<4D F736F F D2094D18ADA91BA92B28DB895F18D E348C8E2E646F6378>

Similar documents
<4D F736F F D2094D18ADA91BA92B28DB895F18D E2E646F6378>

<4D F736F F D2094D18ADA91BA92B28DB895F18D E82528C8E31382D342D32302E646F6378>

<4D F736F F D2094D18ADA91BA92B28DB895F18D E338C8E828D2E646F6378>

Microsoft PowerPoint HRN.pptx

Microsoft Word - 学術講演会2014m.doc

2. 調査対象 国道 114 号等を自動車で通行する運転手等の被ばく線量 国道 114 号等で 事故 車両の故障等のために車外に待機した運転手等の被ばく線量 3. 調査方法 (1) 調査対象区間 ( 図 1) 経路 1: 国道 114 号川俣町 / 浪江町境界付近 ~ 浪江 IC 付近 [27.2k

<4D F736F F D2094D18ADA91BA92B28DB895F18D D342D332E646F63>

除去土壌等の輸送について(飯舘村)

科学3月特集A_今中.indd

Microsoft PowerPoint - 福島放射能汚染状況 a

福島原発事故はチェルノブイリ事故と比べて ほんとうに被害は小さいの?

untitled

スライド 1

(審31)資料5-1 住民意向調査の結果及び住民帰還等に向けた取組について

スライド 1


資料2

untitled

2017 年 7 月 30 日 福島県七方部市町村空間放射線量 6 年間の変遷について 一般社団法人南相馬除染研究所 Chief Coordinator 田中節夫 はじめに東日本大震災に端を発した福島第一原発事故より 6 年余を経過しました 事故発生以来 測定機器の整備に伴い福島県では空間放射線量の

<4D F736F F D B4C8ED294AD955C8E9197BF816988C4816A817A C55F936391BA8E738F5A96AF88D38CFC92B28DB892B28DB88C8B89CA817991AC95F194C5817A2E646F6378>

いて一市町村当たり2 箇所の計 18 箇所で それぞれ実施してきています これまでの調査の結果 環境放射線量 ( 空間線量率 ) は 調査開始時の平成 26 年度から平成 29 年度までの変化率の平均は 44.5% となっています 計算により求められる物理学的減衰による低減率 35.1% と比較する

平成 30 年 3 月 6 日 大熊町住民意向調査調査結果 ( 速報版 ) 復興庁 福島県 大熊町 調査の概要 1. 調査対象 : 世帯の代表者 (5,218 世帯 ) 2. 調査時期 : 平成 30 年 1 月 4 日 ~1 月 18 日 3. 調査方法 : 郵送配布 郵送回収 4. 回答者数 :


特定復興再生拠点区域復興再生計画 市町村名福島県飯舘村地区名長泥地区面積約 186 ha 区域長泥字長泥 長泥字曲田 1. 特定復興再生拠点区域 - 区域の範囲 予定する土地利用 特定復興再生拠点区域図 区域内の土地利用 関係規定 : 法第 17 条の2 第 1 項 第 2 項第 1 4 号復興庁令

原子力災害対策指針の改悪に反対しよう 毎時 20μSv( 一時移転の基準 ) を計測しても 1 日がまん SPEEDI 等の予測的手法は使わず 実測値による避難指示 被ばく前提の避難 30 km圏外のプルーム対策 (PPA) は必要なし 屋内退避のみ安定ヨウ素剤の準備も不要子どもや妊婦の基準もなし

パッシブな線量計による福島原発事故後 5 か月から 51 か月の期間における伊達市民全員の 個人外部被曝線量モニタリング : 2. 生涯にわたる追加実効線量の予測および個人線量にた いする除染の効果の検証 宮崎真福島県立医科大学放射線管理学部 早野龍五東京大学理学部物理学科 要約この論文シリーズの第

平成 24 年 11 月 6 日 大熊町住民意向調査調査結果 ( 速報版 ) 復興庁福島県大熊町 調査の概要 1. 調査対象 : 全世帯主 ( 分散避難している場合は それぞれの代表者 ) 5,378 世帯 2. 調査時期 : 平成 24 年 9 月 7 日 ( 金 )~9 月 24 日 ( 月 )

リスク工学グループ演習

参考資料 国道 6 号及び県道 36 号に関する帰還困難区域の特別通過交通制度の運用変更について : 通行証確認が不要となるルート : 引き続き通行証確認が必要なルート : 帰還困難区域

PowerPoint プレゼンテーション

07_toukei06.dvi

アクセス数は 56,779 件 (1 日あたり平均 200 件 ) 平成 26 年度は 56,532 件 (1 日あたり平均 190 件 ) となった また 平成 27 年のページビューは 290,566 件 (1 日あたり平均 970 件 ) 平成 26 年度は 315,459 件 (1 日あたり

飯舘村におけるホールボディカウンタ結果解析 ( 平成 年度施行分 ) 福島県立医科大学放射線健康管理学講座助手 宮崎真 Ver /03/04


福島県相馬市における 除染事例

Microsoft PowerPoint 東京工学院.pptx

開通見通し等に関する総理及び国土交通大臣発言について 3 月 10 日 ( 火 ) 総理会見発言 ( 抜粋 ) 機密性 2 資料 1 JR 常磐線については 浪江 富岡間も含めて 将来的に 全線で運転を再開させる その方針を決定いたしました 今後 順次 開通を目指してまいります 3 月 10 日 (

降下物中の 放射性物質 セシウムとヨウ素の降下量 福島県の経時変化 単位 MBq/km2/月 福島県双葉郡 I-131 Cs Cs-137 3 8,000,000 環境モニタリング 6,000,000 4,000,000 2,000,000 0 震災の影響等により 測定時期が2011年7

79!! 21

愛する飯舘村を還せプロジェクト 負げねど飯舘!! 活動支援金ご協力のお願い これまで 子どもたちのために と 皆さまからお預かりしている支援金は 避難 ( 計画的避難の早期完了 ) や健康管理を含め 未来ある子どもたちを守るための活動に大切に使わせていただきます 今後計画的避難が進むにつれて 私たち

目 的 GM計数管式 サーベイメータ 汚染の検出 線量率 参考 程度 β線を効率よく検出し 汚染の検出に適している 電離箱型 サーベイメータ ガンマ線 空間線量率 最も正確であるが シン チレーション式ほど低い 線量率は計れない NaI Tl シンチレー ション式サーベイメータ ガンマ線 空間線量率


15

なお これらの情報と比較するために 福島第一原発より 20~30Km 圏近辺の南相馬市及び特に高い放射線量を示す飯舘村長泥地区 ( 北側ゲート ) の環境情報を取り上げました ここから一旦原発事故により放射性物質が拡散したとき その環境被害がどの程度の期間で旧状に復帰するものかを知る手掛かりとする

PowerPoint プレゼンテーション

福島第1原子力発電所事故に伴う 131 Iと 137 Csの大気放出量に関する試算(II)

【最新】現代社会学部紀要11‐2/【最終校正】加藤晴明先生

PowerPoint プレゼンテーション

管理区域の区域分け A 区域 B 区域 C 区域 D 区域 汚染区分表面汚染 空気中放射性 表面汚染 空気中放射性 表面汚染 空気中放射性 表面汚染 空気中放射性 密度 物質の濃度 密度 物質の濃度 密度 物質の濃度 密度 物質の濃度 (Bq/cm2) (Bq/cm3) (Bq/cm2) (Bq/c


PowerPoint プレゼンテーション

< A835E838A F8C8B89CA955C E786C73>

<4D F736F F F696E74202D208E518D6C8E9197BF325F94F093EF8AA98D CC94AD97DF82CC94BB92668AEE8F8082C98AD682B782E992B28DB88C8B89CA2E B8CDD8AB B83685D>

防護体系における保守性

154

<4D F736F F D208D4C93878CA7926D8E968CF395E28ED282CC95FB82D682CC8EBF96E220284B2D53616E208DEC90AC816A934E96EC E D93FC82E8816A E646F63>

Microsoft PowerPoint - 帯広畜産大201301

和解案提示理由書4(平成30年5月28日:成立に至らなかった事例)

スライド 1

パッシブな線量計による福島原発事故後 5 か月から 51 か月の期間における伊達市民全員の 個人外部被曝線量モニタリング : 1. 個人線量と航空機で測定された周辺線量率の比較 宮崎真福島県立医科大学放射線管理学部 早野龍五東京大学理学部物理学科 要約福島県伊達市は福島原発事故後 全市民に対する個人


<4D F736F F D B6389EF8E9197BF95FA8ECB90FC92B28DB8>

仮設焼却施設の運転状況(11月4日~12月26日)

飯舘村のまでいな暮らし普及センター 3. 飯舘村の震災対応 3 月 11 日の東北地方太平洋沖地震の飯舘村での震度は ほぼ全域で 6 弱と推定されている 翌朝の福島県発表の被害状況速報 1) では 同村に死者 行方不明者 重傷者 軽傷者等の人的被害はなく 全壊 半壊 一部損壊等の住戸被害も記録されて

1 海水 (1) 平成 30 年 2 月の放射性セシウム 海水の放射性セシウム濃度 (Cs )(BqL) 平成 30 年 平成 29 年 4 月 ~ 平成 30 年 1 月 平成 25 ~28 年度 ~0.073 ~ ~0.

また 積雪をより定量的に把握するため 14 日 6 時から 17 日 0 時にかけて 積雪の深さは と質 問し 定規で測っていただきました 全国 6,911 人の回答から アメダスの観測機器のある都市だけで なく 他にも局地的に積雪しているところがあることがわかりました 図 2 太平洋側の広い範囲で

<30305F94D18ADA91BA8F9C90F58C9F8FD888CF88F589EF814595F18D908F C4816A F8DC58F4988C42D32>

生活道路対策

2. 食品の放射能汚染を気にしながら暮らす時代 成人よりも子どものほうが放 射線の影響をうけやすいこと が知られている J.W. ゴフマン 作図 : こどもみらい測定所 3. 政府の規制値とどうつきあうか 放射性物質の暫定規制値 放射性物質の規制値 (2012 年 4 月 1 日以降 ) 食品群 (

タイトル

氏名 ( 申請者 ) 除染対象所在地測定日 / 天候備考 除染前 除染後 放射線量測定記録 ( 事前 事後モニタリング ) 測定器型式等測定器型式等 管理番号 測定者 測定者 宅地内の測定値の平均 (at 1.0m)(μ Sv/h) 前後 対象除染前測定値 (μ Sv/h) 対象除染前測定値 (μ

スライド 1

何が起こっているかを知ろう!

豪雨・地震による土砂災害の危険度予測と 被害軽減技術の開発に向けて

平成25年10月4日

13章 回帰分析

国土技術政策総合研究所 研究資料

Microsoft PowerPoint - 05.Tanaka.pptx

2 号機及び 3 号機 PCV - 分析内容 原子炉格納容器 (PCV) 内部調査 (2 号機平成 25 年 8 月 3 号機平成 27 年 10 月 ) にて採取された (LI-2RB5-1~2 LI-3RB5-1~2) を試料として 以下の核種を分析した 3 H, Co, 90 Sr, 94 N

<4D F736F F D AC89CA817A E63189F18E7396AF B836795F18D908F912E646F6378>

Part1 走行サーベイによる道路及びその近傍における空間線量率の測定 (KURAMA の高度化を含む ) 安藤真樹 斎藤公明 ( 原子力機構 ) 1. 調査目的福島第一原発から放出された放射性物質による現状における空間線量率を把握するため KURAMA-Ⅱ システム ( 小型 CsI シンチレーシ

Microsoft PowerPoint - (3)-③ 廃炉協資料(3号カバー)_rev2

産業21-71号.indd

2017年度 京都大・文系数学

福島原発とつくばの放射線量計測


Microsoft PowerPoint - (資料3)G7向け資料rev19.pptx

<4D F736F F D20302D312E B8EC08FD88E968BC65F967B95D25F955C8E A0955C8E862E646F6378>

PowerPoint プレゼンテーション

担当係:環境防災課環境係

避難状況 1. 避難先自治体 いわき市相馬市南相馬市 福島市 郡山市 会津若松市白河市 福島県内のの市町村 福島県外 n = 1, 現在の住居形態 応急仮設住宅 ( プレハブ型 無償 ) 応急仮設住宅

1

Microsoft PowerPoint - 口頭発表_折り畳み自転車

福島県内の災害廃棄物の処理の方針

0-Ł\04†E01.pdf

8 8 0

⑦仕様書

PowerPoint プレゼンテーション

レジャー産業と顧客満足の課題

品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)に係る都市計画について

Transcription:

飯舘村放射能汚染状況調査 (27 年 4 月 日 ) の報告 27 年 4 月 2 日 IISORA 放射能調査チーム今中哲二 遠藤暁 菅井益郎 市川克樹 林剛平 豊田直巳 澤井正子 佐久間淳子 石田喜美江 馬場広行 小澤祥司 2 年 3 月 日 地震 津波をきっかけとして福島第 原発事故がはじまってから6 年が経過した 福島第 原発から北西方向 3~4km に位置する飯舘村は 3 月 日の夕方から翌朝にかけて放射性プルーム ( 放射性物質を含む空気塊 ) が通過した際に降雪が重なり 村全域が高レベルの放射能汚染を蒙った ( 図 左 ) 飯舘村など原発 2km 圏外の高レベル汚染地域は 2 年 4 月に計画的避難区域に指定され 飯舘村では全村避難が続いていたが この 3 月 3 日に 帰還困難区域である長泥地区 ( 図 2 右 ) を除いて避難指示が解除された 私どものグループが 最初に飯舘村の放射能汚染調査に入ったのは 汚染状況についての情報が混沌としていた 2 年 3 月 28 日のことであった 福島市から川俣町を抜け県道 2 号線で飯舘村に入ると放射線量が急にアップした 当時の村役場周辺の放射線量は毎時 ~7μSv であった 村全域が高レベルの汚染を受け 通常の放射線管理区域でも考えがたいほどの放射線量の中で村人が通常の生活を続けているのを見て愕然としてことを記憶している 以来 私どものグループは 飯舘村の放射能汚染状況の推移を把握するため定期的に調査を行ってきた 今回 避難指示解除が行われた翌日の 4 月 日に事故からまる6 年の調査を行ったので結果をまとめておく 調査メンバー今中 ( 京都大 ) 遠藤 グエン 由井 中村( 広島大 ) 菅井( 國學院 ) 林 ( 東北大 ) 澤井( 原子力資料情報室 ) 市川( オフィスブレイン ) 小澤 豊田 佐久間 馬場 國分(IISORA) の 4 人に ジャーナリストの古居 野田が同行 共同通信 ( 堀 ) 大阪 MBS( 津村ディレクター ) の取材があった 飯舘村 図. 左 : 福島原発事故によるセシウム 37 汚染. 米国 NNSA データを基に ArcGIS で作成. 右 : 飯舘村の 2 行政地区.

調査日程 -3 月 3 日 ( 金 ): 今中 小澤 市川 澤井 石田は レンタカーで福島駅前を午後 2 時半に出発 遠藤ら広島大組は 別のレンタカーで早めに飯舘村入りし土壌コアのサンプリングなど 林 佐久間は独自ルートで 三々五々 夕方にいいたてふぁーむ集合 午後 6 時頃からいいたてふぁーむでミーティング 翌日の調査の打合わせの後 広島大 中村クンからセシウムボールの分析結果に関する報告 その後 飯舘村地元関係者を交えて懇談 -4 月 日 ( 土 ): 天候は雪模様 村全体にうっすら積雪で 土壌中の水分が若干多そう 朝 8 時にいいたてふぁーむを出発し 走行サーベイを開始 午前 時に長泥ゲート 長泥地区内の走行サーベイの後 十文字交叉点近辺にて歩行サーベイ 2 時頃にゲート退出 昼食はセブンイレブン 午後の走行サーベイにて飯舘村全域を終了 途中 蕨平で 沢水を利用していたという O さん宅の状況調査 7 時 2 分ふぁーむに帰着 -4 月 2 日 ( 日 ): 調査メンバーは三々五々に帰途へ 今中らは 福島市荒井地区で開催されていた飯舘流手作りミソ教室を見学 今中はレンタカー返却後 4 時過ぎの新幹線で帰路に 今回の調査内容 村内全域走行サーベイ :2 年 3 月の最初のときから続けている調査で 村内主要道路を車 ( 日産エルグランド ) で走行しながら 定点で停車して車内の放射線量率を測定し 村内の線量率分布を求める 2/3/29 2// 22/3/27 23/3/7 (24/3/6) 24/4/26 2/3/26 26/3/26 に続く8 回目 24/3/6 は積雪 4cm のため参考データ 長泥地区歩行サーベイ :22 年 3 月から続けている調査で 飯舘村内で最も大きな汚染を受けている長泥地区の 十文字交叉点 近辺の道路を散策しながら 家屋玄関先での放射線量率を測定 22/3/27 23/3/7 24/4/26 2/3/26 に続く 回目 調査結果 村内走行サーベイ日産のワゴン車エルグランドで村内の主要道路を走りながら 定点で一旦停車し 2 列目左座席に座った今中が 日立 ALOKA 製の CsI ポケットサーベイメータ PDR-2つを両手にもって膝の位置での空間線量率を読み取り 各測定点の座標は GARMIN 製 GPS で記録した 今回は 図 2に示 図 2. 走行サーベイ測定点 249 カ所 ( 黒点 ). 細い線は道路を示している. 2

表. これまでの走行サーベイ測定結果 μsv/h. 調査日 測定ポイ標準偏最小 パーセメディ 9パーセ平均値ント数差値ンタイルアンンタイル 最大値 2 年 3 月 29 日 3 6.7 4.. 2..7.2 2. 2 年 月 日 22.9.98.4.8.8 3.6.3 22 年 3 月 27 日 39.8..29.6.6 3.. 23 年 3 月 7 日 7.3.82.27..2 2.6 4.7 24 年 4 月 26 日 238..67.9.38.9 2.2 4.4 2 年 3 月 26 日 27.77..3.27.6. 3.7 26 年 3 月 26 日 236..4..9.44. 3. 27 年 4 月 日 249.42.34.9.7.3.79 2.3 表 2. 走行サーべイ ( 日産エルグランド ) 車内への放射線量率透過係数 測定車内車外線量率 μsv/h 車外透過測定場所 No* μsv/h 左 m 後 m 右 m 前 m 平均係数 88 長泥地区道路上.77..96.8.9.94.8 22 前田直売所駐車場.3.4.48.4.42.44.68 7 宮内地区脇道上.3.4.46..4.46.67 226 萱刈庭組脇道上.92.2.4.2.6.4.68 *; 図 2 に示した測定 No < 透過率平均 =.7> す 249 カ所で測定した 走行サーベイの測定結果を これまでの結果と合わせて表 に示す 今回の走行サーベイ平均値は.42μSv/h で 6 年前の 6.7μSv/h に比べると約 分のになっている 走行サーベイの放射線量率は 車体と人体とで遮蔽される分 車外に比べると小さな値となる 今回は表 2に示す4カ所で 車内と車外の PDR 測定値を比較して求めた透過係数を求めた 平均は.7 つまり 道路上ではエルグランド車内測定値の 約.4 倍 と言ってよい 図 3は 表 に示した路上サーベイ平均値を車透過率で補正して その推移をプロットしたものである 点線は 私たちが測定した沈着放射能の組成比 (/3/ 8: で Cs37:Cs34:Te32/I32: I3=::8:7) を用いて計算した減衰曲線を 22 年 3 月 27 日の測定値に合うようにプロットしたものである 23 年 ~2 年は 測定値と理論曲線はぴったり合っているが 26 年 27 年は理論値より小さく 24 年頃にはじまった大規模除染作業の効果かも知れない ( 後述 ) 2 各調査日の平均値 9 8 減衰の理論曲線 7 6 4 3 2 2 22 23 24 2 26 27 図 3. 走行サーベイに基づくこの6 年間の飯舘村の道路上線量率の推移 村内平均 < 車透過係数 > /3/29:.62 //:.7 2/3/27:.7 3/3/27:.63 4/4/26:.6 /3/26:.6 6/3/26:.77 7/4/:.7 3

μsv/h 前田 上飯樋 萱刈庭 蕨平 図 4. 走行サーベイデータの内挿に基づく飯舘村内の放射線量率分布マップ.249 カ所の測定値 ( 黒 ) を.4 倍して道路上の値に換算してから内挿. 内挿マッピングには ArcGIS を用い Kriging/Disjunctive 法で行った. 2 (a) 前田 戸平均.6 μsv/h 最大.4 μsv/h 最小.38 μsv/h 4 3 2 (b) 上飯樋 2 戸平均.48 μsv/h 最大.94 μsv/h 最小.2 μsn/h <.2 <.3 <.4 <. <.6 <.7 <.8 <.9 <. <. <2. <.2 <.3 <.4 <. <.6 <.7 <.8 <.9 <. <. <2. (c) 萱刈庭 2 戸平均.86 μsv/h 最大.22 μsv/h 最小.3 μsv/h <.2 <.3 <.4 <. <.6 <.7 <.8 <.9 <. <. <2. <.2 <.3 <.4 <. <.6 <.7 <.8 <.9 <. <. <2. (d) 蕨平 48 戸平均.99 μsv/h 最大.9 μsv/h 最小. μsv/h 図. 戸別歩行サーベイにおける各戸前道路 ( 錠口 ) の放射線量ヒストグラム. 調査実施は 前田 :6//2 上飯樋:6//9 萱刈庭 蕨平:6//24. 4

図 4は 走行サーベイによる測定値を道路上の値に換算し 地理情報システム ArcGIS を用いて 飯舘村全域の放射線量率マップを作成したものである 一方 図 は 昨年 月から 月にかけて実施した 飯舘村内 4カ所での各戸歩行サーベイ結果に基づく 各戸の入口道路 ( 錠口 ) での放射線量ヒストグラムである 前田地区 ( 平均.6) 上飯樋地区( 平均.48) の大部分は 図 4では.2~.μSv/h 区分で 萱刈組 ( 平均.86) と蕨平 ( 平均.99) は.~.μSv/h 区分なので 図 の放射線量分布は 図 4に比べて若干大きめである 走行サーベイは もっぱらアスファルト舗装のメイン道路上の値なので 脇道中心の図 2に比べ低めになのかも知れない ( 調査日時の違いも 若干効いている ) 長泥地区の歩行サーベイ飯舘村でただひとつ帰還困難区域に指定されている長泥地区については 走行サーベイに加えて 22 年より 長泥十文字交差点 付近を徒歩で周りながら各戸の家屋玄関前などの放射線量率を PDR で測定する歩行サーベイ調査を行っている 今回も 交差点を中心にして東西南北の4チームに分かれて歩行サーベイを行った 図 6は 歩行サーベイ結果を基に 図 4と同じように ArcGIS を用いて作成した放射線量率マップである 十文字交叉点の北側の低いスポットは 22 年にモデル除染が実施された場所である 歩行サーベイ範囲 曲田ポイント Sv/h 図 6. 長泥地区十文字交差点近辺の歩行サーベイ結果. 上の図は Google 航空写真.

歩行サーベイ平均線量率 μsv/h... (a) 8..7 4.4 各調査日の平均値減衰の理論曲線 Cs37 Cs34 3.4 2.7 2.. 2 22 23 24 2 26 27 3 (b) 調査の日 空間線量率 μsv/h.9 9. 測定値積雪 4cm 理論曲線 Cs37 7.9 2 6..3 4.2. Cs34 2 22 23 24 2 26 27 調査の日. 歩行サーベイ平均線量率 μsv/h.. (c).8 2.8 2. 2..8 各調査日の平均値減衰の理論曲線 Cs37 Cs34.3.7.6. 2 22 23 24 2 26 27 調査の日図 7.(a) 長泥地区歩行サーベイによる平均放射線量の推移.(b) 曲田ポイントの放射線量の推移.(c) 飯舘村全域走行サーベイ平均放射線量の推移. いずれの理論値も 22 年 3 月 27 日に合わせてある. 図 7の (a) は長泥歩行サーベイの平均値の推移で 縦軸線量率は対数表示にしてある (b) は 2 年 3 月 29 日の調査で最大値 3µSh/h を記録した 長泥曲田のたんぼの中での値の推移である ( 図 6 の 曲田ポイント. 積雪 4cm は 4/3/6 の参考値 ) この周辺はこの6 年間除染は行われていない (c) は 図 3と同じデータを縦軸対数としたものである (b) の曲田ポイントの放射線量は 理論値と測定値がよく一致しており セシウムの流出 地中沈降がほとんどないものと思われる (a) の長泥歩行サーべイは 理論値より早い減少傾向を示している 長泥地区は 22 年に一部モデル除染が行わ 6

れてからは除染されていない 理論値とのずれについては 雨水等による道路上セシウムの流出効果かと推測されるが定かではない 一方 (c) の全域走行サーベイでは 理論値と測定値は 2 年までよい一致を示しているが 26 年と 27 年では測定値が小さくなった 長泥歩行サーベイのずれが流出効果であるなら, 全域走行サーベイの 23 年 ~2 年においても流出効果が観察されて不思議はないが 認められていない 全域走行サーベイ測定値の 26 年と 27 年の減少は 除染の効果を反映しているかと思われるが 除染されていない長泥歩行サーベイの結果と比較すると 簡単には断定できない コメントあれこれ長泥地区以外の飯舘村では 環境省直轄で除染作業が実施され この 3 月 3 日で終了している このメモの調査結果から除染の効果について結論するのは難しそうだが 図 7(C) で 26 年 27 年に観察された理論減衰曲線からのズレが除染によるものと考えるなら 除染効果により放射線量は約半分になったと言えるだろう 環境省による家屋除染のデータをみても除染効果 ( 放射線量低減率 ) は % 程度なので一応つじつまはあう あれだけ大規模な除染作業を行っても放射線量は半分にしか減らなかったとも言える 空間線量率 μsv/h.9.8.7.6..4.3.2. 27 年 227 年 237 年 247 年 27 年 267 年 図 8は 27 年 月 日に Sv/h( 実線 ) と. Sv/h( 点線 ) だった場合の今後の放射線量減少の予測である ( 放射能の物理的な減衰のみを考慮 ) 普通に生活して年間 ミリシーベルトの外部被曝となるのは.2 Sv/h である 現在. Sv/h であれば 24 年後. Sv/h であれば 3 年後となる 復興庁 福島県 飯舘村が今年のはじめに行った飯舘村民アンケートの回答 27 件 ( 回収率 44.7%) によると ( 将来的な希望を含め ) 避難解除後戻りたい 33.% 判断がつかない 9.7% 戻らないと決めている 3.8% となっている 私たちの調査結果が 村民をはじめ いろいろな方が放射能汚染の問題を考える際に何らかの参考になれば幸いである 参考 : これまでの調査報告 2 年 3 月 :http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/nsrg/seminar/no/iitatereport-4-4.pdf 22 年 3 月 :http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/nsrg/fksm/iitate223.pdf 23 年 3 月 :http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/nsrg/isp/iitatereport23-3-7.pdf 24 年 3 月 4 月 :http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/nsrg/fksm/iitate_memo4-7-2.pdf 2 年 3 月 :http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/nsrg/fksm/iitate_memo-4-3.pdf 26 年 3 月 :http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/nsrg/fksm/iitate6-3-26.pdf 26 年 月前田調査 :http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/nsrg/fksm/maeda6--9.pdf 2 年 月上飯樋調査 :http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/nsrg/fksm/kamiiitoi26--9.pdf 26 年 月蕨平 萱刈庭調査 :http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/nsrg/fksm/warakaya6--24.pdf 7