グループ F 教材への地理院地図 タイルの利用について グループ F 代表 碓井照子 ( 日本学術会議地理教育分科会委員長 )
F グループ設置の背景 2014 9 月 30 日日本学術会議地球惑星科学地域研究委員会合同地理教育分科会提言 日本学術会議ホームページよりダウンロード可能
1 現状及び問題点 オープンデータ戦略は わが国の IT 政策として最重要課題である しかし 学校教育におけるオープンデータを利活用できる人材育成は 経済産業省も総務省も触れていない 国は オープンデータ利活用の人材育成戦略を立ち上げるためにも 今回の中教審で この問題を取り上げる必要がある 地理教育は 情報教育とともにこの人材育成を担う重要な科目である 特に日本学術会議が 2011 年 8 月に高校地歴科教育の将来について地理基礎 歴史基礎必修化を提言したが 地理基礎では地図力 /GIS 技能の育成が重視されている
2 提言の内容提言 1 国および地方自治体は オープンデータ推進方針の中に学校教育における人材育成を明示し 学校教育におけるオープンデータ利活用の環境を整備する必要がある オープンデータの利活用は オープンガバメントを実現するための礎の一つである そのためには 国民が自ら IT を利用してオープンデータにアクセスし その上で GIS を利活用して地域の課題を分析して地域づくりに参画できるよう 学校教育における地理や情報の科目等を学ぶことでその基本的知識 手法を会得できるようにすることが重要である 特に 国 地方自治体は オープンデータ公開において GIS 可読型のデータ形式を増やし 学校教育でも使用しやすいオープンデータポータルサイトを開設する必要がある
米国データセットのタイプは Geospatial: 90114 Non geospatial: 40446 約 70% は 地理空間情報
GIS のデータ形式が多い
提言 2 国 地方自治体は 地形 気候などの自然環境や土地利用 人口等のデータを可能な限り GIS 形式でオープンデータ化することにより 地理教育において災害に対する被害を軽減し 地域のレジリエンスを高めるという減災教育を推進すべきである 地域のレジリエンスを高めるための地域計画では 地形 気候 土 壌 地質 土地利用 人口などのデータを GIS で重ね合わせて地図 化し 地域分類をすることが多い 地域の自然条件を理解すること により被害を低減できるからである GIS で地域のデータを重ね合わ せ各地域の自然条件に適合した土地利用の在り方を理解する地理 教育が重要である 特にハザードマップを理解できる地図力を育成 する必要がある 学校教育では 国土地理院の地理院地図 ( 旧電子 国土 ) サイトを活用し 国土地理院は 学校教育での利活用も視野に 入れて充実すべきである
米国オバマ大統領のオープンガバメントイニシアティブ www.whitehouse.gov (2009 年 1 月 21 日 ) オープンガバメントとは 透明性 国民参加 官民協業の 3 つの特性を有する開かれた政府を意味している オバマ大統領のオープンガバメント宣言 2009 年 1 月 21 日
1993 年クリントン政権の電子政府政策 1 民間投資の促進と民間主導型 2 公平な競争 3 相互運用性 オープンアクセス 4 国民 / 住民ベース 5 小さな政府とコスト削減 であり インターネットや GIS をベースにした情報革命により国家の産業 社会 政治構造を変えようとしたものであった
( 例 ) 米国連邦政府の建設土木に関する税金の州別支出マップ (webgis 活用 )
( 例 ) 米国連邦政府の建設土木に関する税金の年次別支出表
提言 3 学校教育におけるオープンデータの活用 地図力 /GIS 技能に関する教育を推進するために 大学 大学院の教育課程はもとより 教職課程においても 地図 /GIS 関連科目を設置すべきである また 初等 中等教育の現場においても教員を対象とした地図 /GIS 研修を充実させる必要がある 初等中等教育における教員のすべてが 地図 /GIS 技能を身につけ 地理空間情報を深く理解し 行政や民間が提供するオープンデータを利活用できるようになれば 児童 生徒に対して地図 /GIS を利活用して地域の課題を発見し 地域づくりに参画しようとする人材を育成することが可能になる 大学 大学院の教育課程はもとより 教職課程においても地図 /GIS 関連科目を設置し 地図 /GIS 技能を身につけた教員を養成すべきである また 初等中等教育の現場の教員を対象に学校 大学 学会 公益法人,NPO 民間企業などと連携して地図 /GIS 研修を充実させる必要がある
提言 4 地図力 /GIS 技能の育成とオープンデータ利活用に関するコンソーシアムの設立と産官学の連携が必要である 大学における地図力 GIS 技能の育成を推進させるためには 米国の UCGIS のようなコンソーシアムが必要である 日本における地図力 /GIS 技能の育成の内容を高度化するために そしてオープンデータを利活用できる社会を作るために また 初等中等教育の現場の教員の地図 /GIS 研修を充実させるためにも 学校 大学 学会 公益法人 NPO 民間企業などが連携する必要がある
坂村健先生に基調講演 情報教育と地理教育の両輪が必要
国土地理院と地理教育 1 所掌事務 国土交通省設置法 ( 第 28 条 ) 国土地理院は 第 4 条第 9 号 第 10 号 第 16 号及び第 128 号に掲げる事務をつかさどる 第 4 条第 9 号 : 国が行う土地の測量 地図の調製及びこれらに関連する業務に関すること第 10 号 : 測量業の発達 改善及び調整そのた土地の測量及び地図の調製に関すること第 16 号 : 宇宙の開発に関する大規模な技術開発であって 測量その他の国土の管理 ( 略 ) に関すること第 128 号 : 前各号に掲げるものほか 法律に基づき国土交通省に属せられた事務 1/7 地理教育勉強会での小池委員長講演スライド 15
地理空間情報活用促進基本法 ( 第 13 条 ) 国は 地理空間情報の活用の推進を担う専門的な知識又は技術を有する人材を育成するために必要な施策を講ずるものとする 地理空間情報活用推進基本計画 ( 平成 24 年 3 月 27 日閣議決定 ) Ⅱ-4. 地理空間情報の整備と活用を促進するための総合的な施策 (5) 知識の普及 人材の育成等の推進 ( 略 ) 地理空間情報の活用を推進するためには それを担う人材の育成も重要な課題である ( 略 ) 地方公共団体等と連携した行政職員に向けた講習会の実施や 大学等と連携したカリキュラムの提供等を行い 地域や大学等において 地理空間情報の活用を担う人材育成を推進する 16
2 防災教育 1/7 地理教育勉強会での小池委員長講演スライド 17
新たなステージに対応した防災 減災のあり方 ( 素案 ) 2 住民の避難力の向上 災害に対する 心構え と 知識 を備えた個人を育成するためには 幼少期からの防災教育を進めることが効果的であり またこれにより子供から家庭 さらには地域への防災知識等の浸透が期待できるところ このため 文部科学省と連携して学習指導要領における防災教育の位置付けを強化し全国的な展開を図るとともに 各学校教育現場における取組を推進するための板書計画の提供などによる支援を充実することが必要 また 防災知識の普及を図るため 浸水想定やハザードマップの公表の機会を活用した説明会等の開催やマスコミ等を通じた啓発に関する取組について検討 その際 災害の予測能力の限界や大規模水害時等における行政の対応能力にも限界があることについて理解の促進を図ることが重要 18
3 担い手確保 第 15 回測量行政懇談会での議論の概要 (3) 測量技術者育成検討部会の設立について 測量分野の技術者の人手不足 特に若手がいないという問題の原因のひとつとして 測量士の試験が難しいことが挙げられるのではないか 現在の若い人は 土木系とか測量系 地理系の魅力を余り感じていないのではないか これはやはり学校教育の問題だと思うので このあたりを抜本的に考えていかないと 若い人は増えてこないだろうと思う 資格制度を考えるときには 今の測量分野の現状を考慮しないと 現実と非常にかけ離れた対策になってしまう そのためには もっと測量の現場の忌憚ない声を聞くことが必要ではないか 測量の仕事は非常に根幹的かつ重要な仕事であるということをきちんとアピールして 会社がうまく誘導してあげれば 若い人が測量という仕事に興味を持ったり 社会の役に立っていることを理解できるのではないか その結果 測量分野を目指す人が増えてくることにつながっていけばよい 19
本日のグループ討議 1. 地理院地図を学校教育でなぜ利用するのか 2. 次回までの活動の方向性
B A 様々な現実的な課題 D C 最も重要なユーザー層 Ⅽ 地理院地図パートナーネットワークの活動の位置づけ D 活動の成果をどのように活かすか
学校教育で地理をなぜ学ぶのか 世界地誌 オープンデータ 地方創生 地域づくり 防災 自然地理 国土 地名 地図リテラシー 電子地図と紙地図の違い基盤地図情報はインフラ等
B 多様な課題 多様な課題学習指導要領の問題大学入試教員のGISスキルが低い地理院地図を知らない
Ⅽ 地理院地図パートナーネットワークの活動の位置づけ 多様な団体との連携のマッチングプレイス 使いやすいプロトタイプの作成
D 活動の成果をどのように活かすか 多様なイベント活動 GIS 研修会 ハッカソン シンポジウム
最も重要なこと 現場教員の声を聴くこと 国民の声を聴くこと 住民の声を聴くこと 国民教育として必要地理空間情報を理解し 利活用することは 生きる力になること
2. 次回までの活動について 4 月 5 日日本学術会議地理教育分科会で意見を募る 地理院地図の講演 ( 藤村英範氏 ) 学校地理教育小委員会大学地理教育小委員会自然地理学 環境防災教育小委員会地図 /GIS 教育小委員会地誌教育小委員会
学校地理教育現場教員との連携を深めるためにメンバーを増加する 地理院地図を利活用する教材開発のコンセプトを明確にする 他団体への広報活動
クローズアップ現代 地図力 が社会を変える! 2015 年 2 月 5 日 ( 木 ) 午後 7:30~ 午後 7:56(26 分 ) 番組内容 今 個人の地図力を高め 防災強化や新たな産業創出を目指す取り組みが進んでいる 地面の凹凸を立体的に描き出す 3D 地図の活用で社会はどう変わるのか 最前線に迫る https://pid.nhk.or.jp/pid04/programintro/show.do?pkey=00 1-20150205-21-29523