(Microsoft Word \214\216\215\206_\203g\203s\203b\203N1\201i2010\224N\223x\214o\215\317\214\251\222\312\202\265\201j.doc)

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1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

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ブラジル中国インド インドネシア ロシア 図表 新興国の消費者物価上昇率 ( 単位 :%)( 資料 :IMF 世界経済見通し ) 通常であれば 成長率が低下すれば 国内の需給バランスが緩和し むしろ物価は低下するのが自然である しかし 中国以外の カ国は逆に物価上

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米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

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第45回中期経済予測 要旨

【No

1. 世界における日 経済 人口 (216 年 ) GDP(216 年 ) 貿易 ( 輸出 + 輸入 )(216 年 ) +=8.6% +=28.4% +=36.8% 1.7% 6.9% 6.6% 4.% 68.6% 中国 18.5% 米国 4.3% 32.1% 中国 14.9% 米国 24.7%

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日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

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別紙2

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経済財政モデル の概要 経済財政モデル は マクロ経済だけでなく 国 地方の財政 社会保障を一体かつ整合的に分析を行うためのツールとして開発 人口減少下での財政や社会保障の持続可能性の検証が重要な課題となる中で 政策審議 検討に寄与することを目的とした 5~10 年程度の中長期分析用の計量モデル 短

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1. 各国の GDP 経済見通し 1.1 名目 GDP( 国内総生産 ) 及び一人当たり GNI( 国民総所得 ) (17 年 ) 国 地域 名目 GDP GDP 構成比 1 人当たり ( 億ドル ) ( 名目 ) 名目 GNI( ドル ) アジア,9.% - うち日本 8,71.% 8,8 うち中

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エコノミスト便り

今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

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IMF世界経済見通し 2015 年 4月 第 章 要旨

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

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金融政策決定会合における主な意見

第1章

目 次 第 1 章 中国経済の減速と世界経済 第 1 節 中国経済の減速と世界経済 1 下方修正の続く世界経済 2 意識される中国リスク 3 中国経済下振れの影響 第 2 節 安定成長を模索する中国経済 1 過剰投資 過剰生産 過剰信用の解消 2 中所得国の罠の回避 3 人口減少 高齢化 環境要因

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オーバルネクスト ETF 情報 2010 年 2 月 15 日号 ( 株 ) オーバルネクスト 東京都中央区日本橋兜町 13-2 TEL 03(5641)5777

目 次 Ⅰ. 総括編 1. 世界各地域の人口, 面積, 人口密度の推移と予測およびGDP( 名目 ) の状況 ( 1) 2. 世界の自動車保有状況と予測 ( 5) 3. 世界の自動車販売状況と予測 ( 9) 4. 世界の自動車生産状況と予測 ( 12) 5. 自動車産業にとって将来魅力のある国々 (

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我が国中小企業の課題と対応策

ロシア 3節 第 第3節 ロシア 1 マクロ経済動向 ロシア経済は 緩やかな回復基調にある 2014 年 7 以下 輸出 個人消費 消費者物価 金融市場の動 月以降のウクライナ危機発生及びクリミア併合に伴う 向を中心に概観する 欧米からの経済制裁に加え 2015 年以降 原油価格 の下落を主因として

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タイトル

2018 年は激動の年 年初来 トルコ株式指数はトルコリラベースで最大で約 24% 下落し トルコリラは日本円に対して最大で約 45% 下落しました トルコ株式 * の推移 ( トルコリラベース ) /12 18/03 18/06 18

マイナス金利付き量的 質 的金融緩和と日本経済 内閣府経済社会総合研究所主任研究員 京都大学経済学研究科特任准教授 敦賀貴之 この講演に含まれる内容や意見は講演者個人のものであり 内閣府の見解を表すものではありません

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サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

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< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期


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ITI-stat91

2017年上半期の為替相場展望

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月例経済報告

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( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

先進国、新興国向けともに国際与信は増加

日本の低金利の状況が続く中 外貨の好金利で運用し 当面の間 なるべく ふやす 外貨への関心が高まっているのをご存知ですか そして将来は たくわえた資産を 実は 家計における外貨資産は20年で約4倍に増加しています 商商商商品品品品パパパパンンンンフフフフレレレレッッッットトトト 詳細は P.25-2

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【ロシア最新経済金融週報】

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2 / 6 不安が生じたため 景気は腰折れをしてしまった 確かに 97 年度は消費増税以外の負担増もあったため 消費増税の影響だけで景気が腰折れしたとは判断できない しかし 前回 2014 年の消費税率 3% の引き上げは それだけで8 兆円以上の負担増になり 家計にも相当大きな負担がのしかかった

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各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

( 第 11 号 ) 2018 年 8 月 21 日 MRFRD 新生銀行金融調査室伊藤篤 ( ) 金融機関 が金融政策を歪めるリスク : 最適な金融政策を考える 金融緩和の副作用の 2つの論点 金融仲介機能 金融機関収益の改善のための利上げ との見方 金融市

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ヘッジ付き米国債利回りが一時マイナスに-為替変動リスクのヘッジコスト上昇とその理由

個人消費の回復を後押しする政策以外の要因~所得の減少に歯止め、節約志向も一段落

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中国におけるインフレの行方 中国経済は減速しているものの 過熱の解消にはまだ至っていない 年 9 月のリーマン ショックを受けて 中国は輸出が大幅に落ち込み 景気後退を余儀なくされたが 兆元に上る内需拡大策や 金利と預金準備率の大幅な引き下げをはじめとする拡張的財政 金融政策が実施されたことを受けて

年 年 に設定した 世界合計 の輸出金額は 年 3 兆 2,310 億ドルから 年 6 兆 1,930 億ドル 年 14 兆 6,520 億ドルと 4.5 倍に拡大した後 年秋のリーマンショックを契機として 2009 年には前年の約 3/4 に急激に落ち込み その後 徐々に回復が進み 年 16 兆

経済見通し

Transcription:

2010 年度経済見通し 2008 年秋のリーマンショックに始まった世界的な金融 経済の混乱は 各国政府 中央銀行の積極的な対応策の採用により 2009 年夏ごろから最悪期を脱しつつある 2009 年 10 月に公表された IMF の経済見通しを見ても ( 表 1) 一年前のものに比べかなり楽観的なものとなっており 世界経済は 2010 年には中国 インドなど新興国の回復により 3% 程度の成長となると見込まれている しかし 先進主要国は押しなべて低成長にとどまり 急速な回復が困難なことをうかがわせている 表 1 IMF の経済見通し (2009 年 10 月 ) 名目 GDP (2006 年 ) 実質経済成長率 (%) 見通し 10 億ドル シェア (%)2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 世界 48,761.32 100.0 5.1 5.2 3.0-1.1 3.1 先進国 36,205.72 74.3 3.0 2.7 0.6-3.4 1.3 アメリカ 13,178.35 27.0 2.8 2.1 0.4-2.7 1.5 ユーロ圏 10,734.48 22.0 2.9 2.7 0.7-4.2 0.3 ドイツ 2,914.99 6.0 3.0 2.5 1.2-5.3 0.3 フランス 2,271.28 4.7 2.4 2.3 0.3-2.4 0.9 イタリア 1,865.11 3.8 2.0 1.6-1.0-5.1 0.2 スペイン 1,233.43 2.5 3.9 3.6 0.9-3.8-0.7 日本 4,363.63 8.9 2.0 2.3-0.7-5.4 1.7 イギリス 2,435.70 5.0 2.8 2.6 0.7-4.4 0.9 カナダ 1,278.97 2.6 3.1 2.5 0.4-2.5 2.1 EU 14,665.21 30.1 3.4 3.1 1.0-4.2 0.5 その他先進国 4,205.32 8.6 4.6 4.7 1.6-2.1 2.6 新工業国 1,647.51 3.4 5.6 5.7 1.5-2.4 3.6 新興 開発途上国 12,555.60 25.7 8.0 8.3 6.0 1.7 5.1 アフリカ 956.95 2.0 6.1 6.3 5.2 1.7 4.0 サブサハラ 743.38 1.5 6.6 7.0 5.5 1.3 4.1 中東欧 1,269.29 2.6 6.6 5.5 3.0-5.0 1.8 CIS 1,301.21 2.7 8.4 8.6 5.5-6.7 2.1 ロシア 989.43 2.0 7.7 8.1 5.6-7.5 0.0 アジア途上国 4,706.74 9.7 9.8 10.6 7.6 6.2 7.3 中国 2,657.84 5.5 11.6 13.0 9.0 8.5 9.0 インド 874.77 1.8 9.8 9.4 7.3 5.4 6.4 ASEAN5 906.70 1.9 5.7 6.3 4.8 0.7 4.0 中東 1,205.28 2.5 5.7 6.3 5.2 2.0 4.2 西半球 3,116.13 6.4 5.7 5.7 4.2-2.5 2.9 ブラジル 1,089.30 2.2 4.0 5.7 5.1-0.7 3.5 メキシコ 952.34 2.0 5.1 3.3 1.3-7.3 3.3 世界貿易量の伸び (%) 世界貿易額 ( 億ドル ) 見通し 2006 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 輸入 -14,520.65 億ドル 8.9 7.3 3.1-12.4 2.4 輸出 14,774.00 億ドル 9.4 7.4 2.8-11.4 2.6 ( 出所 ) IMF "World Economic Outlook, October 2009" 実体経済の急激な低下はとまり 反転しつつあるとはいえ いまだ生産水準などはピーク に比べかなり低水準にとどまっている ちなみに 内閣府では 2009 年 7-9 月期の GDP を

元にすると日本の需給ギャップは 7% 程度と試算している また 生産動向や GDP の動きが最悪期を脱し 持ち直しの動きを見せつつあるとはいえ 雇用情勢は厳しい状況を続け失業率はアメリカでは 10% を越え 日本でも5% 台と依然改善するまでにいたっていない こうした中で世界的に大幅な金融緩和策が行われ 余剰資金が豊富に存在することから株や金 原油などが実体経済の状況とはかい離して上昇を示している 株価は日本では幾分回復が遅れているが アメリカではボトムから 50% 近い上昇を示し 金価格も高水準を続け いったん低下した原油価格もバーレルあたりで 70 ドル近辺に張り付いたままとなっている しかし 金融危機の原因を作った証券化商品の問題や過大投資による不良債権問題が解決したかというと 11 月に生じたドバイ ショックのように現在でもなお不透明であり またギリシャやロシアの債務問題など今後その顕在化が懸念されるリスクは残されたままとなっている 表 2 2010 年度政府経済見通し 2008 年度 2009 年度 2010 年度 名目 % 実質 % 名目 % 程度 実質 % 程度 名目 % 程度 実質 % 程度 国内総生産 4.2 3.7 4.3 2.6 0.4 1.4 民間最終消費支出 1.8 1.8 1.6 0.6 0.2 1 民間住宅 1.2 3.7 20.2 16.9 4.0 4.4 民間企業設備 5.7 6.8 19.4 16.5 2.5 3.1 民間在庫品増加 * 0.2 0.1 0.5 0.4 0.1 0.1 財貨サービスの輸出 15.1 10.4 25.6 14.4 5.7 8.3 財貨サービスの輸入 4.7 4.4 26.4 11.1 4.5 5.2 内需寄与度 2.2 2.6 4.5 2.2 0.3 1.1 民需寄与度 2.2 2.3 5.2 3.2 0.5 1.3 公需寄与度 0.0 0.3 0.7 1.0 0.2 0.2 外需寄与度 1.9 1.1 0.2 0.5 0.1 0.4 労働 雇用 % % 程度 % 程度 労働力人口 0.3 0.5 0.2 就業者数 0.6 1.8 0.3 雇用者数 0.1 1.3 0.3 完全失業率 4.1 5.4 5.3 生産 % % 程度 % 程度 鉱工業生産指数 12.7 11.2 8.0 国内企業物価指数 3.2 0.3 0.5 消費者物価指数 1.1 1.6 0.8 GDPデフレータ 0.5 1.7 1.0 国際収支 兆円 兆円程度 兆円程度 貿易 サービス収支 0.9 2.9 4.2 貿易収支 1.2 4.4 5.0 輸出 67.7 51.8 55.2 輸入 66.6 47.4 50.3 経常収支 12.3 14.0 15.8 % % 程度 % 程度 経常収支対名目 GDP 2.5 3.0 3.3 注 ) 内閣府 平成 21 年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度 から作成 民間在庫品増加は寄与度 民主党政権となって初めての政府経済見通しをみると ( 表 2) 2009 年度の実質経済成

長率は 2008 年度末にかけて急速に経済成長率が減速したことの影響を受け 2.6% 程度のマイナス成長が見込まれ 2010 年度は 2009 年度央からの回復を受け 1.4% 程度の成長率とプラスの経済成長率に戻ると見通しとなっている 2009 年度の大幅なマイナス成長は 2008 年度後半での減速による影響が大きく 2008 年度平均に対し 2008 年度末の水準で横ばいと仮定すると 2009 年度は4% 近い減少となるため 実際には第二四半期以降の回復が続き 年間 ( 年度末対比 ) では1% 強の成長が見込まれていることになる また 2010 年度には1% を超える回復が見込まれているが 2009 年度後半に回復が続くと想定されていることから 2010 年度は年度平均での経済成長率が高めとなるためであり こうした効果を除くと 年間で ( 年度末比 ) は1% を幾分下回る成長を続けることになる 需要項目別に 緩やかな回復をもたらす要因について検討すると 雇用環境の悪化に伴い厳しい所得状況に直面するが子ども手当などの政策効果により民間最終消費は 1% 程度増加することが見込まれている 海外需要は 中国やインドなどアジア経済の回復により輸出が増加を続けるとし プラスの寄与度となることを見込んでいる これにより設備投資は 回復に向かうことが期待され 住宅投資は 相続税などの優遇措置によりこれまでの低迷から脱することが見込まれている この結果 2010 年度経済は 基本的には外需の拡大と政策効果などにより緩やかな回復をすることが見込まれているが 自律的な民需主導の回復とは言い難いものとなっている 一方 名目経済成長率は 2008 年度 4.2% のマイナスに続き 2009 年度見込みでも 4.3% のマイナス成長となるが 2010 年度には 0.4% と実質成長率は下回るものの プラス成長となることが見込まれている この結果 GDP デフレータは 2009 年度の 1.7% の下落から 2010 年度には 1.0% の下落と下落幅を縮小させるが 依然として物価の下落傾向には大きな変化は見られない 実質 GDP の成長率に見られるように 経済が緩やかな回復を続けることから鉱工業生産指数は 2009 年度の 11.2% の減少から 2010 年度は 8.0% 増と大幅に伸びを高めることが期待されている しかし 雇用面では 失業率が景気に対して遅行指標であるため 2009 年度 2010 年度と5% を超える高水準を続け 改善はほとんど見込まれていない こうした政府経済見通しが描く姿は 各種の民間機関の予測に比べると幾分高めとはいえ 大きな違いを見ることはできない 2009 年度末ごろには補正予算による政策効果の一巡などから踊り場的な状況が出現する可能性が高いと思われるが その強さをどの程度に見込むかによって各機関の差異が生じている 2010 年度には政策効果が現れることや IMF の見通しに見られるように世界経済の回復を前提とすることで 緩やかな回復を継続することが見込まれている 因みに 日本エネルギー経済研究所は 短期エネルギー需給見通し の前提として 2010 年度の実質経済成長を1.3% と見込んでいる しかし 最近の中国 インドやアメリカでみられる経済情勢の改善が今後も続くと楽観的にみるのであれば 世界経済の回復テンポは IMF の見通しより強いものとなり 外需主導

でのより高い経済成長の実現も期待しうる 一方 2010 年度経済を考える上で考慮しなくてはならない様々なダウンワードリスクが存在する ダウンワードリスクとしては 国際的な問題としては 各国の経済政策の継続性 出口戦略に関する問題 世界経済のけん引力としての中国 インドなどの新興国の経済成長 ギリシャやロシアの債務問題の波及の大きさ などが指摘できる また国内的には 雇用 所得環境の改善の遅れと消費動向 為替レートの不安定性 などが懸念される 国際的な問題として アメリカをはじめとする各国のこれまでの下げ止まり 回復の兆しはもっぱら財政金融両面での政策的な対応策によってもたらされたものといえる しかし そうした動きが自律的回復に結びつくかは疑問であり 依然政策頼みの状況から脱していない 加えて実体面の回復に比べ 株価など資産価格の回復は早く大きなものがある 実体経済の動きと資産価格上昇のかい離は 超金融緩和策の採用による世界的な金余り現象によるミニバブル現象ということができる 先進主要国では 積極的財政政策を採用したことから財政赤字が著しく拡大をしている 実体経済の自律的回復がない限り政策転換を行うことは難しいがこうした政策を長く継続することは困難である また 自律的な回復が起こったとしても超金融緩和状態が続く限り インフレが生じる恐れは強い その意味では政策転換のタイミング いわゆる出口戦略が重要となってくる 早期の経済政策の変更は 回復の芽を摘みかねず 遅れた場合にはインフレが発生する可能性が高い 国際機関の見通しを始め多くの見通しでは 2010 年の世界経済において中国 インドの経済成長が牽引力として期待されている この両国を合わせても世界の GDP に占めるシェアは 10% 程度を占めるにすぎず これまで世界の需要をリードしてきたアメリカの経済規模にくらべ半分にも満たない大きさであり 過度に期待することはできない また 中国では財政金融両面での拡張的な政策の効果もあって経済成長率は危機前に戻りつつあるが 過熱が懸念され設備投資の抑制策が採用されるなど 問題が見られ始めている ドバイ ショックは 幸いにして周辺国の救済策などにより危機を乗り越えたかにみられるが 問題が先送りされたともいうことができる これに加えて ギリシャの財政赤字問題やロシアの債務問題により 金融危機が再来する可能性は否定できない こうした問題の顕在化により実体経済がさらに深刻な事態に陥ることも考えられる また 国内経済では厳しい雇用環境のもとで所得水準の伸び悩みが続くことが懸念されることから 自律的な持続的消費需要の増加が期待しにくい また 依然外需頼みの経済構造のもとでは アメリカの回復の状況や膨大な対外債務残高により為替レートの不安定な動きが今後も生じることが懸念され 輸出動向や景気回復の状況に影響が及ぶリスクが存在する 2010 年度では足元の経済情勢などを勘案すれば 1% 程度の実質経済成長率が実現 される可能性は高い しかし 1% 程度の経済成長にとどまる場合には 回復の実感に乏し

い状況にとどまり 内外の様々なリスクを考えるともう一段の調整を必要とする局面が出現 する可能性も否定できない