資料 1 特定機能病院の承認要件の見直しについて ( 案 ) 1
特定機能病院のガバナンス検討に係る経緯 平成 26 年 2 月 ( 東京女子医科大学 ) 平成 22~26 年 ( 群馬大学 ) 東京女子医科大学病院及び群馬大学医学部附属病院において医療安全に関する重大事案が発生 平成 27 年 2 月 ~4 月 社会保障審議会医療分科会で審議 平成 27 年 6 月 1 日付けで両病院の特定機能病院の承認取消 平成 27 年 4 月 ~11 月 平成 27 年 4 月に厚生労働省内に 大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォース を設置 平成 27 年 6 月から 9 月にかけて特定機能病院に対する集中検査を実施 平成 27 年 11 月 特定機能病院に対する集中検査の結果及び当該結果を踏まえた対応について として報告をとりまとめ 平成 28 年医療安全に関する特定機能病院承認要件見直し ガバナンス改革 平成 28 年 2 月に 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会 において承認要件の見直し内容を具体化し 社会保障審議会医療部会において審議 平成 28 年 6 月に改正省令等を公布し 施行通知を発出 ガバナンス改革に関して検討の場を設け 可及的速やかに結論を得るとされたことから 平成 28 年 2 月に 大学附属病院等のガバナンスに関する検討会 を設置 2
大学附属病院等のガバナンスに関する検討会概要 開催概要 大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォース報告書 特定機能病院に対する集中検査の結果及び当該結果を踏まえた対応について において 大学附属病院等のガバナンス改革に関して検討の場を設け 可及的速やかに結論を得ること とされたことから これらの具体化に向けて必要な検討を行うため 有識者による検討会を開催 大学附属病院等のガバナンスについて 以下の点を中心に検討 病院としての適切な意思決定を行うための体制 管理者の資質や選任方法等 平成 28 年 2 月から計 5 回の検討会を開催し とりまとめ 委員 ( は座長) ( 構成員 ) 市川朝洋公益社団法人日本医師会常任理事 梶川融日本公認会計士協会公会計協議会会長 草刈隆郎公益財団法人がん研究会理事長 楠岡英雄国立病院機構理事長 田島優子さわやか法律事務所弁護士 田中滋慶應義塾大学大学院経営管理研究科名誉教授 野村修也中央大学法科大学院教授 松井秀征立教大学法学部教授 矢野真日本赤十字社事業局技監 山口育子認定 NPO 法人ささえあい医療人権センター COML 理事長 ( オブザーバー ) 森山寛東京慈恵会医科大学名誉教授 山本修一千葉大学医学部附属病院長 開催状況 第 1 回 : 平成 28 年 2 月 25 日 [ 特定機能病院を取り巻く状況について ] 第 2 回 : 平成 28 年 3 月 16 日 [ 構成員等からの事例発表等 ] 第 3 回 : 平成 28 年 4 月 5 日 [ 検討課題に沿った意見交換 ] 第 4 回 : 平成 28 年 7 月 5 日 [ 選考方法について意見交換 ] 第 5 回 : 平成 28 年 9 月 14 日 [ とりまとめ ( 案 ) について意見交換 ] 3
大学附属病院等のガバナンスに関する検討会報告書と改正の概要 大学附属病院等のガバナンスに関する検討会 報告書 ( 抜粋 ) 特定機能病院が高度かつ先端的な医療を提供する使命を果たす前提として高度な医療安全管理体制を確保する必要があることにつき 法的にもその理念を明確にすることが考えられる 管理者が 権限と責任を持って病院の管理運営に取組めると同時に 相互牽制が機能するような 適切な意思決定のあり方を含むガバナンス体制を構築する必要がある 医療安全の確保に責任を負う管理者 ( 病院長 ) が 病院運営に指導力を発揮し 医療安全等を確保できるようにするため 上 病院の管理運営に係る職務権限を有することを明確化する一方 開設者も 管理者の適切な選任を含め 管理者が医療安全管理等を適切に行うことを担保するための体制確保に責任を負うものとすべきである これらの議論を踏まえ 特定機能病院の医療安全管理体制の確保及びガバナンス体制の強化を図るため 次のとおりの改正を行う 特定機能病院は 高度かつ先端的な医療を提供する使命を有しており 患者がそうした医療を安全に受けられるよう より一層高度な医療安全管理体制の確保が必要であることを法的に位置付け 特定機能病院の管理者は 病院の管理運営の重要事項を合議体の決議に基づき行うことを義務付け 特定機能病院の開設者は 管理者が病院の管理運営業務を適切に遂行できるよう 管理者権限の明確化 管理者の選任方法の透明化 監査委員会の設置などの措置を講ずることを義務付け 法の施行は 公布の日から起算して 1 年を超えない範囲内において政令で定める日 4
特定機能病院のガバナンスに関する改正事項 特定機能病院は高度の医療を提供する使命が課せられているため 医療の高度の安全の確保 を特定機能病院の承認要件に加えるとともに 管理者の義務とする (4 条の 2 16 条の 3) 改正前改正後 2 開設者 ( 理事会等 ) 開設者 ( 理事会等 ) 管理者の任命 理事会等によるモニタリング 1 管理者の任命 管理者の選任方法 (10 条の 2) 必要な能力 経験を有する者を管理者として選任 外部有識者を含む合議体で審査 ( 省令で選考基準の設定 選考結果の公表等を規定 ) 開設者の措置義務 (19 条の 2) 管理者の権限明確化 医療安全に関する監査委員会の設置 法令遵守 業務監督等の体制の整備等 特定機能病院 特定機能病院 管理者 ( 病院長 ) 管理者 ( 病院長 ) 病院運営に関する合議体 (16 条の 3) 管理者は管理運営上の重要事項を合議体の決議に基づき実施 1 現在は省令により医療安全に関する監査委員会設置を義務付け 2 法人のガバナンス構造により 措置の内容は一部異なることがある 5
管理者の選任方法 1 < 10 条の 2> 特定機能病院の開設者は 前条の規定により管理させる場合は 厚生労働省令で定めるところにより 第十六条の三第一項各号に掲げる事項の実施その他の特定機能病院の管理及び運営に関する業務の遂行に関し必要な能力及び経験を有する者を管理者として選任しなければならない 省令 ( 案 ) 〇開設者は 管理者が第十六条の三第一項各号に掲げる事項を適切に行うことができる者であることを担保するため 次に掲げる資質や能力に関する基準を要件として予め定めて公表する 医療安全確保のために必要な資質 能力 医療安全管理業務の経験や 患者安全を第一に考える姿勢及び指導力等が含まれる 組織管理能力など 病院の管理運営上必要な資質 能力 当該病院内外での組織管理経験等が含まれる 参照 : 大学附属病院等のガバナンスに関する検討会報告書 (P5) 6
管理者の選任方法 2 < 10 条の 2> 2 前項の規定による特定機能病院の管理者の選任は 厚生労働省令で定めるところにより 特定機能病院の開設者と厚生労働省令で定める特別の関係がある者以外の者を含む管理者となる者を選考するための合議体を設置し その審査の結果を踏まえて行わなければならない 省令 ( 案 ) 〇管理者の選任にあたっては 広く候補者を募った上で 候補者が選考基準に照らして適任かを 外部有識者も含めた合議体で審査する 〇特別の関係がある者以外の者とは 以下の条件を満たす者を基本とする 過去に当該開設者と雇用関係にない 過去において 一定額を超える額の寄付金 契約金等を当該開設者から受領していない 〇選考委員会を設ける際には 理事会等で委員を選定し 委員名簿や選定理由を公表する 〇選考結果は 選考過程 選考理由とともに遅滞なく公表する 選挙等による選任では 医療安全管理経験を始め管理者に必要な資質 能力の優劣を反映する結果にならないおそれがあるため 合議体である選考委員会の審査結果を踏まえ 透明性が確保されるよう留意されたい 参照 : 大学附属病院等のガバナンスに関する検討会報告書 (P5) 7
病院運営に関する合議体の設置 < 16 条の 3> 2 特定機能病院の管理者は 特定機能病院の管理及び運営に関する事項のうち重要なものとして厚生労働省令で定めるものを行う場合には 厚生労働省令で定めるところにより 当該管理者並びに当該特定機能病院に勤務する医師 歯科医師 薬剤師及び看護師その他の者をもつて構成する合議体の決議に基づいて行わなければならない 省令 ( 案 ) 〇管理者の責務として 各診療科の状況を総合的に把握し 適切に病院の管理及び運営を行うため 病院運営に関する合議体において審議を行い その審議内容について 原則として職員に周知すること 〇病院の管理運営に関する重要な事項とは 病院の予算 中期計画 運営方針等に関するものであること 〇病院運営に関する会議に係る内部規程を特定機能病院の承認申請時に提出させるとともに 毎年報告させることで確認する 参照 : 大学附属病院等のガバナンスに関する検討会報告書 (P3) 8
管理者権限の明確化 < 19 条の 2> 特定機能病院の開設者は 当該特定機能病院の管理者による当該特定機能病院の管理及び運営に関する業務が適切に遂行されるよう 厚生労働省令で定めるところにより 次に掲げる措置を講じなければならない 一当該特定機能病院の管理及び運営について当該管理者が有する権限を明らかにすること 省令 ( 案 ) 〇管理者が有する病院の管理運営に係る権限及び病院の管理運営のために必要となる一定の人事 予算執行権限について明確化することを求める 〇管理者が有する権限を明確化した内部規程を特定機能病院の承認申請時に提出させるとともに 毎年報告させることで確認する 参照 : 大学附属病院等のガバナンスに関する検討会報告書 (P2) 9
法令遵守体制の整備 < 19 条の 2> 特定機能病院の開設者は 当該特定機能病院の管理者による当該特定機能病院の管理及び運営に関する業務が適切に遂行されるよう 厚生労働省令で定めるところにより 次に掲げる措置を講じなければならない 三当該管理者の業務の執行が法令に適合することを確保するための体制 当該開設者による当該特定機能病院の業務の監督に係る体制その他の当該特定機能病院の業務の適正を確保するために必要なものとして厚生労働省令で定める体制を整備すること 省令 ( 案 ) 〇法令遵守に係る取組については 遵守状況を踏まえて取組の有効性を検証し 適時に見直しを行うこと 〇管理者の業務の執行が法令に適合することを確保するための体制に関する内部規程を特定機能病院の承認申請時に提出させるとともに 毎年報告させることで確認する 参照 : 大学附属病院等のガバナンスに関する検討会報告書 (P4) 10
開設者による業務監督体制の整備 < 19 条の 2> ( 再掲 ) 三当該管理者の業務の執行が法令に適合することを確保するための体制 当該開設者による当該特定機能病院の業務の監督に係る体制その他の当該特定機能病院の業務の適正を確保するために必要なものとして厚生労働省令で定める体制を整備すること 省令 ( 案 ) 〇外部有識者を含む法人の意思決定機関やその諮問機関が 管理者からの報告聴取の機会等を通じて 特定機能病院の業務の監督を行うこと 法人の意思決定機関とは 理事会その他これに準ずる機関をいう 法人のガバナンス構造によっては 理事会等とは別に 病院の管理運営の状況を点検する会議体を設置すること その場合 委員の半数を超える者は 当該病院と利害関係のない者から選任すること 〇下記について特定機能病院の承認申請時に提出させるとともに 毎年報告させることで確認する 開設者たる法人の意思決定機関やその諮問機関における当該病院の経営及び運営等に係る審議状況 開設者たる法人の意思決定機関やその諮問機関への管理者の参画に係る内部規程 参画状況並びにこれらの状況の公表の状況 11 参照 : 大学附属病院等のガバナンスに関する検討会報告書 (P2 3) 11
経過措置について 課題 〇法の施行は 公布の日から起算して 1 年を越えない範囲内において政令で定める日とされている 〇管理者の選任については 法の施行日において 管理者選考途上の病院があることが想定され その場合 十分な準備期間が確保できず 新たな承認基準への対応が困難になることが懸念される 方針 ( 案 ) 〇管理者の選任のように 内部規程の見直しや選任体制の確保等に一定の準備期間を要するものについては 一定の経過措置を設けてはどうか 例えば 事前に 選考に係るスケジュール等について届け出た場合に限り 平成 31 年 3 月末までに着任する者については 新たな承認要件を満たしていなくても承認基準を満たしているものとみなすこととしてはどうか ただし その場合であっても 自主的に対応を進めていただきたい 〇管理者の選任以外については 十分な周知期間を設けることを前提に 経過措置は設けないこととしてはどうか 12
医療安全に関する監査委員会の設置 ( 施行済 ) < 19 条の 2> 特定機能病院の開設者は 当該特定機能病院の管理者による当該特定機能病院の管理及び運営に関する業務が適切に遂行されるよう 厚生労働省令で定めるところにより 次に掲げる措置を講じなければならない 二医療の安全の確保に関する監査委員会を設置すること 省令 < 施行規則第 9 条の 23 第 1 項第 9 号 > 〇次に掲げる要件を満たす監査委員会を設置し 委員名簿及び委員の選定理由について これらの事項を記載した書類を厚生労働大臣に提出すること及び公表を行うことを当該病院の開設者に求めること イ委員の数は 3 人以上とし 委員長及び委員の半数を超える数は 当該病院と利害関係のない者から選任すること ロイに規定する利害関係のない者には 次に掲げる者を含むものとすること 医療に係る安全管理又は法律に関する識見を有する者その他の学識経験を有する者 医療を受ける者その他の医療従事者以外の者 ( 上記を除く ) ハ年に 2 回以上開催すること 二次に掲げる業務を行うこと 医療安全管理責任者 医療安全管理部門 医療安全管理委員会 医薬品安全管理責任者 医療機器安全管理責任者等の業務の状況について管理者等から報告を求め 又は必要に応じて自ら確認を実施すること 必要に応じ 当該病院の開設者又は管理者に対し 医療に係る安全管理についての是正措置を講ずるよう意見 を表明すること 上記に掲げる業務について その結果を公表すること 13
内部通報窓口の設置 ( 施行済 ) < 19 条の 2> 特定機能病院の開設者は 当該特定機能病院の管理者による当該特定機能病院の管理及び運営に関する業務が適切に遂行されるよう 厚生労働省令で定めるところにより 次に掲げる措置を講じなければならない 四その他当該管理者による当該特定機能病院の管理及び運営に関する業務の適切な遂行に必要なものとして厚生労働省令で定める措置 省令 < 施行規則第 9 条の 23 第 1 項第 13 号 > 〇開設者と協議の上 次に掲げるところにより 医療安全管理の適正な実施に疑義が生じた場合等の情報提供を受け付けるための窓口を設置すること イ当該窓口に提供する情報の範囲 情報提供を行った個人を識別することができないようにするための方策その他窓口の設置に関し必要な事項を定めること ロ当該窓口及びその使用方法について従業者に周知すること 14
等の一部を改正する法律案に対する附帯決議について 特定機能病院関係のみ抜粋 < 衆議院 > 四特定機能病院におけるガバナンスについては 開設者と管理者の独立性の確保のみならず 医療安全及び医療の質の確保に向けた管理者の権限が発揮される体制が構築されるよう検討するとともに 大学病院の診療と教育機能の関係性の課題についても検討を加えること 五高難度新規医療技術を評価するに当たっては 特定機能病院において制度制定及び運用状況のみならず 実施状況 安全性 有効性の評価状況について把握するとともに 特定機能病院以外における取組状況の把握に努めること 六改正法第十九条の二に定める事項について 特定機能病院以外の医療機関にも適用することについての適否を検討するとともに 実施する医療機関に対する支援措置を考慮すること 七特定機能病院の承認の取消しを受けた医療機関の再承認に当たっては 再発防止対策はもとより ガバナンスの強化や 医療事故当事者の心情に十分配慮し真摯に向き合う相談体制の構築等の承認要件への対策の状況について十分に確認し 検討をすること < 参議院 > 四 特定機能病院におけるガバナンスについては 開設者と管理者の独立性の確保のみならず 医療安全及び医療の質の確保に向けた管理者の権限が発揮される体制が構築されるよう検討するとともに 大学病院の教育 診療 研究の機能分離と連携の課題についても検討を加えること 五 特定機能病院におけるガバナンス体制の強化及び安全で適切な医療の提供を定常化し 高度の医療安全の確保を図るために 特定機能病院の承認後の更新制の是非について検討するとともに 広域を対象とした第三者による病院の機能評価を承認要件とすること 六 高難度新規医療技術を評価するに当たっては 特定機能病院における制度制定及び運用状況のみならず 実施状況 安全性 有効性の評価状況について把握するとともに 特定機能病院以外についても同様の状況把握に努め 必要な措置を検討すること 七 改正法第十九条の二に定める事項を特定機能病院以外の医療機関にも適用することについて その範囲と方法を検討するとともに 実施する医療機関に対する支援措置を検討すること 15