2025年の住宅市場 ~新設住宅着工戸数、60万戸台の時代に~

Similar documents
2030年の住宅市場~“移動人口”の拡大が人口減少下における住宅市場活性化の鍵に~

法制度改革と電子マネーにおける立法の可能性

表 1) また 従属人口指数 は 生産年齢 (15~64 歳 ) 人口 100 人で 年少者 (0~14 歳 ) と高齢者 (65 歳以上 ) を何名支えているのかを示す指数である 一般的に 従属人口指数 が低下する局面は 全人口に占める生産年齢人口の割合が高まり 人口構造が経済にプラスに作用すると

1000 Copyright(C)2009 All Rights Reserved - 2 -

PowerPoint プレゼンテーション

( 資料 3) 比較検討した住宅 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資料 4) 住宅の選択理由 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資

別紙2

はじめに 我が国の建設投資は 社会経済活動 市場動向等に与える影響は極めて大きい このため 国土交通省では 国内建設市場の規模とその構造を明らかにすることを目的とし 昭和 35 年度から毎年度 建設投資推計及び建設投資見通しを作成し 建設投資見通し として公表している 作成の方法と留意点 建設投資推

第 7 回大阪市人口移動要因調査報告書 平成 27 年 3 月 大阪市都市計画局

需要・供給の両面から見た国内住宅市場 2030年までの見通し

平成27年版高齢社会白書(全体版)

平成29年版高齢社会白書(全体版)

2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

< F2D AD97DF8E73837D834E838D838C837C815B B2E767364>

Economic Indicators   定例経済指標レポート

untitled

統計から見た三重県のスポーツ施設と県民のスポーツ行動

2019年度はマクロ経済スライド実施見込み

Copyright C Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 1

年 4 月期関西圏 中京圏賃貸住宅指標 大阪府京都府兵庫県愛知県静岡県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新確率 (%)

(2) 高齢者の福祉 ア 要支援 要介護認定者数の推移 介護保険制度が始まった平成 12 年度と平成 24 年度と比較すると 65 歳以上の第 1 号被保険者のうち 要介護者又は要支援者と認定された人は 平成 12 年度末では約 247 万 1 千人であったのが 平成 24 年度末には約 545 万

2020年の住宅市場 ~人口・世帯数減少のインパクト~

2012.indb

Microsoft Word 日本語版.docx

タイトル

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

211 年 2 月 25 日発行 TVI( タス空室インデックス )( 過去 2 年推移 ) ポイント 全域 23 区市部神奈川県埼玉県千葉県 年月 東京都全域 23 区市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 29 年 1 月

Copyright(C)2010 i-corpration All Rights Reserved.

中期経営計画の見直しについて 2015 年 5 月

成長可能性に関する説明資料

35

公表内容 2 本機関は業務規程第 22 条に基づき 需要想定の前提となる経済指標として 以下の項目の見通しを策定し 公表します ( 全国の経済見通しの策定 ) 第 22 条本機関は 需要想定の前提となる人口 国内総生産 (GDP) 鉱工業生産指数 (IIP) その他の経済指標について 当年度を含む

西宮市の将来人口推計 政策局政策総括室政策推進課 平成 24 年 7 月

untitled

日本の富裕層は 122 万世帯、純金融資産総額は272 兆円

スライド 1

2 / 6 不安が生じたため 景気は腰折れをしてしまった 確かに 97 年度は消費増税以外の負担増もあったため 消費増税の影響だけで景気が腰折れしたとは判断できない しかし 前回 2014 年の消費税率 3% の引き上げは それだけで8 兆円以上の負担増になり 家計にも相当大きな負担がのしかかった

NRI未来創発フォーラム2014 抄録

建設経済モデルによる建設投資の見通し

平成 29 年度税制改正 ( 租税特別措置 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 ) 制度名既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充 税目所得税 ( 国土交通省 ) 既存住宅流通 リフォーム市場の活性化に向けて 耐震性 省エネ性 耐久性に優れた良質な住宅ストックの形成を促進するため 既存住宅の耐震 省

我が国中小企業の課題と対応策

PowerPoint プレゼンテーション

資産運用として考える アパート・マンション経営

木造住宅の価格(理論値)と建築数

<4D F736F F D20819A8E9197BF B8BE682CC8CBB8FF382C6906C8CFB90848C >

第 2 章高齢者を取り巻く現状 1 人口の推移 ( 文章は更新予定 ) 本市の総人口は 今後 ほぼ横ばいで推移する見込みです 高齢者数は 増加基調で推移し 2025 年には 41,621 人 高齢化率は 22.0% となる見込みです 特に 平成 27 年以降は 後期高齢者数が大幅に増加する見通しです

建設経済モデルによる建設投資の見通し

Microsoft Word - 3

相続支払い対策ポイント

150423HC相続資産圧縮対策のポイント

ハピタス のコピー.pages

Copyright 2008 All Rights Reserved 2

経済財政モデル の概要 経済財政モデル は マクロ経済だけでなく 国 地方の財政 社会保障を一体かつ整合的に分析を行うためのツールとして開発 人口減少下での財政や社会保障の持続可能性の検証が重要な課題となる中で 政策審議 検討に寄与することを目的とした 5~10 年程度の中長期分析用の計量モデル 短

やよいの顧客管理

弥生給与/やよいの給与計算

弥生 シリーズ

弥生会計 プロフェッショナル/スタンダード/やよいの青色申告

弥生会計/やよいの青色申告

弥生会計 ネットワーク/プロフェッショナル2ユーザー

<4D F736F F F696E74202D E88E68AD482CC906C8CFB88DA93AE82C982C282A282C4>

(21.5%) ( %) ( %)

Economic Indicators   定例経済指標レポート

Microsoft PowerPoint - 09macro3.ppt

1 ( ) 4.1% 4.4% 4.% 1 ( ) 1.2%( ) 1.6% 3.8% 1( ) 5.6% 4, % 8 6.5% % 2 4.3% 47.8% 18.8% % 13 2, % 2.2% 13.% 218 ( ).


1 概 況

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数


IT 人材需給に関する調査 ( 概要 ) 平成 31 年 4 月経済産業省情報技術利用促進課 1. 調査の目的 実施体制 未来投資戦略 2017 ( 平成 29 年 6 月 9 日閣議決定 ) に基づき 第四次産業革命下で求められる人材の必要性やミスマッチの状況を明確化するため 経済産業省 厚生労働

Fuji Xerox Co., Ltd. All rights reserved.

マイホームを欠陥から守る

シニア層の健康志向に支えられるフィットネスクラブ

release-270.PDF

Microsoft Word - 教育経済学:課題1.docx

平成28年版高齢社会白書(概要版)


21 年 1 月 29 日発行 TVI( タス空室インデックス )( 過去 2 年推移 ) ポイント 1 都 3 県 TVI 推移 ( 過去 2 年間 ) 全域 23 区市部神奈川県埼玉県千葉県 年月 東京都全域 23 区市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 28 年

人口減少と将来の労働力不足について(資料編)

資料-6

Microsoft Word - 49_2

2013年7月3日

住宅着工とストックの中長期展望

PowerPoint プレゼンテーション

1. 山陰地域の住宅投資動向の概要 山陰地域の新設住宅着工戸数の動きをみると 振れを伴いつつも 持家 貸家ともに持ち直しの動きが続いている また 分譲マンションも持ち直し傾向にあるが 市内中心部の一部地域に限られているとの声が聞かれている ( 図表 1 2) 持ち直しの背景としては 1 総人口が減少


目 次 (1) 財政事情 1 (2) 一般会計税収 歳出総額及び公債発行額の推移 2 (3) 公債発行額 公債依存度の推移 3 (4) 公債残高の累増 4 (5) 国及び地方の長期債務残高 5 (6) 利払費と金利の推移 6 (7) 一般会計歳出の主要経費の推移 7 (8) 一般会計歳入の推移 8

平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

<4D F736F F F696E74202D C8E8693FC A F F95BD90AC E937889E482AA8D9182CC8DE090AD8E968FEE816990AD957B88C4816A2E >

初心者にもできるアメブロカスタマイズ新2016.pages

- 2 Copyright (C) All Rights Reserved.

untitled

高確率軸馬発掘法&今週末から競馬の勝ち組になれる5つの作戦

Microsoft Word - 季報サマリーレポート(2018年04~06月).doc

栃木県高齢者居住安定確保計画 ( 二期計画 ) 概要版 1 計画の目的と背景 高齢化が急速に進行する中 平成 24 年 3 月に県土整備部と保健福祉部が連携のもと高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく 栃木県高齢者居住安定確保計画 ( 以下 現計画 という ) を策定し 高齢者が安心して快適に暮

Microsoft Word NO0257

3. 研究の概要等 1 章では 第 1 節で相続税法の歴史的経緯について 特に贈与の位置づけの変遷を中心に概観し 明治 38 年に創設された相続税法での贈与に対する扱いはどうであったのか また 昭和 22 年のシャベル勧告により贈与税が導入され 昭和 25 年のシャウプ勧告で廃止 その後 昭和 28

新設住宅着工戸数 ( 全国 ) 23 年 月の新設住宅着工戸数は 67,273 戸 前年同月比 5.8% と 2 か月連続マイナスとなったがマイナス幅は縮小 1,000 ( 戸 ) 新設住宅着工戸数の月別推移 ( 全国 ) 0,000 90,000 80,000 住宅エコホ イント着工期限 (末 )

建設の施工企画 特集 5 長寿命化 維持管理 リニューアル 住宅の長寿命化への取組 国土交通省住宅局住宅生産課 今後の住宅政策においては これまでの つくっては壊す フロー消費型社会から いいものをつくっ て きちんと手入れして 長く大切に使う という ストック重視型への転換を図ってい

Microsoft PowerPoint _公表資料2015

平成20年 住宅・土地統計調査から見た       美濃加茂

Transcription:

第 212 回 NRI メディアフォーラム 225 年の住宅市場 ~ 新設住宅着工戸数 6 万戸台の時代に ~ 214 年 7 月 9 日 株式会社野村総合研究所コンサルティング事業本部インフラ産業コンサルティング部 榊原渉大道亮植井陽大 1-5 東京都千代田区丸の内 1-6-5 丸の内北口ビル

目次 1. 住宅市場を取り巻くマクロ環境の変化 2. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場の予測結果 3. 新設住宅着工戸数の予測方法 4. リフォーム市場の予測方法 5. まとめ Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 1

1. 住宅市場を取り巻くマクロ環境の変化 2. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場の予測結果 3. 新設住宅着工戸数の予測方法 4. リフォーム市場の予測方法 5. まとめ Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2

1. 住宅市場を取り巻くマクロ環境の変化 日本の人口は既に減少局面に入った 世帯数も 219 年をピークに減少に転じる見込み 日本の総人口 総世帯数の推移と予測 世帯数 ( 万世帯 ) 人口 ( 万人 ) 6, 実績 予測 16, 5, 14, 12, 4, 1, 3, 2, 1, 8, 6, 4, 2, 世帯数 ( 左軸 ) 人口 ( 右軸 ) 197 '75 '8 '85 '9 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25 '3 '35 '4 '45 '5 '55 '6 ( 年 ) 出所 ) 国立社会保障 人口問題研究所をもとにNRI 作成注 ) 将来推計人口は 出生 ( 中位 ) 死亡 ( 中位 ) 推計結果 を使用 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 3

1. 住宅市場を取り巻くマクロ環境 世帯数減少時代に突入することで 住宅市場は構造的な変曲点を迎えることになる 住宅投資およびリフォーム市場規模の推移 ( 兆円 ) 45 4 38.5 市場規模 ( 合計 ) 新設住宅市場規模リフォーム市場規模 ( 広義 ) 35 3 25 2 33.9 25.8 29.4 31.9 23.9 28.3 29.3 28.7 21. 21.8 21.2 26.7 26.1 25.7 25.6 25.8 25.6 19.5 18.8 18.7 19. 19. 19.3 23.1 23. 17.1 16.9 19. 19.9 2.3 21.1 今後 どのように推移するのか? 15 13.4 13.5 13.8 14.4 1 8.1 9.1 8.1 7.3 7.5 7.5 7.2 7.3 7. 6.6 6.8 6.2 6. 6.1 5.6 6.4 6.5 6.7 5 1995 2 '5 '1 '15 '2 ( 年度 ) 新設住宅市場規模は年度次 リフォーム市場規模は年次 出所 ) 国土交通省 建築投資額の推移 公益財団法人住宅リフォーム 紛争処理支援センター 住宅リフォームの市場規模 よりNRI 作成 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 4

1. 住宅市場を取り巻くマクロ環境の変化 2. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場の予測結果 3. 新設住宅着工戸数の予測方法 4. リフォーム市場の予測方法 5. まとめ Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 5

2. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場の予測結果新設住宅着工戸数は 今後数年間は 9 万戸前後で推移するが 漸減し 225 年には 62 万戸になる見通し 新設住宅着工戸数の推移と予測 ( 万戸 ) 18 166 167 167 163 予測値 16 151 156 148 14 12 1 8 6 142 134 バブル崩壊 134 118 123 121 117 115 117 119 125 129 消費税増税前駆け込み需要 + 阪神淡路大震災復興需要 耐震偽装事件建築基準法改正 14 14 89 82 84 78 金融危機 99 91 95 85 82 8 消費増税前駆け込み需要 78 75 73 7 67 65 62 4 2 1988 '9 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25 出所 )NRI ( 年度 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 6

2. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場の予測結果 リフォーム市場の規模は 225 年でも現状から微減の 6 兆円程度に留まる見通し 政府はリフォーム 中古流通市場を22 年までに2 兆円規模に育成する方針 適切な政策が提供されれば市場規模の拡大につながる可能性がある 広義のリフォームとは 住宅着工統計上 新設住宅 に計上される増築 改築工事 設備等の修繕維持費 エアコンや家具等のリフォームに関連する耐久消費財 インテリア商品等の購入費 を含めた金額 リフォーム市場規模 ( 広義 ) の推移 ( 兆円 ) 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 5.8 6.1 6.8 7.1 6.9 7.5 8.1 9.1 8.1 7.3 7.5 7.5 7.2 7.3 7. 実績値再現値予測値 6.6 6.8 6.2 6. Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 7 6.1 5.6 6.4 予測値 6.5 6.7 6.7 6.8 6.2 6.2 5.6 5.8 5.9 6. 6.3 6.1 6.3 6.1 6.1 1989 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25 ( 年 ) 出所 )NRI

1. 住宅市場を取り巻くマクロ環境の変化 2. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場の予測結果 3. 新設住宅着工戸数の予測方法 4. リフォーム市場の予測方法 5. まとめ Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 8

新設住宅着工戸数は 4 つのステップを経て予測を行った 新設住宅着工戸数予測の 4 つのステップ Step 1 Step 2 新設住宅着工戸数に影響を与える因子の抽出 人口 世帯数 経済成長 住宅ストックの質などを表す各種指標より 論理的 統計的に新設住宅着工戸数に影響を与えてきたと考えられる指標を抽出 新設住宅着工戸数に影響を与える因子の将来予測 Step 1で抽出した指標について 公的機関が発表している将来予測を参照 ( または NRIにて独自に将来予測を実施 ) Step 3 新設住宅着工戸数の再現値と予測値の算出 新設住宅着工戸数を被説明変数 Step 1,2で整理した指標を説明変数として 重回帰分析により新設住宅着工戸数の将来予測を実施 Step 4 新設住宅着工戸数の再現値からの差分の見立て 過去の実績値と再現値を比較し その差異の要因を分析 過去の差異をもとに 今後の再現値との差分を想定 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 9

Step 1 新設住宅着工戸数に影響を与える因子の抽出新設住宅着工戸数に大きく影響を与えるのは 1 移動人口 2 名目 GDP 成長率 3 住宅ストックの平均築年数の 3 点 人口 世帯数経済成長住宅ストック 総人口 生産年齢人口 総世帯数 世帯主が生産年齢に該当する世帯数 移動人口 移動世帯数など 実質 GDP 実質 GDP 成長率 前年度の実質 GDP 前年度の実質 GDP 成長率 名目 GDP 名目 GDP 成長率 前年度の名目 GDP 前年度の名目 GDP 成長率など 住宅ストック総数 平均築年数 空家数 空家率など 新設住宅着工戸数に影響する要因として 論理的に適切か 統計的に 新設住宅着工戸数に影響していると言えるか 新設住宅着工戸数に影響を与える因子 1 移動人口 2 名目 GDP 成長率 3 平均築年数 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 1

Step 2 新設住宅着工戸数に影響を与える因子の将来予測移動人口は減少傾向にあり 213 年には約 1, 万人だったものが 225 年には約 79 万人まで減少する見通し 移動人口の推移と予測 ( 百万人 ) 14 予測値 12 1 8 12.6 12.5 12.5 11.5 11.6 11.6 11.7 12. 12.3 12.3 11.5 12.3 12.4 12.3 12. 12. 11.6 11.3 11.2 11.1 1.8 1.7 1.2 1.2 1.1 1.1 9.9 9.7 9.6 9.4 9.2 9. 8.8 8.6 8.5 8.3 8.1 7.9 6 4 2 1988 '9 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25 ( 年度 ) 出所 ) 総務省 住民基本台帳人口移動報告 国勢調査 国立社会保障 人口問題研究所 日本の将来推計人口 より NRI 作成 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 11

Step 2 新設住宅着工戸数に影響を与える因子の将来予測名目 GDP 成長率は 213 年度以降微減し 225 年度まで 1% 台前半で推移するとの日本経済研究センターの予測を採用した 名目 GDP 成長率の推移と予測 (%) 1 8 8.6 7. 7.3 予測値 6 4.9 4 2 2. 1.4 1.8 2.2 1..8.8.5.7.8.2 1.3 1.9 1.9 1.6 1.3 1.3 1.4 1.4 1.4 1.3 1.2 1.2 1.1 1. -2 -.1-2. -.8-1.8 -.7-1.4 -.2-4 -6 1988 '9 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25-4.6-3.2 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 12 ( 年度 ) 出所 ) 内閣府 国民経済計算 日本経済研究センター 中期経済予測 より NRI 作成

Step 2 新設住宅着工戸数に影響を与える因子の将来予測 平均築年数は今後も上昇し続け 213 年の 22 年から 225 年には 27 年近くに達する見通し 着工時期別に 住宅ストックが建築後にどれだけ減少していくかという 減衰曲線 を算出した 減衰曲線に基づき着工年別住宅ストックを算出することで 住宅の平均築年数を算出した 平均築年数の推移減衰曲線 ( 住宅ストックの減少率 ) ( 年 ) 3 予測値 1.9 25.8 2.7.6 着工時期 1999~23 15.5.4 1994~1998 1.3 1989~1993 1982~1988 5 1988'9 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25.2.1 1 5 1 15 2 25 3 35 4 45 5 55 6 1971~1981 1961~197 ~196 築後年数 ( 年 ) 出所 ) 国土交通省 住宅着工統計 総務省 住宅土地統計 より NRI 作成 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 13

Step 3 新設住宅着工戸数の再現値と予測値の算出 1 移動人口 2 名目 GDP 成長率 3 住宅ストックの平均築年数を説明変数として重回帰分析により新設住宅着工戸数を再現し 過去の実績値と対比した 新設住宅着工戸数の実績値と再現値 予測値 ( 万戸 ) 18 166 167 167 16 151 156 148 163 実績値 再現値 予測値 予測値 14 12 1 134 142 134 123 118 121 117 115 117 125 129 119 14 14 89 99 8 78 82 84 91 88 85 82 8 78 75 73 7 67 6 65 62 4 2 1988 '9 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25 ( 年度 ) 出所 ) 各種資料より NRI 作成 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 14

Step 4 新設住宅着工戸数の再現値からの差分の見立て 5 年程度の周期で生じる 需要の顕在化サイクル を考慮して再現値と実績値の差分を想定した 実績値と再現値の差分単年 い再実績値が多現値需要( 万戸 ) が顕在化しいが多3 2 1-1 -2-3 6 4 2-2 -4-6 ( 万戸 ) 1988 '9 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25 直前 5 年間の差分の累積 すぎている需き要ってがい顕在化しない消費税増税前駆け込み需要 + 阪神淡路大震災復興需要 耐震偽装事件建築基準法改正 金融危機 想定値 消費増税前駆け込み需要 想定値 ( 年度 ) 再びマイナスへ? 1988 '9 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25 再びマイナスへ? Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 15 ( 年度 )

Step 4 新設住宅着工戸数の再現値からの差分の見立て過去の差分を加味し 予測値の修正を行った結果 今後数年間は 9 万戸前後 その後漸減して 225 年には 62 万戸 との見通し 新設住宅着工戸数の実績値 / 再現値 予測値 / 修正予測値 ( 万戸 ) 18 166 167 167 16 151 156 148 163 実績値再現値 予測値修正予測値 予測値 14 12 1 134 142 134 123 118 121 117 115 117 125 129 119 14 14 89 99 8 78 82 84 91 95 85 82 8 88 78 75 73 7 67 65 62 6 4 2 1988 '9 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25 ( 年度 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 16

( 参考 ) 感度分析 名目 GDP 成長率が 1pt 上昇すると 新設住宅着工戸数の予測値は約 2 万 6 千戸増加する 214 年度 215 年度 216 年度 日本経済研究センター 中期経済予測 に基づく名目 GDP 成長率の見通し 新設住宅着工戸数予測値 1.9% 1.6% 1.3% 91. 万戸 94.8 万戸 84.6 万戸 感度分析のために設定した名目 GDP 成長率 2.9% (+1.pt) 2.6% (+1.pt) 2.3% (+1.pt) 新設住宅着工戸数予測値 93.5 万戸 (+2.6 万戸 ) 97.4 万戸 (+2.6 万戸 ) 87.2 万戸 (+2.6 万戸 ) 注 ) 小数点以下第 2 位を四捨五入しているため 合計値は必ずしも一致しない Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 17

1. 住宅市場を取り巻くマクロ環境の変化 2. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場の予測結果 3. 新設住宅着工戸数の予測方法 4. リフォーム市場の予測方法 5. まとめ Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 18

リフォーム市場規模は 3 つのステップを経て予測を行った リフォーム市場規模予測の 3 つのステップ Step 1 Step 2 Step 3 リフォーム市場規模に影響を与える因子の抽出 世帯数 経済成長 住宅ストックの質などを表す各種指標より 論理的 統計的にリフォーム市場に影響を与えてきたと考えられる指標を抽出 リフォーム市場規模に影響を与える因子の将来予測 Step 1で抽出した指標について 公的機関が発表している将来予測を参照 ( または NRIにて独自に将来予測を実施 ) リフォーム市場規模の再現値と予測値の算出 リフォーム市場規模を被説明変数 Step 1,2で整理した指標を説明変数として 重回帰分析により狭義のリフォーム市場規模の将来予測を実施 狭義のリフォーム市場規模と広義のリフォーム市場規模の比率を推計し 広義のリフォーム市場規模の将来予測を実施 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 19

Step 1 リフォーム市場に影響を与える因子の抽出リフォーム市場規模に影響を与えるのは 1 新設住宅着工戸数 (8 年前 ) 2 名目 GDP 成長率 3 平均築年数の 3 点 世帯数経済成長住宅ストックの質 総世帯数 世帯主が生産年齢に該当する世帯数 移動者数 移動世帯数 新設住宅着工戸数など 実質 GDP 実質 GDP 成長率 前年度の実質 GDP 前年度の実質 GDP 成長率 名目 GDP 名目 GDP 成長率 前年度の名目 GDP 前年度の名目 GDP 成長率など 平均築年数 空家数 空家率など リフォーム市場規模に影響する要因として 論理的に適切か 統計的に リフォーム市場規模に影響していると言えるか リフォーム市場規模に影響を与える因子 1 新設住宅着工戸数 (8 年前 ) 2 名目 GDP 成長率 3 平均築年数 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2

Step 3 リフォーム市場規模の再現値の算出 狭義のリフォーム市場規模は現在 5.4 兆円 225 年には 5.3 兆円に微減する見通し 狭義のリフォーム市場規模は 住宅着工統計上 新設住宅 に計上される増築 改築工事 および 設備等の修繕維持費 を指す リフォーム市場規模 ( 狭義 ) の推移 ( 兆円 ) 7 6 5 4 3 3.4 3.6 再現値 予測値 実績値 予測値 5.7 5.6 5.4 5.5 5.6 5.3 5.4 5.2 5.2 5.1 5.3 5.4 5.2 5.2 5. 5.1 5.3 5.4 5.2 5.1 5.3 5.4 5.3 5. 4.9 5. 4.8 4.7 4.8 4.7 4.4 4.5 4.4 4.1 4.2 2 1 1988 '9 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25 年出所 ) 実績値は住宅リフォーム 紛争処理支援センター 住宅リフォームの市場規模 (212 年版 ) よりNRI 作成 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 21

Step 3 リフォーム市場規模の再現値の算出 狭義 / 広義リフォーム市場規模の比率は 225 年には約 86% になる見通し 1989 年 ~212 年の狭義 / 広義リフォーム市場規模の比率をロジスティック回帰分析した 広義のリフォームとは 狭義のリフォームに エアコンや家具等のリフォームに関連する耐久消費財 インテリア商品等の購入費を含めた金額 を加えたものである ( 住宅リフォーム 紛争処理センターより ) エアコン等の家電の低価格化 長寿命化に伴い 広義 狭義のリフォーム市場規模の差は縮小してきたと考えられる 狭義 / 広義リフォーム市場規模比率の推移 % 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 59 59 6 63 6 6 65 63 67 68 68 71 73 再現値 予測値 77 78 77 78 77 79 79 78 79 82 82 83 83 83 84 84 85 85 85 86 86 86 86 1988 '9 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25 年出所 ) 実績値は住宅リフォーム 紛争処理支援センター 住宅リフォームの市場規模 (212 年版 ) よりNRI 作成 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 22 実績値 81 予測値

Step 3 リフォーム市場規模の再現値の算出 広義のリフォーム市場規模は現在 6.7 兆円 225 年には 6.1 兆円に微減する見通し 狭義リフォーム市場規模を狭義 / 広義リフォーム市場規模比率で割り戻し 広義リフォーム市場規模を算出 リフォーム市場規模 ( 広義 狭義 ) の推移 ( 兆円 ) 広義 : 再現値 予測値広義 : 実績値 1 9.1 9 8.1 予測値 8.1 8 6.8 7.1 7.5 7.3 7.5 7.5 7.2 6.9 7.3 7. 6.7 6.8 6.6 6.8 6.2 6.2 6.2 5.6 5.8 5.9 6. 6.3 6.1 6.3 6.1 6.1 5.8 6.1 6. 6.1 6.4 6.5 6.7 7 6 5.6 5.3 5.7 5.4 5.5 5.6 5.2 5.2 4.7 4.9 5. 5.1 5.4 5.3 5.4 5. 5.1 5.3 5.2 5.6 5.4 5.3 5.4 5.1 4.8 5.2 5.2 4.4 4.5 4.7 4.8 5. 5.3 5 4.1 4.2 4.4 4 3.4 3.6 3 2 1 狭義 : 再現値 予測値 狭義 : 実績値 1988 '9 '95 2 '5 '1 '15 '2 '25 年 出所 ) 実績値は住宅リフォーム 紛争処理支援センター 住宅リフォームの市場規模 (212 年版 ) より NRI 作成 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 23

1. 住宅市場を取り巻くマクロ環境の変化 2. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場の予測結果 3. 新設住宅着工戸数の予測方法 4. リフォーム市場の予測方法 5. まとめ Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 24

まとめ 1 移動人口 2 名目 GDP 成長率 3 平均築年数をもとに新設住宅着工戸数を推計した 22 年度には約 75 万戸 25 年度には約 62 万戸になると予測される 213 年度 22 年度 225 年度 移動人口 1,9 万人 883 万人 792 万人 名目 GDP 成長率 +1.9% +1.4% +1.% 平均築年数 21.8 年 24.7 年 26.8 年 新設住宅着工戸数 98.7 万戸 75.3 万戸 62.3 万戸 注 ) 矢印の向きは 新設住宅着工戸数に与える影響の方向を示す Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 25

まとめ 1 新設住宅着工戸数 (8 年前 ) 2 名目 GDP 成長率 3 平均築年数をもとにリフォーム市場規模を推計した 22 年には約 6. 兆円 25 年には約 6.1 兆円になると予測される 213 年 22 年 225 年 新設住宅着工戸数 (8 年前 ) 124.9 万戸 89.3 万戸 82.2 万戸 名目 GDP 成長率 +1.9% +1.4% +1.% 平均築年数 21.8 年 24.7 年 26.8 年 リフォーム市場規模 6.7 兆円 6. 兆円 6.1 兆円 注 ) 矢印の向きは リフォーム市場規模に与える影響の方向を示す リフォーム市場規模は年次 説明変数の新設住宅着工戸数 (8 年前 ) 名目 GDP 成長率 平均築年数はいずれも年度次 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 26

まとめ新設住宅市場の縮小は避けられない住宅 住生活の質的向上に向けて リフォーム 中古住宅流通の活性化が必須となる 3 兆円 2 兆円 1 兆円 円 リフォーム 6.7 兆円 新設住宅着工約 15 兆円 (98.7 万戸 ) 213 年度 ( 実績 ) リフォーム 6.1 兆円 新設住宅着工 1 兆円 (62.3 万戸 ) 225 年度 ( リフォーム 新設住宅 リフォーム 中古住宅流通 2 兆円 新設住宅着工 1 兆円 (62.3 万戸 ) 225 年度 ( リフォーム 中古住宅流通は政策目標 着工ともにNRI 予測 ) 新設住宅着工はNRI 予測 ) 変えられる未来 従来の住宅産業の枠組みを超えた異業種の参入 連携 ほぼ確実な未来 人口移動 GDP 成長 住宅の長寿命化 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 27