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スライド 1

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

Microsoft PowerPoint - 資料6-1_高橋委員(公開用修正).pptx

報道発表資料 2007 年 4 月 11 日 独立行政法人理化学研究所 傷害を受けた網膜細胞を薬で再生する手法を発見 - 移植治療と異なる薬物による新たな再生治療への第一歩 - ポイント マウス サルの網膜の再生を促進することに成功 網膜だけでなく 難治性神経変性疾患の再生治療にも期待できる 神経回

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

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Microsoft PowerPoint - 4_河邊先生_改.ppt

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

( 図 ) IP3 と IRBIT( アービット ) が IP3 受容体に競合して結合する様子

報道関係者各位 平成 26 年 1 月 20 日 国立大学法人筑波大学 動脈硬化の進行を促進するたんぱく質を発見 研究成果のポイント 1. 日本人の死因の第 2 位と第 4 位である心疾患 脳血管疾患のほとんどの原因は動脈硬化である 2. 酸化されたコレステロールを取り込んだマクロファージが大量に血

別紙 < 研究の背景と経緯 > 自閉症は 全人口の約 2% が罹患する非常に頻度の高い神経発達障害です 近年 クロマチンリモデ リング因子 ( 5) である CHD8 が自閉症の原因遺伝子として同定され 大変注目を集めています ( 図 1) 本研究グループは これまでに CHD8 遺伝子変異を持つ

汎発性膿疱性乾癬のうちインターロイキン 36 受容体拮抗因子欠損症の病態の解明と治療法の開発について ポイント 厚生労働省の難治性疾患克服事業における臨床調査研究対象疾患 指定難病の 1 つである汎発性膿疱性乾癬のうち 尋常性乾癬を併発しないものはインターロイキン 36 1 受容体拮抗因子欠損症 (

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糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

Microsoft Word - 熊本大学プレスリリース_final

2019 年 3 月 28 日放送 第 67 回日本アレルギー学会 6 シンポジウム 17-3 かゆみのメカニズムと最近のかゆみ研究の進歩 九州大学大学院皮膚科 診療講師中原真希子 はじめにかゆみは かきたいとの衝動を起こす不快な感覚と定義されます 皮膚疾患の多くはかゆみを伴い アトピー性皮膚炎にお

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

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( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関

の活性化が背景となるヒト悪性腫瘍の治療薬開発につながる 図4 研究である 研究内容 私たちは図3に示すようなyeast two hybrid 法を用いて AKT分子に結合する細胞内分子のスクリーニングを行った この結果 これまで機能の分からなかったプロトオンコジン TCL1がAKTと結合し多量体を形

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統合失調症モデルマウスを用いた解析で新たな統合失調症病態シグナルを同定-統合失調症における新たな予防法・治療法開発への手がかり-

(5) 上月 グループ( 東北大学 ) 1 主たる共同研究者 : 上月正博 ( 東北大学医学研究科 教授 ) 2 研究項目 脳移植動物における機能的ワイヤによる神経機能回復の評価 (6) 金 グループ( 岡山大学 ) 1 主たる共同研究者 : 金錫範 ( 岡山大学自然科学研究科 准教授 ) 2 研究

論文の内容の要旨

首都圏北部 4 大学発新技術説明会 平成 26 年 6 月 19 日 オレフィン類の高活性かつ立体選択的重合技術 埼玉大学大学院理工学研究科 助教中田憲男

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2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は

( 平成 22 年 12 月 17 日ヒト ES 委員会説明資料 ) 幹細胞から臓器を作成する 動物性集合胚作成の必要性について 中内啓光 東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター JST 戦略的創造研究推進事業 ERATO 型研究研究プロジェクト名 : 中内幹細胞制御プロジェクト 1

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

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Microsoft Word - 運動が自閉症様行動とシナプス変性を改善する

本成果は 主に以下の事業 研究領域 研究課題によって得られました 日本医療研究開発機構 (AMED) 脳科学研究戦略推進プログラム ( 平成 27 年度より文部科学省より移管 ) 研究課題名 : 遺伝子改変マーモセットの汎用性拡大および作出技術の高度化とその脳科学への応用 研究代表者 : 佐々木えり

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

60 秒でわかるプレスリリース 2008 年 10 月 22 日 独立行政法人理化学研究所 脳内のグリア細胞が分泌する S100B タンパク質が神経活動を調節 - グリア細胞からニューロンへの分泌タンパク質を介したシグナル経路が活躍 - 記憶や学習などわたしたち高等生物に必要不可欠な高次機能は脳によ

1. 背景血小板上の受容体 CLEC-2 と ある種のがん細胞の表面に発現するタンパク質 ポドプラニン やマムシ毒 ロドサイチン が結合すると 血小板が活性化され 血液が凝固します ( 図 1) ポドプラニンは O- 結合型糖鎖が結合した糖タンパク質であり CLEC-2 受容体との結合にはその糖鎖が

核内受容体遺伝子の分子生物学

新技術説明会 様式例

研究目的 1. 電波ばく露による免疫細胞への影響に関する研究 我々の体には 恒常性を保つために 生体内に侵入した異物を生体外に排除する 免疫と呼ばれる防御システムが存在する 免疫力の低下は感染を引き起こしやすくなり 健康を損ないやすくなる そこで 2 10W/kgのSARで電波ばく露を行い 免疫細胞

60 秒でわかるプレスリリース 2008 年 2 月 4 日 独立行政法人理化学研究所 筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の進行に二つのグリア細胞が関与することを発見 - 神経難病の一つである ALS の治療法の開発につながる新知見 - 原因不明の神経難病 筋萎縮性側索硬化症 (ALS) は 全身の筋

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

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法医学問題「想定問答」(記者会見後:平成15年  月  日)

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平成14年度研究報告

結果 この CRE サイトには転写因子 c-jun, ATF2 が結合することが明らかになった また これら の転写因子は炎症性サイトカイン TNFα で刺激したヒト正常肝細胞でも活性化し YTHDC2 の転写 に寄与していることが示唆された ( 参考論文 (A), 1; Tanabe et al.

平成 28 年 12 月 12 日 癌の転移の一種である胃癌腹膜播種 ( ふくまくはしゅ ) に特異的な新しい標的分子 synaptotagmin 8 の発見 ~ 革新的な分子標的治療薬とそのコンパニオン診断薬開発へ ~ 名古屋大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 髙橋雅英 ) 消化器外科学の小寺泰

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第6号-2/8)最前線(大矢)

報道関係者各位

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-119-

研究の背景 ヒトは他の動物に比べて脳が発達していることが特徴であり, 脳の発達のおかげでヒトは特有の能力の獲得が可能になったと考えられています この脳の発達に大きく関わりがあると考えられているのが, 本研究で扱っている大脳皮質の表面に存在するシワ = 脳回 です 大脳皮質は脳の中でも高次脳機能に関わ

2 肝細胞癌 (Hepatocellular carcinoma 以後 HCC) は癌による死亡原因の第 3 位であり 有効な抗癌剤がないため治癒が困難な癌の一つである これまで HCC の発症原因はほとんど が C 型肝炎ウイルス感染による慢性肝炎 肝硬変であり それについで B 型肝炎ウイルス

報道発表資料 2002 年 10 月 10 日 独立行政法人理化学研究所 頭にだけ脳ができるように制御している遺伝子を世界で初めて発見 - 再生医療につながる重要な基礎研究成果として期待 - 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は プラナリアを用いて 全能性幹細胞 ( 万能細胞 ) が頭部以外で脳

著者 : 黒木喜美子 1, 三尾和弘 2, 高橋愛実 1, 松原永季 1, 笠井宣征 1, 間中幸絵 2, 吉川雅英 3, 浜田大三 4, 佐藤主税 5 1, 前仲勝実 ( 1 北海道大学大学院薬学研究院, 2 産総研 - 東大先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ, 3 東京大学大

ヒト脂肪組織由来幹細胞における外因性脂肪酸結合タンパク (FABP)4 FABP 5 の影響 糖尿病 肥満の病態解明と脂肪幹細胞再生治療への可能性 ポイント 脂肪幹細胞の脂肪分化誘導に伴い FABP4( 脂肪細胞型 ) FABP5( 表皮型 ) が発現亢進し 分泌されることを確認しました トランスク

「飢餓により誘導されるオートファジーに伴う“細胞内”アミロイドの増加を発見」【岡澤均 教授】

新規遺伝子ARIAによる血管新生調節機構の解明

4. 発表内容 : 研究の背景 イヌに お手 を新しく教える場合 お手 ができた時に餌を与えるとイヌはまた お手 をして餌をもらおうとする このように動物が行動を起こした直後に報酬 ( 餌 ) を与えると そ の行動が強化され 繰り返し行動するようになる ( 図 1 左 ) このことは 100 年以

報道解禁日 : 日本時間 2017 年 2 月 14 日午後 7 時 15 日朝刊 PRESS RELEASE 2017 年 2 月 10 日理化学研究所大阪市立大学 炎症から脳神経を保護するグリア細胞 - 中枢神経疾患の予防 治療法の開発に期待 - 要旨理化学研究所 ( 理研 ) ライフサイエンス

60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 4 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 敗血症の本質にせまる 新規治療法開発 大きく前進 - 制御性樹状細胞を用い 敗血症の治療に世界で初めて成功 - 敗血症 は 細菌などの微生物による感染が全身に広がって 発熱や機能障害などの急激な炎症反応が引き起

く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で

報道発表資料 2006 年 6 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 アレルギー反応を制御する新たなメカニズムを発見 - 謎の免疫細胞 記憶型 T 細胞 がアレルギー反応に必須 - ポイント アレルギー発症の細胞を可視化する緑色蛍光マウスの開発により解明 分化 発生等で重要なノッチ分子への情報伝達

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報道発表資料 2006 年 8 月 7 日 独立行政法人理化学研究所 国立大学法人大阪大学 栄養素 亜鉛 は免疫のシグナル - 免疫系の活性化に細胞内亜鉛濃度が関与 - ポイント 亜鉛が免疫応答を制御 亜鉛がシグナル伝達分子として作用する 免疫の新領域を開拓独立行政法人理化学研究所 ( 野依良治理事

上原記念生命科学財団研究報告集, 30 (2016)

新技術説明会 様式例

資生堂 肌の奥 1 からシミを増殖させる新たなメカニズムを解明 シミ増殖因子の肌の上部 ( 表皮 ) への流入量をコントロールしているヘパラン硫酸の 減少抑制効果が マドンナリリー根エキス に 産生促進効果が グルコサミン にあることを発見 資生堂は これまでシミ研究ではあまり注目され

による傷害 ( 二次的な傷害 ) によって誘導されると考えられています TBI による二次性の神経傷害が 問題となっていましたが その詳細な分子メカニズムはこれまで不明のままでした 研究成果研究チームはマウス大脳皮質の TBI モデルを使って ミクログリア及びアストロサイトの応答を詳細に検討しました

2. 手法まず Cre 組換え酵素 ( ファージ 2 由来の遺伝子組換え酵素 ) を Emx1 という大脳皮質特異的な遺伝子のプロモーター 3 の制御下に発現させることのできる遺伝子操作マウス (Cre マウス ) を作製しました 詳細な解析により このマウスは 大脳皮質の興奮性神経特異的に 2 個

卵管の自然免疫による感染防御機能 Toll 様受容体 (TLR) は微生物成分を認識して サイトカインを発現させて自然免疫応答を誘導し また適応免疫応答にも寄与すると考えられています ニワトリでは TLR-1(type1 と 2) -2(type1 と 2) -3~ の 10

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1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ

Microsoft Word - 【基データ】概要01

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学報_台紙20まで

生物 第39講~第47講 テキスト

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創薬に繋がる V-ATPase の構造 機能の解明 Towards structure-based design of novel inhibitors for V-ATPase 京都大学医学研究科 / 理化学研究所 SSBC 村田武士 < 要旨 > V-ATPase は 真核生物の空胞系膜に存在す

新規 P2X4 受容体アンタゴニスト NCP-916 の鎮痛作用と薬物動態に関する検討 ( 分野名 : ライフイノベーション分野 ) ( 学籍番号 )3PS1333S ( 氏名 ) 小川亨 序論 神経障害性疼痛とは, 体性感覚神経系の損傷や疾患によって引き起こされる痛みと定義され, 自発痛やアロディ

2. ポイント EGFR 陽性肺腺癌の患者さんにおいて EGFR 阻害剤治療中に T790M 耐性変異による増悪がみられた際にはオシメルチニブ ( タグリッソ ) を使用することが推奨されており 今後も多くの患者さんがオシメルチニブによる治療を受けることが想定されます オシメルチニブによる治療中に約

神経細胞での脂質ラフトを介した新たなシグナル伝達制御を発見


3.(修正版)プレゼン配布資料(金沢大学_関口先生)

統合失調症発症に強い影響を及ぼす遺伝子変異を,神経発達関連遺伝子のNDE1内に同定した

RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果

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八村敏志 TCR が発現しない. 抗原の経口投与 DO11.1 TCR トランスジェニックマウスに経口免疫寛容を誘導するために 粗精製 OVA を mg/ml の濃度で溶解した水溶液を作製し 7 日間自由摂取させた また Foxp3 の発現を検討する実験では RAG / OVA3 3 マウスおよび

を行った 2.iPS 細胞の由来の探索 3.MEF および TTF 以外の細胞からの ips 細胞誘導 4.Fbx15 以外の遺伝子発現を指標とした ips 細胞の樹立 ips 細胞はこれまでのところレトロウイルスを用いた場合しか樹立できていない また 4 因子を導入した線維芽細胞の中で ips 細


Microsoft Word - tohokuuniv-press _01.docx

り込みが進まなくなることを明らかにしました つまり 生後 12 日までの刈り込みには強い シナプス結合と弱いシナプス結合の相対的な差が 生後 12 日以降の刈り込みには強いシナプス 結合と弱いシナプス結合の相対的な差だけでなくシナプス結合の絶対的な強さが重要であることを明らかにしました 本研究成果は


現し Gasc1 発現低下は多動 固執傾向 様々な学習 記憶障害などの行動異常や 樹状突起スパイン密度の増加と長期増強の亢進というシナプスの異常を引き起こすことを発見し これらの表現型がヒト自閉スペクトラム症 (ASD) など神経発達症の病態と一部類することを見出した しかしながら Gasc1 発現

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JST 新技術説明会 2017 年 10 月 3 日 脳内環境制御による革新的神経再生医療技術 公立大学法人 横浜市立大学 大学院生命医科学研究科生体機能医科学研究室 教授竹居光太郎 E-mail: kohtaro@yokohama-cu.ac.jp

新技術の概要 中枢神経系は再生が極めて困難である 我々が発見した神経回路形成因子 LOTUS は 中枢神経系の再生を阻む主要因である Nogo 受容体と PirB 受容体の双方を抑制する また それとは独立した機構で LOTUS は軸索伸長を促進する これらの神経再生を促進する生理作用を利用した革新的な神経再生医療技術を提供する 従来技術 競合技術との比較 中枢神経系の再生医療技術は主として幹細胞移植による補填技術開発を主として発展してきたが 補填後の再生を阻む脳内環境の制御については未だ十分な方法論が存在しない LOTUS は神経再生を阻む脳内環境を制御することができる唯一の生体物質で 且つ副作用が想定されない内在性物質であるため 発生期の内在性の生理作用を利用する画期的な医療技術と言える 新技術の特徴 神経回路形成因子 LOTUS の生理機能を利用した神経再生医療技術 中枢神経系の再生を阻む脳内環境の制御技術 軸索伸長作用の促進技術 想定される用途 中枢神経系の神経再生医療技術 脳外傷, 脊髄損傷, 脳卒中, 脳炎などによる神経障害に対する治療薬開発

中枢神経系は損傷後の再生が極めて困難 国内に 10 万人の脊髄損傷受傷者 1. 交通事故 44% 2. 高所からの落下 29% 3. 転倒 13% 出典日本せきずい基金 根本的な治療法は確立されていない 本邦 : 毎年 5000 人受傷 慢性期患者数 20 万人 世界 : 毎年 20 万人受傷 慢性期患者数 250 万人

神経再生を阻む脳内環境 : Nogo 受容体と PirB 受容体 ニューロン 損傷 ミエリン 炎症 グリア瘢痕 再生阻害因子 Nogo-A MAG Omgp BLyS CSPG PirB 受容体 Nogo 受容体 軸索伸長阻害

従来技術による神経再生促進法 関連分子の遺伝子欠損によって損傷後の運動機能回復は促進する Nogo 受容体の遺伝子欠損マウス 神経再生阻害因子 Nogo, MAG, OMgp の遺伝子欠損マウス Kim et al., Neuron, 44: 439 451, 2004, Cafferty et al., J. Neuroscience, 30: 6825 6837, 2010

従来技術とその問題点 従来技術では標的分子の遺伝子欠損や, 標的分子の機能阻害抗体による機能回復の方法があるが, 遺伝子欠損させることはできない 機能阻害抗体では一部の受容体機能しか阻害できない 抗体などの外来性物質の導入では免疫源性を有する などの問題があり, 神経再生を阻む脳内環境を十分に制御するまでには至っていない

新技術の特徴 従来技術との比較 従来技術の問題点であった, 再生を阻む脳内環境を制御できることに成功した 従来は標的分子の一部しか制御できなかったが, 主要な標的分子のほぼ全ての機能を内在性生体物質で制御することが可能になった 本技術の適用によって, 再生を阻む脳内環境の制御を可能にし, 幹細胞移植技術などと組み合わせることによって革新的な神経再生医療技術が創成できると期待される

本新技術の目的 ( 解決しようとする課題 ) 発生期の神経回路形成因子 LOTUSの生理機能を利用 神経再生を阻む脳内環境の制御 神経再生医療技術の開発

LOTUS とは : 発生期の神経回路形成に寄与する分子 wild lotus -/- OB OB LOT LOT OB OB Lateral Olfactory Tract Usher Substance (LOTUS) 細胞膜 500 mm N-terminal C-terminal TM Sato et al., Science, 2011 signal FG-GAP FG-GAP FG-GAP FG-GAP UnvB EGF- ASPIC CB 細胞外 細胞内

LOTUS: Nogo 受容体と結合して Nogo 作用を阻止 Nogo LOTUS Nogo receptor-1 Sato et al., Science, 2011 軸索伸長阻止

神経再生を阻む Nogo 受容体と神経再生阻害因子群 MAG Nogo CSPG OMgp BLyS Nogo receptor-1 神経再生阻止

LOTUS: 強力な内在性 Nogo 受容体拮抗物質 MAG Nogo CSPG OMgp BLyS LOTUS Nogo receptor-1 Kurihara et al., Mol. Cell. Neurosci., 2014 Kurihara et al., Neurosci., 2017 神経再生阻止

LOTUS は Nogo 受容体と PirB 受容体の双方を機能抑制する ニューロン 損傷 ミエリン 炎症 (?) グリア瘢痕 再生阻害因子 Nogo-A MAG Omgp BLyS CSPG PirB Nogo 受容体 軸索伸長阻害 LOTUS 神経再生の促進

まとめ : LOTUS の生理機能 1) LOTUSは, 中枢神経系の再生を困難にする主要因である Nogo 受容体とPirB 受容体の双方の機能を抑制する 再生を阻む脳内環境の抑制因子として機能する 2) LOTUS は, 神経細胞に対して軸索伸長作用を有する 軸索再生の促進因子として機能する

LOTUS の生理機能の応用 Nogo 受容体と PirB 受容体に対する拮抗作用 + 軸索伸長作用 神経再生促進医療技術への応用

Relative Intensity ( 平均値 ) 問題提起 : LOTUS は成体の中枢神経系には存在しないのか? 答え : 豊富に存在する 脳梗塞患者の脳脊髄髄液 脳梗塞 control Marker LOTUS 1 2 1 2 では, なぜ中枢神経系は 再生が困難なのか? 1.2 1 答え : 神経障害を受けると LOTUS が激減する 0.8 0.6 0.4 激減 0.2 LOTUS の補填で再生するか? 0 脳梗塞患者 control

治療戦略へ向けた展開 LOTUS 目的 : 神経障害の改善薬 脊髄損傷モデル 視神経損傷モデル 脳梗塞モデル

脊髄損傷モデル動物の作製 胸椎 8 9 レベルで脊髄の背側半分を切断

LOTUS level (%) BMS score 脊髄損傷モデルマウスにおける自然回復 9 Sham-ope 1 3 7 14 28 0 75 50 6 120 * * Wild type 100 80 半減 3 60 40 20 0 0 7 14 21 28 損傷 Days after SCI 損傷後 ( 日 ) 0 0 1 3 7 14 28 Days after SCI

BMS score LOTUS-KO Wild type LOTUS 欠損による自然回復の喪失 9 Sham-ope 28 days after SCI 6 3 Wild type ** ** ** ** ** LOTUS-KO (homo) ** 0 0 7 14 21 28 損傷 Days after SCI 損傷後 ( 日 )

BMS score LOTUS-TG LOTUS-KO Wild type LOTUS 過剰発現による運動機能回復 9 Sham-ope 28 days after SCI 6 * ** * * ** ** * ** ** ** LOTUS-TG (homo) LOTUS-TG (hetero) Wild type 3 ** ** ** ** ** LOTUS-KO (homo) ** 0 0 7 14 21 28 損傷 Days after SCI 損傷後 ( 日 ) Hirokawa et al., Scientific Reports, 2017

Threshould area (caudal/ rostral) Threshould area (caudal/ rostral) LOTUS 過剰発現による再生神経線維の増加 Wild type 0.4 5-HT 0.3 0.2 LOTUS- KO 0.1 HA-LOTUS 0 Wild type lotus-ko (homo) 0.4 Wild type * 0.3 0.2 Merge dorsal LOTUS- TG 0.1 rostral caudal ventral 0 Wild type lotus-tg (homo)

マウス視神経損傷モデルの作製

LOTUS 遺伝子導入は視神経再生を促進する AAV-LOTUS AAV-GFP-21dpc AAV-LOTUS-21dpc Hirokawa et al., Scientific Reports, 2017

Takese et al., PLoS One, 2017 脳虚血モデルにおける LOTUS 過剰発現による軸索再生 Wild type LOTUS-TG

まとめ : 神経損傷における LOTUS の効果 1) 脊髄損傷モデルにおいて, LOTUS 過剰発現, または LOTUS タンパク 投与は運動機能回復と神経再生を促進した (Hirokawa et al., 2017) 2) 視神経損傷モデルにおいて, LOTUS 遺伝子導入, または LOTUS タン パク投与は神経再生を促進した (Hirokawa et al., 2017) 3) 脳虚血モデルにおいて, LOTUS の過剰発現は神経再生を促進した (Takase et al., 2017) LOTUS は損傷後の神経再生を促進する

技術の効果への期待 神経再生を阻む脳内環境 (Nogo 受容体および PirB 受容体を介する軸索伸長阻害 ) LOTUS LOTUS が抑制する LOTUS が促進する 神経再生 の 促進 軸索伸長の促進

今後の課題 脊髄損傷部位 LOTUS LOTUS リコンビナント蛋白質の投与 LOTUS 過剰発現神経前駆細胞の移植 LOTUS 遺伝子導入

今後, 慢性期神経損傷に対する LOTUS 製剤の有効性についても検討する 実用化に向けた課題 現在, LOTUS の生物学的活性とそれを応用した神経障害モデル動物における有用性は確認済み しかし, 大量の LOTUS タンパク質を効率良く精製する方法が未解決である 今後, 霊長類での実験研究を進めたい 今後, LOTUS の構造生物学的データを取得し, LOTUS と類似の生物学的活性を有する化合物をスクリーニングすることも視野に入れる

企業への期待 LOTUS タンパク質を大量精製する技術を有する企業 霊長類での実験研究を進めるノウハウを有する企業 LOTUS と類似の生物学的活性を有する化合物をスクリーニン グするノウハウを有する企業 慢性期神経損傷に対する治療法として LOTUS の有効性に ついて興味を有する企業 との共同研究を希望します

本技術に関する知的財産権 1) 特許出願発明名称 : 神経突起伸長制御タンパク質出願者 : 公立大学法人横浜市立大学出願番号 : 特願 2007-027615 出願日 : 平成 19 年 2 月 7 日登録日 : 平成 24 年 6 月 22 日特許番号 : 第 5019206 号 (2) 特許出願発明名称 : 神経突起伸長促進剤出願者 : 公立大学法人横浜市立大学出願番号 : 特願 2009-036140 出願日 : 平成 21 年 2 月 19 日登録日 : 平成 26 年 7 月 25 日特許番号 : 第 5581723 号

本技術に関するお問い合わせ先 横浜市立大学 研究推進部研究企画 産学連携推進課 中村由希 236-0027 横浜市金沢区瀬戸 22-2 Tel: 045-787-8936, Fax: 045-787-2025 E-mail: yuki51@yokohama-cu.ac.jp