3 園芸作物 < 果菜類 > 1-1 トマト [ ハウス ] ア導入すべき持続性の高い農業生産方式の内容 トマトは主に道央 道南および道北の施設で栽培され 作型は促成 ( ハウス加温 マルチ ) 半促成 ( ハウス マルチ ) 抑制 ( ハウス ) などである 品種は 桃太郎 ハウス桃太郎 桃太郎

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1 県指針の考え方 新潟県持続性の高い農業生産方式の導入に関する指針 の概要 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律 を受け 県内での環境保全型農業の一 層の推進を図るため これまでの試験研究の成果や現地事例等から収量 品質を一定水準に保つ 技術レベルを掲げ これらの技術を用いて土づくりを

目 次 Ⅰ エコファーマー認定の実務 1 1 エコファーマーとは 2 エコファーマーのメリット 3 エコファーマー認定までの手順 4 申請書の作成について 5 導入計画書の様式 記入例 Ⅱ 認定の対象となる品目別生産技術 8 Ⅲ 参考資料 61 県事務処理要領 Q&A(H17.3 月バージョン )

取組の詳細 作期の異なる品種導入による作期分散 記載例 品種名や収穫時期等について 26 年度に比べ作期が分散することが確認できるよう記載 主食用米について 新たに導入する品種 継続使用する品種全てを記載 26 年度と 27 年度の品種ごとの作付面積を記載し 下に合計作付面積を記載 ( 行が足りない

     くらぶち草の会の野菜、畑作栽培技術

持続性の高い農業生産方式の導入指針

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表紙

チャレンシ<3099>生こ<3099>みタ<3099>イエット2013.indd

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コシヒカリの上手な施肥

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目 的 大豆は他作物と比較して カドミウムを吸収しやすい作物であることから 米のカドミウム濃度が相対的に高いと判断される地域では 大豆のカドミウム濃度も高くなることが予想されます 現在 大豆中のカドミウムに関する食品衛生法の規格基準は設定されていませんが 食品を経由したカドミウムの摂取量を可能な限り


5月の病害虫発生予想と防除のポイント

圃場試験場所 : 県農業研究センター 作物残留試験 ( C-N ) 圃場試験明細書 1/6 圃場試験明細書 1. 分析対象物質 およびその代謝物 2. 被験物質 (1) 名称 液剤 (2) 有効成分名および含有率 :10% (3) ロット番号 ABC 試験作物名オクラ品種名アーリーファ

農業指導情報 第 1 号能代市農業総合指導センター環境産業部農業振興課 発行平成 26 年 4 月 25 日二ツ井地域局環境産業課 確かな農産物で もうかる 農業!! 農家の皆さんを支援します!! 農家支援チームにご相談ください! 今年度 農業技術センター内に農家支援

Ⅲ-3-(1)施設花き

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平成 26 年度補正予算 :200 億円 1

PC農法研究会

目次 はじめに 1 液肥を使うための畑の準備 2 液肥のまきかた 2 液肥の散布は 少量で多回数 が効果的 2 液肥は野菜の株元へ散布する 2 天気が良い時に液肥を散布しましょう 3 液肥の成分 4 液肥の効果を補いたい場合 4 野菜への使い方 こまつな 5 レタス 6 ほうれんそう 7 ちんげんさ

予報 岡病防第16号

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Taro-ハウストマト養液土耕マニュ

1 考え方および注意点 (1) 土壌診断基準化学性については 作物全般において良好な生育および収量を得るために基本的に満たすべき基準を示した 物理性については 作物全般において良好な生育および収量を得るために望ましい基準を示した (2) 作物栄養診断基準各園芸作物が正常に生育した場合の栄養状況の目安

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11月表紙

③野菜の振興方針

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リン酸過剰の施設キュウリほ場(灰色低地土)における基肥リン酸無施肥が収量に及ぼす影響

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窒素吸収量 (kg/10a) 目標窒素吸収量 土壌由来窒素吸収量 肥料由来 0 5/15 5/30 6/14 6/29 7/14 7/29 8/13 8/28 9/12 9/ 生育時期 ( 月日 ) 図 -1 あきたこまちの目標収量確保するための理想的窒素吸収パターン (

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Ⅱ-3 環境負荷低減技術 ( 1) 土壌分析結果を生かした施肥量削減 1 技術の内容土壌分析により土壌養分の量を把握し 現況の養分量にあわせ施肥量を加減する方法である 2 期待される効果養分が過剰にある場合は施肥量を減らすことができ 肥料のコスト低減にもつながる 特に施設園芸や果樹園 茶園では土壌中

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1 作付前に確認しましょう 管理区分 番号 土づくりの励行 適切で効果的 効率的な施肥 効果的 効率的で適正な防除 効果的 効率的で適正な防除 栽培基準等を考慮し 有機物 ( たい肥 稲わら 緑肥など ) を利用した土づくりを行っていますか 数日間高温で発酵させた完熟たい肥を使用していますか たい肥

ハクサイ黄化病のヘソディム

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要綱別表第3

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ネギ 防除法

仙台稲作情報令和元年 7 月 22 日 管内でいもち病の発生が確認されています低温 日照不足によりいもち病の発生が懸念されます 水面施用剤による予防と病斑発見時の茎葉散布による防除を行いましょう 1. 気象概況 仙台稲作情報 2019( 第 5 号 ) 宮城県仙台農業改良普及センター TEL:022

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野菜 区分農作物名作型等 葉茎菜類 果菜類果実的野菜 4 環境こだわり農産物の基準 (5 割以下の基準 ) 化学合成農薬 ( 延べ使用成分数 ) 化学肥料 ( 窒素成分量 kg/10a) レタス 結球露地秋冬 8 10 施設秋冬 5 8 非結球露地 8 10 施設 4 9 細ねぎ 春 4 10 細ね

機関名 ( 地独 ) 北海道立総合研究機構農業研究本部 部署名 企画調整部企画課 記入者氏名 山崎敬之 電話番号 レーザー式生育センサを活用した秋まき小麦に対する可変追肥技術 レーザー式の生育センサを使って秋まき小

参考 < これまでの合同会合における検討経緯 > 1 第 1 回合同会合 ( 平成 15 年 1 月 21 日 ) 了承事項 1 平成 14 年末に都道府県及びインターネットを通じて行った調査で情報提供のあった資材のうち 食酢 重曹 及び 天敵 ( 使用される場所の周辺で採取されたもの ) の 3

排水対策の実施例 暗渠がある場合排水がよいほ場 排水が悪いほ場 周囲明渠 弾丸暗渠 心土破砕は 2 ~5m おきに行う 周囲明渠は深さ 30 cmを確保する 周囲明渠は排水口に確実に接続する 弾丸暗渠本暗渠 暗渠がない場合排水がよいほ場 排水がよく 長辺が長いほ場 100m 以 ほ場内排水溝は4 ~

26愛媛の普及原稿 軽 Ⅱ

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農薬登録事項変更登録申請書


わかっていること トマトすすかび病について

農耕地からの窒素等の流出を低減する - 農業環境収支適正化確立事業の成果から - 平成 14 年 3 月 財団法人日本農業研究所

山形県における 水稲直播栽培の実施状況 平成 28 年 8 月 26 日 ( 金 ) 山形県農業総合研究センター 1 1 山形県における水稲直播栽培の現状 1 (ha) 2,500 2,000 1,500 1, 乾田直播 湛水 ( 点播 ) 湛水 ( 条播 ) 湛水 ( 散播 )


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AI IoTを活用したスマート農業の加速化 人手不足への対応や生産性の向上を進めるためには ICTを活用したスマート農業の推進が重要 今後人工知能やIoT等の先進技術により 生産現場のみならずサプライチェーン全体にイノ ベーションを起こし 生産性向上や新たな価値創出を推進 1

Ⅲ-2-(1)施設野菜

平成16年度農作物有害動植物発生予察情報

平成 30 年 7 月 27 日 ( 表題 ) 台風第 12 号の接近に伴う農作物被害技術対策情報について ( 担当 ) 佐賀北部農業技術者連絡協議会事務局 気象庁によると台風第 12 号は 現在 ( 平成 30 年 7 月 27 日 6 時 45 分 ) 硫黄島の南 東約 80km を北東に向かっ

**************************************** 2017 年 4 月 29 日 日本植物病理学会殺菌剤耐性菌研究会 耐性菌対策のための DMI 剤使用ガイドライン 一般的な耐性菌対策 1. 薬剤防除だけに頼るのではなく 圃場や施設内を発病しにくい環境条件にする 1)

毒 2 全面土壌散布 ( 注 : 対象雑草のはシバムギ レッドトップを示す ) 8 カイタック乳剤 [PL-10] -H7 9 カイタック細粒剤 F [PL-10] -H8 ヘ ンテ ィメタリン 15% リニュロン 10% ヘ ンテ ィメタリン 1.5% リニュロン 1.0% は種直後 ~ は種後

平成19年度事業計画書

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鳥 カラス たぬき等 ) 発生しやすい病害虫は次のとおり ヨトウムシ アブラムシ ハダニ アザミウマ センチュウ うどんこ病 灰かび病 イオウ病 炭そ病 プランターによる栽培 注意! 追肥は2~3 月に行います 培養土はもともと肥料が入った土なので 追肥を行う際も肥料のあげすぎに注意します ( 当園

温度 平成 23 年平均平成 23 年最高平成 23 年最低平均気温 ( 平年値 ) 最高気温 ( 平年値 ) 最低気温 ( 平年値 ) 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 図 1 生育期間中の気温推移 ( 淡路農技内 ) 降水 3 量

表 30m の長さの簡易ハウス ( 約 1a) の設置に要する経費 資材名 規格 単価 数量 金額 キュウリ用支柱 アーチパイプ ,690 直管 5.5m 19mm ,700 クロスワン 19mm 19mm ,525 天ビニル 農 PO 0.1mm

今後の管理のポイント [懸案事項] ①早期作型における2番花 房の花芽分化遅延 ②炭そ病とハダニ類の発生 拡大 [対策] ①寒冷紗を被覆して 花芽分化を誘導する 2番花房 の花芽分化を確認して被覆を除去する 被覆期間の目安 9月25 10月20日 ②定期的に薬剤による防除を行う 特に葉かぎ後の 葉か

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平成16年度農作物有害動植物発生予察情報

エチレンを特定農薬に指定することについてのこれまでの検討状況 1 エチレンについて (1) 検討対象の情報 エチレン濃度 98.0% 以上の液化ガスをボンベに充填した製品 (2) 用途ばれいしょの萌芽抑制のほか バナナやキウイフルーツ等の果実の追熟促進を目的とする 2 検討状況 (1) 農林水産省及

失敗しない堆肥の使い方と施用効果

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各都道府県知事 宛 25 消安第 175 号環水大土発第 号平成 25 年 4 月 26 日 農林水産省消費 安全局長 環境省水 大気環境局長 住宅地等における農薬使用について 農薬は 適正に使用されない場合 人畜及び周辺の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある 特に 学校 保育所 病

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ほ場台帳 ( 生産団体用 : 作成例 ) 品目名記入年月日平成年月日 生産管理責任者名 作型収穫始月旬収穫終月旬 ほ場番号生産者名所在地栽培面積収穫予定 a 計人 a - 2 -

研究成果報告書

様式集

る ( 久保田ら 2009) ことから 未知の伝染経路がある可能性は残るものの 本ウイルスの基本的な対策は 無病苗の育成と導入による発生防止 ハサミ等の消毒による蔓延防止 土壌中のウイルスを失活させることによるほ場内伝染環の遮断ということになる 3. 重要な残さの分解無病苗の育成と導入 ハサミ等の消

営農のしおり(夏秋キク)

元高虫防第 139 号令和元年 7 月 4 日 各関係機関長様 高知県病害虫防除所長 病害虫発生予察情報について 令和元年度病害虫発生予察 6 月月報及び令和元年度予報 4 号 (7 月 ) を送付します 令和元年度病害虫発生予察 6 月月報 Ⅰ. 気象概況半旬 (6 月 ) 平均気温最高気温最低気

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鳥 カラス たぬき等 ) 発生しやすい病害虫は次のとおり ヨトウムシ アブラムシ ハダニ アザミウマ センチュウ うどんこ病 灰かび病 イオウ病 炭そ病 プランターによる栽培 注意! 追肥は2~3 月に行います 培養土はもともと肥料が入った土なので 追肥を行う際も肥料のあげすぎに注意します ( 当園

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栽培面積は減少した そこで 平成 8 年に就農者を全国から募るための農業公社が設立され 2 年間の研修生の受け入れが開始された その結果 新規就農者が確保 育成されるようになり 栽培面積は年々増加し 現在ではピーク時 ( 昭和 52 年 ) を超える面積となっている 農家の平均年齢は48 歳で うち

5月の病害虫発生予想と防除のポイント

190号.indb

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ミニトマト ( 野菜類 ) ( トマトモサ イクウイルス キュウリモサ イクウイルス ) 黄化えそ病 ( トマト黄化えそウイルス TSWV) 黄化葉巻病 ( トマトイエローリーフカールウイルス TYLCV) 1. 発病株は抜き取り 苗床や本畑に発病株の根をできるだけ残さないようにする 2. 摘心 摘

Transcription:

3 園芸作物 < 果菜類 > 1-1 トマト [ ハウス ] トマトは主に道央 道南および道北の施設で栽培され 作型は促成 ( ハウス加温 マルチ ) 半促成 ( ハウス マルチ ) 抑制 ( ハウス ) などである 品種は 桃太郎 ハウス桃太郎 桃太郎 8 桃太郎ファイト などである 施肥標準の基肥窒素施肥量は 10kgN/10a 追肥は各花段ごとの 2 ~ 3 番果がピンポン玉大になった時点で 摘芯位より下方 3 段目まで行う 追肥の必要性の有無を判断するために葉柄の硝酸態窒素測定による窒素栄養診断が有効である 作付回数が増えるにつれて作土層の硝酸態窒素 リン酸 塩基類が蓄積する場合が多いので 土壌診断を実施し これに基づき土壌の改良や施肥の適正化に努める また 必要に応じて下層土の残存硝酸態窒素診断を実施して 一層の施肥の適正化に努める 周年被覆型ハウスでは塩類集積の恐れがあるので 塩類集積回避型肥料への転換を図る なお 土壌の塩類濃度が高い場合はとうもろこし 麦類などの作物を無肥料栽培し 必要に応じ搬出する たい肥の施用や緑肥の導入による土壌の健全化 ( 物理性 化学性の改善 ) を図り その際同時に適正な減肥対応を行う 心土破砕など耕盤層対策を実施し 十分な根域を確保する 病害虫対策として 天敵や微生物農薬など生物農薬の利用 対抗植物や抵抗性品種の導入を進めるとともに 微小害虫やウイルス媒介虫の侵入を防ぐため 近紫外線カットフィルムの利用や施設の開口部を防虫ネットで覆うなどの対策を行う 物理的土壌消毒 ( 土壌還元 太陽熱消毒等 ) を行い 病害虫の発生を可能な限り抑制する また 連作障害回避のため緑肥作物あるいは他科作物の導入に努める 雑草対策として マルチ栽培や手取り除草を行い 除草剤の使用を削減する たい肥等施用技術 たい肥等有機質資材施用技術 たい肥 4 t/10a( ハウス ) 前作物の後作緑肥 休閑緑肥 または前作 後作緑肥を利用 化学農薬低減技術 温湯種子消毒技術 現行の化学合成農薬の使用を 機械除草技術 できるだけ減らす 生物農薬利用技術対抗植物利用技術抵抗性品種栽培 台木利用技術天然物質由来農薬利用技術土壌還元消毒技術熱利用土壌消毒技術光利用技術被覆栽培技術マルチ栽培技術 留意事項 かいよう病には 55 25 分間あるいは 54 40 分の温湯種子消毒が有効である なお 消毒に当たっては上記温度を厳守できる機種を使用する 生物農薬利用技術の生物農薬とは 農薬取締法第 1 条の 2 第 2 項の天敵 ( 天敵昆 - 17 -

1-2 トマト [ 露地 ] トマト ( 露地 ) は加工用または生食用として 主に道央 道北および道南で栽培され 作型はトンネル早熟 ( トンネル マルチ ) 露地早熟 ( マルチ ) などである 品種 栽培法については 心止まり性の なつのしゅん なつのこま T R N 2011 などでは無支柱放任栽培 ( 地這い ) で 普通種の 桃太郎系品種 などでは支柱栽培である また 中玉トマト ミニトマトの露地栽培についても下記の指針に準ずる 標準的な基肥窒素量は 10kgN/10a 程度で 有機質肥料や肥効調節型肥料を組み合わせ 適切な草勢維持に努める 追肥を行う場合は基肥窒素量 草勢 収穫段数などを十分に考慮し 適切に行う 作付回数が増えるにつれて作土のリン酸および塩基類が蓄積する場合が多いので 土壌診断を実施し これに基づき土壌の改良や施肥の適正化に努める たい肥の施用や緑肥の導入による土壌の健全化 ( 物理性 化学性などの改善 ) を図り その際同時に適正な減肥対応を行う 心土破砕など排水対策を実施し 十分な根域を確保する 病害虫対策では 適正な輪作を行うとともに 生物農薬の利用 対抗植物や抵抗性品種の導入 アブラムシ対策として光反射性マルチを利用する また 多湿 多窒素条件や馬鈴しょの隣接ほ場では 疫病の発生が懸念されるので 栽培ほ場の選定を適切に行うとともに 簡易雨よけ栽培を行う 雑草対策では マルチ栽培や機械および手取り除草により除草剤の使用を削減する たい肥等施用技術 たい肥等有機質資材施用技術 たい肥 2 t /10a 以上 た は後作緑肥を利用 の 肥効調節型肥料施用技術 施用をできるだけ減らす 化学農薬低減技術 機械除草技術 現行の化学合成農薬の使用をでき 生物農薬利用技術 るだけ減らす 対抗植物利用技術抵抗性品種栽培 台木利用技術天然物質由来農薬利用技術光利用技術被覆栽培技術フェロモン剤利用技術マルチ栽培技術 留意事項 生物農薬利用技術の生物農薬とは 農薬取締法第 1 条の 2 第 2 項の天敵 ( 天敵昆虫 微生物農薬 ( 生きているもの 死菌は除く )) であって 同法 2 条第 1 項又は第 1 5 条の 2 第 1 項の登録を受けたものである ウその他の事項地力増進法に基づき地力増進地域に指定されている市町村では 地力増進対策指針 に基づく対策を行うこと - 18 -

2 ミニトマト ミニトマトは道央 道南および道北の施設で栽培され 作型は促成 ( ハウス加温 トンネル マルチ ) 半促成 ( ハウス トンネル マルチ ) 雨よけ夏秋どり ( ハウス マルチ ) などである 品種は キャロル 10 キャロル 7 ココ 千果 などである 施肥標準の基肥窒素施肥量は 15kgN/10a 追肥は 3 段花房開花期から各花房開花期ごとに摘芯位下方 2 段位目まで行う 1 回の追肥量は 2 kgn/10aである 作付回数が増えるにつれて作土層の硝酸態窒素 リン酸 塩基類が蓄積する場合があるので 土壌診断を実施し これに基づき土壌の改良や施肥の適正化に努める 必要に応じて下層土の硝酸態窒素診断も実施する 周年被覆型ハウスでは塩類集積の恐れがあるので 塩類集積回避型肥料への転換を図る なお 土壌の塩類濃度が高い場合はとうもろこし 麦類などの作物を無肥料栽培し 必要に応じ搬出する たい肥の施用や緑肥の導入による土壌の健全化 ( 物理性 化学性の改善 ) を図り その際同時に適正な減肥対応を行う 心土破砕など耕盤層対策を実施し 十分な根域を確保する 病害虫対策として 天敵や微生物農薬など生物農薬の利用 対抗植物や抵抗性品種の導入を進めるとともに 微小害虫やウイルス媒介虫の侵入を防ぐため 近紫外線カットフィルムの利用や施設の開口部を防虫ネットで覆うなどの対策を行う 物理的土壌消毒 ( 土壌還元 太陽熱消毒など ) を行い 病害虫の発生を可能な限り抑制する また 連作障害回避のため緑肥作物あるいは他科作物の導入に努める 雑草対策として マルチ栽培や手取り除草を行い 除草剤の使用を削減する たい肥等施用技術 たい肥等有機質資材施用技術 たい肥 4 t/10a( ハウス ) たは前作 後作緑肥を利用 化学農薬低減技術 温湯種子消毒技術 現行の化学合成農薬の使用をで 機械除草技術 きるだけ減らす 生物農薬利用技術対抗植物利用技術抵抗性品種栽培 台木利用技術天然物質由来農薬利用技術土壌還元消毒技術熱利用土壌消毒技術光利用技術被覆栽培技術マルチ栽培技術 留意事項 かいよう病には 55 25 分間あるいは 54 40 分の温湯種子消毒が有効である なお 消毒に当たっては上記温度を厳守できる機種を使用する 生物農薬利用技術の生物農薬とは 農薬取締法第 1 条の 2 第 2 項の天敵 ( 天敵昆 - 19 -

3 きゅうり きゅうりは主に道央以南の施設で栽培され 作型は半促成 ( ハウス マルチ ) 促成 ( ハウス加温 同無加温 ) 抑制 ( 雨よけハウス ) 早熟 ( ハウス ) などである 品種は シャープ 1 南極 2 号 南極 3 号 アンコール 10 オーシャン などが作型により使い分けされている 施肥標準の基肥窒素施肥量は 20kgN/10a 追肥は収穫始めから実施する 2 回目以降の追肥は 30 日ごとに行う 1 回当たりの追肥量は 5 kgn/10aである 作付回数が増えるにつれて作土層の硝酸態窒素 リン酸が蓄積する場合が多いので 土壌診断を実施し これに基づき土壌の改良や施肥の適正化に努める 周年被覆型ハウスでは塩類集積の恐れがあるので 塩類集積回避型肥料への転換を図る なお 土壌の塩類濃度が高い場合はとうもろこし 麦類などの作物を無肥料栽培し 必要に応じ搬出する たい肥の施用や緑肥の導入による土壌の健全化 ( 物理性 化学性の改善 ) を図り その際同時に適正な減肥対応を行う 心土破砕など耕盤層対策を実施し 十分な根域を確保する 病害虫対策として 天敵や微生物農薬など生物農薬の利用 対抗植物や抵抗性品種の導入を進めるとともに 微小害虫やウイルス媒介虫の侵入を防ぐため 近紫外線カットフィルムの利用や施設の開口部を防虫ネットで覆うなどの対策を行う また 連作障害回避のため緑肥作物あるいは他科作物の導入に努める 雑草対策として マルチ栽培や手取り除草を行い 除草剤の使用削減を図る たい肥等施用技術 たい肥等有機質資材施用技術 たい肥 4 t/10a( ハウス ) たは前作 後作緑肥を利用 化学農薬低減技術 機械除草技術 現行の化学合成農薬の使用をで 生物農薬利用技術 きるだけ減らす 対抗植物利用技術抵抗性品種栽培 台木利用技術天然物質由来農薬利用技術土壌還元消毒技術熱利用土壌消毒技術光利用技術被覆栽培技術マルチ栽培技術 - 20 -

4 なす なすは主に上川盆地 北後志地域の露地およびトンネル露地で栽培され 作型は露地普通 ( マルチ ) 早熟 ( トンネル マルチ ) が大半で ごくまれにハウスで栽培される 品種は 千両 2 号 くろべえ 長者 などである 施肥標準の基肥窒素施肥量は 無マルチ栽培において 15kgN/10a 1 回目の追肥は収穫初めに行い 以後は 30 日ごとに 収穫終了予定の 30 日前まで行う 露地栽培での追肥窒素量は 1 回当たり 4 kgn/10aである 作付回数が増えるにつれて作土層の硝酸態窒素 リン酸 塩基類が蓄積する場合が多いので 土壌診断を実施し これに基づき土壌の改良や施肥の適正化に努める なお 土壌の塩類濃度が高い場合はとうもろこし 麦類などの作物を無肥料栽培し 必要に応じ搬出する たい肥の施用や緑肥の導入による土壌の健全化 ( 物理性 化学性の改善 ) を図り その際同時に適正な減肥対応を行う 心土破砕など耕盤層対策を実施し 十分な根域を確保する 病害虫対策として 連作障害回避のために輪作を行うとともに ウイルス媒介アブラムシ類対策としてシルバーマルチなどの光反射性マルチ資材を利用する また オンシツコナジラミやハダニ類などへの対策では生物農薬を利用する 物理的土壌消毒 ( 土壌還元等 ) を行い 病害虫の発生を可能な限り抑制する 連作障害回避のため緑肥作物あるいは他科作物の導入に努める 雑草対策として マルチ栽培や手取り除草を行い 除草剤の使用削減を図る たい肥等施用技術 たい肥等有機質資材施用技術 たい肥 2 t/10a 以上 ( 露地 マルチ トンネル ) たい肥 4 t/10a( ハウス ) たは 後作緑肥を利用 化学農薬低減技術 機械除草技術 現行の化学合成農薬の使用を 生物農薬利用技術 できるだけ減らす 対抗植物利用技術抵抗性品種栽培 台木利用技術天然物質由来農薬利用技術土壌還元消毒技術熱利用土壌消毒技術光利用技術被覆栽培技術マルチ栽培技術 - 21 -

5 かぼちゃ かぼちゃは道北部の丘陵および盆地 富良野盆地 十勝の段丘地 道央以南などで栽培され 最近は転作畑でも栽培されている 作型はトンネル早熟 ( トンネル マルチ ) 露地早熟 ( マルチ ) 露地直播 ( マルチ ) などである 品種は えびす みやこ 味平 などである また ミニかぼちゃ ズッキーニも下記の指針に準じる 施肥標準の基肥窒素施肥量は 5 ~ 6 kgn/10a 分施は着果揃い後に 4 kgn/10a である 作付回数が増えるにつれて作土のリン酸および塩基類が蓄積する場合が多いので 土壌診断を実施し これに基づき土壌の改良や施肥の適正化に努める たい肥の施用や緑肥の導入による土壌の健全化 ( 物理性 化学性の改善 ) を図り その際同時に適正な減肥対応を行う 心土破砕など耕盤層対策を実施し 十分な根域を確保する 病害虫対策として 適正な輪作 健全苗の使用のほか 発生初期のウイルス媒介アブラムシ対策として光反射性マルチなどを導入する マルチ栽培は保温による生育促進や雑草防除にも有効である また 連作障害回避のため緑肥作物あるいは他科作物の導入に努める たい肥等施用技術 たい肥等有機質資材施用技術 たい肥 2 t/10a 以上 前作物の後作緑肥 休閑緑肥を 利用 化学農薬低減技術 機械除草技術 現行の化学合成農薬の使用をで 生物農薬利用技術 きるだけ減らす 対抗植物利用技術天然物質由来農薬利用技術光利用技術被覆栽培技術マルチ栽培技術 - 22 -

6 えだまめ えだまめは十勝の段丘地 道央以南で栽培され 作型は露地およびトンネル早熟 ( トンネル マルチ ) などである 品種は サッポロミドリ ユキムスメ ユウヅル 鶴の子 などである 施肥標準の基肥窒素施肥量は 1.5~ 2.0kgN/10a で 土壌の種類によって異なる 窒素供給力が低い圃場では開花始期ころの追肥が有効であり その量は 5 kgn/10a 程度とする 基肥窒素は初期生育を確保するために必要であり たい肥等有機物を施用しても減肥の対象としない たい肥の施用や緑肥の導入による土壌の健全化 ( 物理性 化学性などの改善 ) を図り その際同時に適正な減肥対応を行う 心土破砕など耕盤層対策を実施し 十分な根域を確保する なお 輪作は 4 年以上とし 土壌 ph は 5.5~ 6.5 根粒菌が働く土壌環境の改善 特に排水対策は重要である 病害虫対策として 健全種子の使用や適正な輪作を行うとともに 地上部に発生する病害虫に対し 病害虫発生予察情報を活用することで適期防除の徹底を図る 雑草対策として マルチ栽培や手取り除草を行い 除草剤の使用削減を図る たい肥等施用技術 たい肥等有機質資材施用技術 たい肥 2 t/10a 以上 たは 後作緑肥を利用 化学肥料低減技術 肥効調節型肥料施用技術 現行の化学肥料 ( 窒素成分量 ) の施用をできるだけ減らす 局所施肥技術 化学農薬低減技術 機械除草技術 現行の化学合成農薬の使用をで 生物農薬利用技術 きるだけ減らす 対抗植物利用技術天然物質由来農薬利用技術光利用技術被覆栽培技術マルチ栽培技術 また 病害虫防除所および農業試験場が提供する病害虫発生予察情報を活用することが適当である ウその他の事項地力増進法に基づき地力増進地域に指定されている市町村では 地力増進対策指針 に基づく対策を行うこと - 23 -

7-1 スイートコーン [ ハウス ] スイートコーン ( ハウス ) は道央以南で作付けされ 作型は半促成 ( ハウス トンネル マルチ ) である 品種は ピーターコーン ピーター早生 1 号 カクテル E 51 号 キャンベラ 86 味来 390 などである 施肥標準の基肥窒素施肥量は 7 kgn/10a 分施は 4 ~ 5 葉期に 5 kgn/10a である 肥効調節型肥料 ( 緩効性窒素 被覆肥料 ) を利用すると基肥と分施の合計量を一度に基肥として施用できる 作付回数が増えるにつれて作土層の硝酸態窒素 リン酸 塩基類が蓄積する場合が多いので 土壌診断を実施し これに基づき土壌の改良や施肥の適正化に努める 周年被覆型ハウスでは塩類集積の恐れがあるので 塩類集積回避型肥料への転換を図る 土壌の塩類濃度が高い場合は茎葉を搬出する たい肥の施用や緑肥の導入による土壌の健全化 ( 物理性 化学性の改善 ) を図り その際同時に適正な減肥対応を行う 心土破砕など耕盤層対策を実施し 十分な根域を確保する 病害虫防除では 健全種子の使用 適正な輪作の実施で病害虫の発生をできるだけ少なくし 化学合成農薬の使用を削減する マルチ栽培は保温による生育促進や施設の過湿対策による病害発生の抑制および雑草防除にも有効である また 連作障害回避のため緑肥作物あるいは他科作物の導入に努める たい肥等施用技術 たい肥等有機質資材施用技術 たい肥 4 t/10a たは 後作緑肥を利用 化学農薬低減技術 生物農薬利用技術 現行の化学合成農薬の使用をで 対抗植物利用技術 きるだけ減らす 天然物質由来農薬利用技術光利用技術被覆栽培技術マルチ栽培技術 また 病害虫防除所および農業試験場が提供する病害虫発生予察情報を活用することが適当である - 24 -

7-2 スイートコーン [ 露地 ] スイートコーン ( 露地 ) は道北部の美瑛の丘陵および富良野盆地 道東の十勝の段丘地 道央以南で栽培され 作型はトンネル早熟 ( トンネル マルチ ) 露地早熟 ( マルチ ) などである 品種は ピーターコーン ピーター早生 1 号 カクテル E 51 号 キャンベラ 86 味来 390 などである 施肥標準の基肥窒素施肥量は 7 kgn/10a 分施は 4 ~ 5 葉期に 5 kgn/10a である 肥効調節型肥料 ( 緩効性窒素 被覆肥料 ) を利用すると基肥と追肥の合計量を一度に基肥として施用できる 作付回数が増えるにつれて作土のリン酸および塩基類が蓄積する場合が多いので 土壌診断を実施し これに基づき土壌の改良や施肥の適正化に努める たい肥の施用や緑肥の導入による土壌の健全化 ( 物理性 化学性の改善 ) を図り その際同時に適正な減肥対応を行う 心土破砕など耕盤層対策を実施し 十分な根域を確保する 病害虫防除では 健全種子の使用 適正な輪作 被覆栽培の実施で病害虫の発生を可能な限り抑制し 化学合成農薬の使用を削減する 雑草対策ではマルチ栽培や機械および手取り除草を導入する また 連作障害回避のため緑肥作物あるいは他科作物の導入に努める たい肥等施用技術 たい肥等有機質資材施用技術 たい肥 2 t/10a 以上 たは 後作緑肥を利用 化学農薬低減技術 機械除草技術 現行の化学合成農薬の使用をで 生物農薬利用技術 きるだけ減らす 対抗植物利用技術天然物質由来農薬利用技術光利用技術被覆栽培技術マルチ栽培技術 - 25 -