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ロシア知的財産権ニュースレター 2016 年度第 2 号 本資料はロシアにおける知的財産権に関わる法制度 ビジネスの主な動きを過去 3 カ月分掲載 するとともに 特定の話題について深堀して解説するものです 1. 知的財産権に関わる法制度 ビジネスの動き (2016 年 9 月 ~2016 年 11 月分 ) 同勧告によると 知的財産権保護対象物の並行輸入使用に係るライセンス料には 知的財産保護 1)10 月 26 日 最高裁判所 ( 破毀審 ) は 並行対象物の使用に対する全ての料金 ( 例えば 輸入業者 Multibir ( 原告 ) が Cerveceria ロイヤリティーや報酬など ) が含まれる 関税課 Modelo, S. A. De C. V.( 被告 ) に対して提起し税価格には ユーラシア経済連合域内でこれた訴訟の中で 被告が ビール製品 ( ビールらの商品を再生産 ( 複製 ) する権利料 または代用品 または ビール派生品 ) として規定さこれらの商品を流通または転売するための許れる商品に対して商標 CORONA EXTRA を可料は含まれない 但し 例外があり 関税課使用していた事実を ビール として規定され税価格には ユーラシア経済連合域内へ輸入る商品に対する商標 CORONA EXTRA の使される商品の販売に必要となる料金が含まれ用事実と同等であることを認めた知的財産裁る 判所 ( 第一審 ) および知的財産裁判所幹部会ライセンシーと権利者の間ではライセンス料 ( 破毀審 ) の判決を支持した ( 事件番号第の支払い義務がある 同勧告は 知的財産権 SIP-605/2015 号 ) の権利そのものの処分に関する契約 ( 譲渡 売商品およびサービス国際分類では 独立し却等 ) に基づく支払いには適用されない また た商品分類として ビール製品 を区分していライセンス料を商品の関税課税価格に含めるない一方で ビール および ビール製品 の内容の決定は権利者がユーラシア経済連合成分は類似していることを根拠に前述の判断加盟国の国籍を持つか否かにはよらない を下した 従って 最高裁判所は 当該商標の同勧告は ユーラシア経済連合公式サイトで不使用取消しを求める原告の訴えを棄却した の公表日である 2016 年 11 月 17 日に発効した 2)11 月 15 日 知的財産権の使用ライセンス料やその他同種料金をユーラシア経済連合 ( ロシア ベラルーシ カザフスタン アルメニア キルギス ) への輸入商品の関税課税価格に含める内容のユーラシア経済委員会理事会勧告が発出された (2016 年 11 月 15 日付ユーラシア経済委員会理事会勧告第 20 号 ) 商標 1)9 月 2 日付の知的財産裁判所幹部会 ( 破毀審 ) の判決から判断すると 不使用を理由とする商標の法的保護の期限前終了を含む案件では 裁判所が案件の論争の本質を審理し 裁判費用の配分を行った後には 両当事者間の和解は不可能 ( 裁判所によって承認されな Copyright 2016 JETRO. All rights reserved. - 1 -

い ) といえる ( 事件番号第 SIP-137/2015 号 ) 同様のケースでは商標の法的保護は裁判所の判決が発効してすぐに終了する 和解の成立は既に効力を持つ判決を取り消すことになってしまうため 当該和解について裁判所からの承認を得ることは難しいといえる 2)9 月 9 日 知的財産裁判所 ( 破毀審 ) は 商標の排他的権利保護とこの排他的権利侵害に対する損害賠償請求に関する上告案件を審理した ( 事件番号第 A32-30594/2012 号 ) 本訴訟の原告は 著名商標 KUBANA poluostrov svobody ( KUBANA 自由半島 の意味 ) の権利者である STROVA Media Kubsnab を含む 4 社 ( 被告 ) は KUBANA および VIVA KUBANA のラベルが付されたパックのジュースとネクター ( 果肉が含まれる果汁飲料 ) の違法生産と販売を行ってきた 案件審理の中で被告は 商標登録日以前の期間については当該商標に対して何等の排他的権利の違反はなかったと主張した しかし知的財産裁判所は 民法では権利登録申請書を国家機関に提出した日に排他的権利が発生することを定めていることから 権利の法的保護が付与された場合 国家機関による当該権利登録日からではなく 申請書提出日 ( 優先日 ) から有効となる 従って 当該申請書提出日以後の他人による商標の使用も排他的権利の侵害と見なされると判断した 3)9 月 12 日 知的財産裁判所 ( 第一審 ) は Rodnik i K( 原告 ) が Korporatsiya Real ( 被告 ) に対して提起した商標の法的保護の期限前終了を求める訴訟案件を審理した ( 事件番号第 SIP-240/2016 号 ) 民法第 1486 条に基づき 商標が連続する3 年間使用されていない場合 商標の法的保護の期限前終了の訴えを提起することができる この場合 権利者は当該商標を登録された商 品あるいはサービスの識別のために実際に使用していることを証明する必要がある 今回の審理対象となっている商標は 2015 年 7 月 7 日付で連邦知的財産局 ( ロスパテント ) に登録されている譲渡契約に基づき 被告に譲渡されている 当該商標は以前 破産手続き中の法人が権利者だった 知的財産裁判所は 破産手続き中の法人は何等のビジネスを営んでおらず このような法人は基本的に商標を使用する権限を有していないと結論づけた 破産手続き開始は権利者に依存しない状況であり それ故に商標が破産手続き期間中に使用されていないことは被告に依存しない状況の結果であると判断し 原告の訴えは棄却された 4)9 月 30 日 知的財産裁判所幹部会 ( 破毀審 ) は 商標の法的保護の期限前終了を求めた訴訟案件を審理した ( 事件番号第 SIP-157/2016 号 ) 民法第 1486 条に基づき 商標が連続する3 年間使用されていない場合 商標の法的保護の期限前終了の訴えを提起することができる 今回の審理対象となっている商標は 以前は別の企業が権利者だったが 2015 年 11 月 26 日付で連邦知的財産局 ( ロスパテント ) に被告の商標として登録された ( 当該商標の優先日は以前と変わらずそのまま ) 不使用期間の起算日は 排他的権利の新所有者への移転登録日からではなく 国家機関による商標登録日である 商標が使用されるのは人 ( 権利者 ) の個別化のためではなく 商品の個別化のためであるため 権利者の変更が新規期間のカウント開始を意味するものではないとの見解を示した 5)10 月 21 日 知的財産裁判所 ( 破毀審 ) は 商標の非独占ライセンスのライセンシーは その違法な使用に対する補償を得ることはできないとの見解を示した ( 事件番 Copyright 2016 JETRO. All rights reserved. - 2 -

号第 A40-176412/2015 号 ) OPTOKHOLOD( 原告 ) は 半調理品の有名なメーカーである MIRITAL-REUTOV( 原告 ) に対して NOVOKUZNETSKIY KHLADOKOMBINAT( 被告 ) が違法に使用していた商標の非独占ライセンスを供与した OPTOKHOLOD と MIRITAL- REUTOV は 商標の違法使用による損害賠償について共同提訴を行った 知的財産裁判所は 非独占ライセンシーは第三者の行為から自己の利益を保護する際には権利者の支援を受けるべきであることを指摘した 非独占ライセンシーが起訴する権利を契約書に記入することは 非独占ライセンシーが排他的権利の侵害による損害の補償を自分のために得ることを意味しないとし 損害の補償を要求する権利は権利者のみに属するとの見解を示した 特許 9 月 29 日 知的財産裁判所 ( 破毀審 ) は 特許権者の権利帰属に関する法廷審理は排他的権利侵害による損害賠償事件の審理停止の根拠にはならないことを指摘した ( 事件番号第 A56-82259/2015 号 ) 損害賠償訴訟は 審理時点で誰が特許権者であるかを根拠にして審理され得る 仮に特許権者が変更になる場合には 訴訟当事者は 新たな状況 に基づき判決の再審を申請することができるとの見解を示した 企業秘密 10 月 5 日 知的財産裁判所 ( 破棄審 ) は ある個人事業主 ( 原告 ) が TURLIDER( 被告 ) に対して提起した企業秘密( ノウハウ ) のライセンス契約に基づく報酬返還請求の訴えを審理した ( 事件番号第 A65-26375/2015 号 ) 訴訟当事者が締結した企業秘密 ( ノウハウ ) のライセンス契約によると 被告は原告から報 酬をもらって 企業秘密 ( ノウハウ ) を一定期間 原告がビジネスで使用するために供与することになっていた 原告は旅行サービスから利益を得るために当該企業秘密 ( ノウハウ ) を使用する意向だった 原告はライセンス契約に基づいて得られた情報は第三者に既知であるため 商品的価値がないと主張した 知的財産裁判所は 被告 ( 権利者 ) が当該企業秘密 ( ノウハウ ) 契約に規定されている範囲内で使用許諾したことを確認した 他方 企業秘密 ( ノウハウ ) を構成する情報と文書が第三者に既知で 商品的価値がないとする証拠が提出されていないことから 原告の訴えは棄却された この内容は第 2 部 (p.6~) で詳細を考察する 知的財産裁判所の活動 11 月 25 日 モスクワ国立大学で開催された 第 6 回モスクワ法律週間 の枠組みの中で知的財産裁判所付属科学諮問会議が開催された 同会議では職務発明に関する民法の適用について議論された リュドミラ ノボショロワ知的財産裁判所長官が開会挨拶を行った 同長官は議論されるテーマの理論的 実践的価値を強調した 同会議には知的財産裁判所の裁判官 モスクワ国立大学およびモスクワ国立法科大学の博士課程の学生 教授 研究者 立法 執行機関の代表者 ロシアおよび外国の法律家が参加者した 同会議で討議された内容は 学生による作品の著作権の法的ステータス ( 雇用過程またはその他の方法で創作された ) 知的財産権のステータスを巡る論争時における雇用者と従業員間で締結されたライセンス契約の裁判所での証拠としての価値 フルタイムまたはハーフタイム雇用の過程で創作された対象物の法的結果などについてだった Copyright 2016 JETRO. All rights reserved. - 3 -

税関による知的財産権保護ユーラシア経済委員会理事会メンバーのティムール スレイマノフ経済 金融政策担当大臣は ユーラシア経済連合初の並行輸入の開始は早くて 2018 年以降となるとの見通しを示した 連邦反独占局のイーゴリ アルテミエフ長官も同様のコメントを発表 ロシアでの並行輸入合法化は 2018 年に実現しうると語った 内務省による知的財産権保護 2016 年 1 月から 10 月にかけて内務省職員によって著作権 著作隣接権に関連する 1,231 件の刑事事件 ( 根拠法 : 刑法第 146 条 ) が処理された このうち 1,225 件が 重大 ( 損害額が 10 万ルーブル 約 1,700 ドル以上 ) あるいは 極めて重大 ( 損害額が 100 万ルーブル 約 17,000 ドル以上 ) または深刻な被害をもたらした事件に分類された インターネット上の知的財産権侵害対策連邦通信 情報技術 マスコミ監督局の特別作業グループが作成した法案の公開討論が続いている 同法案では 海賊版ウェブサイトのコピー ( ミラー ) を既にブロックされたウェブサイトと同等視することが提案されている 同法案ではミラーに関する用語として 派生ウェブサイト が使用されている 検索エンジンのオペレーターは裁判所の判決により永久にブロックされるウェブサイトを権利者からの要請で検索結果から削除する必要がでてくる 当該要求を遵守しない場合は行政罰として過料が科されることになる また 連邦通信 情報技術 マスコミ監督局が入手したデータに基づきブロックされたウェブサイトのブロックを迂回するための助言を行うテレコムオペレーターに対して行政責任を負わせる提案もある モスクワ市裁判所の判決に基づき 派生ウェブサイト へのアクセスをブロックすることが提 案されているが 同判決はオリジナルウェブサイトを永久にブロックする判決が出される根拠となった権利者の要請により出されることが想定されている 反独占局による知的財産権保護 1)10 月 11 日 知的財産裁判所 ( 破棄審 ) は ある民間企業の活動を不正競争とみなしたモスクワ州反独占局の決定を違法とみなす判決を下した ( 事件番号第 A40-63125/2015 号 ) 本件の審理の中で 知的財産裁判所は 商標の排他的権利の取得 ( およびその使用 ) は取得目的を考慮して不正競争と認められうることを指摘した 商標の取得と使用が不正競争に該当するのは これらが不正目的で行われた場合 -すなわち 競争相手に悪影響を及ぼすことを目的とする場合である このような目的の存在は 排他的権利の取得時点または目的を明らかにする権利者の行為遂行時点で確定されなければならない ここで重要なことは 考慮されるのは取得目的だけであり 他の行為ではないことである 不正な目的は 同一または類似した商標が第三者により使用されている事実を商標取得者が既に知っていること および消費者によく知られた商標を独占することで不正な有利さを得たいとする取得者の希望 またそのような独占を通じて競争相手を市場から追放しようとする取得者の意向などに基づき判断できる 2)10 月 24 日 知的財産裁判所 ( 破棄審 ) は 露小売大手 DIXI グループ が所有する商標と混同するほど類似している標章 DixikA を使用した複数の企業に対して行政罰として過料の支払いを命じた連邦反独占局の決定を支持する判決を下した ( 事件番号第 A40-36077/2016 号 ) 2012 年 DIXI グループは複数の企業による標章 DixikA の違法使用について連邦反独占局に訴状を提出した 連邦反独占局は訴 Copyright 2016 JETRO. All rights reserved. - 4 -

状の内容を審査し DIXI グループの商標と混同するほど類似している標章 DixikA を使用していることから 当該複数企業が実際に標章 DixikA を使用して不正競争を行っていることを確認した また 当該複数企業の一部による商号の排他的権利の取得と使用は不正競争であると認定され 当該複数企業は不正競争の違反行為の差し止めを命じられた 当該複数企業には 行政違反法第 14.33 条 ( 不正競争 ) に基づき 全体で約 2,300 万ルーブル ( 約 36 万 2,000 ドル ) の罰金が科された 改善を目的としている 同改正法案によると 特許代理人に対する知的財産権に関する委任状への公証が不要となる また 知的財産権保護文書の修正手続きを簡素化する ( 明らかな間違いおよび技術的ミスを修正するロスパテントの義務だけが残される ) 第三者への知的財産権登録原簿から謄本を取得する権利の付与 発明 実用新案 意匠の国家登録料の支払期限徒過後の救済の可能性付与などが予定されている 法令の新規制定 改正等 1) 9 月 20 日 連邦知的財産局 ( ロスパテント ) は商標 サービスマークおよび団体商標の国家登録のために提出された申請書類へのアクセス確保およびこの種の文書のコピー取得の過程に関するマイナー変更の指令案を発出した 同指令案によると 当該申請が許可または拒否されるまでの審査期間が現行の 20 労働日から 30 労働日に延長される また 要求する書類への申請者のアクセス確保 ( 合意された日時での予約に基づくアクセス ) のコストをカバーするために 手数料 800 ルーブル ( 約 12.5 ドル ) を支払う必要がある 当該手数料の支払いチェックの個別手続きがある 同様の修正が特許 実用新案および意匠登録申請書類への公共アクセスの提供およびこれらの書類のコピー提供に関しても提案されている 2) 10 月 連邦知的財産局 ( ロスパテント ) は民法第 4 部の改正法案を作成した 同改正法案は知的財産権保護制度の更なる 3) 10 月 18 日 プーチン大統領は ロシア国内メーカーの支援を目的とした外国のオンラインショップからの VAT( 付加価値税 ) 徴収問題を 2016 年 12 月 31 日までに検討するようロシア政府に委任した 現時点では 外国のオンラインショップで購入された商品には VAT が課税されず 流通または小売段階でマージンが徴収されることもないため 魅力的な価格となっている 4) メディア コミュニケーション連合 (MCU) は 現行の著作権集中管理システムを改革する法案を起草した 同法案では 著作権で保護される作品の国家登録簿の創設 契約に基づかない著作権管理の排除およびその結果として著作権集中管理を行う組織の独占廃止を提案している MCU は 著作権集中管理組織は同組織と契約した著者だけを代表するべきだとの見解を示している 現在 同様の法案を通信マスコミ省および文化省が起草中である Copyright 2016 JETRO. All rights reserved. - 5 -

2. 今回の話題 1: 企業秘密 ( ノウハウ ) を巡る論争 ~ ある個人事業主対 TURLIDER ~ ( 事件番号第 A65-26375/2015 号 ) 事件番号第 A65-26375/2015 号における知的財産裁判所 ( 破棄審 ) の判決 (2016 年 10 月 5 日付 ) について詳細に論じていく ある個人事業主 ( 原告 ) が TURLIDER( 被告 ) に対して提起 した企業秘密 ( ノウハウ ) のライセンス契約に基づく報酬返還請求の訴えに対する判決である ロシアにおける裁判実務ではノウハウに関連する事件はごくわずかであるため 本判決は詳細な分析を行うに値するといえる また 本判決には今後の同様の事件で知的財産裁判所が適用し得る見解が含まれている この見解は 企業秘密 ( ノウハウ ) に関連する活動を行う企業にとって参考となる情報といえる 本事件では ある個人企業主 ( 原告 ) が TURLIDER( 被告 ) に対して 20 万ルーブル ( 約 3,200 米ドル ) の報酬返還を求める訴えをタタルスタン共和国商事裁判所 ( 第一審 ) に提出 2016 年 2 月 8 日にタタルスタン共和国商事裁判所で第一審としての審理が行われた その後 4 月 27 日には第 11 商事控訴裁判所で第二審が行われ 第一審および第二審共に原告の訴えを認めない判決を下している 当該報酬は 2015 年 4 月 22 日付ライセンス契約に従って支払われた 当該契約により 被告が 原告に企業秘密 ( ノウハウ ) の使用許可を供与した 原告は旅行サービスから利益を得るために当 該企業秘密 ( ノウハウ ) を使用する意向だった 当該契約において 企業秘密 ( ノウハウ ) には被告が旅行サービス提供のビジネス遂行中に蓄積したあらゆる性格の情報 ( 生産的 技術的 経済的 組織的情報など ) が含まれ それらには実質的または潜在的な商品的価値があるといえる その理由は 当該情報は第三者に知られておらず あらゆる合法的な手段でも第三者にはアクセス不可能であり 被告によって企業秘密 ( ノウハウ ) として管理されているためである 原告は審理の中で 被告が企業秘密 ( ノウハウ ) を供与しなかったと主張した その理由として 第三者に既知であったため 被告により実際提供された情報は商品的価値を持っていなかったことを挙げた 従って 原告はライセンス契約の取消と当該契約に基づき支払った報酬の返還を要求した 民法第 1466 条第 1 項によると 企業秘密 ( ノウハウ ) の所有者には 民法第 1229 条に基づき 商品の製造時 経済的または組織的解決の実行時を含む 法律に反しないあらゆる方法での企業秘密 ( ノウハウ ) 使用の排他的権利が帰属する 企業秘密 ( ノウハウ ) の所有者は排他的権利を自由に処分できる 企業秘密 ( ノウハウ ) の排他的権利はその権利の基礎をなしている情報が機密性を持つ限り効 力を有している 当該情報が機密性を失った時点で 当該企業秘密 ( ノウハウ ) の全ての権利者の - 6 -

排他的権利は終了する ( 民法第 1467 条 ) 知的財産裁判所は事件の審理中に以下の事実を明らかにした 1) 知的財産裁判所は双方間で締結されたライセンス契約の実質的対象であったのはサービスの提供であり ノウハウ使用の許可ではなかったとする原告の論拠を支持しなかった 知的財産裁判所は提出された文書は法的性質からしてノウハウ使用許可を与えるライセンス契約であり サービス提供契約ではないことを指摘した また 原告は当該契約締結時点にも サービス受領書への署名時を含む契約履行時にも 契約対象に対して同意しない意向を表明しておらず 企業秘密 ( ノウハウ ) が被告に供与され なかったことも主張していない 2) 知的財産裁判所は 原告に提供された情報 ( 提供されたサービス ) は公に利用可能であり 被告が機密情報の保護のための措置とらなかったという原告の論拠を認めなかった 企業秘密 ( ノウハウ ) を構成する情報と文書が商品的価値を持っていないとする証拠 それらに合法的にアクセスでき 第三者に知られていることの証拠 および被告が情報の機密性を確実にするための措置をとらなかったとする証拠が法廷に提出されなかった 上記を踏まえ 知的財産裁判所は原告が提示した証拠は不十分であるとして原告の訴えを棄 却した - 7 -

3. 知的財産権に関わる法制度 ビジネスの動き (2016 年 12 月 ~2017 年 2 月分 ) は 比較対象の標章同士の連想関係に一般商標の消費者が気づく確率である 従って 言葉と 1)10 月 3 日 知的財産裁判所 ( 第一審 ) は 図形の商標は混同するほどの類似性に関して商標の法的保護の期限前終了を求めた比較される United Heineken Brewery LLC( 原告 ) のその際 評価のために類似性の意味的基準訴えを認める判決を下した ( 事件番号第だけを使用することができる 文字を読む時に SIP-357/2016 号 ) 消費者の意識に図形との強い関連性が生ま原告は 審理対象の商標の法的保護の期れ強固となる場合で さらにこれらが同一の商限前終了が請求された商品に類似した また品および ( または ) サービスのために登録されは同種の商品の生産者であり 図形的要素 ( クている場合 当該商標は混同が生じるほどにマの姿 ) と言葉的要素 ( medvezhia 類似していると見なされる 言葉または言葉の okhota ) から構成される審理対象の商標と組合せが関連する図形の明白で自然な名称誤認混同されるほどに類似した標章 Okhota である場合にのみ混同の危険性が生じる を著名商標として認定してもらう準備を行っていることを訴訟提起の理由として挙げている 3) 憲法裁判所は 12 月 13 日 著作権 著作隣当該商標の権利者 ( 被告 Vesiegonskiy 接権の排他的権利侵害および商標の違法使 Vinzavod) は 商用化される商品のマーキン用に対する責任に関する民法の原則を確認しグ時に言葉的要素だけを使用したが これがた アルタイ地方商事裁判所の要請による民結合商標の本質そのものを変えている 知的法第 1301 条第 1 項第 1 号 第 1311 条第 1 財産裁判所は 結合商標の言葉的要素だけ項第 1 号と第 1515 条第 4 項第 1 号の合憲性を商品にマーキングしているものはその商標の確認に関して を発出した (2016 年 12 月 13 の使用とは認められないとの見解を示した 日付ロシア憲法裁判所決定第 28-P 号 ) 憲法裁判所は 知的財産権 ( 識別手段 ) に 2)12 月 9 日 知的財産裁判所幹部会 ( 破毀対して一回の権利侵害を行った場合における審 ) は 商標の法的保護付与に関する異議申補償額を法律で規定される最低額以下まで引し立てを棄却した連邦知的財産局 ( ロスパテンき下げる権利を裁判所に与えた ト ) の決定の無効請求を棄却した ( 事件番号第知的財産権 ( 識別手段 ) に対して一回の権 SIP-146/2016 号 ) 利侵害を行った場合において損害賠償の代図形標章にはピラミッド状に組まれたホッケわりに補償を受ける可能性を認め 憲法裁判ー スティックが様式化されて描かれ その中所は訴訟の特定の事実に従って裁判所が補央にバシキール人の民族的英雄サラヴァット 償額を減らすことができないことは違憲であることに同意した また憲法裁判所は補償額をユラーエフ (Salavat Yulaev) が帽子をかぶ引き下げるために裁判所が考慮できる具体的った形で描かれているが この標章が今回のな事情として被告の罪の程度 資金力 権利審理対象の商標として登録された 者が被った損害額などを挙げた 知的財産裁判所幹部会は 民法第 1483 条この内容は第 2 部 (p.7~) で詳細を考察す第 6 項第 2 号は ( 文字と図形など ) 異なる種類る 間の商標を比較するる可能性を制限しているとの見解を示した 標章の類似性の確定要因 4)12 月 26 日 知的財産裁判所 ( 第一審 ) は - 8 -

Volkswagen AG ( 原告 ) の Company R-Line( 被告 ) に対する不使用による商標の法的保護の期限前終了の訴えを部分的に認めた ( 事件番号第 SIP-84/2016 号 ) 商標権者 ( 被告 ) はドメイン名の一部として当該商標を使っていると主張した しかし知的財産裁判所は 商標に含まれる文字を含んでいるドメイン名の権利の所有 並びにインターネット上での当該マークの使用は商標使用の証拠にはならないと判断した 5)1 月 16 日 知的財産裁判所幹部会 ( 破毀審 ) は 商品およびサービス国際分類第 3 類の商標 LORIS の法的保護の期限前終了を命じる判決を下した ( 事件番号第 SIP-185/2016 号 ) TD Grass( 原告 ) がその法的保護の期限前終了に利害を持っている証拠を提出している一方 Novyie Khimicheskie Tekhnologiy( 被告 ) は連続する 3 年間に一連の商品に関して当該商標の使用事実を証明することができなかった 被告は木質表面洗剤 LORIS のサンプル 6 本を 3 名に手渡していたが 審理対象の商標が付された製品が商用化されたという他のいかなる証拠も審理資料として提出されなかった 知的財産裁判所幹部会は 商標権の保持を唯一の目的とする商標の象徴的使用は考慮されるべきではないとし 今回のケースでの前述の証拠は商標の使用事実を確認する根拠とはなり得ないと判断した 審理対象の商標の実際の使用証拠としては その生産量を含む 当該商標が付された製品の商用化の状況を確認する必要がある 例えば 高額商品 ( 高級品 ) の流通量が少量である場合は 他の証拠と共に使用の証拠と見なされるが それほど高価ではない商品の同様な数量の流通ではそれは認められない また これらの基準適用のために商品贈与を考慮することができるが これは贈与者とは無関係な人 例えばその従業員ではない人により行われる 場合である 受贈者の情報 ( または受贈者が贈与者と無関係であることの情報 ) が無い場合には そのような贈与は考慮されない 6)2017 年 2 月 10 日付連邦最高裁判所決定第 305-ES15-4129 号の中で 最高裁判所商事事件合議体は商標の排他的権利の譲渡契約は無効であると認めた 理由は 契約に基づく商標の譲渡は審理対象の商標を持つ商品のメーカーについて消費者の誤解を招く恐れがあるためである 民法第 1488 条第 2 項に基づくと 契約に基づく商標の排他的権利の譲渡が商品またはそのメーカーに関して消費者の誤解を招く場合 これを禁止している 最高裁判所商事事件合議体の観点では 当該条項が適用されるのは消費者への不当表示が既成事実である時だけではなく まさしくそのような結果の脅威が証明される場合でもある 最高裁判所商事事件合議体は 前述の観点での不当表示とは 新しい所有者に譲渡された商標に含まれる商品に関する情報が 消費者の決定に影響を与える 商品またはこれらのメーカーについての歪められたイメージをもたらすケースを意味するとの見解を示した 特許 1 月 23 日 知的財産裁判所幹部会 ( 破毀審 ) は 雇用主 Kemerovskiy Eksperimentalnyi Zavod Sredstv Bezopasnosti( 原告 ) 原告の従業員である特許権者 ( 被告 ) と原告の従業員である他の共同発明者 ( 第三者 ) による訴訟を審理し 特許 鉱山坑内通気加熱法とその実施装置 の権利者の記載事項の訂正 ( 特許権者として雇用主および他の共同発明者の追記 ) を命じた知的財産裁判所 ( 第一審 ) の判決を支持した ( 事件番号第 SIP-818/2014 号 ) 第一審裁判所は以前 論争の対象となる特許は職務遂行の - 9 -

一環として原告の従業員によって考案されており 職務発明であるとの見解を示していた 今回 特定の個人が当該特許の唯一の考案者および特許権者として指定されていた しかし 知的財産裁判所幹部会は 当該特許が共同発明者全員による職務発明として定義づけられることを指摘した もし当該特許が特定の共同発明者だけによる職務発明であるならば 契約に別段の規定がない場合 他の共同発明者は自分の裁量でその結果を使用する権利がない 他方で 他の共同発明者は 雇用主とともに特許権者として指定することができる これらの共同発明者の雇用主は 特許を取得するか または ( 間違って他人名義でのみ特許を取得した後 ) 共同特許権者として指定させることを要求することができるとの見解を示した 実用新案 12 月 13 日 知的財産裁判所幹部会 ( 破毀審 ) は 窓リフターケーブル関連装置の実用新案の先使用権の認知を求めた訴えを棄却した ( 事件番号第 A72-10519/2015 号 ) 理由は Simbirskiy Zavod Steklopodyiemnikov ( 原告 ) が論争中の実用新案で表現される同一の技術的解決を含む部品を当該実用新案の優先日以前に導入および製造した事実を証明することができなかったためである 知的財産裁判所幹部会は以下のことを指摘した 1) 設計図では製品製造技術または応用方法の製造への直接的な導入を確認することができない 2) 製品製造は同一の技術的解決の使用のための必要な準備を意味しない 知的財産裁判所幹部会はまた 然るべき法的保護が提供されていた実用新案と同じ用途の設備に関する情報が公開されていることを指摘した 前述の場合 当該情報は新規性の要件を満たすことができないため 当該実用 新案権を無効とする根拠となりうるとの見解を示した 知的財産裁判所の活動 1)12 月 6~8 日 モスクワで第 9 回全ロシア裁判官会議が開催された 同会議での議論内容は 司法機関の状況 その発展の将来性 裁判所業務を改善するための対策に関するものであった 合計 780 名が出席 リュドミラ ノボショロワ知的財産裁判所長官とアレクサンドル スネグル裁判官が知的財産裁判所を代表して同会議に出席した 12 月 6 日にはプーチン大統領が全ロシア裁判官会議参加者へ祝辞を述べた 大統領は裁判所のオーバーワークの問題について 過度な作業負担は裁判官の業務の質に影響し 市民の権利や国家利益の違反を招くことになることを指摘した アレクサンドル グセフ最高裁判所裁判部長は 裁判官達が電子裁判の発展への追加融資および法廷審問オーディオ ビデオ記録システムへの融資の可能性を検討するよう政府に要請する意向であることを語った 2)2 月 16 日 企業内弁理士協会の年次会議が開催された 同会議の中で 専門家や連邦知的財産局 ( ロスパテント ) 知的財産裁判所および下院の各代表者が企業識別手段やその違反者対策の効果的システムの構築について議論し ブランド保護についての経験を共有した ビクトル ヒミチェフ知的財産裁判所裁判長は 識別手段の権利保護に関連する訴訟の主な傾向について語った 特に権利者破産時の商標の法的保護の期限前終了の訴訟に対する知的財産裁判所の立場や不使用に関連した商標の法的保護の期限前終了の訴訟において 商標の象徴的使用は権利の悪用として判断する必要があるとの見解を示した - 10 -

3)2 月 17-18 日 モスクワ国立法科大学で第 5 回記念 IP フォーラム ( 知的財産権の法的保護 : 理論と実践の問題 ) が開催された 同フォーラムの開催式典にはリュドミラ ノボショロワ知的財産裁判所長官 グリゴリー イブリエフ連邦知的財産局 ( ロスパテント ) 局長 アレクサンドル バブイキン在ロシア世界知的所有権機関代表部所長 タチアナ モネゲン在ロシア国際商業会議所 (ICC Russia) 事務局長 イーゴリ ドロズドフスコルコヴォ基金理事長が参加した 同フォーラムの主なイベントは パネルディスカッション 知的財産 - 国家発展の基礎 や上院主催イベント 地域ブランド : 経験 課題 展望 知的財産裁判所の円卓会議などであった 同フォーラムの各イベントでは ファッション業界の創造性の保護 ビジネスにおける知的財産保護分野での最も深刻な問題並びに医薬品市場での知的財産権保護問題について議論された 税関による知的財産権保護 1 月 3 日 連邦税関局は 2016 年の知的財産保護活動の総括を行った 2016 年 1 月 ~9 月にかけて税関は模倣品 1,930 万点を摘発 732 件の行政違反を起訴した このうち 705 件は行政違反法第 14.10 条 商品( 役務 サービス ) の識別手段の違法使用 27 件は行政違反法第 7.12 条第 1 項 ( 著作権 著作隣接権侵害 ) に基づく行政違反であった また 税関職員により 総額 69 億ルーブル ( 約 1 億 1,800 万ドル ) 相当の知的財産権者の損害が予防された なお 2016 年 12 月 1 日時点で 知的財産権の税関登録簿の登録件数は 4,269 件となっている 内務省による知的財産権保護 2016 年 1 月から 12 月にかけて内務省職員によって著作権 著作隣接権に関連する 1,294 件の刑事事件が処理された このうち 1,288 件が 重大 ( 損害額が 10 万ルーブル 約 1,700 ドル以上 ) あるいは 極めて重大( 損害額が 100 万ルーブル 約 17,000 ドル以上 ) または深刻な被害をもたらした事件に分類された インターネット上の知的財産権侵害対策 1)1 月 17 日 知的財産裁判所 ( 破毀審 ) は商標の排他的権利保護に関する訴訟で 加入者へのホスティングサービス提供の停止要求を認めない旨の下級裁判所の判決の一部を取り消す判決を下した ( 事件番号第 A40-4199/2016 号 ) 理由は 被告の 1 人に対するドメイン名管理者のステータスの存在が確認できなかったためである 原告 Zelyonnaya polyana は商標 サービスマークおよび会社名を含む原告のウェブサイトのコピーの違法使用を理由に訴訟を提起した 被告の 1 人 ( 情報仲介者 ) に対する訴えは 然るべき是正措置を講じたことを根拠に棄却された 但し 知的財産裁判所はこのようなアプローチには同意しなかった 知的財産裁判所は民法により知的財産権侵害で処罰を受けない情報仲介者に対して 民事責任には関連しないその保護の要求を提示することができることを強調した 被告が審理対象のウェブサイトを使用する加入者に対してホスティングサービスの提供を停止して 自己のサーバーからそのコピーを削除することを原告も要求した 他方 ドメイン管理者のステータスが裁判所により確認されていない別の被告に対しては 当該ドメインに基づくウェブサイトの使用を停止する義務を負わせることはできなかった また 排他的権利侵害の損害賠償請求はドメイン管理者にも 実際にこれを使用する人にも提示が可能であるとの見解を示した 2)2 月 6 日 知的財産裁判所 ( 破毀審 ) は 著作物の違法使用に対する損害賠償請求を一 - 11 -

部認める判決を下した ( 事件番号第 A50-29320/2015 号 ) 被告 Malvis は原告 Proizvodstvenno-torgovaya kompaniya VITA の知的財産である写真が掲載されたドメイン名の管理者である 当該サイトに掲載された写真の排他的権利の侵害に対するドメイン名管理者の責任について知的財産裁判所は次のことを強調した ドメイン名という概念の解釈によると ドメイン名とはウェブサイトに掲載されている情報へのアクセスを確保する目的で管理されているウェブサイトの識別化手段を意味する このことを考慮してウェブサイトを通じたコンテンツの流通に対する責任はドメイン名管理者が負う 加えて 管理者は知的財産権の排他的権利侵害に対する責任を免れたり および / またはこれを他人に転嫁させることはできない 関連法律はウェブサイトに排他的権利を侵害する情報を実際に掲載した人に対して管理者が償還請求する可能性 ( 然るべき根拠がある場合 ) を排除していない また 裁判所は写真の芸術的価値に関わらずその使用許可を取得し著作権者に複製の対価として報酬を支払う必要があるとの見解を示した 3)2 月 21 日 海賊版ウェブサイトのコピー ( ミラー ) サイトのブロック法案が下院に提出された 同法案は 2 月 17 日に開催された国内映画産業発展政府会議の結果による委任を遂行するためにロシア連邦通信 マスコミ省により作成された 同法案の目的は インターネット上でのオーディオ ビデオ製品の違法な流通および使用の阻止 である 同法案ではミラーに関する法律用語として 派生ウェブサイト を用い 同サイトへのアクセスを法廷外で制限する手順を規定する提案をしている 同法案は 2 月 16 日に政府の会合で 検討され 承認された 同法案はまた ヤンデックス や グーグル のような検索システムに対して 検索結果から アクセスが永久にブロックされた海賊版ウェブサイトへのすべてのリンクを削除することを求めている 検索システムは現在でも権利者の要求に基づき検索結果からリンクを削除している 但し 削除プロセスには時間がかかり この間に海賊版ウェブサイトは自己のページに新しいハリウッド作品を掲載して大量の視聴者を獲得できるため 権利者にとってはこれだけでは十分ではないといえる 反独占局による知的財産権保護 1) DOSHIRAK KOYA LLC の申請に基づき TOO Doshirak-Kazakhstan ( カザフスタン ) に対する競争保護法違反の訴訟が提起された 当該カザフスタン企業はロシア市場で DOSHIRAK KOYA LLC の製品パッケージに類似したデザインのインスタント麺パック ドシラク ( 牛肉味 鶏味 ) を商業生産する意向であった またパッケージには 韓国企業 Paldo Co.,Ltd. が権利を有する商標( 国際登録番号 897236 番 ) を使用していた 連邦反独占局は当該行為がロシアのインスタント食品市場の様々なメーカーの製品の混同を招き 1996 年からロシアで知られる商標 ドシラク を付した DOSHIRAK KOYA LLC の製品に対する消費者需要の減少をもたらすと判断した 連邦反独占局の委員会による審理の結果 12 月 23 日 当該カザフスタン企業に対し 不正競争の停止が命じられた 2)2 月 14 日 最高裁判所は出版社 Astrel のブランド 全てを知りたい の取得は違法とする連邦反独占局および下級裁判所の結論に同意する見解を示した 出版社 Astrel は以前一般的に使用されていた当該マークを登 - 12 -

録することで市場での競争を制限した 出版社 Astrel は 2000 年に言葉から構成される標章 全てを知りたい を商標として登録した しかし登録時点までに当該標章は既に 40 年以上にわたって他の出版社で使用されていた 出版社 Astrel はソ連時代に同タイトルの本を出版していた出版社の法定相続人ではなく 商標取得まで 全てを知りたい というタイトルの本の発展とプロモーションに関する独自の行為を行っていない 当該ブランドを使用していた 15 年間で 出版社 Astrel はこの名前の本の出版を実質的に独占して 市場での競争を制限した 従って モスクワ市反独占局はこの行為は競争保護法第 14 条第 2 項違反と判断した 出版社 Astrel はこのような裁定には同意できず控訴した しかし最高裁判所および下級裁判所は反独占局の結論に同意し その裁定を支持した 3)2 月 20 日 Apple Rus LLC に対する訴訟審理に関する連邦反独占局の委員会会合が開催された 2016 年に連邦反独占局に提出された申請書によると サービスセンターは ある個人からのスマートフォン Apple iphone 6 Plus の破損ディスプレイの交換依頼に対し 指定の交換部品がロシアに納入されていないことを理由に拒否し 当該個人に追加払いでのスマートフォン交換を提案した 連邦反独占局はApple Inc. 製品のロシアで唯一の納入業者である Apple Rus LLC がサ ービス期間中の Apple Inc. 製品の使用可能性を確保しない行為は 競争保護法第 10 条第 1 項違反の兆候があると判断した 審理の結果 連邦反独占局は Apple Rus LLC に対して 2017 年 5 月 1 日までの履行期限付きの改善命令を発出した 法令の新規制定 改正等 5) 1 月 24 日 連邦知的財産局 ( ロスパテント ) のインフォメーションレター 商標の国家登録申請に際しての 3D マークのイメージ提示の要求事項について が発出された ( http://www.rupto.ru/docs/other/inf_o b_tz) 当該レターでは商標として 3Dマークが登録できるとしている 3D マークには三次元オブジェクト 空間に配置された図形および線と図形の組合せが相当するが これらは商品またはその一部の形状 包装の形状または商品に関連しない形状を取るものである 全てのイメージ ( 全体図および追加画像 ) は一定の形状 ( 略図 写真図等 ) で提示され 1 つのオブジェクトに対応する 3D マークの全ての図はそれを正確並びに明瞭に識別できなければならない 指定された要求事項を満たさない場合は追加資料の要請を申請者に送付する根拠となり得る 商標の国家登録が決定され 然るべき登録料が支払われた場合 3D マークの全ての図 ( 全体図および追加画像 ) を含む商標が国家登録簿に登録される - 13 -

4. 今回の話題 2: アルタイ地方商事裁判所の要請による民法第 1301 条第 1 項第 1 号 第 1311 条第 1 項第 1 号と第 1515 条第 4 項第 1 号の合憲性の確認に関して (2016 年 12 月 13 日付ロシア憲法裁判所決定第 28-P 号 ) 2016 年 12 月 13 日付ロシア憲法裁判所決定第 28-P 号 アルタイ地方商事裁判所の要請によ る民法第 1301 条第 1 項第 1 号 第 1311 条第 1 項第 1 号と第 1515 条第 4 項第 1 号の合憲性 の確認に関して の内容をより詳細に考察する 民法第 1301 条 第 1311 条および第 1515 条第 4 項によると 被害額に関わらず 損害賠償の 代わりに違反者から 1 万ルーブル ~500 万ルーブルの補償金を請求する権利がある 損害賠償の代案としての補償金請求の可能性確保は 被害者である権利者の負担軽減につながるメリットといえる 他方 法律で規定されている補償金の最低金額の制限が課されているため 裁判所では実際にいくつかのケースで適切な補償額を裁定することが不可能であった このことはたびたび 当該救済手段を活用することで技術的に合法な訴えを行う者が違法な金儲けをすることにつながっている 従って 補償金の最低金額の引き下げは喫緊の課題となっている アルタイ地方商事裁判所は民法第 1301 条第 1 項第 1 号 第 1311 条第 1 項第 1 号および第 1515 条第 4 項第 1 号の合憲性の検証を憲法裁判所に要請した 要請の背景には 当該商事裁判所における未解決の 2 件の訴訟が関係している そのうちの 1 件 ( 事件番号 А03-22533/2014 号 ) では Quadro-Publishing ( 原告 ) がスタス ミハイロフのレコードおよび音楽作品の権利者として 海賊版ディスクを 1 枚 75 ルーブルで販売したある個人事業主 ( 被告 ) に対して 85 万 9,000 ルーブルの補償金を請求した アルタイ地方商事裁判所 ( 第一審 ) は 90 作品が 1 枚のディスクに収納されている場合 当該ディスクは同種商品の 1 ロットと見なすことができるとの判断で 被告に対して 1 万 5,000 ルーブルの支払いを命じる判決を下した 第 7 控訴商事裁判所 ( 第二審 ) は第一審裁判所の判決を支持した しかし知的財産裁判所 ( 破毀審 ) は 90 作品の各作品が著作権および著作隣接権の個別対象であるとして 下級裁判所の判決を取り消した 別の訴訟案件 ( 事件番号第 А03-21306/2015 号 ) では Aeroplan ( 原告 ) はアニメシリーズ Fixiki のキャラクターの複製によって商標の排他的権利が侵害されたとして複数の企業家( 被告 ) に対して 1 人当たり最大 6 万ルーブルの補償を請求した 補償請求金額は 前述の訴訟案件と同様に法定の金額の範囲内であるが 当該金額は実際に原告が被った損害額を反映しているものではない アルタイ地方商事裁判所 ( 前述の 2 件が審理された裁判所 ) のマクシム クリク裁判官は 憲法裁 判所の聴聞会における自身の演説の中で 2014 年からロシア全体で著作権侵害と商標の違法使 用に対する補償を求める訴訟が約 17,000 件提起されたとして この問題の緊急性を強調した 訴訟の判決で憲法裁判所は 知的財産権侵害に対する刑事責任の導入時に立法機関は権利 者が被った被害の客観的評価の困難さだけではなく 同様の違反を予防する必要性も想定してい - 14 -

たことを指摘した 但し 裁判所の意見では妥当性原則も犯罪行為の程度 被った損害の規模と 性格 違反者の罪の程度の考慮および補償請求時に個別化を条件づける他の重要な状況に応じ た責任の差異を前提している 民法第 1301 条で規定される補償は略式的な損害賠償の方法であるため その金額が実際の 状況に応じて算定する必要があることは明白である 憲法裁判所の意見では これに関連して裁判所は特別な状況がある場合に処罰を引き下げる可能性を得る必要がある 特に 違反が初犯であるか または活動の主要部分ではなく はなはだしい性質の行為でない場合 および補償金が権利者の被った損害を数倍も超える場合である 裁判所の意見では 補償請求の他のいずれのアプローチも 法律と裁判所 国家による個人の尊厳の保護 人間の尊厳を傷つける処罰の禁止 憲法で保障された原則に対する市民の確信を低下させことになる 憲法裁判所はこれに関して現行の法律基準は憲法に矛盾すると判断した 補償金の最低額を引き下げる可能性は違反者の罪の程度に依存しないことを指摘する必要がある ここではそれぞれの具体的なケースでの違反に対して違反者に適用される処罰と結果の妥当性を意味する 補償額を引き下げる可能性は原則としてこの手段を使用する可能性を権利者から奪っていないことが重要である 憲法裁判所の判決の特徴は最終的なもので疑問の余地のないものであることから 違憲とされ る決定およびこれら決定の条項は無効となる 従って 現在のところ立法機関からは裁判所が判決 を行う際に全ての随伴的状況を考慮できるように民法へ然るべき修正を行うことを要求されている ( 取りまとめ : ジェトロ サンクトペテルブルク事務所 ) 本資料は 特許庁委託事業の一環として Egorov Puginsky Afanasiev &Partners 社 (http://epam.ru/eng/ ) のパベル サドフスキーカウンセラー / 知的財産保護部門長およびダリ ア セルゲエワシニア弁護士の協力を得て作成されました ジェトロは 本文書の記載内容に関して生じた直接的 間接的 派生的 特別の 付随的 あるいは懲罰的損害及び利益の喪失については それが契約 不法行為 無過失責任 あるいはその他の原因に基づき生じたか否かにかかわらず 一切の責任を負いません これは たとえ ジェトロがかかる損害の可能性を知らされていても同様とします 本資料は信頼できると思われる各種情報に基づいて作成しておりますが その正確性 完全性を保証するものではありません ジェトロは 本文書の論旨と一致しない他の資料を発行している または今後発行する可能性があります - 15 -