沖縄県家庭的養護推進計画 平成 27 年 3 月沖縄県
( 目次 ) 第 1 章 計画の策定にあたって 1 計画策定の趣旨 1 2 計画策定の経緯 1 3 計画の位置付け 1 4 計画の期間 2 5 計画の見直し 2 第 2 章本県における社会的養護の状況 1 社会的養護を取り巻く現状 3 2 施設 ( 乳児院 児童養護施設 ) の現状 4 3 里親等 ( 里親 ファミリーホーム ) の現状 5 第 3 章 社会的養護の需要量と供給量 1 社会的養護を必要とする児童数の見込み ( 需要量 ) 7 2 養護可能な児童数の見込み ( 供給量 ) 9 第 4 章 家庭的養護推進計画 1 施設 ( 乳児院 児童養護施設 ) の推進計画 10 2 里親等 ( 里親 ファミリーホーム ) の推進計画 11 3 その他関連施設の推進計画 12 4 計画推進に向けた課題と今後の取り組み 14 用語解説 19 関係先一覧 21
第 1 章 計画の策定にあたって 1 計画策定の趣旨 本計画は 社会的養護を要する子どもが できる限り家庭的な養育環境の中で 特定の大人との継続的で安定した愛着関係の下で養育されることを目的として 沖縄県において 里親やファミリーホームといった家庭養護の推進と 施設養護を小規模グループケアやグループホームといった家庭的な養育環境に変えていくための基本的な方向及び計画を実現するための方策を定めるものです 2 計画策定の経緯 平成 23 年 7 月に社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会及び児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会において 社会的養護の課題と将来像 が取りまとめられ 家庭的養護の推進 専門的ケアの充実 自立支援の充実 家族支援 地域支援の充実 という基本的方向が示されました 中でも 家庭的養護を推進していくために 社会的養護は原則として家庭養護を優先するとともに 施設養護もできる限り家庭的な養育環境の形態に変えていく必要があるとされ 今後十数年の間に本体施設 グループホーム 里親等の割合を概ね 3 分の 1 ずつにしていく目標を掲げる事になりました これを受け 国は平成 24 年 11 月に児童養護施設等の小規模化と施設機能の地域分散化による家庭的養護の推進について方針を定め 各施設は 家庭的養護推進計画 を 都道府県は 都道府県推進計画 を策定する旨の技術的助言を示しました これらの経緯を踏まえ 県においても家庭的養護の推進に向けた取り組みを進めていくための計画策定に至っています 3 計画の位置付け 本計画は 平成 24 年 11 月に国の 児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進について で通知のあった 都道府県推進計画 に位置づけられるものです また 子ども 子育て支援法 ( 平成 24 年法律第 65 号 ) に基づく 沖縄県子ども 子育て支援事業支援計画 との整合性を図っております - 1 -
4 計画の期間 本計画の期間は 平成 27 年 4 月から平成 41 年 3 月までの 15 年間とします 計画期間全体を前期計画として平成 27 年度から平成 31 年度までの 5 年間 中期計画として平成 32 年度から平成 36 年度までの 5 年間 後期計画として平成 37 年度から平成 41 年度までの 5 年間の 3 期に分け それぞれの目標を設定します 5 計画の見直し 本計画を計画的に実行するにあたり 計画の進捗状況等について 5 年ごとの期末において点検 評価を行い 計画の見直しを行うこととします - 2 -
第 2 章 本県における社会的養護の状況 1 社会的養護を取り巻く現状 社会的養護とは 保護者のない子ども 保護者に監護させることが適当でない子どもを公的責任で社会的に養育し 保護するとともに 養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことです 社会的養護は 子どもの最善の利益のために という考え方と 社会全体で子どもを育む という考え方を理念として 保護者の適切な養育を受けられない子どもを社会の公的責任で保護養育し 子どもが心身ともに健康に育つ基本的な権利を保障するものです 社会的養護は かつては 保護者がない または育てられない子どもへの支援としての施策でしたが 現在は 虐待を受けて心に傷をもつ子ども 障害のある子ども DV 被害の母子への支援へと主な役割が変化しています 児童相談所等における各種相談件数の推移 本県における児童相談所の相談受付件数を相談種類別にみると 児童虐待相談を含む養護相談の件数が最も高く 障害相談 非行相談は横ばい状態で推移しています 県では 児童相談支援体制の整備 強化や関係機関との連携等を進め 虐待の未然防止や早期発見 早期対応に取り組んできましたが 児童虐待の相談件数は依然として高い水準で推移しており 養育に困難を抱える家庭への支援も含め 社会的養護の必要性は高まっています ( 件 ) 2,500 2,000 相談種類別 受付件数 2,113 1,962 1,866 1,759 1,813 1,500 1,000 500 養護相談障害相談非行相談育成相談 0 H21 H22 H23 H24 H25 ( 年度 ) ( 件 ) 1,400 1,200 児童虐待相談処理件数推移 1,000 800 703 680 877 855 918 市町村 600 児童相談所 400 200 0 435 420 414 363 348 H21 H22 H23 H24 H25 ( 年度 ) - 3 -
2 施設 ( 乳児院 児童養護施設 ) の現状 (1) 乳児院の現状 乳児院は 乳児 ( 保健上 安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には 幼児を含む ) を入院させて これを養育し あわせて退院した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設です 養育の内容は 乳幼児の年齢及び発達の段階に応じて必要な授乳 食事 排泄 沐浴 入浴 外気浴 睡眠 遊び及び運動のほか 健康状態の把握 健康診断及び必要に応じて行う感染症等の予防処置を含んでいます また 乳児院における家庭環境調整は 乳幼児の家庭の状況に応じ 親子関係の再構築が図られるように行っています 県内に乳児院は 1 箇所あり 本園敷地内において小規模グループケア ( 定員 4 名 ) を併設しています 乳児院 年度 H21 H22 H23 H24 H25 在籍数 21 21 15 15 13 定員計 20 20 20 20 20 定員 / 在籍 105.0% 105.0% 75.0% 75.0% 65.0% 各年度 3 月末現在の在籍数 ( 人 ) (2) 児童養護施設の現状 児童養護施設は 保護者のない児童 ( 乳児を除く ただし 安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には 乳児を含む ) 虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて これを養護し あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設です 児童養護施設における養護は 児童に対して安定した生活環境を整えるとともに 生活指導 学習指導 職業指導及び家庭環境の調整を行いつつ児童を養育することにより 児童の心身の健やかな成長とその自立を支援することを目的として行っています 県内に児童養護施設は 8 箇所あり うち 本園敷地内において小規模グループケアを併設している施設が 1 箇所 地域小規模児童養護施設を開設している施設が 3 箇所あります 児童養護施設 年度 H21 H22 H23 H24 H25 在籍数 395 382 360 335 332 定員計 429 422 415 424 413 定員 / 在籍 92.1% 90.5% 86.7% 79.0% 80.4% 各年度 3 月末現在の在籍数 ( 人 ) 暫定定員における定員計 ( 人 ) - 4 -
3 里親等 ( 里親 ファミリーホーム ) の現状 (1) 里親の登録状況 里親制度は 何らかの事情により家庭での養育が困難又は受けられなくなった児童に 温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境の下での養育を提供する制度です 里親は 養育里親 専門里親 養子縁組を希望する里親 ( 養子縁組前提里親 ) 親族里親 の 4 類型からなり 専門里親 は 養育里親 のうち 一定の要件に該当し県が委託実施する研修を終了した里親です 登録里親数について年々増加傾向で推移しています ( 世帯 ) 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 登録里親数の推移 163 171 132 145 116 H21 H22 H23 H24 H25 登録里親 171 世帯 ( 平成 25 年度末 ) 養育里親 148 世帯 専門里親 26 世帯 (33 世帯 ) 養子縁組前提里親 14 世帯 親族里親 9 世帯 (2) ファミリーホームの設置状況 ファミリーホーム ( 小規模住居型児童養育事業 ) は 養育者の住居で児童 5~6 人の養育を行う里親型のグループホームです 養育者が固定されていることから 家庭的な環境の下で養育することが出来ます 本県では ファミリーホームが制度として創設された平成 21 年度に 5 箇所のホームが設置され 現在 9 箇所のファミリーホームが設置されています - 5 -
(3) 里親等 ( 里親 ファミリーホーム ) 委託児童数の推移 平成 25 年度末における本県の里親等への委託児童数は 里親委託 118 名 ファミリーホーム委託 51 名 計 169 名で増加傾向にあります 平成 25 年度末現在で児童を受託している里親は 80 世帯 ( 登録里親の 46.8%) で 内訳は養育里親 79 世帯 ( 養育里親の 53.0%) 専門里親 1 世帯 ( 専門里親の 4.0%) 養子縁組前提里親 0 世帯 親族里親 8 世帯 ( 親族里親の 88.9%) となっています また 乳児院及び児童養護施設への入所児童数と里親等委託児童数の合計 ( 措置児童数 ) に対する里親等委託児童数が占める割合 ( 里親等委託率 ) は 平成 17 年度から増加傾向にあり 平成 23 年度には 30% を超えており 里親等委託率は全国と比較しても高い水準で推移しています 里親 ファミリーホーム 合計 年度 H21 H22 H23 H24 H25 委託児童数 124 108 117 121 118 受託里親数 75 71 75 79 80 委託児童数 16 44 56 56 51 事業者数 5 8 10 10 9 委託児童数 140 152 173 177 169 里親等委託率 ( 里親等委託児童数 / 措置児童数 ) 25.2% 27.4% 31.6% 33.6% 32.9% 里親等委託率の推移 40% 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 31.6% 33.6% 32.9% 27.4% 25.2% 23.4% 23.1% 22.9% 21.0% H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25-6 -
第 3 章 社会的養護の需要量と供給量 1 社会的養護を必要とする児童数の見込み ( 需要量 ) 今後の社会的養護の需要量については 施設や里親等に措置されている児童数をベースに将来の人口推計を加味することで算出し また これに社会的養護を必要とする潜在的ニーズ量も含めることで今後 15 年間の見込み数を算出しています 具体的には まず 過去 5 カ年の年平均各月初日措置児童数を基に 児童人口に占める在籍児童数の割合を施設種別毎に計算し これに今後の推計児童人口を乗じることによりベース量を算出します 次に 過去 10 カ年の施設種別毎の措置児童数の平均増減率を計算し これに先ほどのベース量を乗じることにより 潜在的ニーズ量を算出し ベース量と潜在的ニーズ量を合計して全体の推計措置児童数 ( 社会的養護の需要量 ) を算出しています ベース量 ( 児童人口に占める措置児童数の割合 推計児童人口 ) + 潜在的ニーズ量 = 推計措置児童数 ( 社会的養護の需要量 ) 本県においては 児童虐待相談件数の増加傾向が続いていることから 潜在的ニーズ量についても一定程度の増加が見込まれますが 今後は児童人口全体が減少していくことが予測されるため これらの状況を勘案すると 現時点において 将来的な社会的養護の需要量は 若干の減少傾向で推移するものと見込まれます - 7 -
実 績 H21 H22 H23 H24 H25 平均割合 乳 児 院 児童養護施設 里 親 等 計 児童人口 19 15 19 14 16 17 0.0 1% 388 378 366 365 349 369 0.1 2% 134 140 165 176 170 157 0.0 5% 541 533 550 555 535 543 0.1 8% 296,864 298,717 296,751 294,785 292,820 295,987 推 計 推計児童人口 1 ベース量 2 (1 措置児童の割合 ) 潜在的ニーズ量 3 (2 増減率 ) 推計措置児童数 (2+3) 前期末中期末後期末 H31 H36 H41 277,286 260,878 246,078 乳児院 16 15 14 児童養護施設 346 325 307 里親等 147 138 131 計 509 478 452 乳児院 2 2 2 児童養護施設 7 7 7 里親等 16 26 42 計 25 35 51 乳児院 18 17 16 児童養護施設 353 332 314 里親等 163 164 173 計 534 513 503 措置児童数乳児院 児童養護施設 里親等 ( ファミリーホームを含む ) に措置されている各月初日措置児童数の年計 /12 ヵ月にて算出 児童人口及び推計児童人口平成 22 年国勢調査 ( 総務省統計局 ) 及び日本の地域別将来推計人口 ( 平成 25 年 3 月推計 国立社会保障 人口問題研究所 ) を基に 沖縄県の 18 歳未満の人口を算出 過去 10 カ年の施設種別毎の在籍児童数の平均増減率乳児院 1.5% 児童養護施設 0.3% 里親等 5.4%( 里親等の潜在的ニーズ量には登録里親数の増減率である 4.4% を更に加味して算出 ) - 8 -
2 養護可能な児童数の見込み ( 供給量 ) 家庭的養護の推進に向け 各施設においては それぞれの実情に応じた小規模化 地域分散化 施設整備等の具体的方策について定めた 家庭的養護推進計画 を県と調整のうえ策定しています この各施設が策定した計画で示された 今後 15 年に渡る定員と 里親等に委託されると推計される児童数の合計を 社会的養護の供給量としています 区分 本体施設 現在前期末中期末後期末 平成 26 年度末平成 31 年度末平成 36 年度末平成 41 年度末 410 381 268 258 乳 児 院 (20) (20) (20) (20) 児童養護施設 (390) (361) (248) (238) グループホーム 18 48 105 111 分園型小規模グループケア地域小規模児童養護施設 里親 ファミリーホーム定員想定 ( 人 ) (0) (0) (45) (45) (18) (48) (60) (66) 165 163 164 173 593 592 537 542 構成比 ( 本体 :GH: 里親等 ) 69%: 3%:28% 64%: 8%:28% 50%:20%:31% 48%:20%:32% ( ) 社会的養護は原則として家庭養護を優先するとともに 施設養護もできる限り家庭的な養育環境の形態に変えていくため 国が示した 本体施設 グループホーム 里親等の割合を概ね 3 分の 1 ずつにしていくという方針の実現に向けて 各施設の実情を踏まえながら取り組むこととします 現時点においては グループホームの割合が 3 分の 1 に満たない状況にありますが 中期 後期の 5 年ごとの計画見直しの中で グループホームの更なる設置促進に努めます - 9 -
第 4 章 家庭的養護推進計画 1 施設 ( 乳児院 児童養護施設 ) の推進計画 (1) 乳児院 乳児院は 言葉で意思表示できず一人では生きていくこと 生活することができない乳幼児の生命を守り養育する施設としての基本的な養育機能と 被虐待児 病児 障害児などに対応できる専門的養育機能の充実が必要です さらに 虐待等で愛着の問題があったりとかかわりの難しい子どもが増えており 心身が傷ついた乳幼児の治療的機能の充実も必要です 上記の機能を充実させ 人生の基礎となる乳幼児期における愛着関係や信頼関係の形成等 乳幼児の個別のニーズに合ったきめ細かな養育を行う必要があります このため 家庭的な養育環境整備に向け 本体施設を将来的に小規模グループケア ( ユニットケア型 ) へ改修していきます 主な取り組み 中期 (H32~H36): 小規模グループケア ( 本体施設ユニットケア型 ) 実施に向けた施設整備 乳児院 本体施設 小規模グループケア以外 小規模グループケア ( ユニットケア型 ) 計 現在 前期 中期 後期 H26 H27~H31 H32~H36 H37~H41 定員 16 16 0 0 箇所数 1 1 0 0 定員 4 4 20 20 箇所数 1 1 4 4 定員 20 20 20 20 箇所数 2 2 4 4 (2) 児童養護施設 児童養護施設に入所する子どもの半数以上が虐待を受けた経験のある被虐待児であり 心身に傷を抱えていることや愛着形成の課題のある子どもも多く より個別的な養育環境を整えることと併せ 心理的ケア等の専門的ケアを実施し 子どもの心身の健やかな成長とその自立を支援することが必要です また 自立支援の充実のためにも 家庭的な環境での日常生活を通じて生活スキルや社会的スキルの獲得など 自立の力を育む養育を行う必要があり - 10 -
ます このため 家庭的養護の推進に向けて 本体施設の小規模化 ( 小規模グループケア ユニットケア型 ) や地域分散化 ( 分園型小規模グループケア 地域小規模児童養護施設 ) を進めていきます 主な取り組み 前期 (H27~H31): 地域小規模児童養護施設の新規開設 中期 (H32~H36): 小規模グループケア ( 本体施設ユニットケア型 ) 実施に向けた施設整備 後期 (H37~H41): 分園型小規模グループケア実施に向けた施設整備 児童養護施設 本体施設 小規模グループケア以外 小規模グループケア ( ユニットケア型 ) 分園型小規模グループケア 地域小規模児童養護施設 計 現在 前期 中期 後期 H26 H27~H31 H32~H36 H37~H41 定員 384 310 90 34 箇所数 8 7 3 1 定員 6 51 158 204 箇所数 1 7 22 28 定員 0 0 45 45 箇所数 0 0 6 6 定員 18 48 60 66 箇所数 3 8 10 11 定員 408 409 353 349 箇所数 12 22 41 46 2 里親等 ( 里親 ファミリーホーム ) の推進計画 (1) 登録里親数等 登録里親数は年々増加していますが 様々な背景を抱えた子どもの多様化するニーズに応えるため 引き続き新規登録里親を増やすことが必要です このため 里親制度に関する普及啓発活動を積極的に行い 県民の関心を高め 登録里親数を更に増やしていきます (2) ファミリーホーム ファミリーホームの開設に意欲のある里親等に対し 児童相談所と連携しながら事業開始を支援していきます - 11 -
また 現時点において 施設を経営する法人が実施する法人型のファミリーホームの設置計画はありませんが 今後 適当な人材を確保し 設置の検討が進められた場合には 開設に向けた支援を行います (3) 里親等委託率 社会的養護を要する子どもをより家庭的な養育環境で養育するため 里親やファミリーホームへの委託を推進し 将来的には 34.4% の里親等委託率を目標とします なお 中期 後期の 5 年ごとの計画見直しの中で 児童養護施設の本体施設からグループホームへの移行が十分進まない場合には 里親等委託率の目標水準を更に引き上げることも含め検討します 里親等 推計措置児童数 ( 人 ) 里親等委託率 (%) 現在 前期 中期 後期 H25 H27~H31 H32~H36 H37~H41 171 163 164 173 32.9% 30.5% 32.0% 34.4% 3 その他関連施設の推進計画 (1) 情緒障害児短期治療施設 情緒障害児短期治療施設 ( 以下 情短施設 という ) は 軽度の情緒障害を有する児童を短期間入所又は通所させ その情緒障害を治し 退所した者への相談その他の援助を行うことを目的とした児童福祉施設です 主な役割としては 心理的 精神的問題を抱え 日常生活の多岐にわたり支障をきたしている児童に対し 生活支援を基盤とした心理治療を行い また 施設内の分級など学校教育との緊密な連携を図りながら総合的な治療 支援を行いますが 本県においては未だ設置されていません このため 情短施設での専門的なケアが必要な児童を 人員配置が十分でない児童養護施設や児童自立支援施設 里親等で受け入れて対応している現状にあります 県においては 今後 情短施設の設置に向けて 設置 運営法人の確保 施設敷地内への学校設置 児童精神科等の医師確保等の取り組みを進めていきます (2) 児童家庭支援センター 児童家庭支援センターは 児童に関する相談のうち 専門的な知識及び技術を必要とするものに応じるとともに 児童相談所からの委託を受けた児童 - 12 -
及びその家庭への指導 その他の援助を行う第 2 種社会福祉事業に位置付けられた相談支援施設で 平成 20 年の児童福祉法改正で 市町村の求めに応じ 技術的助言その他必要な援助を行うことも業務に加えられました 現在 県内には名護市と宮古島市の 2 箇所に児童家庭支援センターが設置されており 施設と地域を繋ぐ重要な拠点となっています 今後 県内における児童家庭支援センターの新たな設置要望が上がった際には 児童相談所や市町村 施設等との役割分担を明確化するための協議を行ったうえ 必要性について検討していきます (3) 自立援助ホーム ( 児童自立生活援助事業 ) 自立援助ホーム ( 児童自立生活援助事業 ) は 義務教育を終了した 20 歳未満の児童であって 児童養護施設等を退所したもののほか その他の都道府県知事が必要と認めたものに対し これらの者が共同生活を営む住居 ( 自立援助ホーム ) において 相談その他の日常生活上の援助 生活指導 就業の支援等を行う事業であり 第 2 種社会福祉事業に位置付けられています 入所児童の多くが児童養護施設を退所した児童であり 退所後に保護者等からの支援を受けられないなど 自立が困難な場合 自立援助ホームへ入居し 就労への援助 日常生活についての援助を受けながら 自立していけるような体制を整えています 県内には与那原町に定員 8 名の自立援助ホームが 1 箇所ありますが 入所人数も限られ 広域的な支援が出来ていない状況です このため 現在自立援助ホームがない地域 ( 中北部や離島など ) 児童の就労先から地理的に優位な地域における開設を検討し 新規設置に向けた協議を重ねながら条件整備に努めていきます - 13 -
4 計画推進に向けた課題と今後の取り組み (1) 施設の小規模化及び地域分散化の推進 ア 職員の確保と人材育成 小規模グループケア及び地域小規模児童養護施設を推進するためには 養育単位が増えるためより多くの職員を確保する必要があります また 職員が生活全般の支援 調理 地域対応など多様な役割をこなすため 職員の果たす力量が求められます これらに対応するため 必要な人材の確保に向けた支援と 専門性の向上を図るための研修体制の整備を推進します 具体的な支援策 1 国の人員配置基準の引き上げに伴う県予算を確保し 施設運営の改善を支援 2 人材確保に向けた取り組み支援 3 施設職員等を対象とした研修会の実施 基幹的職員研修の実施 イ 施設の改築 改修と開設支援 施設を小規模化するためには施設の改築や改修を行う必要があり また グループホームを地域で実施するためには 本体施設の近隣における適当な物件を確保する必要があります このため 各施設が各々策定した家庭的養護推進計画に基づいた施設整備や改修 グループホーム等の開設に向けた支援を行います 具体的な支援策 1 老朽化した施設の改築や既存施設の改修等に伴う小規模グループケア ( ユニットケア型 ) の開設支援 2 既存施設を活用した分園型グループホームの開設支援 3 地域小規模児童養護施設の開設支援 (2) 施設機能強化の推進 ア 専門的ケアの充実 乳児院や児童養護施設に入所する子どもにおいては 半数以上が被虐待児であり 発達障害や知的障害など何らかの障害を同時に抱えている場合も多い状況です これらを背景として発達上の課題を抱えた子どもが 他者との関係性を - 14 -
回復したり 愛着面でのケアをしていくため より丁寧で専門的ケアを行う養育環境を確保する必要があり 心理療法担当職員等の専門的な職員の配置や 職員の支援技術向上のため 研修会等の充実に取り組んでいきます また 心理的 精神的問題を抱える子どもたちに 生活支援を基盤とした心理治療を行う 情緒障害児短期治療施設の設置に向けた取り組みを進めていきます 具体的な支援策 1 専門的な知識や技術を有する職員の配置等体制整備 2 専門性の向上を図るための 施設等の職員を対象とした研修会の開催 3 心理的ケアを専門的に行う情緒障害児短期治療施設の設置 イ 家族支援及び地域支援の充実 施設機能の地域分散化に伴い 本体施設は地域支援の拠点として 子ども 家庭に関する地域住民からの相談に応じたり 専門的 技術的助言を行うこと等の積極的な役割を担うことが期待されています 家族支援及び地域支援の充実を図るため 児童家庭支援センターの積極的な活用促進や 専門員等の配置による施設等のソーシャルワーク機能強化に取り組みます 具体的な支援策 1 家庭支援機能の強化を図るための 児童家庭支援センター開設の検討 2 家庭支援専門相談員や里親支援専門相談員等の配置と積極的な活用等 施設による家庭及び地域支援の推進 (3) 里親 ファミリーホームの推進 ア 里親制度の普及 啓発 本県における里親等委託率は全国に比べ 高い割合で推移していますが 里親家庭に既に複数の児童を委託中であったり 里親の年齢的な問題等から委託可能な児童が限られる場合等もあり 全ての登録里親に対し委託が可能な訳ではありません 今後も里親等委託率の維持向上を図るためには 新たな里親を開拓する必要があります このため 市町村や里親会等関係機関と連携した広報に取り組み 里親制度の社会的認知を高め 登録数の増加を推進します - 15 -
具体的な支援策 1 市町村や里親会等関係機関へのポスターやパンフレットを活用した広報依頼 2 県ホームページにおける里親制度に関する周知 パネル展の実施等による周知啓発活動の実施 イ 里親等への委託促進 里親やファミリーホームへの委託は 里親委託に抵抗を抱く実親との調整や 里親と子どものマッチング 家庭復帰を前提とした里親委託の場合における実親との面会交流等 多くのマンパワーが必要となります このため 里親等委託率を今後引き上げていくため 児童相談所を始めとした里親支援機関の充実強化を推進します 具体的な支援策 1 児童相談所の里親委託体制強化と これを補完するその他里親支援機関との連携 協働による里親委託推進 2 所属施設児童等の里親委託推進を行う里親支援専門相談員の配置施設の増 ウ 里親等への支援 里親による子どもの養育は里親の家庭内で行われることから 特定の大人との愛着関係を形成しやすい反面 一般家庭と同様に子育ての孤立化を招きやすくなります このため 里親が養育に悩みを抱えた時には気軽に相談できる里親同士の交流の場や 専門的な相談援助 里親の休養のための一時預かり等多方面からの支援が必要です 児童相談所が中心となって 施設の里親支援専門相談員 児童家庭支援センター 里親会等と連携し 里親の研修 相談支援 相互交流等に取り組みます 具体的な支援策 1 里親等への研修による里親の資質向上 2 児童相談所や里親支援専門相談員 児童家庭支援センター 里親会等による里親への支援 3 里親支援専門相談員の配置施設の増 4 里親サロン ( 里親同士の交流会 ) の開催 5 レスパイトケア ( 里親の休養のための一時預かり ) 事業の推進 - 16 -
エ ファミリーホームの設置促進 ファミリーホーム事業者の高齢化が進んでいる事から 引き続き新たな事業者の獲得が必要です ファミリーホームの開設に意欲のある里親等に対し 児童相談所と連携しながら事業開始を支援していくとともに 児童養護施設等を運営する法人が開設するファミリーホームの開設に向けた支援を行います 具体的な支援策 1 ファミリーホームの開設支援 ( 新規開設 里親からの移行等 ) 2 社会福祉法人等のファミリーホーム事業への参入促進 (4) 自立支援の充実 児童虐待によって施設や里親へ措置される子どもが増加する中 家庭復帰が叶わないまま入所期間が長期化し 施設等から自立せざるを得ない子どもも増加しています このため これらの子どもが できる限り一般家庭と公平なスタートラインに立って社会に自立していけるよう 施設等の退所までに自立生活能力に必要な基本的な知識と経験が得られるような養育を行う必要があり 就業支援や自立支援等社会への適応を図るための支援体制整備に取り組みます また 退所後も引き続き子どもを受け止め 社会的に自立できるよう継続的な支援に取り組みます 具体的な支援策 1 児童養護施設等を退所した児童等の社会的自立を支援するための自立援助ホームの設置促進等 児童自立生活援助事業の推進 2 生活基盤が安定するまで支援が必要と認められる児童に対する 18 歳以降の措置延長の実施 3 民間による児童の自立支援に関する取組の促進 4 職業指導員の配置施設の拡充 5 退所児童等アフターケア事業の実施等 社会的養護の下で育った子どもが円滑に地域生活を送るために必要な支援体制の整備促進 (5) 子どもの権利擁護の推進 児童福祉法の改正により 施設職員等による児童虐待防止のための枠組みが規定されたところであり 子どもの権利擁護の強化を図るため 被措 - 17 -
置児童等への虐待防止のための措置のほか ケアの質の向上のための取組を進める必要があります 被措置児童等虐待に関する通告や子どもからの届出の受付 通告等があった場合の対応 被措置児童等虐待が起こった場合の措置等を定めたガイドラインに基づき 適切な対応を取ることができる体制の整備に取り組みます また 施設ごとの施設運営指針や里親等養育指針に沿った取組を推進するとともに 平成 24 年度から義務化された第三者評価の受審を進めていきます 具体的な支援策 1 関係機関や関係施設等との連絡会議等による 被措置児童等虐待対応ガイドラインの周知と意識の共有化 連携の強化 2 子どもの権利擁護や被措置児童等虐待について 施設職員や関係機関職員に向けた研修等の実施 3 子どもの権利ノート等を通じた 子どもの権利擁護に関する周知 4 広報媒体 ( テレビ ラジオ 広報誌 ホームページ等 ) を活用した 被措置児童等虐待防止の周知 5 第三者評価の受審 公表の推進による 施設におけるケアの質の向上 - 18 -
用語解説 カ行 家庭支援専門相談員 ( かていしえんせんもんそうだんいん ) 虐待等の家庭環境上の理由により施設入所している児童の保護者等に対し 児童相談所との密接な連携のもと 児童の早期家庭復帰 里親委託等を可能とするための相談援助等の支援を行う職員 家庭的養護 ( かていてきようご ) 社会的養護を要する子どもを より家庭的な環境 ( 小規模グループケアや地域小規模児童養護施設 ) の中で養育すること 里親やファミリーホームにおける養育は 家庭養護 とよばれる 基幹的職員 ( きかんてきしょくいん ) 自立支援計画等の作成及び進行管理 職員の指導等を行う職員 サ行 里親 ( さとおや ) 保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当と認められる児童を県からの委託を受け 養育する者 県社会福祉審議会の審議を経て 県において認定 登録を行う 里親支援専門相談員 ( さとおやしえんせんもんそうだんいん ) 施設に地域の里親及びファミリーホームを支援する拠点としての機能をもたせ 児童相談所の里親担当職員 里親会等と連携して里親委託の推進及び里親支援の充実を図る職員 児童家庭支援センター ( じどうかていしえんせんたー ) 児童に関する家庭その他からの相談のうち 専門的な知識及び技術を必要とするものに応じ 必要な助言を行う他 市町村機関の子ども家庭支援をバックアップする児童福祉の専門援助機関 社会的養護 ( しゃかいてきようご ) 保護者のない子どもや 保護者に監護させることが適当でない子どもを 公的責任で社会的に養育し 保護するとともに 養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと 社会的養護は 子どもの最善の利益のために と 社会全体で子どもを育む を理念として行われている 小規模グループケア ( しょうきぼぐるーぷけあ ) 社会的養護を要する子どもを 児童養護施設や地域において 1 グループ 6~ 8 人 ( 乳児院は 4~6 人 ) の小規模な単位で 家庭的な環境の中で 職員との個別的な関係を重視したきめ細かな養育をするもの - 19 -
情緒障害児短期治療施設 ( じょうちょしょうがいじたんきちりょうしせつ ) 軽度の情緒障害を有する児童を短期間入所 又は保護者の下から通わせて その情緒障害を治し あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設 職業指導員 ( しょくぎょうしどういん ) 勤労の基礎的な能力及び態度を育て 子どもがその適正 能力等に応じた職業選択を行うことができるよう 適切な相談 助言 情報の提供 実習 講習等の支援により職業指導を行う職員 自立援助ホーム ( じりつえんじょほーむ ) 児童養護施設等を退所した義務教育終了後の 20 歳未満の就職する児童等に 共同生活を営む住居において 相談その他の日常生活上の援助 生活指導 就業の支援を行い 社会的自立を図る施設 心理療法担当職員 ( しんりりょうほうたんとうしょくいん ) 虐待等による心的外傷等のため心理療法を必要とする子どもに 遊戯療法 カウンセリング等を実施する職員 心理的な困難を改善し 安心感 安全感の再形成及び人間関係の修正等を図ることにより 子どもの自立を支援する タ行 第三者評価 ( だいさんしゃひょうか ) 福祉サービスを提供する事業者のサービスの質について 公正 中立な第三者機関が専門的 客観的な立場から評価を行う仕組み 平成 24 年度から社会的養護関係施設では 3 年に 1 回以上の受審と評価結果の公表が義務づけられている 退所児童等アフターケア事業 ( たいしょじどうとうあふたーけあじぎょう ) 施設等を退所する子どもに対し 生活や就業に関する相談に応じるとともに 子どもが相互に意見交換や情報交換等を行えるよう自助グループ活動を支援するなど 地域社会における社会的自立の促進を図ることを目的とする事業 地域小規模児童養護施設 ( ちいきしょうきぼじどうようごしせつ ) 社会的養護を要する子どもを 児童養護施設の支援のもと 地域社会の民間住宅などを活用して 近隣住民との適切な関係を保持しつつ 子どもの社会的自立を促進しながら 家庭的な環境で養育するもの ( 定員 6 人 ) ハ行 ファミリーホーム ( ふぁみりーほーむ ) 社会的養護を要する児童を 相当の経験を有する者の住居において 児童の養育を行う事業 定員は 5~6 人 第二種社会福祉事業であるため 県への届出が必要 - 20 -
関係先一覧 乳児院 施設名定員所在地設置 経営認可年月日 1 吉水寮 20 糸満市字阿波根 567 ( 福 ) 袋中園 S52.4.1 児童養護施設 施設名定員所在地設置 経営認可年月日 1 なごみ 40 名護市字辺野古 1009-7 ( 福 ) ひんぷん会 H11.10.1 2 美さと児童園 50 沖縄市知花 6-34-23 ( 福 ) 国際福祉会 S55.5.1 3 石嶺児童園 90 那覇市首里石嶺町 4-394 沖縄県 (( 福 ) 美原福祉会 ) S32.11.26 4 青雲寮 36 糸満市字阿波根 567 ( 福 ) 袋中園 S54.4.1 5 島添の丘 66 南城市大里字大里 2300 ( 福 ) 豊友会 S59.6.1 6 愛隣園 46 与那原町字与那原 2943 ( 福 ) 基督教児童福祉会愛隣園 S41.5.1 7 漲水学園 40 宮古島市平良字西仲宗根 745-5 ( 福 ) 沖縄県社会福祉事業団 S47.3.27 8 ならさ 40 石垣市字新川 1695-27 ( 福 ) 紺碧の会 H17.6.2 地域小規模児童養護施設 施設名 定員 所在地 本体施設 指定年月日 1 つきかげ 6 糸満市字阿波根 570-15 青雲寮 H16.10. 1 2 チャイルドホーム 6 与那原町字上与那原 23-1(2F) 島添の丘 H18. 4. 1 3 こひつじの家 6 与那原町字上与那原 399-1 愛隣園 H26. 4. 1 自立援助ホーム 施設名 定員 所在地 設置 経営 認可年月日 1 島添ホーム 8 与那原町字上与那原 23-1(1F) ( 福 ) 豊友会 H4.12.1 児童家庭支援センター 施設名 定員 所在地 設置 経営 認可年月日 1 2 児童家庭支援センターなごみ - 名護市港 2-3-5 ( 福 ) ひんぷん会 H16.10.1 児童家庭支援センターはりみず - 宮古島市平良字西仲宗根 745-5 ( 福 ) 沖縄県社会福祉事業団 H24.8.1 里親会 機関名定員所在地設置 経営設立年月日 1 沖縄県里親会 - 那覇市首里石嶺町 4-373-1 ( 一社 ) 沖縄県里親会 S47.9.30-21 -