抜本的な鳥獣捕獲強化対策 平成 25 年 12 月 26 日環境省農林水産省

Similar documents
現行見直し案見直し理由等 カラス 被害時期 : 通年 ニホンザル 被害対象 : 農作物全般への食害 農業施設へ被害 生活環境被害 ヒヨドリ 被害時期 : 通年 アナグマ 被害対象 : 果樹への食害 被害対象 : 農作物全般への食害 ハクビシン 被害対象 : 農作物全般への食害 住居侵入による生活環境

Microsoft Word - 01 変更計画書

(Microsoft Word - \220\255\215\364\222\361\214\276\217\221.docx)

<4D F736F F F696E74202D DC CC92B98F6295DB8CEC8AC7979D90A C982C282A282C AD955C A205B8CDD8AB B83685D>

(別記様式第1号)

唐津市農業委員会 農地等の利用の最適化の推進に関する指針 平成 2 9 年 11 月 8 日 唐津市農業委員会 第 1 基本的な考え方農業委員会等に関する法律 ( 昭和 26 年法律第 88 号 以下 法 といいます ) の改正法が平成 28 年 4 月 1 日に施行され 農業委員会においては 農地

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域 対象鳥獣計画期間対象地域 シロガシラ イノシシ キジ平成 27 年度 ~ 平成 29 年度うるま市全域 ( 注 )1 計画期間は 3 年程度とする 2 対象地域は 単独で又は共同で被害防止計画作成する全ての市町村名を記入 する 2. 鳥獣による農

< F2D F8AEE967B8E77906A89FC90B388C42E6A7464>

(別紙様式第1号)

釧路湿原国立公園 釧路湿原生態系維持回復事業計画 平成 28 年 4 月 1 日

加えて 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律 ( 平成 14 年法律第 88 号 ) が改正され 平成 27 年 5 月に施行されることとなっている 改正に伴い 法律の題名は 鳥獣の保護及 び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 ( 以下 鳥獣保護管理法 という ) に改められ 法目的に 鳥獣の管理

H28秋_24地方税財源

Microsoft Word - 鳥瓣被害韲æ�¢è¨‹çfl»ï¼‹H30-32;朕絇Ver

1 アライグマの 分布と被害対策 1 アライグマの分布 1977 昭和52 年にアライグマと少年のふれあいを題材とし たテレビアニメが全国ネットで放映されヒット作となった それ 以降 アライグマをペットとして飼いたいという需要が高まり海 外から大量に輸入された しかしアライグマは気性が荒く 成長 す

Microsoft Word 修正 特定計画(イノシシ)案

計画作成年度


Microsoft PowerPoint - ☆PTポイント・概要(セット)

イノシシH30年度別計画

(別記様式第1号)

農地中間管理機構 ( 仮称 ) の制度の骨格 ( 案 ) 資料 農地中間管理機構の指定都道府県のコントロールの下に適切に構造改革 生産コスト引下げを推進するため 都道府県段階に設置する 1 都道府県知事は 農地中間管理事業を公平かつ適正に行うことができる法人 ( 地方公共団体の第 3セク

(別記様式第1号)

(1) 野生鳥獣による農作物被害状況 ( 全国及び九州 ) 野生鳥獣による全国の農作物被害額は 平成 22 年度において 239 億円で 前年度に比べて 26 億円 (12%) 増加 九州の農作物被害額についても 4 億円で 前年度に比べて 7 億 5 千万 (23%) 増加 九州の農作物被害額のう

3. 経営所得安定対策及び日本型直接支払制度の確立 (1) 経営所得安定対策の平成 26 年度以降のあり方の検討に当たっては 真に農業者の経営安定に資する制度とするために 地域の特性や実情を反映し 農業者及び都市自治体の意見を十分に尊重すること また 農業者等が安心して農業に取り組むことができるよう

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域 対象鳥獣 計画期間 イノシシ ( イノブタを含む ) ニホンジカカラス類サギ類 平成 29 年度 ~ 平成 31 年度 対象地域 産山村 ( 注 )1 計画期間は 3 年程度とする 2 対象地域は 単独で又は共同で被害防止計画作成する全ての市町村

1. 有害鳥獣対策の法規制の緩和と捕獲業務の体制強化 建議 農作物の大敵である有害鳥獣の被害防止対策につきましては 毎年 補助事業等の活用により ワイヤーメッシュ柵 電気牧柵器及び箱罠の設置等に多額の予算を計上していただき また その普及や管理に関する知識の伝達等にご尽力いただいておりますことに対し

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

< F2D816994D48D FA957493FC816A >

田原市農業委員会 農地等の利用の最適化の推進に関する指針 平成 30 年 3 月 23 日 田原市農業委員会 第 1 基本的な考え方農業委員会等に関する法律 ( 昭和 26 年法律第 88 号 以下 法 という ) の改正法が平成 28 年 4 月 1 日に施行され 農業委員会においては 農地等の利

アマミノクロウサギ保護増殖事業計画 平成 27 年 4 月 21 日 文部科学省 農林水産省 環境省

被害の現状 いま ニホンジカとイノシシが どのような問題をもたらしているのでしょうか? ニホンジカが日本の自然を食べつくす!? 日本に昔から生息しているニホンジカやイノシシは 近年 急速に生息数が増加し 全国で分布を広げています 増えすぎたニホンジカやイノシシが いま 日本全国で生態系や農林業 さら

( 別記様式第 1 号 ) 計画作成年度平成 28 年度 計画変更年度平成 29 年度 計画主体 筑紫野市 筑紫野市鳥獣被害防止計画 < 連絡先 > 担当部署名所在地電話番号 F A X 番号メールアドレス 筑紫野市環境経済部農政課筑紫野市二日市西一丁目 1 番 1 号

国産粗飼料増産対策事業実施要綱 16 生畜第 4388 号平成 17 年 4 月 1 日農林水産事務次官依命通知 改正 平成 18 年 4 月 5 日 17 生畜第 3156 号 改正 平成 20 年 4 月 1 日 19 生畜第 2447 号 改正 平成 21 年 4 月 1 日 20 生畜第 1

イノシシ捕獲数の推移 イノシシの分布 8 凡例作成 3-13 個体数変動の推定 増加個体数 変数=増加個体数 4 個体数推定の結果 イノシシ 89 12度までの捕獲数を用いて全国の個体数推定 を行ったところ 全国のイノシシの個体数は で89万頭 12度末 となった

目 次 1 被害状況 (1) 農作物被害の推移 1 (1) 人身被害 1 2 捕獲状況 (1) 捕獲数の推移 2 (2) 狩猟捕獲の状況 3 (3) 被害防止捕獲の状況 4 3 防護柵の設置状況 (1) 防護柵設置延長の推移 5 (2) 防護柵の維持管理 6 4 生息地における取組状況 6 5 モニ

人材登録に必要な実績について Q1: 人材登録されるために必要な実績は? A: 分野ごとの必要な実績は以下のとおりです ( 詳細は募集要項をご覧ください ) 鳥獣保護管理プランナー次のア ) イ) のいずれかについて 鳥獣保護管理に関する計画の策定や見直し等に関する経験年数の合計が 5 年以上あると

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

Microsoft Word doc

☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域対象鳥獣イノシシ ニホンジカ ヌートリア アライグマ ハシブトガラス ハシボソガラス ( 以下 カラス類 と言う ) ツキノワグマ ニホンザル カワラバト キジバト ( 以下 ハト類 という ) アオサギ ダイサギ( 以下 サギ類 という ) 計画

秋子割合 現状評価と課題の整理 市内のイノシシ対策の現状を評価し, 課題を整理するため, 地理情報分析および捕獲状 況分析を行った ( 資料編参照 ). 1 地理情報分析による評価集落単位の各種行政資料 ( 捕獲情報, 防護柵設置状況, 市民からの要望など ) について, 地図上での分析 ( 地理情

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

<819A837D836A B8E6292E894C F4390B3816A2E786477>

(2) 丹沢におけるニホンジカ保護管理 ( 第 3 次神奈川県ニホンジカ保護管理計画 ) 計画期間 平成 24 年 4 月 1 日 ~ 平成 29 年 3 月 31 日 計画対象区域 保護管理区域 : 丹沢山地を含む 8 市町村 ( 相模原市は緑区のうち一部 ) 分布拡大防止区域 : 丹沢山地周辺部

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

地方消費者行政強化作戦 への対応どこに住んでいても質の高い相談 救済を受けられる地域体制を整備し 消費者の安全 安心を確保するため 平成 29 年度までに 地方消費者行政強化作戦 の完全達成を目指す < 政策目標 1> 相談体制の空白地域の解消 全ての市町村に消費生活相談窓口が設置されており 目標を

政策評価書3-3(4)

< F2D D F97D18F57978E B8367>

<4D F736F F F696E74202D20907A964B82B382F1939D8D B81698C51946E8CA7816A2E >

PowerPoint プレゼンテーション

人 3,500 3,000 狩猟登録者数の推移 3,241 3,180 3,202 3,247 3,373 合計 網 わな 銃 2,500 2,000 1,843 1,845 1,910 1,965 2,100 1,500 1,000 1,398 1,335 1,292 1,282 1,273 50

(別記様式第1号)

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第7次地方分権一括法)の概要

実施計画の参考様式(この様式については、決定したものではありません

4 有害鳥獣捕獲マイスター等による捕獲技術の向上 ( 農林事務所 猟友会 ) わな猟免許新規取得者を対象に有害鳥獣捕獲マイスター等による捕獲技術研修 実地指導を実施 (6 農林事務所で 8 回実施計 147 人受講 ) 2 捕獲の強化 (1) ニホンジカの捕獲強化 ( 猟友会委託 ) 指定管理鳥獣捕

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域イノシシ ニホンジカ 中獣類 ( ハクビシン アライグマ そ対象鳥獣の他狩猟獣 ) カラス類 ( ハシブトガラス ハシボソガラス ) カモ類 ニホンザル ツキノワグマ計画期間平成 29 年度 ~ 平成 31 年度対象地域福井市 2. 鳥獣による農林

京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

様式 2 作成年度 平成 28 年度 森林整備加速化 林業再生基金変更事業計画書 区分 : 強い林業 木材産業構築緊急対策 区分 : 林業成長産業化総合対策 福井県

福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律 について <1. 特定復興再生拠点区域の復興及び再生を推進するための計画制度の創設 > 従来 帰還困難区域は 将来にわたって居住を制限することを原則とした区域 として設定 平成 29 年 5 月復興庁 地元からの要望や与党からの提言を踏まえ 1 帰還困難区

市街化調整区域の土地利用方針の施策体系 神奈川県 平塚市 神奈川県総合計画 神奈川県国土利用計画 平塚市総合計画 かながわ都市マスタープラン 同地域別計画 平塚市都市マスタープラン ( 都市計画に関する基本方針 ) 平塚都市計画都市計画区域の 整備 開発及び保全の方針 神奈川県土地利用方針 神奈川県

(様式第1号)

公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

3_意見募集の結果

29jisshikeikaku

介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F D B4C8ED294AD955C8E9197BF E894A8AFA8B7982D191E495978AFA82C982A882AF82E996688DD091D490A882CC8BAD89BB82C982C282A282C4816A48502E646F63>

寄附文化の醸成に係る施策の実施状況 ( 平成 26 年度に講じた施策 ) 別紙 1 < 法律 制度改正 > 総務省 ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 特例控除の上限の引上げ

目 次 1 林地台帳の公表 情報提供 1-1 公表 情報提供の範囲 1-2 公表の方法 1-3 情報提供の方法 2 林地台帳の修正 更新 2-1 修正申出の方法 2-2 情報の修正 更新手順 3 林地台帳管理システム 3-1 管理システムの機能 3-2 林地台帳情報と森林資源情報の連携 4. 運用マ

01 【北海道】

●アレルギー疾患対策基本法案

5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し これを適確に実施する こと ( 輸送の安全に関する目標 ) 第 5 条前条に掲げる方針に基づき 目標を策定する ( 輸送の安全に関する計画 ) 第 6 条前条に掲げる目標を達成し 輸送の安全に関する重点施策に応じて 輸送の安全を確 保

(Microsoft Word - \201\2403-1\223y\222n\227\230\227p\201i\215\317\201j.doc)

鳥獣による被害及びその防止の取組の実態調査_参考資料

厚生労働省告示第六十四号中小企業等経営強化法平成十一年法律第十八号第十二条第一項の規定に基づき職業紹介事業 ( ) 労働者派遣事業分野に係る事業分野別指針を次のように定めたので同条第五項の規定に基づき公 表する平成三十一年三月十四日厚生労働大臣根本匠職業紹介事業 労働者派遣事業分野に係る事業分野別指

参考資料1 マルハナバチに関する調査の結果概要(前回資料)

( 参考資料 ) ( 注 ) 鳥獣被害の現状と対策 ( 平成 28 年 3 月農林水産省 ) から抜粋 1

Microsoft Word - 【外務省】インフラ長寿命化(行動計画)

県医労.indd

<81798DC58F498CB48D65817A8A C55F B91E693F18EED93C192E892B98F628AC7979D8C7689E62E786C7378>

PowerPoint プレゼンテーション

技術体系の紹介 : 1.ICT による檻罠の遠隔監視 操作システム クラウドまるみえホカクン 加害獣の集中的な捕獲による密度低下や頭数削減のため 大型の檻 罠が普及しています これらの捕獲効率を向上させるための遠隔監視 操作システムを開発しました ( 図 1 2) 檻をカメラで監視し インターネット

激甚災害制度について

頭数が多く 人慣れも進んだサル群 柵を設置できない河川から侵入するシカ 技術体系の紹介 : 1.ICT による檻罠の遠隔監視 操作システム クラウドまるみえホカクン 加害獣の集中的な捕獲による密度低下や頭数削減のため 大型の檻 罠が普及しています これらの捕獲効率を向上させるための遠隔監視 操作シス

区分

イノシシH30年度別計画(資料編)

PowerPoint プレゼンテーション

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

-3- に係る特例の期限の延長のほか 捕獲等をした鳥獣の食品とし年三月に鳥獣被害防止特措法の一部が改正された さらに 平ての利用等の促進を図ること等を目的とした改正も行われたと成二十六年十一月には 特定鳥獣被害対策実施隊員(鳥獣被害ころである 防止特措法附則第三条第一項に規定する特定鳥獣被害対策実施

全国のニホンジカ及びイノシシの生息分布拡大状況 ニホンジカは昭和 53 年度から平成 26 年度までの36 年間で生息分布が約 2.5 倍に拡大 イノシシは昭和 53 年度から平成 26 年度までの36 年間で生息分布が約 1.7 倍に拡大 出典 : 全国のニホンジカ及びイノシシの生息分布拡大状況調

参考資料 1 野生鳥獣肉の衛生管理に関するガイドライン 平成 26 年 5 月 鳥獣保護法の改正に伴い 今後 野生鳥獣の捕獲数が増加し 食用としての利活用が増加する見込みであり 食用に供される野生鳥獣肉の安全性の確保を推進していく必要がある 1 1 平成 26 年 5 月 22 日参議院環境委員会附

OB140418大森法人ニュースVol 月_PDF納品用

( 別記様式第 1 号 ) 計画作成年度 平成 27 年度 計画変更年度 平成 29 年度 計画主体 飯能市 飯能市鳥獣被害防止計画 < 連絡先 > 担当部署名産業環境部農林課所在地飯能市大字双柳 1 番地の 1 電話番号 F A X 番号 メール

「諸外国の大学教授職の資格制度に関する実態調査」1

未来投資戦略2018(PFI関連部分抜粋)

Microsoft Word _研修機関等認定要領

農業だより

農業委員会法改正の全体像 農業委員会が その主たる使命である 農地利用の最適化 ( 担い手への集積 集約化 耕作放棄地の発生防止 解消 新規参入の促進 ) をより良く果たせるようにする 農業委員会 都道府県農業会議 全国農業会議所 農業委員会業務の重点化 農業委員会の業務の重点は 農地利用の最適化の

アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

平成30年度事業計画書(みだし:HP用)

Transcription:

抜本的な鳥獣捕獲強化対策 平成 25 年 12 月 26 日環境省農林水産省

はじめに 近年 ニホンジカやイノシシなどの鳥獣において 急速な個体数増加や 分布拡大が起きている 環境省が捕獲数等の情報をもとに個体数 1 を推定 したところ ニホンジカ ( 北海道を除く ) は 261 万頭 2 イノシシは 88 万頭と推定されている ( いずれも平成 23 年度 ) 鳥獣による被害は 農林水産業に留まらず 生態系 生活環境など広い 範囲に及んでおり また 拡大傾向にある 農作物の被害総額は 200 億円 前後で推移しており 数字に現れない被害としても 営農意欲の低下や耕作放棄地の増加などが深刻な状況となっている 森林においては 年間 9 千 ha を超える被害があり 植栽木の食害や剥皮被害は 林業における生産コストを増加させるなど 林業経営意欲の減退を招いている また 希少植物をはじめとする下層植生の消失や植生の単純化等が進み 多くの生物の生息環境を劣化 減少させ 生物多様性の維持に支障をきたすおそれがあるほか 森林が持つ国土保全機能等の低下が懸念される状況となっている また 水産業においても有用魚種の食害等の被害が深刻である 3 このような中 ニホンジカ ( 北海道除く ) については 現在の捕獲率を維持した場合 平成 37 年度にはほぼ倍の 500 万頭まで増加する可能性があり 農林業や生態系にさらに激甚な被害をもたらすおそれがある このような事態に緊急的に対処するため 被害を及ぼしている鳥獣の個体数の削減に向けて目標を定め 抜本的な鳥獣捕獲対策を集中的に実施することとする さらに 抜本的な捕獲対策を展開するための捕獲従事者の育成 確保や 被害防止のための取組も併せて推進する 1 本文中 環境省が公表した推定値として示している数値は 推定の中央値である 2 北海道については道独自の推定により平成 23 年度の個体数は約 64 万頭とされている 3 推定個体数に対する捕獲個体数の割合 捕獲目標の設定 当面の捕獲目標 ( 全国レベル ) の設定 抜本的な捕獲対策の推進にあたっては 個体数の把握と鳥獣管理の目指すべき姿を明らかにすることが必要である 一方 鳥獣の個体数の正確な把握や 地域の状況や時代のニーズを踏まえた適正な個体数を明らかにすることは非常に難しい このため 本年 8 月に環境省が行った全国レベルの個体数推計結果を基に ニホンジカ イノシシについては まず当面の目標として 10 年後 ( 平成 35 年度 ) までに個体数を半減させることを目指すこととし 概ね5 年後に捕獲対策の進捗状況を確認 1

し必要に応じて見直しを行うこととする 具体的には 本州以南のニホンジカは 現状の 261 万頭 ( 平成 23 年度推定値 ) を平成 35 年度までに半減 北海道については 第 4 期エゾシカ保護管理計画に基づき平成 28 年度に 38 万頭まで減少させることを目指す また イノシシについては現状の 88 万頭 ( 平成 23 年度推定値 ) から平成 35 年度に 50 万頭まで減少させることを目指す 目標達成のため 本州以南のニホンジカについては平成 23 年度実績 (27 万頭 ) の2 倍以上の捕獲を全国で行うことを目標とする また 北海道のニホンジカは 既に推定個体数の2 割以上の捕獲が行われていること 個体数が減少していることから 当面 現行の捕獲対策を推進する イノシシについては 平成 23 年度において自然増加数を上回る捕獲 (39 万頭 ) が行われていると考えられることから 同程度以上の捕獲を全国で行うことを目標とする ニホンジカについては 都道府県別の捕獲目標の試算 提示 都道府県レベルで個体数の推計を行い 都道府県別の捕獲目標を設定することが重要である 推定に用いるデータの整理 追加を早急に進める必要があること 全国的に同様の手法での推定が重要であることから 国が緊急的に 推定に必要な初期情報の収集 調査 都道府県レベルの個体数の推定及び捕獲目標の試算 結果の公表を行うとともに 都道府県への推定手法の普及を推進する 都道府県による計画的な捕獲の推進 都道府県による捕獲目標の設定 捕獲状況の速やかな把握 目標の達成状況の評価 必要に応じた目標の見直しが推進されるよう支援等を行う 捕獲目標達成に向けた捕獲事業の強化 都道府県による捕獲 ( 個体数調整 ) の強化及び支援 個体数調整を積極的に推進するため 鳥獣保護法に基づく管理のための捕獲事業の制度化及び支援策を検討する 鳥獣保護法改正後に都道府県が円滑かつ効率的に捕獲事業を行う際のモデルとなるよう 先行的な捕獲に取り組む 都道府県が行う管理のための捕獲事業が円滑かつ効率的に実施されるよう 安全性を確保した上で現在禁止されている夜間の銃による捕獲を可能とするなどの規制緩和を行う 2

市町村による捕獲 ( 有害捕獲 ) の強化 鳥獣被害防止特措法により市町村が定める被害防止計画に基づき 地域ぐるみによる鳥獣の捕獲等の的確な実施を推進する 被害を及ぼす鳥獣の更なる捕獲数増大に向けて 平成 24 年度補正予算 鳥獣被害防止緊急捕獲等対策 による集中的な緊急捕獲活動や ICT 等を用いた大量捕獲技術の導入等による取組の高度化を推進する 特に 緊急捕獲活動の実施においては 25 年度中から ニホンジカやイノシシなどが出産期を迎える前の春先に集中的な取組を推進することにより 効率的な対策を推進する 捕獲の促進にも資するよう 侵入防止柵の整備に当たっては ICT を活用したわな等との一体的な整備を推進するとともに 出口対策としての処理加工施設の整備を推進する 国有林内における捕獲の円滑化を推進するとともに 新たな捕獲技術の提供 普及を図る 国立公園 国指定鳥獣保護区における捕獲の強化 国立公園 国指定鳥獣保護区において ニホンジカ個体数の管理計画に基づき 先進的な捕獲手法も導入した科学的かつ効果的な捕獲を順応的に実施する 捕獲事業を支える従事者の育成 確保 専門事業者の育成 ニホンジカ等の捕獲を行う事業者を認定する制度を創設し 認定事業者の業務の円滑な実施のために捕獲許可手続きの簡素化を行うことを検討する 狩猟者の確保 農業高校等の生徒の在学中または卒業直後の就職時の狩猟免許取得や 地域ぐるみの捕獲に携わる若者の狩猟免許取得等が可能となるよう わな猟及び網猟の免許取得年齢 ( 現 20 歳以上 ) の引き下げを検討する 狩猟免許所持者の減少を食い止め 免許所持者数を現状水準で維持するため 狩猟フォーラムの開催による狩猟免許取得の促進や 狩猟免許所持者の技能向上に向けた研修会の開催等を行う 鳥獣被害対策実施隊の増加 捕獲等の活動を担う鳥獣被害対策実施隊の設置数について 現行の 674 から早急に 1,000 に増加させるため 鳥獣被害対策実施隊設置が少ない地域や進捗に遅れが見られる地域を対象とした設置促進に向けた督励訪問活動等を実施する 3

効果的な活動が行われるよう 鳥獣被害対策実施隊の体制強化に向けて 農業者団体等民間団体による実施隊活動への積極的な参画を促進する 鳥獣被害対策実施隊員等について 被害を及ぼす鳥獣の捕獲活動に必要とされる狩猟免許や銃所持許可の取得を促進する 地域ぐるみの捕獲の担い手確保 地域ぐるみでの捕獲推進モデル地域において 捕獲体制の整備や捕獲技術の向上等を図ることにより 地域における担い手確保及び捕獲の推進を図る 射撃場の整備 鳥獣被害対策実施隊員や有害捕獲従事者の確保と射撃技術の向上を図る観点から 野生鳥獣の捕殺圧の向上及び個体数の抑制に必要となる射撃場の整備を推進する その他関連施策 ( 被害防除や生息環境管理等の推進 ) 市町村等における総合的取組 被害防止計画に基づく 市町村を中心とした地域ぐるみの総合的な被害防止活動として実施する侵入防止柵の整備や追い払い活動等の 被害防除 耕作放棄地等の鳥獣のエサ場や隠れ場所の刈り払い 緩衝帯の設置等の 生息環境管理 を推進する 市町村や都道府県の行政区域を超えて広域に移動する鳥獣に対応するため 関係者で構成される広域活動組織や 複数の市町村の連携による追い払い等の被害防除等の取組を推進する 捕獲した鳥獣を食肉等地域資源として有効活用するための処理加工施設の設置や 商品の開発 販売 流通経路の確立など販売面の強化を目指す取組等 食肉としての利活用を推進する 森林における生息環境管理等 国有林における防護柵の設置や くくりわな等による捕獲の実施に加え シャープシューティング等高度な捕獲技術の実証等の取組を推進する 森林整備事業( 公共 ) において 広葉樹の植付等の生息環境の整備に加え パッチディフェンス等の高機能な防護柵の設置 ニホンジカ監視施設の整備 被害森林におけるニホンジカ等の誘引捕獲 処分等の取組を推進する 国立公園 国指定鳥獣保護区における被害防止対策の拡大 国立公園 国指定鳥獣保護区において深刻化している生態系の劣化に 4

対する緊急的または予防的な対策として ニホンジカの侵入を防ぐ柵の整備等を推進し 高山植物群落等の貴重な生態系の維持回復を図る 専門家の育成 科学的かつ効率的な鳥獣捕獲を推進するため 都道府県職員等を対象とした講習会の開催や 鳥獣保護管理に係る人材登録事業の運用等を通じて 専門家の育成を図る 国民理解の醸成 ホームページによる情報発信 狩猟フォーラム等における双方向の交流等を通じ 深刻化している鳥獣被害の実態について情報提供を行う また 被害防止マニュアルの配付による知識の普及や食肉としての利活用の推進を通じた普及啓発を図るなど 鳥獣被害対策の意義 重要性について国民各層の理解を深めるための取組を推進する 関係省庁連携のもとでの対策の推進 農林水産業 地域の活力創造プラン ( 平成 25 年 12 月 10 日農林水産業 地域の活力創造本部決定 ) に基づき 農林業や生態系等に深刻な被害を及ぼしている鳥獣の捕獲目標を設定し捕獲の強化を図るなど 関係府省の連携により一層効果的な対策を推進することについて 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止及び鳥獣の保護管理に関する関係省庁連絡会議 の構成員である各省庁の了解のもとで実施する ニホンジカ イノシシ以外の農林水産業 生態系 生活環境等に被害を及ぼしている鳥獣についての有効な対策や 捕獲の担い手の負担軽減に向けた諸課題について 関係省庁による連携のもと 引き続き検討を進める 5