1. 背景 目的 -1- CO2 排出量 の削減 地球温暖化防止 電力消費の削減と平準化 電力不足への対応 グローバルな要求事項 今後の電力供給体制への影響が大きい 地球温暖化が叫ばれる中 グローバルな要求事項として CO2 排出量の削減が求められている 加えて震災後の電力供給体制に対し 電力消費そ

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各家庭の 1 年間の出費のうち約 7% は電気 ガス 灯油といったエネルギーへの支出です 詳しくは 各制度のパンフレット W EB で 市民向け 太陽光発電 燃料電池 ( エネファーム ) HEMS ( ホームエネルギーマネジメントシステム ) 定置用蓄電 太陽熱利用 ガスエンジン木質コージェネバイ

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自然熱エネルギー 未利用エネルギーを活用し 環境配慮に貢献する 配管システムのご提案 クリーンな エネルギーを 有効利用 で 様々なシーン ギー 利 用 自 然 熱 エネ ル 未利用熱回収タンクユニット ホット Reco FRP製貯湯槽 ホットレージ 熱交換槽 貯湯槽 架橋ポリエチレン管 温泉引湯

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業務用空調から産業用まで 圧倒的な効率で省エネやCO2排出量削減に 貢献するKOBELCOのヒートポンプ ラインナップ一覧 業界最高効率の高い省エネ性 シリーズ 全機種インバータを搭載し 全負荷から部分 機 種 総合COP 冷房 供給温度 暖房 熱回収 冷温同時 製氷 冷媒 ページ HEMⅡ -10

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中間目標 ( 平成 25 年度 12 月末 ) (1) 高性能断熱材の開発現行普及品最高性能に対して熱伝導率が概ね1/2( 平均熱伝導率 0.01W/m K) かつ量産時の製造価格が現行品と同等程度 ( 単位厚みあたり ) であり かつ長期の耐久性 (30 年相当 ) のある製品の商品化に目処をつけ

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32 エアフローについて り 室内空気を誘引します 図5 誘引比は一 夏期の除湿モードでは 外気はと全熱交換 次空気100 /hに対し350 /hの室内空気を誘引 器で熱交換し プレクーラーで予冷し相対湿度を し 450 /hの風量として室内に吹出されます 高めます 次にデシカントローターで除湿した

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アジェンダ 1. 市場動向 2. ハイブリッド給湯機とは 3. 省エネ性 4. 経済性 5. 環境性 6. 快適性 7. 当社製品の特 2

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世界の CO2 排出量と東京都 2013 年度は 東京 63.8 百万トン シンガポールフィンランドポルトガルスウェーデンデンマーク < 東京 < マレーシアベルギーオーストリア 2

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目次 第 1 章序論 1-1 研究背景 既往の研究 研究目的 論文構成 9 第 2 章建物と空調機概要及び実測方法 2-1 建物と空調機概要 実測方法 14 第 3 章実測結果 3-1 温度変動と温度頻度 絶対湿度変動と絶対湿度頻度 1

家庭の中で最も多くの電力を消費するのが電気冷蔵庫 (14.2%) で 家庭全体の電力消費量の約 7 分の 1 を占めています 続いて照明 (13.4%) テレビ (8.9%) エアコン (7.4%) といった順番になっており この 5 種類を合わせると全体の約 44% になります ( 図 ) この中

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はじめに 平素は格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます 平素は格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます この度は 屋根改修に際し 弊社 イソタンシステム ご提案の機会を賜りまこの度は 屋根改修に際し 弊社 イソタンシステム ご提案の機会を賜りました事を重ねて御礼申し上げます した事を重ねて御礼申し

Transcription:

平成 24 年度 平成 26 年度住宅 建築物技術高度化事業 電力ピークカット及び快適性向上に資する太陽熱を利用した住宅向け調湿 除湿並びに低温床暖房システムの開発 寺島聡剛市川渡岩前篤 株式会社ウッドビルド株式会社ケー アイ エス近畿大学 平成 26 年度終了課題 住宅 建築物技術高度化事業

1. 背景 目的 -1- CO2 排出量 の削減 地球温暖化防止 電力消費の削減と平準化 電力不足への対応 グローバルな要求事項 今後の電力供給体制への影響が大きい 地球温暖化が叫ばれる中 グローバルな要求事項として CO2 排出量の削減が求められている 加えて震災後の電力供給体制に対し 電力消費そのものの削減と平準化が求められている 太陽エネルギーの効果的活用 冷房 暖房 給湯の消費エネルギーの削減 夏期の電力ピークカットと快適性の向上 冬期の電力ピークカット 太陽光発電 太陽熱温水集熱一体型パネルにより得られる太陽熱を 夏期はデシカント除湿換気等 冬期は床暖房等に使用 電気は当該システムの動力として使用することで 電力ピークカットと快適性向上を実現する

2. 技術開発の概要 -2- 太陽エネルギー利用除湿換気システム ( 低温再生型 ) 既存のデシカント除湿器を活用し 再生熱源として 40 の太陽熱温水を利用するシステム 吸着除湿によって空気温度が上昇するので 上昇した熱は顕熱交換機で還気と熱交換して冷却する 太陽光発電 + 太陽熱温水集熱一体型パネル 発電と水集熱を同時に行う ( 太陽エネルギーの 53% を変換 電力出力 13% 温水出力 40%) 水集熱なので温水タンクに蓄熱でき 夜間でも太陽熱の利用が可能 発電と温水集熱を同じパネルで行うので 狭小屋根でも利用可能 太陽熱温水低温床暖房 + 高効率エアコン暖房 低温度の温水で温め過ぎない床暖房を行い 高効率エアコンの省エネ性を高める 冬季の太陽熱取得量は少ないので 冷たくない程度の床暖房を太陽熱で実現し 高効率エアコンで省エネ暖房を行う 太陽熱温水給湯 給湯利用は太陽熱の最終利用とし 太陽熱が余ったら給湯に用いる程度とする 給湯負荷が少ない夏に太陽熱は多く 給湯負荷が多い冬に太陽熱は少ない この矛盾を解消する為に 除湿や床暖房に太陽熱を優先的に用いる

3. 技術開発の先導性 効率性 -3- 夏期の豊富な太陽熱は 温熱需要 ( 給湯 ) だけでは有効に活用することができない 本開発では太陽熱を除湿用エネルギーとして利用することで夏期でも太陽エネルギーの効果的な利用が図れる また 除湿用熱源の温度レベルは高温が一般的であるが 本開発では低温 (40 程度 ) の太陽熱温水の有効利用を目指しており 住宅における除湿技術の先導的システムとなり得る 太陽光発電と太陽集熱の一体化により太陽エネルギー変換効率を 53% まで高めることができ 設置スペースの縮小が図れる これにより 太陽光発電パネルの更なる増設が可能となり 社会全体でみると自然エネルギー利用システムの設置面積の拡大につながる また 集熱を温水として蓄熱槽に蓄えるため 夜間でも太陽エネルギー利用が可能となり 暖房や給湯にも利用することで冬期の電力ピークカットにも寄与する 本開発における除湿換気システム図 本開発は除湿換気システムと 壁体の調湿構造 壁体内通気システムを組み合わせることで低湿度による快適性の向上も目指しており このシステム評価を確立させることで太陽エネルギーのアクティブ + パッシブ利用技術の確立を図る 最適制御や省電力化の検討を行ない 小型化を視野に入れた技術開発の実証実験を行なう 基礎的な効果確認の実験設備計画では 既存の自社内実験棟及び恒温恒湿室を利用する計画としたため大幅に経費削減がなされて 資金面での対応ができた 又 計画当初からデシカント除湿機の小型化開発企業との連携が出来れば良かった

4. 実用化 市場化の状況 -4- 現状では 装置 ( 産業用 ) の価格と大きさが住宅設備としては過大であり 普及を図るには低コスト化と小型化が不可欠である しかし これらの課題を解決するには 以下のようなシステム上の課題が本事業で確認された 低温再生可能な高性能吸放湿材高性能小型デシカントローター再生水温の制御技術送風機の省エネルギー化除湿空気の自然冷却システム 40 で吸着可能な高性能材料圧力損失低減による省エネ化夏季高温時の除湿効果低下対策と熱の有効利用省エネルギーなDCモーター採用実験で確認された新技術

5. 技術開発の完成度 目標達成度 -5-1) システム開発については 除湿が必要な夏季において除湿量が低下する問題が発生し この対策が未解決として残っている 解決については除湿量をコントロールするソフト面及びハード面での制御技術の開発が必要である 2) システム評価ツールについては 夏季のデータでシミュレーションの最適化を図っているので その他季への適応が未解決といえる 温度 デシカント除湿器は 夏期に外気温が上昇するとデシカントローターの給気と還気の温度差が十分に得られず 除湿能力が低下する 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 除湿と温度 外気温度処理前 _ デシカント _ 温度処理後 _ デシカント _ 温度 再生前 _ デシカント _ 温度デシカントヒーター後温度再生後 _ デシカント _ 温度 処理側除湿量 _g/h 出湯に伴うボイラー燃焼による一時的な除湿量の上昇 天気の良い日 ( 日射があり 気温も高い ) には 日中に除湿量が低下する現象 7/1 0:19 7/1 1:05 7/1 1:51 7/1 2:37 7/1 3:23 7/1 4:09 7/1 4:55 7/1 5:41 7/1 6:27 7/1 7:13 7/1 7:59 7/1 8:45 7/1 9:31 7/1 10:17 7/1 11:03 7/1 11:49 7/1 12:35 7/1 13:21 7/1 14:07 7/1 14:53 7/1 15:39 7/1 16:25 7/1 17:11 7/1 17:57 7/1 18:43 7/1 19:29 7/1 20:15 7/1 21:01 7/1 21:47 7/1 22:33 7/1 23:19 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 除湿量 g/h

6. 技術開発に関する結果 ( 成功点 ) -6- 除湿に必要な熱量と太陽熱の集熱量の関係が把握でき シミュレーションツールも開発できたのでシステム設計が行えるようになった 除湿後に顕熱上昇した給気の冷却方法として 潜熱交換器よりも自然放熱が有効であることが確認された このことは省電力化やコスト低減に利用できる 外気と還気の温度差が小さくなる夏季において除湿能力の低下が発生することがわかった これによって温度制御技術が不可欠である知見を得た 温度 40 35 30 25 20 15 各部温度 外気温度処理前 _ デシカント _ 温度処理後 _ デシカント _ 温度 SA( 熱交換後 )_HEX_ 温度 SA_1F_WB 棟 _ 温度 SA_2F_WB 棟 _ 温度 SA_1F_ 気密棟 _ 温度 デシカント除湿による顕熱上昇 顕熱交換器による顕熱低下 SA_2F_ 気密棟 _ 温度 ダクト搬送途中における顕熱低下 7/1 0:19 7/1 1:00 7/1 1:41 7/1 2:22 7/1 3:03 7/1 3:44 7/1 4:25 7/1 5:06 7/1 5:47 7/1 6:28 7/1 7:09 7/1 7:50 7/1 8:31 7/1 9:12 7/1 9:53 7/1 10:34 7/1 11:15 7/1 11:56 7/1 12:37 7/1 13:18 7/1 13:59 7/1 14:40 7/1 15:21 7/1 16:02 7/1 16:43 7/1 17:24 7/1 18:05 7/1 18:46 7/1 19:27 7/1 20:08 7/1 20:49 7/1 21:30 7/1 22:11 7/1 22:52 7/1 23:33 給気系統における温度変化と給気の自然冷却による温度変化 顕熱交換器による温度低下よりも ダクトによる搬送途中での温度降下が大きい ダクトの放熱効率を上げることや 冷却効果の高い空間を経由することで より大きな冷却効果が期待できる

7. 技術開発に関する結果 ( 残された課題 ) -7- システムの小型化及び省エネ化が必須である 本開発で採用したデシカント除湿機は最も小型の産業用であるが それでも大きさやファン動力は家庭用としては過大である 当該システムの普及については省エネ化 小型化が不可欠であり その為の検討を長府製作所 ( デシカント換気装置 ) 及び産総研 ( 高性能吸放湿材 ) と行い 製品化 普及を目指したシステム案を作成した 市販されている小型のデシカント換気システム 産総研が開発した高性能吸放湿材 出典 :http://home.osakagas.co.jp/search_buy/aircure/index.html 出所 :http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2008/pr20081008_2/pr20081008_2.html

8. 今後の見通し -8- システムの小型化及び省エネ化については 既に実用化されている家庭用デシカントシステムを活用するのが有効である 長府製作所が製造したもので 該当するものがあるが それは 80 の高温水で除湿するので ローターを低温再生型にするなど改良が必要である 製造 販売 保守管理体制の案 除湿換気ユニット デシカント除湿換気ユニット 太陽熱温水を再生熱源に利用する 小型 省電力である 住宅の天井懐に隠蔽可能なサイズ 高性能吸放湿材 デシカントローターに 低温再生が高効率で可能な高性能吸放湿材を利用 ハイブリットパネル モ太ジ陽ュー電池ル 集熱部 太陽光発電 + 太陽熱温集熱ハイブリットパネル (KIS) 太陽発電と太陽熱集熱を併用 総合変換効率 53.3% 太陽熱を除湿と床暖房に利用 発電による電力をシステムの動力に用いる 太陽熱利用ガス給湯暖房システム ( 長府製作所 ) 冬期は太陽熱温水を暖房利用し 太陽エネルギーを効果的に利用する 余った熱は蓄熱槽に蓄熱する 太陽熱利用ガス給湯暖房システム