第 3 章事業事前評価表 ( 技術協力プロジェクト ) 1. 案件名ブルキナファソ国学校運営委員会支援プロジェクト 2. 協力概要 (1) プロジェクト目標とアウトプットを中心とした概要の記述本プロジェクトは ブルキナファソ国内 2 州 ( 中央プラトー州 東部中央州 ) において 州 県 CEB

Similar documents
(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅


<4D F736F F D E96914F955D89BF816A836E836D83438CF68BA48CF092CA89FC D E83672E646F63>

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

事業事前評価表_新様式

事業事前評価表 1. 案件名 ( 国名 ) 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 貧困削減戦略支援無償 ( 教育 ) (Poverty reduction efforts) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における初等教育セクターの現状と課題バン

ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド

事業事前評価表_新様式

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部 運輸交通 情報通信グループ第二チーム 1. 案件名国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 和名国際空港保安能力強化プロジェクト英名 The Project for Security Improvement of International Ai

01_ブルキナ_学校運営_付物_三.indd

おける成果としては まず組織運営 ( 交番活動 ) 面としてシフト制による 24 時間勤務 受け持ち区域 体制がつくられ 住民の要望を聞くとともに防犯上のアドバイスなどをする 巡回連絡 が行われるようになり そうした現場レベルでの市民警察活動の拠点として BKPM( 警察 市民パートナーシップ セン

本部主管案件 技術協力プロジェクト 本部 / 国内機関 : 人間開発部 2018 年 08 月 22 日現在 案件概要表 案件名 ( 和 ) 学校運営委員会支援プロジェクト フェーズ 2 ( 英 )Project for Supporting to School Management Committ

を余儀なくされている発表されている このような状況下 当国 NGO カサ アリアンサは 1988 年の設立以来 メキシコ市において路上生活を営む子供の保護 心身のケア 家族との再会支援 社会的自立に向けた教育支援に取り組んできた JICA は 2000 年 12 月から 3 年間 カサ アリアンサを

評価調査結果要約表 1. 案件概要 国名 : メキシコ合衆国案件名 : メキシコ国電子分野における研究 教育手法の開発分野 : 中小企業振興援助形態 : 技術プロジェクト所轄部署 : 中南米部中米 カリブチーム協力金額 ( 評価時点 ):20,375 千円協力期間 (R/D):2003 年 11 月

非営利組織の経営

事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部法 司法チーム 1. 案件名国名 : ブラジル連邦共和国案件名 : ( 和文 ) 地域警察活動普及プロジェクト ( 英文 )Project on Nationwide Dissemination of Community Policing 2. 事業の

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

平成18年度標準調査票

ISO9001:2015規格要求事項解説テキスト(サンプル) 株式会社ハピネックス提供資料

ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

2008年6月XX日

内部統制ガイドラインについて 資料

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド (PMBOK ガイド ) 第 6 版 訂正表 - 第 3 刷り 注 : 次の正誤表は PMBOK ガイド第 6 版 の第 1 刷りと第 2 刷りに関するものです 本 ( または PDF) の印刷部数を確認するには 著作権ページ ( 通知ページおよび目次の前 )

5 この施策に係る事務事業 ( 重要度 貢献度順 ) 番号 事務事業名 魅力個店づくり整備促進事業 歳出決算額 ( 千円 ) 施策への関連性 目的に対する指標 年度目標値 年度実績値 推移 区内の既存個店や出店希望 22 者が行う 魅力的な店舗づ 809 くりを支援することで 魅 力個店の集積を図る

Microsoft Word - 事前評価表 (セット版).doc

事業事前評価表 1. 案件名国名 : ラオス人民民主共和国案件名 : ルアンパバーン世界遺産の持続可能な管理保全能力向上プロジェクト Project for Capacity Enhancement for Sustainable World Heritage Management and Pres

西アフリカ 3億人ビジネス市場マップ ―2035年5億人市場に向けて―

Rodrigo Domingues UNDP Borja Santos Porras/UNDP Ecuador UNDP Kazakhstan 2

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

< F2D E968BC681698E968CE3816A817A C8250>

第1章 評価の目的と実施方法

ISO9001:2015内部監査チェックリスト

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

<4D F736F F D20352D318FBC8CCB8E738DC58F F5495AA90CD816A5F8F4390B38CE3816A2E646F63>

<4D F736F F D E E96914F955D89BF82CC906982DF95FB2E646F63>

DDL12Prnt001

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) JST 中間評価 1 の実施要領 平成 29 年 6 月改定 JST 国際部 SATREPS グループ 1. 地球規模課題国際科学技術協力 (SATREPS) プロジェクトの中間評価について SATREPS は JST による研究支援お

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

るための HIV 予防という マダガスカルの開発ニーズに合致していた 事前評価時における日本の援助方針との整合性 2006 年の日本とマダガスカルの経済協力政策対話に基づく 健康状態の改善を含む 農業 漁業 農村開発に向けたインフラの維持と人材開発を重点とする 日本の援助方針に合致していた 評価判断

<4D F736F F F696E74202D EF8B638E9197BF82CC B A6D92E894C5816A E >

17 石川県 事業計画書

預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投

めて整備され 文化大革命期の制度の断絶を経て 1980 年代に復活し 徐々に適用対象が拡大されてきた しかし 農村部は一貫して適用対象から外れ 1980 年代の後半に漸く農村部のみを対象にした養老保険制度が一部の豊かな農村を対象に開始された その後中国政府は農村部の養老保険制度の確立を重視してきた

untitled

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

品質マニュアル(サンプル)|株式会社ハピネックス

「標準的な研修プログラム《

事業事前評価表

学生確保の見通し及び申請者としての取組状況

ISO 9001:2015 改定セミナー (JIS Q 9001:2015 準拠 ) 第 4.2 版 株式会社 TBC ソリューションズ プログラム 年版改定の概要 年版の6 大重点ポイントと対策 年版と2008 年版の相違 年版への移行の実務

また 関係省庁等においては 今般の措置も踏まえ 本スキームを前提とした以下のような制度を構築する予定である - 政府系金融機関による 災害対応型劣後ローン の供給 ( 三次補正 ) 政府系金融機関が 旧債務の負担等により新規融資を受けることが困難な被災中小企業に対して 資本性借入金 の条件に合致した

第1章 調査の概要

の理解と参加を促進し, 開発協力を支える社会的基盤をより一層広げ, 強化するために, NGO/ 市民社会 (CSO) との連携が推進されるべきことが謳われたところである 以上の経緯と背景の下に NGO と ODA の連携に関する中期計画 ~ 協働のための 5 年間の方向性 ~ が策定されることとなっ

評価調査結果要約表

2012 Year in Review_JP

事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 SATREPS) 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名 ( 科学技術 ) 食料安全保障を目指した気候変動対応策としての農業保険における損害評価手法の構築と社会実装英名

アフリカにおける JICA の民間連携の取り組み 国際協力機構アフリカ部 JICA と ODA ODA 政府開発援助 二国間援助 多国間援助 * 外交政策の遂行上の必要から外務省が引き続き自ら実施するものを除く 使命 (Mission) 1. グローバル化に伴う課題への対応 2. 公正な成長と貧困削

貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

2. 各検討課題に関する論点 (1) 費用対効果評価の活用方法 費用対効果評価の活用方法について これまでの保険給付の考え方等の観点も含め どう考 えるか (2) 対象品目の選定基準 1 費用対効果評価の対象とする品目の範囲 選択基準 医療保険財政への影響度等の観点から 対象となる品目の要件をどう設

< FB96408F E4F8F648CA788C990A88E73815E8FAC969392AC967B92AC926E8BE6817A2E786477>

untitled

事業事前評価表

平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

ANNUAL REPORT

いままでの大学評価 これからの大学評価

平成18年度標準調査票

公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

学力向上のための取り組み

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

地方消費者行政強化作戦 への対応どこに住んでいても質の高い相談 救済を受けられる地域体制を整備し 消費者の安全 安心を確保するため 平成 29 年度までに 地方消費者行政強化作戦 の完全達成を目指す < 政策目標 1> 相談体制の空白地域の解消 全ての市町村に消費生活相談窓口が設置されており 目標を

<4D F736F F F696E74202D A B837D836C CA48F435F >

事業者名称 ( 事業者番号 ): 地域密着型特別養護老人ホームきいと ( ) 提供サービス名 : 地域密着型介護老人福祉施設 TEL 評価年月日 :H30 年 3 月 7 日 評価結果整理表 共通項目 Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織 1 理念 基本方針

1. はじめに 本格的な地方分権の時代を迎え 市民に最も身近な地方自治体は 市民ニーズに応じた政策を自ら意志決定し それを自己責任の下に実行することがこれまで以上に求められており 地方自治体の果たすべき役割や地方自治体に寄せられる期待は ますます大きくなっています このような市民からの期待に応えるた

0-1表紙

手法 という ) を検討するものとする この場合において 唯一の手法を選択することが困難であるときは 複数の手法を選択できるものとする なお 本規程の対象とする PPP/PFI 手法は次に掲げるものとする イ民間事業者が公共施設等の運営等を担う手法ロ民間事業者が公共施設等の設計 建設又は製造及び運営

08 年 月 日 バングラデシュ 地理情報標準策定計画 / GIS 計画 サモア ジェンダー分析 平和構築 国家地理空間情報整備支援プロジェクト詳細計画策定調査 ( 地理情報標準策定計画 / GIS 計画 ) 09 年 月中旬 ~ 現地派遣渡航留意 09/0/9 ~ 09/0/08 09 年 月下旬

回答者のうち 68% がこの一年間にクラウドソーシングを利用したと回答しており クラウドソーシングがかなり普及していることがわかる ( 表 2) また 利用したと回答した人(34 人 ) のうち 59%(20 人 ) が前年に比べて発注件数を増やすとともに 利用したことのない人 (11 人 ) のう

国際共同研究加速基金 ( 国際共同研究強化 (B)) の公募に係る FAQ 1. 趣旨及び対象について 問 1 日本国内で実施する国際共同研究も対象となるのか? 3 問 2 日本側研究者が海外の研究機関等に直接出向くこととなっているが 研究代表者が必ず海外に行かなければならないのか? 3 問 3 海

企画書タイトル - 企画書サブタイトル -


5_【資料2】平成30年度津波防災教育実施業務の実施内容について

事業事前評価表 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名農業保険実施能力向上プロジェクト英名 The Project of Capacity Development for the Implementation of Agr

Microsoft PowerPoint - 資料8 家計相談支援事業について

<4D F736F F D B A815B836782CC8A C98C5782E9834B C4>

平成21年度 指定管理業務評価シート(様式)

本日のテーマ

パラダイムシフトブック.indb

事業事前評価表

Microsoft PowerPoint - M1001_1_ ppt [互換モード]

平成 31 年度 地域ケア会議開催計画 魚津市地域包括支援センター 平成 31 年 4 月

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

間を検討する 締約国が提出した 貢献 は 公的な登録簿に記録される 締約国は 貢献 ( による排出 吸収量 ) を計算する また 計算においては 環境の保全 透明性 正確性 完全性 比較可能性及び整合性を促進し 並びに二重計上の回避を確保する 締約国は 各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有して

変更履歴 バージョン日時作成者 変更者変更箇所と変更理由 RIGHTS R ESER VED. Page 2

欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

事業事前評価表 ( 開発計画調査型技術協力 ) 作成日 :2016 年 7 月 11 日担当部署 : 産業開発 公共政策部民間セクターグループ第二チーム 1. 案件名国名 : エチオピア連邦民主共和国案件名 : ( 和名 ) 産業振興プロジェクト ( 英名 )Industrial Promotion

Transcription:

第 3 章事業事前評価表 ( 技術協力プロジェクト ) 1. 案件名ブルキナファソ国学校運営委員会支援プロジェクト 2. 協力概要 (1) プロジェクト目標とアウトプットを中心とした概要の記述本プロジェクトは ブルキナファソ国内 2 州 ( 中央プラトー州 東部中央州 ) において 州 県 CEB レベルの基礎教育 識字省関係者 校長 学校運営委員会 (COGES) 代表者などを対象とした学校運営委員会設立研修 計画策定研修を実施するとともに 県 CEB レベルの行政官による COGES 活動のモニタリング体制構築を支援することにより 機能する学校運営委員会モデルを構築することをめざす 2008 年 5 月の COGES 設立に関する法令の発布に基づき ニジェール みんなの学校 プロジェクトにおける経験を活かして ブルキナファソ事務所のイニシアティブにより 2008 年 10 月より 35 校を対象としたパイロットプロジェクトを実施した その結果 民主的選挙による COGES の設立 COGES による学校活動計画の策定についてモデルの有効性が裏づけられた 本プロジェクトはその成果を踏まえて実施するものである (2) 協力期間 2009 年 11 月上旬から 2013 年 11 月上旬 (4 年間 ) とする (3) 協力総額 ( 日本側 ) 約 3 億円 (4) 協力相手先機関ブルキナファソ基礎教育 識字省 (5) 国内協力機関特になし (6) 裨益対象者及び規模 等裨益対象者 : 基礎教育 識字省カウンターパート 5 名 COGES 担当行政官約 120 名 :2 州計 55CEB 各 2 名 + 州 県担当官校長 1,400 名 ( 対象州内 1,400 校 ) COGES 代表約 2,800 名 :1 校 2 名 1,400 校対象地域 : 中央プラトー州 東部中央州 3. 協力の必要性 位置付け (1) 現状及び問題点基礎教育 識字省は 教育セクターの開発枠組みである 基礎教育開発 10 ヵ年計画 (PDDEB) を 2002 年より実施している 当計画は 2007 年に改訂され 教育のアクセス -4-

の拡大 教育の質の向上 教育行政能力の構築 を 3 本柱とし 2010 年までに総就学率を 78.2% 成人識字率を 40% にまで高めることを 2 大目標としている その結果 初等教育就学率は着実に改善しつつあるものの 教員数の不足や教室の過密状態の継続など 小学校における学習環境は依然として厳しいものになっている (2) 相手国政府国家政策上の位置付け上記のような状況の下 PDDEB では 教育の質の向上 を図るため 学習環境の改善 特に住民参加を通じた学校運営の改善の必要性が指摘されており 2008 年 5 月に学校運営の主体となる COGES の設立に関する法令が発布された しかしながら COGES が期待される役割を果たすための具体的な戦略を明確にするには至っていない (3) わが国援助政策との関連 JICA 国別事業実施計画上の位置付け ( プログラムにおける位置付け ) わが国の対アフリカ支援の基軸である アフリカ開発国際会議 (Tokyo International Conference for African Development:TICAD) プロセスにおいては 教育は優先項目のひとつとされており 2008 年 5 月に採択された TICAD IV 横浜行動計画の中では 西部アフリカにおいて みんなの学校 (School for All) モデルを基礎とした学校運営改善のためのプロジェクトを 1 万校に拡大することが言及されている 本技術協力プロジェクトはその達成に向けたプロジェクトのひとつとして位置づけられる また ブルキナファソにおいて基礎教育分野は重点支援分野のひとつとなっている これまで 4 次にわたって無償資金協力による小学校教室建設が実施されており 2009 年度にはサヘル州において 初等教員養成校建設計画 の実施が予定されている 加えて 現在 小学校教諭を中心に派遣されている青年海外協力隊員 (JOCV) についても本プロジェクトとの連携強化を検討しており 教員や行政官の能力強化を通じた教育の質の改善を目指した技術協力プロジェクト SMASE (2008 年 1 月開始 ) と併せて ブルキナファソの教育の質の向上に総合的に貢献していくこととしている 4. 協力の枠組み 主な項目 (1) 協力の目標 ( アウトカム ) 1 協力終了時の達成目標 ( プロジェクト目標 ) と指標 目標値 プロジェクト目標 機能する COGES に関する全国普及可能なモデルが確立される 指標 対象校のうち 75% 以上の COGES が学校活動計画 1 を策定し 計画の 75% を実施する 対象校における学校運営への住民の貢献度 ( 参加人数 提供金額 ) が増大する 2 国家ワークショップにおいて COGES モデルが承認される 1 2 学校運営委員会は学校の改善に係る年間活動計画を策定することになっており その中では 例えば トイレの設置 仮設教室の建設 地域における女子の就学促進活動などが含まれているケースが多い 基準値及び目標値はベースライン調査に基づいて設定する予定 -5-

2 協力終了後に達成が期待される目標 ( 上位目標 ) と指標 目標値 上位目標 機能する COGES モデルが全国で展開される機能する COGES を基盤として児童の就学状況が改善される 指標 セクター計画における COGES モデルの採用 学校活動計画で実施された活動の数及び実施された活動の種類 教育統計 ( 総就学率 総入学率 総出席率他 ) の改善 学校運営に対する住民の貢献度の向上 COGES を設立した学校数 財務報告書を年間 2 回作成した学校数 住民総会を年間 3 回以上開催した学校数 (2) 成果 ( アウトプット ) と活動 成果 1 COGES が民主的に設立される 活動 1.1 COGES の機能度に関する調査を実施する 1.2 上記調査に関する情報共有ワークショップを開催する 1.3 パイロットプロジェクトで使用した研修モジュールを改訂する 1.4 地方行政官に対し 民主的な COGES の設立に関する講師研修を実施する 1.5 地方行政官から校長に対し COGES の民主的な設立準備のための研修を実施する 指標 対象校のうち 80% 以上の COGES が住民集会によって選出され 承認される 対象校のうち 80% 以上の COGES がメンバー選出選挙についての報告を提出する 成果 2 住民参加を通じた学校活動計画が実施される 活動 2.1 パイロットプロジェクトで使用した研修モジュールを改訂する 2.2 地方行政官に対し 住民参加による学校活動計画策定研修及び資金管理手法に関する講師研修を実施する 2.3 地方行政官から COGES 委員に対し 学校活動計画策定研修及び資金管理手法に関する研修を実施する 指標 対象校のうち 85% 以上の COGES が 学校活動計画を策定する 対象校のうち 75% 以上の COGES が 少なくとも 1 年間にひとつ以上の学校活動計画を実施する 対象校のうち 70% 以上の COGES が 1 年間に最低 3 回の住民集会を開催する 対象校のうち 70% 以上の COGES が 住民集会で発表する財務報告書を 1 年間に -6-

最低 2 回策定する 成果 3 COGES への支援体制が確立される 活動 3.1 集会モニタリングに関する調査を実施する 3.2 研修モジュールを改訂する 3.3 地方行政官に対し モニタリング体制確立のための講師研修を実施する 3.4 地方行政官から COGES 委員に対し モニタリング体制確立のための研修を実施する 3.5 COGES モニタリング月例会議を開催する 3.6 基礎教育 識字省州局 (Direction(Directeur)Régional de l Enseignement de Base et de l Alphabétisation:DREBA) において経験共有のための会議を開催する 指標 1 年間に 2 回以上 CEB 事務所の COGES 担当官が COGES 活動のモニタリング 評価を行う 1 年間に 2 回以上 CEB の COGES 担当官と COGES 連合の間で定期会合が開催される 3 ヵ月に 1 回 COGES 報告書が提出される ( 校長 CEB DPEBA DREBA DGEB) COGES 活動のモニタリング 評価のための月例会議が DPEBA で開催される 成果 4 モデル普及のための評価 経験共有が行われる 活動 4.1 COGES モデルの評価 分析を実施する 4.2 関係者による経験共有ワークショップを開催する 指標 COGES 活動に関する内部評価の報告書が作成される 国家レベルで経験共有ワークショップが開催される (3) 投入 ( インプット ) 1 日本側長期専門家 2 名 ( チーフアドバイザー / 学校運営 COGES 能力強化 / 業務調整 ) 短期専門家 ( 必要に応じ ) モニタリング用車輌 バイク 事務用機器( コピー機 コンピュータ プリンタ 電話 /FAX 等 ) 研修実施 マニュアル作成等にかかる費用 2 ブルキナファソ側カウンターパート人件費 プロジェクト執務室及び執務室維持経費 モニタリング経費 -7-

(4) 外部要因 ( 満たされるべき外部条件 ) プロジェクトの前提条件学校運営に関する政策が継続される プロジェクト実施上の外部条件プロジェクト目標を達成するための外部条件は次のとおりである 学校運営に関する教育地方分権化政策が継続される ドナーの介入に関する協調及び調和が悪化しない期待される成果が達成されるための外部条件は次のとおりである 研修を受講した教育行政官が異動しない 研修を受講した COGES 委員が任期終了前に免職にならないなお 上位目標達成のための外部条件は設定していない 5. 評価 5 項目による評価結果 (1) 妥当性本案件は 以下の理由から妥当性が高いと判断される ブルキナファソ教育セクターの開発枠組みである PDDEB において 教育の質の向上 を図るために学習環境の改善 特に住民参加を通じた学校運営の改善の必要性が指摘されており 2008 年 5 月に学校運営の主体となる COGES の設立に関する法令が発布された しかしながら COGES が期待される役割を果たすための具体的な戦略を明確にするには至っておらず 本プロジェクトによる支援に対する期待は高い ブルキナファソでは依然として総就学率が 60%(2009 年 :EFA グローバルモニタリングレポート ) 程度ときわめて低い水準にとどまっており アクセスの改善に対するニーズが高い 学校運営の強化を通じてアクセスの改善や教育の質の向上につながることが期待される本プロジェクトは 同国のニーズに合致している 対象州となる中央プラトー州は首都ワガドゥグに近く 農村部ではあるが都市部の側面も併せ持っていることから モデル性が高く 全国展開を見据えたパイロット地域として適切である 一方 東部中央州は他州に比べて女子の就学率が低く 本プロジェクトのアプローチを試行する効果が発現しやすい地域であることから 対象地域としての妥当性は高い 2008 年 5 月に開催された TICAD IV の横浜行動計画の中で 西部アフリカにおいて みんなの学校 (School for All) モデルを基礎とした学校運営改善のためのプロジェクトを 1 万校に拡大することが言及されており 本プロジェクトはその達成に寄与するプロジェクトのひとつである (2) 有効性本案件は 以下の理由から有効性が高いと判断される プロジェクト目標は 2008 年 5 月に COGES の設置が法令で定められたものの その役割 機能などは必ずしも明確にはなっていないという現状に基づいて設定されたものである プロジェクトで設定された成果 1 から 4 はプロジェクト目標を達成するために必要不可欠であり 成果と目標の整合性は明確である すなわち 民主的選挙により COGES が設立され ( 成果 1) その COGES が住民参加によって学校活動計画を -8-

策定し ( 成果 2) 行政による COGES への支援体制が確立されることで ( 成果 3) 機能する COGES モデルを確立し それが評価 共有される ( 成果 4) ことによって プロジェクト目標の達成につながることとなる ブルキナファソでは地方分権化政策が進められており 学校運営に関する権限が教育省からコミューンへ順次委譲されることが見込まれる この場合 教育省の県局およびコミューンレベルに設置されている (CEB) 事務所には コミューンに対して専門的な見地から技術的な助言をすることが期待されている 本プロジェクトでは CEB レベルの行政官が COGES 支援に関する役割を果たせるよう CEB 行政官による研修 モニタリングを COGES 支援策の中核に位置づけており 地方分権化の進展への対応能力強化をプロジェクト内部に取り込んでいる 本プロジェクトは学校レベルで効果が発現するシステムを構築することを目指しており これを担保するために行政官による COGES の活動状況のモニタリングの実施も含まれている これによって 研修の成果が広く確実に学校レベルに届くよう配慮されている (3) 効率性本案件は 以下の理由から効率性が高いと判断される 仏語圏アフリカ諸国における学校運営委員会支援案件は既にニジェール セネガル マリで実施されており これらのプロジェクトを通じて開発されたアプローチや研修マニュアル モニタリング実施方法などを活用することが可能である 本案件を含めた上記 4 案件は西アフリカ地域における広域案件群を構成しており 域内における経験共有などを進める体制が整いつつある 近隣国の専門家やカウンターパートが蓄積してきた経験を学びあうことで新しいアイディアが生まれる可能性があり そのような機会を積極的に活用することが可能である 本プロジェクトでは新しい組織を設置することなく すべて既存の枠組を活用することとしている 既存の仕組みが機能することを目的として補完的な技術支援を行うという位置づけであるため 効率性は高い (4) インパクト本案件は 以下の理由からインパクトが高いと判断される 本プロジェクトの実施を通じて住民が学校運営に積極的に参画することで COGES が機能するようになれば 学校教育に対する保護者や住民の意識が変わり インフラ整備も含め学校の抱える諸課題を解決する基盤が構築される 本プロジェクトの実施を通じ 学校運営の改善という目標の下 コミュニティの組織化が促進される 組織化されたコミュニティが自らの課題を自ら解決するという主体的な問題解決能力を身につけることで 学校運営という本プロジェクトの枠組を超えて地域的な開発課題に取り組んでいく能力を高めることが期待される 本プロジェクトの実施を通じ 対象州 対象校で COGES 設立研修 学校活動計画策定研修 モニタリング研修など COGES が機能するためのモデルの構築が図られる プロジェクトでは 全国を対象とした経験共有セミナーの開催等を予定しており こ -9-

れらを通じてブルキナファソ政府関係者 世銀 フランス等の財政支援を実施している他ドナー等の理解を促進し 対象州以外の全国でも同様の事業が展開されることが期待される 初等教育の質の向上を図る観点から ブルキナファソでは既に SMASE が実施されている 本プロジェクトにおいても教育の質の向上は重要な視点となっており 両プロジェクト間で対象サイトを重ね合わせたり 一部の活動を共同で実施することなどを通じて相乗効果が発揮されることが期待される (5) 自立発展性本案件は 以下の理由から自立発展性が見込まれる 本プロジェクトではコミュニティが自らの課題を自ら発見 解決できるよう計画策定 実施能力を身につける戦略をとっている その際 コミュニティが自ら資源を動員して学校環境の改善に取り組むことをめざしており 行政の支援がなくても持続的に学校環境の改善に取り組んでいくことが見込まれている 本プロジェクトでは既存の枠組みを活用して研修やモニタリングを実施することを計画しており その主要な実施主体は (CEB) 事務所の COGES 担当官である CEB の年間予算には 金額は少ないものの 管轄内の学校に対するモニタリング経費 ( 燃料費 ) が既に計上されていることから プロジェクト終了後もこれら関係者が適切に研修やモニタリングを実施できるよう能力強化を図ることで プロジェクト終了後も継続的に活動が実施されるように配慮している 本プロジェクトはブルキナファソの既存の制度を補完 強化するために技術支援を行うことを目標としており 技術的に複雑な支援を実施するわけではない つまり CEB の COGES 担当官が通常業務として実施していけば維持できる仕組みであることから 自立発展性は高いと判断される 6. 貧困 ジェンダー 環境等への配慮本プロジェクトでは 保護者をはじめとした地域コミュニティに対して学校運営への参画を働きかけ その過程で学校教育の重要性を訴えていくこととしている その結果 家庭内労働などの負担によって就学機会が阻まれている児童 特に女子の就学に関する意識の啓発が促進されることが期待されている また COGES 政策においては構成員に母親会の代表を含めることが規定されているうえ COGES の役員は選挙によって民主的に選出することにしており 学校運営における意思決定に男女とも公平な参加機会が確保されるよう配慮している 7. 過去の類似案件からの教訓の活用 ニジェールで実施している住民参画型学校運営改善計画 ( みんなの学校プロジェクト ) で蓄積された成果 ( 学校運営における住民参加を促進させるアプローチ : 民主的な選挙による代表選出を通した学校運営委員会の設置 住民による学校の問題分析 改善計画の策定 既存のリソースを活用した活動実施 及び地方教育行政官によるモニタリングの実施 ) を教訓とし ブルキナファソの現状によく留意した上で活用する 現在 仏語圏西アフリカ諸国ではニジェールで実施中の住民参画型学校運営計画を中心 -10-

とした案件群が形成されている 3 それぞれほぼ同様のアプローチを採用しているものの 各国が置かれた状況は大きく異なっている マリでは地方分権が他国に比較して大きく進展しており 市 ( コミューン ) レベルの関係者の巻き込みをいかに図るかという点で先行し また セネガルは 政府からの学校交付金制度が進展しているため いかに住民負担による学校活動計画との整合性を図るかという点で工夫を行っている ブルキナファソにおいても 今後 様々な政策的な展開が想定されることから 近隣諸国との経験共有を積極的に行い いろいろな状況にも対応できるよう備えておくことが重要である ニジェールで実施されたみんなの学校プロジェクトが策定したモデルは世銀との連携の下 パイロット地域を越えて全国的に展開されている その理由として プロジェクトのアプローチをミニマムパッケージ ( 民主的選挙による学校運営委員会設置研修 学校運営計画策定研修 モニタリング研修 ) としてわかりやすく整理したこと 現地 NGO やニジェール国教育省関係者などを効果的に巻き込み経験の蓄積を図ってきたこと プロジェクト実施過程で成果を広報 共有することで他ドナーの理解を促したこと などが指摘されている ブルキナファソにおける本プロジェクトの実施過程においても 教育の地方分権化の進展に留意しながら効果的なモデル形成を進め 先方政府のみならず世銀をはじめとした他ドナーに対してもプロジェクト成果を積極的にアピールしていくことが重要である 8. 今後の評価計画ベースライン調査 : 2009 年 11 月頃中間レビュー調査 : 2011 年 11 月頃終了時評価調査 : 2013 年 5 月頃事後評価 : 2018 年 10 月頃 3 ニジェール 住民参画型学校運営改善計画フェーズ 2 セネガル 教育環境改善プロジェクト マリ 学校運営委員会支 援プロジェクト が現在実施されている -11-