1-1. 公共工事 1/2 パッケージ 1
第 1 編基本知識 第 1 章公共工事における最近の動向 1. 公共工事の入札契約制度 2. 公共建築工事の積算 3. 官庁営繕における 最近の主要な取り組み P. 3
1.1 公共工事における 入札契約方式の特徴 入札契約制度の規定 最近までは方式選択が限定的であった 会計法 国 地方自治法 地方財政法 地方公共機関 P. 4
1.2 会計法と入札契約制度 会計法 : 明治 22 年 (1889 年 ) 公布一般競争入札が原則会計規則 : 発注者は予定価格を作成予定価格の上限 ( 下限 ) 拘束性指名競争入札の導入 : 大正 10 年 (1921 年 ) 会計法改正低入札価格調査制度 : 価格以外の落札基準 : 昭和 36 年 (1961 年 ) 会計法改正 P. 4
1.3 予定価格 予算決算及び会計令 ( 予決令 ): 入札契約運用第 79 条 予定価格の作成第 80 条 予定価格の決定方法昭和 22 年法律第 171 号 : 受注者が煩雑作業事後原価計算 =インフレに対する統制価格昭和 24 年改訂 : 受注者の負担軽減予定価格の範囲内 = 統制価格として取扱う発注者 : 詳細な積算によるコストの説明責任工事契約額の正当性証明を予定価格が負う P. 5
1.4 低入札価格調査 低入札調査基準価格 = 直接工事費 率 + 共通仮設費 率 + 現場管理費 率 + 一般管理費 率 P. 6
低入札価格調査 入札者が資料提出 その価格により入札した理由 附近における手持工事の状況 関連する手持工事の状況 対象工事の地理的条件 手持資材 機械の状況 労務者の具体的供給見通し 経営状況 経営内容 信用状況その他 事情聴取 関係機関への照会等 P. 7
1.5 入札契約制度の見直し ( 中建審による制度改革 ) 中央建設業審議会 : 昭和 26 年 (1950 年 ) 設置建設大臣 ( 当時 ) 諮問機関昭和 25 年 (1949 年 ) 入札契約制度の基本昭和 57 年 (1982 年 ) 入札結果公表等昭和 63 年 (1988 年 ) 日米建設協議外国企業が参入平成 5 年 (1993 年 ) 一般競争入札導入平成 10 年 (1998 年 ) 入札時 VE 契約後 VE 綜合評価方式 その他試行 P. 7
1.6 入札契約適正化法 平成 12 年 (2000 年 ) 公共工事の入札及び契約の適正化の推進に関する法律 公共工事発注者 ( 国 地方公共団体他 ) を対象入札契約の適正化を統一 毎年度の発注見通し 契約内容情報の公表独占禁止法違反が疑われる場合 公正取引委員会への通知義務 P. 8
1.7 総合評価方式 発注者が施工部分の特定テーマについて入札参加者に技術提案を求め提案の評価と工事価格を総合的に評価し落札者を決定 最低価格入札者が必ずしも落札者とならない 平成 12 年 (2000 年 ) 標準ガイドライン 建設大臣と大蔵大臣の個別協議が不要に P. 9
評価値の算出方法 除算方式評価値 = 技術評価点 / 入札価格 =( 標準点 + 加算点 )/ 入札価格価格当りの工事品質を表す 加算方式評価値 = 価格評価点 + 技術評価点価格評価点の例 =100 最低価格 / 入札価格工事品質確保の観点で 価格に技術力を加味 P. 9
1.8 公共工事の 品質確保の促進に関する法律 平成 17 年 (2005 年 ) 品確法制定 総合評価方式の本格的実施価格と品質で総合的に優れた調達 平成 26 年 (2014 年 ) 品確法改正担い手育成 確保適正な予定価格ダンピング受注防止計画的発注 適切な工期 設計変更 P. 10
1.9 低価格入札に対する対策 平成 17 年度後半から 低価格入札の増加品質確保への支障 下請業者へのしわ寄せ 労働条件の悪化 安全対策の不徹底平成 18 年 4 月ダンピング受注対策 : 調査強化 平成 18 年 12 月緊急公共工事品質確保対策 総合評価落札方式拡充 : 施工体制評価点 極端な低入札者に対する特別重点調査 P. 11
確認テスト第 1 問 問題 政府調達協定 (WTO 協定 ) においては 最低制限価格制度を適用してはならない 解答 〇 解説 最低制限価格制度を適用してはならない
1.10 総合評価落札方式の改善 平成 25 年 (2013 年 ) 国土交通省直轄工事における総合評価落札方式の運用ガイドライン 施工能力評価型 と 技術提案評価型 施工能力の評価は大幅に簡素化技術提案の評価は品質の向上を重視評価項目は原則 品質確保 品質向上の観点 P. 12
1.11 国土交通省直轄工事における 総合評価落札方式の実施状況 平成 26 年度適用率 98.2%( 件数 ) 図 1-3 総合評価落札方式の実施状況 ( 国土交通省直轄工事 ) P. 13
1.12 社会保険等未加入対策 雇用 医療 年金保険 ( 社会保険等 ) 法定福利費を適正に負担しない企業 ( 保険未加入企業 ) 若年入職者減少の一因 競争上の不公平 平成 24 年制定 平成 27 年改正 社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン 元請企業 下請企業の役割と責任 P. 14
1.13 公共工事の入札契約方式の 平成 26 年 6 月公布 適用に関するガイドライン 公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律 発注者は 入札及び契約の方法の決定に当たっては その発注に係る公共工事の性格 地域の実情等に応じ この節に定める方式その他多様な方法の中から適切な方法を選択し 又はこれらの組合わせによることができる P. 14
平成 25 年 11 月 発注者責任を果たすための今後の建設生産 管理システムのあり方に関する懇談会 設置 事業特性等に応じた入札契約方式 審議 多様な入札契約方式を体系的に整理 適切な入札契約方式の選択 導入 活用 公共工事の入札契約方式の 適用に関するガイドライン P. 15
A. 入札契約方式の選択に当たっての基本的な考え方 A.1 事業プロセスにおける 入札契約方式の選択時期 調査 計画 概略設計 予備設計 詳細設計 施工 調達する範囲 設計 工事 維持管理 P. 15
A.2 発注者の発注経験と体制 発注者の経験 体制と事業上の課題を検討 発注関係事務の支援対象範囲に応じた方式 CM( コンストラクション マネジメント ) 方式工事監督業務等に係る事務の一部又は全部を民間に委託事業促進 PPP 方式調査 設計段階から発注関係事務の一部を民間に委託 P. 15
事業段階別 CM 方式の形態 P. 16
事業促進 PPP 方式 官民双方の技術者が有する多様な知識 豊富な経験の融合調査 設計段階から効率的なマネジメント P. 17
A.3 調査及び設計業務の調達 価格競争方式競争参加資格により品質確保一定の技術者資格 業務経験 業務実績総合評価落札方式競争参加者の提示する技術等により価格差異に比して事業成果大を期待できる業務の実施方針のみ or + 技術提案プロポーザル方式内容が技術的に高度 専門的な技術を要求技術提案に基づく仕様作成で優れた成果を期待 P. 18
A.4 工事の調達契約方式 契約の対象とする業務及び施工範囲の設定方法 競争参加者の設定方法 候補とする者の範囲の設定方法 落札者の選定方法 契約の相手方とする者を選定する方法 支払い方式 業務及び施工の対価を支払う方法 P. 18
工事の調達方式 P. 19
入札契約方式の選択 P. 19
B. 入札契約方式の概要及び選択の考え方 (1) 事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式工事の施工のみを発注する方式設計で確定した仕様により 施工のみ発注設計施工一括発注方式機能 性能 施工上の制約条件等を提示詳細設計付工事発注方式設計内容を確定し 施工に必要な詳細設計を一括発注設計段階から施工者が関与する方式 (Early Construction Involvement ECI 方式 ) 設計段階における技術協力工事契約維持管理付工事発注方式 P. 20
B. 入札契約方式の概要及び選択の考え方 (2) 工事の発注単位に応じた契約方式 施工の効率化 施工体制の安定確保 包括発注方式既存施設の維持管理等同一敷地内での複数の業務 工事 複数年契約方式既存施設の維持管理等継続的に実施する複数年度の業務 工事 P. 21
事業の各段階と契約方式 P. 21
B.2 競争参加者の設定方法 一般競争入札資格要件を満たす 参加申込者機会均等 ( 透明性 競争性 公平性 経済性 ) 指名競争入札発注者が指名 特定多数で競争公平性の確保 談合の懸念 随意契約方式 任意に特定の者を選定して契約 特定の要件のみ P. 21
一般競争入札の流れ P. 21
B.3 落札者の選定方法 (1) 落札者の選定の基準に関する方式価格競争方式価格提案のみを求め 最低の価格で落札者を決定総合評価落札方式技術提案等募集 価格と性能等を総合的に評価技術提案 交渉方式最も優れた技術提案を優先交渉権者として交渉 (2) 落札者の選定の手続きに関する方式段階的選抜方式一定の技術水準に達した者を選抜 その者から技術提案を求める総合評価落札方式 技術提案 交渉方式と併用可 P. 22
技術提案 交渉方式の流れ P. 23
B.4 支払い方式 総価契約方式内訳単価を定めず 総額をもって請負金額総価契約単価合意方式単価等を前もって協議 合意設計変更 部分払金額算定コストプラスフィー契約オープンブック方式実費精算 + 報酬加算工事費の支払を証明する書類単価 数量精算方式単価を契約で定め 施工数量により請負代金額を確定 P. 23
確認テスト第 2 問 問題 公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドラインの事例編には 設計施工一括発注方式の事例として 新国立競技場 ( 仮称 ) が掲載されている 解答 解説 ECI 方式の事例として 新国立競技場 ( 仮称 ) が掲載されている