乳児期からの幼児教育について 大阪総合保育大学 大方美香

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1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

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新しい幼稚園教育要領について

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

60 金沢星稜大学人間科学研究第 11 巻第 2 号平成 30 年 2 月 要領を主な資料として内容を分析 考察する (1) 乳児保育に関わる ねらい及び内容 の3 視点,1 歳以上 3 歳未満児及び3 歳以上児に関わる ねらい及び内容 の5 領域, 幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿, 小学

幼児の実態を捉えると共に 幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り 主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する 3 研究の計画 <1 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉える 教育課程 指導計画を見直す <2 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉え その要因につ

ハンドブックp10-14:東京都教育委員会

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

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幼児教育とは: 幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂を受けて

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幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続の在り方について ( 報告 ) ( 概要 ) 子どもの発達や学びの連続性を踏まえた幼児期の教育 ( 幼稚園 保育所 認定こども園における教育 ) と児童期の教育 ( 小学校における教育 ) の円滑な接続の在り方について検討し 以下のとおり 報告をとりまとめた 1

1 国の動向 平成 17 年 1 月に中央教育審議会答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について が出されました この答申では 幼稚園 保育所 ( 園 ) の別なく 子どもの健やかな成長のための今後の幼児教育の在り方についての考え方がまとめられています この答申を踏まえ

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

2 教育及び保育の 標 Q17 認定こども園法第 9 条に規定する6つの教育及び保育の目標の達成に努めるとともに これらが満 3 歳未満の園児の保育にも当てはまることを理解している Q18 第 2 教育及び保育の内容に関する全体的な計画の作成 教育及び保育の内容に関する全体的な計画は 教育及び保育を

高松っ子いきいきプラン策定の趣旨 本プランは, 就学前の子どもが幼稚園 保育所 幼保一体化施設など, どこに在籍していても, 等しく質の高い教育 保育を受けられるよう, 各施設が積み上げてきたものを生かしつつ, 今後, 重点的に取り組むための方針や具体的な取り組みを示しています さらに小学校との連携

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

エコポリスセンターとの打合せ内容 2007

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を生かした環境を構成することも求められます 3 安全で保健的な環境次に 施設などの環境整備を通して 保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること としています 子どもの健康と安全を守ることは保育所の基本的かつ重大な責任です 全職員が常に心を配り 確認を怠らず 子どもが安心 安全に過ごせる保育の環境

保育所保育指針の改定に関する中間とりまとめ 平成 28 年 8 月 2 日 社会保障審議会児童部会保育専門委員会

第2節 茨木市の現況

第3部 次世代育成支援対策(前期行動計画) 第3章 子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備

はじめに P1 Ⅰ 豊後大野市幼児教育の現状と課題 P2~3 1 幼児数の変遷... P2 2 幼児教育の現状... P2~3 3 幼児教育の課題... P3 Ⅱ 豊後大野市幼児教育の基本方針 P4~7 1 豊後大野市幼児教育の基本... P4 2 豊後大野市幼児教育のねらい... P5 (1) 育

基本方針 これまでも幼稚園は幼稚園教育要領に 保育園は保育所保育指針に基づいた幼児教育 保育を展開してきた また 平成 20 年 3 月の大幅な改定により 3 歳児から5 歳児の教育に関する内容では整合性が図られている しかし 統一されたカリキュラムがないことで 幼稚園と保育園の内容に違いがあるかの

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【160420】とりまとめイメージ目次

61.8%

1 幼児期の教育 保育と小学校教育の違い 幼児期の教育 保育と小学校の教育では 発達の段階の違いだけでなく 教育課程等の違いもあります まずは相互を理解することが必要です 幼児期の教育 保育と小学校教育との間には このように教育課程や指導方法の相違点がある一方で 5 歳児から小学校低学年までの発達の

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保育所保育指針

保育の内容の見直しを行い 改善を図ること 指導計画を作成することは子どもの生活を見通してデザインしていくことですが それは 保育の過程 という考え方で理解することができます 保育実践は子どもの生活実態を理解することから始まります そしてその生活を見通して作成した指導計画をもとに 保育を柔軟に実践して

目次 第 1 章策定の趣旨 1 第 2 章現状と課題 2 第 3 章基本理念と基本目標 4 第 4 章基本方針 6 第 5 章担い手とその役割 10 用語の定義 本指針において使用する用語の定義は以下のとおりとします 乳幼児期 生後から小学校に入る前まで 幼児期 概ね3 歳から小学校に入る前 幼児教

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目 次 序章 1 1 保育所保育指針とは何か 1 2 保育所保育指針の基本的考え方 2 3 改定の背景及び経緯 2 4 改定の方向性 4 5 改定の要点 7 第 1 章総則 11 1 保育所保育に関する基本原則 12 (1) 保育所の役割 12 (2) 保育の目標 18 (3) 保育の方法 21 (

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基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

平成 29 年度児童発達支援センターバンビ事業計画 1. 基本方針 児童発達支援センターバンビは相模原市南区の発達障害児の療育を遂行するため 以下の基本理 念 療育基本指針に則りサービスを提供する 1) 基本理念 1 児童一人ひとりに対する丁寧な 根拠 ある療育相模原療育園の医療スタッフとの連携によ

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

教育調査 ( 教職員用 ) 1 教育計画の作成にあたって 教職員でよく話し合っていますか 度数 相対度数 (%) 累積度数累積相対度数 (%) はい どちらかといえばはい どちらかといえばいいえ いいえ 0

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(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

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3 平成 29 年 3 月に幼稚園教育要領 保育所保育指針 幼保連携型認定こども園教育 保育要領が改訂され 来年度から全面実施されます 新幼稚園教育要領等では 改訂の基本的な方針として 1) 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 の明確化 健康な心と体 自立心 協同性 道徳性 規範意識の芽生え 社会生

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基本施策情報活用能力の育成を図ります 幼児教育の推進 にあたっては 幼児期が生涯の人格形成の基礎を培う大切な時期であるとの認識のもと 子どもたちの心身の発達に資する質の高い幼児教育を推進します 2 人との絆や自然との関わりの中で伸びゆく豊かな心の育成 子どもたちが生命を大切にする心や思いやりの心 感


目 次 1. 策定の趣旨 2 2. 基本理念 2 3. 計画の期間及び推進状況の把握 2 4. 計画の対象 2 5. 第 1 次計画 における成果と課題 2 (1) 成果 2 (2) 課題 3 6. 計画の全体構想図 3 7. 推進事業 4 (1) 家庭における読書活動の推進 4 (2) 地域 図書

説明会の内容 1 事業計画について 1 2 認定こども園について 2 3 認定こども園での教育 保育について 3 4 認定こども園の概要 ( 案 ) について 1 施設の所在等 2 施設の規模 3 開園時期 4 主な配置施設 5 5 認定区分 6 保育日及び保育時間 7 利 定員 6 8 認定区分に

総合的な学習の時間とカリキュラム・マネジメント

目 次 1 実施方針策定の趣旨 P. 1 2 振興計画に基づく取組みと求められる対応 P. 1 (1)Ⅰ 期期間中の取組み (2) 新制度のもと求められる対応 3 当面の実施方針 P. 2 (1) 基本となる考え方 (2) 当面の実施方針 4 新制度のもとでの市立幼稚園 P. 3 (1) 市立幼稚園

どこでもかんがえるあそびシリーズ 教材例 4月号 をさがしてみよう 4 5歳向けの すてっぷ 講座には 数 論理プログラム 5 6歳向けの じゃんぷ 講座の総 合コースには 自分なりに考える力プログラム を用意し 視点や立場を変えて複数の視点から考える習 慣や 論理的に順序立てて関連づけながら考えて

【参考資料1】審議のまとめ反映版


幼保連携型認定こども園教育・保育要領(平成26年内閣府・文部科学省・厚生労働省告示第1号)

(1) 教職課程コアカリキュラム と 保育士養成課程を構成する各教科目の目標及び教授内容 の両方の内容を踏まえてシラバスを作成教職課程コアカリキュラムは 教育職員免許法及び同法施行規則に基づき全国すべての大学の教職課程で共通的に修得すべき資質能力を示すもの であり 各大学においては 教職課程コアカリ

幼保連携型認定こども園教育・保育要領告示文

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平成 30 年度なごや小学校努力点推進計画 1 研究主題なかまとともに感性輝くなごやっ子 (1 年次 ) 2 研究主題について本校では 昨年度までの努力点研究において 道徳や特別活動の時間を中心に 子ども一人一人の成長と互いの認め合いをめざすことで 子ども自らが なごや小でよかった と感じられるよう

ひと くらし みらいのために 厚生労働省 Ministry of Health Labour and Welfare 保育所保育指針の改定について 平成 29 年 7 月 厚生労働省子ども家庭局保育課 1

全身運動がなめらかになり ボールをつきながら走ったり 跳び箱を跳んだり 竹馬に乗るなど様々な運動に意欲的に挑戦するようになります 同時に細かな手の動きが一段と進み 自分のイメージしたように描いたり ダイナミックな表現とともに細やかな製作をするなど 様々な方法で様々な材料や用具を用いて工夫して表現する

1

地域子育て支援拠点事業について

人権教育の推進のためのイメージ図

自己決定の場を設定する 自己存在感を持たせる 共感的な人間関係を育成する準備活動のどの場面で どの子どもを生かすのか 見通しを持って授業に臨む 導入の場面する 深める場面り返りの場面2 確かな学力の育成 複雑で変化の激しい現代社会に子どもたちが主体的に関わり よりよい社会を創造していくためには 一人

第 2 第 3 第 4 食育の推進 環境及び衛生管理並びに安全管理 災害への備え 第 4 章第 1 第 2 第 3 子育ての支援子育ての支援全般に関わる事項幼保連携型認定こども園の園児の保護者に対する子育ての支援地域における子育て家庭の保護者等に対する支援 - 2 -

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農山漁村での宿泊体験活動の教育効果について

目次 第 1 章策定の趣旨 1 第 2 章子どもの育ちをめぐる課題 2 第 3 章基本理念と基本目標 4 第 4 章基本方針 6 第 5 章担い手とその役割 9 用語の定義 本指針において使用する用語の定義は以下のとおりとします 乳幼児期 生後から小学校に入る前まで 幼児期 概ね3 歳から小学校に入

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資料6 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の再整理イメージ(たたき台)


幼児教育部会における審議の取りまとめ

履修モデル 1 短期大学士 ( ) 二種免許状 保育士 認定ベビーシッター の区分 資格 単位数保育士 資格必要単位数 保育士 認定ベビーシッター 卒修業科選目択必 個々の学生の得意な分野を伸ばし 魅力のある保育者を育てる 子どもの保健 Ⅰ 1 必修 必修 4 保育原理 1 必修 必修 2 児童家庭

第1章 計画の目指すもの


第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

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1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

資料3 文部科学省説明資料

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幼稚園教育要領解説

目 次 第 1 章趣旨 1 第 2 章プログラムの位置付け 2 第 3 章基本的な考え方 2 第 4 章育てたい幼児像 3 第 5 章これまでの取り組み 3 第 6 章基本施策 5 1. 保育所 幼稚園 認定こども園等における充実した幼児教育の提供 2. 発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実

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幼児教育概要版案 xbd

利用者負担額 ( 保育料 ) の他にかかる費用の概要 正色第一保育園 施設所在地 中川区下之一色町字中ノ切 631 電話番号 ( 問合せ先 ) 費目費用 対象者 実費徴収 日用品 文房具 の教育 保育に必要な物品の購入に関する費用 日用品費 文房具費 被服費 教材費 上記に該当

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平成 30 年 4 月 1 日 平成 30 年度 第 70 回 日本連合教育会研究大会 桐生大会 大会主題 分科会研究協議題 等 Ⅰ 大会主題及び大会主題設定の趣旨 Ⅱ 分科会研究協議題 研究協議題設定の理由 研究協議の視点 (1) 第 1 分科会国語 (2) 第 2 分科会 社会 (3) 第 3

第 1 章 札幌市幼児教育振興計画の策定 本計画は 主に幼稚園教育を対象とする 本計画は 平成 18 年度から概ね10 年間を計画期間とし 今後はこの方向性に基づいて早期に具体的な施策 ( アクションプログラム ) を打ち出していく 本計画は 社会情勢の変化などに対応し 必要に応じて計画の見直しを行

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資料 2 乳児期からの幼児教育について 大阪総合保育大学 大方美香

背景 ( 保育をめぐる近年の状況 ) 量 と 質 の両面から子どもの育ちと子育てを社会全体で支える 子ども 子育て支援新制度 の施行 ( 平成 27 年 4 月 ) 子育て世帯における子育ての負担や孤立感の高まり 児童虐待相談件数の増加 (42,664 件 (H20) 103,286 件 (H27)) 等 0~2 歳児を中心とした保育所利用児童数の増加 (1 2 歳児保育所等利用率 27.6%(H20) 38.1%(H2 7))

3 歳未満児の保育 この時期は他者との関わりを初めて持ち その中で自我が形成されるなど 子どもの心身の発達にとって極めて重要な時期 この時期の保育の在り方は その後の成長や社会性の獲得等にも大きな影響与える 社会情動的スキル ( いわゆる非認知的能力 ) を乳幼児期に身に付けることが 大人になってからの生活に大きな差を生じさせるといった研究成果などから 乳幼児期 とりわけ 3 歳未満児の保育の重要性への認識が高まってきた

基本的信頼感の形成 乳児 (0 歳 ) から 2 歳児までの時期には 保護者や保育士など特定の大人との間で愛着関係が形成され 食事や睡眠などの生活リズムも形成されていく また この時期は 周囲の人や物 自然など様々な環境との関わりの中で 自己という感覚や 自我を育てていく時期でもある 乳児期からの保育の積み重ねは その後の成長や生活習慣の形成 社会性の獲得にも大きな影響を与えるものであり 子どもの主体性を育みながら保育を行うことが重要である また 保育士等との信頼関係の構築により基本的信頼感を形成することは 生涯を通じた自己肯定感や他者への信頼感 感情を調整する力 粘り強くやり抜く力などの いわゆる非認知的能力を育むことにもつながるものであり 保育士等が子どものサインを適切に受け取り 子どもたちの自己選択を促しつつ 温かく応答的に関わっていくことが重要である

保育者の質の重要性 保育の質の影響については 一貫してその質は 3 歳までのところでその発達に影響を与えていた 保育者の行動 特に言語刺激の量は子どもの影響があり 特には母親への影響が大きい 文献 (NICHD Early Child Care Research Network,2005)

保育所保育指針について 第 1 章 ~ 第 5 章で構成 保育所における保育の内容及びこれに関連する運営に関する事項を定める 厚生労働大臣告示 ( 平成 29 年 3 月 31 日告示 平成 30 年 4 月 1 日適用 ) 6 第 1 章 総則 第 3 章 健康及び安全 保育所保育が幼児教育の重要な一翼を担っていること等も踏まえ 4. 幼児教育を行う施設として共有すべき事項 を定めるなど 保育所保育の基本となる考え方について記載 1. 保育所保育に関する基本原則 2. 養護に関する基本的事項 3. 保育の計画及び評価 4. 幼児教育を行う施設として共有すべき事項 子どもの育ちをめぐる環境の変化を踏まえ 食育の推進 安全な保育環境の確保等について記載 1. 子どもの健康支援 2. 食育の推進 3. 環境及び衛生管理並びに安全管理 4. 災害への備え 第 4 章 子育て支援 第 2 章 保育の内容 保護者と連携して 子どもの育ち を支えることを基本として 保育所が行う子育て支援の役割等について記載 乳児 3 歳未満児 3 歳以上児の保育について それぞれ ねらい及び内容を記載 特に 3 歳以上児の保育について 幼稚園 認定こども園との整合性を確保 1. 乳児保育に関わるねらい及び内容 健やかに伸び伸びと育つ 身近な人と気持ちが通じ合う 身近なものと関わり感性が育つ という視点から記載 2.1 歳以上 3 歳未満児の保育に関わるねらい及び内容 健康 人間関係 環境 言葉 表現 の 5 領域の視点から記載 3.3 歳以上児の保育に関わるねらい及び内容 健康 人間関係 環境 言葉 表現 の 5 領域の視点から記載 4. 保育の実施に関して留意すべき事項 1. 保育所における子育て支援に関する基本的事項 2. 保育所を利用している保護者に対する子育て支援 3. 地域の保護者等に対する子育て支援 第 5 章 職員の資質向上 職員の資質 専門性の向上について キャリアパスを見据えた研修機会の充実なども含め記載 1. 職員の資質向上に関する基本的事項 2. 施設長の責務 3. 職員の研修等 4. 研修の実施体制等

2. 改定の方向性を踏まえた構成の見直し 第 1 章 総則 1 保育所保育に関する基本原則 2 養護に関する基本的事項 3 保育の計画及び評価 4 幼児教育を行う施設として共有すべき事項

第 2 章 保育の内容 1 乳児保育に関わるねらい及び内容 21 歳以上 3 歳未満児の保育に関わるねらい及び内容 33 歳以上児の保育に関わるねらい及び内容 4 保育の実施に関して留意すべき事項

2. 改定の方向性を踏まえた構成の見直し 第 3 章 健康及び安全 1 子どもの健康支援 2 食育の推進 3 環境及び衛生管理並びに安全管理 4 災害への備え

第 4 章 子育て支援 1 保育所における子育て支援に関する基本的事項 2 保育所を利用している保護者に対する子育て支援 3 地域の保護者等に対する子育て支援

大人社会の変化は? 子どもの生活の変化は? 子どもの身体性は? 大人社会の何が変わった? 子どもの言語は? 子どもの貧困は? 子どもが出会う大人は? 子どもの食事は? バリアフリーは? 大人の生活は?

乳幼児の家庭と文化を尊重する 生活文化的な差異に 応答する保育をすること

子どもの生活 遊び 13 遊び活動 目的活動 ( 意図的 ) ( 計画的 ) 大人の働きかけ 身体性の発達 人と関わる力の獲得 言葉の力の獲得 生活技能の獲得 総合的 精神性の発達 ( 情動交流 ) な 生活活動 情動交流 遊びこむ力の獲得 育 ち

発達過程は 人間が育っていく道程

乳児 幼児 幼児期のおわり 就学 乳児保育と 3 歳未満児の保育の姿と 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を提示する 満 3 歳はそれに向けて発達していく過程としてとらえる 年長後半から小学校へはその内容の主なところの発展としてとらえる

小以学上校 幼 児 教 育 幼児教育において育みたい資質 能力の整理 知識 技能思考力 判断力 表現力等学びに向かう力 人間性等 下に示す資質 能力は例示であり 遊びを通しての総合的な指導を通じて育成される 環 境 を 通 し て 行 う 教 育 知識 技能の基礎 ( 遊びや生活の中で 豊かな体験を通じて 何を感じたり 何に気付いたり 何が分かったり 何ができるようになるのか ) 基本的な生活習慣や生活に必要な技能の獲得 身体感覚の育成 規則性 法則性 関連性等の発見 様々な気付き 発見の喜び 日常生活に必要な言葉の理解 多様な動きや芸術表現のための基礎的な技能の獲得 等 遊びを通しての総合的な指導 思いやり 安定した情緒 自信 相手の気持ちの受容 好奇心 探究心 葛藤 自分への向き合い 折り合い 話合い 目的の共有 協力 色 形 音等の美しさや面白さに対する感覚 自然現象や社会現象への関心等 試行錯誤 工夫 予想 予測 比較 分類 確認 他の幼児の考えなどに触れ 新しい考えを生み出す喜びや楽しさ 言葉による表現 伝え合い 振り返り 次への見通し 学びに向かう力 人間性等 ( 心情 意欲 態度が育つ中で いかによりよい生活を営むか ) 思考力 判断力 表現力等の基礎 ( 遊びや生活の中で 気付いたこと できるようになったことなども使いながら どう考えたり 試したり 工夫したり 表現したりするか ) 自分なりの表現 表現する喜び等 三つの円の中で例示される資質 能力は 五つの領域の ねらい及び内容 及び 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 から 主なものを取り出し 便宜的に分けたものである

1. 保育所保育指針の改定の方向 (1) 乳児 1 歳以上 3 歳未満児の保育に関する記載の充実 特に乳児保育 (1 歳未満 ) については 身近な人と気持ちが通じ合う 身近なものと関わり感性が育つ 健やかに伸び伸びと育つ

0 歳児の保育内容の記載のイメージ 言葉 表現 養 身近な人と気持ちが通じ合う 身近なものと関わり感性が育つ 護 人間関係 健やかに伸び伸びと育つ 環境 健康 生活や遊びを通じて 子どもたちの身体的 精神的 社会的発達の基盤を培う 乳児保育については 生活や遊びが充実することを通して 子どもたちの身体的 精神的 社会的発達の基盤を培うという基本的な考え方を踏まえ 乳児を主体に 身近な人と気持ちが通じ合う 身近なものと関わり感性が育つ 健やかに伸び伸びと育つ という視点から 保育の内容等を記載 保育現場で取り組みやすいものとなるよう整理 充実 身近な人と気持ちが通じ合う という視点からは 主に現行指針の 言葉 人間関係 の領域で示している保育内容との連続性を意識しながら 保育のねらい 内容等について整理 記載 乳児からの働きかけを周囲の大人が受容し 応答的に関与する環境の重要性を踏まえ記載 身近なものと関わり感性が育つ という視点からは 主に現行指針の 表現 環境 の領域で示している保育内容との連続性を意識しながら 保育のねらい 内容等について整理 記載 乳児が好奇心を持つような環境構成を意識して記載

19 幼児教育意図的 計画的な人的 物的な環境の構成小学校以上教師の幼児一人一人の特性に応じた 発達の課題に即した指導各教科 領域等の特質に応じた 見方や考え方 遊びや生活を通した総合的な指導領域 表現 領域 人間関係 総合的な 見方や考え方 の育成領域 環境 領域 健康 領域 言葉 幼児教育の特質に応じた総合的な 見方や考え方 は 体験的理解や言葉などを基盤として育まれる 健康で安全な生活をつくり出す視点から捉え いろいろな状況に思い巡らせ 心や体を働かせること 自立心を育て 人と関わる視点から捉え 他の人々と親しみ 思いを巡らせ支えあって生活すること 豊かな感性や表現する力を養い 創造性を豊かにする視点から捉え 感じたことや考えたことなどを表現すること 言葉に対する感覚や言葉で表現する視点から捉え 経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現すること 周囲の環境に好奇心や探究心を持って関わり 生活に取り入れていこうとする視点から捉え 考えたり扱ったりすること 幼児期においては子供の発達の特性を踏まえ 身の回りの様々な事象を各領域の観点から個別的に捉えるのではなく 各領域の視点を併せ持つ 総合的な見方や考え方で事象を捉えることを目指している 便宜的に各領域の見方や考え方を示すと以下のとおりとなる

学びに向かう力 人間性等 ( 心情 意欲 態度が育つ中で いかによりよい生活を営むか ) 思いやり 安定した情緒 自信 相手の気持ちの受容 好奇心 探究心 話合い 目的の共有 協力 葛藤 自分への向き合い 折り合い 自然現象や社会現象への関心 幼児教育 環 境 を 通 し て 行 う 教 育 基本的な生活習慣や生活に必要な技能の獲得 身体感覚の育成 規則性 法則性 関連性等の発見 様々な気付き 発見の喜び 日常生活に必要な言葉の理解 多様な動きや芸術表現のための基礎的な技能の獲得 等 色 形 音等の美しさや面白さに対する感覚 遊びを通しての総合的な指導 知識 技能の基礎 ( 遊びや生活の中で 豊かな体験を通じて 何を感じたり 何に気付いたり 何が分かったり 何ができるようになるのか ) 等 予想 予測 比較 分類 確認 他の幼児の考えなどに触れ 新しい考えを生み出す喜びや楽しさ 試行錯誤 工夫 振り返り 次への見通し 表現する喜び等 言葉による表現 伝え合い 自分なりの表現 思考力 判断力 表現力等の基礎 ( 遊びや生活の中で 気付いたこと できるようになったことなども使いながら どう考えたり 試したり 工夫したり 表現したりするか )

36 ヶ月の発達過程における 身体性 精神性の育ち 成長 発達 情動交流 大人との関係多様な影響を理解する

学びに向かう力 人間性等 ( 心情 意欲 態度が育つ中で いかによりよい生活を営むか ) 思いやり 安定した情緒 自信 相手の気持ちの受容 好奇心 探究心 話合い 目的の共有 協力 葛藤 自分への向き合い 折り合い 自然現象や社会現象への関心 幼児教育 環 境 を 通 し て 行 う 教 育 基本的な生活習慣や生活に必要な技能の獲得 身体感覚の育成 規則性 法則性 関連性等の発見 様々な気付き 発見の喜び 日常生活に必要な言葉の理解 多様な動きや芸術表現のための基礎的な技能の獲得 等 色 形 音等の美しさや面白さに対する感覚 遊びを通しての総合的な指導 知識 技能の基礎 ( 遊びや生活の中で 豊かな体験を通じて 何を感じたり 何に気付いたり 何が分かったり 何ができるようになるのか ) 等 予想 予測 比較 分類 確認 他の幼児の考えなどに触れ 新しい考えを生み出す喜びや楽しさ 試行錯誤 工夫 振り返り 次への見通し 表現する喜び等 言葉による表現 伝え合い 自分なりの表現 思考力 判断力 表現力等の基礎 ( 遊びや生活の中で 気付いたこと できるようになったことなども使いながら どう考えたり 試したり 工夫したり 表現したりするか )

成長し 健康であること 発達と学びのねらい : 身体的に成長し 発達する 安全に生活する 健全な習慣を身につける 集団におけるルールや望ましい行動を学ぶ 微細 粗大筋肉をコントロールし バランスがとれるようになる

学びに向かう力 人間性等 ( 心情 意欲 態度が育つ中で いかによりよい生活を営むか ) 思いやり 安定した情緒 自信 相手の気持ちの受容 好奇心 探究心 話合い 目的の共有 協力 葛藤 自分への向き合い 折り合い 自然現象や社会現象への関心 幼児教育 環 境 を 通 し て 行 う 教 育 基本的な生活習慣や生活に必要な技能の獲得 身体感覚の育成 規則性 法則性 関連性等の発見 様々な気付き 発見の喜び 日常生活に必要な言葉の理解 多様な動きや芸術表現のための基礎的な技能の獲得 等 色 形 音等の美しさや面白さに対する感覚 遊びを通しての総合的な指導 知識 技能の基礎 ( 遊びや生活の中で 豊かな体験を通じて 何を感じたり 何に気付いたり 何が分かったり 何ができるようになるのか ) 等 予想 予測 比較 分類 確認 他の幼児の考えなどに触れ 新しい考えを生み出す喜びや楽しさ 試行錯誤 工夫 振り返り 次への見通し 表現する喜び等 言葉による表現 伝え合い 自分なりの表現 思考力 判断力 表現力等の基礎 ( 遊びや生活の中で 気付いたこと できるようになったことなども使いながら どう考えたり 試したり 工夫したり 表現したりするか )

保育の計画及び評価 子ども理解 目標 ねらい 保育内容: 生活 遊び ( 活動 ) 保育者のかかわり( 環境含む ) 振り返り

年間指導計画から保育実践へ 保育の ねらい とは 内容 とは

どのような体験が乳児期に必要 ~ 人として ~ 全体的な計画保育の計画及び評価食育計画 子育て支援計画 防災計画 地域交流計画 他