北見市特別支援教育の指針 平成 25 年 11 月

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教育支援資料 ~ 障害のある子供の就学手続と早期からの一貫した支援の充実 ~ 平成 25 年 10 月 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課

岐阜県手話言語の普及及び障害の特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関 する条例 目次前文第一章総則 ( 第一条 - 第八条 ) 第二章基本的施策の推進 ( 第九条 - 第十六条 ) 附則 ( 前文 ) 手話が言語であることは 障害者の権利に関する条約において世界的に認められており わが国においても

Q1 診断書等がない子どもへの合理的配慮はどう考えたらよいのか A1 診断書や障がい者手帳等の有無が 合理的配慮の提供に関する判断の基準ではありません 教育支援資料 ( 文部科学省平成 25 年 10 月 ) において 各障がいは以下のように定義されています ( 参考 ) 教育支援資料における各障が

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広島市障害者計画 2013 ー 2017 平成 25 年 3 月 広島市

大泉町手話言語条例逐条解説 前文 手話は 手指の動きや表情を使って視覚的に表現する言語であり ろう者が物事を考え 意思疎通を図り お互いの気持ちを理解しあうための大切な手段として受け継がれてきた しかし これまで手話が言語として認められてこなかったことや 手話を使用することができる環境が整えられてこ

も少なくありません こうした状況に鑑み 舞鶴市は 言語としての手話の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進を図ることにより 全ての市民が障害の有無によって分け隔てられることなく 自分らしく安心して暮らすことができる地域社会を実現するため この条例を制定するものです 2. 条例の

(3) 障害を理由とする差別障害を理由とする不当な差別的取扱いを行うこと又は合理的配慮の提供をしないことをいいます (4) 障害を理由とする不当な差別的取扱い客観的にやむを得ないと認められる特別な事情なく 障害又は障害に関連する事由により障害者を区別し 排除し 又は制限すること 障害者に障害者でない

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1 広島市障害者計画の策定について

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目 次 1 実施方針策定の趣旨 P. 1 2 振興計画に基づく取組みと求められる対応 P. 1 (1)Ⅰ 期期間中の取組み (2) 新制度のもと求められる対応 3 当面の実施方針 P. 2 (1) 基本となる考え方 (2) 当面の実施方針 4 新制度のもとでの市立幼稚園 P. 3 (1) 市立幼稚園

二さらに現代社会においては 音楽堂等は 人々の共感と参加を得ることにより 新しい広場 として 地域コミュニティの創造と再生を通じて 地域の発展を支える機能も期待されている また 音楽堂等は 国際化が進む中では 国際文化交流の円滑化を図り 国際社会の発展に寄与する 世界への窓 にもなることが望まれる

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資料3-1 特別支援教育の現状について

(3) その他 全日制高校進学率の向上を図るため 更に公私で全体として進学率が向上するよう工夫する そのための基本的な考え方として 定員協議における公私の役割 を次のとおり確認する 公立 の役割: 生徒一人ひとりの希望と適性に応じて 多様な選択ができるよう 幅広い進路先としての役割を担い 県民ニーズ

いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

越谷市手話言語条例の逐条解説 前文言語は お互いの意思や感情を伝え 理解し合い 知識を蓄え 文化を創造し 継承する上で必要不可欠なものです 日本手話をはじめとする日本の手話 ( 以下 手話 という ) は 手や指の動き 表情を使い視覚的に表現するものであり 音声言語である日本語と同様に一つの言語です

はじめに 我が国においては 障害者の権利に関する条約 を踏まえ 誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い 人々の多様な在り方を相互に認め合える 共生社会 を目指し 障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みである インクルーシブ教育システム の理念のもと 特別支援教育を推進していく必要があります

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基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

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P5 26 行目 なお 農村部は 地理的状況や通学時 間等の関係から なお 農村部は 地理的状況や通学時 間等から P5 27 行目 複式学級は 小規模化による学習面 生活面のデメリットがより顕著となる 複式学級は 教育上の課題が大きいことから ことが懸念されるなど 教育上の課題が大きいことから P

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格と個性を尊重し合いながら共に生きる地域社会 の実現に努めてまいりました 一方で 今なお 障害や障害者に対する誤解や偏見があり 周囲の理解が不十分なことにより 障害者の自立や社会参加が妨げられているという現状がございます こうした課題認識の下 この条例では 市 事業者及び市民における障害や障害者に対

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Transcription:

北見市特別支援教育の指針 平成 25 年 11 月

北見市特別支援教育の指針目次 はじめに 1 指針の趣旨 1 2 北見市における小 中学校の特別支援教育の現状と課題 (1) 現状 (2) 課題 2 第 1 章北見市における特別支援教育の基本的な考え方と方向性 1 基本的な考え方 2 特別支援教育の方向性 3 第 2 章一貫した支援をするための関係機関との連携強化 1 適切な情報提供と教育相談 支援 2 北見市就学指導委員会 3 北見市幼保小三者協議会 4 北見市特別支援教育連携協議会 4 第 3 章小 中学校における特別支援教育の充実 1 個別の教育支援計画 の作成と引継ぎ 2 支援員との連携 3 交流及び共同学習 4 環境等の整備 第 4 章小 中学校における専門性の向上 1 管理職 特別支援コーディネーター 教職員研修の充実 2 支援員研修の充実 5 むすび * 用語解説 6

はじめに 1 指針の趣旨 この指針は 学校教育法等の一部改正による特別支援教育の本格実施 新学 習指導要領に対応し 北見市における特別支援教育を推進するため 特別支援 教育に関する基本的な考え方と施策の方向性を示すものです 2 北見市における小 中学校の特別支援教育の現状と課題 (1) 現状 1 早期からの相談障がいのある乳幼児をもつ保護者への早期からの相談や療育については 北見市保健福祉部健康推進課や子育て支援推進室を中心に実施されています 2 小 中学校における特別支援教育体制各学校においては 平成 19 年の学校教育法の一部改正により 校内委員会 *1 の設置や特別支援教育コーディネーター *2 の指名など校内体制の整備が進められ 指導にあたっての具体的な目標や内容などを示す 個別の指導計画 *3 に基づき きめ細かな指導や支援が行われています しかし 長期的な視点で 医療 福祉などの関係機関と連携しながら 一貫 した適切な支援を行うことを目的として作成する 個別の教育支援計画 *4 については 全ての学校で作成とはなっていない状況です また 北見市においては 昭和 54 年度より特殊学級 ( 現特別支援学級 : 平成 19 年 4 月の学校教育法の一部改正による ) に介助員の配置をしてきましたが 平成 19 年度からは特別支援学級に加え 通常学級にも生活の介助や学習活動の支援などを行う特別支援教育支援員 *5 ( 以下 支援員 という ) を配置し 児童生徒のニーズに応じた支援が行われています 3 交流及び共同学習 *6 学校では 障がいのある子どもと障がいのない子ども相互のふれあいを大切に 教科等で一緒に学習しています 4 対象児童生徒数の推移各学校においての指導や支援は 特別支援学級や通級指導教室 *7 のほか 通常の学級に在籍する特別な支援を要する児童生徒へも行っています また 特別支援教育に対するニーズの高まりなどを背景として 北見市における特別支援学級に在籍する児童生徒の人数は 平成 19 年度の112 人から 平成 25 年度は243 人と 約 2 倍に増加している状況にあります 北見市の小中学校特別支援学級在籍者数 通級指導教室 肢知自閉 病難弱言体的情緒虚聴視語 合計 障がい 人数 小 7 46 106 9 2 0 2 172 言語 88 中 4 22 39 5 0 0 1 71 その他 44 合計 11 68 145 14 2 0 3 243 合計 132 平成 25 年 5 月 1 日現在 1

(2) 課題 1 早期からの相談障がいのある児童生徒及びその保護者と学校や教育委員会が必要な支援について合意形成を図り就学先を決定するためには 乳幼児をもつ保護者が早期から教育相談 支援が受けられるよう 関係機関の情報を提供する必要があります 2 小 中学校における特別支援教育体制学校は 就学時から中学校卒業時まで一貫した支援を行うため 関係機関と連携しながら 個別の教育支援計画 を作成し 引継ぎをする必要があります 支援員が配置されている学校においては 学級担任などと支援員とが連携しながら指導や支援の充実を図る必要があります 3 交流及び共同学習交流及び共同学習は 社会を構成する様々な人々と共に助け合い 支え合って生きていくことを学ぶ機会であるとともに 自立と社会参加を促す上で大切な機会であることから 一層の充実を図る必要があります また 共に学ぶための学校施設整備の充実に努める必要があります 4 教職員の専門性の向上教職員が児童生徒の学習上 生活上の困難に気付き 適切な指導 支援にあたるためには 障がいについての理解を深める研修の充実を図る必要があります 第 1 章北見市における特別支援教育の基本的な考え方と方向性 1 基本的な考え方障がいの重度 重複化や多様化を背景に 共生社会 *8 の形成に向けて 障害者の権利に関する条約 *9 に基づくインクルーシブ教育システム * 10 の理念が示され 障害者基本法 *11 の一部改正 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 *12 が公布され法的整備がされてきております このことから 児童生徒 保護者の教育的ニーズに対し 可能な限り対応し特別支援教育を着実に推進する必要があります このため 次の基本的な考え方に基づき 北見市の特別支援教育を推進していきます 特別支援教育の基本的な考え方障がいのある児童生徒が 自己の能力や可能性を伸ばし 自立や社会参加が図られるよう 支援体制を整備し 一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな教育を推進します 2

2 特別支援教育の方向性 基本的な考え方 に基づき 北見市の特別支援教育を推進します 一貫した支援をするために関係機関の連携を強化します (1) 適切な情報提供と教育相談 支援の充実 (2) 北見市就学指導委員会業務の充実 (3) 幼保小三者協議会による連携の推進 (4) 北見市特別支援教育連携協議会の取組の充実小 中学校における特別支援教育体制を充実します (1) 個別の教育支援計画 の作成 引継ぎの推進 (2) 支援員との連携の充実 (3) 交流及び共同学習の充実 (4) 環境等の整備の推進 第 2 章 第 3 章 教職員の専門性の向上を図ります 第 4 章 (1) 管理職 特別支援教育コーディネーター 教職員研修の充実 (2) 支援員研修の充実 第 2 章一貫した支援をするための関係機関との連携強化 1 適切な情報提供と教育相談 支援 (1) 教育委員会や北見市保健福祉部健康推進課 子育て支援推進室が連携を図り 就学前の幼児の保護者に 医療 保健 福祉などの相談 支援機関の情報を適切に提供するよう努めます (2) 教育委員会は 就学にあたり 本人 保護者と十分な相談を行い 意見を最大限尊重し 学校とともに教育的ニーズと必要な支援について合意形成を図るなど 早期からの十分な教育相談 支援が行われるように努めます 2 北見市就学指導委員会教育委員会は 北見市就学指導委員会を設置し 障がいのある児童生徒の就学について 専門家や就学相談担当者による調査 検査などを基に これまでも慎重な審議を行ってきました 今後も 児童生徒の就学について適切な助言及び指導が十分なされるよう努めます 3 北見市幼保小三者協議会教育委員会は 北見市幼保小三者協議会を開催し 小学校が幼稚園 保育園と連携し情報を共有することで 小学校入学時より児童一人一人の教育的ニーズに配慮するよう努めます 3

4 北見市特別支援教育連携協議会教育委員会は 医療 保健 福祉などの関係機関と連携し 特別な支援を要する児童生徒に対する適切な教育的支援を行うため 北見市特別支援教育連携協議会を設置しています 学校が必要に応じて本協議会の専門家チーム部会や巡回相談部会による適切な助言及び指導を受けられるよう相談の充実に努めます 第 3 章小 中学校における特別支援教育体制の充実 1 個別の教育支援計画 の作成と引継ぎ (1) 学校は 児童生徒一人一人の障がいの状態などに応じ きめ細かな指導を行うため 個別の指導計画 を一層充実させるとともに 本人 保護者の意向を踏まえ 長期的展望に立った 個別の教育支援計画 を作成し 関係機関などと連携した効果的な指導や支援に努めます (2) 学校は 就学前から中学校卒業後の進学先 就労先との間で 本人 保護者の同意を得て 個別の教育支援計画 の引継ぎが行われるよう努めます 2 支援員との連携学校は 学級担任などと支援員の連携 協力が不可欠なことから 情報交換や支援内容について打合せができる体制づくりに努めます 3 交流及び共同学習交流及び共同学習は 互いに理解し合い それぞれが同じ社会に生きている人間として 共に助け合い 支え合う好ましい人間関係を育てる大切な機会であることから 内容について十分に検討し 教職員相互の共通理解の下 一層の充実に努めます 4 環境等の整備 (1) 障がいのある児童生徒が地域の学校で学ぶことができるよう ユニバーサルデザイン *13 の学校づくりに努めます (2) 障がいのある児童生徒の通学利便の向上と保護者の負担軽減を図るため 通学費補助等の支援制度の実施に努めます 第 4 章教職員の専門性の向上 1 管理職 特別支援教育コーディネーター 教職員研修の充実 (1) 管理職や特別支援教育コーディネーターを対象に 校内支援体制の構築や関係機関との連携の在り方などに関する研修の充実に努めます (2) 教職員が児童生徒の学習上及び生活上の困難に気付き 教育的ニーズに応じた適切な指導や支援を行うため 特別支援教育に関する理解が深まるよう研修の充実に努めます 4

2 支援員研修の充実教育委員会は 北見市特別支援教育連携協議会と連携して 支援員が児童生徒に適切な対応ができるよう 主な障がいの特性の理解や特別支援教育の基本的な考え方などについての研修の充実に努めます むすび 北見市教育委員会は 障がいのある児童生徒が 自己の能力や可能性を伸ばし 自立や社会参加が図られるよう 支援体制を整備し 一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな教育を推進するため 本指針を策定しました この指針をもとに 北見市教育委員会は 北見市就学指導委員会 北見市幼保小三者協議会 北見市特別支援教育連携協議会と連携しながら 北見市における特別支援教育の質的向上と内容の充実を図っていきたいと考えております さらに 各学校においては この指針をよりどころに 校内支援体制を構築するとともに 児童生徒へのきめ細かな指導や支援が実践され 特別支援教育が総合的かつ効果的に推進されることを期待しております また 教職員相互 教職員と支援員が共通理解に立ち 特別支援教育にあたることを目的に 北見市特別支援教育の手引き を作成しました 今後 日常の指導の場面や校内研修などで指導や支援の充実 改善を図るために活用していただきたいと考えております なお この指針や手引きにつきましては 社会状況の変化 国や道の施策の動向を踏まえ 必要に応じて見直しを図り 本市の特別支援教育のさらなる推進に努めてまいります 5

* 用語解説 *1 校内委員会校内で特別な支援を必要としている児童生徒の実態把握 指導 支援内容 支援体制などを検討し 児童生徒とその学級担任を校内全体で支援するための中心的役割を果たす委員会 *2 特別支援教育コーディネーター各学校における特別支援教育の推進のため 主に校内委員会 校内研修の企画 運営 関係諸機関 学校との連絡 調整 保護者からの相談窓口など 学校におけるコーディネーター的な役割を担う者 *3 個別の指導計画児童生徒一人一人の障がいの状態等に応じたきめ細かな指導が行えるよう 学校における教育課程や指導計画 当該幼児児童生徒の個別の教育支援計画などを踏まえて より具体的に児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応して 指導目標や指導内容 方法等を盛り込んだ指導計画 *4 個別の教育支援計画障がいのある児童生徒一人一人のニーズを正確に把握し 教育の視点から適切に対応していくという考えの下に 医療 保健 福祉 労働などの関係機関との連携を図りつつ 乳幼児期から学校卒業後までの長期的な視点に立って 一貫して的確な教育的支援を行うために 障がいのある幼児児童生徒一人一人について策定した支援計画 *5 特別支援教育支援員小 中学校等において発達障がいを含む障がいのある児童生徒に対して 学校における日常生活上の介助や学習活動上のサポートなどを行う者 *6 交流及び共同学習障がいのある幼児児童生徒が障がいのない児童生徒と共に活動すること 交流及び共同学習は 相互のふれ合いを通じて豊かな人間性をはぐくむことを目的とする交流の側面と 教科等のねらいの達成を目的とする共同学習の側面があり このように両方の側面が一体としてあることをより明確に表したもの *7 通級指導教室小 中学校の通常の学級に在籍している 言語障がい 自閉症 情緒障がい 弱視 難聴 学習障がい 注意欠陥多動性障がいのある児童 生徒を対象に 各教科等の指導の大部分は通常の学級で行いつつ 障がいの特性に応じた特別の指導を行う特別な指導の場 *8 共生社会障がいの有無にかかわらず 誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う我が国が目指すべき社会のこと 障がいの有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる社会のこと *9 障害者の権利に関する条約 障がい者の権利及び尊厳を保護 促進するための包括的 総合的な国際条約であり 障がい者の尊厳 個人の自律及び自立 非差別 社会への参加等を一般原則として規定するほか 法の下の平等 身体の自由 アクセシビリティー 家族 教育 労働等様々な分野において 障がい者の権利を保護 促進する規定を設けている *10インクルーシブ教育システム障害者の権利に関する条約に基づき 共生社会の形成に向けて 障がいのある子どもが障がいのない子どもと共に教育を受けることを追求するとともに 個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して 自立と社会参加を見据えて その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる 多様で柔軟な仕組みを整備すること *11 障害者基本法 障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し 基本的理念を定め 国及び地方公共団体等の責務を明らかにするとともに 障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により 障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進し もって障がい者の福祉を増進することを目的としている 平成 5 年 12 月公布 平成 16 年 6 月一部改正 平成 23 年 8 月一部改正 *12 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 障害者基本法の基本的な理念に則り 全ての障がい者が 障がい者でない者と等しく 基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ 障がいを理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項 行政機関等及び事業者における障がいを理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより 障がいを理由とする差別の解消を推進し もって全ての国民が 障がいの有無によって分け隔てられることなく 相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的としている 平成 25 年 6 月に公布 平成 28 年 4 月一部を除き施行 *13ユニバーサルデザインバリアフリーは 障がいのある人が社会生活をしていく上で障壁となるものを除去するとの考え方であるのに対し ユニバーサルデザインはあらかじめ 能力の如何 年齢 性別などにかかわらず多様な人々が利用しやすいように都市や生活環境をデザインする考え方 6