輸出国における農薬等の使用状況等に関する調査 (NIHS) ( 平成 17 及び 18 年度調査 ) V 各国における食品中の残留農薬検出状況 (1) 外国の食品 ( 輸入及び国産 ) 中の残留農薬の検出状況と日本の検出状況から今後注目すべき品目 / 農薬を検討することを目的とし 各国における食品中

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インド 12 3 エビ イカ オーストラリア 13 3 マグロ エビ フィリピン 14 1 マグロ カツオ エビ アイスランド 15 1 その他の魚 ハリバット 魚卵 スペイン 16 1 マグロ タコ マルタ 17 1 モロッコ 18 1 タコ イカ モーリタニア 19 1 タコ ニュージーランド

2. 小麦 ( 試料数 :46 検体 ) 分析試料 濃度範囲 アゾキシストロビン イミダクロプリド エトフェンプロックス クレソキシムメチル ジフルフェニカン

せながら検討する必要がある 1. 検査結果の各項目における傾向 2002~2005 年の輸入時検査の項目 ( 検査年 原産国 食品 農薬が同じデータセット ) は 肉や魚及びその加工製品を除くと全部で 2,795 項目あった 但し ここに収載されている項目はいずれも検出件数が少なくとも 1 件以上あ

地域別世界のエアコン需要の推定について 年 月 一般社団法人 日本冷凍空調工業会 日本冷凍空調工業会ではこのほど 年までの世界各国のエアコン需要の推定結果を まとめましたのでご紹介します この推定は 工業会の空調グローバル委員会が毎年行 なっているもので 今回は 年から 年までの過去 ヵ年について主

国民 1 人当たり GDP (OECD 加盟国 ) ( 付表 2)OECD 加盟国の国民 1 人当たりGDP(2002~2009 年 ) 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 1 ルクセンブルク 58,709 ルクセンブルク 59,951 ルクセンブルク 64,016 ルクセンブル

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2017 年訪日外客数 ( 総数 ) 出典 : 日本政府観光局 (JNTO) 総数 2,295, ,035, ,205, ,578, ,294, ,346, ,681, ,477


表 1 種類及び品目数 分類検体数品目数内訳 ( カッコ内は検体数 ) 野菜 果実 生鮮 冷凍 計 214 生鮮 冷凍 乾燥 11 7 アーティチョーク (1) アスパラガス(17) インゲン(1) エダマメ(1) エンダイブ (3) オクラ(10

2. しゅんぎく ( 試料数 :60 検体 ) 分析試料 以上の結果 濃度範囲 基準値を越える アセタミプリド ~ アゾキシストロビン ~ イソキサチオン エマメクチン安息香

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)結果の推移

銅地金輸入 ( その2) HS モンゴル 0 0 ラオス 0 0 イラン 0 0 オマーン 0 0 ウズベキスタン 0 0 ノルウェー 0 0 ポーランド 0 0 コンゴ共和国 0 0 コンゴ民主共和国 0 0 タンザニア 0 0 モザンビーク 0 0 ジンバブエ 0 0 ニ

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国際会議等への参加のために行った受入れ状況

1. 世界における日 経済 人口 (216 年 ) GDP(216 年 ) 貿易 ( 輸出 + 輸入 )(216 年 ) +=8.6% +=28.4% +=36.8% 1.7% 6.9% 6.6% 4.% 68.6% 中国 18.5% 米国 4.3% 32.1% 中国 14.9% 米国 24.7%

米で使用割合が多かった農薬は 多い順に Bisultap( 殺虫剤 ) ブタクロール( 除草剤 ) Monosultap( 殺虫剤 ) トリアゾホス( 殺虫剤 ) であった Bisultap 及び Monosultap は合わせると使用量全体の 20% 以上であったが 日本ではあまり知られていない農

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参考:労働統計機関一覧|データブック国際労働比較2018|JILPT

図 1 生徒の科学に対する態度 (2006 年 2015 年 ) ( 項目例 ) 科学の話題について学んでいるときは たいてい楽しい 科学についての本を読むのが好きだ 図 1 生徒の科学に対する態度 2 科学の楽しさ 指標 の変化 ( 項目例

表 1. 実施件数 ( 単位 : 件 ) 対象国産 対象国以外産 計 野菜類 果実類 食肉 計 米国 カナダ オーストラリア及びニュージーランド 表 2. 実施件数 ( 単位 : 件 ) 対象国産 対象国以外産 計 野菜類 5

食品群別栄養素等摂取量 - 食品群 栄養素別 摂取量 - 総数 歳 E B 1 B 2 C 飽和一価不飽和 n-6 系 n-3 系脂肪酸脂肪酸脂肪酸脂肪酸 mg g 総量 水溶性 不溶性 μgre 1 μg mg 2 μg mg mg mgne 3 mg μg μg mg mg mg g

資料5 TIMSS2007関連資料

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

4. まとめ 4.1 食事摂取量に関する調査について各国における食事摂取量に関する調査の比較結果は表 4-1 に示すとおりである EU 各国の場合 現時点で確認可能なデータは 2005 年 ~2011 年に実施された調査結果である EU のガイドラインが提示されたのは 2009 年であることから 当

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コンピュータ使用型調査について 情報通信技術 (ICT) を切り離すことができない現代社会にあって生徒の知識や技能を活用する能力を測るため また よりインタラクティブで多様な文脈の問題を提示するため コンピュータ使用型調査に移行された 科学的リテラシーのみ シミュレーションが含まれた新規問題を出題し

3. 結果 (1) 検体今回実施した調査で使用した検体の内訳は表 1 及び表 2 のとおりである 表 1. 実施件数 ( 単位 : 件 ) 対象国産 対象国以外産 計 野菜類 果実類 食肉 計 米国 カナダ オーストラリア及びニュー

アジア/世界エネルギーアウトルック 2013

表 1 検査対象 144 農薬 ( 平成 26 年度 ) GC 項目 :103 LC 項目 :41 EPN ジフェノコナゾール ビフェントリン フルミクロラックペンチル アゾキシストロビン テブチウロン アクリナトリン シフルトリン ピラクロホス プロシミドン イマザリル テブフェノジド アジンホス

1999

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~ メディケア食品 原料原産地情報の公開 ~ マルハニチロ株式会社では 東京都消費生活条例の規定により メディケア食品に使用している主な原材料の産地についてホームページでご案内しております 商品の主な原材料である 魚介類 肉類 野菜 果実類 等 また商品の名前として使用している原材料 ( 副原料 調

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主食豆類 青果類 学校給食使用の産地について 熊谷市産キヌヒカリ パン麺 ごま パラグアイ パラグアイえのきたけ じゃがいも 長崎 もやし ( フ ラックマッヘ ) にんじん 青森 おくら 鹿児島 玉ねぎ 佐賀 さやいんげん 白菜 長崎 鹿児島 レタス ピーマン エリンギ 新潟 大根 青森 とうがら

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サポートされている国番号

項目 薬剤耐性 (AMR) 対策アクションプランについて 耐性菌の基礎知識 薬剤耐性モニタリング (JVARM) の成績 コリスチン耐性について 薬剤耐性菌のリスク分析 動物用医薬品の慎重使用について 2

表 1-2. コーデックスガイドライン (Codex Guidelines)2018 年 2 月現在 78 ガイドライン コーデックスガイドラインは 食品の安全性 品質 取込み可能性を確実にするために 証拠に基づいて 情報と助言を推奨手順と同時に提供するものである ガイドラインタイトル策定 部会 最

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ほうれんそう 県内計 , 北海道 40 39, 栃木 , 長野 58 39, 岐阜 5,885 4,559, 愛知 ,

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1 我が国の農産物輸入等の動向 (1) 概観 ( 海外依存を高めた我が国の食料供給 ) 我が国の農産物輸入は 2000 年を100として 1960 年の15.7から2015 年には165.3まで 金額ベースで10.5 倍と大幅に増加している 多様な食生活が実現される中 需要が拡大した畜産物や油脂類の

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2017 電波産業調査統計

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V 各国における食品中の残留農薬検出状況 (1) 外国の食品 ( 輸入及び国産 ) 中の残留農薬の検出状況と日本の検出状況から今後注目すべき品目 / 農薬を検討することを目的とし 各国における食品中の残留農薬モニタリング調査報告書等について調査した 1. 各国の残留農薬モニタリング報告の情報源調査残留農薬モニタリング調査を毎年定期的に行ない 結果をホームページで公表している国 / 機関の URL を表 V-1 に示した いずれも北米及び欧州の国であるが これらの資料は英語で記載されているかもしくは英語の概要 / 表等が添付されているものである この他 ブラジル ( ポルトガル語 ) や韓国 ( 韓国語 ) の調査結果も web に掲載されている モニタリング調査報告は毎年追加 更新され また これまで提供していなかった機関が新たにホームページで提供開始することもあることから こうした情報の更新に随時対応できるように国立医薬品食品衛生研究所のホームページにリンク集を作成した (http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/pest/monitor-link.html) 表 V-2 は各国の残留農薬モニタリング報告の概要をまとめたものである 日本の結果と直接比較可能なデータ項目 ( 原産国 検査件数 検出件数 違反件数など ) が揃っていて かつ 全体の検査件数が多い国は米国及びカナダであった 2. 各国の残留農薬モニタリング報告 (1) 米国米国では 農薬の登録 使用基準及び残留基準 (tolerance) の設定は米国環境保護庁 (EPA) が行っており 食品中の残留モニタリング調査は米国食品医薬品局 (FDA) が実施している 但し 食肉 家禽及び一部の卵製品については 米国農務省 (USDA) の食品安全検査局 (FSIS) が基準の設定やモニタリング調査を行っている FDA は 国産及び輸入食品における EPA の基準 (tolerance) の遵守状況を監視するための規制モニタリング (regulatory monitoring) を毎年行っている また 年ごとに特定の品目や農薬に焦点をあてて農薬の残留状況を調査する特別のモニタリング (incidence/level monitoring) 及びトータルダイエットスタディ (TDS) を実施している この他 FDA の CVM(Center for Veterinary Medicine) が国産及び輸入動物飼料中の残留農薬を検査している また USDA の農業市場流通局 (AMS) は 1991 年以降 関係州と協力し 生鮮農作物及び各種加工食品中の残留農薬検査を実施している FSIS 及び AMS の報告は FDA の報告とは独立して公表されるが ここで違反例が出た場合は FDA に通知される ( 参考資料 :FDA HP 及び米国大使館 HP http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-j20060324-50.html) 1

表 V-1 各国における食品中の残留農薬等モニタリング調査報告 国名提供機関 / 部署タイトル URL 概要 米国 FDA ( 食品医薬品局 ) FDA Pesticide Program Residue Monitoring 1993-2003 http://www.cfsan.fda.gov/~dms/pesrpts.html USDA ( 農務省 ) National Residue Program Data - Red Book http://www.fsis.usda.gov/science/2003_red_book /index.asp 1993~2003 年 食品中の残留農薬 1996~2003 年 食肉製品等の残留動物用医薬品 農薬等 カナダ CFIA ( 食品検査局 ) The National Chemical Residue Monitoring Program - Chemical Residue Reports http://www.inspection.gc.ca/english/fssa/microch em/ncrmpe.shtml 1994/1998~2004/2005 年 植物及び動物由来食品中の農薬 動物用医薬品 汚染物質など EU ( 欧州連合 ) FVO ( 食品獣医局 :Food and Veterinary Office) Pesticide Monitoring Reports http://ec.europa.eu/food/fvo/specialreports/pesti cides_index_en.htm 1996~2003 年 EU ノルウェー アイスランド リヒテンシュタインにおける植物由来製品中の残留農薬 英国 PRC (Pesticide Residues Committee) VRC (Veterinary Residues Committee) PRC Annual and Quarterly Surveillance Reports Annual Report on Surveillance for Veterinary Residues in Food in the UK スウェーデン National Food Administration The Swedish Monitoring of Pesticide Residues in Food of Plant Origin http://www.pesticides.gov.uk/prc.asp?id=959 http://www.vet-residues-committee.gov.uk/ http://www.slv.se/templates/slv_reportlist.aspx?id=8608 2000~2005 年 食品中の残留農薬 2001~2004 年 食品中の動物用医薬品 2000~2004 年 植物由来食品中の残留農薬 Examination of Residues in live animals and animal products http://www.slv.se/templates/slv_reportlist.aspx?id=7075 1999~2004 年 動物及び動物由来製品中の残留物質 ( 動物用医薬品 農薬 重金属 カビ毒等 ) ドイツ アイルランド BVL ( 消費者保護食品安全庁 ) Department of Agriculture and Food ( 農業食料省 ) Nationale Berichterstattung Pflanzenschutzmittel-Rückstände (National Report of Pesticide Residues) http://www.bvl.bund.de/cln_027/nn_493682/de/0 2002~2004 年 食品中の残留農薬 1 Lebensmittel/01 Sicherheit Kontrollen/05 NB PSM Rueckstaende/nbpsm rueckstaende node.html nnn=true (* 右側に各年次報告書へのリンク ) Pesticide Residues in Food http://www.pcs.agriculture.gov.ie/ppp.htm 2000~2004 年 食品中の残留農薬 デンマーク Danish Veterinary and Food Administration Pesticides. Food monitoring 1998-2003. Part 2. http://www.dfvf.dk/dwsdownload.asp?file=files%2ffi ler%2fpesticid%2fmonitoring%5f1998%2d2003%2epdf (*Publications 2005 のページからリンク ) 1998~2003 年 食品中の残留農薬 Danish Veterinary and Food Administration Chemical contaminants Food monitoring, 1998-2003. Part 1. http://www.dfvf.dk/dwsdownload.asp?file=files% 2FFiler%2FPublikationer%2FRapport%5FChemical%5 Fcontaminants%2Epdf 1998~2003 年 食品中の汚染化学物質 ( 微量元素 硝酸塩 有機環境汚染物質 カビ毒等 ) 2

国名提供機関 / 部署タイトル URL 概要 フィンランド Finnish Food Safety Authority (* 前 National Food Agency of Finland) Monitoring of Pesticides Residues in Foodstuffs of Plant Origin 2004 年報告 : http://www.palvelu.fi/evi/files/55_519_353.pdf (HP リニューアルに伴い変更 但し pdf ファイルの URL は変更なし ) 2000~2004 年 植物由来食品中の残留農薬 Results of residue examinations of products of animal origin in Finland 2003 年報告 : http://www.palvelu.fi/evi/files/55_519_319.pdf ( 同上 ) 2001~2003 年 動物由来食品中の残留物質 ( 動物用医薬品 環境汚染物質等 ) ノルウェー Norwegian Food Safety Authority Årsrapporter for overvåking av plantevernmiddelrester i mat http://www.mattilsynet.no/portal/page?_pageid=54,40083&_dad=portal&_schema=portal&navigation 1_parentItemId=2025&navigation2_parentItemId=20 25&navigation2_selectedItemId=2330&_piref54_400 88_54_40083_40083.artSectionId=2582&_piref54_40 088_54_40083_40083.articleId=23932 1996~2004 年各年次 植物由来食品中の残留農薬 Tertialrapporter for overvåking av plantevernmiddelrester i mat http://www.mattilsynet.no/publikasjoner/rapporter /mat/tertialrapporter_for_overv_king_av_plantevern middelrester_i_mat_23358 2003~2006 年 各年三半期 植物由来食品中の残留農薬 オランダ オーストラリア VWA( 食品消費者製品安全庁 ) Report pesticide residue monitoring results or the Netherlands (2004 年報告 ) http://www2.vwa.nl/portal/page?_pageid=35,15541 01&_dad=portal&_schema=PORTAL&p_file_id=1038 1 DAFF( 農業水産森林省 ) National Residue Survey Annual Reports http://www.affa.gov.au/content/output.cfm?objec tid=715e69e1-5c4b-4439-84a2091fe098ad6d 2001~2004 年 植物由来食品中の残留農薬 1998~2004 年 食品中の残留物質 ( 農薬 環境汚染物質 ) ニュージーランド NZFSA ( 食品安全局 ) Food Residue Surveillance Programme (2004/05 報告 ) http://www.nzfsa.govt.nz/publications/mediareleases/2005-10-18-frsp.htm 2003/04 2004/05 年 食品中の残留農薬 3

表 V-2 各国の残留農薬等のモニタリング調査報告書の概要 国モニタリング調査報告書の担当機関報告書の web 掲載状況分析対象 米国 FDA ( 食品医薬品局 ) 1993~2003 年 植物及び動物由来食品中の残留 農薬 カナダ CFIA ( 食品検査局 ) 1994/1998~2004/2005 年 植物及び動物由来食品中の残留 農薬及び動物用医薬品 収載内容 原産国 品目 農薬 検査件数 検出件数 検出率 違反件数 違反率など 原産国 品目 農薬 検査件数 検出件数 違反件数 EU( 欧州連合 ) FVO( 食品獣医局 ) 1996~2003 年 植物由来食品中の残留農薬 EU 加盟国 EFTA 加盟国の検査 結果のとりまとめ 内容 原産国の記載有 有 無 英国 PSD (The Pesticides Safety Directorate) 2000~2005 年 食品中の残留農薬 原産国 品目 農薬 検査件数 検出件数 検出濃度等 ( ただし 詳細は各四半期報告に記載 ) 有 ( ただし違反以外は各四半期報告に記載 ) オランダ VWA ( 食品消費者製品安全庁 ) 2002~2004 年 植物由来食品中の残留農薬 品目 農薬 検査件数 検出件 数 違反件数等 無 ( 違反の場合は記載 ) ドイツ BVL ( 消費者保護食品安全庁 ) 2002~2004 年 植物及び動物由来食品中の残留 農薬 スウェーデン NFA (National Food Administration) 1999~2004 年 ( 植物由来食品 ) 1998~2003 年 ( 動物由来食品 ) 植物及び動物由来食品中の残留農薬及び動物用医薬品 品目 農薬 検査件数 検出件数 違反件数等 品目 農薬 検査件数 検出数 違反件数 最大検出濃度等 無 ( 違反の場合は記載 ) 無 ( 違反の場合は記載 ) フィンランド National Food Agency ( 食品庁 ) 2000~2004 年 植物由来食品中の残留農薬 品目 農薬 検査件数 検出件 数 違反件数 最大検出濃度等 無 ( 違反の場合は記載 ) ノルウェー Norwegian Food Safety Authority ( 食品安全局 ) 1996~2004 年 植物由来食品中の残留農薬 原産国 品目 農薬 検査件数 検出件数 違反件数 検出濃度 等 オーストラリア NRS(National Residue Survey) 1998/1999~2004/2005 年 植物及び動物由来食品中の残留 農薬及び動物用医薬品 品目 / 農薬ごとに検査件数 検出件数 違反件数 有 無 ニュージーランド NZFSA( ニュージーランド食品安全局 ) 2003/04 2004/05 年 植物及び動物由来食品中の残留 農薬 品目 農薬 検出濃度等 無 アイルランド Department of Agriculture and Food 2000~2004 年 植物及び動物由来食品中の残留 農薬 原産国 品目 農薬 検出濃度等 有 4

FDA のホームページ (FDA Pesticide Program Residue Monitoring 1993-2003) に 1993 ~2003 年の報告書及びデータベースが掲載されている 年ごとに 報告書 (html 及び pdf ファイル ) とデータベース ( 圧縮ファイル exe ファイル ) が掲載されており データベースの圧縮ファイル (exe ファイル ) を開くと 原産国 品目 農薬 検査件数 検出数 検出率 違反件数 違反率 最大値などが収載された表になる これらのデータ項目は 日本の厚生労働省による検査結果のデータ項目とほぼ同じであり 絵容赦のデータを直接比較することが可能である FDA による食品中の残留農薬検査で検査した総数は 2002 年が 6,766 検体 2003 年が 7,234 検体で 内訳は以下のとおりである 年 2002 2003 検査件数 検査対象農薬 ( 実検出数 ) 検出されなかった検体の割合 検出率 違反率 国産 (39 州 ) 2,122 266 種 65.5% 33.7% 0.8% 輸入 (100 ヶ国 ) 4,644 (129) 70.4% 25.3% 4.3% 国産 (45 州 ) 2,344 360 種 62.7% 34.9% 2.4% 輸入 (99 ヶ国 ) 4,890 (144) 71.8% 22.1% 6.1% 輸入食品の原産国としては 2002 年及び 2003 年共に最も多いのがメキシコ 次いで中国であった この他 オランダ チリ カナダ ドミニカ共和国 スペイン グアテマラ エクアドル インド タイなどが多かった 規制モニタリング (regulatory monitoring) の検査対象農薬及び実際に検出された農薬の種類については 毎年の報告書に一覧が掲載されている この調査において違反や検出頻度の多かった品目 / 農薬については 次章 (V) で検討する 特別のモニタリング (incidence/level monitoring) については 2002 年は EPA との共同プロジェクトの一環として 子供がよく食べる果実及び野菜中の有機リン系農薬の残留を調査しており 10 種類の食品 ( りんご ブラックベリー にんじん クランベリー ぶどう ヘッドレタス オレンジ もも いちご トマト ) について分析している また 2003 年は 広く使用されているハーブ製品のひとつであるチョウセンニンジンについて調査している 検査対象は Panax 種のチョウセンニンジンで Asian ginseng(panax ginseng) American ginseng(panax quinquifolius L) である 主要な原産国からの輸入 bulk ginseng を 60 検体 国内販売されているチョウセンニンジンのダイエタリーサプリメント 83 検体を収集して検査した結果 BHC DCPA DDT キントゼン テクナゼン 2,3,5,6-テトラクロロアニリン ヘキサクロロベンゼン ペンタクロロベンゼン リンデンなど多くの種類の農薬で違反例がみられた (2) カナダ 5

カナダでは カナダ保健省 ( ヘルスカナダ ) 及びカナダ食品検査庁 (CFIA) が食品の安全を担当している 農薬の登録 食品への使用規制 MRL の設定は ヘルスカナダの PMRA (Pest Management Regulatory Agency) が行っており 食品中の化学物質モニタリングは CFIA の NCRMP(National Chemical Residue Monitoring Program) で行っている CFIA のホームページに 1994/1998~2004/2005 年 (Fiscal year) の化学物質モニタリング報告が掲載されている 2001/2002 年の報告以降は 植物由来及び動物由来製品に分けて掲載されている 検査対象物質には農薬の他に重金属などの汚染物質も含まれているため 調査結果の検討には農薬のみを抜粋した カナダでは ジチオカルバメート類と分けてエチレンビスジチオカルバメート類 (EBDC) の MRL を設定している CS2 法では EBDC だけを分けて分析できないことから EBDC の分析法として別の方法 ( エチレンジアミン (EDA) に変換 ) を用いている 以前は EDA はすべて EBDA に由来すると考えられていたが 現在は工業用品など他のソースからも EDA が生成する可能性があるとされ CFIA は 2002/2003 年以降の報告においては 元の物質にかかわらず EDA として別個測定している したがって本報告では カナダの調査結果 ( 農薬 汚染物質 カビ毒などの残留 ) から農薬のみを抜粋した際 EDA を農薬に含めていない 化学物質についての毎年の定期モニタリングは約 220,000 検体について行っている 検査対象は以下のとおりである 動物由来食品: 乳製品 卵製品 蜂蜜製品 肉製品 植物由来食品: 生鮮及び加工した果実及び野菜 メープルシロップカナダの検査結果には 日本の検査結果と同様のデータ ( 原産国 品目 農薬 検査件数 検出数 違反件数など ) が含まれており 米国 FDA のデータと共に日本の結果との直接の比較が可能であった カナダの調査で違反や検出頻度の多かった品目 / 農薬については 次章 (V) で検討する 日本の検査結果との比較には 2002/2003 年 2003/2004 年及び 2004/2005 年の結果から植物由来製品 ( 野菜 果実類 ) のデータを抜粋した 2,405 項目を用いた (3) EU( 欧州連合 ) EU では食品獣医局 (FVO: Food and Veterinary Office) が食品安全や動物及び植物衛生等を担当している FVO のホームページに 1996~2003 年の残留農薬調査報告書が掲載されている EU のモニタリング調査には 以下の 2 つのプログラムがある a) National Monitoring programmes EU の 15 の加盟国 (*1) 及び欧州経済領域 (EEA) 協定に調印した欧州自由貿易連合 (EFTA) 加盟国 (*2) は National Monitoring programmes の一環として 植物由来食品中の残留農薬モニタリング調査を行っている 2003 年には 全体で約 47,500 検体を分析している EU 加盟国は 519 種類の農薬につい 6

て検査を行い 検体の約 92% は生鮮 ( 冷凍を含む ) の果実 野菜 穀物で 約 8% が加工食品であった この割合は 2002 年とほぼ同じである 検体の 58% には残留農薬は検出されず 37% には EU もしくは各国レベルでの MRL 以下の農薬が検出された 全体の 5.1% の検体で MRL( 各国または EC の MRL) を超える農薬が検出された これらの割合も 2002 年とほぼ同じであった 殺菌剤は主に果実及び野菜に検出され 一方 穀物に最も多く検出されたのは殺虫剤であった *1(EU の 15 の加盟国 ): ベルギー デンマーク ドイツ ギリシャ スペイン フランス アイルランド イタリア ルクセンブルグ オランダ オーストリア ポルトガル フィンランド スウェーデン 英国 *2(EFTA 加盟国 ): ノルウェー アイスランド リヒテンシュタイン b) EU co-ordinated monitoring programme 年ごとに検査対象とする品目及び農薬を決めて調査を行っている 例えば 2002 年及び 2003 年は以下のとおりである 2002 年 対象品目(8 品目 ): 梨 バナナ 豆類 (beans) ばれいしょ にんじん オレンジ / みかん もも / ネクタリン ほうれんそう 対象農薬:41 種類 検体数:10,046 検体 ( すべての検体で 41 種類の農薬検査を行っているわけではない ) 2003 年 対象品目(8 品目 ): カリフラワー ピーマン パプリカ (sweet peppers) 小麦 なす (aubergines) 米 ぶどう きゅうり 豆類(peas) 対象農薬:42 種類 検体数: 約 8,600 検体 ( すべての検体で 42 種類の農薬検査を行っているわけではない ) EU の調査報告書には a) 及び b) のプログラム共に各年の検査結果が 国ごと 品目ごと 農薬ごとにまとめられており 別添には各国のデータ ( 品目 農薬 検査件数 検出数 違反件数など ) が記載されている 但し 食品の原産国は記載されていない 2002 年及び 2003 年の a) 及び b) のプログラムにおいて 全体として検出頻度が高いとしている国が多かった農薬は以下のとおりである 穀物: ピリミホスメチル マラチオン クロルメコート クロルピリホスメチル ジクロルボス デルタメトリン クロルピリホス グリホサート 野菜 果実マネブグループ ベノミルグループ クロルピリホス チアベンダゾール イプロジオン イマザリル エンドスルファン クロルメコート シプロジニル 7

オルトフェニルフェノール 2002 年及び 2003 年の EU co-ordinated monitoring programme で 違反率が高かった上位 5 位までの農薬 / 品目及び違反件数が多かった農薬 / 品目は以下のとおりである 違反率が高かった上位 5 位までの農薬 / 品目 2002 年マネブグループ ( ほうれんそう 豆類 (Beans)) ブロモプロピレート ( オレンジ / みかん ) ジコホール ( 梨 ) クロルピリホス ( 豆類 (Beans) オレンジ/ みかん ) イマザリル ( オレンジ / みかん ) 2003 年メソミル ( テーブルグレープ ピーマン パプリカ ) メチオカルブ ( ピーマン パプリカ なす ) メタラキシル ( ピーマン パプリカ ) メタミドホス ( ピーマン パプリカ ) ベノミルグループ ( ピーマン パプリカ きゅうり ) 違反件数が多かった農薬 / 品目 2002 年マネブグループ ( ほうれんそう ) ブロモプロピレート ( オレンジ ) 2003 年メソミル ( テーブルグレープ ) メチオカルブ ( なす ) メタラキシル ( ピーマン パプリカ ) (4) 英国英国の農薬の使用状況に関するモニタリングは PSD ( The Pesticides Safety Directorate) が行っており PSD のホームページに 現在 2000~2005 年の報告書が掲載されている 検査結果は四半期 (1~3 4~6 7~9 10~12 月 ) ごとにまとめて発表されるが 最終的には年次ごとにまとめた報告書が発表される データは 主に 4 つに分類される a) パン ミルク及びばれいしょ : 毎年実施 b) 主たる食品グループ : 野菜及び果実 シリアル及びシリアル食品 動物性食品 : 毎年変 8

わる c) EC 共通モニタリングプログラム : 通常は野菜及び果実 d) その他の調査 : ベビーフードなどの加工食品 ファーストフード 動物飼料 及び緊急に実施する特別調査等 2002 年は約 4,000 検体 / 年 2003 年は約 4,000 検体 / 年 2004 年は約 3,800 検体 / 年について検査を行った 違反がみられた品目 / 農薬については 原産国が表示されている 2002 年 2003 年及び 2004 年の検査で 違反 (> MRL) がみられた主な品目 / 農薬 ( 原産国 ) を表 V-3 に示した 英国で使用禁止の農薬に関する違反例としては 2002 年にはレタス / ビンクロゾリン 梨 / トリルフルアニド クロルメコート ばれいしょ / テクナゼン 2003 年にはレタス / オキサジキシル ばれいしょ / テクナゼン (EC-MRL 超過 ) ラズベリー/ ビフェントリン (EC-MRL 超過 ) 2004 年にはりんご / イプロジオン ばれいしょ / テクナゼン トマト / プロシミドンがあった 表 V-3 英国の検査で違反があった主な品目 / 農薬 年 品目 農薬 2002 年 アプリコット カルベンダジム ( スペイン ) クロルピリホス( 南ア ) チアベンダゾール( フランス ) セロリ アセフェート ( 米国 ) クロルピリホス( スペイン ) Green bean カルベンダジム及びジコホール ( エジプト ) クロロタロニル( スペイン ) クロルピリホス ( ケニア ) レタス 無機臭素化合物 ( 英国 ) プロパモカルブ( オランダ ) メロン アセフェート及びメタミドホス ( ブラジル ) ダイアジノン( ベネズエラ ) モモ メソミル ( 米国 ) チアベンダゾール( スペイン ) ほうれんそう アゾキシストロビン シペルメトリン メソミル ( スペイン ) トマト クロルメコート ( イタリア RASFF 収載により特別検査 ) ヤム カルベンダジム ( 南ア ブラジル ガーナ ) 2003 年 りんご ジメトエート ( ブラジル フランス ) アボカド ジチオカーバメート類 ( メキシコ ) カルベンダジム( 南ア ) おうとう カルベンダジム ( カナダ ) フェンバレレート( イラン ) ぶどう メソミル ( インド ギリシャ ) アセフェート( インド ) レタス 無機臭素化合物 ( 英国 ) アゾキシストロビン ( 英国 ) エンドスルファン ( ス ペイン ) ラズベリージコホール ( スペイン ) ビフェントリン ( 英国 ) 米無機臭素化合物 ( 米国 ) 9

2004 年りんごキャプタン ( アルゼンチン ) とうがらし ジメトエート ( 不明 ) オメトエート ( 不明 ) ジコホル ( ケニア ) カルベンダジ ム ( ヨルダン インド ) メタラキシル ( ヨルダン ) メタミドホス ( ヨルダン ケ ニア ) フェンバレレート ( ケニア ) カルボフラン ( ケニア ) ぶどう メソミル ( チリ サウジアラビア ) オメトエート ( チリ エジプト ) イマザリル ( トルコ ) ジメトエート ( エジプト ) クロルピリホス ( スペイン ) ピリミホスメ チル ( サウジアラビア ) 乳児用食品 ( 肉 クロルプロファム ( 不明 ) 卵 魚或いはチー ズを含む ) レタス 無機臭素化合物 ( 英国 ) エンドスルファン ( スペイン ) メタミドホス ( スペイ ン ) ジチオカルバメート( 英国 ) オート麦 クロルメコート ( 英国 ) 食用サヤ付豆 ジチオカルバメート ( グアテマラ ) 豆類 (Pulses) アセフェート ( 不明 ) メタミドホス( 不明 ) クレメンタイン ジフェニルアミン ( 南アフリカ ) ジメトエート( モロッコ ) みかん ジメトエート ( スペイン ) オメトエート( スペイン ) Speciality beans プロフェノホス ( ケニア キプロス 不明 ) ジチオカルバメート( ケニア ) ク ロルピリホス ( ケニア ) ジコホル( ドミニカ共和国 ケニア ) メトミル( ドミニ カ共和国 タイ キプロス ) ジメトエート( ケニア 不明 ) オメトエート( ケニ ア ) トリアゾホス( タイ ) シペルメトリン( キプロス ) いちご カルベンダジム ( モロッコ ) ピーマン メソミル ( 不明 ) トマト クロルメコート ( スペイン ) (5) オランダオランダでは残留農薬の管理は食品消費者製品安全庁 (VWA) が担当しており VWA のホームページに 2002~2004 年の残留農薬モニタリング報告が掲載されている 検査対象は 野菜 果実 穀類 乾物及び加工品 (2003 及び 2004 年はベビーフードを別途分類 ) である 報告書のまとめ方は EC 共通モニタリング調査の形式に準じており 品目 農薬 検査件数 検出数 違反件数等がわかる 食品が国産か輸入かの区別は記載されていないが EC-MRLs または national-mrls を超えたものについては原産国が記載されている 2004 年の検査結果において違反件数の多かった品目 ( 原産国 )/ 農薬は ぶどう ( イタリア )/ シプロジニル ( 違反 45 件 ) ぶどう( イタリア )/ キノキシフェン ( 違反 14 件 ) ペッパー ( タイ )/ メタミドホス ( 違反 13 件 ) みかん( スペイン )/ フェンチオン ( 違反 10 件 ) 10

ペッパー ( タイ )/ ジメトエート ( 違反 9 件 ) ぶどう( イタリア )/ ジメトモルフ ( 違反 7 件 ) であった 違反例がある項目数の多い農薬は カルベンダジム クロルピリホスエチル シプロジニル ジメトエート ジメトモルフ エンドスルファン イミダクロプリド イプロジオン メソミルなどであった (6) ドイツ消費者保護食品安全庁 (BVL) のホームページに 2002~2004 年の植物由来及び動物由来食品中の残留農薬モニタリング報告が掲載されている ( 大部分はドイツ語 ) 検査対象は 植物由来食品については 野菜 果実 穀類 乾物及び加工品 (2003 及び 2004 年はベビーフードを別途分類 ) 動物由来食品については 肉類 乳製品 卵製品等である 食品別に 検査件数 残留農薬が検出されなかった検体数 MRL 以下の農薬が検出された検体数 MRL を超えた検体数が掲載されている 食品が国産か輸入かの区別は記載されていないが EC-MRLs または national-mrls を超えたものについては原産国が記載されている 2004 年の検査結果において違反件数の多かった品目 ( 原産国 )/ 農薬は ペッパー ( スペイン )/ アセタミプリド ( 違反 60 件 ) ペッパー( トルコ )/ アセタミプリド ( 違反 40 件 ) テーブルグレープ ( トルコ )/ フルフェノクスロン ( 違反 33 件 ) アルグラ( イタリア 葉菜 )/ 総臭素 ( 違反 28 件 ) ペッパー( スペイン )/ ルフェヌロン ( 違反 27 件 ) いちご( スペイン )/ メパニピリム ( 違反 20 件 ) であった 違反例がある項目数の多い農薬は オキシデメトンメチル メタミドホス ルフェヌロン ジメトエート シプロジニル カルベンダジム 総臭素 アセタミプリドなどであった (7) アイルランド食品安全局 (FSAI:Food Safety Authority of Ireland) の同意のもとに 農業食料省 (Department of Agriculture and Food) が毎年 残留農薬モニタリング調査を行っている 農業食料省のホームページに 2000~2003 年の調査報告書が掲載されている 植物由来食品についての検査対象品目は食事としての重要性の比較的高い品目を選んで卸売り場で無作為に採取し検査を行う 穀類は ポストハーベストによる残留が生じると思われるものに重点をおいている 2003 年の調査における対象品目の選択で考慮されている点は EC により推奨されているもの アイルランド人の食事摂取パターン 以前のモニタリング結果における食品中の残留状況である (8) スウェーデン National Food Administration ののホームページに 植物由来食品 (1999~2004 年 ) 中の残留農薬及び動物 動物製品 (1998~2003 年 ) 中の残留農薬 動物用医薬品モニタリ 11

ング報告が掲載されている 植物由来食品の検査対象品目は 野菜 果実 穀類 乾物及び加工品で 国産か輸入かの区別はあるが原産国は記載されていない 但し EC-MRLs または national-mrls を超えたものについては原産国が記載されている EC 共通モニタリング調査の形式に準じており 品目 農薬 検査件数 検出数 違反件数等がわかる 原産国が示されている違反例をみると 原産国としてはアフリカ 中近東 ( ケニア モロッコ エジプト レバノン イスラエル等 ) 欧州( イタリア スペイン ベルギー ハンガリー トルコ等 ) 南米( ブラジル チリ アルゼンチン等 ) が多く アジアは タイやインドである (9) フィンランド食品庁 (NFA:National Food Agency) が残留農薬の管理を行っている サンプリングは EU の 2 つのプログラムに準じて行われる 分析は 2 ヶ所の認可機関 a)finnish Customs Laboratory 及び b)environmental Laboratory of the City of Helsinki で行っている 2004 年は a) の機関で検体の 86% b) の機関で検体の 14% の検査を行った ほとんどは GC によるマルチ分析である ベノミル及びマネブグループ 無機臭素化合物 リン化水素 マレイン酸ヒドラジド グリホサート N-メチルカルバメート クロルメコート及びジクワットは a) 機関においてのみ分析している 各国のモニタリングでグリホサートを検査対象としている例は少ないが フィンランドの 2004 年のモニタリングにおいては 特別調査として穀物中のグリホサートを検査している グリホサートの検出レベルは概ね低い ( 日本の小麦中のグリホサートの MRL は 5.0 ppm) 食品名 検査件数 残留件数 グリホサート (mg/kg) 輸入品 小麦 19 14 0.011-0.42 ライ麦 9 5 0.010-0.20 国産品 小麦 13 0 < 0.01 ライ麦 11 0 < 0.01 オート麦 7 0 < 0.01 大麦 6 0 < 0.01 (10) ノルウェーノルウェー食品安全局 (Norwegian Food Safety Authority) のホームページに 1996~ 2004 年の植物由来食品中の残留農薬モニタリング報告書が掲載されている サマリー以外はノルウェー語である 12

検査対象は 果実 野菜 ( イモ類を含む ) 穀物 ベビーフード その他( 茶 果実ジュース 塩漬けオリーブ等 ) である 結果には原産国 品目 農薬 検査件数 検出件数 違反件数などが示されている 検査件数及び検査対象農薬の数 ( 種類 ) は以下のとおりである 2002 年 : 検査件数 2,607 検査対象農薬数 193 2003 年 : 検査件数 2,330 検査対象農薬数 206 2004 年 : 検査件数 2,207 検査対象農薬数 220 表 V-4 に 違反件数が多い品目 / 農薬 (2004 年報告には記載なし ) 表 V-5 に 2002~2004 年で 分析値の最大が MRL の 20 倍以上のものを示した 表 V-4 ノルウェーの検査で違反件数が多い品目 / 農薬 年品目原産国農薬検査件 検出件 違反件 違反率 数 数 数 2002 にんじんノルウェーダイアジノン 107 22 6 5.6 梨ベルギークロルメコート 19 5 5 26.3 スターフルーツマレーシアクロルピリホス 20 5 4 20.0 マンゴーブラジルチアベンダゾー 11 3 3 27.3 ル パッションフルー ケニアクロロタロニル 6 3 3 50.0 ツ セルリアックノルウェーダイアジノン 31 3 3 9.7 ほうれんそうタイジチオカルバメ 3 3 3 100.0 ート ヒラタケオランダクロルメコート 8 3 3 37.5 2003 いちごベルギービテルタノール 25 5 5 20.0 スターフルーツマレーシアクロルピリホス 20 4 4 20.0 13

表 V-5 ノルウェーの検査で分析値の最大が MRL の 20 倍以上の農薬 (2002~2004 年 ) 年品目原産国農薬最大測定値 MRL (mg/kg) (mg/kg) 2002 とうがらし タイ メタミドホス 0.38 0.01 マンゴー ブラジル チアベンダゾール 1.5 0.05 空芯菜 タイ カルベンダジム 3.6 0.1 パッションフルーツ ケニア クロロタロニル 0.24 0.01 ほうれんそう イタリア ジチオカルバメート 1.3 0.05 ほうれんそう タイ ジチオカルバメート 3.6 0.05 ねぎ タイ プロシミドン 0.47 0.02 2003 バジル ノルウェー クレソキシム-メチル 1.6 0.05 ディル イタリア プロシミドン 4 0.02 チャービル ノルウェー クレソキシム-メチル 8.4 0.05 マンゴー コスタリカ イマザリル 1 0.02 ミモザ タイ エンドスルファン 0.82 0.05 ミント キプロス クロルピリホス 3.7 0.05 パパイヤ ブラジル クロロタロニル 0.42 0.01 パッションフルーツ パッションフルーツ イスラエルジンバブエ イマザリル 5.7 0.02 クロロタロニル 0.2 0.01 ローズマリーノルウェークレソキシム - メチル 44 0.05 レモンバーム / garden ノルウェークレソキシム - メチル 4.1 0.05 balm サマースカッシュ スペイン クロロタロニル 0.27 0.01 ねぎ タイ シペルメトリン 0.89 0.05 2004 ザクロ エジプト ジコホール 0.42 0.02 オクラ ケニア ジメトエート 0.48 0.02 パパイヤ ブラジル ジチオカルバメート 0.83 0.05 パッションフルーツ ケニア クロロタロニル 0.63 0.01 (11) オーストラリア National Residue Survey(NRS) が 植物及び動物由来食品中の残留農薬及び動物用医 14

薬品モニタリングを実施している NRS のホームページには 1998/1999~2004/2005 年の報告書が掲載されている オーストラリアでは 毎年 7 月 1 日 ~ 翌年 6 月 30 日が会計年度 (fiscal year) となるため モニタリング報告書もこれに合わせて 2004/2005 年といった表記になっている 検査対象品目は 穀物 農産物 ハチミツ 食肉製品 魚介類 養殖製品である 農産物の検査対象品目の種類はさほど多くはない 最近数年の品目は以下のとおりである 検査対象品目 穀物: 2002/2003 年 2003/2004 年 2004/2005 年 ( いずれも同じ ) 小麦 ( フスマ 小麦粉も含む ) 大麦 ソルガム 菜種 ルピン豆 サヤエンドウ (Field pea) オート麦 ヒヨコ豆 農産物: 2002/2003 年 2003/2004 年りんご 梨 たまねぎ マカデミアナッツ ペカンナッツ 2004/2005 年りんご 梨 たまねぎ マカデミアナッツ ブルーベリー 報告書のデータは 品目 / 農薬ごとに検査件数 ( 検体数 ) 検出件数 違反件数がまとめられているが 国産 輸入の別や原産国については示されていない 違反例を表 V-6 に示したが きわめて少ない 表 V-6 オーストラリアの検査における違反例 年 食品名 農薬名 検査件数 検出件数 違反件数 2002/2003 小麦 クロルピリホス 2732 5 1 ソルガム ジクロルボス 331 14 1 オート麦 クロルピリホス - メチル 120 6 1 ジクロルボス 120 15 1 2003/2004 大麦ジクロルボス 1117 20 1 フィプロニル 293 1 1 サヤエンドウフェニトロチオン 134 1 1 ルピン豆フェニトロチオン 173 1 1 ソルガムフェニトロチオン 237 21 1 小麦ホスフィン 34 1 1 小麦フスマ メトプレン 33 16 1 フェニトロチオン 99 37 2 15

梨 ジチオカルバメート 71 23 1 2004/2005 菜種 トリアジメホン 234 1 1 さやえんどう ホスフィン 3 1 1 オート麦 フェニトロチオン 73 18 6 ソルガム インドキサカルブ 253 3 3 小麦 ホスフィン 45 4 1 フルトリアホール 2,823 1 1 イプロジオン 2,823 1 1 トリアジメホン 2,823 1 1 クロルピリホス 2,823 39 2 クロルピリホス-メチル 2,823 430 1 フェニトロチオン 2,823 157 1 小麦粉 フルトリアホール 94 1 1 りんご クロルピリホス 221 33 1 まとめ残留農薬モニタリング調査を毎年定期的に行ない 結果をホームページで公表している国 / 機関 ( 米国 カナダ EU 英国 オランダ ドイツ アイルランド スウェーデン フィンランド ノルウェー オーストラリア ) を中心に 2002~2004 年の検査結果を収集 検討した 但し 米国は 2004 年度分の結果が公表されていない 検査結果の項目やまとめ方は国によって異なり 欧州のデータでは原産国表示がないもの あるいは違反例のみ原産国表示がなされているものが多かった また 違反件数のみ公表されている国もあった 米国及びカナダのデータは 原産国 品目 農薬 検査件数 検出数 違反件数などが揃っており 件数も多かった 16