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舞鶴市立学校教職員の勤務時間適正化に向けた取組方針 ~ 残る文化 から 帰る文化 への構築に向けて ~ ( 案 ) 平成 29 年月日 舞鶴市教育委員会 0

はじめに 日本人の長時間労働が課題となっており 政府においては 働き方改革 を最重要政策に掲げ その一つとしてワークライフバランスをとるために長時間労働をなくすことを進めている このような中 教職員は その勤務形態の特殊性を踏まえ 勤務時間の内外を問わず包括的に評価した処遇として 原則 時間外勤務を命じないこととし 命じる場合は (1) 生徒の実習に関する業務 (2) 学校行事に関する業務 (3) 教職員会議に関する業務 (4) 非常災害等のやむを得ない場合の業務の 4 項目に限定 いわゆる超勤 4 項目とされている 併せて 昭和 41 年の勤務状況調査の結果を踏まえて 超過勤務時間相当分として給料月額の 4 パーセントに相当する教職員調整額が支給されている しかし実態は 教職員は 急激な少子化と核家族化の進行 国際化の進展等により 児童生徒の状況や保護者 地域社会からの要請が多様化 高度化し その対応に時間的 精神的な負担が増大している 平成 18 年度の文部科学省実施の 教職員勤務実態調査 の結果によると 教諭の残業時間は月約 42 時間と 教職員調整額算定の基礎となった昭和 41 年度の同調査の月約 8 時間と比較して大きく増加している また 平成 25 年度の OECD( 経済協力開発機構 ) 実施の 国際教員指導環境調査 (TALIS) の結果では 中学校教員の 1 週間当たりの平均勤務時間は 34 調査参加国 地域の平均が 38.3 時間であるのに対し 日本は 53.9 時間と最長であり 学校の負担が増大し 教職員の多忙化が進行していることがうかがえる このような中 本市においては 平成 26 年度の第 2 学期から平日の退勤時間調査 ( 午後 5 時以降の在校時間 ) を実施しており 退勤時間の全時間が残業ではないが 平成 27 年度の1カ月あたりの平日退勤時間合計の月平均は 小学校では約 44 時間 30 分 中学校約 47 時間となっており 全国と同様な状況となっている このような状況を受け 本市では 平成 28 年 7 月に舞鶴市立小 中学校の校長会 教頭会 教務主任会 舞鶴市教職員組合 そして舞鶴市教育委員会の代表からなる 舞鶴市立学校教職員の業務負担軽減に向けた勤務時間適正化検討プロジェクトチーム ( 以下 プロジェクトチーム ) を組織し 計 6 回の会議を経て 本年 2 月に勤務時間の適正化に向けた具体的取組についての提案を受けた 舞鶴市教育委員会としても 本市立学校教職員の勤務状況を踏まえ 勤務時間の適正化への取組は喫緊の課題と認識しており プロジェクトチームの意見も尊重しながら 関係者で議論を重ね このたび 教職員の勤務時間の適正化に向けた本市の具体的な取組を 舞鶴市立学校教職員の勤務時間適正化に向けた取組方針 ~ 残る文化 から 帰る文化 への構築に向けて ~ としてまとめた 今後は この方針に沿い 全ての教職員が心身ともに健康で 児童生徒と向き合う時間を確保し ひいては 教育効果を上げることを目指し 勤務時間の適正化に向けて具体的な取組を進めていく なお この方針は現時点で 勤務時間適正化に向けて取組むことが可能と考えられる取組であり 今後の国の動き等を注視し 必要に応じて方針を変更することとする 1

1 教職員の勤務実態 (1) 全国調査平成 18 年度に文部科学省が 教職員勤務実態調査 平成 25 年度にOECD( 経済協力開発機構 ) が OECD 国際教員指導環境調査 (TALIS) を実施しており 教職員の勤務時間に関して 下記のような調査結果がでている 1 文部科学省 教職員勤務実態調査 ( 平成 18 年度 ) ➊ 教諭 1 月当たりの平均残業時間は 平日約 34 時間 休日約 8 時間 合わせて約 42 時間 昭和 41 年度調査の約 8 時間と比較すると約 5 倍に増大している ➋ 小学校教諭の 1 日当たり労働時間は 10 時間 06 分 ( 残業時間 1 時間 27 分 ) 中学校教諭は 10 時間 36 分 ( 残業時間 1 時間 56 分 ) 生徒指導や部活動 事務的業務が増える一方 授業準備や研修等は減少している 2 OECD OECD 国際教員指導環境調査 (TALIS) ( 平成 25 年度 ) ➊ 日本の教員の 1 週間あたりの勤務時間 (53.9 時間 ) は参加国中最長 ➋ 授業時間は参加国平均と同程度であるが 課外活動 ( スポーツ 文化活動 ) の指導時間が特に長く 授業の計画 準備時間も長い 1 週間あたりの勤務時間の比較 (2) 本市立学校教職員の勤務実態本市では 教職員の職務が多様化 複雑化し その時間的 精神的な負担が増大していることから 平成 26 年度の第 2 学期から市立学校教職員の平日の退勤時間の調査を実施している 退勤時間は 午後 5 時以降の在校時間であり 業務外で残っている者もいることから調査結果が必ずしも勤務時間とはならないが 平日退勤時間の傾向は 下記のとおりとなっている 2

➊ 小規模校よりも大規模校に勤務する教職員の労働時間が長い ➋ 長時間勤務者が 特定の学校の特定の教員に固定されている ➌ 本市の教員の平均退勤時間を勤務時間とすると 全国平均の勤務時間よりも長い ➍ 新規採用者も年度当初から長時間勤務をしている 1 1カ月当たりの退勤時間合計の平均 舞鶴市立小 中学校の教職員の 1カ月当たりの平日の平均退勤時間合計は 小学校 44 時間 30 分 中学校 46 時間 54 分となっており 文部科学省の平成 18 年度調査の平日平 均残業時間約 34 時間を大きく超えている 小学校 中学校 全体 44 時間 30 分 46 時間 54 分 教諭 常勤講師 47 時間 33 分 48 時間 36 分 校長 36 時間 04 分 34 時間 56 分 教頭 62 時間 38 分 61 時間 41 分 養護教諭 23 時間 40 分 30 時間 38 分 栄養教諭 14 時間 57 分 x 時間 x 分 事務職員 16 時間 52 分 21 時間 36 分 中学校の栄養教諭は 個人が特定されるため x で表示する 2 1 日の平均退勤時間 舞鶴市立小 中学校の教諭 常勤講師の平日の平均退勤時間は 小学校 2 時間 41 分 中学校 2 時間 49 分となり 文部科学省の平成 18 年度調査結果よりも小学校は約 1 時間 中学校は約 50 分長く学校にいる 全 体 教諭 常勤講師 小学校 2 時間 28 分 2 時間 41 分 中学校 2 時間 44 分 2 時間 49 分 2 勤務時間の適正化に向けた取組本市立学校教職員の勤務状況を踏まえ 勤務時間の適正化 業務負担の軽減を図るため 部活動 退勤時間 事務 啓発 その他 の 5つの考え方のもと 市立小 中学校において 下記取組を実施する (1) 部活動に関する取組中学校の部活動は 時間外業務の大きな割合を占めており 長時間 長期間にわたる過度な活動は スポーツ障害を起こすだけではなく 勉学や職務の効率が低下し 心身に疲弊をもたらすことも問題となっている このため 部活動に関する下記取組を実施する 3

平成 29 年度から実施する取組平成 30 年度以降の実施を目指す取組 1 部活動の休養日を下記のとおり設ける Ⅰ 毎週水曜日を 7 中学校統一の ノー部活デー とする Ⅱ 土日は 現行の午前 午後区分の 4 分割の考え方に基づき 4 区分の内 2 区分は休養日とすることを原則とする 2 朝練習は 必要性を十分に考え 実施を判断する 実施する場合は 時間短縮を図るとともに 指導体制を確立したうえで実施する ➊ 部活動指導員の複数配置を行い ノー部活デー以外にも平日週 1 回 部活動指導を休める体制をつくる ➋ 外部指導員の活用について 検討する (2) 退勤時間に関する取組勤務時間の適正化を図るためには 退勤時間に関して一定の制限を加え 計画的に業務を行うよう促すことにより 教職員の 残る文化 から 帰る文化 に意識を変えていくことも必要である このため 退勤時間に関する下記取組を実施する 平成 29 年度か 1 毎週水曜日を 健康推進日 ( 全教職員が校長が示す時刻にまで退勤ら実施する取組する日 ) とし 特に第 1 水曜日を 一斉退勤日 ( 全教職員が午後 6 時までに退勤する日 ) とする 2 管理職は 教職員の業務内容を確認し 具体的時刻を明示して 早く帰ろう の声かけを行う 3 業務が終了しているにも関わらず学校にいる者に対し 学校は業務を行う場所であり 残ることがないよう指導を行う 4 長時間勤務者 ( 退勤時間が遅い者 ) に対し 管理職が勤務実態の把握や対策等を検討することを目的に面談を実施する 平成 30 年度以 ❶ 勤務時間を把握するためのタイムカードの導入など 確認環境を整降の実施を目指備する す取組 (3) 事務に関する取組児童生徒と向き合う時間を確保するためには 事務の見直しや効率化を図り 教員が担うべき業務に専念できる環境を進めることが重要である このため 事務に関する下記取組を実施する 平成 29 年度か 1 校務支援システムの使い方研修会を毎年度実施し 教職員全員が校らの取組務支援を使える環境づくりを行う 2 新規採用者も年度当初から長時間勤務をしている状況を鑑み 初任者の研修後の振り返り記述 を廃止する 平成 30 年度以 ➊ 集金業務や市補助金の会計整理等について 事務職員と連携を図る降の実施を目指など チーム学校を推進する す取組 ❷ 学校事務の共同実施 の研究など 事務職員の中学校区でのチー 4

ム化 ( 小中一貫教育 ) を図る ➌ 徴収金事務ソフトなど 事務が効率化 簡略化できるソフトを導入する ➍ 提出書類は 他の類似のものの活用や必要性等を確認し 簡略化 削減を行う ❺ 教職員全員が使いやすく 活用できるファイリング管理の環境づくりを行う (4) 啓発に関する取組勤務時間の適正化を進めるためには 管理職をはじめ全教職員が意識を高く持つとともに 保護者や地域に対し 教職員の勤務時間適正化がひいては教育効果の充実につながることへの理解と協力を得る必要がある このため 啓発に関する下記取組を実施する 平成 29 年度か 1 教職員の意識の高揚を図ることを目的に 下記の取組を実施する らの取組 Ⅰ ワークライフバランスやメンタル等に関する研修会 各学校の適正化の取組に関する報告会等を開催する Ⅱ 全教職員を対象とした 勤務時間適正化アンケート を実施する 2 保護者や地域の理解と協力を得ることを目的に 教職員の多忙な状況や勤務時間 ( 土日は休養日 平日午後 5 時以降は時間外 ) 勤務時間適正化に関する取組について 保護者や地域に対し周知する (5) その他教職員の負担軽減の実現を図るためには (1)~(4) の柱以外にも様々な取組を行うことが必要である そのため その他として下記取組を実施する 平成 29 年度か 1 会議時間の短縮化 効率化を図ることを目的に 下記取組を実施する ら実施する取組 Ⅰ 配付物は要点を絞り できるだけ簡素化する Ⅱ 配付物を事前配付し 参加者は事前に目を通す Ⅲ 会議は 時間を 1 時間 30 分以内に設定し 説明よりも協議を重視した時間配分とする Ⅳ 会議や打合せの開始時刻 終了時刻の明示の習慣化を図る 2 教職員の会議等の移動時間の負担軽減を図ることを目的に Web カメラを設置する 3 他機関からの学校を通じての配布物 募集物は 教育委員会において必要性を検討し精選するとともに 市の広報利用など制限を行う なお 配布する場合は 各学級の児童 生徒数毎に仕分けするように指示を行う 平成 30 年度以 ❶ 会議や打ち合わせの目的や内容を見直し 回数の削減や時間の短縮降の実施を目指を図るなど 精選を行う す取組 ➋ 校内 LAN システムの導入やシステム問い合わせ窓口の設置など 5

ICT 環境の整備 充実を図る ➌ 出張が 多忙な要因の一つとなっていることから 出張を精選する ➍ 行事は 実施の重要性を検討し 廃止 短縮等の精選を行う 3 取組を推進するための体制整備等平成 29 年度から実施する取組の中には 会議時間の短縮化 効率化に関する取組や学校行事の精選など 学校内で検討が必要なもの また 平成 30 年度以降の実現を目指す取組の中には 事業費を伴う取組のほか 京都府教育員会や学校との連携 保護者や地域の理解や協力など 舞鶴市教育員会単独では実現が困難な取組がある 各取組の実効性の確保や 実現困難な取組の早期実現を目指すなど 勤務時間適正化に関する取組を推進するため 下記の体制整備等を行う (1) 校内体制の整備勤務時間適正化の具体的取組の実施や取組の検証等を行うため 校内に勤務時間適正化を推進するための体制整備を行う (2) 教育委員会と学校による 勤務時間適正化検討会議 の設置平成 30 年度以降の実現を目指す取組について その具現化を図ることを目的に 教育委員会と学校現場で構成する 勤務時間適正化検討会議 を設置する (3) 京都府教育委員会への働きかけ勤務時間適正化に向けた取組の内 舞鶴市教育委員会単独では実現が困難な下記取組について 京都府教育委員会に対して 共同で取組の検討を行う等の働きかけを行い その実現化を図る 1 事務に関する取組 Ⅰ. 提出書類は 他の類似のものの活用や必要性等を確認し 簡略化 削減を行う Ⅱ. 学校事務の共同実施 の研究など 事務職員の中学校区でのチーム化 ( 小中一貫教育 ) を図る 2その他 Ⅰ. 出張が 多忙な要因の一つとなっていることから 出張を精選する Ⅱ. 行事は 実施の重要性を検討し 廃止 短縮等の精選を行う 6