居宅介護支援専門員の手引_表紙

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平成20年度春の家居宅介護支援事業所事業計画

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計画の今後の方向性

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居宅介護支援事業者向け説明会

周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

平成 28 年度第 3 回弘前市ケアマネジャー研修会 1. ケアプランの軽微な変更の内容について ( ケアプランの作成 ) 最新情報 vol.155 p.3 参照 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について( 平成 11 年 7 月 29 日老企 22 号厚生省老人保健福祉局企画課長

Ⅱ 各論第 2 章 各 論 第 2 章 介護と医療 関係機関の連携 第 1 節 介護と医療 関係機関の連携 1 連携のための関係機関のネットワークづくり 現状 課題 平成 19 年度に内閣府が公表した 高齢者の健康に関する意識調査 によると 多くの高齢者が要介護状態になっても 可能な限り住み慣れた地

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

PowerPoint プレゼンテーション

平成 26 年度版 第三者評価結果概要版 ( 居宅介護支援 ) 基本情報 法人名 社会福祉法人多摩同胞会 事業所名 泉苑居宅介護支援センター 所在地 東京都府中市武蔵台 1 丁目 10 番 4 号 連絡先 事業者が大切にしている考え ( 事業者の理念 ビジョン 使命など )

平成 28 年 2 月以降に認定更新等により要支援認定を受けた方が介護予防訪問介護 介護予防通所介護を利用される場合 これまでの予防給付サービスから総合事業のサービスに変わります 要支援者の認定有効期間は現在最長 12か月ですので 大川市は平成 28 年 2 月から1 年かけて移行します 更新の場合

事業者名称 ( 事業者番号 ): 地域密着型特別養護老人ホームきいと ( ) 提供サービス名 : 地域密着型介護老人福祉施設 TEL 評価年月日 :H30 年 3 月 7 日 評価結果整理表 共通項目 Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織 1 理念 基本方針

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13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

2 基本理念と基本目標 本市のまちづくりの指針である 第 2 次柳井市総合計画 は 平成 29 年 3 月に策定 されました この総合計画では すべての市民が健康で安心して暮らせる 人にやさ しいまちづくり を健康 福祉分野の基本目標に掲げ その実現を目指しています これは 高齢者も含めた全ての市民

暫定ケアプランの取扱いについて 平成 30 年 11 月 29 日事務連絡隠岐広域連合介護保険課長通知 暫定ケアプランの取扱いについては 介護制度改革 INFORMATION vol.80 平成 18 年 4 月改定関係 Q&A(vol.2) について ( 平成 18 年 3 月 27 日厚生労働省

高齢者を取り巻く状況 将来人口 本市の総人口は 今後も減少傾向で推移し 平成32年 2020年 には41,191人程度にまで減少し 高齢 者人口については 平成31年 2019年 をピークに減少に転じ 平成32年 2020年 には15,554人程度 になるものと見込まれます 人 第6期 第7期 第8

まちの新しい介護保険について 1. 制度のしくみについて 東温市 ( 保険者 ) 制度を運営し 介護サービスを整備します 要介護認定を行います 保険料を徴収し 保険証を交付します 東温市地域包括支援センター ( 東温市社会福祉協議会内 ) ~ 高齢者への総合的な支援 ( 包括的支援事業 )~ 介護予

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平成 31 年度 地域ケア会議開催計画 魚津市地域包括支援センター 平成 31 年 4 月

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このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

第 2 章垂水市地域包括ケアシステムの概要 1 垂水市の地域包括ケアシステムの考え方地域包括ケアシステムとは 高齢者等に関わる様々な人や社会資源が 地域の中でつながりを持って高齢者等の生活を支える仕組みです 高齢者については 介護が必要な状態になっても住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう 医

実務研修(研修記録シート)【茨城県社協版】

2 経口移行加算の充実 経口移行加算については 経管栄養により食事を摂取している入所者の摂食 嚥 下機能を踏まえた経口移行支援を充実させる 経口移行加算 (1 日につき ) 28 単位 (1 日につき ) 28 単位 算定要件等 ( 変更点のみ ) 経口移行計画に従い 医師の指示を受けた管理栄養士又

介護予防ケアマネジメントについて


01 表紙 老人保健課 - コピー

利用者満足の向上センターのチラシの配布など センターのPRのために具体的な取り組みを行っている 苦情対応体制を整備している 特記事項 名刺 サービス情報誌 広報での PR イベントでのパネル設置など実施 相談の際のプライバシーの確保を図っている 公平性 中立性の確保 業務改善への取り組み 相談室の整

基本理念 第 6 期計画では 高齢者が住み慣れた地域で健康でいきいきと充実した生活を送ることができる地域社会の構築をめざしてきました 第 7 期計画においても 第 6 期計画の基本理念を継承し 総合計画における高齢者福祉の施策の実現をめざして 住んでよかった亀岡 老後も楽しい亀岡 を本計画の基本理念

Microsoft PowerPoint - 矢庭第3日(第6章ケアマネジメントのプロセス)

1102 請求誤りによる実績取り下げ 1109 時効による保険者申立ての取り下げ 1112 請求誤りによる実績取り下げ ( 同月 ) 1129 時効による公費負担者申立ての取り下げ 1142 適正化 ( その他 ) による保険者申立の取り下げ 1143 適正化 ( ケアプラン点検 ) による保険者申

場に結び付けていきます 利用者のための目標設定がポイント 利用者自身がその生活課題に気付き 状況が改善されたときのイメージをもつことが必要です 利用者が主体的になれるよう支援します 非現実的な目標ではなく 実現可能で具体的な目標設定を行ない 利用者が実際に行動に移せるよう支援します 一定期間取り組ん

揖斐川町在宅介護支援センター運営規程

平成18年度標準調査票

2. 経口移行 ( 経口維持 ) 加算 経口移行 ( 経口維持 ) 計画に相当する内容を各サービスにおけるサービス計画の中に記載する場合は その記載をもって経口移行 ( 経口維持 ) 計画の作成に代えることができる 従来どおり経口移行 ( 経口維持 ) 計画を別に作成してよい 口腔機能向上加算 口腔

広島市障害者計画 2013 ー 2017 平成 25 年 3 月 広島市

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06 参考資料1 平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について

下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

平成17年度社会福祉法人多花楽会事業計画(案)

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平成 20 年 9 月 29 日 平成 21 年度介護報酬改定に向けた提言 社会福祉法人東京都社会福祉協議会 はじめに センター部会長代行今裕司 東京都社会福祉協議会センター部会は 東京都内の地域包括支援センター 在宅介護支援センター デイサービスセンターの 664 箇所が加入している団体です 平成

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JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

区分

高齢者個人に対する支援の充実+社会基盤の整備1. 地域ケア会議の設置 構築について 地域ケア会議の設置主体 : 地域包括 援センター または市町村 ( 保険者 ) 地域の実情に応じた地域包括ケアシステムを想定した上で その実現のために有効と考えられる地域ケア会議を設置 構築していくことが必要 地域ケ

月額報酬対象サービス月途中の事由 区分変更( 要介護 1~ 要介護 5の間 要支援 Ⅰ 要支援 Ⅱ) 小規模多機能型居宅介護介護予防小規模多機能型居宅介護複合型サービス ( 看護小規模多機能型居宅介護 ) 区分変更( 要介護 要支援 ) サービス事業所の変更( 同一サービス種類のみ ) 事業( 指定

正誤表

平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について

看護師のクリニカルラダー ニ ズをとらえる力 ケアする力 協働する力 意思決定を支える力 レベル Ⅰ 定義 : 基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する 到達目標 ; 助言を得てケアの受け手や状況 ( 場 ) のニーズをとらえる 行動目標 情報収集 1 助言を受けながら情報収集の基本

Microsoft Word 厚生労働省事務連絡(システム変更に係る参考資料その9)送付版

銭形企画居宅介護支援事業所運営規程 第 1 条 ( 事業の目的 ) この規程は 株式会社銭形企画が設置運営する銭形企画居宅介護支援事業所 ( 以下 事業所 という ) が行う居宅介護支援事業の適正な運営を確保するために必要な人員及び管理運営に関する事項を定め 事業所の介護支援専門員その他の従業者 (

厚生労働省による 平成 30 年度介護報酬改定に関する Q&A(Vol.1) に対する 八王子介護支援専門員連絡協議会からの質問内容と八王子市からの回答 Q1 訪問看護ステーションによるリハビリのみの提供の場合の考え方について厚労省 Q&A(Vol.1) での該当項目問 21 問 22 問 23 A

前回の改善計画の進捗評価 Ⅰ. 事業運営の評価 ( 評価項目 1~10) 項目前回の改善計画実施した具体的な取組進捗評価 Ⅱ. サービ ス提供等 の評価 1. 利用者等の特性 変化に応じた専門的なサービス提供 ( 評価項目 11 ~27) 2. 多機関 多職種との連携 ( 評価項目 28 ~31)

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13 (参考資料4-5)松下参考人資料(三菱総研)

03-0減算(表紙)

小規模多機能型居宅介護 介護予防小規模多機能 区分変更 ( 要介護 1~ 要介護 5 の間 要支援 Ⅰ 要支援 Ⅱ) 型居宅介護く ) 区分変更 ( 要介護 要支援 ) サービス提供日 サービス事業所の変更 ( 同一サービス種類のみ ) ( 通い 訪問又は宿泊 ) 事業 ( 指定有効期間 ) 受給資

平成18年度標準調査票

Ⅰ-9_(資料9)_月額包括報酬の日割り請求にかかる適用_

総合事業に係る Q&A 国 注意事項 備考欄には厚生労働省が作成した Q&A の参照先を記載しています 1 介護予防 日常生活支援総合事業ガイドライン案についての Q&A 9 月 30 日版 2 総合事業ガイドライン案に係る追加質問項目について ( 平成 26 年 11 月 10 日全国介護保険担当

サービス共通.xls サービス共通 介護予防 日常生活支援総合事業 の質問への回答 サービス共通項目 質問等回答作成月 1 定款に追加する事業名については 介護予防 日常生活支援総合事業 でよいか? 訪問型サービスを実施する場合は 介護保険法に規定する第 1 号訪問事業 若しくは帯広市独自のサービス

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8_月額包括報酬の日割り請求にかかる適用について

小規模多機能型居宅介護介護予防小規模多機能型居宅介護複合型サービス ( 看護小規模多機能型居宅介護 ) 区分変更( 要介護 1~ 要介護 5の間 要支援 Ⅰ 要支援変更日 区分変更( 要介護 要支援 ) サービス事業所の変更( 同一サービス種類のみ ) 事業( 指定有効期間 ) 事業所指定効力停止の

Ⅰ-9_(資料9)_月額包括報酬の日割り請求にかかる適用_

高齢者虐待防止対応マニュアル別冊 6 関係機関との連携 (1) 各機関の役割 市町村や地域包括支援センター等の関係機関は それぞれ対応可能な範囲があります 範囲を超えた対応は行うことができません また 事例によって関係機関の対応を依頼する場合があります 市町村が中心となるコアメンバー会議によって 大


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第1章 計画の基本的考え方 態を改善して地域社会への参加等を通じ 生きがいや役割を持てるようにすることが 重要です 4 住まい 持ち家や賃貸住宅だけでなく 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など 多様な形態の住まいを含みます 生活の基盤である住まいは 高齢者のプライバシー と尊厳が十分に守ら

月額報酬対象サービス月途中の事由 区分変更( 要介護 1~ 要介護 5の間 要支援 Ⅰ 要支援 Ⅱ) 小規模多機能型居宅介護介護予防小規模多機能型居宅介護複合型サービス ( 看護小規模多機能型居宅介護 ) 区分変更( 要介護 要支援 ) サービス事業所の変更( 同一サービス種類のみ ) 事業( 指定

富山県 地域包括ケアシステム構築に向けた取組事例 ( 様式 ) 1 市区町村名 富山市 2 人口 ( 1) 322,059 人 ( 平成 25 年 3 月末現在 ) ( 8,253 人 ) 3 高齢化率 ( 1) 65 歳以上 26.1% ( 30.3% ) (65 歳以上 75 歳以上それぞれにつ

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スライド 1

( 別紙 ) 地域ケア会議 に関する Q&A 問 1 今般 地域ケア会議 を通知に位置づけた背景は何か 団塊の世代が 75 歳以上となる 2025 年へ向けて 高齢者が尊厳を保ちながら 住み慣れた地域で自立した生活をおくることができるよう 国は 医療 介護 予防 住まい及び生活支援サービスが 日常生

住所地特例に係る事務の見直しの概要について Ⅱ- 資料 2 本事務は 介護予防 日常生活支援総合事業の実施時期に係わらず 平成 27 年 4 月から 全ての市町村において必要な事務であるので 留意されたい 1. 平成 27 年 4 月からの住所地特例に係る事務の見直しの概要 住所地特例の対象施設にサ

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地域包括ケアシステムの構築について 団塊の世代が 75 歳以上となる 2025 年を目途に 重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう 医療 介護 予防 住まい 生活支援が包括的に確保される体制 ( 地域包括ケアシステム ) の構築を実現 今後


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認知症医療従事者等向け研修事業要領

Microsoft PowerPoint 訪問サービス事業所向け研修会資料

平成18年度標準調査票

栃木県高齢者居住安定確保計画 ( 二期計画 ) 概要版 1 計画の目的と背景 高齢化が急速に進行する中 平成 24 年 3 月に県土整備部と保健福祉部が連携のもと高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく 栃木県高齢者居住安定確保計画 ( 以下 現計画 という ) を策定し 高齢者が安心して快適に暮

65歳~74歳 介護認定率(平成22年度)

申請日以降に暫定ケアプランを作成した場合には 暫定ケアプランの作成日までしか遡ることはできません 2 要支援認定の場合ア ) 給付管理業務を行う事業者介護予防支援事業者が 介護予防サービス計画 を作成し 給付管理業務を行うので 暫定ケアプランを作成した居宅介護支援事業者は 利用者を介護予防支援事業者

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

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6. 介護給付費等の過誤処理について

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Transcription:

はじめに 介護支援専門員を取り巻く環境は 介護保険スタートの時点から数回にわたる制度改正を経て大きく変化し 医療や保険外サービスとの連携など 求められる専門性の多様化 能力水準の高度化が求められています 一方ケアマネジメントの基本は 利用者の立場に立って一人一人の個別性を尊重し 生活全体を捉えて利用者の自立支援 悪化の防止を促進するために計画的に総合的に支援を継続していく基本は変わるものではありません 平成 24 年度の改正においては 地域包括ケアシステムによる在宅サービスにおける介護と医療の連携 日常生活圏における入院 退院 在宅復帰を通じて切れ目のない継続的支援を強化するための新たなサービスメニューの創設 連携に対する加算などが盛り込まれ 介護支援専門員はこれらの制度に対応できる実践力が求められています 東京都においては 平成 15 年 3 月より 居宅介護支援専門員業務の手引 を作成し 制度が期待している標準手続を基本に 利用者の為に確実に行って欲しい業務のポイントを示してきました 平成 18 年度の改正により誕生した予防重視型システム 地域密着型サービス導入時はもとより報酬改定等も反映して修正 加筆を重ねてきました 平成 24 年 10 月 介護支援専門員を取り巻く新たな環境の変化に対応し 介護支援専門員に求められる知識 技術を検証し 東京都における実践への基礎レベルを示した手引の内容を検討するために 介護支援専門員業務の手引作成委員会 が設置されました ケアマネジメントの基本理念は利用者の自立支援であり 個々の利用者の主たる生活の場が居宅であれ 施設であれ異なるものではありません また 要支援 要介護状態の程度が異なっても 一人一人の その人らしさ を尊重し 主体性を引き出す関わり方を工夫していくケアマネジメントの視点は共通です 手引の改定に際し委員会では 介護支援専門員は居宅介護支援 施設サービス支援 介護予防支援 地域密着型サービス ( 小規模多機能 認知症対応型共同生活介護 ) 支援を全体として理解し 利用者の生活の場や程度の変化に応じて ケアマネジメントの継続性を保つためにも相互関係を踏まえて協働すべき立場にあることから 居宅編 予防編 施設編の分冊にせず 合本とすべきであるとの意見もありました しかし 根拠法令も細分化されている今日 日常的に繰り返し活用する部分の汎用性を考慮すると分冊が望ましいとの合意に至りました ケアマネジメントのさらなる質の向上 法令遵守が強く求められている中で 新たに作成した手引が 区市町村や地域包括支援センター等の関係機関はもとより 介護支援専門員が配属されている居宅支援事業所 各種施設 サービス事業者等においても活用していただくことを期待いたします 平成 25 年 3 月 東京都介護支援専門員業務の手引作成委員会 委員長國光登志子

改訂にあたって 日本の高齢化を社会で支える仕組みとして今から 13 年前に施行された介護保険制度には ケアマネジメントの手法が導入されました 様々なサービスを組み合わせて利用できる介護保険制度の中において専門的な相談窓口となり チームの力動を活かして利用者を核として支える存在が介護支援専門員です そのため介護支援専門員の専門性が利用者の生活やそれを支えるチームの力の発揮に大きく影響するのは 周知のことです 私たち居宅介護支援専門員が担当する利用者像は 後期高齢者の増加 独居 認知症 医療処置を要する要介護高齢者等の増加 精神疾患 家族の支援等 年々 多様化し 複雑化しています そのような中にあっても 7 割以上の方は療養 介護が必要になっても自宅で生活したいと希望しています したがって 在宅の限界点を高める ことが利用者やその家族の希望を叶えることに繋がります すなわち居宅介護支援専門員が行う自立支援に資するケアマネジメントへの期待が高まっています このように利用者が希望する生活を実現するためには より良い 連携 関係をつくることが必要です 連携は 介護保険制度のサービス事業所間だけでなく 医療との連携 インフォーマルなど地域を巻き込んだ連携 そして住まいの多様性に対応できる住み替え先との連携など 今後は更に大きな連携の輪を広げていかなければなりません 居宅介護支援専門員には 連携の要 としての役割がますます期待されています 一方で 高齢化による介護給付費の増加が避けられない中で 介護保険サービスを利用する方 利用していない方など誰に対しても 適切な給付の根拠を示す仕事 ぶりが居宅介護支援専門員の専門性の一つとして 社会的な要請となってきました 決して簡単ではない状況下ですが このようなときだからこそケアマネジメントという介護保険制度をはじめ保健 医療 福祉の諸制度と併せて 高齢者を地域で支える 効率的な手法が活きるのです 2025 年に向け 地域包括ケアシステムを構築するにあたり 利用者とその家族 地域を支える上で介護支援専門員の役割の重要性は今後更に高まり 都民の皆さまからの大きな期待が寄せられていくことと思います そのようなときに大切なのは 基本 となる介護支援専門員の理念 職業倫理 基礎知識に加え 関係法令や諸サービス 地域の特性を知っている等 引き出しの多さです 管理者は制度の適切な理解 ケアマネジメントの基礎理解と実践力 応用力 マネジメント力が必要です この 居宅介護支援専門員業務の手引き は 介護保険制度が期待する標準手続を基本にし 業務のポイントについて解説を加えました 更に居宅介護支援専門員として知っていると支援の幅が広がる諸制度のポイントや連絡先一覧などをこの本にまとめました 毎日 利用者宅や関係期間を訪問し 移動が多い居宅介護支援専門員がたくさんの資料を持たず これ一冊持っていれば大丈夫 と鞄の中に入れて業務ができるよう工夫しました 初任者や中堅者は自分自身の業務の確認として自己研さんに 管理者やスーパーバイザーは 初任者育成のツールの一つとして使用できます まずは各自が確認し 介護支援専門員の個々の能力を高めましょう 居宅介護支援事業所の中にあって居宅介護支援専門員は 単独業務になりがちですが 相互に業務を確認し合うことで 個々の能力と業務の確実性を高め 居宅介護支援事業所としての質を担保することに繋がります 利用者が望む生活の実現 広く都民の皆さまの要請にお応えする居宅介護支援専門員の資質向上に向けた取り組みに 各方面においてこの 居宅介護支援専門員業務の手引 をどうぞご活用ください 平成 25 年 3 月 東京都介護支援専門員業務の手引作成委員会 居宅部会部会長石山麗子

目 次 はじめに 改訂にあたって 第 1 章介護保険制度と介護支援専門員 1 介護保険制度の基本理念 1 2 介護支援専門員業務の基本 2 3 介護支援専門員の役割 3 4 介護支援専門員の業務の全体像 5 第 2 章居宅介護支援専門員の業務 1 介護支援専門員の業務 7 2 サービスの利用相談 情報提供 9 3 居宅介護支援の契約 13 4 アセスメント 15 5 居宅サービス計画 ( ケアプラン ) 原案の作成 17 6 サービス担当者会議 21 7 居宅サービス計画の作成とサービスの調整 24 8 初動期のモニタリング 26 9 継続的なモニタリング 27 10 給付管理 28 11 関係機関との連携 33 12 平成 24 年度制度改正により開始された新たなサービス 34 第 3 章居宅介護支援専門員と居宅介護支援事業 1 ケアマネジメントは居宅介護支援事業者として実施する 39 2 指定居宅介護支援事業者とは 40 3 管理者の責務 44 4 居宅介護支援は 利用者と指定事業者との契約により成立する 46 5 主任介護支援専門員 47 6 ケアマネジメントの質の向上は事業所ぐるみで 50

第 4 章資料 1 平成 24 年度介護保険制度改正の概要 51 2 居宅介護支援に係る運営基準 58 3 居宅サービス計画書記載要領 課題分析項目 様式 記入例 84 4 高額サービス費の給付 115 5 高齢者医療制度 116 6 保険優先の公費負担医療と介護保険 119 7 生活保護制度 121 8 成年後見制度と地域福祉権利擁護事業 123 9 国保連合会における苦情相談について 125 10 高齢者の虐待防止と権利擁護 128 11 介護サービス情報の公表 131 12 福祉サービス第三者評価制度 132 13 介護保険在宅サービス事業への指導検査における主な文書指摘事項 133 14 介護支援専門員の登録 研修 135 15 お問い合わせ先一覧 ( 平成 25 年 4 月現在 ) 139

第 1 章 介護保険制度と介護支援専門員 1 介護保険制度の基本理念 本節のポイント 介護支援専門員は制度の理念の実現のために大きな役割を果たします そのために本章では 介護保険制度の理念 介護支援専門員の業務の基本や役割を再確認します 介護保険制度は 利用者が可能な限り居宅においてその有する能力を活かして日常生活を営むことができるように その自己決定プロセスを大切にしながら支援します その実現に向けて介護支援専門員の果たす役割は大きなものがあります 常にこの理念に照らして介護支援業務にあたることが望まれます ⑴ 自立支援介護を必要とする状態であってもその人らしい暮らしをいきいきと過ごすために 残存している能力を最大限に引き出し 適切な生活環境を整え 日常生活を再建していくことが必要です さらに 生きる意欲とできる限り社会性を持って生活ができるように支援することが求められます 利用者によって状態や置かれた環境はさまざまですが それぞれの利用者が尊厳を保持し その有する能力に応じた 自立 した生活を送ることができるよう考えることが大切です ⑵ 利用者本位 サービスを提供する側が介護の専門家としての判断や価値観を利用者に押し付けてはいけません 人には 自分自身で人生を切り拓いてきた積み重ねがあります たとえ介護を必要とする状態となっても利用者自身の生活であり 自分で判断 選択する 自己決定 が基本です 利用者が適切な判断ができるように 十分な情報や専門的な知見 判断基準を提供したり 考え方の整理を共に行うなどして 判断を支援することが必要です ⑶ 保健 医療 福祉の連携 介護保険制度は 介護を必要とする生活を送る上で必要なサービスを総合的に提供する仕組みです 個々の介護支援専門員が保健 医療 福祉の全ての領域に精通することを求めているのではなく 不得意な領域はその領域の専門家と協働して 常に 3 つの領域の総合性が保たれ 専門的な視点が複合的に注がれているようにすることが大切です ⑷ 介護の社会化 介護の社会化とは 介護を共同連帯の仕組みで支えることです 具体的には専門的な知識と技術に裏打ちされた個別性のある介護サービスを適切に提供することで 要介護者を自立に導き 家族の介護負担 介護による離職 虐待等を回避することです 介護の社会化によって 家族や助け合いによるサービスなどが更に活きてきます ⑸ サービスの競い合い 介護支援専門員も含めて サービス提供事業者は競い合いのなかで 利用者から選ばれる立場です 平成 18 年 4 月からは 介護サービス情報の公表 が実施されるなど サービスの質に対する利用者の目が一層厳しくなっています 目先の利用者満足ではなく 真に利用者のためになる自立に向けた介護支援業務の質が問われてきます 1

2 介護支援専門員業務の基本 本節のポイント 介護支援専門員は 常に利用者を中心におき チームをつくって他職種が協働 連携して総合的に利用者を支援できるようにします ⑴ 利用者本位の相談 援助 要介護状態であっても利用者自身のかけがえのない生活です 利用者の生活上の 困難 や 要望 を十分に聴き取り 専門的な情報も提供しつつ介護保険サービスや多様な社会資源を利用者と相談しながら適切に調整し 利用者が持っている能力を最大限に活かしつつ その人らしい生活を送り続けることができるように支援することが基本です 1 利用者を理解する ~ 語られない言葉 背景を理解し 真の気持ちに触れていますか ~ 利用者の主訴を十分に聞き 利用者と悩みを共有していくことが大切です 2 利用者の価値観を尊重する ~ 生き方を決めつけていませんか ~ 自分の価値観の押し付けではなく 利用者の価値観を理解し尊重しましょう 3 利用者の意思決定を支援する ~ 自分で決定するようにサポートしていますか ~ 利用者が生活者として自らの生活を決めていくために支援をします 4 情報を十分に豊かに持つ ~ 起こりうる状況を予測して情報を提供できていますか ~ よりよい自己決定のために 適切な選択肢や情報を具体的にそれぞれの利用者の理解に合わせて提供できることが必要です 5 利用者に関する秘密を守る ~ 生活に関与することの重みを忘れていませんか ~ 利用者との信頼を築くために 秘密の保持 個人情報の適切な管理は基本です ⑵ 総合的サービス提供のための多職種協働 連携 生活を支えることは一人の力ではできません 多様な専門職が連携 協働してサービスを提供することが必要です 専門職が専門知識を出し合い 連携 協働して支援にあたるための環境づくりが介護支援専門員の大きな役割です 1 サービス担当者間の連携を創る ~ 利用者ごとのチームをつくっていますか ~ 必要なサービスの提供者の間に連携体制をつくることが基本です 2

2 情報交換を円滑に行い 最新情報を共有する ~ 今の情報を把握していますか ~ チームでは 常に利用者の状況などの情報を共有することが大切です 3 目標を共有する ~ 目標ある生活にサービスが連携していますか ~ 目標を共有し その達成のためにそれぞれのサービス提供者が何を実現すべきかを明確にします ⑶ 社会サービスの適切な利用のための給付管理 介護保険制度は社会保険であり 国民が連帯して支え合うことで 介護を必要とする高齢者が介護サービスを利用できる仕組みです 適正な保険利用を 自立支援に資する 利用 と 請求 の両面からチェックすることが 介護支援専門員に期待される大きな役割です 3 介護支援専門員の役割 本節のポイント介護支援専門員の役割は 自立を支援することです 介護保険制度は 自立を支援することと給付を一体的に行う意味から介護支援専門員の果たす役割は大きいものがあります また 在宅生活の限界点を高めるためには 地域の中で利用者が多様な支援を受けられるよう介護支援専門員の創意工夫が必要となります 介護支援専門員の役割は 次の二つに大別されます ⑴ 介護支援専門員の役割 1 自立支援利用者がもつ能力を活かし 居宅での自立した生活の継続を目指して 生活上の課題を抽出し その課題が解決されるよう介護保険サービス 保健医療福祉 その他のインフォーマルサービスを組み合わせます 2 給付管理社会保険制度の一つである介護保険制度は 公平性を担保しなければなりません 一つひとつのケアプランの給付の適切さを常に確認することは 介護支援専門員の大切な仕事です ⑵ 地域包括ケアシステムにおける介護支援専門員の役割 地域包括ケアシステムとは たとえ介護度が重くなっても可能な限り住み慣れた地域で暮らし続けることができるように構想された仕組みです 利用者が希望する住まいを選択したら そこでは介護保険等の公的なサービスだけでなく 近隣 ボランティア等の参加も得てその人らしく暮らすことができるように支援することがこれからの介護支援専門員に求められています その際 介護支援専門員やサービス担当者会議だけで解決できない課題がある場合は 地域ケア会議で課題を検討し 在宅生活の限界点を高めていきます 3

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4 介護支援専門員の業務の全体像 5

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