 -( 小規模 ) 需給連携 - スーパーやコンビニなどの複数の冷凍ショーケースに冷気を供給する冷凍機を冷凍負荷に応じて最適に制御する 年間平均省エネ率 :13.6% 効果 : 投資回収年約 2.2 年

工場生産設備デマンドサイドマネジメント - 需要設備連携 - 需要設備連携では エネルギーを電力に限定せず 蒸気や冷温水なども含めて最適化 生産管理 A 第一工場 工場ごとの生産管理情報を共有し 生産スケジューリングに反映することにより 熱源システム運用の効率化やピークシフト ピーク需要を低減 熱源システム 搬送システム 生産設備 第二工場 連携制御 熱源システム 搬送システム 生産設備 生産管理 B

コスト効果の例 炭酸ガス削減単価 ( 千円 /t-co 2 ) ( 千円 /t-co2) 400 350 300 250 200 150 炭酸ガスを1トン削減 100 するために いくら投資すればよいか計算 50 小さいほど優秀な省エネ手段 0 各種省エネ機器 / ソリューションの炭酸ガス削減単価 各種省エネ機器 / ソリューションの炭酸ガス削減単価 平均的な省エネ改修単価約 110 千円 (/t-co2) 機器単体 1 10 100 1,000 10,000 炭酸ガス削減量 (t-co (t-co2/ 2 / 年 ) 年 ) 変圧器や熱源装置など 省エネ効果を高めたタイプと標準タイプとの価格差を分子に 削減量を分母においた計算事例 連携制御 代表的な連携制御の事例において導入費用を分子として計算をしたもの 炭酸ガス削減単価は炭酸ガス 1t を削減するために必要な投資金額 機器単体の場合は省エネタイプと標準タイプの差額で計算 BE 建築設備 2005 年 12 月号 2006 年 1 月号記事などより作成

3. 連携制御導入ガイドライン

導入の手順省エネを企画する部門社内の連携制御構築部門もしくは連携制御ベンダー無駄の発見 対象範囲の決定プロジェクト立ち上げ連携制御ベンダー発注の可否決定ステップステップ 1 プロジェクト立ち上げ 省エネ効果の見通し現場調査 運用ヒアリング現状説明資料 データの提供評価ステップステップ 2 効果見直し オフライン シミュレータによる省エネ効果試算各種実績データの提供使用機器の特性データの提供評価ステップステップ 3 導入効果試算 (FS) システム構築 テスト各種実績データの提供使用機器の特性データの提供評価ステップ 4 システム導入 省エネ効果検証 運用 & 設備変更に対する最適化運用開始運用後の各種実績データの提供評価ステップ 5 運用 保守

導入効果の試算 ( フィジビリティ スタディ ) 代表日ごとの実際の運転データと入力データを用いて KPI を計算 比較 現状運転での KPI の計算 実際の各時間帯の機器運転データ < 入力データ > ユーティリティ需要データ機器 設備効率データエネルギー単位コスト エネルギー単位 CO 2 排出量 各機器の制約条件 対象設備のシミュレーションモデル ( エネルギー使用量の計算式 ) 現状の運転でのエネルギー効率指標 (KPI) 電力コスト CO 2 排出量など 連携制御を導入した場合の KPI の試算 対象設備のシミュレーションモデル ( エネルギー使用量の計算式 ) 連携制御による運転のエネルギー効率指標 (KPI) 電力コスト CO 2 排出量など 比較

4. 検証ガイドライン

エネルギー効率指標 (KPI) 代表的な指標として エネルギー消費原単位 適切なバウンダリ ( 検証範囲 ) と期間での比較が必要 影響因子の変動に強く また継続性のあるものが望ましい KPI 1 エネルギー総消費量 ( 単純比較法 ) 2 エネルギーコスト ( 単純比較法 ) 3 エネルギー消費原単位 4 エネルギーコスト原単位 5 エネルギー総消費量 ( エネルギーベースラインモデル法 ) 連携制御適用可否 概要 関係するバウンダリ 期間のエネルギー総消費量で 総電力量 あるいは原油換算量 電気 ガス 燃料等の購入費用 エネルギー総消費量 /( 生産数量 売上高など ) エネルギーコスト /( 生産数量 売上高など ) エネルギー消費量と影響因子の関係をモデル化 効果検証の方法 導入前後の差分をとる 導入前後の差分をとる 導入前後の原単位を比較 導入前後の原単位を比較 導入後の影響因子を導入前のエネルギーベースラインモデルにあてはめて エネルギー消費量を算出し これと実際のエネルギー消費量の差分をとる

エネルギーベースラインモデル法 エネルギー消費量を影響因子の関係をモデル化 エネルギーベースラインモデルにより算出した導入前のエネルギー消費量と導入後の実際のエネルギー消費量の差分で評価 エネルギー消費量 (y) y 0 y 1 導入前 : y=a 0 x+b 0 ( エネルギーベースライン ) 当該生産数量での導入効果 b 0 導入後のエネルギー消費量 ( 生産数量 =x 1 ) x 1 生産数量 (x)

バウンダリ ( 検証範囲 ) 連携制御が影響を及ぼす範囲を設定する 影響しない範囲はできるだけ除く 1 系 連携制御の操作による干渉 ( 流量変化 ) 1 系 負荷 連 携 制 2 系 御 負荷 2 系 連携制御 (a) 導入効果の検証範囲 (b) 導入効果の検証範囲

検証期間 エネルギー消費に影響を与える外的要因 ( 気象条件, 設備稼働 運転パターン, 製造品目など ) の影響をできるだけ排除するような期間で評価 効果の大きさや必要度に応じて 適切に選択 期間の例 1 典型的なパターンの1 日間 2 連続する1 週間 3 季節ごとの代表日 41 年間 5 数年間

検証用データ収集と誤差対応 投入エネルギーを設備単位に計測する 外的要因も同時に収集する 設備の特性により適切な収集時間間隔を決める 導入前のデータも取得しておく データの誤差の低減にも配慮する 1 長期間のデータによる評価 2バイアス的誤差の除去 3 計器のキャリブレーションなど

検証結果の表現方法例 (1) 導入前後の KPI の時間変動グラフ例 削減率導入前導入後 エネルギー消費原単位 [kl/ 売上高 ] 17 15 13 11 9 7 5 80 70 60 50 40 日 /00 日 12 月 00 月 12 火 00 火 12 水 00 水 12 木 00 木 12 金 00 金 12 土 00 土 12 日 00 日 12 月 00 月 12 火 00 火 12 30 20 10 0 削減率 [%] 曜日 / 時刻

検証結果の表現方法例 (2) 導入前のエネルギーベースラインとの比較例 エネルギー消費量 (y) 導入効果 導入前 : y=a 0 x+b 0 ( エネルギーベースライン ) 導入後 : y=a 1 x+b 1 導入後の実績値 b 0 b 1 x 1 生産数量 (x)

5. 連携制御導入の着眼点

エネルギー利用タイプとエネルギー管理対象例 - 商業ビル -

エネルギー利用タイプとエネルギー管理対象例 - 工場 ( 製紙工場 ) - 各工程にまたがった需要量に対応した連携制御 紙切れ時の連携制御をはじめ各種の連携制御 各工程は間欠的動作 エネルギー消費は大きく変動

エネルギー利用タイプとエネルギー管理対象例 - 工場 ( 自動車工場 ) - 工程間にまたがるものから1つの工程内で完結するものまで多くの連携制御 数秒単位のバッチプロセスから時間単位のバッチまで多くの時間要素エネルギー消費は個々の工程の時間変動が重なり複雑に変動

導入の着眼点 エネルギー使用の大きな設備や工程から着手 この部分が需要に応じたエネルギー消費量になるようにすることが重要 生産量に依存しない固定的なエネルギー使用があればこれを削減する リアルタイムに需要に合わせた供給ができないかを検討する

連続プロセスを含む系 対象 ビルや工場の冷暖房熱源や蒸気などのユーティリティ 石油 化学プラント 最適化の検討ポイント 需要に合わせた運転 能力を絞りきれない場合が多い 一つの設備を絞っても全体の使用量が減らない場合もある 中間負荷時の特性を把握し要求品質を確保したうえで需要に応じた運転する方法を検討 設備の有効利用率の向上 運転準備や停止準備に時間がかかることが多い 立ち上げ / 立ち下げの回数や時間を減少させる方法を検討

対象 バッチ系プロセスを含む系 食品や薬品 化学製品の製造 自動車や電子機器の部品や完成組み立ての工程 特徴 ひとつの設備の連続稼働時間が短い 比較的短い期間に製造するものが変わる 最適化の検討ポイント 各設備のエネルギー使用量の把握と部分停止の検討 運転状態によってエネルギー使用量がどのように変動するかを把握 運転変更にかかる時間や手間 関連する設備への影響や制約を整理し 停止や待機状態をつくれないかを検討する 設備能力の可変化の検討 需要より能力の大きな設備を使っている場合 能力を絞ることを検討 生産品目とエネルギー使用量の関連の把握 品目ごとにエネルギー使用量を把握し実績と理論値との差分を分析すると良い

6. まとめと今後の展開 投資効果が高く 段階的な導入が可能な手法 需要側と供給側の協力と連携で全体最適を実現今後の展開 連携制御の範囲拡大 再生可能エネルギー 貯蔵設備 ( 蓄電池 ) の有効活用 連携 スマートグリッド / スマートコミュニティの中での位置づけ 企業情報システム ( 会計システムや受発注システム ) との連携 電力ピーク対策 の積極的な取り込み 電力負荷の平準化 省エネ法改正への対応

ご清聴ありがとうございました