原子力分野の研究開発に関する委員会 RI・研究所等廃棄物作業部会(第4回)【資料4-1-2】

Similar documents
海外における高レベル放射性廃棄物 処理 処分の取組み事例について 平成 26 年 2 月 18 日 公益財団法人原子力環境整備促進 資金管理センター 1

第 2 回保障措置実施に係る連絡会 ( 原子力規制庁 ) 資料 3 廃止措置施設における保障措置 ( 規制庁及び IAEA との協力 ) 平成 31 年 4 月 24 日 日本原子力研究開発機構安全 核セキュリティ統括部 中村仁宣

中深度処分を必要とする放射性廃棄物の処分に関する法制度の現状について

原子力分野の研究開発に関する委員会 RI・研究所等廃棄物作業部会(第3回)配付資料【資料3-2】

放射性廃棄物の発生 Q 放射性廃棄物 ってなに? 放射性廃棄物の発生場所 使用済燃料のリサイクルに伴って発生する廃棄物 放射性廃棄物 は 原子力発電や 使用済燃料のリサイクルなどに伴って発生する ( 放射線を出す ) 放射性物質を含む廃棄物 です 原子力発電所の運転に伴って発生する放射性廃棄物 ラン

NDA の概要 名称 NDA(Nuclear Decommissioning Authority) 位置付 Non Governmental Public Body ( 独立行政法人 ) 設立 2005 年 4 月 1 日 根拠法 Energy Act 2004 使命国有時代に発生した原子力債務の処

<4D F736F F F696E74202D F836F E E F181408E9197BF31312D33816A2E B8CDD8AB B83685


新旧対照表

原子力発電所等の検査制度の見直しなど原子力関連法の改正案

実用発電用原子炉の設置 運転等に関する規則 ( 抜粋 ) ( 昭和 53 年 最終改正 : 平成 25 年 )( 通商産業省令 ) ( 工場又は事業所において行われる廃棄 ) 第九十条法第四十三条の三の二十二第一項の規定により 発電用原子炉設置者は 発電用原子炉施設を設置した工場又は事業所において行

第 6 回最終処分関係閣僚会議資料 科学的特性マップの提示と今後の取組について 平成 29 年 7 月 28 日経済産業省

原子力に関する特別世論調査 の概要 平成 21 年 11 月 26 日 内閣府政府広報室 調査概要 調査対象 全国 20 歳以上の者 3,000 人 有効回収数 ( 率 ) 1,850 人 (61.7%) 調査期間 平成 21 年 10 月 15 日 ~10 月 25 日 調査方法 調査員による個別

我が国における放射性廃棄物処分に係る規制動向Ⅲ 文部科学省における取組について

PowerPoint Presentation

平成 29 年 12 月 27 日中部電力株式会社 浜岡原子力発電所原子炉施設保安規定の変更について 1. はじめに平成 28 年 4 月より導入したカンパニー制の自律的な事業運営をこれまで以上に促進するため, 各カンパニーへのさらなる機能移管をはじめ, 本店組織について, 戦略機能の強化と共通サー

スライド 1

可逆性 回収可能性に関する諸外国の取組状況について 国名 制度上の 可逆性 回収可能性の取組状況 位置付け スウェーデン 規制基準において 回収を容易にする措置( または困難にする措置 ) による安全性への影響の報告を義務づけ エスポ地下研究所において 実規模キャニスタの回収試験を実施 フィンランド

とを目指す必要がある このためには以下の10 領域における政策課題に取組む必要がある また 分類 Ⅳに分類される意見に基づく場合であっても 原子力施設の廃止措置やこれまで原子力発電の利用に伴い発生した放射性廃棄物の処分の取組に関するこれらの領域における政策課題に取組まなければならない (1) 福島第

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

原子炉物理学 第一週

( 裏 ) ( 注 )1 1 の欄は, 記入しないでください 2 核燃料等を取り扱う行為等 の欄は, 修正申告に係るものを で囲んでください 3 2 の欄は, 茨城県核燃料等取扱税条例付則第 4 条第 1 項の規定に該当する使用済燃料について記入してください 4 3 の欄は, 茨城県核燃料等取扱税条

資料 4 廃止措置施設における 保障措置について 2019 年 4 月 24 日 Copyright CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 1


研究開発の位置づけ エネルギー基本計画 ( 平成 26 年 4 月閣議決定 ) 高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取り組みの抜本強化のための方策として 地層処分の技術的信頼性について最新の科学的知見を定期的かつ継続的に評価 反映するとともに 幅広い選択肢を確保する観点から 直接処分など代替処分オ

平成 28 年度 事業報告書 平成 28 年 10 月 3 日から平成 29 年 3 月 31 日まで 使用済燃料再処理機構

開催日時 平成25年11月14日 木 9:3 17: 会場 東海大学高輪キャンパス1号館 第2会議室 講師 東海大学工学部原子力工学科 教授 大江 俊昭 氏 講義 課題1 放射性廃棄物処分の安全評価解析の基礎 Ⅰ 浅地中ピット処分の事例分析 Ⅱ 地層処分の事例分析 課題2 放射性廃棄物処分の安全評価

<30345F D834F E8F48816A2D8AAE90AC2E6D6364>

スウェーデンの放射性廃棄物処分に関する第三者評価の現状について 公益財団法人原子力環境整備促進 資金管理センター

2. 主要な政策課題領域原子力発電の利用に関する意見が分類 Ⅰ Ⅱ Ⅲのいずれに分類されるものであっても 国民に安心をもって原子力発電の利用を受け入れていただくことを目指す必要がある このためには以下の10 領域における政策課題に取組む必要がある また 分類 Ⅳに分類される意見に基づく場合であっても

A23 A24 A25 A26 A27 A28 A38 A39 燃料再処理 A40 A41 A42 A43 第 3 日 休 憩 総合講演 報告 3 日本型性能保証システム 燃料再処理 A29 A30 A31 A32 A33 A34 A35 燃料再処理 A36 A37 燃料再処理 A44 A45 A4

管理下にない放射性物質を見つけたら ~ 放射性物質が思わぬところから発見されることがあります ~ 原子力規制委員会原子力規制庁原子力防災政策課事故対処室安全規制管理官 ( 再処理 加工 使用担当 ) 付放射線対策 保障措置課放射線規制室放射線対策 保障措置課保障措置室監視情報課

原子力第6章.indd

< D834F E8F74816A2D8AAE90AC2E6D6364>

< D834F E8F48816A2D8AAE90AC2E6D6364>

ツールへのデータ入力前にすべきこと 一般廃棄物処理に係るフロー図を作成 < 収集 : 直営 > < 直接搬入 > 粗大ごみ **t <A 破砕施設 : 直営 > <D 最終処分場 > 粗大ごみ **t 粗大ごみ **t 粗大ごみ **t 燃やすごみ **t アルミ缶 **t スチール缶 **t びん

まえがき 低レベル放射性廃棄物の処理処分については 東京電力福島第一原子力発電所事故以降 事故に由来する放射性物質で汚染された廃棄物等の課題もあり 今後の展開が不透明となっている 一方 原子力政策の如何にかかわらず 低レベル放射性廃棄物の処理処分については着実に進めていく必要がある このようなジレン

<4D F736F F D2091E C F38DFC8CB48D C8E DA8E9F2E646F63>

(3)IAEAにおける安全基準作り等ア.IAEAでは IAEA 憲章に基づき 原子力施設 放射線防護 放射性廃棄物の管理及び放射性物質の輸送等に係るIAEA 安全基準文書 (IAEA Safety Standards Series) を作成し 加盟国における国際的に調和の取れた安全基準類の導入を支援

< D834F E8F48816A2D8AAE90AC2E6D6364>

本報告書は 原子力規制委員会原子力規制庁からの受注業務として 公益財団法人原子力環境整備促進 資金管理センターが実施した 平成 26 年度放射性廃棄物の処分 放射性物質の輸送等の規制基準整備委託費 ( 安全規制及び安全基準に係る内外の動向調査 ) 事業 の成果を取りまとめたものです

1 海水 (1) 平成 30 年 2 月の放射性セシウム 海水の放射性セシウム濃度 (Cs )(BqL) 平成 30 年 平成 29 年 4 月 ~ 平成 30 年 1 月 平成 25 ~28 年度 ~0.073 ~ ~0.

第 2 日 放射性廃棄物処分と環境 A21 A22 A23 A24 A25 A26 放射性廃棄物処分と環境 A27 A28 A29 A30 バックエンド部会 第 38 回全体会議 休 憩 放射性廃棄物処分と環境 A31 A32 A33 A34 放射性廃棄物処分と環境 A35 A36 A37 A38

中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会(第49回)



参考資料 1 ステークホルダー インボルブメント に関する取組について 平成 30 年 3 月 6 日原子力政策担当室

<4D F736F F F696E74202D2090C389AA8CA78CB48E7197CD8CA796AF8D758DC F18F6F A>

reference3

我が国のプルトニウム管理状況

sankou5

Définition des options de réversibilité en vue du Jalon 2009

<4D F736F F F696E74202D2090C389AA8CA78CB48E7197CD8CA796AF8D758DC0368C8E816992F18F6F A E362E3395CF8D58>

安全防災特別シンポ「原子力発電所の新規制基準と背景」r1

Isotope News 2017年4月号 No.750

別紙 平成 25 年末における我が国の分離プルトニウム管理状況 1. 分離プルトニウムの保管状況 ( ) 内は平成 24 年末の報告値を示す (1) 国内に保管中の分離プルトニウム量 単位:kgPu 再 施設名 ( 独 ) 日本原子力研究開発機構再処理施設 日本原燃株式会社再処理施設 合計 処 理

はじめに 1. 原子力発電拡大の理由付け 2. 発電費用について 発電のコストとは何か 電力別 ( 火力 水力 原子力 ) 財政的支出 ( 開発 立地 ) 総合的単価 3. 再処理 核燃料サイクルについて 再処理にいくらかかるのか 再処理の費用負担のあり方 4. 事故費用を総体としてとらえる 5.

第39回原子力委員会 資料第1-1号

日程表 mcd


スライド 1

第 48 回原子力委員会 資料第 7 号 秋庭原子力委員会委員の海外出張報告 平成 22 年 9 月 7 日 1. 渡航目的スウェーデン ドイツにおける放射性廃棄物の処分地選定に関する国民との合意形成の在り方及びスウェーデンにおける原子力施設の廃止措置等から生じる金属廃棄物の再利用について関係者と意

<93FA92F6955C2E6D6364>

Microsoft Word - 5章 doc

この制度は 2003 年 9 月 2 日から施行され 旧 地方自治法 244 条の2による管理委託を行ってきた 公の施設 の場合は 3 年間 ( 経過措置 ) の間に自治体が指定管理者制度に移行することになっている 現時点で 指定管理者制度導入のため 1 指定の手続きについて一般ルールとして定めた自

<955C8E D342E6169>

16-40.indd

資料 3 前回の小委員会の振り返りについて 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会 事務局

Microsoft PowerPoint - 和_小川様_presentation (Ogawa)Japanese rev6

豊田通商株式会社 CSR Report 2011

研究炉に関わる研究環境と課題

Microsoft Word - hlw.doc

Slide 1

マレーシアにおける原子力人材について

我が国のプルトニウム管理状況

研究炉班 : 審査会合 (28 回実施 ) ヒアリング (111 回実施 ) 地震津波班 : 審査会合 (33 回実施 ) ヒアリング (73 回実施 ) 新規制基準対応の想定スケジュール (HTTR) 設置変更許可申請 : 平成 26 年 11 月 26 日 第 1 回 : 平成 28 年 10

Microsoft Word - 様式2-8 産廃処理計画

原子力艦寄港地等放射能影響把握システムの整備平成 28 年度概算要求額 0.2 億円 (0.2 億円 ) < 事業の背景 > 防災基本計画を受けて策定された 原子力艦の原子力災害対策マニュアル ( 中央防災会議主事会議申合せ ) に基づき 原子力艦の原子力災害に関する通報を受けた場合には 直ちに平常

しかし その使途について 例えば 電源立地促進対策交付金は 道路や公共施設の建設等に限定されているなど 交付を受ける地方公共団体からは その使い勝手に不満も出ていた このような状況を受け 資源エネルギー庁では 平成 15 年 発電用施設周辺地域整備法及び電源開発促進対策特別会計法の一部を改正する法律

宮下第三章

原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案(新旧対照表)

原子力規制委員会設置法案に対する附帯決議

1 制度の概要 (1) 金融機関の破綻処理に係る施策の実施体制金融庁は 預金保険法 ( 昭和 46 年法律第 34 号 以下 法 という ) 等の規定に基づき 金融機関の破綻処理等のための施策を 預金保険機構及び株式会社整理回収機構 ( 以下 整理回収機構 という ) を通じて実施してきている (2

42 青森県核燃料物質等取扱税条例 ( 課税の根拠 ) 第 1 条地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 4 条第 3 項の規定に基づき この条例の定めるところにより 核燃料物質等取扱税を課する ( 用語の意義 ) 第 2 条この条例において 次の各号に掲げる用語の

RIETI Highlight Vol.66

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

PowerPoint プレゼンテーション

つがる市小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備建設に関するガイドライン 平成 29 年 11 月 15 日公表 1 目的本ガイドラインは つがる市 ( 以下 市 という ) において小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備及び設備建設に伴う送電線等の付帯設備 ( 以下 小形風力発電設備等 という

第28回原子力委員会 資料第3号

日本基準基礎講座 有形固定資産

<4D F736F F D BA692E88B7982D18AD698418B4B92F D F4390B382C882B5816A2E646F63>

1 東通原子力発電所の概要 事業主体 / 東北電力 東京電力 東通原子力発電所は 東北 東京両電力 が下北郡東通村に 110 万 kw の沸騰水型軽水炉 (BWR)1 基 138 万 5 千 kw の改良型沸騰水型軽水炉 ( ABWR)3 基を建設する計画と なっています 1 主な立地の経緯通商産業

〔表紙〕

スライド 1

525 人 ( 県内避難者 8 万 4671 人, 県外避難者 4 万 5854 人 ) となっている 福島第一原発事故は, まさしく, 重大な人権侵害である (2) 福島第一原発事故前にも, 原子炉施設の設置許可においては 災害の防止上支障がないこと であることが要件とされてきた ( 平成 24

平成 年度予算内訳 費目 2 年度当初予算 25 年度要求 安全規制情報の収集 0 1 安全条約等関連 職員相互交流 7 7 研修事業費セミナー開催費 計 151 百万円 151 百万円 主な増減理由

【環境省】各行政機関における政策評価の結果及びこれらの政策への反映状況(個表)

平成21年6月23日

ここに議題名を入力

福島県内の災害廃棄物の処理の方針

Transcription:

RI 研究所等廃棄物作業部会 ( 第 4 回 ) 資料第 4-1-2 号 諸外国における低レベル放射性廃棄物 処分の現状について 本資料は日本における低レベル放射性廃棄物に相当する諸外国の放射性廃棄物についてまとめたものである 1

チェコ 原子力政策 原子力の利用を 地球温暖化ガスの排出低減 及び海外からのエネルギー依存低減の観点から高い重要度に位置付けている ( 国家エネルギー政策 :2004 年 ) 放射性廃棄物は 原子力法により国家が安全に処分する責任を有する 低レベル放射性廃棄物の処分への取組状況 廃棄物の分類 : 短寿命低中レベル放射性廃棄物長寿命低中レベル放射性廃棄物 処分形態 : 岩盤空洞処分 / 地表コンクリートピット ( 短寿命 ) 地層処分( 長寿命 ) 実施体制 : 1 実施主体 : 放射性廃棄物処分機関 (SÚRAO) 2その他 : 処分場 - 原子力分野における活動は貿易 産業省 (MPO) が調整する 操業主体 - 原子力法に基づき2000 年から操業中処分方法の処分場は国家所有となる 処分対象 規制 : 1 規制機関 : 国家原子力安全庁 (SÚJB) 累積処分量 理解増進 地域共生 低レベル放射性廃棄物処分の資金確保 廃棄物発生者 : 原子力法により 政府決定に基づき原子力基金 (Nuclear Account) へ必要費用を支払うこととなっている 原子力法施行前に発生した廃棄物や発生者が特定できない廃棄物については国家が費用を負担する 低レベル放射性廃棄物処分の安全確保 法規制 ( 原子力法及びその他実施規則 ) を整備し 既存処分場への規制が実施されている 放射性廃棄物の管理において 化学毒性の管理は一般の廃棄物規制に準拠して実施される クリアランス制度は整備済み 低レベル放射性廃棄物処分場 リチャード SÚRAO 岩盤空洞 医療 産業 研究機関からの低中レベル放射性廃棄物 880m 3 (2004 年 ) 見学者受入 インフォメーションセンタ設置等による住民への情報提供 フ ラツィリトヒ SÚRAO 岩盤空洞 天然起源の低中レベル放射性廃棄物 6,260m 3 (2004 年 ) パンフレット等による住民への情報提供 ドコバニ SÚRAO 地表コンクリートヒ ット 原子力発電所からの低中レベル放射性廃棄物 4,733m 3 (2004 年 ) 見学者受入 インフォメーションセンタ設置等による住民への情報提供 2

フィンランド 原子力政策 原子力発電を エネルギー自給や環境問題の解決のための有効なオプションと位置付けている 放射性廃棄物の発生者には その将来の費用負担を含めた管理措置を講じる責任がある ( 医療 研究 産業などの小規模発生者も同様 ) 低レベル放射性廃棄物の処分への取組状況 廃棄物の分類 : 低レベル放射性廃棄物 中レベル放射性廃棄物 医療 産業 研究 (MIR) から発生する放射性廃棄物 処分形態 : 地下岩盤空洞 ( 発電所から発生する低中レベル ) 小規模発生者や MIR については処分方針未決定 実施体制 : 1 実施主体 : 電力会社 2 その他 :2 つの民間電力会社の各発電所サイトで処分を実施 ( 小規模発生者は STUK の管理下で保管されているが 処分方策は未定 ) 規制 : 1 規制機関 : 放射線 原子力安全センター (STUK) 2 その他 : 許認可発給は政府 全般的な監督権限は貿易産業省 ( 小規模発生者の監督権限は社会保健省 ) 処分場 低レベル放射性廃棄物処分の資金確保 原子力施設 ( 研究炉含む ): 原子力発電電力の販売価格に組み入れられ 電力会社が国家放射性廃棄物管理基金へ毎年の見積額に基づき支払う 小規模発生者 : 保証金の供託 或いは 管理費用を支払ったうえで廃棄物の STUK への引き渡しが行われる 低レベル放射性廃棄物処分の安全確保 法規制 ( 一般規則 指針 ) が整備され 既存処分場への規制が実施されている 化学毒性は環境影響評価において考慮される ( なお 既存の処分場は原子炉廃棄物のみのため混合廃棄物ではない ) クリアランス制度は整備済み ( 小規模発生者も同様 ) 操業主体 処分方法 処分対象 低レベル放射性廃棄物処分場 累積処分量 理解増進 地域共生 オルキルオト テオリスーテ ン ホ イマ社 岩盤サイロ型 坑道型 発電所からの低中レベル放射性廃棄物 4,140m 3 (2004 年 ) ロビーサ フォルツム ハ ワー アント ヒート社 1,234m 3 (2004 年 ) 原子力発電所を含む施設全体としての理解促進活動 立地自治体への固定資産税率優遇措置 3

フランス 原子力政策 原子力発電をエネルギー自給などの観点から積極的に推進し 使用済燃料の再処理オプションを選択している 放射性廃棄物の発生者は 廃棄物の処分までの責任を有し 行政法人が設置する処分場に処分 低レベル放射性廃棄物の処分への取組状況 廃棄物の分類 : 極低レベル放射性廃棄物 短寿命低中レベル放射性廃棄物 長寿命低レベル放射性廃棄物 長寿命中レベル放射性廃棄物 処分形態 : 浅地中処分 ( 極低レベル 短寿命低中レベル ) 実施体制 : 1 実施主体 : 放射性廃棄物管理機関 (ANDRA) 2 その他 : 短寿命低中レベル及び極低レベルの廃棄物については 実施 規制の制度が整備され 小規模発生者からの廃棄物も含めて ANDRA が設置した処分場で処分を実施 ( 密封線源については検討中 ) 規制 : 1 規制機関 : 原子力安全当局 (ASN)( 極低レベル処分場の原子力安全については環境省公害 危険防止局 (DPPR)) 2 その他 : 許可発給は政府 ( 極低レベル処分場については県知事 ) 低レベル放射性廃棄物処分の資金確保 オーブ処分場については ANDRA 設置デクレの下 ANDRA は主要廃棄物発生者 ( フランス電力株式会社 フランス原子力庁 COGEMA 社 ) から個々に締結した処分場の建設費等の事前調達を含む協定或いは契約に基づき処分費用を調達 上記以外については ANDRA が実施した廃棄物処分費用を処分の都度請求 低レベル放射性廃棄物処分の安全確保 法規制が整備され 既存処分場への規制が実施されている 化学毒性は一般的に環境影響評価で考慮 統一的なクリアランス制度は無いが 産業及び非医療研究分野の廃棄物については クリアランス制度を整備中 半減期 100 日未満の廃棄物については 適切な管理後に一般廃棄物として処分可能 低レベル放射性廃棄物処分場 処分場 操業主体 処分方法 処分対象 累積処分量 理解増進 地域共生 オーブ ANDRA コンクリートピット 短寿命低中レベル 136,562m 3 (2004 年 ) 地域情報監視委員会 (CLIS) を通じた情報提供 処分場の一般公開等 モルビリエ ANDRA 素堀トレンチ 極低レベル 16,644m 3 (2004 年 ) 地域情報監視委員会 (CLIS) の設置 4

ノルウェー 原子力政策 1986 年に 政府が原子力を当面利用しないことを決定しており 研究活動のみ実施している 低中レベル放射性廃棄物は 国家が処分する責任を有しており 処分費用は国家 ( 貿易 産業省 ) が負担する 低レベル放射性廃棄物の処分への取組状況 廃棄物の分類 : 法令により廃棄物区分の基準は定められていないが 可能な限り IAEA の安全シリーズ No.111- G1.1 放射性廃棄物の分類 が適用される 処分形態 : 岩盤空洞内コンクリートピット方式 実施体制 : 1 実施主体 : エネルギー技術研究所 (IFE) 規制 : 1 規制機関 : ノルウェー放射線防護局 (NRPA) 2 その他 : 許認可発給は政府が行なう 低レベル放射性廃棄物処分の資金確保 国家 ( 貿易 産業省 ): 処分施設の操業 維持費用を負担する 廃棄物発生者 : 廃棄物の処理施設までの輸送費用 及び処理費用を負担する 低レベル放射性廃棄物処分の安全確保 法規制 ( 原子力法及びその他関連規則 ) が整備され 操業中の処分場への規制が実施されている 化学毒性は環境影響の観点から安全性が評価され 影響を無視できない場合は汚染規制法の規制を受ける クリアランスレベルは NRPA がケースバイケースで設定する 低レベル放射性廃棄物処分場 処分場 操業主体 処分方法 処分対象 累積処分量 理解増進 地域共生 ヒムダーレン IFE 岩盤空洞内コンクリートピット 国内で発生する低中レベル ( 長寿命廃棄物 高放射能の密封線源 TE-NORM( 技術的に高められた自然起源の放射性物質 ) を除く ) 887m 3 (2004 年 ) 立地 建設段階において公衆との対話や情報提供等により透明性を有する手続きを進める また 処分施設への見学者を受け入れる 5

スペイン 原子力政策 原子力発電については 新規増設計画はなく 10 基あった原子炉のうち 既に 1 基は廃炉 2006 年中には更に 1 基が廃炉となる状況 放射性廃棄物政策は 放射性廃棄物総合計画 (GRWP) によって定期的 (4 年毎が基本 ) に示され 短中寿命低中レベル放射性廃棄物の国内唯一の処分場が稼働中 低レベル放射性廃棄物の処分への取組状況 廃棄物の分類 : 短中寿命極低レベル放射性廃棄物 長寿命極低レベル放射性廃棄物 短中寿命低中レベル放射性廃棄物 長寿命低中レベル放射性廃棄物 処分形態 : 地表での処分 ( 覆土 ) 実施体制 : 1 実施主体 : 放射性廃棄物管理公社 (ENRESA) 2 その他 : 放射性廃棄物管理のために実施主体 ENRESA が設置された ( 国営会社 ) 小規模廃棄物発生者からの廃棄物も含めた短中寿命低中レベル放射性廃棄物の処分を実施 規制 : 1 規制機関 : 原子力安全審議会 (CSN) 2 その他 : 規制基準策定は政府 認可当局は産業 観光 商務省 (MITYC) 低レベル放射性廃棄物処分の資金確保 発生者毎に以下の資金提供方法を規定し 基金に積立 (ENRESA が管理 ) られる 1 原子力発電所 : 電力料金への課金により徴収 2 核燃料製造施設 : ウラン 燃料集合体製造契約金額の一定パーセントの料金 3 小規模発生者 : 廃棄物引渡時の課金料金制度に基づき請求 低レベル放射性廃棄物処分の安全確保 法規制が整備され 既存処分場への規制が実施されている 化学毒性は一般的に環境影響評価で考慮される 一般的なクリアランス制度はないが 小規模発生者より発生する 非密封線源 についてはクリアランスの規定がある 低レベル放射性廃棄物処分場 処分場 操業主体 処分方法 処分対象 累積処分量 理解増進 地域共生 エルカブリル ENRESA 地表処分 ( 覆土 ) 短中寿命低中レベル 22,000m 3 (2003 年 ) ENRESA による理解促進活動の他に 放射性廃棄物管理の資金の一部を立地自治体へ割当 6

スウェーデン 原子力政策 原子力発電からの段階的撤退政策をとっており 12 基の原子炉のうち 2 基を閉鎖 原子力発電会社に廃棄物の処理 処分の包括的研究開発及び具体的措置の計画策定を義務付け 政府が認可 低レベル放射性廃棄物の処分への取組状況 廃棄物の分類 : 極低レベル放射性廃棄物短寿命低中レベル放射性廃棄物長寿命低中レベル放射性廃棄物 処分形態 : 地表 ( 極低レベル ) 岩盤内 ( 低中レベル ) 実施体制 : 1 実施主体 : スウェーデン核燃料 廃棄物管理会社 (SKB 社 ) 2 その他 : 原子力発電所及びスタズビック研究施設 ( 放射性廃棄物の処理を実施 ) からの廃棄物については 処分を実施 中小廃棄物発生者の責任は明確化されているが 実施体制は未整備 規制 : 1 規制機関 : スウェーデン原子力発電検査機関 (SKI) スウェーデン放射線防護機関 (SSI) 2 その他 : 許可発給は政府 ( 極低レベルは SKI/SSI) 低レベル放射性廃棄物処分の資金確保 原子力発電所及びスタズビック研究施設からの廃棄物については 原子力発電会社が発電電力量に応じて放射性廃棄物基金に拠出 (SFR 1 で処分される廃棄物を除く ) SFR 1 での処分費は 処分の都度 廃棄物発生者から実施主体に支払われる 低レベル放射性廃棄物処分の安全確保 法規制が整備され 既存処分場への規制が実施されている 化学毒性は 環境影響評価で考慮される クリアランスに係る規則が整備されているが 見直し中である 低レベル放射性廃棄物処分場 処分場 操業主体 処分方法 処分対象 累積処分量 理解増進 地域共生 SFR 1 SKB 社 岩盤内空洞 ( サイロ及びボールト ) 短寿命低中レベル放射性廃棄物 30,446m 3 (2004 年 ) 情報提供費用を放射性廃棄物基金から立地自治体に交付 その他 : 原子力発電所から発生する極低レベル放射性廃棄物については 原子力発電所の敷地内にて各発電所所有者により浅層埋設処分が実施されている 7

英国 原子力政策 原子力発電については 民間の経営判断としているが新規の着工は推奨しない 低レベル放射性廃棄物の浅地中処分を推奨する合理的な根拠はあるが 地元住民の安全に対する懸念を考慮して浅地中処分の利用の増大は奨励せず 今後は中レベル放射性廃棄物とともに地層処分等を行なうことを検討 低レベル放射性廃棄物の処分への取組状況 廃棄物の分類 : 低レベル放射性廃棄物 中レベル放射性廃棄物 処分形態 : 浅地中処分 ( 低レベル ) 実施体制 : 1 実施主体 : 英国原子力グループ セラフィールド社 (BNGS) 2その他 : - 過去の原子力遺産を管理するため 原子力廃止措置機関 (NDA) に施設を移管 - 放射性廃棄物の管理方策を検討するため 政府は放射性廃棄物管理委員会 (CoRWM) を設置 規制 : 1 規制機関 : - 労働安全面 : 保健安全委員会 (HSC) 保健安全執行部 (HSE) 原子力安全総局 (NSD) 原子力施設検査官室 (NII) - 環境面 : 環境 食料 農村地域省 (DEFRA) イングランドとウェールズの環境規制 低レベル放射性廃棄物処分の資金確保 処分料金として実施主体が廃棄物の受入時に受け取る 低レベル放射性廃棄物処分の安全確保 放射性廃棄物管理の保健及び安全性 環境保護の観点から規制が実施されている 生物学的 化学的またはその他の危険性については 法令に基づいて作業員 公衆及び環境に影響を与える可能性が考慮されている クリアランス制度は整備済み 低レベル放射性廃棄物処分場 処分場 操業主体 処分方法 処分対象 累積処分量 理解増進 地域共生 機関 (EA) ドリッグ BNGS 浅地中処分 ( コンクリートピット ) 低レベル放射性廃棄物 1,000,000m 3 (2002 年 ドンレイ処分場を含む ) 情報提供 教育等への寄与 8

米国 原子力政策 原子力発電所については 1979 年以来 新たな建設着工はないが 運転年数の延長 新規の建設に向けた許認可が進められている 低レベル放射性廃棄物は 各州または州間協定の枠内で処分する責任がある 低レベル放射性廃棄物の処分への取組状況 廃棄物の分類 :TRU 廃棄物低レベル放射性廃棄物 ( 濃度によってクラス A クラス B クラス C クラス C 超えに分類 ) 副生成物 処分形態 : 地層処分 (TRU) 浅地中処分 ( 低レベル 副生成物 ) 実施体制 : 1 実施主体 : 民間会社 2 その他 : - エネルギー省は自ら処分を実施 - 法律に基づいて各州または州間協定で処分場を設置するが 新規立地は難航 規制 : 1 規制機関 : 原子力規制委員会 (NRC) との協定を結んだ州 処分場 操業主体 処分方法 処分対象 低レベル放射性廃棄物処分の資金確保 処分料金として実施主体が廃棄物の受入時に受け取る 処分料金は州関係機関が審査をして決定 閉鎖 閉鎖後モニタリングなどのための基金を州が管理 低レベル放射性廃棄物処分の安全確保 連邦規則 (10 CFR Part 61) に準拠した州による規制が実施されている 化学毒性を含む放射性廃棄物は混合廃棄物として州の規制を受ける クリアランス制度は整備されていない 累積処分量 理解増進 地域共生 低レベル放射性廃棄物処分場 リッチラント US エコロシ ー社 素掘トレンチ クラス A~C 380,000m 3 (2000 年 ) 民間事業の支援等を実施 ハ ーンウェル ケム ニュークリアシステム社 素掘トレンチ クラス A~C 770,000m 3 (2000 年 ) 社会活動への貢献 クライフ エンハ イロケア オフ ユタ社 処分セル クラス A のみ 140,000m 3 (2000 年 ) 9

( 参考 ) 日本 原子力政策 原子力発電を基幹電源に位置付けて 着実に推進していく 放射性廃棄物は 発生者責任の原則 等のもとで適切に区分を行い それぞれの区分毎に安全に処理処分することが重要である 低レベル放射性廃棄物の処分への取組状況 廃棄物の分類 : 地層処分を行う放射性廃棄物管理処分を行う放射性廃棄物 処分形態 : 地層処分管理処分 ( 浅地中トレンチ処分 浅地中ピット処分 余裕深度処分 ) 実施体制 : 1 実施主体 : 日本原子力研究開発機構 ( 動力試験炉 (JPDR) の解体から発生した浅地中トレンチ処分される廃棄物を対象 ) 日本原燃 ( 株 ) ( 原子力発電所から発生する浅地中ピット処分される廃棄物を対象 ) 規制 : 1 規制機関 : 経済産業省原子力安全 保安院 2 その他 : 既に処分が実施されている原子炉施設から発生する浅地中処分相当の廃棄物以外の廃棄物については 安全規制の制度整備が行われつつある 低レベル放射性廃棄物処分の資金確保 原子力発電所から発生するピット処分相当の廃棄物については 実施主体が廃棄物の受入時に受け取る 原子力発電所の解体廃棄物については 原子力発電施設解体準備金の制度有り 再処理施設から発生する廃棄物については 使用済燃料再処理準備金の制度有り 低レベル放射性廃棄物処分の安全確保 廃棄物埋設については 原子炉等規制法 放射線障害防止法に記載有り 原子炉等規制法については クリアランス制度が導入されている 放射線障害防止法におけるクリアランス制度の導入について検討中 低レベル放射性廃棄物処分場 処分場所 操業主体 処分方法 処分対象 理解増進 地域共生 茨城県東海村 日本原子力研究開発機構 浅地中トレンチ JPDR の解体廃棄物 青森県六ヶ所村 日本原燃 ( 株 ) 浅地中ピット 原子力発電所からの低レベル放射性廃棄物 ハ ンフレット HP 等による情報公開 見学者受入 電源開発促進対策特別会計による交付金 10

参考資料 11

チェコ リチャード処分場 ブラツィリトビ処分場 ドコバニ処分場 SÚRAO 提供 12

フィンランド オルキルオト処分場 ( 岩盤サイロ型 ) ロビーサ処分場 ( 坑道型 ) 放射性廃棄物等安全条約に基づくフィンランド国別報告書 ( 第 2 回 ) より引用 13

フランス オーブ処分場 ( 浅地中処分 ) モルビリエ処分場 ( 浅地中処分 ) ANDRA 提供 14

ノルウェー ヒムダーレン処分施設 IFE 提供 15

スペイン エルカブリル処分場 ( 地表処分 ) 放射性廃棄物管理公社 (ENRESA) 資料より引用 16

スウェーデン SFR1 処分場 SKB 社資料より引用 17

英国 ドリッグ処分場 BNFL 社ウェブサイトより引用 BNFL 社資料より引用 18

米国 リッチランド処分場 ワシントン州ウェブサイトより引用 19