3 国 道州 基礎自治体の役割と権限 役割分担については 次のような意見があった 中間報告に国の役割として挙げられている16 項目については限定列挙とする意見と16 項目は例示であり さらに役割分担を考えていくべきとの意見があった 例えば 国土政策 農林政策 教育等は国 地方が協力して対処する問題が

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(2) 消費税率 10% への引上げ時に導入が予定されている軽減税率制度については 消費税 地方消費税の引上げ分のうち地方交付税原資分も含めると 約 3 割が地方の社会保障財源であり 仮に減収分のすべてが確保されない場合 地方の社会保障財源に影響を与えることになることから 確実に代替財源を確保するこ

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併せて 先進事例を統一的なフォーマットでデータベース化する また 意欲ある地域が先進的な取組みを行った人材に 目的に応じて容易に相談できるよう 内閣官房において 各省の人材システムを再点検し 総合的なコンシェルジュ機能を強化する 各種の既存施策に加え 当面 今通常国会に提出を予定している 都市再生法

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Transcription:

資料 5 道州制ビジョン懇談会集中審議における論点整理 ( 報告 ) 平成 21 年 2 月 19 日道州制ビジョン懇談会はじめに道州制ビジョン懇談会は 2007 年 1 月に発足して以来 既に28 回の審議を重ねてきた この間 昨年 3 月には中間報告を行い その後も残された課題について 税財政制度と区割りの基本方針については専門委員会を設けるなど 積極的に議論を行っている また 全国各地で行われる道州制シンポジウムに委員が多数出席するとともに 各委員の地域における道州制検討への参加 マスコミ取材への対応などにより 地域主権型道州制の実現に向けて 国民的な議論を喚起してきたところである その結果 最近ではマスコミなどでも 地域主権型道州制 が多く取り上げられるようになり また 与党内や経済界における議論もたいへん活発になってきている こうした状況の中 道州制ビジョン懇談会は 昨年 12 月に集中審議を行い 論点の整理を行った 今後は 中間報告に記載された内容を基本としながら 以下に掲げた論点などについて2つの専門委員会とともに検討を続け 日本の歴史 文化 風土を踏まえた大きなビジョンをしっかりと議論していくこととする 1 道州制の理念と目的 次のような意見があった 道州制の導入は 単に都道府県を合併するものではなく 明治以来の強固な中央集権型の統治機構全体を抜本的に再編成するものであり 内政に関する企画立案機能を含む権限を国から地方に移譲し 中央省庁本省の組織をスリム化 再編し 地方出先機関を廃止することを基本とすべきではないか 2 制度設計の基本的な考え方 次のような意見があった 国民は北欧型のセーフティネット社会を望んでいるのであり これを踏まえて国のかたち 国の役割について議論していくべきではないか - 1 -

3 国 道州 基礎自治体の役割と権限 役割分担については 次のような意見があった 中間報告に国の役割として挙げられている16 項目については限定列挙とする意見と16 項目は例示であり さらに役割分担を考えていくべきとの意見があった 例えば 国土政策 農林政策 教育等は国 地方が協力して対処する問題が多い 相互補完的な分野も多いので 関係者の意見を丁寧に聞き取って議論をしていくべきではないか 生活保護は憲法上国の責任であり 国税から基礎自治体を通じて支給すべきではないか 年金 医療保険などは基礎自治体を中核として考えるべきではないか あわせて道州及び国の助成について検討すべきではないか 年金 医療保険は国の役割とすべきではないか 年金については国の役割とし 生活保護 医療保険については 道州又は基礎自治体の権限とすべきではないか 広域犯罪対策( 日本版 FBI) は必要だが その他の警察治安は道州に一元化すべきではないか 防衛について 沖縄には基地の問題があり 国と沖縄の役割分担の議論をしていくべきではないか その他 次のような意見があった ナショナルミニマムについて さらに議論をしていくべきではないか 中間報告 4(5) の 国 道州連絡協議会 の肉付けが必要ではないか 権限無きところに組織無し の原則に従って 国の組織の概要を決める必要があるのではないか 基礎自治体の具体的な役割や権限については 道州政府に制度設計を委ねることとすべきか あるいは委ねないこととすべきか 基礎自治体の役割については補完性の原理 近接性の原理にもとづき 最も身近な政府が内政の大半を担うという考え方の下に制度設計すべきではないか - 2 -

4 道州の組織等 次のような意見があった 道州制実施後も現在の府県単位の 文化事務組合( 仮称 ) を残し 文化事業 行事 催事などを管轄すべきでないか 地方議会は住民自治の担い手としてさらに高い問題解決能力を備えるべきではないか 5 道州制における税財政制度 道州間の財政調整については 次のような意見があった 財政調整は水平調整で考えるべきではないか 道州間調整は 道州間調整財源を確保し 道州間協議で行うべきではないか 理念 理想としては水平調整であるが 国民の最低限の生活保障などを考えると 実務的には水平的な調整は困難であり 垂直的な調整が必要ではないか 垂直でもない 水平でもない 財政調整の方法を考えるべきではないか このような議論は最終取りまとめに盛り込まなくても 将来 議論を詰めれば良いのではないか 税財政制度について 次のような意見があった 国税の根幹は法人税 道州税の根幹は所得税 基礎自治体税の根幹は財産課税及び酒税 たばこ税等の消費に課し 道州間調整財源は燃料税をあて 消費税は原則として国 道州 基礎自治体および調整財源にあてるべきでないか 現行の国税である消費税 所得税のかなりの部分を道州 基礎自治体に移譲すべきでないか 法人税は一定の割合を道州へ移譲するよう検討すべきでないか 国 道州 基礎自治体への税目の割り振りは 財政の所得再分配機能をどこが担うのかによって変わってくるのではないか 道州に配分される税目についての税率等に関する道州の裁量を拡大するなど 課税自主権を拡大すべきでないか 課税自主権を発揮できる( 地域間競争で税率を下げられる ) のは 税源が十分にある東京を中心とした大都市圏のみなのではないか 国 道州 基礎自治体 道州間調整財源の割合を概ね3:3:3:1 とすべきではないか - 3 -

国から地方へ移管する事務 事業の内容が決まっておらず 国 道州 基礎自治体 道州間調整財源の配分比率などは決められないのではないか 財源保障 財政調整のしくみとあわせて各道州の特性に応じた基幹産業の育成によって税源を涵養する方策を講じておくことも重要かつ有効であり 道州制が我が国に根付くまでの過渡期においては これを国策として行うべきではないか 徴税は社会保険料などと共に道州で一元徴収して分配するべきでないか 道州債の発行については 次のような意見があった 国及び道州の起債はそれぞれの判断により市場で行うべきではないか 日本銀行 との調整は 国 道州調整会議 で行うべきではないか 国の資産及び債務の取り扱いについて 次のような意見があった 国の資産は国の権限に必要なもの以外は道州に 時価 で売却し 道州は道州債を発行してこれを買い取るべきでないか 道州は国より買い取った資産を基礎自治体や民間に転売等できるようにするべきでないか 国の資産を道州が道州債を発行して買い取るという方策は 国の借金を道州に押し付け 既発の地方債への影響が大きいうえに 同じことが都道府県から市町村に行われるとすれば 財政力の弱い市町村は財政的にやっていけないのではないか 6 道州の区域 道州の区域については 次のような意見があった 道州の区割りの基本方針については 1 経済的 財政的自立が可能な規模 2 住民が帰属意識をもてるような地理的一体性 3 歴史 文化 風土の共通性 4 生活や経済面での交流 を基本的な考慮事項とし 5 官民による広域ブロックの政策主体のエリア についても副次的に考慮すべきである 幅広く国民各界各層の意見を反映すべきである 具体的な区域を定める際には 以下を考慮すべきである 1その道州の住民の意思を可能な限り尊重すること 2 道州の区域の設定は法律によること 3 道州制移行後においても区域の修正を可能とすること 具体的な道州の区割りについては 道州制基本法に基づくスケジュールを踏まえて最終的な段階で行うべきである - 4 -

東京の取り扱いについて 次のような意見があった 東京が南関東州に入れば道州間格差は著しく大きくなる 住民数に比して全国機能の比率が著しく高い10 区 ( 中央 品川 渋谷 港 新宿 千代田 文京 台東 墨田 江東 ) ほどを国直轄州とし 首長は政府任命 ( 国会承認人事 ) とすべきではないか 東京の扱いについても考える必要はあるが 首都圏連合を見ていても非常に困難であり 今結論を出さなくてもいいのではないか 州都の問題について 次のような意見があった 州都はアメリカの各州を参考にして 小規模都市に置くべきではないか その場合 州事務所は分散型とし 州都の人口は10 万人を超えないように心がけるべきではないか その他 次のような意見があった 道州の区域の具体的な決定は3~4 年後とすべきではないか 区割り基本方針検討専門委員会で奄美のヒアリングをすべきではないか 首都圏 東京をのぞき 都市州は採用しないこととすべきではないか 7 道州制の導入プロセス 道州制基本法の骨子となるべき事項については 次のような意見があった 道州制基本法の骨子としては 次のような点を盛り込むべきではないか 1わが国の中央集権体制を転換し 時代に適応した新しい国のかたちをつくることを目的とするものであること 2 道州制とは 次の事項を満たすものであることア ) 地方分権を極限まで推進し 自己決定 自己責任のもと 地域が主体となって 地域住民のニーズ 切実な要望にきめ細かく応えられる統治体制とすることイ ) 国民一人ひとりが自助の精神をもち 地域の政治 行政に主体的に参加し みずからの創意と工夫と責任で地域の特性に応じた地域づくりを行える統治体制であることウ ) 補完性の原則 近接性の原則に基づく統治体制であることエ ) 国の権限や機能が真に国家としての存立に必要な分野に限定される統治体制であること また 国と道州と基礎自治体は上下関係ではなく 平等の役割分担の統治体制であること - 5 -

オ ) 既存の国の地方出先機関や都道府県の合併 再編を前提とせず 真に地域の生活や振興 地域住民が納得し満足する国のかたちを形成する統治体制であることカ ) 国 道州 基礎自治体は それぞれの役割に応じた財政需要を賄うに足る税源を持ち また 道州間の財政調整にも配慮すること 道州制基本法を策定する場合には 次の点を明記すべきではないか 1 道州制の基本概念 = 目指すべき道州制は 地域主権型道州制 であり既存の都道府県の合併ではなく 国の権限や機能を 真に国家に必要な分野に限定すること 2 地方自治の基本は 基礎自治体 ( 市区町村 ) である 道州は 広域補完体として機能すること 3 国と道州とは 原則として平等の自立した存在であること 4 国 道州 基礎自治体 道州間調整財源の割合を概ね3:3:3:1とすること 基本法の骨子には 財源配分の割合は入れるべきではないのではないか その他 次のような意見があった 道州制の制度設計については法律に基づく検討機関を設置すべきでないか その際 検討機関には地方自治体や地域の経済団体はじめ各界の代表をメンバーに加えるだけではなく 地方での公聴会や世論調査を繰り返し行うなど 国民的な議論を喚起し 地方の 生の声 を十分に取り入れるべきではないか また 道州制が実現した後も 国と地方が対等な関係で意見調整できる場が必要ではないか 道州制特区制度の積極的な活用により 実践を積み重ね 10 年後の道州制導入に向けた準備工程の第 1 段階とするとともに 本懇談会と地方分権改革推進委員会とが知見を共有し 中央政府と地方政府の役割分担の内容を明確化すべきではないか 道州制の導入にあたっては 一定の経過期間を設け 最終的には日本全国に道州制を導入するという前提で それらの時期的な目標とそれに向けた 検討期限 を定めるべきではないか 小規模な基礎自治体の行政能力の強化が 道州制を導入するために重要ではないか 道州制移行前に 社会インフラを 国及び地方自治体の責任で一定の水準まで整備すべきではないか 県単位で事業を展開している企業の懸念を払しょくするための方策を考えるべきではないか - 6 -

8 道州制特区推進法の活用 次のような意見があった 道州制特区推進法を改正して 3 都府県以上の広域連合も同法の対象団体とすべきではないか 9 今後の議論の進め方 今後の議論の手順について 次のような意見があった 道州制基本法の検討を進める前に 国民的な議論を喚起するため まず道州制のビジョンを示さなければならないのではないか 道州制の議論にあたっては 地方や国民各界各層との意見交換をさらに行い 十分に議論を深めていくことが重要ではないか 最終報告の時期を当初の平成 22 年 3 月から前倒すべきではないか 工程表を策定するための専門委員会を設置すべきか あるいは懇談会で議論すべきか 地方分権と道州制の関係について 次のような意見があった まず地方分権改革を進め その先に道州制があるのではないか 地方分権と道州制は対立するものでない 地方分権改革を具体的に進めながら 道州制についても議論は進めるべきではないか 道州制基本法 ( 仮称 ) について 次のような意見があった 平成 21 年度通常国会に 道州制基本法 ( 仮称 ) を提出し 成立を目指すべきではないか 残された課題についての検討が不十分であり 地方の意見も十分に聴いていない また 地方分権改革を実現するために政治決断が求められている状況下で 道州制基本法 ( 仮称 ) にかかる報告を急ぐべきではないのではないか - 7 -