Microsoft Word - 三菱商事株式会社の企業分析.doc

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CO-CEO 4/1 4/1 4/1 IR 2

平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

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Microsoft Word - 中計の提出 ver0516

社是 経営理念 長期ビジョン Ⅱ. 新中期経営計画 innovate on 2019 just move on! の概要 社是 人の和と創意で社会に貢献 経営理念 1. 最高の品質創りを重点に社業の発展を図り社会に奉仕する 2. 全員の創意を発揮し顧客のニーズに対応した特色ある技術を開発する 3.

PowerPoint プレゼンテーション

2015 年度 ~2017 年度中期経営経営計画 14 中計 1. 当社が目指すもの企業理念と Vision E 2.11 中計 中計 (2nd STAGE / 2012~ 年度 ) の成果 - Vision E における 11 中計の位置づけと成果 - 1

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中期経営計画の前提となる環境認識 1 日本経済の予測 年初からの円高や株安の進行により 消費マインドは伸び悩み 景気動向は停滞している 今後は 消費税増税による駆け込み需要の発生とその反動減による景気縮小が予想される 中長期的には成熟社会として 多様な価値観とともに これまでとは異なる市場が生まれる

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2014 中期経営計画総括 (2012 年度 ~2014 年度 )

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2017年度 決算説明会資料

夢と希望に満ちた 輝かしい明日の イノベーション実現へ Innovation for 明日 with 夢と希望 YK Inoas Co.Ltd. 株式会社YKイノアスは 総合化学メーカーである電気化学工業株式会 社 東証第一部上場 グループの中核商社として 2016年 平成28年 に は創業100年

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各 位 平成 27 年 5 月 11 日 会社名株式会社みちのく銀行代表者名取締役頭取髙田邦洋 ( コード番号 8350 東証第一部 ) 問合せ先経営企画部長須藤慎治 ( ) 第四次中期経営計画の策定について 株式会社みちのく銀行 ( 頭取髙田邦洋 ) は 平成 27 年 4

2.MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針 MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針の策定 公表 MUFG は お客さま本位の取組みの徹底を図るため グループ共通の指針となる MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針 を策定 公表します 本方針の下 グループ各社がお客

預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投

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アニュアルレポート2016

に異なることもありますのでご留意願います 3.3 ヶ年の収益展望 ( 連結 ) の達成条件について 当社は下記 3 ヶ年の収益展望 ( 連結 ) における目標値を達成するため 以下の達成条件を今後のアクションプ ランとして実行してまいります 現状の事業ドメインにおける達成条件 自社製品の拡販 自社製

決算概要

プレゼン

2009年3月期 第2四半期決算説明会

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各 位 平成 29 年 11 月 28 日フィンテックグローバル株式会社代表取締役社長玉井信光 ( コード番号 :8789 東証マザーズ ) 問合せ先 : 上席執行役員千田高電話番号 : ( 03) 航空機アセットマネジメント会社の株式取得に伴う子会社の異動に関するお知らせ 当社

カプコン (9697) 平成 25 年 3 月期 決算短信 ( セグメント情報等 ) ( セグメント情報 ) 1. 報告セグメントの概要 (1) 報告セグメントの決定方法 当社の報告セグメントは 当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり 取締役会が経営資源の配分の決定および業績を評価す

1

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

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平成16年度 事業報告書

2. 資産運用分野における MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針 行動規範 1-1 誠実な行動私たちは 常にお客さま本位で考え 公正 透明な企業活動を誠実に行います 私たちは お客さまの資産を適切に取り扱い お客さまの利益が不当に損なわれることがないよう適切に対応します (1) お客さ

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07 SDGsとCSV演習

はじめに サントリーグループは 企業理念として定める 人と自然と響きあう と Growing for Good 及びサントリーグループ企業倫理綱領に基づき 安全 安心で高品質な商品 サービスをお届けするために 国連グローバル コンパクト 署名企業として公正 公平な取引を実施し サプライチェーン上のお

今年度の情報セキュリティ対策 の進め方について

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2017 年度第 1 四半期業績の概要 年 8 月 9 日 日本生命保険相互会社


決算短信

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(3) 企業像農業情勢や経営環境の変化に的確に対応することが求められるなか 統合効果をさらに追及し競争力を強化します 2020 年に創立 100 周年を迎え 1 研究開発型企業 2 地域貢献型企業 3 環境共生型企業として 真に顧客から信頼される存在感のある企業を目指します (4) 資本政策の基本的

02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章

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東洋アルミグループ 経営理念

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企画書タイトル - 企画書サブタイトル -

知創の杜 2016 vol.10

なぜ社会的責任が重要なのか

-2-

決算概要

Microsoft Word - 内部統制システム構築の基本方針.doc

( 参考様式 1) ( 新 ) 事業計画書 1 事業名 : 2 補助事業者名 : 3 事業実施主体名 : Ⅰ 事業計画 1 事業計画期間 : 年 月 ~ 年 月 記載要領 事業計画期間とは 補助事業の開始から事業計画で掲げる目標を達成するまでに要する期間とし その期限は事業実施年 度の翌年度から 3

目次 Review グループ経営方針 グループ経営方針 2016 の目指す方向性... 4 経営目標 新たなポートフォリオマネジメントの導入... 8 プロジェクト遂行体制の強化 グループ共通機能の強化 事業領域の目指す方向性... 13

注記事項 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) : 無 新規 社 ( 社名 ) 除外 社 ( 社名 ) (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 : 無 2 1 以外の会計方針の変更 : 無 3

目次 1. 経営成績営業利益分析 / 海外売上高 / 貸借対照表 2. 業績予想 ( 修正 : 有 ) 3. 研究開発費 / 減価償却費 / 設備投資 4. 株価の状況 5. トピックス P.2 P.10 P.14 P.16 P

2016 年 10 月 31 日 各位 社名 代表者名 問合せ先 株式会社村田製作所代表取締役社長村田恒夫 ( コード :6981 東証第 1 部 ) 広報室長生嶌匠 (TEL ) ソニー株式会社からの電池事業の取得に関するお知らせ 株式会社村田製作所 ( 以下 当社 といい

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CSR(企業の社会的責任)に関するアンケート調査結果《概要版》

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注記事項 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) : 無 新規 社 ( 社名 ) 除外 社 ( 社名 ) (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 : 有 2 1 以外の会計方針の変更 : 無 3

直しも行う これらの事務については 稟議規程 文書管理規程 契約書取扱規程は管理本部長が所管 情報管理規程 情報セキュリティ管理規程はコンプライアンス推進部長が所管し 運用状況の検証 見直しの経過等 適宜取締役会に報告する なお 業務を効率的に推進するために 業務システムの合理化や IT 化をさらに

目次 平成 25 年 3 月期決算概要 1 業績概要 4 2 平成 25 年 3 月期の課題と取組み 5 3 経営成績 6 4 業績推移 7 5 売上高四半期推移 8 6 事業別業績推移 ( ソフトウェア開発事業 ) 9 7 事業別業績推移 ( 入力データ作成事業 ) 10 8 業種別売上比率 (

大和証券グループ中期経営計画 Passion for the Best 年 4 月 3 日 大和証券グループ本社

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XBRL導入範囲の拡大

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平成30年公認会計士試験

お客様への約束 1. 安全の確保を最優先とします - 安全確保を最優先に 全てにおいて万全のコンディションでお客様をお迎えします 2. お客様の時間を大切にします - 欠航 遅延は最小限にします - やむを得ない場合は代替の移動手段の確保に努め お客様にご迷惑をおかけしないよう全力を尽くします -

経営理念

PowerPoint プレゼンテーション

本日のポイント 事業のグローバル化の進展に伴い 長期ビジョンVG2020 * と共に現在のリスクマネジメントがスタート 経営陣とオムロンらしいリスクマネジメントは何かについて議論しながら 社会的責任の遂行 等を目標とする グローバル に 統合 された仕組み作りを目指して活動をしてきた 現在 取締役会

年 3 月期計数目標 売上高 7,500 億円営業利益 750 億円営業利益率 10% 以上 ROE10% 以上 4 資本政策 ( 株主還元策 ) 安定的な配当額として DOE2% をベースに 総還元性向 50% 以上を目標に株主還元を実施する 当社は 株主の皆様への利益還元を経営の重

本日の説明内容 総括 2019 年 3 月期第 1 四半期実績 2019 年 3 月期通期見通し 主要施策の進捗 1

逃 げ な い そ し て 前へ そ れ が わ た し の 使 命 CONTENTS 目次 わたしの使命... 1 カンパニートピックス... 1 トップメッセージ... 2 持続的成長を支える取組 株主 投資家のみなさまに向けて... 4 会社概要 連結決算ハイライト..

日通グループ経営計画 2018 新 世界日通

ITスキル標準に準拠した      大学カリキュラムの改善

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目次 4. 組織 4.1 組織及びその状況の理解 利害関係者のニーズ 適用範囲 環境活動の仕組み 3 5. リーダーシップ 5.1 経営者の責務 環境方針 役割 責任及び権限 5 6. 計画 6.1 リスクへの取り組み 環境目標

8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

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ピクテ・インカム・コレクション・ファンド(毎月分配型)




目次 1. テクノプロ ホールディングスってどんな会社? 2. 技術人材サービスとは? 3. 経営ビジョンは? 4. 市場環境 成長性は? 5. 技術人材サービスが安定的に成長している理由 6. どんな仕事をしているの? 7. 業績は? 8. 今後の見通しは? 9. 計画達成の道すじは? 10. 重

会社案内 2015

5. 政治経済学部 ( 政治行政学科 経済経営学科 ) (1) 学部学科の特色政治経済学部は 政治 経済の各分野を広く俯瞰し 各分野における豊かな専門的知識 理論に裏打ちされた実学的 実践的視点を育成する ことを教育の目標としており 政治 経済の各分野を広く見渡す視点 そして 実践につながる知識理論

スキル領域 職種 : マーケティング スキル領域と MK 経済産業省, 独立行政法人情報処理推進機構

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目次 全社業績の概要 年度の計画と実績 年度業績の概況 3. 売上高 経常利益の推移 4. 事業部門別売上高の推移 5. 費用構成の推移 6. キャッシュ フロー計算書 事業部門別業績の概要 7. サービスラインアップ 8~10. 投資情報事業 11~12.IR 事業

< 実働組織 > コンプライアンス企画部会 任命 報告等 設置 取締役会 コンプライアンス委員会 コンプライアンス委員長 コンプライアンス委員 審議 決定事項の報告 コンプライアンス特別委員 ( 社外弁護士 ) コンプライアンス規程 当社はコンプライアンスに関する体制 組織および運営方法を定めた基本

Transcription:

三菱商事株式会社の企業分析 3

目次 1. はじめに 2. 企業概要 3. 財務分析 4. 経営戦略と今後の展望 5. 参考文献 1 はじめに 現在 三菱商事をはじめに総合商社の事業スタイルが形を変えつつある もとは物の売り手と買い手の間に入って手数料を得る仲介や 顧客に金融機能を提供する商社金融が事業の中心であった 1990 年代に入って生産者と消費者を締結する情報技術が発達し 経済のグローバル化によって業界が激しい国際競争の中に巻き込まれると コスト削減のため 中間業者の商社を中抜きする動きが産業で強まった そこで 商社たちが取り組んだのは事業投資である つまり 自らリスクを取って資源権益や企業に投資し 配当などの形で利益を得る 三菱商事は総合商社のトップとして 2004 年度から 2007 年度までの 4 年間の中期経営計画である INNOVATION 2007 の期間を終え 2008 年度および 2009 年度の 2 年間の新たな中期経営計画である INNOVATION 2009 を策定した INNOVATION 2007 の基本的な考え方を継承し グローバルな総合事業会社として 連結ベースの企業価値向上と持続的成長を図りながら 社会の持続的発展に貢献していくことを目指す また ますます高まる社会からの要請に応えるために CSR( 企業の社会的責任 ) への取組みを従来以上に強化し ビジネスを通じた環境への貢献など 環境分野を中心に 社会の持続可能な発展や成長を目指した事業も展開されている 本文は主に三菱商事の財務状況をみながら 今後の経営戦略を分析する 2 企業概要 基本理念三菱商事は 創業以来の社是である 三綱領 を拠り所に 公正で健全な事業活動を推進しています 企業行動の指針としての 企業行動指針 の制定 法

令遵守関連社内諸規定の整備 コンプライアンス オフィサー制の導入 危機管理体制の充実など 常にコンプライアンスの充実を図ってきました また コンプライアンスを徹底するために 法規制や国連が定めた世界人権宣言や国際労働機関の国際労働基準等の国際ルールを社員一人ひとりが 遵守するとともに 社会規範に沿った責任のある行動をとることを定めた 三菱商事役職員行動規範 に宣誓 署名しています 三綱領 三綱領 は 1920 年の三菱四代社長岩崎小彌太の訓諭をもとに 1934 年に旧三菱商事の行動指針として制定されたものです 旧三菱商事は 1947 年に解散しましたが 三菱商事においてもこの三綱領は企業理念となり その精神は役職員一人一人の心の中に息づいています 事業を通じ 物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に かけが えなのない地球環境の維持にも貢献する 公明正大で品格ある行動を旨とし 活動の公開性 透明性を堅持する 全世界的 宇宙的視野に立脚した事業展開を図る 企業行動指針 1. 企業活動の目的我が社は 事業を通じ 企業価値の向上を図るとともに 有用なサービス 商品を安全性にも配慮して創出 提供し 物心共に豊かな社会の実現に努める 2. 公明正大な企業活動我が社は 企業活動の展開に当たり 諸法規 国際的な取決め及び社内規程を遵守するとともに 社会規範に沿った責任ある行動をとる 3. 人権 社員の尊重我が社は 人権を尊重し 差別を行わない また 人材育成を通じて企業活力の維持 向上を図るとともに 社員の人格 個性を尊重する 4. 情報の管理 公開

我が社は 企業情報を適切に管理するとともに ステークホルダーを含め社会一般からの正しい理解を得 透明性の保持を図るため 情報を適時 適切に公開する 5. 地球環境への配慮我が社は 地球環境に配慮しない企業は存続しえないとの認識に立ち 企業活動のあらゆる面において地球環境の保全に努め 持続可能な発展を目指す 6. 社会貢献活動我が社は 社会の一員として より良い社会の実現に向けて積極的に社会貢献活動を行う また 社員による自発的な社会貢献活動を支援する http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/about/philosophy/ より引用 三菱商事の沿革設立 ~ 1970 年代 1954 年 総合商社 三菱商事が新発足し 東京 大阪両証券取引所に株式上場 1967 年 当社初の経営計画を発表した 1968 年 拡大する組織 事業に対応した商品本部制を導入 同年 エネルギー安定供給の一翼を担うため 初の大型投資となるブルネイでの LNG 開発事業への投資を決定した また オーストラリアやカナダの鉄鉱石 原料炭 メキシコの塩田事業に代表される 単なる商取引にとどまらない開発投資型ビジネスをグローバルに展開 1971 年 英文社名として Mitsubishi Corporation を採用 1973 年 社会環境室を設置し 企業の社会的責任を果たす姿勢を明確した 1980 年代石油危機で日本経済が低迷する中 新たな収益体制の構築に向け 徹底した業務の合理化 効率化に着手した 1986 年 社内に売上高より収益重視の方針を徹底 同時に 商権構造の再構築 事業領域の選別と機能の高付加価値化に重点を置いた経営計画 K-PLAN を策定 また 1989 年には ロンドン証券取引所に上場した 1990 年代グローバリゼーションが加速する中 1992 年 健全なグローバル エンタプライズ を目標とする経営方針を発表した 連結重視と資産の優良化を進めるとともに 組織 人材のグローバル化を強化 日本経済が金融システム不安に揺

れる中 1998 年 21 世紀への自己変革 を標榜する経営計画 MC2000 を策定 事業の選択と集中 戦略分野の強化 顧客志向重視の方針を打ち出し 足場固めに着手した 2000 年代世界経済復調の兆しの中 2001 年 新たな価値創造への挑戦 をテーマに経営計画 MC2003 を策定 バリューチェーンの拡大 収益力強化に加え 新規事業の創出を重点施策とするなど 攻めの経営 へ転じた 同年 戦略ミッションを明確化したビジネスユニット ( BU) 制を営業グループに導入 また客観的な業績評価指標 MCVA を設定し 経営資源の配分最適化につなげ 2004 年 未来を創造し 社会と共に成長する 新 産業イノベーター をビジョンとする経営計画 INNOVATION 2007 を策定 2007 年 イノベーション事業グループ 新産業金融事業グループを新設 2008 年 経営計画 INNOVATION 2009 を発表した 2009 年 4 月 全社的見地から新たなビジネスチャンスを迅速に捉えるため イノベーション事業グループを発展的に改組し 全社開発部門を設置した 三菱商事 HP より引用 3 財務分析 11100000 11050000 11000000 10950000 10900000 10850000 10800000 10750000 10700000 11078516 売上高 10890029 10880997 10832868 平成 17 平成 18 平成 19 平成 20 系列 1

営業利益 15000 10000 5000 0 系列 1-5000 -10000-15000 平成 17 年度平成 18 年度平成 19 年度平成 20 年度 総資産 6400000 6300000 6200000 6100000 6000000 5900000 5800000 系列 1 5700000 5600000 5500000 5400000 平成 17 年度平成 18 年度平成 19 年度平成 20 年度

当期純利益 350000 300000 250000 200000 150000 系列 1 100000 50000 0 平成 17 年度平成 18 年度平成 19 年度平成 20 年度 ( 注 : 全データの単位は百万円 ) 平成 17 年度から平成 20 年度まで 総資産が年々増加するのに対し 売上高と当期純利益は急減する傾向が見られる 特に営業利益は平成 20 年度にてマイナスに陥った その結果に対し 近年の経済不況が原因と考えられる また 平成 21 年度四半期報告により 純利益は高水準を維持した三菱商事だが 償却費用の拡大で当期純利益は平成 20 年度の同期より半減した この中で有価証券損益の欄に注目し 有価証券損益の悪化が減益の原因の 1つだと考えている したがって リーマン ショックに伴う下期の環境激変でさらなる減益が予想される 経営戦略と今後の展望 2009 年に入って 世界的な金融危機の影響で資源価格が下落し 今後の業績拡大にも障壁になる 資源エネルギー分野以外収益を強めるのが三菱商事を含む各商社にとって大きな任務であろう 今回はSWOT 分析を用いて主に新産業のイノベーション推進について分析を行う

強み 総合商社のトップ企業である 自己資本が潤沢なため リスク耐久力が高水準である 化学品や生活産業など非資源分野の収益も相当の規模があり 全体として高水準の収益力がある 機会 新興国での資源 エネルギー 鉄鋼製品 機械 プロジェクトの需要が拡大している 弱み 資源 エネルギー分野への依存度が高いため 市況の変動が業績に与える影響が大きい 三菱自動車工業への支援がリスク管理上の問題点となっている 脅威 世界的な経済不況 高騰していた商品市況が下落している 総合商社トップである三菱商事は化学品や生活産業では相当なシェアを持っているので これらの成長の良い優良分野に投資を継続すべく なぜなら 現在有する経営基盤をさらに強化することが足場を固めることにもなる なお 持続的な成長を図るために バランスの取れた収益基盤を構築する必要がある そのために 2つの法案が考えられる まず 全社基盤強化の観点から 国内外拠点の機能の高度化や内部統制などシステムインフラといった体制整備を連結ペースで進行させる 次に 新分野のイノベーション推進もきわめて重要である 下のグラフは過去分野別の収益の割合になる 分野別収益 100% 80% 60% 40% 20% 0% 2005 年度 2006 年度 2007 年度 2008 年度 科学 生活産業 イノベーション事業エネルギー 金属グループ

三菱商事は従来のエネルギー 科学 生活産業などの強い分野に投資を行ってきた しかし 環境 新エネルギー 医療周辺への投資は少なく 収益においても縮小する傾向にある 今後 新規事業分野として力を入れるのはバイオエタノールや太陽光発電などの新エネルギー分野や病院経営支援といった医療関連ビジネスである

5 参考文献 日本経済新聞社 日経就職ガイド 業界 MAP ( 株 ) 日経 HR 2009 年 9 月 29 日 http://www.brains-net.jp/bkn_date/1806.html 2009/5/20 大手商社の 09/3 期決算 連結損益計算書 分析 http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/about/plan/ 中期経営計画 INNOVATION2009 ~ 未来を拓く ~ http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/fstatement/archives.html 2008 年度有価証券報告書 全文 PDF 2006 年度有価証券報告書 全文 PDF http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/fstatement/ 2009 年度第 1 四半期報告書 全文 PDF