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市町村合併の推進状況について

1 地域主権改革 Q1-6 市町村の人口規模はどのぐらいが適正かについて どういう議論があるのですか A1-6. 市町村の適正な人口規模について 大阪府自治制度研究会 においては 次のような検証 とりまとめがされています 検証 効率的な行政運営 備えるべき組織体制 望ましい行政サービス提供の 3 つ

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資料 1

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地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第7次地方分権一括法)の概要

税源配分及び財政調整 < 税源配分 > 特別区と大阪府の事務分担に応じて財源を配分するとともに 特別区間の税源偏在の解消を図るために必要な税財源を大阪府の税源として配分 特別区税 大阪府が賦課徴収する税を除く市町村税( 個人市町村民税 市町村たばこ税 軽自動車税等 ) 大阪府税 市町村税のうち法人市

市町村合併の推進状況について

資料1 第3回災害救助に関する実務検討会における意見に対する回答

私立幼稚園の新制度への円滑移行について

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3. さいたま市議会の議決すべき事件等に関する条例 ( 目的 ) 第 1 条この条例は さいたま市議会基本条例 ( 平成 21 年さいたま市条例第 55 号 ) 第 25 条の規定の趣旨にのっとり 市行政における基本的な計画の策定等を地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 96 条第

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

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- 2 - 項五その他本会の目的を達成するために必要な事項(役員)第五条本会に次の役員を置く 会長一名副会長七名以内理事七名監事三名(役員の任期)第六条役員の任期は 二年とする ただし 任期満了後も 新役員が選任されるまでの間は 引き続きその職務を行うものとする 2補欠により選任された役員の任期は

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調査実施概況 小学校 ( 都道府県 ( 指定都市除く )) 教育委員会数 ( 1) 学校数児童数 ( 2) 全体 実施数 調査対象者在籍学校数 実施数国語 A 国語 B 主体的 対話的で深い学びに関する状況 ( 3) 算数 A 算数 B 質問紙 平均正答率 13~15 問 国語

H28秋_24地方税財源

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2 農業委員会の運営 2 農業委員会は 市町村長が議会の同意を得て任命した 農業委員 で組織され 農業委員は 合議体としての意思決定 ( 農地の権利移動の許可 不許可の決定など ) を担当 農業委員会は 農地利用最適化推進委員 ( 以下 推進委員 という ) を委嘱し 推進委員は 担当区域における農

子ども・子育て支援新制度の解説資料 1.制度概要 その1

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第2章

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1 RESAS地域経済分析システム人口構成() 人口構成の表示内容 人口構成表示年で選択した年の総人口のヒートマップです 全国を表示する を選択すると 日本全国の地図が表示されます 都道府県単位で表示する を選択すると 指定地域 で選択している都道府県を中心とした縮尺で地図が拡大表示されます 市区町

流山市子ども・子育て会議

新潟の発展 成長 日本海側での更なる拠点性の向上 県市連携による地域活性化 新潟にふさわしい自治制度 二重行政 二元行政の見直しによる行政の効率化 高度な行政機能の全県への波及 基礎自治体における更なる自治権の強化 2 具体例からのアプローチ 新潟州構想の検討にあたっては, 現在提案されている各地


都道府県別の互助会等への公費支出額互助会等への公費支出額 ( 単位 : 百万円 ) 会員一人当たりの公費支出額 ( 単位 : 円 ) 北海道 1,531 1, ,257 16, % 24.8% 0.0% 0.0% 0.0% 0.

 

平成 24 年度職場体験 インターンシップ実施状況等調査 ( 平成 25 年 3 月現在 ) 国立教育政策研究所生徒指導 進路指導研究センター Ⅰ 公立中学校における職場体験の実施状況等調査 ( 集計結果 ) ( ) は 23 年度の数値 1 職場体験の実施状況について ( 平成 24 年度調査時点

「公立小・中・高等学校における土曜日の教育活動実施予定状況調査」調査結果

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

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新潟県 富山県 2. 派遣場所の 3. 期間の具体性 4. 議決方法備考具体性 当県では県内派遣の場合は市町村名 国内 ( 県外 ) 派遣の場複数の派遣をとりまとめて議合は都道府県名 国決外派遣の場合は州等の名称まで記載している 市町村まで 国内の場合は都道府県名複数の派遣をとりまとめて議まで 海外

体罰の実態把握について(セット)公表資料250423

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改正法律一覧 (15 法律 ) 2 法律重複 A 地方公共団体への事務 権限の移譲 (3 法律 ) 毒物及び劇物取締法 1 毒物又は劇物の原体の事業者の登録等に係る事務 権限を国から都道府県へ移譲 就学前の子どもに関する教育 保育等の総合的な提供の推進に関する法律 子ども 子育て支援法 2 幼保連携

福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律 について <1. 特定復興再生拠点区域の復興及び再生を推進するための計画制度の創設 > 従来 帰還困難区域は 将来にわたって居住を制限することを原則とした区域 として設定 平成 29 年 5 月復興庁 地元からの要望や与党からの提言を踏まえ 1 帰還困難区

○ 第1~8表、図1~4(平成25年度公立学校教員採用選考試験の実施状況について)

< 目的 > 専ら被保険者の利益 にはそぐわない目的で運用が行われるとの懸念を払拭し 運用に対する国民の信頼を高める 運用の多様化 高度化が進む中で 適切にリスクを管理しつつ 機動的な対応を可能に GPIF ガバナンス強化のイメージ ( 案 ) < 方向性 > 1 独任制から合議制への転換基本ポート

☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

平成 27 年の救急出動件数等 ( 速報 ) 消防庁

包括規定 案

農業委員会法改正の全体像 農業委員会が その主たる使命である 農地利用の最適化 ( 担い手への集積 集約化 耕作放棄地の発生防止 解消 新規参入の促進 ) をより良く果たせるようにする 農業委員会 都道府県農業会議 全国農業会議所 農業委員会業務の重点化 農業委員会の業務の重点は 農地利用の最適化の

活動状況調査

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連携中枢都市圏の意義とは 連携中枢都市圏の取組の推進 地域において 相当の規模と中核性を備える圏域において市町村が連携し コンパクト化とネットワーク化により 人口減少 少子高齢社会においても一定の圏域人口を有し活力ある社会経済を維持するための拠点を形成 連携中枢都市圏に何が求められているのか 1 圏

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(3) 続いて 部会構成員で議論を行った 論点ごとの主な意見等は以下のとおりである ( : 部会構成員の意見 ) 1 総論的な事項 ⅰ 権限移譲等を検討するに当たっては マクロ的な課題 ( 農地の総量確保の仕組みなど ) とミクロ的な課題 ( 個々の農地転用 農振除外など ) に整理して考えるべきで

11 m2~15 m2 7m2~10 m2 6m2以下 1 級地別記 7 別記 8 別記 9 2 級地別記 7 別記 8 別記 9 3 級地別記 7 別記 8 別記 9 ただし 次に掲げる当該世帯の自立助長の観点から引き続き当該住居等に居住することが必要と認められる場合又は当該地域の住宅事情の状況に

資料4_1いじめ防止対策推進法(概要)

01 【北海道】

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教員評価システムの取組状況(その1)~(その3)

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地域子育て支援拠点事業について

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2 都市的税目に乏しい市町村税 市町村税は 法人所得課税 消費 流通課税といった経済活動を反映する都市的税目に乏しいため 増大する都市的財政需要に市税収入が対応しきれない大きな要因となっています 都市的税目の割合比較 ( 平成 22 年度 ) 100% 80% 37.7% 34.9% 60% 資産課

NEWS 2020 速報 の一部を改正する法律案 REPORT 総会の様子 2025 GDP 3 02 vol

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長期総合計画の計画的推進について < 部経営上の課題 取組方針 > H19 年度の各部の経営上の課題 取組方針の協議 < 行政改革 > 財政 人事など経営資源の現状分析 把握 課題についての対処方法の検討 行政改革実施計画の見直し <サマーレビュー > 懸案施策 事業の協議 < 実施計画 > 今後

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農地中間管理機構 ( 仮称 ) の制度の骨格 ( 案 ) 資料 農地中間管理機構の指定都道府県のコントロールの下に適切に構造改革 生産コスト引下げを推進するため 都道府県段階に設置する 1 都道府県知事は 農地中間管理事業を公平かつ適正に行うことができる法人 ( 地方公共団体の第 3セク

併せて 先進事例を統一的なフォーマットでデータベース化する また 意欲ある地域が先進的な取組みを行った人材に 目的に応じて容易に相談できるよう 内閣官房において 各省の人材システムを再点検し 総合的なコンシェルジュ機能を強化する 各種の既存施策に加え 当面 今通常国会に提出を予定している 都市再生法

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平成 26 年 3 月 28 日 消防庁 平成 25 年の救急出動件数等 ( 速報 ) の公表 平成 25 年における救急出動件数等の速報を取りまとめましたので公表します 救急出動件数 搬送人員とも過去最多を記録 平成 25 年中の救急自動車による救急出動件数は 591 万 5,956 件 ( 対前

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第16回 提案募集検討専門部会 参考資料2

かなければならず 防犯カメラ設置運用基準に防犯カメラ取扱責任者の設置及び指定に関することについて定めること ( 防犯カメラ設置運用基準の届出等 ) 第 5 条防犯カメラ設置運用基準の届出をしようとする者は 防犯カメラを設置しようとする日の14 日前までに 防犯カメラ設置運用基準届 ( 別第 1 号様

中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律

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別添2 乳児家庭全戸訪問事業の実施状況

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平成 2 4 年 ( 年 ) 1 0 月 1 7 日 選挙管理委員会決 定 期日前投票所の設置についての考え方 1 はじめに中野区選挙管理委員会では 区役所本庁舎の不在者投票所以外に 本庁舎までの交通不便地域の選挙人の利便を図るため 平成 5 年に執行された東京都議会議員選挙において

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一について人口密集地域であり 簡易宿所が密集する地域を抱えていることから 全国的に見てもいわゆるホームレスの数が多い地域であると推測される東京都(特別区の区域に限る ) 川崎市 横浜市 名古屋市及び大阪市における野宿生活者等の数について各地方公共団体に聴取したところ それぞれの地方公共団体で 野宿生

コンパクト プラス ネットワークの形成 1

弦打校区コミュニティ協議会会則 ( 名称及び組織 第 1 条この会は, 弦打校区コミュニティ協議会 ( 以下 協議会 という ) と称し, 協議会の区域内に居住する個人および所在する法人ならびに別表 ( 組織図 ) に掲げる構成団体等で組織する ( 目的 ) 第 2 条協議会は, 住みよい地域社会の

中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律第 7 条第 1 項に規定する説明書類 奄美信用組合 奄美信用組合は 奄美地区における金融の円滑化への取り組みをこれまで以上に強化するとともに その取り組み姿勢をお客様にご理解していただき 借入の条件変更等に関する ご要望 ご相談に迅速

< 意見の詳細 > A. 大阪都構想のしくみ (2012 年の根拠法 協定書などによる ) 重要問題の決定権は市民から遠ざかり 身近な問題は近くなる B. あまり知られていない重要な客観的事実 ( 推進派にとって不利な情報ではあるが ) 1. 都構想 と呼ぶが 実は 大阪府の名前は府のままで都にはな

つに分けて契約した事態について内部牽制が機能していなかった イ 監査の状況 監事 監査室 経理課総務監査係等 公認会計士の各監査機関等において 監査対象の重複 漏れが極力生じないよう 各監査機関等が監査計画を調整するなどして 効率的 効果的な監 査を行うことが必要だが いずれの監査機関等も 本件の契

施策の体系 本目標3 地域力と行政の連携がつくる人と地球に優しいまち179

3. 同意要件との関係宿泊税について 不同意要件に該当する事由があるかどうか検討する (1) 国税又は他の地方税と課税標準を同じくし かつ 住民の負担が著しく過重となること 1 課税標準宿泊行為に関連して課税される既存の税目としては 消費税及び地方消費税がある 宿泊税は宿泊者の担税力に着目して宿泊数

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

持続可能な自治会活動に向けた男女共同参画の推進について(概要)

Microsoft Word - 第二章

はじめに 都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域は 都市再生特別措置法 ( 平成 14 年 4 月 5 日公布 平成 14 年 6 月 1 日施行 以下 法 という ) に基づき 国が政令で指定するものです 1 都市再生緊急整備地域 趣旨 都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上を図るため

空き家の現状データ 参考資料 ⑴ 住宅数及び空き家数 表 1 住宅数の内訳 ( 資料 : 平成 25 年住宅 土地統計調査 ) 住宅数 居住世帯居住世帯なしあり総数一時現在者のみ建築中空き家 全国 60,628,600 52,102,200 8,526, ,800 88,100 8,19

27 年度 28 年度 ( 参考 )32 年度予定都道府県鉱区税 98.5% 100.0% 市町村KPI( 第二階層 ) 地方税の徴収率 向上 (2015 年度中に基準財政収入額算定上の 標準的な徴収率 を設定 ) 平成 28 年度より 地方税の実効的な徴収対策を行う地方自治体の徴収率を標準的な徴収

資料9

4 合併を選択した理由 合併を選択した理由は 直面する財政危機への対応よりも 将来に向けた行政体制の充実 強化や行政サービスの維持 向上 合併を選択した理由 地方分権時代にふさわしい基礎自治体としての行政体制の充実 強化を図るため 20 市町村 効率的 効果的な行財政運営により 行政サービスを維持


内部統制ガイドラインについて 資料

Transcription:

第 186 回国会衆議院総務委員会提出資料 地方自治法改正案に対する見解 ~ 区長公選制の選択による多様な大都市制度の実現 ~ 平成 26 年 4 月 24 日 大阪市長橋下徹

目 次 大阪の問題意識 1 ~ 総論 ~ 大阪の問題意識 2 ~ 広域行政のぶつかり合い ~ 大阪の問題意識 3 ~ 大都市における住民自治の不足 ( 民政赤字 )~ 大阪市における取り組み 区長公選制の意義と効果 まとめ 4 6 10 12 14 19

大阪の問題意識 1~ 総論 ~ 4 わが国の局面 世界レヘ ルの都市間競争が激化 日本のプレゼンスの低下 人口減少社会に突入 社会の変容 投資余力の減少 各都市が 都市間競争に打ち勝ち 本の成 を牽引するとともに 人口減少に対応し 地域にあった最適なサービスを提供できるようにしていく必要 ポイント 都市構造に即した広域行政の実現 二重行政の解消 地域レベルでの住民自治の充実

さらに今回の自治法改正は改革の第一歩 都市の実情にあった多様な制度へ 中枢性と能力供給性から見た 20 政令指定都市 相模原市 浜松市 静岡市岡山市 川崎市 堺市 熊本市 千葉市 能力供給性 3 2 1 北九州市 -1 新潟市 -2 神 市京都市さいたま市 札幌市福岡市 広島市 仙台市 横浜市 0-2 -1 0 1 2 3 4 名古屋市 能力供給性 製品出荷額の大きさや人口の流出などの指標と関連していて 中枢性の高い都市を引き立てる役割を担うという意味をあらわす軸 中枢性 昼夜間人口比の高さや事業所数の多さ 行政的なプレゼンスの高さ 広告や専門サービス事業者の多さなどの政治経済的な中心をあらわす軸 大阪市 中枢性 出典 : 北村亘 政令指定都市 ( 中公新書 ) 中央公論 (2013/12) 5

大阪の問題意識 2~ 広域行政のぶつかり合い ~ 6 狭隘な府域の中心に大阪市が存在 都市の集積 ( 人口 事業所等 ) は市域を超えて ほぼ府域全域に広がり 大阪では狭いエリアの中で 府と市 が広域行政を担当 二重行政 事業所集中エリアの状況 ( 大阪圏イメージ ) 大阪府 面積全国 46/4 7 位 ( 京都市 ) ( 神戸市 ) 大阪市 府域の中心に位置

~ 都市制度に関する私の基本認識 ~ 歴史的成り立ちや地理的特性 人口 経済などの状況を踏まえ 地域の実情にあった多様な大都市制度を自ら選択 ~ オーダーメイドの制度 大阪では府域全体で広域行政を一元化すべき ( いわゆる大阪都が最適との認識 ) 広域自治体と基礎自治体の役割分担の明確化 都市の集積と広がりにあわせて広域行政を一元化 住民自治が十分働き 迅速 きめ細かで総合的な住民サービスが行えるよう基礎自治機能を強化 一方で 都市の集積と広がりは様々 各指定都市の実情に応じた制度選択が可能となるべき (20 指定都市が同じ制度はナンセンス ) 7

参考 1: 二重行政について * 第 30 次地方制度調査会第 14 回専門小委員会資料より ( 一部修正 ) 大都市制度の課題として指摘される 二重行政 として 以下のような類型の事務をどう考えるか 1 重複型 : 任意事務で広域自治体と基礎自治体双方が実施しているものや 法定事務で双方に義務や努力義務が課されているもの 2 分担型 : 同一 類似事務について広域自治体 基礎自治体が事業規模等により役割分担をしているもの 3 関与型 : 基礎自治体が行う事務について広域自治体の関与が存在するもの 8 分類概要具体例 ( 指定都市と道府県に係るもの等 ) 1 重複型 ハード重複型 ソフト重複型 広域自治体と基礎自治体が ともに同一の公共施設を整備している 広域自治体と基礎自治体が ともに同一施策を実施している状況 公営住宅の整備 図書館 博物館の整備 体育館 プールの整備 助成等 中小企業支援 商店街振興 制度づくり等 地球温暖化対策 環境教育 男女共同参画 大阪の代表的事例 湾岸開発 ( 府 : りんくうゲートタワービル 市 : ワールドトレードセンタービル ) 等 2 分担型 同一又は類似した行政分野において 事業規模等により広域自治体と基礎自治体との間で事務 権限が分かれており 一体的な行政運営ができない状況 都市計画決定 ( 都市計画区域の整備 開発及び保全の方針 空港 上下水道等の都市施設等に係るものは道府県 それ以外は指定都市 ) 県費負担教職員 ( 給与負担 定数決定等 ( 道府県 ) と任免 給与決定等 ( 指定都市 )) 新型インフルエンザ対応 等 3 関与型 基礎自治体の事務処理に当たり広域自治体の関与等がある状況 指定都市立高等学校の設置 廃止等に係る道府県教育委員会の認可

参考 2: 経済団体等からの二重行政に対する指摘 提言 関西経済同友会 関西活性化のための大阪府と市の統合を H14 年 2 月 関西社会経済研究所 府県 政令市間の地方行財政効率化に関する調査報告書 H14 年 4 月 概要 府と市の統合による大阪州 ( グレーター大阪 ) の設置 大阪における新たな行政の枠組み構築 意義 効果 広域行政の一元化 重複行政の効率化 組織の再編 ~ 機能の横断的一元化 府市一体的な行政による集中投資 関西のリーダーとしての大阪州 関西州の州都建設に向けた街づくり等 スペシャルな大都市行政制度 ( 都制と特別市が候補 ) の整備 ( 大阪モンロー主義からの脱却 ) 産業の高度化を図るための行政体制の整備 組織改革の必要性 二重 行政 ( 例 ) 産業政策 - 融資制度 商店街支援事業等 社会福祉 - 老人医療助成 児童手当等 教育 文化施設 - 高校 大学 図書館等 ( 例 ) ハード型 : 公営住宅 図書館等 ソフト型 : 中小企業に対する信用保証等 棲み分け型 : 港湾 地下鉄 道路等 監督型 : 市街地再開発事業の認可等 9

大阪の問題意識 3~ 大都市における住民自治の不足 ( 民政赤字 )~ 10 大阪市の人口は 広島県 京都府 とほぼ同規模 大阪市の人口 ( 単位 : 千人 ) 1 東京都 13,230 2 神奈川県 9,067 3 大阪府 8,856 4 愛知県 7,427 公選首長の数 広島県 京都府 14 市長 +9 町長 =23 人 15 市長 +10 町長 +1 村長 =26 人 12 広島県 2,848 大阪市 2,67 13 京都府 2,625 大阪市 = 1 人 住民自治の不足 ( 民政赤字 ) ~ 区レヘ ルでの住民による民主的正統性が欠如 巨大な統治機構の弊害 住民の声が行政サービスに反映されにくい

具体的事例 大阪市所管の学校 ( 府内から ある中核市 一般市を 1 団体ぬき出して例示 ) 大阪市 520 校大阪府 164 校府内の市 ( 中核市 )82 校 ( 一般市 )22 校 大阪市管理道路 ( 府内から ある中核市 一般市を 1 団体ぬき出して例示 ) 大阪市 3,853 km大阪府 1,529Km 府内の市 ( 中核市 )877 km ( 一般市 )206 km 業務上の実例 実例 1: 西成区の通学路廃棄物への対応 地域の課題 実例 2: 教育委員会からのいじめ事案報告に対する首長の再調査 ~ 措置 きめ細かな対応が必要な事案 地域の課題 きめ細かな対応が必要な事案についても市長判断が必要 260 万人の自治体では市長の容量にも限界 きめ細かで迅速な対応が困難な状況 地域課題やきめ細かな対応が必要な事案は公選区長が責任を持って対応すべき 役人区長では限界 住民自治の充実 ( 民政赤字の解消 ) は喫緊の課題 公選区長 のもと地域の実情に応じたサーヒズ最適化 ~ 限られた財源のなか人口減少社会への対応 11

大阪市における取り組み 12 改革のポイント: まずは現行制度のもとできる改革から着手 広域行政の一元化 二重行政の解消 大阪府市統合本部 住民自治の充実 公募区長の導入 大阪府市統合本部 (H23.12 設置 ) 目 構 的 : 府市の共通の課題に関して 政としての方向性を一致させる場 成 : 本部 ( 知事 ) 副本部 ( 市 ) 他 主な取組 :1 広域行政の一元化 二重行政の解消 経営形態の 直し ( 地下鉄 営化など 12 項目 ) 類似 重複している 政サービス ( 信用保証協会統合など 22 項目 ) 2 府市の戦略 政策などの一致 ( 成 戦略の 本化など )

公募区長の導入 (H24.8 月 ) 区長権限 区長裁量予算の拡充 区 を局 より上位に位置づけ 区 は区シティ マネーシ ャー ( 区 CM) 教育委員会事務局理事を兼任 区内の施策 事業についての決定権を局から区 に移譲 ( 区 編成予算の拡 区 裁量予算の確保 ) 区将来ビジョンの策定 区独自の取組み ( 百万円 ) 区 が編成した予算 区 由経費 区 CM 自由経費 50 億 3,40 万円 219 億 2,60 万円 公募区 による個性あふれる区政運営を実現 できる改革は進めてきたとの自負さらなる改革には 今回の自治法改正に 区長公選制 を 13

区長公選制の意義と効果 比較表 現行地方自治法改正案区長公選制案 新たな大都市制度 ( いわゆる大阪都 ) 区の性格行政区 ( 非自治体 ) 総合区 ( 非自治体 ) 総合区 ( 非自治体 ) 特別区 ( 基礎自治体 ) 区長の身分 市長との関係 区が担う事務 一般職 公募 完全な補助機関 ( 市長の指揮監督 ) 区域の窓口サーヒズ 戸籍 住基等 保育 障がい福祉 生活保護等 特別職公選職公選職 一部執行権が認められた補助機関 ( 補助執行に関して市長の指揮監督 ) 区域の政策及び企画 まちづくり 交流 社会福祉 保健衛生 市長と区長の役割分担が明確化 実質的に執行機関 中核市並みの事務 市長は廃止 完全な執行機関 中核市並みの身近なサーヒズを自立的 総合的に提供 予算編成権なしなし実質的な予算配分可能予算編成権あり 条例制定権なしなしなし条例制定権あり 14 議会 常任委員会なし 区単位の常任委員会の必置規定なし 区単位の常任委員会を必置 特別区毎に設置 出先機関 市長の部下 住民自治が不足 事務権限の拡大にも限界 特別職区長 都市内分権不十分 中核市並み事務権限の実現も可能 公選区長 都市内分権を徹底 中核市並み事務権限 ( 予算編成 条例制定等 ) 公選区長 住民自治が実現

住民自治を充実させるポイント 区長公選制の選択を可能に 区長公選制にあわせて 区単位の常任委員会を 官主導から政治主導へ 特別職と えどもあくまで市 の部下住 治 主的正統性の で限界地域のリーダーは住 らが選択 公選区 による区ごとの切磋琢磨 サービスの最適化 公選区 が住 ニーズをしっかり把握 住 参加のもと地域に根ざしたまちづくりを区ごとに推進 限られた財源を地域のニーズを踏まえた特色あるまちづくりに集中的 重点的に投資 15

論点 16 一つの自治体の中に市長と区長という二人の公選の長が生まれる 市長と公選区長で意見 考えが異なる心配 二重行政が更に 三重行政 になる危惧 市長と公選区長で役割分担をしっかりすれば対応できる二重行政 三重行政の発生はない 指定都市の仕事を市長と公選区長で役割分担 公選区長が担うものは 公選区長に執行権 代表権 自らの考え 判断で役割を担っていくことになる 二重行政 三重行政は役割が重複 曖昧なところに発生 むしろ 大阪のような大都市では 仮に大阪府庁 大阪市役所 ( 本庁 ) 区役所の 3 層構造になったとしても 住民自治の充実を優先して進める必要 各都市が 区長公選制 を選択できるようにすべき

役所の地方自治法改正案 区 公選案 市 ( 本庁 ) 知事府市 ( 本庁 ) 知事も含め 区役所で完結道 市住民身近行政指定都市 指定都市 広域事務 都道府県 広域事務 都道府県 調整会議 調整会議 広域事務市限事 予算編成 市域全体の企画役 予算編成 市域全体の企画定務 市債管理 総合区間の調整所 市債管理 総合区間の調整は 財産管理主 財産管理 大規模施設 システム等体 大規模施設 システム等の事務公選区 ー区常任委員会 ( 区役所 ) 執責 保健衛生行任 環境政策 教育等をに中核市並み事務も公選区 - 区常任委員会 保健衛生っ 環境政策 教育等てな中核市並みの事務総事区 企画調整や 度 専 的な事務合( 区役所 ) 務役的特別職区 的をは所に限の担 まちづくり 交流定う 社会福祉 社会福祉 保健衛生等的県< 指定都市の役割分担のイメージ図 > 17

市長公選区長住民 区役所業務の流れ ( 比較イメージ ) 住民から遠い 住民から近い 18 公募区長前 民 公募区長後 住 市長と公選区長で役割分担 区役所で業務完結 ーズ回答 公選区長 公選区長が住民ニーズを踏まえてサービス決定 区長民答住( ニアイズベター ) 相談指示ニニーズ回 住民各部局談指示 公募区長 相談 各部局 市長相 市債管理等公選区長ニーズ実施 談指示総合調整等 新たな大都市制度 ( いわゆる大阪都 ) 市長相 予算編成(財政調整)区間の< 特別区 > ニーズ実施

まとめ 昭和 31 年の創設以来 手付かずであった指定都市制度の改革が今回の地方自治法の改正で 半世紀ぶりに いよいよ始動 地域の実情にあった多様な大都市制度の実現に向けた一歩となるもの これをスタートに さらに進めて 各都市の判断で 区長公選制 を選択できるようにすべき あわせて 区長公選制 を選択の場合は 区単位の常任委員会 を必置とすべき 条例で定めることで 公選区長の事務を大幅に拡大 区域レベルでの住民自治を大きく充実 区常任委員会による区単位での行政監視 区の規模や区のあり方に関する議論の促進 都市内分権の徹底が可能になる 意をもとに 公選職が ら地域のあり を考え 議論を深め各都市にふさわしい自治の形を創っていく 19

参考

< 参考 1: 諸外国の都市の状況 > 22 人口 ( 万人 ) ロンドンパリニューヨーク大阪市 面積 ( km2 ) 1,579 105 785 223 783 (2010 年 ) 218 (2006 年 ) 818 (2010 年 ) 267 (2010 年 ) 大ロンドン (GLA) イルドフランス州 大阪府 イメージ図 ロンドン区 (*1) パリ市 区 ニューヨーク市 区 大阪市 区 基本的性格 基礎自治体 (32) 行政区 (20) 行政区 (5) 行政区 (24) 区の状況 法人格法人格あり法人格なし法人格なし法人格なし 区長選任 公選又は議院内閣制 議会による互選 公選 公募または職員から市長が任命 議会議会あり議会あり (*1) ロンドン区の他に シティ オブ ロンドンがある (*2) 区長 区選出市議 各コミュニティ委員長で構成 [ 区長が委員長 ] 議会はないが区委員会あり (*2) 議会なし

< 参考 2: 特別市制度の規定 ( 旧地方自治法 同施行令 )> 旧地方自治法 ( 抄 ) 第 265 条特別市は 都道府県の区域外とする * 昭和 31 年改正前の規定 2 特別市は 人口五十万以上の市につき 法律でこれを指定する 第 268 条特別市に市長及び助役を置く 第 270 条特別市は 市長の権限に属する事務を分掌させるため 条例で その区域を分けて行政区を設け その事務所を置くものとする 第 271 条行政区に区長及び区助役一人を置く 2 区長は その被選挙権を有する者について選挙人が投票によりこれを選挙する 旧地方自治法施行令 ( 抄 ) 第 196 条区長は 特別市の吏員とし その任期は四年とする 2 ( 略 ) 3 区長は 特別市の市長の指揮を受け その主管の事務を掌理し 部下の吏員その他の職員を指揮監督する 23