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TPP 農林水産物市場アクセス交渉の結果 1 米 : (1) 米及び米粉等の国家貿易品目 1 現行の国家貿易制度を維持するとともに 枠外税率 ( 米の場合 341 円 /kg) を維持 2 米国 豪州に SBS 方式の国別枠を設定 米国 :5 万 t( 当初 3 年維持 ) 7 万 t(13 年目以

農林水産品の合意の概要 品目 合意の概要 米 除外 ( 米国枠は設けない )( 注 1) 小麦 TPP と同内容でマークアップ ( 政府が輸入する際に徴収している差益 ) を 45% 削減 ( 現行の国家貿易制度 枠外税率 (55 円 /kg) を維持 ) TPP と同内容の米国枠 (2019 年度

別紙 1 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案による主な改正内容 TPP 整備法の現状 整備対象となる11 本の法律のうち GI 法の改正 : 施行済他 10 本の法律の改正 : 未施行 ( 施行期日は環太平洋パートナーシップ協定 (TPP12 協

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< 目次 > 概要 1 1. 香港 2. 台湾 3. 韓国 4. 中国 5. シンガポール 6. マレーシア 7. ブルネイ 8. インドネシア 9. タイ 10. ベトナム ミャンマー 12. フィリピン 13. インド 14. 中

TPP11 協定 (CPTPP) の概要目次 協定の発効要件 税率差 : 国別譲許における税率適用国決定ルール 国別セーフガード その他 国別関税割当 牛肉の適用税率 ( 日豪 EPA 税率との比較 ) 輸入後のTPP 特恵税率の要求 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定 Comp

日 EU EPA の主なメリット :EU 市場の開拓 平成 29 年 8 月外務省経済局 EU の関税の撤廃や規制の撤廃 緩和により, 様々な国産品の輸出拡大,EU の市場開拓が期待されます 工業製品 品目数 輸出額 (EU 向け約 5.8 兆円 ) で,100% の関税撤廃を達成し,EUへの輸出の


EPA に関する各種試算 試算 1 EPA のマクロ経済効果分析 (3 ページ ) 内閣官房を中心に関係省庁と調整したシナリオに基づき 川崎研一氏 ( 内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官 ) が分析 WTO はじめ広く関係機関が活用している一般均衡モデル (GTAP モデル ) を使用 EPA

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目次 1 EPA/FTA とは 1 2 EPA( 経済連携協定 ) の現状 2~4 3 世界における EPA/FTA をめぐる状況 5 4 TPP について 6~9 5 日 EU EPA について 10~12 6 交渉中の各 EPA 等について 13~24 7 交渉中断中の各 EPA 等について 2

The Sanwa Bank Limited

目次 1. コメ 1 2. 野菜 果実 2 3. 茶 3 4. 薬用植物 4 5. 牛乳 乳製品 5 6. 食肉 6 7. 水産物 7 8. 加工食品 8

TBT( 貿易の技術的障害 ) 貿易救済 ( セーフガード措置等 ) 政府調達 も高いレベルの措置を導入 維持できるとされている ) 個別品目の輸入解禁や輸入条件の変更について, 従来よりTPP 交渉参加国より要請されてきた案件が, 交渉参加のための条件とされ, あるいはTPP 協定に付随する約束を

- 目次 - 1. 品目ごとの農林水産物の影響 < 農産物 > 小麦 大麦 砂糖 でん粉 小豆 いんげん 落花生 オレンジ りんご パインアップル トマト加工品 茶 こんにゃくいも < 畜産物 > 牛肉 豚肉 牛乳乳製品 鶏肉 鶏卵

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ドーハ ラウンド交渉の一分野である貿易円滑化については 平成 26 年 11 月のWTO 一般理事会において 貿易円滑化協定に関する改正議定書 が採択され 今後 3 分の2 以上の加盟国が受諾した時点で本協定は発効することになりました 各 WTO 加盟国がこの協定を実施することにより 貿易規則の透明

サービスパンフレットについて

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の権利 包摂的な貿易 持続可能な開発並びに伝統的な知識を促進することの重要性並びに公共の利益のために締約国が規制を行う権利を有することの重要性を再確認すること並びに他の国又は独立の関税地域のこの協定への加入を歓迎することを決意して 次のとおり協定した 第一条環太平洋パートナーシップ協定の組込み1締約

インド 12 3 エビ イカ オーストラリア 13 3 マグロ エビ フィリピン 14 1 マグロ カツオ エビ アイスランド 15 1 その他の魚 ハリバット 魚卵 スペイン 16 1 マグロ タコ マルタ 17 1 モロッコ 18 1 タコ イカ モーリタニア 19 1 タコ ニュージーランド

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農林水産物市場アクセス分野 農産物関連米 1 麦 2 麦芽 3 砂糖 4 でん粉 5 脱脂粉乳 バター 6 ホエイ 7 チーズ 8 乳製品分野 9 豚肉 11 牛肉 13 牛肉 豚肉関連分野 15 鶏卵 / 鶏肉 / 軽種馬 / 天然はちみつ 17 競走馬 18 飼料分野 19 豆類 こんにゃく 茶

(2) 大 麦 1 現 行 の 国 家 貿 易 制 度 を 維 持 するとともに 枠 外 税 率 (39 円 /kg)を 維 持 2 TPP 枠 を 新 設 (2.5 万 t( 当 初 ) 6.5 万 t(9 年 目 以 降 ) SBS 方 式 ) 3 既 存 のWTO 枠 内 のマークアップを9

第 26 章. 透明性及び腐敗行為の防止 35 第 27 章. 運用及び制度に関する規定 35 第 28 章. 紛争解決 36 第 29 章. 例外 36 第 30 章. 最終規定

農林水産物市場アクセス分野農産物関連米の合意内容 1 小麦の合意内容 2 大麦の合意内容 3 麦芽の合意内容 4 砂糖の合意内容 5 でん粉の合意内容 6 牛肉の合意内容 7 豚肉の合意内容 9 牛肉 豚肉関連分野の合意内容 11 脱脂粉乳 バターの合意内容 14 ホエイの合意内容 15 チーズの合

ピックストピックス 2 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 日 EU 経済連携協定 ( 日 EU EPA 1 ) が 平成 29(2017) 年 12 月に交渉妥結し 我が 国の農林水産業の再生産が引き続き可能となる国境措置を確保しました 新たな国際環境の下でも 意欲ある農林漁業者が安心して経営に取

農林水産省試算の方法 ( 手順 ) (1) 試算対象品目の選定関税率 10% 以上 国内生産額 10 億円以上 ( 米 麦など 19 品目 ) (2) 国産品の分類内外価格差 品質格差の観点から 輸入品と競合する国産品と競合しない国産品に二分 (3) 試算の方法 1 競合する国産品は 輸入品に置き換

政策目標 5-2: 多角的自由貿易体制の維持 強化及び経済連携の推進並びに税関分野における貿易円滑化の推進 1. 政策目標の内容自由貿易の推進は我が国の対外経済政策の柱であり 力強い経済成長を実現するためには 自由貿易体制を強化し 諸外国の活力を我が国の成長に取り込む必要があるというのが 政府全体と

アジア近隣 5 カ国における牛乳乳製品の輸入動向 資料 5-2 各国とも輸入額全体に占める脱脂粉乳及び全脂粉乳の割合が高い 高付加価値商品の販売が見込めるチーズ 育児用粉乳等についても各国で一定の割合を輸入 中国の輸入市場は規模が大きく 最近伸びているが割合の小さい LL 牛乳 (2.6%) 市場で

交渉結果については 現行の糖価調整制度を維持する一方で 加糖調製品について発効初年度約 6.2 万トン 11 年目で約 9.6 万トンの関税割当枠を設けることとなりました 糖価調整制度を現行通り維持したことから 国内で生産されるサトウキビ てん菜への影響は特段見込みがたい一方で 加糖調製品についての

1. 経済効果分析について 2015 年 10 月 5 日に大筋合意した環太平洋パートナーシップ (TPP) 協定が発効した場合に 我が国のマクロ経済に与える経済効果を分析 2013 年の政府統一試算と同様 一般的な経済モデルである GTAP( 最新版 ) を使用 2013 年当時は 関税撤廃 (

71 平成 27 年度の SBS 米の輸入入札状況 ( 単位 : 実トン ) 全体 丸米 砕米 入札回数輸入予定数量応札数量落札数量輸入予定数量応札数量落札数量輸入予定数量応札数量落札数量 第 1 回 (27 年 9 月 16 日 ) 4, ,000 2, ,000 2

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平成 21 年 4 月 10 日 平成 21 年 10 月 1 日訂正国際部国際政策課 農林水産物輸出入概況 2008 年 ( 平成 20 年 ) 確定値 本資料は財務省が発表している 貿易統計 を基に 我が国の農林水産物輸出入状況を取りまとめたものであり 本年 3 月 24 日に公表した統計表 (

TPP協定をめぐる国会論議


1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

決算説明会

目次 1. はじめに 2. 原産地基準 3. 原産地証明制度 4. 税関での手続き 本パンフレットは 税関での適正な手続きを行っていただくために 原産地規則についての基礎的な理解を深めていただくことを目的として作成したものです 理解しやすさの観点から 法令の用語と異なる用語を使用した部分 全てのEP

別冊 HAL だより TPP 協定の概要と対策 堀越孝良 平成 28 年 6 月 一般財団法人北海道農業企業化研究所

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1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

サービス交渉 DDA のサービス交渉が停滞する中 2012 年 12 月 21 の有志国が今までの FTA 等で達成した水準を基に新協定 ( 新サービス貿易協定 :Trade in Services Agreement) を作成する交渉を開始することで合意 日 米 EU 諾 豪 加 香港 パナマ コ

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原産地証明書の種類と内容 内容 用途 根拠協定 / 法律など 一般原産地証明書 原産地証明書発給の要請 : (1) 輸入国の法律 規則に基づく要請 (2) 契約や信用状の指定ただし 記載事項はあくまで発給機関の定める発給規則に基づいて作成される 契約および L/C 条件が発給規則に矛盾しないように注

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1. 世界における日 経済 人口 (216 年 ) GDP(216 年 ) 貿易 ( 輸出 + 輸入 )(216 年 ) +=8.6% +=28.4% +=36.8% 1.7% 6.9% 6.6% 4.% 68.6% 中国 18.5% 米国 4.3% 32.1% 中国 14.9% 米国 24.7%

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NO.3( 平成 29 年 11 月 17 日発行 ) Ⅰ 農業改革等をめぐる情勢 1. 国会の動き 10 月 22 日に執り行われた第 48 回衆議院議員総選挙では 自民党が 284 議席を確保し 単独で絶対安定多数 (261 議席 ) を上回った 公明党は 29 議席を確保し 自公で衆議院議員総

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第 3 章九州の産業別貿易動向 1. 自動車 自動車の部分品 2017 年の九州の自動車輸出額は 1 兆 7,006 億円 ( 前年比 27.4% 増 ) で前年より増加し 4 年連続の増加となった 輸出先は 米国が最も多く 次いで中国 アラブ首長国連邦等であった 2017 年の九州の自動車生産台数

総合的な TPP 等関連政策大綱 新輸出大国国内産業の競争力強化農政新時代 < 輸出促進によるグローバル展開推進 > 1 丁寧な情報提供及び相談体制の整備 TPP 等の普及 啓発 中堅 中小企業等のための相談体制の整備 2 新たな市場開拓 グローバル バリューチェーン構築支援 中堅 中小企業等の新市

各国の牛肉輸出量について 我が国は 主要な牛肉輸出国の輸出先国として 米国の第 1 位 豪州の第 2 位 カナダの第 4 位 ( いずれも 2014 年 ) その他 (27%) 韓国 (14%) 米国豪州カナダその他 (5%) 香港 (17%) 日本 (25%) メキシコ (17%) その他 (26

ドーハ ラウンド交渉とは 農業 鉱工業 サービスの自由化のみならず 貿易円滑化 アンチダンピング等のルールの策定 強化も含んだ 包括的な貿易交渉 2001 年にカタールのドーハで交渉が開始されたことから ドーハ ラウンドという 貿易を通じた途上国の開発が最重要課題の一つ 主な交渉分野 ( 下線は農林

は署名前に合意する必要があると記されている また TPP12において11カ国間で署名された文書 ( サイドレター ) については 原則として維持されることが明記されている 2.TPP11 の意義今回 TPP11が大筋合意に至ったことの日本にとっての意義を3 点指摘したい 第 1に アジア太平洋地域で

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四六八4一の品目の関税の基準税率及び当該一の品目の引下げのそれぞれの段階における暫定的な関税率を決定するための区分については 次編第B節の欧州連合の表及び第三編第D節の日本国の表において当該一の品目ごとに明示する 5この附属書の規定の適用上 基準税率 とは 次編及び第三編に別段の定めがある場合を除く

一九二〇 経過的セーフガード措置 とは 第六 三条(経過的セーフガード措置の実施)2に定める措置をいう 第六 二条世界向けのセーフガード1この協定のいかなる規定も 千九百九十四年のガット第十九条の規定及びセーフガード協定に基づく締約国の権利及び義務に影響を及ぼすものではない 23に規定する場合を除く

1 関税法上の用語の定義 輸入 外国貨物を本邦に引き取ること輸出 内国貨物を外国に向けて送り出すこと 外国貨物 1 輸出の許可を受けた貨物 2 外国から本邦に到着した貨物 ( 外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む ) で輸入が許可される前のもの内国貨物 1 本邦にある貨物で外国貨物でないもの

国際農業 食料レター 年月 ( 194) 全国農業協同組合中央会 今月の話題 NAFTA 再交渉から見えるトランプ政権の通商戦略 国際農業 食料レターのバックナンバーは 下記 インターネットホームページをご覧ください < 国際農業 食料レター に関する問い合わせ先:JA 全中国際企画

参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

農林水産物の生産額への影響について ( 試算 ) 1. 試算方法 (1) 試算対象品目関税率 10% 以上かつ国内生産額 10 億円以上の品目 ( 但し 除外を獲得した品目を除く ) である以下の18 品目の農産物 10 品目の林水産物とした 農産物 (18 品目 ): 小麦 大麦 砂糖 でん粉 牛

1 食に関する志向 健康志向が調査開始以来最高 特に7 歳代の上昇顕著 消費者の健康志向は46.3% で 食に対する健康意識の高まりを示す結果となった 前回調査で反転上昇した食費を節約する経済性志向は 依然厳しい雇用環境等を背景に 今回調査でも39.3% と前回調査並みの高い水準となった 年代別にみ

目次ページ一概説 一1協定の成立経緯 一2協定締結の意義 一二協定の内容 一1TPP協定の組込み 一2特定の規定の適用の停止 二3効力発生 二4脱退 二5加入 二6協定の見直し 二7正文 二8附属書 二三協定に関連して締結された二国間の行政取極 一二四協定の実施のための国内措置 一四(参考) 一六

農林水産物の生産額への影響について ( 試算 ) 1. 試算方法 (1) 試算対象品目関税率 10% 以上かつ国内生産額 10 億円以上の品目である以下の19 品目の農産物 14 品目の林水産物とした 農産物 (19 品目 ): 米 小麦 大麦 砂糖 でん粉 牛肉 豚肉 牛乳乳製品 小豆 いんげん

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特集 切花の輸入 平成 29 年 2 月 24 日東京税関 成田空港の輸入品にも春が来る! 輸入される切花は 菊 と カーネーション で 6 割を占める 毎年 3 月は ばら が輸入のピークを迎える 3 月が最初のピーク 春が近づき 花の話題が増える季節となりました 輸入品においても季節ごとの商品が

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農林水産物 食品の輸出額の国 地域別内訳 主な輸出先国 地域は 香港 米国 台湾 中国 韓国で 約 7 割を占める 原発事故に伴う輸入規制により 中国及び韓国は震災前 (2010 年 ) の水準に戻らなかった 他方 アセアン地域は 輸出額が急増 (2013 年 : 速報値 ) ( 億円 ) カッコ内

国際農業 食料レター 年月 ( 182) 全国農業協同組合中央会 今月の話題 TPP 交渉における乳製品をめぐる状況 国際農業 食料レターのバックナンバーは 下記 インターネットホームページをご覧ください < 国際農業 食料レター に関する問い合わせ先:JA 全中農政部 WTO EP

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主な国 地域別内訳 ( 単位 : 億円 ) 国 地域名 平成 27 年 平成 28 年 増減額 増減率 世界 7,451 7, % 香港 1,794 1

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1 アンチ ダンピング措置の新規調査開始件数の推移 AD 調査開始件数は 1 貿易自由化が進展した時と 2 景気後退の時に増加する傾向がある 世界金融危機時に増加した後しばらく下降傾向であったが 近年は再び増加傾向 世界的には 2 日に 1 件以上の割合で調査が開始されている

地域別世界のエアコン需要の推定について 年 月 一般社団法人 日本冷凍空調工業会 日本冷凍空調工業会ではこのほど 年までの世界各国のエアコン需要の推定結果を まとめましたのでご紹介します この推定は 工業会の空調グローバル委員会が毎年行 なっているもので 今回は 年から 年までの過去 ヵ年について主

第 3 章九州の産業別貿易動向 1. 自動車 自動車の部分品 2016 年の九州の自動車輸出額は 1 兆 3,346 億円 ( 前年比 15.6% 増 ) と 3 年連続の増加となった 輸出先は 米国が最も多く 次いで中国 アラブ首長国連邦等となっている 2016 年の九州の自動車生産台数は 135

2. 食料自給率の推移 食料自給率の推移 我が国の食料自給率 ( 総合食料自給率 ) は 長期的に低下傾向で推移してきましたが 近年は横ばい傾向で推移しています (%) (H5 ) 43 7

メキシコの投資環境 輸出規制メキシコにおいては 石油化学製品派生品を輸出する際に輸出事前許可が必要である 経済省貿易細則 判断基準の細則 同添付 において 経済省管轄の輸出規制品目について定められている 図表 16-2 輸出時にメキシコ経済省からの事前許可が必要な品目 分類

環太平洋パートナーシップ (TPP) 協定 の概要 データ集 2013 年 9 月 日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) 海外調査部 Copyright (C) 2013 JETRO. All rights reserved.

関税率の種類について 関税とは 輸入品に課せられる税 のことで 我が国の関税には国定税率 ( 基本税率 暫定税率 特恵税率 ) 及び協定税率 (WTO 協定税率 EPA 税率 ) がある 関税の種類 国定税率 基本税率 暫定税率 特恵税率 事情に変更がない限り長期間適用される税率 ( 関税定率法 )

東アジア経済統合と農業問題

1. 経済連携協定 (EPA) 自由貿易協定 (FTA) とは 自由貿易協定 (FTA:Free Trade Agreement) 特定の国や地域の間で 物品の関 税やサービス貿易の障壁等を削減 撤廃することを目的とする協定 経 済連携協定の主要な内容の一つ 経済連携協定 (EPA:Economic

2017 電波産業調査統計

1. 沖縄県における牛肉の輸出動向 2015 年は 輸出額が過去最高 数量 金額 2015 年は数量が 18,424 KG( 前年比 97.0%) 金額が 87 百万円 ( 同 111.8%) となり 輸出額が過去最高を記録しました 沖縄県の輸出額シェアは 1.1% となっています 国別金額シェア

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今月 19 日 英王室のヘンリー王子と米女優メーガン マークルさんがロンドン郊外ウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂で挙式を行い 世界各地から 10 万人超の人々が集まり祝賀ムードに包まれました 世界中から注目されたロイヤルウエディングですが 英王室の伝統を重んじる一方で アフリカ系米国人のルーツを持つメ

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環太平洋パートナーシップ (TPP) 協定の概要 交渉参加国シンガポール ( 星 ) ニュージーランド (NZ) ブルネイ チリ 米国 オーストラリア ペルー ベトナム マレーシア メキシコ カナダ 日本 経緯 2002 年星 NZ チリが APEC サミットの際に交渉開始 後にブルネイ参加 (NZ

1 基本情報 日本からの農林水産物 食品輸出 32.0 億円 (2015 年 ) 国 地域別順位 20 位 1. 基礎データ 輸入 2,866 億ドル輸出 4,978 億ドル 人口 :143 百万人 ( 人口増加率 0.0%) 面積 : 約 1,707 万km2 ( 日本の 45 倍, アメリカの

今後の EPA 戦略について 国境措置のあり方について 平成 19 年 4 月 11 日農林水産省

Ⅰ 日 EU EPAの意義 (1) 戦略的意義 EUは, 我が国にとって, 民主主義, 法の支配, 基本的人権といった基本的価値を共有する重要なグローバルパートナーである 本協定は, 戦略的パートナーシップ協定 (SPA) と共に, 日 EU 関係を新たな戦略的な水準に高めるものである 本協定は,

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1 TPP 協定について ( 意義と特徴 ) 2013 年 7 月 日本が交渉参加 2015 年 10 月 アトランタでのTPP 閣僚会合にて大筋合意 2016 年 2 月 オークランドでのTPP 閣僚会合にて署名 2017 年 1 月 日本がTPP 協定を締結 21 世紀のアジア太平洋にフェアでダイナミックな 一つの経済圏 を構築する試み 世界の GDPの約 4 割 人口の1 割強を占める巨大な経済圏 物品関税だけでなく 中小企業も含めたわが国企業の海外展開を促進するルール 約束を数多く実現する新たなルールを幅広い分野で構築 インド 2.6% ブラジル 3.0% TPP 協定交渉参加国が世界の GDP に占める割合 (2014 年 ) 韓国 1.8% ロシア 2.4% 中国 13.3% その他 17.4% TPP 以外 63.7% 日本 5.9% EU 23.6% 米国 22.3% TPP 計 36.3% 出典 :World Economic Outlook Database, April 2014 より作成 カナダ 2.3% オーストラリア 1.8% メキシコ 1.6% サービス 投資等の主なルール < 投資 > 投資先の国が 投資企業に対し技術移転等を要求することを禁止 < 貿易円滑化 > 急送貨物の迅速な税関手続を確保するため 6 時間以内の引取 を明記 関税分類等に関する事前教示制度を義務付け < 知的財産 > 模倣 偽造品等に対する厳格な規律 地理的表示の保護を規定 < 原産地規則 > 原産地規則の完全累積制度の実現 1

1 TPP 協定について ( 全体状況 主な品目の合意内容 ) 国内の農林水産業に悪影響を与えないよう粘り強く交渉を行い 農林水産物の約 2 割 (18%) が関税撤廃の例外 ( 農林水産物の関税撤廃率は82%) 更に 合意内容を品目ごとにみても 重要 5 品目を中心に国家貿易制度や枠外税率の維持 関税割当やセーフガードの創設 長期の関税削減期間の確保等の有効な措置を獲得 各国の関税撤廃率 ( 品目ベース ) 国 全品目 農林水産物 日本 95% 82% 米国 100% 99% カナダ 99% 95% 豪州 100% 100% NZ 100% 100% シンガポール 100% 100% メキシコ 99% 97% チリ 100% 98% ペルー 99% 97% マレーシア 100% 100% ベトナム 100% 99% ブルネイ 100% 100% 主な品目の合意内容 品目 米 小麦 合意内容 現行の国家貿易制度を維持するとともに 枠外税率 (341 円 /kg) を維持 その上で 既存の WTO 枠 (77 万玄米トン ) の外に 米国 豪州に対して SBS 方式の国別枠を設定 米国 : 5 万実トン ( 当初 3 年維持 ) 7 万実トン (13 年目以降 ) 豪州 :0.6 万実トン ( 当初 3 年維持 ) 0.84 万実トン (13 年目以降 ) 現行の国家貿易制度を維持するとともに 枠外税率 (55 円 /kg) を維持 既存の WTO 枠に加え 米国 (15 万トン (7 年目以降 )) カナダ (5.3 万トン ( 同 )) 豪州 (5 万トン ( 同 )) に SBS 方式の国別枠を設定 マークアップを 9 年目までに 45% 削減 粗糖 精製糖等 現行の糖価調整制度を維持 牛肉 豚肉 脱脂粉乳バター 16 年目に最終税率を 9% とし 関税撤廃を回避 ( 米国等の近年の FTA では類例を見ない 関税撤廃の例外 を獲得 ) 16 年目までという長期の関税削減期間を確保 輸入急増に対するセーフガードを措置 ( 関税が 9% となる 16 年目以降 4 年間連続で発動されない場合にはセーフガードは終了 ) 差額関税制度を維持するとともに 分岐点価格 (524 円 /kg) を維持 10 年目までという長期の関税削減期間を確保 ( 従量税 50 円 /kg は近年の平均課税額 23 円 /kg の約 2 倍に相当し 従価税 (4.3%) は撤廃 ) 11 年目までの間 輸入急増に対するセーフガードを措置 枠外税率の関税削減 撤廃は行わず 現行の国家貿易制度を維持するとともに 国家貿易でないTPP 枠を設定 ( 生乳換算で6 万 t( 当初 ) 7 万 t(6 年目以降 )) ( 最近の追加輸入量の範囲内で設定 ) 2

1 TPP 協定について ( 日本産農林水産物 食品の輸出 ) 牛肉 水産物など 我が国の農林水産物 食品の輸出拡大の重点品目の全てで関税撤廃を獲得 対世界輸出額の約 3 割を占める重要な市場である TPP 諸国向けに 更なる輸出拡大が期待 主要品目の対日関税の交渉結果 品目 国 現行 [EPA 税率 ] 市場アクセス コメ米国 1.4 セント /kg 5 年目撤廃 牛肉 米国 枠外 26.4% 枠内 (200 トン 4.4 セント /kg) カナダ 26.5% 6 年目撤廃 メキシコ 枠外 20~25% 枠内 [6,000 トン 12.0~22.5%] 交渉結果 15 年目撤廃 ( 無税枠 :3,000 トン (1 年目 ) 6,250 トン (14 年目 )) 10 年目撤廃 ブリ サバ サンマベトナム 18% 即時撤廃 農林水産物の輸出の重点品目 農林水産業の輸出力強化戦略 ( 平成 28 年 5 月農林水産業 地域の活力創造本部とりまとめ ) において 国ごとに記載 農林水産物 食品の輸出額の推移 味噌 醤油 米国 6.4% 5 年目撤廃 ベトナム 20% 5 年目撤廃 米国 3% 5 年目撤廃 ベトナム 30%[16.4%] 6 年目撤廃 りんごベトナム 15%[7.3%] 3 年目撤廃 なし 米国無税又は 0.3 セント /kg 即時撤廃 カナダ 無税又は 2.81 セント /kg ( ただし 10.5% 以上 ) 即時撤廃 茶ベトナム 40%[22.5%] 4 年目撤廃 チョコレート 切り花 米国 2%~(52.8セント /kg+ 8.5%) 即時 ~20 年目撤廃 ベトナム 13~25% 5~7 年目撤廃 米国 3.2%~6.8% 即時撤廃 カナダ 無税 ~16% 即時撤廃 3

1 TPP 協定について ( 発効規定 ) 要件 : 原署名国の GDP(2013 年 ) の合計の 85% 以上を占める 少なくとも 6 の原署名国が国内法上の手続を完了した旨を通報すること 署 名 日 ケース 1 全ての原署名国が国内法上の手続を完了した旨を通報した日 発効日 1 ケース 2 署名の日から2 年の期間内に 要件 ( ) が満たされた日 発効日 2 ケース3 署名の日から2 年の期間を経過した後に 要件 ( ) が満たされた日 発効日 3 参考 TPP 交渉参加国の GDP (2013 年 ) ( 単位 :10 億米ドル ) 1 60 日 60 日 60 日 2 年 2 2016.2.4 2018.2.3 2018.4.4 ケース 1 ケース 2 1 2 か国で 78.0 % 2 残る 10 か国のうち (1)4 か国以上 かつ (2)GDP 割合 7.0 % 以上が必要 ケース 3 4

1 TPP 協定について (TPP 発効に向けた取組 ) トランプ米国大統領は 2017 年 1 月に TPP の締約国となる意図がないことを TPP 署名国に通知 これを受けて 米国を除く TPP 署名 11 か国において TPP の早期発効を追求し その取組の一環として 2017 年 11 月に TPP11 の大筋合意 2018 年 3 月 8 日にチリで署名 TPP11 をできるだけ早期に発効させる考え TPP11 の条文 第 1 条 TPP 協定の組込み 第 2 条特定の規定の適用の停止 ( 凍結 ) ISDS 関連規定 知的財産 ( 例えば生物製剤データ保護期間 ) 等 第 3 条効力発生 (6 か国の締結完了 ) 第 4 条脱退 第 5 条加入 第 6 条本協定の見直し 物品市場アクセス TPP 協定の特徴であるハイスタンダードを維持する観点から 物品市場アクセスに関するものを含め 各規定の修正は行っていない コメなど 米国への国別の関税割当枠は不適用 輸出重点品目の全てで関税撤廃 第 6 条協定の見直し TPP 協定の効力発生が差し迫っている場合又は TPP 協定が効力を生ずる見込みがない場合には いずれかの締約国の要請に応じ この協定の改正及び関係する事項を検討するため この協定の運用を見直す 第 7 条正文 ( 英 仏 西 ) 5

2 日 EU EPA について ( 意義と特徴 ) 日 EU EPAは 平成 25 年 4 月から交渉を開始 平成 29 年 7 月に大枠合意 同年 12 月 8 日に両首脳間で交渉妥結を確認 EUは我が国にとって 民主主義 法の支配 基本的人権といった基本的価値を共有する重要なグローバルパートナー また EUは総人口約 5 億人 世界のGDPの約 22% 我が国にとっての主要貿易 投資相手 人口 (2016 年 ) 日本 +EU=8.6% GDP(2016 年 ) 日本 +EU=28.4% 6

2 日 EU EPA について ( 全体状況 主な品目の合意内容 ) 農林水産物の輸入に関し 米について 除外 を確保したほか 麦 乳製品の国家貿易制度 砂糖の糖価調整制度 豚肉の差額関税制度といった基本制度の維持 関税割当やセーフガードなどの有効な措置を獲得 主な品目の合意内容 ( 輸入 ) 品目 合意内容 品目 合意内容 米 関税削減 撤廃等からの 除外 を確保 現行の国家貿易制度を維持するとともに 枠外税率 ( 小麦 : 55 円 /kg 大麦:39 円 /kg) を維持 麦 ごく少量の関税割当枠 ( 小麦 :200トン 270トン(7 年目 ) 大麦:30トン( 即時 )) を設定 ( 国家貿易 SBS 方式 ) 現行の糖価調整制度 ( 輸入品と国産品の価格調整を通じて国内生産の安定を図るための制度 ) を維持 砂糖 粗糖 精製糖については 少量の新商品開発のための試験輸入枠 (500トン 無税 無調整金) を設定 差額関税制度を維持 ( 分岐点価格 (524 円 /kg) を維持 ) 豚肉 長期の関税削減期間 (9 年 ) と輸入急増に対するセーフガードを確保 チーズ ソフト系チーズについては TPP で関税撤廃や関税削減となったものも含めた 横断的な関税割当 ( 枠内税率は段階的に引き下げ 16 年目に無税 ) とし 枠数量は 国内消費の動向を考慮し 国産の生産拡大と両立できる範囲に留めた (20,000 トン ( 初年度 ) 31,000 トン (16 年目 )) TPP での合意内容 シュレッドチーズ おろし 粉チーズ ( プロセスチーズ ) : 関税撤廃 熟成ソフトチーズ ( カマンベール等 ): 関税維持 一部のフレッシュチーズ ( モッツァレラ等 ) : 関税維持 ブルーチーズ : 関税削減 プロセスチーズ : 関税割当 EU との合意内容 横断的な関税割当 主に原材料として使われる熟成ハード系チーズ ( チェダー ゴーダ等 ) やクリームチーズ ( 乳脂肪 45% 未満 ) 等については TPP と同様 関税撤廃するものの 長期の撤廃期間を確保 ( 段階的に 16 年目に撤廃 ) 牛肉脱脂粉乳 バター等 長期の関税削減期間 (15 年 : 最終関税率 9%) と輸入急増に対するセーフガードを確保 脱脂粉乳 バター等については 国家貿易を維持した上で 民間貿易による関税割当枠を設定 数量は 最近の追加輸入量の範囲内 (12,857トン 15,000トン(6 年目 生乳換算 )) パスタ チョコレート菓子等の加工品 林産物 パスタ ( マカロニ スパゲッティ ) チョコレート菓子等の加工品については関税撤廃するものの 長期の撤廃期間を確保 ( パスタ チョコレート菓子 キャンディーは段階的に 11 年目 ビスケットは段階的に 6~11 年目に それぞれ撤廃 ) 構造用集成材 SPF 製材等の林産物 10 品目については 関税撤廃するものの 即時撤廃を回避し 一定の撤廃期間を確保 ( 段階的に8 年目に撤廃 ) 7

2 日 EU EPA について ( 日本産農林水産物 食品の輸出 ) 牛肉 茶 水産物などの輸出重点品目を含め ほぼすべての品目で関税撤廃を獲得 ( ほとんどが即時撤廃 ) EU5 億人の市場に向けた我が国農林水産物の輸出促進に向けた環境を整備 主な品目の合意内容 ( 輸出 ) 品目 現行関税 合意内容 水産物 無税 ~26% 醤油等調味料 7.7%( 醤油 ) 農林水産物の輸出の重点品目 水産物 ( ホタテ ブリ ) 牛肉 調味料 日本特有の食材 ( ゆず わさび等 ) コメ 緑茶 アルコール飲料 花き 緑茶 牛肉 無税 ~3.2% 12.8%+141.4~304.1 /100kg 即時撤廃 農林水産物 食品の輸出額の推移 花き 6.5% 又は8.3%( 植木 盆栽 鉢もの ) 8.5% 又は10%( 切り花 ) 青果物 12.8%( かんきつ ( ゆず等 )) 9.5 /100kg( ながいも ) 林産物 無税 ~10% 豚肉 46.7~86.9 /100kg 鶏肉 6.4% 18.7~102.4 /100kg 鶏卵 ( 粉卵等含む ) 16.7~142.3 /100kg ほたて貝 ( 段階的に8 年目に撤廃 ) アイスクリーム ( 段階的に6 年目までに 70% 削減 ) ココア粉 ( 段階的に8 年目までに 25% 削減 ) 等を除く 牛乳 乳製品 118.8 /100kg 等 ( 脱脂粉乳 ) 189.6 /100kg 等 ( バター ) は 平成 30 年 3 月現在 輸出解禁に向け協議中の品目 8