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P13009 平成 26 年度実施方針 新エネルギー部 1. 件名 : 地熱発電技術研究開発 2. 根拠法 : 独立行政法人新エネルギー 産業技術総合開発機構第 15 条第 1 項第 1 号イ 3. 背景及び目的 目標 (1) 本事業の背景及び目的 1 政策的な重要性 2010 年 6 月に エネルギー基本計画 が閣議決定され その中で 地熱発電は 2030 年までに設備容量 165 万 kw(2007 年度実績 53 万 kw) 発電電力量 103 億 kwh(2007 年度実績 30 億 kwh) の導入拡大が掲げられている 2 我が国の状況 2011 年の東日本大震災以降 再生可能エネルギー導入拡大が望まれる中 世界第 3 位となる地熱資源を有する我が国では ベース電源として活用可能な地熱発電が大きな注目を集めている 我が国における地熱資源の有効活用に向けて 導入ポテンシャルの高い自然公園内での開発が重要とされており 環境省において 第 2 種特別地域 第 3 種特別地域における地熱開発の規制が緩和された しかしながら 自然公園内での新規地熱発電所建設を行う場合 依然として 小規模で風致景観等への影響が小さいものが求められることから 環境に配慮した取り組みが必要不可欠となっている また 近年 比較的温度の低い蒸気や熱水でも 低沸点媒体を熱変換して利用することで発電可能なバイナリー発電の導入が米国を中心に進みつつある 特に 我が国では 低温地熱エネルギーの中でも温泉熱エネルギーが全国各地に分布し 温泉熱を発電に利用することで地域分散型の電源として活用できることから バイナリー発電の導入拡大が期待されている さらに 環境保全対策や新規発電所建設に係る環境アセスメントの円滑化に資する技術開発を行い 地熱開発を促進する取り組みを行うことが重要である 3 世界の取り組み状況再生可能エネルギーの拡大が推進されている中 米国や欧州においても国家レベルで技術開発や導入拡大に向けた取り組みが実施されている 1

世界最大の設備力を持つ米国は バイナリー方式の地熱発電の開発も積極的で 多くの商用プラントが稼働している 2008 年 8 月にはアイスランド オーストラリアとの 3 カ国間で地熱技術国際パートナーシップを締結し 国際協力を通じて地熱発電の技術開発を加速させている また EU は高温岩体の研究開発で世界を主導している (2) 研究開発の目標ポテンシャルの高い地域への地熱発電の導入拡大を目的とし 既存の発電設備よりも 小型化 高効率化の地熱発電システムの機器開発及び低温域の地熱資源を活用したバイナリー発電システムを開発すると共に 環境保全対策や環境アセスメント円滑化に資する取り組みを行う 1 環境配慮型高機能地熱発電システムの機器開発地熱発電システムの小型化に資する技術 ( 冷却塔高さを 10m 以下に低減 / 敷地面積を 1 割程度低減する技術 熱効率を 20% 以上に向上させる技術等 ) を確立する 2 低温域の地熱資源有効活用のための小型バイナリー発電システムの開発未利用の温泉熱を利用した低温域のバイナリー発電について 熱効率 7% 以上に資するシステムを確立するとともに スケール対策 腐食対策 二次媒体の高性能化に係る技術を確立する 3 発電所の環境保全対策技術開発ガス漏洩防止技術や拡散シミュレーション技術等を確立する 4. 実施内容及び進捗 ( 達成 ) 状況以下の研究開発を実施した 4.1 平成 25 年度 ( 委託 共同研究 ) 事業内容 研究開発項目 1 環境配慮型高機能地熱発電システムの機器開発 (ⅰ) 地熱複合サイクル発電システムの開発 複合サイクル最適化の検討として 複合サイクルにおける効率算出用のシステム計算モデルを構築し 低沸点媒体の候補媒体の評価を行った 地熱熱水によるスケール抑制技術の開発として スケール付着メカニズム解明に向けたスケール原因物質の化学的特性に関する情報収集を行った 2

研究開発項目 2 低温域の地熱資源有効活用のための小型バイナリー発電システムの開発 (ⅰ) 無給油型スクロール膨張機を用いた高効率小型バイナリー発電システムの実用化 無給油型スクロール膨張機の一次試作機を設計 製作し 単体試験を開始した 膨張機内の摺動部材料を最適化して高寿命化するため 潤滑機構を加速評価する摩耗試験機を製作した (ⅱ) 炭酸カルシウムスケール付着を抑制する鋼の表面改質技術の開発 浸漬サンプルのスケール付着試験および熱水輸送管に付着したスケールを分析し スケール成長過程を理解した また スケール付着量の熱交換器効率への影響を評価した 炭酸カルシウムスケール付着量を低減する耐スケール鋼の基盤技術を確立した また 実証に供するために必要な設計事項を整理した (ⅲ) 温泉の蒸気と温水を有効活用し 腐食 スケール対策を施したハイブリット型小規模発電システムの開発 ハイブリット型小規模発電システムの模擬プラントのうち温泉水発電部を製作し 実証地における発電試験で予定出力 3kW を達成した 蒸気発電部における一次試作機の設計と製作を完了し 単体試験で評価を行った 源泉の蒸気セパレータと温泉水熱交換器の実証地での予備評価試験を開始した 研究開発項目 3 発電所の環境保全対策技術開発 (ⅰ) 硫化水素拡散予測シミュレーションモデルの研究開発 過去の地熱発電所における環境影響の調査書等から 硫化水素の拡散挙動に影響する因子を抽出した 文献による情報収集や上記の硫化水素拡散影響因子に基づき数値モデルのパラメータを抽出 発電所の立地 構造 排出源の状況 気象状況等に対する数値モデルパラメータ決定方法を整理した (ⅱ) 地熱発電所に係る環境アセスメントのための硫化水素拡散予測数値モデルの開発 風洞実験による冷却塔排気の上昇 拡散過程の検討を行い, 実験模型を用いた現象解明およびデータベース整備を行った 簡便操作で着地濃度を予測できる簡易予測数値モデルの開発に着手し, 既存の白煙予測モデルより基盤部分の移植を行った 詳細予測数値モデルの開発では, 地形による気流状況の変化を精度良く再現するた 3

め, 計算領域の設定やメッシュ分割方法の検討を行った 研究開発項目 4 その他上記 1~3 以外で地熱発電の導入拡大に資する革新的技術開発 (ⅰ) 低温域の地熱資源有効活用のためのスケール除去技術の開発 磁気分離による温泉水内シリカ除去のための磁気シーディング工程の評価を実施し 磁気フロックの生成方法と磁気分離方法の設計指針を示した 温泉水処理能力 5t/h の小型磁気分離装置を製作し 温泉地で実証試験を行った 既存の温泉データを収集し 温泉発電のポテンシャルを有する地域を抽出するとともに 化学分析値から シリカスケールの発生する可能性がある温泉の推定を行った (ⅱ) 地熱発電適用地域拡大のためのハイブリッド熱源高効率発電技術の開発 ハイブリッド熱源発電システムの成立性評価として バイオマス関連設備 機器の概略システム構成や蒸気過熱器仕様を検討した スケールセンサーの開発として 室内試験において 炭酸カルシウムスケールについて ファイバーコア径 ファイバー長 測定波長 飽和度等の各種条件で 透過率の変化を観測した 4.2 実績推移 平成 25 年度平成 26 年度平成 27 年度平成 28 年度平成 29 年度 需給勘定 ( 百万円 ) 450 特許出願件数 ( 件 ) 1 論文発表件数 ( 件 ) 0 講演件数 ( 件 ) 0 プレスリリース ( 件 ) 0 5. 事業内容平成 26 年度は以下の研究開発を行う また 必要に応じて追加公募を行い事業の補強 加速をはかる 5.1 平成 26 年度 ( 委託 共同研究 ) 事業内容研究開発項目 1 環境配慮型高機能地熱発電システムの機器開発 (ⅰ) 地熱複合サイクル発電システムの開発 低沸点媒体の特性に適したバイナリータービンの最適化設計やバイナリータービンからの抽気蒸気を用いた超臨界蒸発器 再生ヒータ 凝縮器の設計を行う 4

複合サイクル発電実証プラントの機械 電気系統 各構成機器 配管 配置 法規制等の検討を行い 全体設計を行う 研究開発項目 2 低温域の地熱資源有効活用のための小型バイナリー発電システムの開発 (ⅰ) 無給油型スクロール膨張機を用いた高効率小型バイナリー発電システムの実用化 一次試作機評価の課題に対して設計変更を行うとともに 摩耗試験結果により潤滑機構と材料を改善してバイナリー発電システムを最適化する (ⅱ) 炭酸カルシウムスケール付着を抑制する鋼の表面改質技術の開発 開発耐スケール材のスケール付着抑制効果をさらに高める その基盤技術を実地試験用の機器や試験片へと適用し スケール付着量の比較試験を実施する バイナリー発電所におけるスケール付着状況と発電性能の関係を解析し 付着状況と伝熱特性の関係から総合的な発電システム性能への影響を評価する (ⅲ) 温泉の蒸気と温水を有効活用し 腐食 スケール対策を施したハイブリット型小規模発電システムの開発 蒸気発電部 蒸気セパレータ 温泉水熱交換器の要素評価から機器を改良し ハイブリッド発電システムの実証試験を開始する 研究開発項目 3 発電所の環境保全対策技術開発 (ⅰ) 硫化水素拡散予測シミュレーションモデルの研究開発 硫化水素拡散予測数値モデルを構築し 先行事例における具体的な地形 気象等に係る影響因子を考慮した再現予測計算を行う (ⅱ) 地熱発電所に係る環境アセスメントのための硫化水素拡散予測数値モデルの開発 簡易予測数値モデルの開発では 過去に行われた風洞実験結果と比較を行い 再現性を明らかにし 詳細予測数値モデルの開発では 単純地形を再現した風洞実験との比較を行い モデルの改良およびパラメータの妥当性検証を行う 研究開発項目 4 その他上記 1~3 以外で地熱発電の導入拡大に資する革新的技術開発 (ⅰ) 低温域の地熱資源有効活用のためのスケール除去技術の開発 5t/h 磁気分離装置の運転 試験結果から 50kW 温泉バイナリー設備用磁気分離装置の設計課題を明確化する 磁気分離装置の大型化に対応した磁気フィルターの設計指針を決定する 温泉発電の可能性が見込める地域の温泉水を採取して シリカ濃度ならびにナトリウム カルシウムなどの化学分析を行う 5

(ⅱ) 地熱発電適用地域拡大のためのハイブリッド熱源高効率発電技術の開発 ハイブリッド熱源発電システムの既設地熱発電所への適用性評価やシステムインテグレーションの検討を行い実運転条件の整理を行う 簡易式過熱装置を用いて 実地での蒸気 熱水を用いた通水試験を行い スケール成分 スケール量 沈殿速度とスケールセンサーの感度との関係や耐久性を検討する (2) 平成 26 年度事業規模需給勘定 1400 百万円 (NEDO 負担分 ) 事業規模については 変動がありうる 6. その他重要事項 (1) 研究開発の運営管理研究開発全体の管理 執行に責任を有する NEDO は 経済産業省と密接な関係を維持しつつ 事業の目的及び目標に照らして本研究開発の適切な運営管理を実施する また 外部有識者や産業界の意見等を踏まえ NEDO は研究進捗把握 予算配分 情報共有 技術連携等のマネジメントを行う 本事業への参加者は これらの NEDO のマネジメントに従い 地熱発電の開発普及のために必要な取り組みに協力するものとする (2) 複数年度契約の実施平成 25 年度 ~27 年度の複数年度契約による研究開発を実施することを基本とする 7. 実施方針の改定履歴 (1) 平成 26 年 3 月 25 日制定 6

( 別紙 ) 実施体制図 NEDO 研究開発項目 1 環境配慮型高機能地熱発電システムの機器開発 2/3 共同研究株式会社東芝 地熱複合サイクル発電システムの開発 研究開発項目 2 低温域の地熱資源有効活用のための小型バイナリー発電システムの開発 2/3 共同研究 アネスト岩田株式会社 無給油型スクロール膨張機を用いた高効率小型バイナリー発電システムの実用化 共同実施 独立行政法人産業技術総合研究所 2/3 共同研究 国立大学法人東京海洋大学 株式会社エディット 国立大学法人横浜国立大学 国立大学法人長崎大学 炭酸カルシウムスケール付着を抑制する鋼の表面改質技術の開発 2/3 共同研究 アルバック理工株式会社 株式会社馬渕工業所 温泉の蒸気と温水を有効活用し 腐食 スケール対策を施したハイブリット型小規模発電システムの開発 委託 研究開発項目 3 発電所の環境保全対策技術開発 日揮株式会社 学校法人明星大学 硫化水素拡散予測シミュレーションモデルの研究開発 再委託 日本エヌ ユーエス株式会社 2/3 共同研究一般財団法人電力中央研究所 地熱発電所に係る環境アセスメントのための硫化水素拡散予測数値モデルの開発 研究開発項目 4 地熱発電の導入拡大に資する革新的技術開発 委託 株式会社超電導機構 国立大学法人大阪大学 独立行政法人産業技術総合研究所 低温域の地熱資源有効活用のためのスケール除去技術の開発 委託 一般財団法人電力中央研究所 国立大学法人富山大学 地熱発電適用地域拡大のためのハイブリッド熱源高効率発電技術の開発 再委託 三菱重工株式会社 7