タイ : 一人当たり GDP4,55 ドル 中国 : 一人当たり GDP3,235 ドル : 一人当たり GDP2,247 ドル フィリピン : 一人当たり GDP1,872 ドル ベトナム : 一人当たりGDP1,41

Similar documents
1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

42

2030年のアジア

図表 02 の 01 の 1 世界人口 地域別 年 図表 2-1-1A 世界人口 地域別 年 ( 実数 1000 人 ) 地域 国 世界全体 2,532,229 3,038,413 3,69

国際会議等への参加のために行った受入れ状況

早稲田大学外国人学生数集計 2017 年 11 月 01 日現在 ( 概況 1) 区分 合計 国際教養 1 年 プログラム 私費 国費 交換 総計

アジア/世界エネルギーアウトルック 2013

早稲田大学外国人学生数集計 2018 年 05 月 01 日現在 ( 概況 1) 区分 合計 国際教養 1 年 プログラム 私費 国費 交換 総計

早稲田大学外国人学生数集計 2017 年 05 月 01 日現在 ( 概況 1) 区分 合計 国際教養 1 年 プログラム 私費 国費 交換 総計

1. 世界における日 経済 人口 (216 年 ) GDP(216 年 ) 貿易 ( 輸出 + 輸入 )(216 年 ) +=8.6% +=28.4% +=36.8% 1.7% 6.9% 6.6% 4.% 68.6% 中国 18.5% 米国 4.3% 32.1% 中国 14.9% 米国 24.7%

2017 年訪日外客数 ( 総数 ) 出典 : 日本政府観光局 (JNTO) 総数 2,295, ,035, ,205, ,578, ,294, ,346, ,681, ,477

Microsoft PowerPoint EU経済格差

2017 電波産業調査統計


社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

Microsoft Word - 世界のエアコン2014 (Word)

地域別世界のエアコン需要の推定について 2018 年 4 月一般社団法人日本冷凍空調工業会日本冷凍空調工業会ではこのほど 2017 年までの世界各国のエアコン需要の推定結果をまとめましたのでご紹介します この推定は 工業会の空調グローバル委員会が毎年行なっているもので 今回は 2012 年から 20

地域別世界のエアコン需要の推定について 年 月 一般社団法人 日本冷凍空調工業会 日本冷凍空調工業会ではこのほど 年までの世界各国のエアコン需要の推定結果を まとめましたのでご紹介します この推定は 工業会の空調グローバル委員会が毎年行 なっているもので 今回は 年から 年までの過去 ヵ年について主


目次はじめにはじめに Ⅰ.CLMV の現状と GMS プログラム CLMV GMS Ⅱ. 輸送インフラ整備の意義と 3 つの経済回廊 CBTA Ⅲ.CLMV の対外経済環境の変化 - 動き出す中国 タイ CLMV CLMV Ⅳ. 日本の CLMV 開発支援と新しい関係構築に向けて CLMV CLMV

「第12回信用金庫取引先海外事業状況調査結果 資料編」


銅地金輸入 ( その2) HS モンゴル 0 0 ラオス 0 0 イラン 0 0 オマーン 0 0 ウズベキスタン 0 0 ノルウェー 0 0 ポーランド 0 0 コンゴ共和国 0 0 コンゴ民主共和国 0 0 タンザニア 0 0 モザンビーク 0 0 ジンバブエ 0 0 ニ

スポーツ国際交流及び国際会議等への派遣・受入状況

銅地金輸入 ( その2) HS モンゴル 0 0 ラオス 0 0 イラン 0 0 オマーン 0 0 ウズベキスタン 0 0 ノルウェー 0 0 ポーランド 0 0 コンゴ共和国 0 0 コンゴ民主共和国 0 0 タンザニア 0 0 モザンビーク 0 0 ジンバブエ 0 0 ニ

銅地金輸入 ( その2) HS モンゴル 0 0 ラオス 0 0 イラン 0 0 オマーン 0 0 ウズベキスタン 0 0 ノルウェー 0 0 ポーランド 0 0 コンゴ共和国 0 0 コンゴ民主共和国 0 0 タンザニア 0 0 モザンビーク 0 0 ジンバブエ 0 0 ニ

国民 1 人当たり GDP (OECD 加盟国 ) ( 付表 2)OECD 加盟国の国民 1 人当たりGDP(2002~2009 年 ) 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 1 ルクセンブルク 58,709 ルクセンブルク 59,951 ルクセンブルク 64,016 ルクセンブル

1999

銅地金輸入 ( その2) HS モンゴル 0 0 ラオス 0 0 イラン 0 0 オマーン 0 0 ウズベキスタン 0 0 ノルウェー 0 0 ポーランド 0 0 コンゴ共和国 0 0 コンゴ民主共和国 0 0 タンザニア 0 0 モザンビーク 0 0 ジンバブエ 0 0 ニ

<4D F736F F D20819A F F15F907D955C93FC82E F193B989F08BD682C882B5816A2E646F6378>

仮訳 日本と ASEAN 各国との二国間金融協力について 2013 年 5 月 3 日 ( 於 : インド デリー ) 日本は ASEAN+3 財務大臣 中央銀行総裁プロセスの下 チェンマイ イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブ等の地域金融協力を推進してきました また 日本は中国や韓国を

2007年12月10日 初稿

Microsoft Word - 5_‚æ3ŁÒ.doc

Microsoft Word - 表紙.doc

OECD生徒の学習到達度調査(PISA2012)のポイント|国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research

JNTO

リサーチ Press Release 報道関係者各位 2015 年 7 月 29 日 アウンコンサルティング株式会社 世界 40 カ国 主要 OS 機種シェア状況 2015 年 6 月 ~ iphone 大国 日本 高い Apple シェア率 ~ アジア 8 拠点で SEM( 検索エンジンマーケティ

<4D F736F F D DC58F4994C5817A C A838A815B83585F984A93AD90B68E5990AB82CC8D918DDB94E48A E646F6378>

平成19年度文部科学省 専修学校教育重点支援プラン事業

参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

4

我が国中小企業の課題と対応策

タイの投資環境 第30章 地域編⑥ 東北部 1 地域概要 (1) 概要 ①東北部地方の経済的地位 東北部地方は 20 の県から構成され 域内の北東部 6 県はラオスと 南部 4 県はカンボジアと接して いる 東北部地方は内陸に位置し海港を持たない 東北部地方の名目 GDP 2015 年 は 388

<4D F736F F F696E74202D2090E096BE8E9197BF288A F984A93AD90B68E5990AB82CC8D918DDB94E48A E B8CDD8AB B83685D>

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)結果の推移

広報資料 平成 2 8 年における留学生の日本企業等へ の就職状況について

<4D F736F F F696E74202D A F95BD90AC E31308C8E8AFA5F8C888E5A90E096BE89EF81408DC58F4994C530362E70707

<4D F736F F D E937890AC96F18EC090D195F18D C A E646F63>

目 次 Ⅰ. 総括編 1. 世界各地域の人口, 面積, 人口密度の推移と予測およびGDP( 名目 ) の状況 ( 1) 2. 世界の自動車保有状況と予測 ( 5) 3. 世界の自動車販売状況と予測 ( 9) 4. 世界の自動車生産状況と予測 ( 12) 5. 自動車産業にとって将来魅力のある国々 (

日本の国際競争力調査

鹿児島県観光動向調査 鹿児島県 PR 観光戦略部観光課 平成 31 年 3 月の観光客の動向 1 概要平成 31 年 3 月における調査対象ホテル 旅館 76 施設の宿泊客数 ( 宿泊延べ人員 ) は 合計 309,924 人で 前年同月比 4.1% 減となった このうち外国人は 41,123 人で

第 3 章 東アジアにおける貿易投資の深化と成長モデル転換に向けた我が国の貢献 第 1 節 第 2 節 第 3 節 東アジアにおける貿易投資動向 我が国企業と東アジアの関わり 我が国の貢献可能性

Economic Trends    マクロ経済分析レポート

<4D F736F F F696E74202D B837E814095F18D908E9197BF>

1. 近年における東アジア諸国との交流状況 (1 人の動き 25 千人 世界全体 千人 45 アセアン地域 訪日外国人旅行者 日

目次 1 貿易への取り組み 7 ~グローバル企業に円安の恩恵 ~ 2. 海外進出への取り組み 今後の国内事業展開 14 ~ 中小企業の国内外への事業拡大意欲が増加 ~ 3. 海外進出への取り組み ( 国 地域別 機能 ) 23 ~ 米国での拡大意欲が増加 メキシコも上昇 ASEANが3 年連続で中国

海外たばこ事業実績補足資料(2015 年1-3 月期)

電気事業分科会資料

電通、「ジャパンブランド調査2019」を実施

住宅宿泊事業の宿泊実績について 令和元年 5 月 16 日観光庁 ( 平成 31 年 2-3 月分及び平成 30 年度累計値 : 住宅宿泊事業者からの定期報告の集計 ) 概要 住宅宿泊事業の宿泊実績について 住宅宿泊事業法第 14 条に基づく住宅宿泊事業者から の定期報告に基づき観光庁において集計

Contents

< 目次 > 概要 1 1. 香港 2. 台湾 3. 韓国 4. 中国 5. シンガポール 6. マレーシア 7. ブルネイ 8. インドネシア 9. タイ 10. ベトナム ミャンマー 12. フィリピン 13. インド 14. 中

生産性 イノベーション関係指標の国際比較 平成 29 年 11 月 9 日 財務総合政策研究所酒巻哲朗 1

Rodrigo Domingues UNDP Borja Santos Porras/UNDP Ecuador UNDP Kazakhstan 2

「諸外国の大学教授職の資格制度に関する実態調査」1

順調な拡大続くミャンマー携帯電話市場

ま え が き

第9章 タイの二輪車産業-好調な国内市場と中国の影響-

The Sanwa Bank Limited

Microsoft Word - JPN_2007DB_chapter3_ doc

エコノミスト便り

特許庁工業所有権保護適正化対策事業

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

Microsoft PowerPoint - 06資料06_JIC資料_0419版 [互換モード]

数字で見る国連WFP 2014

2. トピックス 中国 インドを除くアジア主要国の特徴について 中国やインドが高い成長を続けている中にあって 韓国 台湾 タイ インドネシアなどの東南アジアの国々の成長率は過去 7 年間を平均すると 4.3% と安定している しかし 成長率には国によって差があり フィリピン ベトナム インドネシアな

18 アジア アセアン生産拠点別の生産台数 マレーシア ( 旧カウント ) 生産拠点 ( タイ ) ( フィリピン ) ( インドネシア ) ( マレーシア ) ( 台湾 ) ( 中国 ) ( 中国 ) * ( 中国 ) * ( インド ) ( バングラデシュ ) ( ベトナム ) 合計 三菱自動車

2017年度 JTI業績報告資料

「第12回信用金庫取引先海外事業状況調査結果」

リサーチ Press Release 報道関係者各位 2015 年 6 月 3 日 アウンコンサルティング株式会社 世界 40 カ国 主要検索エンジンシェア検索エンジンシェア PC モバイル ~Google はトップシェアを維持 ~ アジア 7 拠点で SEM( 検索エンジンマーケティング ) サー

< F2D906C8CFB93AE91D48A77322E6A7464>

コンピュータ使用型調査について 情報通信技術 (ICT) を切り離すことができない現代社会にあって生徒の知識や技能を活用する能力を測るため また よりインタラクティブで多様な文脈の問題を提示するため コンピュータ使用型調査に移行された 科学的リテラシーのみ シミュレーションが含まれた新規問題を出題し

ASEAN との経済関係が再び強まる韓国 ASEAN ASEAN ASEAN ASEAN ASEAN1 16 RCEP 1. ほぼピークに達した対中輸出依存度 (1) 上昇傾向にある対 ASEAN 輸出依存度 ASEAN 2 WTO 21 RIM 213 Vol.13 No.49

<31328C8E323693FA8CF68A4A D918DDB90FC8F418D E732E786C7378>

特集 平成 2 5 年 5 月 2 2 日東京税関調査部調査統計課 金の輸出入 2012 年の世界の金需要は 4,405 トン 2012 年に合金も含む金を日本は 132 トン輸出し 11 トン輸入しています 日本の 2006 年から 2010 年の平均年間金産出量は 10 トン足らずですが 200

18 アジア アセアン生産拠点別の生産台数 マレーシア ( 旧カウント ) 生産拠点 ( タイ ) ( フィリピン ) ( インドネシア ) ( マレーシア ) ( 台湾 ) ( 中国 ) ( 中国 ) * ( 中国 ) * ( 中国 ) * ( インド ) ( バングラデシュ ) ( ベトナム )

東京大学学内広報 NO.1405 ( )

平成18年8月31日

,112 1,630 1,992 1,879 2,674 3,912 はじめに ア

先進国化する中国 東南アジアの大都市 ~ メガシティ ( 大都市 ) からメガリージョン ( 大都市圏 ) へ ~ 要 旨 調査部環太平洋戦略研究センター 主任研究員 大泉啓一郎 GDP 8,000 10,00

ITI

Microsoft Word - 10 統計 参考.doc

資料 2 平成 27 年度の政策対話等の実施実績及び予定について ( 未定稿 ) 1. 概要 平成 27 年度は 以下の取組につき 各国の状況に応じ組み合わせて実施 (1) 各国との政策対話の実施 (2) 対話の場を活用した 我が国食関連産業と先方政府 先方民間企業のとの情報共有 マッチングの促進

第4章 日系家電メーカーにおけるグローバル化の進展と分業再編成


特集 ロシア NIS 圏で存在感を増す中国特集 ロシアの消費市場を解剖する Data Bank 中国の対ロシア NIS 貿易 投資統計 はじめに今号では ロシア NIS 諸国と中国との経済関係を特集しているが その際にやはり貿易および投資の統計は避けて通れないであろう ただ ロシア NIS 諸国の側

asia_i_0523.qxd

平成27年度高等学校等における国際交流等の状況について

Transcription:

4. 資本 : インフラの整備 インフラは 国や地方経済の成長の基盤であり 国民生活の質を高めるものでもある また インフラの整備が不十分であることが 社会サービスへのアクセスを妨げ 地域格差を拡大し 社会の安定を阻害する要因となる場合もある インフラ整備の状況は 国内企業や外国企業の投資の決定要因ともなり アジアが今後も成長率を高めていくために 重要な要素となっている ここでは まず アジア各国のインフラ整備の現状をみることとする 次に 特にアジアにおいて整備が必要と考えられる電力 道路のインフラを取り上げてみる さらに アジアにおいて必要とされるインフラ整備に要する投資額と 地域インフラ整備の状況についてみてみる 最後に日本のODAとアジアのインフラ整備との関係をみることとする (1) アジアのインフラ整備の状況 高所得国に比べてインフラの整備率が低い低所得国アジア各国のインフラの整備状況をみると 韓国では 比較的整備されており 他方 ベトナム 等では インフラ整備が遅れている ( 第 2-4-33 図 ) 一人当たり GDPとの関係をみると おおむね所得の低い国ほどインフラの整備が遅れているとみられる 特に 電力や道路等の輸送面において 所得の高い国と低い国との差が大きい 第 2-4-33 図アジアのインフラ整備状況と所得水準 韓国 : 一人当たり GDP19,115 ドル マレーシア : 一人当たり GDP8,188 ドル 1 8 6 4 2 1 8 6 4 2

タイ : 一人当たり GDP4,55 ドル 1 8 6 4 2 中国 : 一人当たり GDP3,235 ドル 1 8 6 4 2 : 一人当たり GDP2,247 ドル 1 8 6 4 2 フィリピン : 一人当たり GDP1,872 ドル 1 8 6 4 2 ベトナム : 一人当たりGDP1,41ドル 1 8 6 4 2 : 一人当たり GDP1,35 ドル 1 8 6 4 2 ( 備考 )1. 世界銀行 World Development Indicators より作成 2. 日本を 1 として指数化しているが 1 以上は便宜上 1 としている ( 参考 ) アクセス可能な人数の人口に占める割合 % % 航空旅客輸送数 ( 国内 海外運送旅客数 )/ 人口 重さ 輸送距離 / 国土面積 旅客数 輸送距離 / 人口 重さ 輸送距離 / 国土面積 コンテナ数量 KWH/ 人 送配電の間失われる電力量の全体に占める割合 1 人当たり回線数 ( 固定 ) 1 人当たり契約者数 ( 移動 )

直接投資を呼び込むためにはインフラの整備が不可欠アジアはこれまで多くの直接投資を受け入れてきており 今後も コスト面での優位性や高い成長が見込めることなどから 企業にとっては魅力ある投資地域となっている しかし 企業に対するアンケート調査によれば 投資に当たっての課題として インフラの未整備の問題が ベトナム で上位に挙げられている ( 第 2-4-34 図 ) 特に では この1 年程度 未整備を指摘する企業が増加もしくは高止まりしており 当該地域ではインフラの整備は急務であると考えられる 他方 中国では インフラが未整備であることを指摘する企業の割合は低下してきている また タイではそもそもインフラの整備状況を問題とする企業の割合は小さい 第 2-4-34 図海外投資先としてのアジアにおける課題 6 インフラが未整備 7 法制の運用が不透明 5 4 3 2 1 1 年度 5 年度 9 年度 6 5 4 3 2 1 1 年度 5 年度 9 年度 ベトナム 中国 タイ 中国 ベトナム タイ 1 8 6 4 2 治安 社会情勢が不安 タイ 1 年度 ベトナム 5 年度 9 年度 中国 6 5 4 3 2 1 人件費が高い 上昇している 1 年度 中国 タイ ベト ナム 5 年度 ( 備考 )1. 国際協力銀行 わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告 より作成 2. 製造業で海外現地法人を 3 社以上有する企業に対してアンケート調査を実施したもの 9 年度

特にインフラが未整備であるとされる 4 か国について 整備が望まれるインフラの 内訳をみてみると 電力 道路を挙げる企業が多くなっている ( 第 2-4-35 図 ) 第 2-4-35 図整備が望まれるインフラ ( 整備が望まれる と回答した企業割合 ): 道路 電力インフラの整備が必要 中国 8 9 7 8 6 7 6 5 5 4 4 3 3 2 2 1 1 道路電力 水 通信鉄道空港 道路電力 水 通信鉄道空港 ベトナム 9 9 8 8 7 7 6 6 5 5 4 4 3 3 2 2 1 1 道路電力 水 通信鉄道空港 道路電力 水 通信鉄道空港 ( 備考 )1. 国際協力銀行 わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告 より作成 2. 製造業で海外現地法人を 3 社以上有する企業に対してアンケート調査を行ったもの (2) 整備が望まれる電力 道路インフラ 次に 特に整備が必要とされる電力 道路インフラの状況についてみる ベトナム フィリピンで遅れる電力インフラまず 電力について アジア各国の一人当たりの発電量をみると フィリピン ベトナムで低いレベルとなっている ( 第 2-4-36 図 ) マレーシア

タイ 中国では フィリピン等より整備状況は良いとみられるものの 韓国 台湾等に比べると 半分以下の水準となっている 第 2-4-36 図アジアの一人当たり発電量 (kwh/ 人 ) 8, 7, 6, 日本 7,627 シンガポール 7,697 台湾 7,639 韓国 7,179 5, 4, マレーシア 3,143 3, 2, 中国 1,65 タイ 1,911 1, 198 82 84 86 88 9 92 94 96 98 2 2 4 ( 年 ) フィリピン651 584 517 ベトナム488 ( 備考 )ADB ADB's Infrastructure Operations より作成 さらに をみると では極めて高くなっており フィリピン ベトナムでもロス率が1% を超えていることがわかる ( 第 2-4-37 図 ) 一方 タイ 中国では シンガポール 韓国のロス率レベル付近に近づいてきており マレーシアでは.6% と低い数値となっている 電力インフラについては 発電量自体を増大させるとともに ロス率を減少させるような送配電設備等の整備も併せて行うことが必要であると考えられる

第 2-4-37 図アジアの : で高い 3 25 25.4 2 15 12.1 11.2 11. 1 5 8.1 6.3 4.9 3.6 4.6 フィリピン ベトナム タイ 中国 シンガ ポール 韓国.6 マレーシア 日本 ( 備考 )1. 世界銀行 World Development Indicators29 より作成 2. とは 顧客に電力供給される過程で失われる電力量の総供給量に対する割合 老朽化した設備を多く保有している場合には データの時点によっては先進国においてもロス率が高くでる場合もある 3.26 年のデータ フィピリン ベトナムで低い次に 道路について をみると タイではほぼ1% マレーシアでは約 8 割と高い舗装率となっている ( 第 2-4-38 図 ) 中国 では6 割程度 では5 割弱程度しか舗装されておらず 他方 フィリピンでは1 割以下と極めて低い数値となっている 電力インフラと同様 タイ マレーシアでは 比較的整備されている 第 2-4-38 図アジアの 1 1. 98.5 88.6 8 79.1 79.3 66. 6 58. 47.4 4 25.1 2 9.5 シンガポール タイ 韓国 マレー シア 中国 ベトナム フィリ ピン 日本 ( 備考 )1. 世界銀行 World Development Indicators 29 より作成 2. データは 6 年 ただし フィリピンは 2 年 タイは 2 年 ベトナムは 98 年 3. 舗装道路の定義は国により異なり 日本の場合はアスファルト舗装された道路を舗装道路と定義している

これまでみてきたように アジアにおいては国により相違はみられるものの インフラ整備が不十分である国 地域も多い したがって アジアが今後も直接投資を受け入れ 経済成長率を高めていくためにも 電力 道路等を中心としたインフラについて 改善を進めていくことが重要と考えられる (3) インフラ整備に要する投資額 アジアにおいては インフラ設備が十分とはいえず 今後も整備を進めて行く必要があるが アジア開発銀行の試算によれば 21~2 年にアジアで必要となるインフラ投資額は 新規投資 保守 修理を合わせて8 兆ドルに達するとみられている ( 第 2-4-39 表 ) 8 兆ドルのうち 約 5 割は電力となっており 次いで 道路 ( 約 3 割 ) 通信 ( 約 1 割 ) となっている 第 2-4-39 表 21~2 年にアジアで必要とされるインフラ投資額 ( 単位 :1 万ドル (8 年価格 )) 新規投資 ( 割合 ) 保守 修理 ( 割合 ) 合計 ( 割合 ) 電力 3,176,437 (39.7) 912,22 (11.4) 4,88,639 (51.2) 通信 325,353 (4.1) 73,34 (9.1) 1,55,657 (13.2) うち携帯電話 181,763 (2.3) 59,151 (6.4) 69,914 (8.6) 固定電話 143,59 (1.8) 221,153 (2.8) 364,743 (4.6) 交通 1,761,666 (22.) 74,457 (8.8) 2,466,123 (3.9) うち航空 6,533 (.1) 4,728 (.1) 11,26 (.1) 5,275 (.6) 25,416 (.3) 75,691 (.9) 鉄道 2,692 (.) 35,947 (.4) 38,639 (.5) 道路 1,72,166 (21.3) 638,366 (8.) 2,34,532 (29.3) 上下水道 155,493 (1.9) 225,797 (2.8) 381,29 (4.8) うち下水道 17,925 (1.4) 119,573 (1.5) 227,498 (2.8) 上水道 47,568 (.6) 16,224 (1.3) 153,792 (1.9) 合計 5,418,949 (67.8) 2,572,76 (32.2) 7,991,79 (1.) ( 備考 )1.ADB ADBI Infrastructure for a Seamless Asia より作成 2. 括弧内はインフラ整備費用合計に対する割合 3. ここでいうアジアとは 中央アジア ( アルメニア アゼルバイジャン ジョージア カザフスタン キルギス共和国 タジキスタン ウズベキスタン ) 東南アジア ( ブルネイ カンボジア 中国 ラオス マレーシア モンゴル フィリピン タイ ベトナム ) 南アジア ( バングラディシュ ブータン ネパール パキスタン スリランカ ) 大洋州 ( フィジー クリバチ パプア ニューギニア サモア チモール トンガ バツアヌ ) の 3 か国である 4. 投資額の推計方法は 以下のとおり 21 年から 2 年の各年において 電力等のセクター毎に物理的に必要となる新規投資額を推計 必要となる量は 主に 一人当たり GDP 各国の GDP における農業と製造業のシェア 都市化の度合い 人口密度等によって決定される なお 推計には 先の需要を見越したあるいは発展目標達成のためなどによる各国の戦略的なインフラ投資は考慮していない

(4) 地域インフラ (regional infrastructure) の整備 地理的に近接した国々が 貿易 投資を通じ 一体となって成長していくという考え方がある また アジアは これまで域内で生産ネットワークを築くことにより発展してきた面もあり インフラ整備においても アジアを一体とみる観点から進めることも重要である 国境を越えてインフラを整備することのメリットとしては (i) 生産ネットワークの基盤が強化され より多くの投資を呼び込むことが可能になること (ii) 商品やサービスのコストが低下すること (iii) これらを通じて当該地域の投資 貿易 経済成長が促進され発展格差が縮小することが挙げられる 地域インフラの整備には 大アジア (Pan-Asia) という枠組みと アセアンやメコン地域といった一定地域 (subregion) における枠組みがあり それぞれの枠組みの中で 地域インフラの整備が進められている 大アジアの枠組みに基づく地域インフラの整備については 例えば アジアハイウエイ (AH:Asian Highway) や アジア横断鉄道(TAR:Trans-Asian Railway) の取組がある 1992 年には アジア太平洋地域経済社会委員会 (ESCAP) が これらを統合させた アジア陸上交通インフラ整備プロジェクト (ALTD:Asian Land Transport Infrastructure Development) を採択している アジアハイウエイでは 徐々に当該プログラムへの参加国が増え 現在では 32か国に達している アジアからヨーロッパまでに及ぶ 総延長 14 万 kmのネットワーク構想となっている アジアハイウエイのネットワークは 主として既存道路の活用が多く 各国は政府間協定を結び アジアハイウエイとして採択された道路は 一定の設計基準に適合していることが求められる また アジア横断鉄道は 現時点で28か国が参加国となっている ここでは 既存の鉄道路線を利用し 国境部分等でそれらを接続することで広域路線ネットワークを構築しようとしている 一方 より小さな地域における取組については 例えば 1992 年から進められている 大メコン圏 (GMS:Greater Mekong Subregion) 22 における クロスボーダーインフラ整備が挙げられる この地域では 国境を越えて 東西や南北に横断する道路 鉄道等の輸送インフラ整備が進められており これにより 物流の促進 人や情報の伝達等の増大及び直接投資の誘因等 成長力を高めることに大きく役立っているとみられている 例えば 東西に横断する道路では ベトナムのダナン フエからラオス 22 シナ半島を流れるメコン川流域の国 地域一帯 ( ミャンマー ラオス タイ カンボジア ベトナム 中国 ( 雲南省 広西チワン族自治区 )) のことを指す

( デンサワン ) タイ ( ピサヌローク ) を通り ミャンマーのモーラミヤインまでつながっている また 南北に横断する道路では 中国の広西チワン族自治区の南寧 ベトナムのハノイ 中国雲南省の昆明を結び ラオス ミャンマーの国境周辺を通り バンコクへと通じている (5) 日本の ODA とアジアのインフラ整備 日本のODAがアジアのインフラ整備に果たした役割我が国は 政府開発援助 (ODA:Official Development Assistance) 23 等により アジア地域の発展に大きく寄与してきた ODAにおいては 成長の基盤であるインフラを重視し これまで 道路 空港 運輸 通信等のインフラ整備を支援してきている 最近では 高い経済発展を遂げた結果 韓国 シンガポールのように被援助国から援助国へ移行した国や タイ マレーシア等のように援助国に移行しつつある国も現れている 主要 DAC 24 (Development Assistance Committee: 開発援助委員会 ) 諸国の インフラ分野へのODAの状況をみると 我が国の援助額 (9~8 年累計 ) は 全世界の54% を占めている ( 第 2-4-4 図 ) また 地域別にみると 東アジア向けが最も多い ( 第 2-4-41 図 ) 第 2-4-4 図主要 DAC 諸国のインフラ分野への援助 : 日本が 5% 超を占める スペイン 2% その他 13% イギリス 3% フランス 6% ドイツ 11% 9-8 年累計 1,62 億ドル 日本 54% アメリカ 11% ( 備考 )1.OECD/DAC データベースより作成 2. 各国の数値は 全体 (9~8 年累計 ) に占める割合 3. 約束額ベース 23 政府または政府の実施機関によって開発途上国または国際機関に供与されるもので 開発途上国の経済 社会の発展や福祉の向上に役立つために行う資金 技術提供による協力のこと 24 途上国援助の拡大を図り 加盟国が行う援助の量と質について相互に検討を行うため OECD の下に設立された組織 現在 OECD 加盟国中 アイスランド トルコ メキシコ チェコ スロバキア ハンガリー及びポーランドを除く 23 か国と 欧州委員会の計 24 メンバーが加盟している

第 2-4-41 図日本のインフラ分野における地域別援助 : 東アジア向けが多い 欧州 6% アメリカ 2% オセアニア 1% アフリカ 8% 東アジア 47% 3-7 年累計 188 億ドル その他アジア 36% ( 備考 )1. 外務省ホームペーシより作成 2. 東アジアには カンボジア タイ 中国 東ティモール フィリピン ベトナム マレーシア ミャンマー モンゴル ラオスが含まれる 3. 約束額ベース 我が国は これまで 円借款を通じてもアジアのインフラ整備に貢献してきている 日本からアジアへの円借款 ( 累計 ) の状況をみると に対するものが最も大きく 次いで中国 となっている ( 第 2-4-42 図 ) 例えば 8 年代から9 年代前半において行われたタイの東部臨海地域 ( バンコクの東南方 8~2kmの地域 ) 開発に対して 円借款による大規模な支援を行っている 当該プロジェクトでは マプタット地区とレムチャバン地区において 工業団地の造成を行うとともに これらの地区を取り巻く 道路 鉄道 電力 工業用水等のインフラ整備も合わせて支援した この結果 海外からの投資の誘致にも成功し 同地域は バンコクとともにタイの工業地域の中心として高い成長を遂げている 25 東部臨海地域が位置する東部地域の一人当たりGDPをみると 7 年にバンコク首都圏を上回り 8 年ではバンコク首都圏地域の9,815ドルに対し 東部地域は1,58ドルとなっている 25 国際協力銀行 (1999) によれば 8 年代から 9 年代前半にかけて東部から臨海開発計画が実施された結果 9 年代前半における東部臨海地域の経済成長率はタイ全体の成長率を上回っただけでなく タイの中でも成長率の高い東部地域全体の成長率をも上回った

第 2-4-42 図日本からアジアへの二国間 ODA( 円借款 ) ( 億円 ) 45, 4, 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 中国 タイ フィリ ピン ベトナム マレーシア 韓国 台湾 シンガ ポール ( 備考 )1. 外務省ホームペーシより作成 2.8 年度末時点 ( 累計 ) 日本のインフラ分野における援助の内訳をみると 道路 鉄道への援助額が極めて大きい ( 第 2-4-43 図 ) 第 2-4-43 図日本のインフラ分野における援助の内訳 : 道路 鉄道が多い 道路 168 鉄道 115 送電設備 57 水力発電 57 航空輸送 5 発電 44 水上輸送 38 石炭火力発電 38 天然ガス火力発電 27 電気通信 15 ガス配給 8 ラジオ テレビ 印刷メディア 7 石油火力発電 6 輸送政策及び管理運営 4 その他 13 2 4 6 8 1 12 14 16 18 ( 備考 )1.OECD/DAC ホームペーシより作成 2.95~8 年の累計額 約束額ベース ( 億ドル )