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平成 年 月 日発行 9 導電性接着剤の市場動向と低温硬化型導電性接着剤 ThreeBond D はじめに 導電性接着剤は 電気を流す 接着するといった二つの機能を兼ね備えており 電気 電子分野で多く採用されています 導電性接着剤は はんだや金属溶着などの他の導通接合手法と比較して低い硬化温度で導電性を発現させることができ バインダー成分を変えることで 様々な金属材料を導通接着させることができます また 導電性接着剤はバインダー成分を選択することで 任意の条件での塗布 硬化が可能であることから 作業性 生産性にも優れた材料です 本稿では 低温硬化性 高信頼性 精密塗布等 近年の市場で要求される導電性接着剤の特性に適応した低温硬化型導電性接着剤 ThreeBond D について紹介いたします 以下 ThreeBondをTBと略します 目 はじめに. 市場で要求される導電性接着剤とは. スリーボンドの導電性接着剤ラインアップ. 製品比較.TBDの特性 -. TBDの物性 -. 低温硬化性 次 -. 高信頼性 --. 高温高湿試験 --. ヒートサイクル試験 --. 耐熱性試験 --. 被着体毎の接着強さ --. 接続抵抗 6 -. 作業性 7 おわりに 8

. 市場で要求される導電性接着剤とは 従来から電子部品を実装するための接合材料としてはSn-Pbはんだが一般的に用いられてきました しかし 6 年にEUで施行された RoHS 指令でエレクトロニクス製品へのPbの使用が制限され こうした社会的な情勢や それに伴う企業の社会的責任の観点からPb を使用しないことがエレクトロニクス製品の開発に求められています そこで代替材料として注目されているのが 導電性接着剤です 近年のエレクトロニクス市場では 導電性接着剤に対して以下の特性が求められています [ 市場で求められる特性 ] 低温硬化性スマートフォンや PCなどの電子機器は近年軽量化や薄型化が進み 樹脂部材をはじめとした非耐熱部材の採用が増加してきています そのため 導電性接着剤で導通接着させる場合にも 部材への影響を少なくするべく 以下での低温硬化が求められています 精密塗布近年 電子部品の小型化に伴って 細線かつ薄膜が求められるなど 接着剤塗布に対する要求は多様化しています 少量 小径での塗布にはディスペンサーが使用されることが多いですが そのような要求に対応するためには 導電フィラーの分離 沈降を防ぐため レオロジーコントロールが必要不可欠です 無溶剤接着剤を使用する作業環境の観点から 近年では無用剤の導電性接着剤が求められています また 無溶剤にすることで貼り合わせた際に 溶剤の揮散に伴う硬化物内のボイドの発生といった問題を減らすことができます これらの市場要求特性を満たすべく スリーボンドでは新たにTBDを開発いたしました 本稿では近年のエレクトロニクス市場要求を満たす新たな導電性接着剤 TBDについてご紹介いたします 高信頼性一般機器の実装ではPbフリーはんだが採用されていますが 車載電装部品には信頼性の観点から Pbはんだの使用が大半を占めています 更に前述のように RoHS 指令では Pbが撤廃される方向にあり Pbはんだに替わる高信頼性の導電性接着剤が求められています. スリーボンドの導電性接着剤ラインアップ 現在までにスリーボンドでは様々な市場用途別に 以下のような導電性接着剤ラインアップを有しています ( 図 -) 導電性接着剤 一液性 加熱硬化型樹脂 無溶剤型 エポキシ系 エポキシ系 溶剤型 ウレタン系 シリコーン系 熱可塑性樹脂溶剤型 塗料系 二液性加熱硬化型樹脂無溶剤型 6 エポキシ系 7 アクリル系 図 - 代表的な導電性接着剤ラインアップ

. 製品比較 市場で要求される導電性接着剤の特性に対して スリーボンドの代表的な商品と TBDを比較した結果を示します ( 表 -) 溶剤揮散型アクリル系の導電性塗料である TBBは低温硬化性に優れ 低粘度のため作業性も良好ですが 信頼性においてはエポキシ樹脂の方が優れます 一方でエポキシ系樹脂を使用している TBW TBFは信頼性 作業性に優れるものの 標準硬化温度が~ と高く 低温での硬化に不向きであることがわかります これに対し TBDはエポキシ系樹脂でありながら低温硬化性に優れ 高い信頼性を有していることから各項目に対する要求に適した樹脂設計であり 近年のエレクトロニクス市場の要求に対応した製品であることがわかります さらに TBDでは塗布作業性の向上を図るため 容器形態をシリンジ仕様としています.TBD の特性 -.TBD の性状 物性以下にTBDの性状 ( 表 -) および TBDの物性を示します ( 表 -) 表 - エレクトロニクス市場特性に対する導電性接着剤 項目 TBD TBB TBW TBF バインダー樹脂エポキシ系アクリル系エポキシ系エポキシ系 低温硬化性 ( 標準硬化条件 ) (8 6 分 ) ( 時間又は 6 6 分 ) ( 6 分 ) ( 分 ) 高信頼性 精密塗布 ( 粘度 ) (Pa s) (.Pa s) (7Pa s) (Pa s) 無溶剤 表 - TBD の性状 試験項目 単位 ThreeBond D 試験方法 備考 外 観 - 銀色 TS-- - 粘 度 P a s TS-F-7 せん断速度.s - 構造粘性比 -. TS-F-7 - 表 - TBD の物性 試験項目単位 ThreeBond D 試験方法備考 チップ接着強さ MPa TS-8- Ni メッキ板 / Φ セラミックチップ 体積抵抗率 Ω m. - TS-- - Tg 9 TS-7- DMA 引張モード (tanδ ピーク :Hz) 標準硬化条件 - 8 6 分 - 熱風乾燥炉 推奨ノズル径 mm 内径.9 以上 - G ニードル ポットライフ h 8 -

-. 低温硬化性 8 雰囲気下に置き 所定の時間毎に取り出し 測定した体積抵抗率 ( 図 -) と接着強さの変化 ( 図 -) を示します 8 雰囲気において体積抵抗率は 分程度で安定し 接着強さは 6 分で安定していることがわかります そのため TBDの標準硬化条件は8 6 分に設定しており 体積抵抗率 接着強さが共に安定して発現しています エレクトロニクス市場では 以下の低温硬化性が求められています TBDは8 での硬化を可能とした樹脂設計であるため 樹脂材料やプラスチック部品などの非耐熱部材へのダメージを軽減することができます -. 高信頼性 --. 高温高湿試験 8,8%RH 雰囲気下に置き 所定の時間毎に取り出し 測定した体積抵抗率変化と接着強さの変化を示します ( 図 -) いずれも, 時間経過後も性能の低下はなく 安定した特性を有していることがわかります --. ヒートサイクル試験 - 8 ヒートサイクル試験 ( 各 分 ) にて所定のサイクル数毎に取り出し 測定した体積抵抗率変化と接着強さの変化を示します ( 図 -),サイクル経過後も性能の低下はなく 安定した特性を有していることがわかります. 体積抵抗率 ( - Ω m)... 体積抵抗率 ( - Ω m ) 体積抵抗率チップ接着強さ. 6 9 硬化時間 ( 分 ) 7 図 - 8 雰囲気における体積抵抗率の挙動図 - 8,8%RH 環境下における体積抵抗率 およびチップ接着強さ 体積抵抗率 ( - Ω m ) 体積抵抗率チップ接着強さ 6 9 硬化時間 ( 分 ) 図 - 8 雰囲気におけるチップ接着強さの挙動 N i メッキ版 / φ セラミックチップ 図 - ヒートサイクル試験における体積抵抗率およびチップ接着強さ (- 8 )

--. 耐熱性試験 雰囲気下に置き 所定の時間毎に取り出し 測定した体積抵抗率変化 ( 図 -6) と接着強さの変化 ( 図 -7) を示します いずれも性能の低下はなく 安定した特性を有します 導電性接着剤にはPbはんだ代替可能なレベルの高信頼性が求められています これらの耐環境性試験結果はTBDが各種試験条件下で安定的な導通性と接着性があることを示しており Pbはんだ代替材料としても期待できる信頼性を有していると判断しております --. 被着体毎の接着強さ TBDは低温硬化に加え 様々な金属材料に対して接着力が良好です 以下にそれぞれの被着体での接着力と 8,8%RH 環境試験結果を示します ( 図 -8) いずれの被着体においても良好な接着力を示し 信頼性試験においても安定した接着力を保持していることが確認できます 体積抵抗率 ( - Ω m) Cu 無電解 Ni 電解 Ni Au 7 図 -6 環境下における 体積抵抗率 7 図 -8 各被着体に対する接着強さ および 8,8% RH 環境試験結果 7 図 -7 環境下におけるチップ 接着強さ

--. 接続抵抗導電性接着剤が電極間の接続材として使用される場合 電極を通して測定される抵抗は図 -9のように導電性接着剤そのものの抵抗 ( 体積抵抗 ) 及び被着体 ( 電極材 ) と導電性接着剤の接触界面で生じる抵抗 ( 接続抵抗 ) という つの抵抗の合成になります 近年のエレクトロニクス市場では 小型化 薄型化が進み 導電性接着剤の塗布体積が少なくなってきています そのため これまで支配的であった体積抵抗の影響が少なくなり 接続抵抗の影響度合いが大きくなってきていました それに伴い樹脂そのものの体積抵抗の信頼性だけでなく 被着体界面に生じる接続抵抗に関しても信頼性評価を行う必要性が強まってきております 以下 弊社接続抵抗の測定手法を紹介すると共に TBDの接続抵抗の信頼性データを示します < 接続抵抗測定法 > 試験条件 :TS-- 金属などの導電性を有する被着体に対して直径 mmの穴を開けたマスキングテープを貼り付け 樹脂を均一にスキージします 導電性接着剤をスキージした後にテープを剥がすことにより 被着体に薄膜状にした一定体積の導電性接着剤層を形成します その後 標準硬化条件にて導電性接着剤を硬化させます 測定は隣り合う導電性接着剤の上から測定器をつなぎ接続抵抗を測定します ( 図 -) この手法は樹脂厚みを十分に薄くすることで 体積抵抗を無視し 擬似的に接続抵抗を評価しています 上記手法で作製した試験片を 8,8%RH 環境下にて所定の時間毎に取り出し 測定したグラフを示します ( 図 -) 接続抵抗においても各被着体に対して非常に安定的であることが確認できます 電極 接続抵抗 Ω 体積抵抗接続抵抗 導電性接着剤 接続抵抗 (mω) 8 6 Cu Au 電解 Ni 無電解 Ni Ω ( 式 ) 図 -9 体積抵抗 (Rv) と接続抵抗 (Rc) 7 図 - 8,8%RH 環境下における接続抵抗変化 Ω 被着体 導電性接着剤 ( 式 ) 式 より導電性接着剤の厚さを薄くすることで Rv とみなす 図 - 接続抵抗測定手法 6

-. 作業性多くのエレクトロニクス市場ではディスペンサーを用い 線塗布や点塗布により導電性接着剤を使用します 従来の導電性接着剤の多くは容器形態としてガラス容器やプラスチック容器を使用しており 製品使用時に事前撹拌を行いシリンジなどの塗布用容器に移し替える作業が必要不可欠でした TBDでは 作業性を向上させるため容器形態をシリンジ仕様としており 事前の撹拌および移し替えの手間を省くことで大幅な作業効率の向上を達成することができます また 導電性接着剤は低比重の接着剤成分と高比重の導電フィラーの混合物で構成されています 従来の導電性接着剤では 導電フィラーの分離 沈降が生じてしまった場合でも事前撹拌が可能であったため 塗布前に均一な状態に回復させる必要がありました 一方で容器形態をシリンジ仕様にすることで 事前撹拌ができず 分離 沈降に対する回復措置がとれなくなるため 分離 沈降を抑制するためのレオロジーコントロールが必要不可欠です TBDでは独自のレオロジーコントロールにより分離 沈降を抑えているため シリンジ仕様においても安定した保存性を有します 以下に常温 ( ) 環境下における粘度変化 ( 図 -) および体積抵抗率変化およびチップ接着強さの変化を示します ( 図 - ) TBDではシリンジに充填した状態において常温 ( ) 8 時間後でも粘度変化が起こらず その間の体積抵抗率およびチップ接着強さも安定しています また 常温 ( ) 8 時間後までの吐出量変化を確認しました ( 図 - ) 吐出量においても変化がなく さらに TBDでは溶剤を含まない設計となっているため 塗布と塗布の合間の時間などで溶剤が乾燥して塗布が困難になるなどの問題も無く 安定した塗布作業を可能とさせています 6 粘度 (Pa s) 吐出量 (mg) 8 体積抵抗率 ( - Ω m ) 8 7 経過 6 8 経過 図 - 常温 ( ) における粘度変化図 - 常温 ( ) における吐出量変化 体積抵抗率チップ接着強さ 8 6 8 6 試験条件 ノズル G 内径.9mm.MPa sec( エアーディスペンス ) 8 7 経過 図 - 常温 ( ) における体積抵抗率およびチップ接着強さ 7

おわりに 電子機器の高性能化により導電性接着剤への要求特性は年々高まっています これらの変化に対応し 電子部品の小型化 薄型化に対応した樹脂設計をしていく必要があります 本稿におきましては接続抵抗の測定手法をご紹介させて頂いておりますが 今後は電子部品のさらなる高性能化に伴い 従来の測定手法だけでは実際の使用箇所における測定結果とスリーボンド内での測定結果に違いが出てくる可能性もあります 我々は進化する電子部材に対して よりマッチした樹脂設計をするのみならず より使用環境に近いデータの取得をするべく試験方法の最適化を図っていきます また今後は車載向け用途の拡大が予想されており より高信頼性の導電性接着剤が必要不可欠となります 更に 用途の幅が広がるにつれて 一般的な特性以外にそれぞれの用途に適した導電性接着剤の開発が必要となり それらに対応していくことが今後の課題になるといえます < 参考文献 > ) 西川宏, 導電性接着剤の導電フィラーと導電性, スマートプロセス学会誌, 9 () ) 小日向茂, 導電性接着剤の基礎 ( その ), エレクトロニクス実装学会誌 Vol. No.,88,7 ) 年特殊粘接着 封止材市場の全貌と用途展開株式会社富士経済 p.8, () ) 導電性フィラー, 導電助剤の分散性向上, 評価, 応用株式会社技術情報協会 p, () ) 中屋学, 鈴木宏則, スリーボンドテクニカルニュース導電性接着剤の近年の技術動向 (999) 6) 接着の技術第 7 巻第 号 p.6 (7) 日本接着学会 株式会社スリーボンド 研究開発本部 開発二部 機能材料開発課 遠藤 悟 加藤 誠 根本 崇 技術マーケティング部 知的財産課 森井佳奈子 8 株式会社スリーボンド 東京都八王子市南大沢 -- 電話 (67)