平成 30 年 3 月 29 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 9 日 判 決 5 原告株式会社フィールドアロー 同訴訟代理人弁護士 青 山 友 和 被 告 ソ メ ヤ 株 式 会 社 同訴訟代理

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情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

最高裁○○第000100号

最高裁○○第000100号

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

1 前提となる事実等 ( 証拠の摘示のない事実は, 争いのない事実又は弁論の全趣旨から容易に認められる事実である ) (1) 当事者原告は, X1 の名称を使用してウエブサイトの制作請負を行っている者であり, 被告は, 不動産業を主な業務としている特例有限会社である (2) 原告によるプログラムの制

並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

最高裁○○第000100号

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団であ る原告が, 被告株式会社シーエム ( 以下 被告シーエム という ) が企画, 編集

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

(2) 訴訟費用は 被告らの負担とする 2 被告国 (1) 本案前の答弁ア原告の被告国に対する訴えを却下する イ上記訴えに係る訴訟費用は 原告の負担とする (2) 被告国は 本案について 原告の被告国に対する請求を棄却する旨の裁判を求めるものと解する 3 被告 Y1 市 (1) 本案前の答弁ア原告の

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

被告は,A 大学 C 学部英語専攻の学生である (2) 本件投稿等被告は, 大学 2 年生として受講していた平成 26 年 4 月 14 日の 言語学の基礎 の初回講義 ( 以下 本件講義 という ) において, 原告が 阪神タイガースがリーグ優勝した場合は, 恩赦を発令する また日本シリーズを制覇

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

ア原告は, 平成 26 年 12 月 26 日に設立された, 電気機械器具の研究及び開発等を目的とする株式会社である イ合併前会社ワイラン インクは, 平成 4 年 (1992 年 ) に設立された, カナダ法人である 同社は, 平成 29 年 (2017 年 )6 月 1 日付けで, 他のカナダ法

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上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

判決【】

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

( 事案の全体像は複数当事者による複数事件で ついての慰謝料 30 万円 あり非常に複雑であるため 仮差押えに関する部 3 本件損害賠償請求訴訟の弁護士報酬 分を抜粋した なお 仮差押えの被保全債権の額 70 万円 は 1 億円程度と思われるが 担保の額は不明であ を認容した る ) なお 仮差押え

平成22年5月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

同目録記載の番号により 本件著作物 1, 本件著作物 2 といい, 本件著作物 1 及び本件著作物 2を併せて 本件各著作物 という ) の著作権を有する株式会社 CAを吸収合併し, 同社の権利義務を承継したところ, 被告が本件各著作物のデータを動画共有サイトのサーバー上にアップロードした行為が公衆

0A8D6C A49256C A0

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

とは, 原告に対する名誉毀損に該当するものであると主張して, 不法行為に基づき400 万円の損害賠償及びこれに対する不法行為日以降の日である平成 24 年 9 月 29 日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いがないか,

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(イ係)

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

主 文 1 本件控訴をいずれも棄却する 2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人 P3 及び被控訴人会社は, 大阪府内, 兵庫県内, 京都府内, 滋賀県内及び和歌山県内において, 千鳥屋という名称を使用して菓子類を販売してはならない

して, 損害賠償金 330 万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成 28 年 月 21 日 ( 原告が被告に本件請求の通知を送付した日の翌日 ) から支払済みまで民法所定の年 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨により容

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

事実及び理由控訴人補助参加人を 参加人 といい, 控訴人と併せて 控訴人ら と呼称し, 被控訴人キイワ産業株式会社を 被控訴人キイワ, 被控訴人株式会社サンワードを 被控訴人サンワード といい, 併せて 被控訴人ら と呼称する 用語の略称及び略称の意味は, 本判決で付するもののほか, 原判決に従う

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人株式会社バイオセレンタック, 同 Y1 及び同 Y2は, 控訴人コスメディ製薬株式会社に対し, 各自 2200 万円及びこれに対する平成 27 年 12 月 1 日から支払済みまで年 5 分の割

告ツイッタージャパンの間では全て原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求 ( 主位的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 1) 記載の各情報を開示せよ ( 予備的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 2) 記載の各情報を開示せよ 第 2 事案の

〔問 1〕 抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか

IFRS基礎講座 IAS第37号 引当金、偶発負債及び偶発資産

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25 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 5 訴訟費用は, 第 1,2 審とも, 被控訴人らの負担とする 6 仮執行宣言第 2 事案の概要 1 本件は, 服飾品の販売等を業とする控訴人が, 控訴人の従業員であった被控訴人 Y2 及び同 Y3 が控訴人を退職し, 被控訴人 Y1 が経

併等の前後を通じて 上告人ら という 同様に, 上告人 X1 銀行についても, 合併等の前後を通じて 上告人 X1 銀行 という ) との間で, 上告人らを債券の管理会社として, また, 本件第 5 回債券から本件第 7 回債券までにつき上告人 X1 銀行との間で, 同上告人を債券の管理会社として,

淡路町知財研究会 (松宮ゼミ)

1 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については, 当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする旨を定め, 同条 2 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は当該固定資産

従業員 Aは, 平成 21 年から平成 22 年にかけて, 発注会社の課長の職にあり, 上記事業場内にある発注会社の事務所等で就労していた (2) 上告人は, 自社とその子会社である発注会社及び勤務先会社等とでグループ会社 ( 以下 本件グループ会社 という ) を構成する株式会社であり, 法令等の

期分本税 831 万 1900 円の合計 以下 本件租税債権 という ) (3) 東京国税局国税徴収官 B( 以下 B 徴収官 という ) は 同局特別国税徴収官 C( 以下 C 特官 という ) の決定に基づき 平成 20 年 3 月 6 日 原告がA 証券に対して有していた本件証拠金の返還請求権

〔問 1〕 A所有の土地が,AからB,BからCへと売り渡され,移転登記も完了している

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

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税務訴訟資料第 267 号 -70( 順号 13019) 大阪高等裁判所平成 年 ( ) 第 号更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件国側当事者 国 ( 富田林税務署長 ) 平成 29 年 5 月 11 日棄却 上告受理申立て ( 第一審 大阪地方裁判所 平成 年 ( ) 第 号 平成

権 ) を侵害するとともに, 原告をプロデューサーとして表示しない点及び劇場用映画として制作された本件映画をインターネットで公表する点において, 本件映画につき原告が有する著作者人格権 ( 氏名表示権及び公表権 ) を侵害する行為であり, 被告が今後本件映画を上映, 複製, 公衆送信若しくは送信可能

平成23年12月17日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

同訴訟代理人弁護士同同同同同同同同同同同 三好徹石田央子津田直和井川真由美鶴﨑有一石井修平山崎哲内田尚成前田香織本田雄巳黒木義隆籔之内千賀子 主文 1 控訴人の本件控訴を棄却する 2(1) 被控訴人の附帯控訴に基づき 原判決主文 1 2 項を次のとおり変更する (2) 控訴人は 被控訴人に対し 78

する 理 由 第 1 事案の概要 1 本件は, 平成 21 年 ( 受 ) 第 602 号被上告人 同第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X1 という ) 及び平成 21 年 ( 受 ) 第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X 2 といい,1 審原告 X 1と1 審原告 X 2を併せ

により容易に認められる事実 ) (1) 当事者等ア原告は,Aの子である イ Aは, 大正 年 月 日生まれの男性であり, 厚生年金保険の被保険者であったが, 平成 年 月 日, 死亡した ( 甲 1) (2) 老齢通算年金の受給 Aは, 昭和 年 月に60 歳に達し, 国民年金の納付済期間である18

ない 4 訴訟費用は, 第 1,2 審とも被控訴人の負担とする 第 2 事案の概要 1 事案の要旨本件は, 原判決別紙 商標権目録 記載の商標権を有する控訴人が, 被控訴人に対し, 被控訴人が原判決別紙 被告標章目録 記載の標章をインターネットホームページのサイトで使用する行為が, 控訴人の商標権を

に基づく, その弁済期既到来分の売買代金合計 3100 万円 ( 平成 25 年 5 月 31 日が弁済期分の2100 万円, 平成 26 年 2 月末日が弁済期分の1000 万円の合計 3100 万円 ) 及び各弁済期の翌日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金の支払を求め,

民法 ( 債権関係 ) の改正における経過措置に関して 現段階で検討中の基本的な方針 及び経過措置案の骨子は 概ね以下のとおりである ( 定型約款に関するものを除く ) 第 1 民法総則 ( 時効を除く ) の規定の改正に関する経過措置 民法総則 ( 時効を除く ) における改正後の規定 ( 部会資

最高裁○○第000100号

き本件営業秘密の使用又は開示の差止め及び物件の廃棄を求めるとともに ( 以下, これらの請求を併せて 差止請求等 という ),(2) 被告が本件営業秘密を持ち出した行為は原告と被告の間の秘密保持契約にも違反し, これにより原告は損害を被ったと主張して, 同法 4 条又は債務不履行に基づき 1136

原告は, 被告に対し, 万円及びこれに対する平成 29 年 3 月 1 日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は,1 原告が, 自らの作成に係る別紙 1( 甲 12の1 以下 本件本体部 分 という ) 及び別紙 2( 甲 12 の 2 以下 本件ライブラリ部分 と

2 当事者の主張 (1) 申立人の主張の要旨 申立人は 請求を基礎づける理由として 以下のとおり主張した 1 処分の根拠等申立人は次のとおりお願い書ないし提案書を提出し 又は口頭での告発を行った ア.2018 年 3 月 23 日に被申立人資格審査担当副会長及び資格審査委員長あてに 会長の経歴詐称等

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平成  年(オ)第  号

平成20年7月11日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官

 

第 1 民法第 536 条第 1 項の削除の是非民法第 536 条第 1 項については 同項を削除するという案が示されているが ( 中間試案第 12 1) 同項を維持すべきであるという考え方もある ( 中間試案第 12 1 の ( 注 ) 参照 ) 同項の削除の是非について どのように考えるか 中間

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令和元年 6 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 31 年 ( ワ ) 第 2629 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 16 日 判 決 5 原告日本コロムビア株式会社 原告株式会社バンダイナムコアーツ 10 原告キングレコード株式会社 原告ら訴訟代理人

裁判年月日 平成 20 年 11 月 27 日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決 事件番号 平 20( ワ )9871 号 事件名 管理費等請求事件 裁判結果 認容 文献番号 2008WLJPCA 東京都足立区 以下省略 原告上記代表者理事長上記訴訟代理人弁護士同同東京都世田谷区

1を原告 Aの負担とし, 原告 A 以外の原告らに生じた各費用の5 分の4と被告に生じた費用の3 分の2を被告の負担とし, その余を原告 A 以外の原告らの負担とする 4 この判決は, 第 1 項 ~に限り, 仮に執行することができる 事実及び理由 第 1 請求 被告は, 原告 A に対し,158

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

業務委託基本契約書

売買, 消費貸借, 定型約款などの契約に関するルールの見直し 2020 年 4 月 1 日から 売買, 消費貸借, 定型約款などの契約に関する民法のルールが変わります 2017 年 5 月に成立した 民法の一部を改正する法律 が 2020 年 4 月 1 日から施行されます この改正では, 契約に関

1 A 所有の土地について A が B に B が C に売り渡し A から B へ B から C へそれぞれ所有権移転登記がなされた C が移転登記を受ける際に AB 間の売買契約が B の詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で 当該登記の後に A により AB 間の売買契約が取り消された

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平成 30 年 3 月 29 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 1170 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 9 日 判 決 原告株式会社フィールドアロー 同訴訟代理人弁護士 青 山 友 和 被 告 ソ メ ヤ 株 式 会 社 同訴訟代理人弁護士 三 山 峻 司 同 清 原 直 己 主 1 原告の請求を棄却する 文 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求 1 被告は, 原告に対し,700 万円及びこれに対する平成 28 年 12 月 14 日から 支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は, フィリピン法人との取引で UMBRO の偽造品を購入させられ損害を被ったと主張する原告が, 原告が当該取引をしたのは, 被告代表者及び被告従業 員に勧誘されたからであるとして, 同代表者の関係で会社法 30 条, 同従業員の 関係で民法 71 条 1 項に基づき損害賠償を請求した事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 2 ア原告は, スポーツ用品を中心とした繊維製品や衣料品, 服飾雑貨などの 輸入販売を手掛ける株式会社である 1

イ被告は, 衣料品製造販売や環境製品の輸入などを手掛ける資本金 00 万円の株式会社である ウ A Q U A T I C & I N D U S T R Y INCORPORATED ( 以下 AII 社 という ) は, 被告との間で UMBRO 製品の取引実績のある フィリピン法人である エ被告代表者は,AII 社の取締役でもあって, その2 割の株式を保有している ( 乙 1) オ P1は, 被告代表者の子であり, 被告の従業員であるとともに,AII 社の取締役であって, その2 割の株式を保有している ( 乙 1) (2) 原告による AII 社取扱いに係る UMBRO 製品の取引 ア原告は,AII 社から, 下記の取引日に,AII 社取扱いに係る UMB RO ブランドの製品を各記載金額分購入した( 以下 本件取引 という 甲 1 ないし甲 ) ( ア ) 平成 26 年 12 月 22 日 31 万円 1 ( イ ) 平成 27 年 1 月 6 日 189 万円 ( ウ ) 平成 27 年 6 月 8 日 280 万 390 円イ原告は, 上記取引の代金として, 平成 27 年 4 月 1 日に金 360 万 82 00 円を, 同年同月 17 日に金 39 万 4400 円を, それぞれL/C 代行会社である訴外株式会社ナックを通じてAII 社に支払った また, 同年 6 月 18 日には, 原告が被告に対して 280 万 390 円を支払 い, 被告においてAII 社に対する代金債務の決済をする処理がされた ウ原告は, 上記アの取引の輸送費として, 有限会社クラウンエクスプレスに対し, 以下のとおり支払った ( 甲 6ないし甲 8) 平成 27 年 月 11 日 139 万 4907 円 2 同年 7 月 8 日 49 万 9826 円 (3) AII 社取扱いに係る UMBRO 製品の商標権侵害問題 2

原告は, 本件取引により仕入れた UMBRO ブランドの製品( 以下 本件製品 という ) を, 主として原告のインターネット販売事業部であるセブンスポーツ名で, 楽天株式会社が運営するサイト 楽天市場 で販売していた しかし, 本件製品は, 日本国内においては, 株式会社デサントの有する UM BRO の商標権等を侵害する製品であったことから, 原告は, 平成 28 年 9 月 12 日付けで, セブンスポーツ名で販売していた楽天株式会社が運営するインターネットモールへの出店契約を解除され, 同社からは, 上記問題の処理費用が確定するまでの間, 原告の同社に対する売掛金約 0 万円の支払を停止されている ( 甲 9, 甲 ) 2 争点 (1) 被告の不法行為責任 ( 原告の主張 ) ア被告代表者は, 平成 26 年秋頃, 原告の代表者であるP2に対し, フィリピン国マカティ市所在の,AII 社が製造する英国ブランド UMBRO のTシャ 1 ツ, ポロシャツ, バッグ等を国内へ輸入, 販売する取引を持ち掛けた その際, 被告代表者は, フィリピンにおいて, UMBRO の製造ライセンスを持っている会社があり, 生産管理は被告が行っていること, ライセンスを持っている会社に被告がロイヤリティーを支払っており, 通関に関しても, 被告会社が行っているので, 安心であることなど, 被告が取り扱う UMBRO 製品が正規品 であり, 品質も保証できる旨を説明した また被告代表者は, 原告代表者による取 引先の確認に対し, 大西衣料株式会社, 株式会社プロルート丸光にも, 以前から U MBRO の製品を納入していることを強調した イ上記交渉の場に同席していた被告従業員であるP1は, 後日, 被告会社の担当者として, 被告が取り扱っている UMBRO 製品の資料や, 製品のサンプル 2 を持参の上, 原告を訪問し, 被告が取り扱っている UMBRO 製品の取引をす ることを勧めた この段階で,P1 が原告会社に持参した UMBRO の製品は, 3

子供服,Tシャツ, ポロシャツ, バッグ等であり, 同人は, 原告が本件取引を決断する前に, 回から 回は原告会社を訪問した ウ原告は,P1の熱心な営業活動により, 原告は, 本件取引の開始を決めたが, 本件製品が真正品ではなく商標権を侵害する商品であったことから, 後記損害を受 けるに至った エ被告は, 原告のほかにも UMBRO の商品を他の業者や卸売商社に販売していることから,AII 社の製品が, 正規品ではないことを知っていたか, そうでないとしても, 容易に知り得たことは明らかである また,P1は, 原告に対し, 被告の名刺と,AII 社の名刺の双方を示すなど, 被告の従業員であるとともにA II 社の社員であったことから, 被告と AII 社は, 形式的には別法人とはいえ, 実質的には同一であり, 実態は,AII 社は, 被告が支配していた会社といえる そうすると, 被告は,AII 社が UMBRO の製品を製造する権限を有していないことを当然知っていたはずである オ被告代表者は, 原告に対し, 本件取引を勧め, その結果, 原告に損害を加え 1 たのであるから, 被告は, 会社法 30 条に基づき, その損害を賠償する責任を負 う また仮に, 被告代表者が,P1に対し, 原告に対して本件取引を勧めるよう指示をしていなかったとしても, 被告の従業員であるP1が被告の営業担当として, 原告に対し, 本件取引を勧めて原告に損害を受けさせたのであるから, 被告は, 使用者として民法 71 条 1 項に基づき, 原告に加えた損害を賠償する責任を負う ( 被告の主張 ) ア ( ア ) 原告代表者が, 平成 26 年秋頃, 原告代表者の知人と共に被告会社を訪れたこと,P1が UMBRO 製品の在庫商品を原告に見せたことがあることは認めるが, その余の事実は否認し, 争う 被告はフィリピンにおいて生産管理など行っておらず, また, 被告がロイヤリテ 2 ィーを支払ったこともなく, 被告代表者及び P1 は, 原告代表者に対して, 事実と 異なる説明をしていない また被告代表者及び P1 は, 原告代表者に対して被告の 4

取引先に関する話はしていない そもそも被告は, 大西衣料株式会社と取引したことはなく, また被告は, 原告と取引を要望する動機がなく, 原告に対して営業活動をしたということはない ( イ ) 本件は, 原告の UMBRO 製品を販売したいとの要望に応じて, 被告代 表者及び被告従業員である P1 が原告に AII 社を紹介したものにすぎない すなわち, 平成 26 年秋頃, 原告代表者は, UMBRO 製品を扱いたいという要望をもって被告のもとを訪れたが, その際, 被告は過去のAII 社との取引の流れについて説明し, 被告の会社にあった UMBRO 製品の在庫品を原告代表者に見せるなどした そして, その後, 原告が, 被告に対し, UMBRO 製品を販売することを決 断した旨の連絡をしてきたので, 被告従業員であるP1が,AII 社からもらった資料を見せに行ったことがある その際,P1は, 原告代表者に対し,AII 社が, 円建てのL/C 取引を条件としている旨を伝え, 当該取引条件を原告が了承し, 原告とAII 社との取引が開始したものである 1 ( ウ ) 本件の経緯は以上のとおりであり, 原告が,AII 社と取引することを決め たのは, 原告の自由な意思決定によるものであって, 被告代表者及びP1の行為は, 原告の意思決定に何らの不当な影響を与えておらず, 原告の権利又は法律上保護される利益を侵害する行為ではない イまた, そもそも原告の主張によっても, 以下のとおり, 被告代表者の行為に ついては会社法 30 条,P1 の行為については民法 71 条 1 項の要件を満たさ ないものであるから, 被告代表者又はP1の行為を理由として被告は損害賠償責任を負わない ( ア ) すなわち被告代表者が原告に対して行ったのは,AII 社と被告が取引をしていたという情報の提供であって, 当該情報提供によって, 被告は何らの利益も受 2 けないものであるから, 被告代表者の行った行為は, 被告代表者の職務とは無関係 の行為であり, 会社法 30 条の 職務を行うについて との要件を満たさない

( イ ) またP1が行った行為も, 原告に対して,AII 社の情報を提供したにすぎず,AII 社と原告が取引を行うことによって, 被告の利益につながるものではないから,P1の行った行為は, 被告の事業とは無関係な行為であり, 民法 71 条 1 項の 事業の執行について との要件を満たさない ( ウ ) 加えて原告は,AII 社と取引をすることになったのであるから, 被告代表 者やP1が行った紹介行為が, 被告の事業と無関係であることについては, 当然知っていたものである 仮に知らなかったとしても, 原告は, 被告代表者又はP1の行為が, 被告の事業と無関係であることについて, 容易に知れたにもかかわらず, 重大な過失によって知らなかったものである ( エ ) また次のとおり被告代表者及び P1 は, 本件紹介行為に関して過失がない 被告は,AII 社と取引をしていた際に, 取引する商品が, フィリピンにおける UMBRO の商標権の正規ライセンシーから販売されたものであることについて, 過去に調査している したがって, 被告が過去に正規ライセンシーの商品を販売していたAII 社を紹 1 介したとしても, 被告は調査義務を尽くしており, 何ら過失はない (2) 原告の受けた損害の額 ( 原告の主張 ) 原告は, 被告の不法行為により, 以下のとおり少なくとも2309 万 7333 円の損害を受けたが, 本件においては, そのうちの一部である700 万円を請求する ア仕入れによる損害 本件取引で, 原告の仕入れた商品はすべて違法なコピー商品であって, それ自体商標権を侵害し, 国内での販売や所持が禁止されているものであるから, 原告は, 仕入れのために被告や株式会社ナックなどに支払った上記金額の合計 909 万 73 33 円の損害を受けた 2 イ未回収売掛金の発生 原告は, 本件のトラブルが原因となって, セブンスポーツ名で販売していた楽天 6

株式会社が運営するインターネットモールへの出店契約が解除された そして, 楽天株式会社は, 本件トラブルの処理費用が確定するまでの間, 原告の楽天に対する現在の売掛金約 0 万円の支払を停止したため, 原告は約 0 万円が回収できない事態となっている ウ営業損害 原告は, 楽天のインターネットモールにおいて月間約 0 万円もの利益を稼ぎ出していたが, この販路を失ったことで少なくとも, その後, 半年間は利益が減少し, 約 10 万円の損害を受けた ( 被告の主張 ) 争う 第 3 当裁判所の判断 1 本件において原告は, 本件取引が被告代表者及び被告従業員の勧誘によってなされたことを前提に, 被告代表者の行為につき会社法 30 条,P1の行為につき民法 71 条 1 項を適用して損害賠償請求をしている 1 2 しかしながら, 会社法 30 条の責任が認められるためには, 代表者の行為 が会社の 職務を行うについて なされることが必要であり, 民法 71 条の責任が認められるためには, 従業員の行為が会社の 事業の執行について なされたことが必要であるところ, この 職務 ないし 事業 の範囲は, 本来の 職務 ないし 事業 そのものだけではなく, これと密接な関連を有する行為に及ぶものと 解されるが, 原告が本件において問題とする行為は, 被告代表者についても被告の 従業員であるP1についても, いずれも原告がAII 社とした本件取引への勧誘行為というものである そうすると, その行為自体, 被告の事業とかかわらないものであることが明らかであるし, そのほか本件において, 上記行為が被告代表者としての 職務 ないし 2 被告の 事業 と密接な関連を有することを根拠づけるような事実, すなわち原告 と AII 社との本件取引により被告が直接的のみならず反射的に何らかの利益を受 7

ける関係にあるような事実を認めるに足りる証拠もない 3 なお, 本件取引において, 原告は, 平成 27 年 6 月 8 日, その代金として2 80 万 390 円を被告に対して支払い, 被告においてAII 社に対する代金債務の決済をしたことは当事者間に争いがない そして, 証拠 ( 乙 3ないし乙 ) 及び弁論の全趣旨によれば, 被告はこの機会に AII 社に対する債権回収をな すという利益を受けていることが認められる しかし, 上記支払は, 原告とAII 社間の取引が始まって半年経過し, 代金支払いとしても3 回目の機会になされたものであるが, 3 回目に限って原告から被告に対する支払がなされた経緯は, 原告の主張によっても納品が遅れること につき原告が P1 に苦情をいって対応を求めたことからというのであって, 少 なくとも偶発的な出来事の結果にすぎない そうすると, このことから, 被告がAII 社に対する債権回収を目論んで原告にAII 社との取引を勧誘したと推認することはできず, いずれにせよ, 上記事情をもってAII 社との取引勧誘行為が, 被告代表者の被告の 職務を行 1 うについて なされたとも, 被告従業員 P1 の行為が被告の 事業の執行につい て なされたとも見る余地はない ( 念のため付言すると, 上記の被告による原告のAII 社に対する弁済の受領行為は被告の事業の一環と見ることができるが, それ自体は原告に損害をもたらす不法行為でないから ( 原告の主張によれば, 船便を航空便としたことにより生じる余分な経費は被告の負担にさえなってい る ), 原告の主張はいずれにせよ成り立つ余地はない ) 4 そもそも原告の主張するところでは, 被告代表者及びP1が, ともに原告が購入を希望している製品がAII 社から入手できる旨説明し,AII 社との取引をさせるに至っているというのであり, その際, 少なくともP1においてはAII 社の名刺を原告代表者に示していたというのであるから, 両名のAII 社における地 2 位からすると, 両名は AII 社の取締役の立場で同社の利益を図って行為をしてい たものと理解するのが自然である そうすると, 本件における原告のその余の点に 8

ついての主張事実が認められるなら, 本件は,AII 社の取締役である被告代表者及びP1の個人としての法的責任を検討すべき筋合いの問題であるというべきであって, これを会社法 30 条あるいは民法 71 条 1 項を適用して被告の不法行為責任を問うということは失当というほかない ( なお, 被告代表者及びP1とも,A II 社の取締役であるほか, その株式を保有しているが, 本件で明らかなように, AII 社はフィリピンにおいて, 現実に商品を調達して輸出するなどしているフィリピン法人であって, 被告と実質的に同一の会社とみることもできない ) 以上のとおりであって, 原告の本件請求は, その余の点の判断に及ぶまでもなく理由がないことが明らかであるから棄却することとし, 訴訟費用の負担につき 民事訴訟法 61 条を適用して主文のとおり判決する 大阪地方裁判所第 21 民事部 1 裁判長裁判官 森崎英二 裁判官 野上誠一 2 裁判官 大川潤子 9