第 19 回肝炎対策推進協議会 平成 29 年 3 月 1 日資料 5-1 C 型肝炎に対するインターフェロン フリー治療の 現状 ; 不成功例の実態と今後の課題 武蔵野赤十字病院消化器科 泉並木
C 型肝炎ウイルスが増えるためには ウイルスがつくる 3 種類のたんぱく質が必要 肝細胞 C 型肝炎ウイルス肝臓の細胞に感染 C 型肝炎ウイルス血中に放出 NS3 ウイルスの増殖 NS5B NS5A
遺伝子型 2 型 C 型肝炎
遺伝子型 2 型に対するソホスブビル + リバビリン 12 週治療 SOF+RBV SOF RBV 全国赤十字病院 646 例 (2016 年 11 月 ) 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 2W 40.4% (181/448) 4W 83.6% (540/646) 8W 99.1% (640/646) 12W 99.5% (643/646) SVR4 98.0% (633/646) SVR12 97.4% (629/646)
遺伝子型 2 型ソフォスブビル + リバビリン ( 全国赤十字病院 ) SOF RBV リバビリン減量 ns 慢性肝炎 / 肝硬変 P<0.01 前治療の有無 P<0.01 97.9 96.1 98.6 93.0 99.1 93.4 無 (469) 有 (177) 慢性肝炎肝硬変初回治療前治療有
遺伝子型 1 型 C 型肝炎
C 型肝炎ウイルスの増殖には ウイルスがつくる 3 種類のたんぱく質が必要 肝細胞 C 型肝炎ウイルス肝臓の細胞に感染 C 型肝炎ウイルス血中に放出 NS3 ウイルスの増殖 薬が効かない NS5B 薬剤耐性ウイルス NS3 阻害薬 L31 NS5A Y93 NS5A 阻害薬
1 型 C 型肝炎に対するダクラタスビル + アスナプレビル 24 週間治療 ウイルス陰性化率 ( 全国赤十字病院 1,025 例 ) 100% 不成功例 90% 80% 96.7% 96.9% 95.7% 95.8% 95.0% 91.4% 91.4% 70% 81.1% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 4W 8W 12W 16W 20W 24W 後 12W 後 24W 陰性 ( 中止後 持続陰性を含む ) 陽性 ( 陽性のまま中止 VBTを含む )
100% 1 型 C 型肝炎に対するダクラタスビル + アスナプレビル 24 週間治療 NS5A 領域耐性変異の有無別ウイルス陰性化 ( 全国赤十字病院 1,025 例 ) 変異 P<0.001 100% L31 変異 P<0.001 Y93 変異 P=0.019 80% 92.7% 80% 92.2% 91.6% 84.1% 60% 78.4% 60% 66.7% 40% 40% 20% 20% 0% 0% なし あり なし あり なし あり 879 例 125 例 941 例 45 例 916 例 88 例 24 週間後ウイルス陰性化 非陰性化
SOF LDV 全国赤十字病院 1 型レジパスビル + ソホスブビル 12 週間治療 HCV-RNA 陰性化率 (n=1,550) (%) 78.1 99.9 100 99.9 98.4 98.5 n= 後後後 1469 1354 1260 1244 1066 584
OBV PTV/r オンビタスビル + パリタプレビル 12 週間治療ウイルス陰性化率 武蔵野赤十字病院 Y93 変異除外 140 例 (2017.1 月 ) 49/140 112/148 149/149 146/146 137/137 122/122
耐性ウイルスがいてインターフェロンなしの飲み薬で治療した場合 治療前 飲み薬だけの併用 耐性ウイルスが残ってしまうので治療不成功 飲み薬の効かない耐性ウイルス
インターフェロンフリー治療再治療の実施体制 診断書を作成する医師 診断書を作成する医師が肝疾患診療連携拠点病院に常勤する日本肝臓学会肝臓専門医である 2015 年 10 月 16 日全国 70 の拠点病院に周知 Yes No 診断書を作成する医師 診断書を作成する医師 必要な検査所見等を添えて 別紙様式例 2-9 インターフェロンフリー治療 ( 再治療 ) に対する意見書 を用いて 再治療の適正について照会 肝疾患診療連携拠点病院に常勤する日本肝臓学会肝臓専門医 上記意見書の返信 診断書を作成する医師 連携 肝炎等克服実用化研究事業 ( 泉班 ) 薬剤耐性変異の結果を報告 ( 意見書の添付の有無を問わず 助成の申請は可能 ) 申請者 都道府県の認定協議会
ダクラタスビル (DCV)/ アスナプレビル (ASV) 治療不成功例における NS5A 薬剤耐性変異 (RAS) の実態 全国の肝疾患診療連携拠点病院 45 施設 ダクラタスビル アスナプレビル不成功 682 例 旭川医科大学 岩手医科大学 愛媛大学 大分大学 岡山大学 福井県済生会病院 香川県立中央病院 鹿児島大学 日立総合病院 関西医科大学滝井病院 北里大学 岐阜大学 京都大学 熊本大学 久留米大学 群馬大学 長崎医療センター 埼玉医科大学 佐賀大学 札幌医科大学 自治医科大学 島根大学 市立砺波総合病院 信州大学 聖マリアンナ医科大学 東海大学 東京医科大学 東京医科大学茨城医療センター 東京医科歯科大学 東北大学 徳島大学鳥取大学 新潟大学 兵庫医科大学 弘前大学 福島県立医科大学 福山市民病院 藤田保健衛生大学 北海道大学 宮崎大学 武蔵野赤十字病院 山形大学 山口大学 琉球大学 横浜市大附属市民総合医療センター
NS5A ダクラタスビル (DCV)/ アスナプレビル (ASV) 治療不成功で頻度が増加する部位 NS5A 領域耐性変異 武蔵野赤十字病院 951 例 初回治療 全国肝疾患診療連携拠点病院 537 例 p<0.0001 治療不成功後 p<0.0001 Signature RAS L31 Y93 p<0.0001 p<0.0001 p<0.0001 p<0.0001
NS5A 5% 4% NS5A P32 の耐性変異 DAA 未治療例 vs DCV ASV 治療不成功例 DAA 初回治療 naïve DCV ASV Failure 治療不成功後 5.9% DAA naive 初回治療 DCV ASV failure 1 治療不成功後 4% P32H DCV/ASV 治療不成功例 3% 2% 1% 0% 0.1% P32 29% 4% 64% 64% deletion P32M P32L P32I/V/M Fold resistance (G1b) P32L P32Del Friedman et al. x 17 no data
NS5A 10% 9% 8% 7% 6% 5% 4% 3% 2% 1% 0% NS5A A92 の耐性変異 DAA 未治療例 vs DCV ASV 治療不成功例 DAA 初回治療 naïve DCV ASV Failure 8.8% A92 治療不成功後 6.5% DAA naive 43% 初回治療 7% 27% 7% DCV ASV failure 43% 16% 19% 60% 治療不成功後 22% Fold resistance (G1b) A92T A92V A92E A92P A92T A92V A92E A92K A92K ハーボニーインタビューフォーム > x 1,000 DCV/ASV 治療不成功例
NS5A DCV ASV 治療不成功例 複雑な NS5A の薬剤耐性変異 DCV/ASV 治療不成功例 L31 Y93 の測定のみ 18% L31+/Y93+ 8% 14% 60% L31-/Y93+ L31+/Y93- L31-/Y93-
NS5A 5 重耐性 DCV ASV 治療不成功例 L31 Y93 と共存する複雑な耐性変異 0.3% 3% 4 重耐性 DCV/ASV 治療不成功例 他の RAS も測定 8% 14% 18% 34% 21% 3 重耐性 2 重耐性 L31+/Y93+ 3 other RAS L31+/Y93+ 2 other RAS L31+/Y93+ 1 other RAS L31+/Y93+ no other RAS Other RAS:L28(L28M 除く ) R30(R30Q 除く ) P32 Q54 A92
NS5A DCV ASV 治療不成功例 複雑な NS5A の耐性変異 DCV/ASV 治療不成功例 8% 18% L31 Y93 測定のみ RASなし 18% L31+/Y93+ L31-/Y93+ 14% 60% L31+/Y93- L31-/Y93-
NS5A DCV ASV 治療不成功例 未治療例には存在しない耐性変異 L31+/Y93+ DCV/ASV 治療不成功例 他の RAS も測定 15% 3.5% P32 欠損 or A92K L31-/Y93+ 8% 14% 実はRASなしではなく L31+/Y93- 未治療例には存在しない 60% 不成功特有のRASが存在 L31-/Y93- P32 Del or A92K P32 del or A92K
DCV ASV 治療不成功例 再治療の状況全国肝疾患診療連携拠点病院 協力施設 DCV/ASV 治療不成功例 全国肝疾患診療連携拠点病院 537 例 耐性変異解析 再治療状況調査 登録 682 例回収 533 例
HCVRNA 陰性化 (LLOQ) (%) DCV+ASV 治療不成功例に対する LDV/SOF 再治療成績 (2017 年 1 月末 ) 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 91% LDV/SOF 12W 99% 99% 全国肝疾患診療連携拠点病院 協力施設 LDV/SOF 再治療 310 例 81% 72% 66% W4 W8 W12 SVR4 SVR8 SVR12 310 例
SVR12(%) DCV+ASV 治療不成功例に対する LDV/SOF 再治療 NS5A 変異数と SVR の関係 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 100% 68% 60% 0% RAS 0 RAS 1 RAS 2 RAS 3 症例分布 15 25 107 1 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% NS5A 変異 :31, 32, 92, 93
まとめ 1 型 C 型肝炎 レジパスビル + ソホスブビルやパリタプレビル + オンビタスビルによる 12 週間治療は良好な成績 治療不成功例のウイルス耐性変異は高度 多重変異が多い NS5A に耐性変異数が多いとレジパスビル + ソホスブビルの成績が低下するため 再治療前に薬剤耐性変異を測定する必要がある 2 型 C 型肝炎の治療効果は高い
共同研究者 全国赤十字病院肝疾患ネットワーク 全国肝疾患診療連携拠点病院 旭川医科大学 岩手医科大学 愛媛大学 大分大学 岡山大学 福井県済生会病院 香川県立中央病院 鹿児島大学 日立総合病院 関西医科大学滝井病院 北里大学 岐阜大学 京都大学 熊本大学 久留米大学 群馬大学 長崎医療センター 埼玉医科大学 佐賀大学 札幌医科大学 自治医科大学 島根大学 市立砺波総合病院 信州大学 聖マリアンナ医科大学 東海大学 東京医科大学 東京医科大学茨城医療センター 東京医科歯科大学 東北大学 徳島大学鳥取大学 新潟大学 兵庫医科大学 弘前大学 福島県立医科大学 福山市民病院 藤田保健衛生大学 北海道大学 宮崎大学 武蔵野赤十字病院 山形大学 山口大学 琉球大学 横浜市大附属市民総合医療センター