__________________

Similar documents
__________________

HL SI & HL FWS Script Control

図 2.Cat2 ケーブルの減衰特性 通常伝送線路の減衰特性は 1-1) 式のように 3つのパラメータで近似されます DC 抵抗表皮効果誘電損失 A + f*b + f*c 1-1) ところが仕様書の特性を見ると0~825MHz までは-5dB でフラット 5.1GHz までは直線的な減衰になってい

Microsoft Word - SPARQアプリケーションノートGating_3.docx

040402.ユニットテスト

IBIS

回路シミュレーションと技術支援ツール

Microsoft PowerPoint - Renesas_AdvancedPPmL(2010_11_11_rev).ppt [互換モード]

IBIS Quality Framework IBIS モデル品質向上のための枠組み

RA-485実習キット

Microsoft PowerPoint - 【最終提出版】 MATLAB_EXPO2014講演資料_ルネサス菅原.pptx

周波数特性解析

Microsoft Word - QEX_2014_feb.doc

回路シミュレーションに必要な電子部品の SPICE モデル 回路シミュレータでシミュレーションを行うためには 使用する部品に対応した SPICE モデル が必要です SPICE モデルは 回路のシミュレーションを行うために必要な電子部品の振る舞い が記述されており いわば 回路シミュレーション用の部

EBNと疫学

LTspice/SwitcherCADⅢマニュアル

Autodesk Inventor Skill Builders Autodesk Inventor 2010 構造解析の精度改良 メッシュリファインメントによる収束計算 予想作業時間:15 分 対象のバージョン:Inventor 2010 もしくはそれ以降のバージョン シミュレーションを設定する際

PowerPoint プレゼンテーション

■POP3の廃止について

CR-USB 仕様書 株式会社測商技研 JS カード用データ転送用カードリーダー CR-USB 仕様書 取扱説明書 2012 年 07 月 31 日版 株式会社測商技研 1. 概要 本器は当社製自動観測装置で記録した JS カードデータ


Microsoft PowerPoint - EMPro_ADS_co_design_draft.ppt [互換モード]

Presentation Title Arial 28pt Bold Agilent Blue

と 測定を繰り返した時のばらつき の和が 全体のばらつき () に対して どれくらいの割合となるかがわかり 測定システムを評価することができる MSA 第 4 版スタディガイド ジャパン プレクサス (010)p.104 では % GRR の値が10% 未満であれば 一般に受容れられる測定システムと

PIC の書き込み解説 PICライターを使うときに間違った使い方を見受ける 書き込み失敗の原因は知識不足にある やってはいけないことをしている 単に失敗だけならまだしも部品を壊してしまう 正しい知識を身に着けよう 書き込みに必要なピンと意味 ICSPを意識した回路設計の必要性 ICSP:In Cir

ハード・ソフト協調検証サービス

TMS320C6455 におけるDDR2 PCBレイアウトの実装

Microsoft PowerPoint - 6.PID制御.pptx

TO: Katie Magee

Microsoft PowerPoint - ADS2009_SI._Intro_U.ppt

降圧コンバータIC のスナバ回路 : パワーマネジメント

Microsoft PowerPoint - 3.3タイミング制御.pptx

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

平成20年度内部評価実施結果報告書《本編》

untitled

これさえ知っていれば迷わない -PCI Expressエンドポイント特集- 2006/10 Vol.1

技術流出防止指針公表用.PDF


0ミ0、0・タ

ACモーター入門編 サンプルテキスト

Kumamoto University Center for Multimedia and Information Technologies Lab. 熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI 宮崎県美郷

-2-

Broadcom NetXtreme® Gigabit Ethernet Plus ネットワーク インタフェース カードの取り付け

Microsoft Word - 回路基板設計製造の高度化に関する戦略策策定_報告書H28.03_JPCA

注意事項. 本資料は Microsoft Office Visio 007/00 で電子 電気回路図を作成するための電気用図記号ステンシルに関する取扱説明書です 本書内で使用する電気用図記号の意味および内容については JIS あるいは IEC に関する書籍 文献をご利用ください また 各ステンシル

モデル空間に読み込む場合 AutoCAD では 部分図および座標系の設定を 複合図形 ( ブロック ) にて行います 作図にあたっての流れは下記のとおりとなります (1) 発注図の読み込み (2) 発注図の確認 (3) 発注図の部分図の利用方法や座標設定が要領に従っていない場合の前準備 (4) 作図

1.Sound Engine Free の起動と 設定 Sound EngineFree を起動すると右下の画面が開きます Sound Engine Free のアイコン 起動時更新のチェック のチェックを外す 通常 録音はインターネットに接続されていない環境でおこないます そのような環境で Sou

600 V系スーパージャンクション パワーMOSFET TO-247-4Lパッケージのシミュレーションによる解析

智美塾 ゆもつよメソッドのアーキテクチャ

Windows10の標準機能だけでデータを完全バックアップする方法 | 【ぱそちき】パソコン初心者に教えたい仕事に役立つPC知識

PeopleJpeg2Bmpマニュアル

Microsoft Word - 02__⁄T_ŒÚ”�.doc

まず初めに Xilinx 社の FPGA である Vertex-5 と X 社の QDR2 メモリーの書き出し回 路を IBIS モデルと無損失の TLINE 伝送線路モデルの組み合わせで作成し アイパター ン解析を行うトポロジーを TinyCAD と PCBsim 用ライブラリーを使って入力してみ

<4D F736F F D20838D D8D8795AA90CD81698DED8F9C81958EB2816A91808DEC837D836A B5F312E302E302E305F8FAC8B7B2E646F6378>

測定器の持つ誤差 と 使い方による誤差

コントロールパネルから Bluetooth デバイス を選択する 選択すると下記の画面が出ます 既にいくつかの Bluetooth の登録が有る場合は画面に表示されます 既にいくつかのBluetooth の登録が有るパソコンの場合はココにそれらが複数表示されます 画面は登録が初めての場合です 追加ボ

JUSE-StatWorks/V5 活用ガイドブック

国土技術政策総合研究所 研究資料

112 宇宙航空研究開発機構特別資料 JAXA-SP 衝撃試験時の加速度センサの挙動 ( ゼロシフトの発生と計測衝撃レベル ) エイ イー エス宇宙技術部 小野智行 発表内容 1. 目的 2. ゼロシフトについて 3. 調査項目 Cのゼロシフトについて のゼ

レベルシフト回路の作成

Slide 1

Using VectorCAST/C++ with Test Driven Development

AKI-PIC16F877A開発キット (Ver1

Layout 1

ビッグデータ分析を高速化する 分散処理技術を開発 日本電気株式会社

Microsoft Word - TC4538BP_BF_J_2002_040917_.doc

台のディスプレイを使う 台のディスプレイは 拡張 と クローン の 種類の方法で使うことができます 台のディスプレイをつなぐと 通常は 拡張 として設定されます 台以上のディスプレイはつながない本製品は 台までのディスプレイに対応しています 台以上のディスプレイをつなぐと そのディスプレイは表示され

-2 外からみたプロセッサ GND VCC CLK A0 A1 A2 A3 A4 A A6 A7 A8 A9 A10 A11 A12 A13 A14 A1 A16 A17 A18 A19 D0 D1 D2 D3 D4 D D6 D7 D8 D9 D10 D11 D12 D13 D14 D1 MEMR

統合的高信頼化設計のためのモデル化と検出 訂正 回復技術 研究代表者安浦寛人九州大学大学院システム情報科学研究院 DVLSI 領域会議 (2011/7/2) DVLSI 安浦チーム 1 研究の目標 さまざまな種類のエラー ( 製造故障 ソフトエラー タイミングエラー 設計誤り 不完全な仕様に基づく誤

(Microsoft Word - DDR\203\215\203W\203A\203i\215\\\220\254-ver0619.doc)

ボルツマンマシンの高速化

TOPPERS 活用アイデア アプリケーション開発 コンテスト 部門 : 活用アイデア部門アプリケーション開発部門 作品のタイトル : Toppers_JSP と Scicos_lab / (Scilab でも可 ) による 組込みメカトロニクス制御シミュレーション 作成者 : 塩出武 ( シオデタ

01-11_20-22.indd

Microsoft Word - Sgs_Man.doc

スライド 1

リスク分析・シミュレーション

TDK Equivalent Circuit Model Library

Microsoft PowerPoint pptx

Microsoft PowerPoint - 1.プロセス制御の概要.pptx

磐田市水道事業ビジョン

コンポーネントの交換

(3) E-I 特性の傾きが出力コンダクタンス である 添え字 は utput( 出力 ) を意味する (4) E-BE 特性の傾きが電圧帰還率 r である 添え字 r は rrs( 逆 ) を表す 定数の値は, トランジスタの種類によって異なるばかりでなく, 同一のトランジスタでも,I, E, 周

Microsoft Word - Si Multi Digitalカード.docx

CONTENTS

警告および注意 警告! 装置の表面または領域にこの記号が貼付されている場合は 感電のおそれがあることを示しています 感電によるけがを防ぐため この記号が貼付されているカバーは開けないでください 警告! 感電または装置の損傷の危険がありますので 次の点を守ってください 必ず電源コードのアース端子を使用

ic3_lo_p29-58_0109.indd

PCI Express Sound Blaster X-Fi Titaniumオーディオ カードの取り付け

PowerPoint プレゼンテーション

EcoSystem 5 Series LED Driver Overview (369754)

Quartus II クイック・スタートガイド

RMS(Root Mean Square value 実効値 ) 実効値は AC の電圧と電流両方の値を規定する 最も一般的で便利な値です AC 波形の実効値はその波形から得られる パワーのレベルを示すものであり AC 信号の最も重要な属性となります 実効値の計算は AC の電流波形と それによって

ARCHITREND ZERO バージョンアップ/オプション追加編

Microsoft Word - TC4013BP_BF_J_P9_060601_.doc

平成21年10月1日

PowerPoint プレゼンテーション

Library for Cadence OrCAD Capture ユーザマニュアル 2018 年 7 月 株式会社村田製作所 Ver.1.0 Copyright Murata Manufacturing Co., Ltd. All rights reserved. 10 July

Microsoft Word - 操作マニュアル-Excel-2.doc


LSI SAS 3041E Serial Attached SCSI RAID ホストバスアダプタの取り付け 概要 このマニュアルでは LSI SAS 3041E Serial Attached SCSI ( SAS ) Redundant Array of Independent Disks(RA

洗面化粧台作図システム操作マニュアル

Transcription:

第 1 回シミュレータとモデル第 2 回伝送線路シミュレータ 1. 伝送線路シミュレータ電子機器の動作速度の高速化に伴い 伝送線路シミュレータが多く使われるようになって来ました しかし 伝送線路シミュレータも実に簡単に 間違えた結果 を出力します しかも 電子機器は進歩が急で 信号スピードはどんどん速くなり 伝送線路シミュレータも毎年のように機能アップしたり 精度向上をした 新製品 新バージョンが出てきます ソフトが新しくなると 新しいバグが出る可能性も高くなり 新機能を使いこなすためのノウハウも必要となります 伝送線路シミュレータソフトやバージョンの違い ちょっとした設定の違いで 出力結果は 全く違ったものとなります タ 図シミュレータは入力や設定に応じた結果を出す では この簡単に 間違えた結果が出る 伝送線路シミュレータは使い物になって シミュレーション結果が信用できるのでしょうか? 結論は 使い方を間違えなければ 伝送線路シミュレータの結果は信頼できるものですし 伝送線路シミュレータは有用なツールです 2. 伝送線路シミュレータの使い方それでは 間違えのない伝送線路シミュレータの使い方とは 何でしょう (1) 使う目的と対象を明確にし 目的に合ったシミュレータとモデルを使う (2) 使うシミュレータとモデルの性能 限界を良く理解して使う (3) シミュレーション結果は盲信せず 必ず結果の検証をする このような事に気をつけて シミュレータの有用性と限界をわきまえて使いこなせば 伝送線路シミュレータは非常に有用で 効果的なツールとなります 1/4

第 1 回シミュレータとモデル I/ Oモデル } パッケージモデル伝送線路解析ソフトソフトを検証する配線モデル 解析条件設定 出力結果 出慮ケ結果を検証する 入力データデータをを検証する 設定入力設定を検証する 図各ステップを検証しながら運用すればシミュレータは有効なツール シミュレータは道具です 道具は使いようで 役立つ薬にもなりますが 害をなす毒にもなります 3. 伝送線路シミュレータを使う目的伝送線路シミュレータは 主に 3 つの目的で使われます 先ず第一に 基本的な配線設計規則を作成するためにシミュレータが使われます PCI Express (PCIe) や DDR3 USB3.0 などといった新しい高速信号は まず 規格の標準化が行われます 通常 規格が決まってから 1 年から 2 年程度経ってから 実際の製品設計が始まります これは 新しい規格に対応する部品が揃わないと システムの設計が出来ないので 部品の出現を待っている期間です この間 部品の仕様などが決まった時点で 伝送線路シミュレーションを実行して 実際の設計に備えておきます 高速信号の規格では 通常 基板のレイアウトのための設計規則も含めた 規格化が行われる場合が多く有ります しかし この規格だけでは実際の設計は出来ません 必ず 新しい規格の設計に対しては 設計を開始する前に設計規則が決まっていないと 設計は出来ません 次の解析はフロアプランニングとか プリレイアウト解析と呼ばれる解析席です フロアプランニングというのは 論理回路設計の時点で 論理設計と共同で行ったり 論理設計と平行して行う解析です 終端抵抗の方式が変われば回路図が変化します 2/4

第 1 回シミュレータとモデル 機器の機能 大きさ コスト決定使う部品 基板のサイズ 等の決定システム設計 ( フロアプランニング ) 基板の層構成 ドライバ レシーバ 配線トポロジ 終端技術決定重要部品の大まかな配置設計規則の決定と設定 プリ レイアウト シミュレーション シミュレータを使う 実際の設計を解析した結果を使った具体的な最適設計規則 クリティカルなネットを予め解析して 危険性の度合いを承知したうえで設計できる シミュレータを使わない マニュアル等の一般的な設計規則 一般に過剰な設計規則 場合によっては設計規則を守っても危険 本当にクリティカルなネットや危険性の度合いがわからないまま設計する 基板設計 基板の配置 配線設計 設計チェック配置 配線設計のチェック ( ベリフィケーション ) ポスト レイアウト シミュレーション CA Mデータ作成製造用データの作成 シミュレータを使う 実際のノイズを解析した結果を使った具体的なチェック クリティカルなネットを検出した後 実測や詳細検討ができる シミュレータを使わない 配線の長さ等物理的寸法でノイズの大きさを確認 誤差が大きいので 安全のため 過剰な規則を使う 本当にクリティカルなネ ットが検出されない場合がある 図伝送線路解析を使うタイミング これは 論理回路図作成の段階で論理設計者が決めるよりも 伝送設計をして 最適な終端方式を決めた方が効率よく 品質の高い設計が出来ます ASIC のピン配置の決定も 作動信号やバス配線が 交叉しないで 同じ長さに配線できるように決めなければなりません これは ASIC のパッケージ設計者と SI エンジニア 基板レイアウト設計者が共同作業で決定すると最も良い設計が出来ます このように 異なる技術者が共同で設計することを協調設計といいます 協調設計をしない場合でも 論理回路設計が終了した時点で いきなり 基板の設計を始めるのではなく バスや高速信号に関わる部品の配置を大体決めて SI 解析を行うと品質の良いレイアウト設計が出来ます この 基板のレイアウト設計をする前に実行する伝送線路解析をフロアプランとかプリ レイアウト シミュレーションと呼びます フロアプランは 部品の大まかなレイアウトや配線の方向や配線規則や層構成も決定します プリ レイアウト シミュレーションは ある程度規則やレイアウトが決まった時点での配線の特性インピーダンスと 必要な配線層数の見積もりから 終端技術の決定 一筆書き配線やスター配線などの配線トポロジー ドライバやレシーバの決定などを行うことを呼びます このようなフロアプランや プリレイアウト解析を行うためには いろいろな条件を変えて 最適の設計を探るような手法を使います また 解析対象としては 高速バスやクロックラインなど 特に注意すべきネットやバスを選びます このように この解析では 一部のネットを重点的に詳細な解析を行います 3/4

第 1 回シミュレータとモデル最後に 基板の配置 配線設計が終わった時点での設計確認のための 検証 ( ベリフィケーション ) 解析を行います 終端抵抗の挿入位置や 配線の長さ 配線トポロジーが正しいかどうか 物理的なチェックだけではなく シミュレータを使って より精度の高いチェックを行います 検証解析では 解析対象ネットに対して 特定のネットだけを抽出して解析するか 出来るだけ多くのネットをチェックするかの選択があります 設計の確認という解析の主旨からは 出来るだけ多くのネットのチェックが出来たほうが良いということになります 更に この解析では 実際の基板のレイアウト状態をシミュレーションのモデルにする必要があります このためには 基板のレイアウトCADの設計情報を取り込んで シミュレーションのためのモデル化をする必要があります その代わり いろいろ条件を変えて解析をするような必要はありません 多くのネットを解析する必要場あるので バッチ処理で 短時間に多くのネットが解析できる必要があります このように 基板のレイアウト設計をした後に実行する伝送線路解析をポスト レイアウト シミュレーションと呼びます 細かく分ければ この解析で発見された不良ネットや危険ネットを 更に詳しく解析するのか ワークアラウンドの方法を解析で探るのか など 細かい運用でシミュレータへの要求は変わります このように 大きく分けて 構想設計段階 基板設計の前と後の 3 回のタイミングで伝送線路解析が実行さます 図 4 解析の実行 4/4

第 1 回シミュレータとモデルまた 解析の目的が異なるので 各々の解析に要求される機能は各々 少し違います 解析するネット数解析条件扱うモデル解析精度解析速度 プリ レイアウト解析少ないいろいろな条件で解析少ない優先遅くても許せる ポスト レイアウト解析多い使われている条件のみ多い良いか悪いかの評価できれば良い出来るだけ速いほうが良い 表 1 プリ レイアウト解析とポスト レイアウト解析 4. シミュレータとモデルの特徴このように 伝送線路シミュレータと言っても 使う目的によって要求される機能が少し違います これに合わせて いろいろな会社から価格 性能 目的の異なる伝送線路シミュレータが商品化されています 中には プリ レイアウト シミュレーションに適した機種とか ポスト レイアウト シミュレーションに適した機種 どちらにも使える機種 層構成の検討だけに特化した機種 基板のレイアウト情報とシミュレーションのモデル化だけに特化した機種など いろいろあります また 解析に使うモデルも ドライバやレシーバの素子モデルとして Spice モデルや IBIS モデルが代表的です より高速信号解析に対しては S パラメータと呼ばれるモデルが使われることもあります また 配線や部品パッケージのモデル化は シミュレータの付随機能であったり モデル化専用ソフトが在ったりします 機能 精度 使い勝手 使えるモデルの種類などと シミュレーションを使う目的 用途などが一致したシミュレータを選択します Spice モデルや IBIS モデルといった 素子モデルは業界標準で モデル化の精度や限界ははっきりしています しかし シミュレータの機能や精度 配線のモデル化機能などについては シミュレータの開発ベンダがブラックボックス化していて なかなか詳細な内容がわかりません 例えば 高精度のモデルが使える機能があっても 内部で 高精度のモデルを簡易モデルに変換して解析しているのでは 解析の精度は上がりません シミュレータの精度や機能をシミュレーション結果の検証を通して良く理解しておくことが重要です シミュレータの精度や機能 限界を理解したうえで 使用目的にあった運用をします 5/4

第 1 回シミュレータとモデル 5. 出力結果の検証シミュレータを使う手順は 一般の仕事と同様 P-D-C ( Plan-Design-Check) サイクルが基本となります つまり 実際のシミュレーションを開始する前に 解析の内容を良く理解して 大体の結果の予想を立てます また 解析条件やモデルをどのように変更すれば どのように結果が変化するかも予想します この時 既に検証済みのモデルや設定条件と解析すべきモデルや条件を組み合わせて モデルや条件の検証をしておきます 次に実際の解析を行います この時点で解析結果を分析し 解析結果が事前に想定した範囲内にあるかどうかを確認します 同時に モデルや解析条件をいくつか変えた解析をして この解析結果が想定したように変化することを確認します もし これらの結果が想定と違ったら このような結果が出た理由を考え モデルや設定をチェックします その結果によっては モデルや設定の手直しが必要となる場合もあります また 可能であれば 異なるシミュレータや異なるバージョンのソフトを使って解析結果を検証することも 結果の信頼性を上げるためには有効です 多くの場合はここまでですが この後に Check= 確認の工程があれば 理想的な開発サイクルになります 実測と解析の違いを検証データ 設定を変えて実測と比較理論, 解析結果 測定結果を一致させる 設定 データのアップデート サンプルモデルを使って解析データや設定を変えて結果確認理論と結果の一致を確認 CHECK 実データでの解析の実行解析結果が予想の範囲内設定を変えて結果が想定通りに変化 データと設定が正しいことを確認 結果と想定が合っていることを確認 PLAN 図 5 PDC 開発ループ DO 実際の基板を試作し 解析結果と実測結果の検証を行います 実測結果により 解析モデルや設定のチューンアップを行い 次回のシミュレーションでは これらのモデルや設定は 検証済みの解析条件として使用することが出来るようにします しかし この段階で 簡単に実測結果が正しい シミュレーション結果に誤差がある と 判断してはいけません 高速信号に対するノイズの測定は非常に難しく 場合によっては シミュレーションのほうが制度が高い場合もあります 6/4

第 1 回シミュレータとモデル普通 実測を行うためには 外乱ノイズが入り込まないような 測定用のテスト基板や 外乱ノイズを測定するための測定基板を作成したりして 目的の部分だけの測定ができるようにします このような測定基板の設計や作成 正確なターゲットだけの測定などには 高度な知識と経験 目的にあった測定器などが必要とされます 7/4