資料 7-1 欧米における 3G オークション等の影響 211 年 7 月 25 日 A.T. カーニー株式会社吉川尚宏
各国における3Gの普及動向 欧州の動向 米国の動向 まとめ 1
各国の携帯電話 3G 普及率の推移 オークションを実施していない仏国の 3G 普及率は オークションを実施した米英よりも低い 携帯電話の普及率 3G 普及率 実質 3G 普及率 (%) (%) (%) 14 13 12 1 9 8 7 6 5 4 英独仏日米 9 8 7 6 5 4 3 2 日米英仏独 9 8 7 6 5 4 3 2 日 米 英 仏独 2 4 6 8 2 4 6 8 2 4 6 8 出所 :ITU Wireless Intelligence 注 : 携帯電話の普及率 = 携帯電話加入者数 / 総人口 3G 普及率 =3G 利用者数 / 携帯電話加入者数 実質 3G 普及率 = 携帯電話の普及率 3G 普及率全てQ4 末の数値 2
各国における3Gの普及動向 欧州の動向 米国の動向 まとめ 3
欧州通信業界の主な変遷 主要通信事業者は国をまたいだ M&A を繰り広げ 業界再編が加速している 主要キャリアの M&A の変遷 BT 分離 O2 O2 英国 One2One Orange 買収 T モバイル UK Orange UK 事業統合 Everything Everywhere TIW UMTS 3 UK Vodafone DT (T-Mobile) 買収 Vodafone が SFR に出資したが 最終的には出資引き上げ Vodafone T-Mobile 独国 Mannesmann Vodafone D2 Vodafone E-plus E-plus VIAG Interkom O2 Germany O2 FT 買収 Orange 仏国 SFR Bouygues Telecom SFR Bouygues Telecom 買収 スペイン Telephonica 4
( 参考 ) 主要通信事業者の主な M&A 状況 ( 欧州 ) 2 年 22 年 24 年 26 年 28 年 2 年 VODAFONE ( 英 ) 独マンネスマンを約 1,83 億ドルで買収 (2) トルコ Telsim を約 46 億ドルで買収 (25) 伊 西 Tele2 を約 8 億ドルで買収 (28) 南アフリカ Vodacom を約 17 億ポンドで買収 (29) DEUTSCHE TELEKOM ( 独 ) スロベキアテレコムを約 億ユーロで買収 ( 2) 米 Powertel を約 59 億ドルで買収 米ボイスストリームを約 24 億ドルで買収 (21) ブルガリア Orbitelを買収 (25) オーストリアのテリングを約 13 億ユーロで買収 ポーランドの PTC を約 12 億ユーロで買収 (26) オレンジネーデルランドを約 13 億ユーロで買収 (27) 仏フランステレコムと英国における携帯電話事業を統合 (2) FRANCE TÉLÉCOM ( 仏 ) 英オレンジを約 432 億ユーロで買収 (2) 米 独グローバルワンを約 43 億ドルで買収 蘭イクワントを約 54 億ユーロで買収 ポーランド TPSA を約 34 億ユーロで買収 (21) 西アメナを約 64 億ユーロで買収 (25) 独ドイツテレコムと英国における携帯電話事業を統合 (2) 出所 : Deloitte 社 HP 5
3G オークションの概要 ( 英 ) オークション落札価格の高騰等が原因で財務状況が悪くなり 3G 事業を売却した企業も存在 英国 実施時期 落札事業者名 落札額 その後の変遷 Vodafone Limited 59.6 億ポンド 特になし TIW UMTS 43.8 億ポンド 現 3UK TIW( カナタ ) とハチソンワンホ ア ( 香港 ) の合弁だったが TIW が株式を売却 2 年 Orange 4.9 億ポンド 現 Everything Everywhere フランステレコムが買収後 T- mobile と統合 One2One Personal Communications BT 計 4.3 億ポンド 4.3 億ポンド 約 225 億ポンド ( 約 4.5 兆円 ) 現 Everything Everywhere ドイツテレコム (T-Mobile) が買収 (T-Mobile) 後 Orangeと事業統合 現 O2 BTが事業売却のために分離上場させ その後 テレフォニカが買収 出所 : Radiocommunications Agency の Spectrum Auctions website 諸外国の電波利用料制度 ( 総務省 ) 6
主要通信事業者のシェアの推移 ( 英 ) 4 社でシェアを分けていた英国だが Orange と T-Mobile との合併により 3 強へと変化した 英国 (%) 9 8 7 6 5 4 3 2 上位 3 社シェア 21 22 24 25 25 25 携帯電話加入者数のシェア ( 英 ) 5 5 6 6 7 8 25 25 24 23 22 22 29 28 26 26 25 24 24 25 25 24 23 2 26 24 21 26 23 22 25 24 23 4 23 23 24 22 24 25 22 25 26 21 25 27 ドイツテレコム系とフランステレコム系が英国携帯電話事業を統合 21 26 28 21 27 29 42 27 2 79% 78% 76% 75% 7% 7% 71% 71% 72% 72% 92% 3 UK (Hutchison) T-Mobile Everything Everywhere (FT/ DT) O2 (Telefonica) Vodafone 出所 : Wireless Intelligence 注 : 上位 3 社 =Vodafone Telefonica France telecom/deutsche Telekom 全て Q4 末の数値 7
( 参考 )3G 加入者におけるシェア ( 英 ) 英国 3G 加入者における各社のシェア ( 英 ) (%) 9 8 7 6 5 4 3 2 上位 3 社シェア 23 18 17 31 49 16 15 33 73 13 11 16 95 8 9 5 23 26 26 27 2 18 3 7 25 25 19 24 24 16 4 1 24 25 26 27 28 29 2 5% 25% 42% 56% 62% 65% 83% 3 UK (Hutchison) T-Mobile Everything Everywhere (FT/ DT) O2 (Telefonica) Vodafone 出所 : Wireless Intelligence 注 : 上位 3 社 =Vodafone Telefonica France telecom/deutsche Telekom 全て Q4 末の数値 8
オークション後の Vodafone BT の CF 状況 ( 英 ) 年のオークション時に BT は落札のために多額の投資が必要となり 投資 CF が大幅マイナス また資金繰りのために財務 CF が大幅プラスとなった 投資 CF の水準はその後 低迷 英国 営業 CF 投資 CF 財務 CF ( 十億ドル ) 22 2 18 16 14 12 8 6 4 2 独マンネスマン買収の影響の可能性 99 1 3 5 7 9 Vodafone BT ( 十億ドル ) 5-5 - -15-2 -25-3 -35 オークションによる投資額増加の可能性 99 1 3 5 7 9 ( 十億ドル ) 3 25 2 15 5-5 - -15-2 99 出所 :Cap IQ 注 : 全て3 月末時点の数値 (9 年度の場合は 年 3 月時点 ) 営業 CF とは本業による収入と支出の差額 投資 CF とは固定資産や株 債券などの取得や売却をした時の現金の流れ 財務 CF とは資金の調達と返済による現金の流れをそれぞれ表す BT Vodafone 1 オークション落札資金を集めた可能性 3 5 7 Vodafone 9 BT 9
3G オークションの概要 ( 独 ) 落札額の高騰に加え 3G ネットワーク構築のための高額投資に財務状況が耐えられなくなり サービスの提供を断念した事業者も存在 独国 実施時期 落札事業者名 落札額 その後の変遷 T-Mobile ( ドイツテレコム ) 76.9 億ドル 特になし Viag Interkom 76.6 億ドル 現 O2 Quam ( テレフォニカ / ソネラ ) 76.4 億ドル 事業凍結 (23) 2 年 マンネスマン 76.4 億ドル 現ボーダフォン 2 年にボーダフォンが買収 E-plus (KPN) 76.2 億ドル 特になし Mobilcom ( オレンジが資本参加 ) 75.9 億ドル 免許返上 (23) 計 約 458 億ドル ( 約 5.8 兆円 ) 出所 :CNN Money (2/8/17) 諸外国の電波利用料制度 ( 総務省 ) DRI テレコムウォッチャー
主要通信事業者のシェアの推移 ( 独 ) 年時点では DT と Vodafone の完全 2 強時代だったが 現在では O2 と E-plus が順調にシェアを伸ばし追い上げてきている 独国 携帯電話加入者数のシェア ( 独 ) (%) 9 8 7 6 5 4 3 2 上位 2 社シェア 6 7 8 9 12 13 13 13 14 16 14 13 12 13 13 14 15 15 17 18 18 4 39 38 38 38 37 36 35 34 32 32 4 41 42 41 39 37 37 37 36 36 34 2 21 22 23 24 25 26 27 28 29 2 8% 8% 8% 79% 76% 74% 72% 72% 7% 68% 66% O2 (Telefonica) E-Plus (KPN) Vodafone Deutsche Telekom 出所 : Wireless Intelligence 注 : 上位 2 社 =Vodafone Deutsche Telekom 全て Q4 末の数値 11
( 参考 )3G 加入者におけるシェア ( 独 ) 独国 3G 加入者における各社のシェア ( 独 ) (%) 9 8 7 6 5 4 3 2 上位 2 社シェア 13 13 13 14 15 17 13 14 15 16 17 17 18 38 36 34 32 3 28 28 39 38 38 39 39 4 38 24 25 26 27 28 29 2 88% 88% 85% 81% 75% 7% 67% O2 (Telefonica) E-Plus (KPN) Vodafone Deutsche Telekom 出所 : Wireless Intelligence 注 : 上位 2 社 =Vodafone Deutsche Telekom 全て Q4 末の数値 12
オークション後の Deutsche Telekom の CF 状況 ( 独 ) 年はオークション落札のために多額の投資が必要となり 投資 CF が大幅マイナスとなった また 資金繰りのために財務 CF が大幅プラスとなった可能性 独国 営業 CF 投資 CF 財務 CF ( 十億ドル ) 25 2 15 ( 十億ドル ) ( 十億ドル ) -5-2 15 5 オークション落札資金を集めた可能性 米ボイスストリーム買収の影響の可能性 -15-2 -5 5-25 オークションによる投資額増加の可能性 - -15 2 4 6 8-3 2 4 6 8-2 2 4 6 8 出所 :Osiris 注 : 全て Q4 末 (12 月 ) の数値 13
3G 免許付与の概要 ( 仏 ) オークションは実施されていない 免許額が引き下げられたものの 免許枠は埋まらず 1 つは未割当 競争環境の醸成がおこらなかったために 3G の普及が遅れた可能性が高い 仏国 付与時期 免許取得事業者名 1 免許あたりの金額 その後の変遷 オレンジ ( フランステレコム ) 特になし 21 年 SFR ( ビベンディ / ボーダフォン ) 当初.6 兆円 /1 免許 211 年にビベンディがボーダフォンの所有する SFR の株式 44% を取得し 完全子会社化 22 年 ブイグ テレコム 改定後 約 6.2 億ユーロ ( 約 75 億円 ) + 売上高の 1% 22 年にドコモと提携し i モードサービスを展開 ( 資本関係無し ) - 未割当 特になし 出所 : NNA.EU 日本経済新聞 (21/12/4 ) 日経 BP ネット ( 22/4/17) 14
主要通信事業者のシェアの推移 ( 仏 ) Orange と SFR の 2 強で仏市場は寡占化されている 仏国 携帯電話加入者数のシェア ( 仏 ) (%) 9 8 7 6 5 4 3 18 18 15 16 17 17 18 17 17 18 18 48 48 5 49 47 47 46 46 47 47 47 Bouygues Telecom Orange (France Telecom) 2 34 34 35 35 36 36 36 36 36 35 35 SFR 2 21 22 23 24 25 26 27 28 29 2 上位 2 社シェア 82% 82% 85% 84% 83% 83% 82% 83% 83% 82% 82% 出所 : Wireless Intelligence 注 : 上位 2 社 =France Telecom SFR 全て Q4 末の数値 15
( 参考 )3G 加入者におけるシェア ( 仏 ) 仏国 3G 加入者における各社のシェア ( 仏 ) (%) 9 8 7 6 5 24 24 33 5 8 11 15 36 43 42 43 Bouygues Telecom Orange (France Telecom) 4 3 2 76 76 67 59 49 46 42 SFR 上位 2 社シェア 24 25 26 27 28 29 2 % % % 95% 92% 89% 85% 出所 : Wireless Intelligence 注 : 上位 2 社 =France Telecom SFR 全て Q4 末の数値 16
免許付与後の France Telecom の CF 状況 ( 仏 ) 1 年当初の免許取得料は高額だったが 2 年に改正されたため 投資 CF も財務 CF もすぐに安定に戻っている 仏国 営業 CF 投資 CF 財務 CF ( 十億ドル ) 25 2 15 5 英オレンジ買収の影響の可能性 西アメナ買収の影響の可能性 ( 十億ドル ) ( 十億ドル ) -5 - -15-2 -25-3 -35-4 英 Orange 買収 当初の免許取得額の影響の可能性 4 35 3 25 2 15 5-5 - 英 Orange 買収 当初の免許取得のための資金を集めた可能性 2 4 6 8-45 2 4 6 8-15 2 4 6 8 出所 :Cap IQ 注 : 全て Q4 末 (12 月 ) の数値 17
各国における3Gの普及動向 欧州の動向 米国の動向 まとめ 18
主要通信事業者の主な M&A 状況 ( 米 ) 主要通信事業者 3 社によって M&A が繰り広げられ 業界再編が加速している 米国 2 年 22 年 24 年 26 年 28 年 2 年 AT&T 米 SBC コミュニケーションズと米ベルサウスによる合弁会社として設立 シンギュラー ワイヤレス (2) シンギュラー ワイヤレスが AT&T ワイヤレスを約 4 億ドルで買収 (24) AT&T( 旧 SBC コミュニケーションズ ) が米ベルサウスを約 67 億ドルで買収 新生 AT&T に (26) 米 Centennial を約 9 億ドルで買収 米 Cellular One ( Dobson Communications 社 ) を約 28 億ドルで買収 VERIZON 英ボーダフォン エアタッチと米ベル アトランティックによる合弁会社として設立 (2) 米ベライゾン コミュニケーションズが米 MCI( 旧ワールドコム ) を約 67 億ドルで買収 (25) 米 UNICEL(RCC 社 ) を約 27 億ドルで買収 (27) 米 SureWest のワイヤレス事業を約 7 千万ドルで買収 米 Alltel を約 28 億ドルで買収 (28) SPRINT NEXTEL 米スプリントが米ネクステルを約 35 億ドルで買収 (24) 米アラモサ ( 系列会社 ) を約 34 億ドルで買収 (25) 米 VELOCITA を買収 米ネクステルパートナーズを買収 (26) 米 Virgin Mobile を買収 (29) 出所 : 情報通信総合研究所 (27/) 各社ニュースリリース Telco215 five telling years, four future scenarios (IBM) 日経コミュニケーションズ(26/4/1) ITメディアニュース (28/6/6) 19
3G オークションの概要 ( 米 ) 資金が豊富な大手 2 社の落札額シェアが大きいものの 地方向けライセンスでは新規参入事業者も多 くの免許数を落札している 落札 落札 実施時期 事業者名 免許数 落札額 その後の変遷 米国 VERIZON 9 93.6 億ドル 特になし 大手 2 社で落札額の 84% 28 年 AT&T 227 66.4 億ドル 特になし アナログ放送跡地 その他事業者 754 3. 億ドル 中小規模通信事業者 99 社が落札 地方向け免許 428 のうち 新規参入事業者が 35 を獲得 非落札免許 (9) - 最低落札価格を上回る入札がなかったケースもあり 計 1,9 19 億ドル ( 約 1.8 兆円 ) 出所 : オークション制度について ( 総務省 ) IT pro(28/3/21) 2
主要通信事業者のシェアの推移 ( 米 ) 米国における主要通信事業者 3 社のシェアは 年の約 48% から 年には約 79% へ拡大し 寡占化が進んでいる 米国 携帯電話加入者全体における各社のシェア ( 米 ) (%) 9 8 7 6 5 4 3 2 3 社シェア合計 52 9 23 16 2 46 48 48 13 13 13 24 17 21 シンギュラー ワイヤレスの AT&T ワイヤレス買収の影響 23 16 22 24 15 23 スプリントのネクステル買収の影響 35 14 24 27 24 26 26 25 26 23 23 21 18 25 26 25 25 26 26 26 28 27 ベライゾンのオールテル買収の影響 27 29 28 21 21 17 16 32 3 29 33 31 2 48% 54% 52% 52% 65% 74% 74% 75% 74% 79% 79% その他 SPRINT NEXTEL VERIZON AT&T 出所 : Wireless Intelligence 注 : 全て Q4 末の数値 21
米国 ( 参考 )3G 加入者におけるシェア ( 米 ) 3G 加入者における各社のシェア ( 米 ) (%) 9 12 16 18 19 2 2 21 14 17 その他 8 7 23 28 29 28 28 26 23 19 18 SPRINT NEXTEL 6 5 4 3 2 65 57 53 52 22 23 24 25 26 27 28 29 2 3 社シェア合計 88% 84% 82% 81% 8% 8% 79% 86% 83% 52 1 47 7 44 13 48 42 19 23 VERIZON AT&T 出所 : Wireless Intelligence 注 : 全て Q4 末の数値 22
オークション後の AT&T と VERIZON の CF 状況 ( 米 ) 両社共 8 年はオークション落札のために多額の投資が必要となり 投資 CF が大幅マイナスとなった また 資金繰りのために財務 CF が大幅プラスとなった可能性 米国 営業 CF 投資 CF 財務 CF ( 十億ドル ) ( 十億ドル ) ( 十億ドル ) 35 AT&T オールテル 3 買収の影響 VERIZON -5 15 オークション落札資金を集めた可能性 25 2 MCI 買収の影響 ベルサウス買収の影響 - -15 VERIZON 5 15-2 AT&T -5 5-25 -3 オークションによる投資額増加の可能性 - -15 VERIZON AT&T 2 4 6 8-35 2 4 6 8-2 2 4 6 8 出所 :Osiris 注 : 全て Q4 末 (12 月 ) の数値 23
各国における3Gの普及動向 欧州の動向 米国の動向 まとめ 24
まとめ (1/2) 211 A.T. KEARNEY K.K. All Rights Reserved. 禁無断転載 複製 オークションを実施しなかったからといって 必ずしも 3G の普及が早く進んだわけではない 欧州では仏国はオークションを実施していないが 3G の普及スピードはオークションを実施した英国よりも遅い オークションで免許を落札したにも関わらず 事業の凍結 ( 独国 Quam, Mobilcom) や事業の売却 ( 英国 BT) が起こったケースが存在する オークションが行われたときには 投資 CF のキャッシュアウトは増大し 資金調達を行うため 財務 CF もプラスに転じるケースが多い 投資 CF のキャッシュアウトの水準は オークション実施によって明確に抑制されたかどうかまではわからない なお 3G オークションの政策効果についてさまざまな分析が既に試みられている たとえば 黒田敏史 バケロ マリアは次のような分析結果を発表している 1) オークションの実施の有無で 第三世代携帯電話の普及率 企業数 投資 料金水準等に影響があった 3G の普及率を低下させたメカニズムは 市場競争の不足である可能性がある 1) 黒田敏史 バケロ マリア 3G オークションの政策効果に関する分析 情報通信学会第 28 回学会大会個人研究発表 211 年 25
まとめ (2/2) 211 A.T. KEARNEY K.K. All Rights Reserved. 禁無断転載 複製 今後 以下の検討を深める必要がある 対象範囲 どの周波数帯を対象とするのか あまり遠い先に割り当てられる周波数を前提としても 市場環境が大きく異なっている可能性があるため 具体的制度設計がやりにくい 制度設計 新規事業者枠の設置をどうするか ネットワークの他の事業者への開放を義務付けるか 競争政策と関連付けて オークションの制度設計を議論しないと 消費者への価格転嫁や設備投資の遅れが懸念される 26
( 参考 ) 加入者一人当たりの月額売上高 (ARPU) の推移 オークションを行った米国の事業者の ARPU はほぼ変化はない ARPU の推移 ( 連結 ) ( ドル ) 55 5 45 4 35 VERIZON( 米 ) AT&T( 米 ) FRANCE TÉLÉCOM( 仏 ) VODAFONE( 英 ) 3 25 2 DEUTSCHE TELEKOM( 独 ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 出所 : Wireless Intelligence Group_Tracking 27
( 参考 ) 台湾での経験 ~3G オークション 22 年に台湾でアジア初の 3G オークションを実施 最低価格を設定した上で入札を行い 計 489 億台湾ドル (1,865 億円 ) で落札 オークション概要 オークション期間 :22 年 2 月 ライセンス期間 :16 年 3Gライセンス数 :5 オークション方法 : 政府が各ライセンス毎に16 億円から29 億円の範囲で最低ビッド価格を設定 設定された最低価格から入札スタート ライセンス申請者 :6 社が申請 ( 億台湾ドル ) Asia Pacific Broadband 台哥大 オークション結果 上位 5 社が各ライセンスを 1 つずつ落札し 落札価格は合計で 1,865 億円に上った 2 4 6 8 12 6 (43 億円 ) 3 (392 億円 ) 申請者 Asia Pacific Broadband 台哥大 中華電信 遠電信伝 Taiwan PCS 3GO 申請者の業種 台湾で唯一 CDMA2 を運営する固定電話事業者 Pacific Electric Wire & Cable Co Fubon Evergreen Acer Continental Engineering Corp Yageo Co Verizon Communicationsinの合弁会社台湾政府とFubon Group Lin-Yuan Groupの合弁会社 AT&Tが出資する台湾の携帯電話事業者 Yulon Motors, and Asia Pacific Broadband Wireless Communicationsが出資する会社携帯電話事業者 (1) ライセンス交付時の 22 年 2 月 11 日の終値 1 台湾元 = 3.8147 円で計算出所 : 3GNewsroom 中華電信 遠電信伝 Taiwan PCS 2 (388 億円 ) 2 (388 億円 ) 77 (294 億円 ) 合計 :489 億台湾ドル (1,865 億円 ) 28
( 参考 ) 台湾での経験 ~3G ライセンス価格のバリュエーション いくつかの経済モデルを活用することで 想定されるライセンス金額の事前評価を実施 土地取引における公示地価のような役割を果たす 周波数ライセンスの価値算定方法 価値評価方法 概要 比較法 既に参入が行われた国での実際のライセンス価格を参考に 対象各国の人口や ARPU などの差を考慮して算定する手法 収益還元法 事業者が周波数ライセンスを獲得して事業を行った場合の収益に基づき ライセンスの価格を試算する方法 アドミニストレイティブ プライシング手法 特定の周波数ライセンスが発行された場合と 発行されずに代替的な手段で同様のサービスが提供された場合との差から 特定の周波数の価値を算定する方法 出所 : 吉川尚宏 田崎嘉邦 周波数オークション 知的資産創造 21 年 6 月号 29
台湾での経験 ~WiMAX オークション 落札価格の高騰を抑えるため 売上の数 % をライセンスフィーとして支払う比率のオークション方式を採用 オークション概要 オークション時期 :27 年 7 月 ライセンス期間 :14 年半 周波数帯 :2.5 2.6GHz WiMAXライセンス数 :6 オークション方法 : 書類審査と面接によって13 社から8 社に絞り込み 8 社間で 売上の数 % をライセンスフィーとして支払う 比率をビッド ライセンス申請者 : 通信事業者のみでなく 13 社が申請 申請者 申請者の業種 大衆電信 PHSサービス事業者 威達有線電視ケーブルテレビ事業者 全球一動 通信コンサルティング会社の子会社 大同電信 IT 関連通信機器メーカーの大同がWiMAX 事業のために設立 威邁思電信 通信事業者と機器メーカーがWiMAXのために設立 遠伝電信 携帯電話事業者 中華電信 携帯電話事業者 中華連網寛頻 ADSLやIP 電話サービス事業者 台信連合数位 SIや通信機器メーカーが設立 旺旺電信 公衆無線 LANやIP 電話サービスなど 亜太固網寛頻国際電話やしない電話 ADSLサービス事業者 医僑 石油化学製品製造事業者 蓑宇通 通信事業者や投資会社 メーカーなどが設立 ライセンス料比率 ( 対売上費 ) 売上 (1) = フィー (2) 遠電信伝 4.2 5 15 大衆電信 12.9 威達有線電視 8.7 全球一動 7.3 大同電信 6.2 威邁思電信 5.2 (1) ライセンス交付時の27 年 7 月 26 日の終値 1 台湾元 =3.6286 円で計算 (2) エリア ( 北区と南区 ) によって県の数が異なるためフィーが異なる フィーは1 年分 (3) 落札価格合計をライセンス期間の年数で割り 1 年分に換算出所 : 日経デジタルコア29 年 9 月 WiMAX で国際競争力強化 台湾のIT 戦略 インプレイスR&D 台湾のブロードバンド事情 壮大なM- 台湾計画に基づく国際戦略を聞く (%) オークション結果 158 275 33 329 392 572 ( 百万台湾ドル ) 2 24 24 2 2 24 合計 :133 百万台湾ドル ( 482 百万円 ) 3G ライセンス価格の合計 3,55 百万台湾ドル ( 11,654 百万円 ) (3) に対して割安 3