岐阜県の財政状況 平成 30 年 8 月 岐阜県
1 平成 30 年度一般会計当初予算 グラフ 1 歳出内訳 ( 単位 : 億円 ) 農林水産業費 474 5.8% 総務費 497 6.1% 警察費 461 5.7% その他 319 4.0% 教育費 1,865 22.9% 商工費 528 6.5% 土木費 841 10.4% 歳出総額 :8,130 億円 諸支出金 1,043 12.8% 公債費 1,049 12.9% 民生費 1,053 12.9% 県が徴収し 市町村分として交付する税など 借金の返済 予算規模は 8,130 億円 (H29 当初 8,114 億円 +16 億円 +0.2% ) で 対前年度当初予算比は 6 年連続の増加となっています 教育費 民生費 土木費が大きな割合を占めており 過去の借金 ( 県債 ) の返済 ( 公債費 ) は 13% 程度となっています
グラフ 2 歳入内訳 基金 ( 貯金 ) の取り崩しなど (*1) 自主財源 4,026 49.6% 歳入総額 8,130 億円 依存財源 4,104 50.4% 歳入のうち 国との関係で決まる依存財源が 50.4% 残りの 49.6% が自主財源となっており この自主財源のうち大半を占める県税については 地方税法により大枠が決められています
2 財政規模の推移 ( 億円 ) 10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 6,626 6,697 6,201 7,150 グラフ 3 一般会計歳出決算額及び 30 年度当初予算歳出額 7,960 8,089 8,283 8,341 8,368 9,226 9,189 9,206 9,184 8,880 8,359 8,328 8,104 8,127 7,887 7,795 7,831 7,986 7,927 8,130 7,668 7,662 7,724 7,652 7,514 7,652 1,096 億円 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 ( 注 ) 平成 28 年度までは決算額 平成 29 年度は決算見込額 平成 30 年度は当初予算額 ( 年度 ) 元 バブル経済崩壊後の平成 4 年以降 国は経済対策として公共投資を中心に財政出動を拡大しました これに呼応して 岐阜県でも投資的経費 ( 公共投資 ) (*2) を増やした結果 平成 10 年度には財政規模はピークに達しました その後 国の三位一体改革 (*3) や 景気の低迷などにより財政状況が厳しくなったことを受けて 財政規模は全体としては縮小傾向にありましたが 近年では横ばいの傾向となっています
3 経常収支比率の推移 グラフ 4 経常収支比率 ( 財政の硬直度を見るための指標 ) の推移 (%) 100.0 95.0 90.0 85.0 80.0 75.0 70.0 70.0 70.7 71.6 77.4 88.1 87.4 82.9 75.8 74.8 71.9 94.2 91.7 91.7 89.3 86.7 83.2 79.4 80.0 78.2 74.7 岐阜県全国平均 99.1 98.4 75.8 75.1 95.9 94.7 93.5 92.5 92.6 92.6 93.9 90.5 90.8 86.1 81.8 91.9 88.6 98.9 93.6 91.9 94.9 94.6 93.6 93.7 93.6 94.0 94.2 93.0 92.5 92.2 94.3 93.4 93.0 65.0 62.1 61.7 62.4 65.6 60.0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 ( 注 ) 総務省 都道府県決算状況調 より ( 年度 ) 元 経常収支比率は 毎年の使いみちが決まっていない収入 ( 地方税 普通交付税など経常的な収入 ) に対する 毎年義務的に支出される経費 ( 人件費 公債費など経常的な支出 ) の割合です 公債費や社会保障関係経費の増加により全国平均を大きく上回っていましたが 行財政改革等に取り組んだ結果 全国平均の水準まで比率が改善しました
4 投資的経費 ( 公共投資 ) の推移 ( 億円 ) 4,000 3,500 3,000 グラフ 5 投資的経費 ( 公共投資 ) の推移 3,713 3,585 3,643 3,508 3,395 3,309 3,340 3,270 3,150 2,953 2,716 2,500 2,000 1,500 1,000 2,255 2,334 2,200 2,453 2,124 1,880 1,707 2,323 億円 1,478 1,431 1,3271,385 1,363 1,349 1,441 1,353 1,390 1,236 1,169 1,147 500 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 ( 注 ) 平成 28 年度までは決算額 平成 29 年度は決算見込額 平成 30 年度は当初予算額 ( 年度 ) 元 バブル経済崩壊後 国の経済対策に呼応して 積極的に公共投資を進めましたが 厳しい財政状況を受けて 平成 11 年度以降抑制基調にあります
5 県債の発行と県債残高の推移 グラフ 6 県債の発行状況と県債残高の推移 ( 億円 ) 18,000 県債残高 (( 臨時財政対策債を除く ) 臨時財政対策債の残高県債の発行額臨時財政対策債 (*4) を除いた発行額 1800 16,000 1,598 15,689 1600 14,000 1400 12,000 10,000 1200 1,169 1000 8,000 800 6,000 537 600 4,000 3,266 404 400 2,000 200 0 0 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 ( 注 ) 平成 28 年度までは決算額 平成 29 年度は決算見込額 平成 30 年度は当初予算額 ( 一般会計ベース ) ( 年度 ) 道路や公共施設などの社会基盤の充実のために積極的に公共投資を進めてきましたが 一方でその財源として多くの県債 ( 借金 ) に頼らざるを得なかったことから 県債 ( 借金 ) 残高が急増しました 平成 11 年度以降 公共投資の縮減などによって 県債の発行額を抑制してきたことから 公共投資等に係る県債残高は減少傾向にあるものの 地方交付税の代わりとして発行する臨時財政対策債の残高が増加していることから県債残高全体としては増加しています
6 公債費の推移 ( 億円 ) 1,800 グラフ 7 公債費の推移 18% 1,600 公債費 公債費割合 H30:12.9% 16% 1,400 14% 1,200 12% 1,000 公債費割合の最小値 H7:5.7% 10% 800 H 元 :6.3% H30:1,049 億円 8% 600 6% 400 4% 200 H 元 :391 億円 2% 0 0% 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 ( 注 ) 平成 28 年度までは決算額 平成 29 年度は決算見込額 平成 30 年度は当初予算額 ( 一般会計ベース ) ( 年度 ) 県債 ( 借金 ) 残高が高水準となっていることから 毎年度の公債費 ( 借金の返済 ) の負担が重くなっており 財政構造の硬直化 (*5) を招いています 近年 公共投資の縮減などによる県債発行の抑制に努めたことなどにより 公債費は平成 21 年度をピークに減少に転じました
7 一般財源総額の推移 ( 億円 ) グラフ 8 一般財源総額 ( 純計ベース ) の推移 5,000 4,500 4,000 3,923 3,945 3,938 4,140 4,068 4,111 4,303 4,558 4,464 4,296 4,419 4,200 4,197 4,219 4,117 4,073 4,021 4,431 4,364 4,323 4,326 4,301 4,536 4,421 4,434 4,382 3,734 3,731 3,754 3,500 3,520 3,000 元 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 ( 注 ) 平成 28 年度までは決算額 平成 29 年度は決算見込額 平成 30 年度は当初予算額 経年比較するため 三位一体改革に伴う国庫補助負担金から交付金等への振替分や県税のうち税源移譲見込分については除いている 平成 20,21 年度は減収補塡債 (*6) を含む 国の三位一体改革が進められた過程で地方交付税 ( 臨時財政対策債を含む ) がカットされたことや 景気低迷による税収減などにより 一般財源総額は減少傾向にありましたが 近年 地方交付税の増額等により増加しました 一般財源総額とは 主に県税 地方交付税 ( 臨時財政対策債を含む ) など県の裁量で どのような経費にも使うことができる財源です 純計ベースとは県税の総収入から地方消費税清算金 (*7) や県が徴収して市町村に交付する税等交付金を除いたものです ( 年度 )
8 財源対策活用可能基金残高の推移 ( 億円 ) 2,500 グラフ 9 財源対策活用可能基金残高の推移 2,149 2,000 1,993 1,918 1,500 1,000 1,134 1,538 1,708 1,514 1,316 1,016 744 640 672 700 712 772 773 754 747 500 488 225 190 229 233 232 233 282 323 254 211 101 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 元 ( 注 ) 平成 28 年度までは決算額 平成 29 年度は決算見込額 平成 30 年度は当初予算を踏まえた数値 ( 年度 ) この数年の財源不足への対応のため 基金残高は残りわずかとなっています
9 行財政改革の推進 岐阜県行財政改革指針 ( 平成 21 年 3 月 31 日策定 ) あらゆる角度から現在の財政構造を見直し 平成 25 年度当初予算では構造的な財源不足の解消を目指す 財源不足額の試算今後 毎年 500 億円を大幅に上回る財源不足が見込まれる平成 21 年度当初予算において実施する財源対策の効果 あるいは現時点において想定できる今後の歳出 歳入両面での財源対策を加味してもなお 平成 22 年度以降において 300 億円を超える財源不足額が残る 平成 21~24 年度の 4 年間を 緊急財政再建期間 に位置づけ 行財政改革アクションプラン ( 平成 22 年 3 月 31 日策定 ) 平成 22~24 年度までの向こう 3 年間における構造的な財源不足を解消するための具体的な取組みを定める 財源不足解消に向けた基本的な考え方 1. 赤字予算 財政再生団体 への転落回避 2. 県民生活への配慮や未来の岐阜県を見据えた政策の展開 厳しい財政状況の中でも 以下の分野を中心として 県民生活への影響や 未来の岐阜県づくりに最大限配慮する観点から メリハリをつけた見直しを実施する 医療 福祉 子育て支援 暮らしの安全 安心 雇用創出 人材育成 中小企業支援 新規市場開拓 ぎふ清流国体など
3. 構造的な財源不足の段階的な解消 平成 24 年度までの 緊急財政再建期間 中の財源対策総額について 以下の 3 つの対策を実施し 平成 25 年度当初予算までの間に 段階的な財源不足の解消を目指す 平成 22~24 年度までの財源対策総額 約 920 億円うち (1) 歳出削減対策 約 373 億円 1 県事業 約 202 億円 2 公の施設等 約 23 億円 3 外郭団体 約 9 億円 4 補助金 約 139 億円 (2) 人件費の削減 約 297 億円 (3) 歳入確保対策 約 250 億円 平成 25 年度から平成 27 年度の行財政改革の取組み ( 平成 25 年 2 月策定 ) 平成 28 年度から平成 30 年度の行財政改革の取組み ( 平成 28 年 2 月策定 ) 今後の行財政運営の基本的な考え方これまでの行財政改革の取組みにより持続可能な財政運営に道筋がつきつつあるが 景気や地方財政制度の動向等の不確定要素のある中で 社会保障関係経費の自然増や 社会資本の老朽化対策などにも着実に対応していかなければならない このため これまでの行財政改革の取組みの継続を基本として 節度ある財政運営の継続 歳入確保対策 組織マネジメントの強化 県財政の見える化などに努めていく
参考 地方公共団体の財政の健全化に関する法律 ( 財政健全化法 ) <H19.6 月公布 > 健全段階 財政の早期健全化 財政の再生 財政再生団体になると 指標の整備と情報開示の徹底 < 判断指標 > 実質赤字比率 連結実質赤字比率 実質公債費比率 将来負担比率 3.75% 8.75% 25% 400% 自主的な改善努力により財政の健全化 * 財政健全化計画の策定 < 財政健全化団体 > 岐阜県の場合 赤字額約 177 億円 5% 15% 35% - 国等の関与による確実な再生 * 財政再生計画の策定 * 計画について国の同意がない場合は起債の制限 < 財政再生団体 > 岐阜県の場合 赤字額約 237 億円 財政再生団体になった場合 国関与による財政再建により 大幅な給料カットや職員数削減 また 住民サービス水準の切り下げにつながる事務見直しなど 厳しい手段が講じられる < 夕張市 > H19.3.6 財政再建団体へ ( 旧法 ) 財政再建計画策定 H22.3. 9 財政再生計画の策定 財政再建計画の取組を基本とし策定 一般職給料平均 20% 削減 職員数 H22:147 H38:124 人 市民税 使用料 手数料の値上げ 学校の統廃合 図書館等の閉鎖 H28 岐阜県健全化判断比率 実質赤字比率 ( - ) 連結実質赤字比率 ( - ) 実質公債費比率 ( 11.8% ) 将来負担比率 ( 195.8%)
用語説明 *1 地方交付税 地方公共団体間の財源の不均衡を調整し どの地域の住民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するもので 所得税 法人税 酒税 消費税 たばこ税の一定割合の額と地方法人税の額を基本としつつ 国が地方公共団体へ配分するものです 配分にあたっては 各団体の規模に応じて一定の基準のもと収入と支出を見積もり その支出が収入を上回る額 ( 財源不足額 ) を基本として交付されます *2 投資的経費 道路 橋りょう 公園 学校の建設など社会資本の整備等のために支出される経費です 県の財源で専ら行うものもあれば 国から一部財源を受けて行うものなどもあります *3 三位一体改革 国において 地方分権の具体策として実施されたもので 地方税 国庫補助負担金 地方交付税 の三つの主な資金の在り方がまとめて改革されました 改革は 平成 16 年度 ( 一部 平成 15 年度 ) から平成 18 年度にかけて実施され 国庫支出金は 4.7 兆円削減され そのうち 3 兆円が地方税として地方に税源移譲されました 地方交付税は 5.1 兆円の削減となっています *4 臨時財政対策債 地方の財源不足を補てんするために 地方交付税の一部を振り替えて発行される地方債のことです ( 元利償還金は 後年度の普通交付税で全額措置されます ) *5 財政構造の硬直化 歳出予算の中で 人件費 社会保障関係経費 公債費などの義務的経費の割合が大きくなり 政策的経費の割合が小さくなることを意味します *6 減収補塡債地方税の収入額が地方交付税の算出にあたって見込んだ税収額を下回る場合 その減収を補うために地方交付税の振り替え財源として発行される地方債です *7 地方消費税清算金道府県税である地方消費税については その賦課徴収を国が消費税と併せて行い 各都道府県に払い込むこととされており 各都道府県はその払い込まれた額を各団体での消費に相当する額に応じて 相互間で清算することとなっています