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2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は

学報_台紙20まで

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法医学問題「想定問答」(記者会見後:平成15年  月  日)

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図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

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報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

長期/島本1

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抑制することが知られている 今回はヒト子宮内膜におけるコレステロール硫酸のプロテ アーゼ活性に対する効果を検討することとした コレステロール硫酸の着床期特異的な発現の機序を解明するために 合成酵素であるコ レステロール硫酸基転移酵素 (SULT2B1b) に着目した ヒト子宮内膜は排卵後 脱落膜 化

別紙 自閉症の発症メカニズムを解明 - 治療への応用を期待 < 研究の背景と経緯 > 近年 自閉症や注意欠陥 多動性障害 学習障害等の精神疾患である 発達障害 が大きな社会問題となっています 自閉症は他人の気持ちが理解できない等といった社会的相互作用 ( コミュニケーション ) の障害や 決まった手

基盤研究(A・B)(海外学術調査) 研究計画調書作成・記入要領

( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関

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別紙 < 研究の背景と経緯 > 自閉症は 全人口の約 2% が罹患する非常に頻度の高い神経発達障害です 近年 クロマチンリモデ リング因子 ( 5) である CHD8 が自閉症の原因遺伝子として同定され 大変注目を集めています ( 図 1) 本研究グループは これまでに CHD8 遺伝子変異を持つ

論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

難病 です これまでの研究により この病気の原因には免疫を担当する細胞 腸内細菌などに加えて 腸上皮 が密接に関わり 腸上皮 が本来持つ機能や炎症への応答が大事な役割を担っていることが分かっています また 腸上皮 が適切な再生を全うすることが治療を行う上で極めて重要であることも分かっています しかし

補助事業者 研究代表者及び研究分担者所属研究機関氏名 部局 職名 同一機関に所属する補助事業者の間接経費譲渡額は 合計額のみを記入してください 間接経費の交付申請書に記譲渡額載の補助金額 13,000,000 13,000,621 5,500,000 大学 学部 准教授 20234

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1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ

報道発表資料 2002 年 10 月 10 日 独立行政法人理化学研究所 頭にだけ脳ができるように制御している遺伝子を世界で初めて発見 - 再生医療につながる重要な基礎研究成果として期待 - 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は プラナリアを用いて 全能性幹細胞 ( 万能細胞 ) が頭部以外で脳

報道発表資料 2006 年 6 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 アレルギー反応を制御する新たなメカニズムを発見 - 謎の免疫細胞 記憶型 T 細胞 がアレルギー反応に必須 - ポイント アレルギー発症の細胞を可視化する緑色蛍光マウスの開発により解明 分化 発生等で重要なノッチ分子への情報伝達

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

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注 : 平成 年度募集研究種目 国際的に評価の高い研究の推進 研究費の規模 / 研究の発展 H には 新たに基盤研究 (B) 若手研究 (A) の 種目に基金化を導入 若手研究 9 歳以下 ~ 年 (A) 500~,000 万円 (B) ~500 万円 研究活動スタート支援 年以内年間 50 万円以

遺伝子の近傍に別の遺伝子の発現制御領域 ( エンハンサーなど ) が移動してくることによって その遺伝子の発現様式を変化させるものです ( 図 2) 融合タンパク質は比較的容易に検出できるので 前者のような二つの遺伝子組み換えの例はこれまで数多く発見されてきたのに対して 後者の場合は 広範囲のゲノム

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図 1. 微小管 ( 赤線 ) は細胞分裂 伸長の方向を規定する本瀬准教授らは NIMA 関連キナーゼ 6 (NEK6) というタンパク質の機能を手がかりとして 微小管が整列するメカニズムを調べました NEK6 を欠損したシロイヌナズナ変異体では微小管が整列しないため 細胞と器官が異常な方向に伸長し

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博士の学位論文審査結果の要旨

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Chapter 1

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研究の背景 ヒトは他の動物に比べて脳が発達していることが特徴であり, 脳の発達のおかげでヒトは特有の能力の獲得が可能になったと考えられています この脳の発達に大きく関わりがあると考えられているのが, 本研究で扱っている大脳皮質の表面に存在するシワ = 脳回 です 大脳皮質は脳の中でも高次脳機能に関わ

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佐賀大学科学研究費補助金間接経費取扱要領

子として同定され 前立腺癌をはじめとした癌細胞や不死化細胞で著しい発現低下が認められ 癌抑制遺伝子として発見された Dkk-3 は前立腺癌以外にも膵臓癌 乳癌 子宮内膜癌 大腸癌 脳腫瘍 子宮頸癌など様々な癌で発現が低下し 癌抑制遺伝子としてアポトーシス促進的に働くと考えられている 先行研究では ヒ

今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

1. 背景血小板上の受容体 CLEC-2 と ある種のがん細胞の表面に発現するタンパク質 ポドプラニン やマムシ毒 ロドサイチン が結合すると 血小板が活性化され 血液が凝固します ( 図 1) ポドプラニンは O- 結合型糖鎖が結合した糖タンパク質であり CLEC-2 受容体との結合にはその糖鎖が

第6号-2/8)最前線(大矢)

1 版 研究分担者研究者番号機関番号部局番号職番号研究者番号機関番号部局番号職番号氏名所属研究機関 部局 職氏名所属研究機関 部局 職補助事業期間を通じた支出済みの分担金 ( 事実発生日までの支出済みの額 ) を入力すること 大学 学部 准教授削

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

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疫学研究の病院HPによる情報公開 様式の作成について

博第265号

の活性化が背景となるヒト悪性腫瘍の治療薬開発につながる 図4 研究である 研究内容 私たちは図3に示すようなyeast two hybrid 法を用いて AKT分子に結合する細胞内分子のスクリーニングを行った この結果 これまで機能の分からなかったプロトオンコジン TCL1がAKTと結合し多量体を形

2010 年 7 月 30 日国立大学法人群馬大学 若手先端科学研究者の研究環境改革 プログラム 先端科学研究指導者育成ユニット テニュア トラック教員の募集要項国立大学法人群馬大学 群馬大学では 文部科学省の科学技術振興調整費 若手研究者の自立的研究環境整備促進事業 (2010 年度から 2014

共同研究報告書

を行った 2.iPS 細胞の由来の探索 3.MEF および TTF 以外の細胞からの ips 細胞誘導 4.Fbx15 以外の遺伝子発現を指標とした ips 細胞の樹立 ips 細胞はこれまでのところレトロウイルスを用いた場合しか樹立できていない また 4 因子を導入した線維芽細胞の中で ips 細

平成14年度研究報告

RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果

様式F-19 記入例・作成上の注意

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るが AML 細胞における Notch シグナルの正確な役割はまだわかっていない mtor シグナル伝達系も白血病細胞の増殖に関与しており Palomero らのグループが Notch と mtor のクロストークについて報告している その報告によると 活性型 Notch が HES1 の発現を誘導

学位論文の要約

報道発表資料 2007 年 4 月 11 日 独立行政法人理化学研究所 傷害を受けた網膜細胞を薬で再生する手法を発見 - 移植治療と異なる薬物による新たな再生治療への第一歩 - ポイント マウス サルの網膜の再生を促進することに成功 網膜だけでなく 難治性神経変性疾患の再生治療にも期待できる 神経回

Microsoft Word - 【広報課確認】 _プレス原稿(最終版)_東大医科研 河岡先生_miClear

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

血漿エクソソーム由来microRNAを用いたグリオブラストーマ診断バイオマーカーの探索 [全文の要約]

糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

のと期待されます 本研究成果は 2011 年 4 月 5 日 ( 英国時間 ) に英国オンライン科学雑誌 Nature Communications で公開されます また 本研究成果は JST 戦略的創造研究推進事業チーム型研究 (CREST) の研究領域 アレルギー疾患 自己免疫疾患などの発症機構

今回から電子申請システムを 利用することとなる手続き

報道発表資料 2001 年 12 月 29 日 独立行政法人理化学研究所 生きた細胞を詳細に観察できる新しい蛍光タンパク質を開発 - とらえられなかった細胞内現象を可視化 - 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は 生きた細胞内における現象を詳細に観察することができる新しい蛍光タンパク質の開発に成

統合失調症モデルマウスを用いた解析で新たな統合失調症病態シグナルを同定-統合失調症における新たな予防法・治療法開発への手がかり-

ヒト脂肪組織由来幹細胞における外因性脂肪酸結合タンパク (FABP)4 FABP 5 の影響 糖尿病 肥満の病態解明と脂肪幹細胞再生治療への可能性 ポイント 脂肪幹細胞の脂肪分化誘導に伴い FABP4( 脂肪細胞型 ) FABP5( 表皮型 ) が発現亢進し 分泌されることを確認しました トランスク

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革新的がん治療薬の実用化を目指した非臨床研究 ( 厚生労働科学研究 ) に採択 大学院医歯学総合研究科遺伝子治療 再生医学分野の小戝健一郎教授の 難治癌を標的治療できる完全オリジナルのウイルス遺伝子医薬の実用化のための前臨床研究 が 平成 24 年度の厚生労働科学研究費補助金 ( 難病 がん等の疾患

PowerPoint プレゼンテーション

費 複写費 現像 焼付費 通信費 ( 切手 電話等 ) 運搬費 研究実施場所借り上げ費 ( 研究機関の施設において補助事業の遂行が困難な場合に限る ) 会議費 ( 会場借料 食事 ( アルコール類を除く ) 費用等 ) リース レンタル費用 ( コンピュータ 自動車 実験機器 器具等 ) 機器修理費

背景 歯はエナメル質 象牙質 セメント質の3つの硬い組織から構成されます この中でエナメル質は 生体内で最も硬い組織であり 人が食生活を営む上できわめて重要な役割を持ちます これまでエナメル質は 一旦齲蝕 ( むし歯 ) などで破壊されると 再生させることは不可能であり 人工物による修復しかできませ

化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

ステップアップ研究費応募要領

細胞外情報を集積 統合し 適切な転写応答へと変換する 細胞内 ロジックボード 分子の発見 1. 発表者 : 畠山昌則 ( 東京大学大学院医学系研究科病因 病理学専攻微生物学分野教授 ) 2. 発表のポイント : 多細胞生物の個体発生および維持に必須の役割を担う多彩な形態形成シグナルを細胞内で集積 統

11 月 16 日午前 9 時 ( 米国東部時間 ) にオンライン版で発表されます なお 本研究開発領域は 平成 27 年 4 月の日本医療研究開発機構の発足に伴い 国立研究開発法人科学 技術振興機構 (JST) より移管されたものです 研究の背景 近年 わが国においても NASH が急増しています

目次 1. はじめに 2. 実際の応募手続き 2-a. 手続きを始める前に 2-b. 研究開発提案書様式の取得 2-c. 応募の新規登録 2-d. 応募情報の入力 2

胞運命が背側に運命変換することを見いだしました ( 図 1-1) この成果は IP3-Ca 2+ シグナルが腹側のシグナルとして働くことを示すもので 研究チームの粂昭苑研究員によって米国の科学雑誌 サイエンス に発表されました (Kume et al., 1997) この結果によって 初期胚には背腹

公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研究事業 ( 平成 28 年度 ) 公募について 平成 27 年 12 月 1 日 信濃町地区研究者各位 信濃町キャンパス学術研究支援課 公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研

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2. 利用可能時間帯 問い合わせ先 (1) e-radの利用可能時間帯 ( 月 ~ 金 ) 午前 6:00~ 翌午前 2:00まで ( 土 日曜日 ) 正午 ~ 翌午前 2:00までなお 祝祭日であっても 上記の時間帯は利用可能です ただし 上記利用可能時間帯であっても緊急のメンテナンス等により サ

研究開発期間 平成 27 年度間 研究開発費合計額 うち 直接経費 希望する研究開発費 ( 円 ) 年度 5. 全体表 の 合計 欄の額を 記載してください 5. 内訳表 の総括 直接経費小 計 欄の額を記載してください H27 年度 XX,XXX,XXX 円 XX,XXX,XXX 円 研究開発目的

Powered by TCPDF ( Title 造血器腫瘍のリプログラミング治療 Sub Title Reprogramming of hematological malignancies Author 松木, 絵里 (Matsuki, Eri) Publisher P

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資料2.平成26年度科学研究費助成事業-科研費-公募要領等について

4. 発表内容 : [ 研究の背景 ] 1 型糖尿病 ( 注 1) は 主に 免疫系の細胞 (T 細胞 ) が膵臓の β 細胞 ( インスリンを産生する細胞 ) に対して免疫応答を起こすことによって発症します 特定の HLA 遺伝子型を持つと 1 型糖尿病の発症率が高くなることが 日本人 欧米人 ア

新規遺伝子ARIAによる血管新生調節機構の解明

結果 この CRE サイトには転写因子 c-jun, ATF2 が結合することが明らかになった また これら の転写因子は炎症性サイトカイン TNFα で刺激したヒト正常肝細胞でも活性化し YTHDC2 の転写 に寄与していることが示唆された ( 参考論文 (A), 1; Tanabe et al.

国際共同研究加速基金 ( 国際共同研究強化 (B)) の公募に係る FAQ 1. 趣旨及び対象について 問 1 日本国内で実施する国際共同研究も対象となるのか? 3 問 2 日本側研究者が海外の研究機関等に直接出向くこととなっているが 研究代表者が必ず海外に行かなければならないのか? 3 問 3 海

Transcription:

平成 25 年 10 月 7 日 (3303: 上皮管腔組織形成 ) 菊池章殿 生物系委員会主査 平成 25 年度科学研究費補助金 新学術領域研究 ( 研究領域提案型 ) の 中間評価結果について 平成 25 年 9 月 5 日に実施した生物系委員会における中間評価の結果 あなたを領域代表者とする研究 領域の評価結果を以下のとおりとしましたのでお知らせします 研究領域名 : 上皮管腔組織の形成 維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立 評価結果 :A ( 研究領域の設定目的に照らして 期待どおりの進展が認められる ) 本研究領域に対する評価結果の所見及び中間評価の結果 継続に係る審査の必要がある計画研究課題の有無については 別紙のとおりです 各計画研究代表者へも伝達していただきますようお願いします また 評価結果の所見の内容についてさらに具体的な補足が必要な場合 希望者は 文部科学省の学術調査官から補足情報を得ることができます 照会にあたっては 所見の内容のどの部分についての補足情報が必要か を明記の上 電子メールにてお問い合わせ願います なお その際は必ず電話番号を付記してください ただし 担当学術調査官への照会は平成 25 年 11 月 8 日までとし それ以降は文部科学省研究振興局学術研究助成課へ照会願います なお 評価結果の所見については 文部科学省から公表するとともに 府省共通研究開発管理システム (e-rad) にも提供する場合があることを申し添えます < 学術調査官 > 学術に関する事項についての調査 指導及び助言に当たる大学等の研究者 ( 文部科学省組織規則第 5 3 条 第 62 条 ) 科学研究費補助金の審査 評価に当たる審査会の議事運営 応募者からの相談への対応 審査 評価結果に係る補足情報の提供等を行う 本件担当文部科学省研究振興局学術研究助成課科学研究費第一係 TEL:03-5253-4111( 内線 4087,4094) FAX:03-6734-4093 E-mail:gakjosei@mext.go.jp 学術調査官三森功士 ( 九州大学 別府病院外科 教授 ) E-mail:kmimori@beppu.kyushu-u.ac.jp 学術調査官堀哲也 ( 国立遺伝学研究所 分子遺伝研究系 助教 ) E-mail:thori@nig.ac.jp

( 別紙 ) 領域番号 :3303 研究領域名 : 上皮管腔組織の形成 維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立領域代表者 : 菊池章 ( 大阪大学 大学院医学系研究科 教授 ) A ( 研究領域の設定目的に照らして 期待どおりの進展が認められる ) 総合所見本研究領域は 上皮細胞が 3 次元的に管腔構造を形成する過程及び維持機構の解明とその破綻による疾患の理解を深めることを目指すものである 上皮管腔 というキーワードにより実績のある研究者が集結し 幹細胞誘導系の開発を世界に先駆け成功させるなど 研究は順調に進展している 領域内の連携も良好で 今後も成果が見込まれる また 管腔組織の形成に結びつく分子 ( 遺伝子 ) レベルの解明など新たな展開によるがん研究や発生 再生研究分野への波及効果も期待される 今後 公募研究で補うことにより シミュレーションモデル分野の研究者の参画あるいはモデル生物による研究をさらに強化することが出来れば 本研究領域のさらなる飛躍が期待される なお 管腔形成 上皮化 細胞極性という既存の概念の組合せからどのような新しい概念が生み出されるのか明確にする必要がある 評価に当たっての着目点ごとの所見 (a) 研究の進展状況本研究領域内での異分野連携による共同研究から 上皮管腔組織の極性に焦点を当てた形態形成に関わる新知見が得られるなど着実に研究が進展している また 共同研究により上皮管腔組織の形成過程の解析に関わる方法など新しい技術が開発されつつあり 他の研究領域への波及効果も期待される さらに 本研究領域で明らかになってきた様々な研究成果は がん研究分野 組織形成機構研究あるいは炎症領域へも大きな波及効果をもたらすと期待できる 今後 新分野への発展も視野に 領域内の複数の研究を結ぶ共通性を見出すための分子レベルでの解明が望まれる (b) 研究成果本研究領域の目標に沿った共同研究が順調に進展しており その中から新規アクチン蛍光プローブの開発など新たな手法の開発も進み 成果が生まれている また 領域内の異分野の研究者間の交流から新たな方向性も見出されている 上皮組織を研究対象とした本研究領域では 特にがん研究や発生 再生研究分野において成果がみられ また 腸管炎症を促進する新たなシグナル伝達経路の可能性が示されたことは 免疫 炎症領域への波及効果も期待される 一方で 上皮管腔を形成するための共通原理と個々の臓器特異的原理については未だ不明であり 今後の課題である (c) 研究組織 上皮管腔 というキーワードにより個々の臓器の研究において実績のある研究者が集結し 領域内の共同研究が活発に行われている点は評価できる 今後 シミュレーションモデル分野の研究者の参画やモデル生物の利用の検討も望まれる (d) 研究費の使用 特に問題点はなかった (e) 今後の研究領域の推進方策この分野の専門家が集結しており 領域内の連携による相乗効果は高く評価でき 引き続き推進することが期待される 今後は シミュレーションモデルやモデル生物の専門家の参画を図り 上皮管腔形成の共通原理の解明などにより 本研究領域をより発展させることが望まれる

(f) 各計画研究の継続に係る審査の必要性 経費の適切性 いずれの計画研究も順調に進行しており 経費も必要かつ妥当と思われ 継続に係る審査の必要はない

領域番号研究領域名 3303 上皮管腔組織の形成 維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立 領域代表者 ( 所属 職名 ) 菊池章 ( 大阪大学 大学院医学系研究科 教授 ) 審査の必要性 欄に 必要あり と記載された計画研究が 応募が必要な研究課題を示しています 区分 研究項目番号 研究代表者交付予定額 ( 千円 ) 研究課題名氏名所属 職名平成 26 年度平成 27 年度 審査の必要性 総括班 X00 菊池章 大阪大学 大学院医学系研究科 上皮管腔組織形成 領域の運営 7,400 11,000 教授 計画研究 A01 鈴木淳史 九州大学 生体防御医学研究所 組織幹細胞の維持と分化の制御機構 10,600 10,600 教授 計画研究 A01 大野茂男横浜市立大学 医学研究科 教授組織幹前駆細胞の極性制御と運命決定 21,900 21,900 計画研究 A01 菊池章 大阪大学 大学院医学系研究科 分岐を伴った上皮管腔組織構造の形成 維持教授の分子機構 29,800 29,800 計画研究 A01 大橋一正 東北大学 大学院生命科学研究科 准教授 上皮管腔形成過程における細胞動態と機能分子動態の 3 次元イメージング解析 13,500 13,500 計画研究 A02 大谷浩島根大学 医学部 教授 器官 組織形成期の発生異常に基づく上皮管腔組織形成障害 13,500 13,500 計画研究 A02 南康博 神戸大学 大学院医学研究科 教平面細胞極性シグナルの異常と繊毛関連症候授群及び癌の浸潤転移 24,900 24,900 計画研究 A02 佐邊壽孝 北海道大学 大学院医学研究科 上皮管腔組織の破綻と上皮間葉転換 23,900 23,900 教授 交付予定額合計 145,500 149,100 * 公募研究については 公募要領に掲載している内容どおりに募集します

各計画研究に対する個別の所見 研究項目 :X00 研究代表者名 : 菊池章 ( 大阪大学 大学院医学系研究科 教授 ) 研究課題名 : 上皮管腔組織形成 領域の運営 本研究領域の運営は確実に進展している とりわけ若手研究者の育成に関して十分な配慮がなされている 研究者間の連携や共同研究の推進 外部への情報発信 研究ツールの提供 技術支援など いずれも極めて順調に行われている また 公募研究で採択された若手研究者間の共同研究プロジェクトの募集 総括班会議及び領域全体会議による情報交換の推進 国際シンポジウムの開催 若手研究者の発案による技術講習会の開催など 円滑な領域運営と人的交流の促進が図られており 今後の運営方針も適切である 研究代表者名 : 鈴木淳史 ( 九州大学 生体防御医学研究所 教授 ) 研究課題名 : 組織幹細胞の維持と分化の制御機構 未分化肝芽細胞の増殖 分化の制御に必須の転写因子 Tbx3 の発見と その発現制御とりわけヒストン修飾を介したエピジェネティックな制御機構の解明など 極めて優れた成果をあげており 成果の公表も順調である Wnt シグナルなど液性因子による肝芽細胞での Tbx3の発現制御機構の解析 Tbx3 の標的遺伝子の解析 管腔形成の三次元立体解析など これまでの成果に立脚した計画である 研究経費の費目はいずれも必要かつ妥当と思われる 今後の進展が大いに期待できる 研究代表者名 : 大野茂男 ( 横浜市立大学 医学研究科 教授 ) 研究課題名 : 組織幹前駆細胞の極性制御と運命決定 乳腺組織幹前駆細胞を同定すると共に その増殖制御機構として apkc-erbb2 経路を見出し その役割の解明を進めるなど 本研究領域の目標に沿った研究が順調に進展しており 成果の公表も概ね順調である 各種の apkc などの遺伝子改変マウスを用いた乳腺組織幹前駆細胞の増殖 分化の分子機構の解析 乳腺上皮管腔組織の破綻と乳癌幹細胞との関係の解析など 今後の計画も妥当であり 進展が大いに期待できる 研究経費の使途も妥当である

研究代表者名 : 菊池章 ( 大阪大学 大学院医学系研究科 教授 ) 研究課題名 : 分岐を伴った上皮管腔組織構造の形成 維持の分子機構 Wnt シグナルによる細胞極性制御機構について Wnt 自身の輸送 分泌に極性があること HSPG がリピッドラフトに存在し Wnt シグナルを局所で制御していること 腸管上皮細胞の三次元培養系を確立し 分岐管腔形成に Wnt3a と EGF の共刺激による因子 X の発現誘導が重要であることなどを見出したほか 接着依存的な頂底極性を誘導する新たな実験系を確立するなど着実な成果が得られている 共同研究も多数進行中であり すべての研究が順調に推移している 成果の公表も順調である 今後の研究計画は具体的であり これまでに確立した実験系を用い これらを活用しつつ領域内における連携拡大によりさらに発展が期待できる 研究経費はいずれも研究計画の遂行と対応するものであり 必要性 妥当性が認められる 研究代表者名 : 大橋一正 ( 東北大学 大学院生命科学研究科 准教授 ) 研究課題名 : 上皮管腔形成過程における細胞動態と機能分子動態の 3 次元イメージング解析 上皮細胞に各種のマーカープローブを発現させた細胞株を樹立し 上皮管腔形成の三次元蛍光タイムラプス解析の基盤を構築したほか メカニカルストレスによる上皮管腔形成の制御への Rho-GEF の関与を明らかにするなど 本研究課題に沿った研究が順調に進展している 上皮管腔形成過程における三次元タイムラプス解析に向けた実験系の確立を進め 管腔の伸長 分岐に関与する分子群の機能解析を進めると共に 細胞 基質間 細胞間張力の高感度センサープローブの開発など 今後の計画も具体的で 妥当である 進展が大いに期待できる 研究項目 :A02 研究代表者名 : 大谷浩 ( 島根大学 医学部 教授 ) 研究課題名 : 器官 組織形成期の発生異常に基づく上皮管腔組織形成障害 管腔臓器の発生異常の形態学的及び数理学的解析による細胞極性制御機構の解析を 領域内で共同 連携して進展させている 研究は概ね順調に進展している 今後の研究計画も具体的で妥当である 組織形成期間中の全日齢別の上皮細胞総数 上皮と周囲組織との面積比 筋層数などの部位別 日齢別の基準値の確立は今後の重要なデータベースとして期待される

研究項目 :A02 研究代表者名 : 南康博 ( 神戸大学 大学院医学研究科 教授 ) 研究課題名 : 平面細胞極性シグナルの異常と繊毛関連症候群及び癌の浸潤転移 Wnt/planar cell polarity (PCP) シグナルによる腎臓 尿管発生の制御及びその異常による奇形の分子病態解析を進めると共に 炎症及び癌の浸潤 転移における Wnt/Ror シグナルの役割の解明など 本研究領域の目標に沿った研究が順調に進展しており 成果も公表されている また 共同研究も進行している 腎臓の発生過程 腎臓 肺や腸上皮の慢性炎症 繊維化 上皮癌細胞 EMTなどにおける Wnt/Ror シグナルの関与及び役割の解明を進める計画は共同研究も含め妥当であり 大きな成果が期待される 研究経費の使途も妥当である 研究項目 :A02 研究代表者名 : 佐邊壽孝 ( 北海道大学 大学院医学研究科 教授 ) 研究課題名 : 上皮管腔組織の破綻と上皮間葉転換 Arf-AMAP1 経路の構成因子が高悪性度乳癌で高発現していること AMAP1 が ORKD2 との結合を介し β1 インテグリンと結合しそのリサイクリングに関わり Arf 経路が浸潤仮足形成を担うことなどを明らかにしたほか Arf 経路が乳癌や腎細胞癌の再発予測マーカーとなり癌の放射線抵抗性を規定する経路である可能性も示すなど 本研究領域の目標に沿った研究が順調に進展している また 共同研究も進行中である p53 と Arf 経路との関わり Arf6 経路活性化因子の同定とその分子機構などの解明を進めるほか 癌の再発予測診断への応用や放射線抵抗性を減ずる Arf 経路阻害薬の開発などの臨床応用に向けた検討も計画されるなど 今後の計画も具体的で 今後も順調に進展することが期待される 中間評価に当たっての着目点 評価基準等については 別添 科学研究費補助金 新学術領域研究 ( 研究領域提案型 ) の 評価要綱 - 抜粋 - をご参照ください