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函館市における PFI 導入に向けての指針 平成 17 年 1 月 ( 平成 29 年 3 月改訂 ) 函館市

はじめに 公共施設等の設計, 建設, 維持管理, 運営等を民間の資金や経営能力, 技術的能力を活用して行うPFI(Private Finance Initiative) の導入に向けて, わが国では, 平成 11 年 7 月に 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律 (P FI 法 ) が制定され, 平成 12 年 3 月には 民間資金等の活用による公共施設等の整備に関する事業の実施に関する基本方針 が策定されました その後,PFI 事業の 実施プロセス および リスク分担 ( 平成 13 年 1 月 ), V FM(Value For Money) ( 平成 13 年 7 月 ), 契約 および モニタリング ( 平成 15 年 6 月 ) に関するそれぞれのガイドラインが示されました こうしたなか, 本市では, 平成 17 年 1 月にPFIについての理解を深め, 導入の検討を進めるため, 函館市におけるPFI 導入に向けての指針 を策定したところでありますが, 平成 16 年 12 月の市町村合併により, 公共施設の整備にあたり財源上有利な合併特例債の活用が可能になるとともに, 公共施設の管理については指定管理者制度を積極的に導入してきたことから, これまでPFIの具体的な検討は行ってきませんでした しかしながら, 本市における合併特例債の活用可能な期間は平成 31 年度までとなっており, また, 平成 23 年のPFI 法改正により民間提案制度の法定化や公共施設等運営権方式 ( コンセッション方式 ) の導入などが盛り込まれ, さらに, 国において平成 28 年 5 月に PPP/PFI 推進アクションプラン が策定され, より一層 PPP/PFIを推進する方針が示されたことから, 本市として, あらためてPFI 手法の導入に向け 函館市 PFI 手法優先的検討規程 を定めるとともに, 法改正や国のアクションプランの策定等を踏まえ, 函館市におけるPFI 導入に向けての指針 を改訂したところであります

目 次 Ⅰ PFIの基本概念... 1 1 PFIとは... 1 2 PFIの導入効果... 2 3 PFIの基本理念と性格... 3 4 PFIの特徴... 5 5 PFIの基本的な仕組み... 9 6 PFIの事業形態... 10 7 PFIの事業方式... 12 Ⅱ 函館市における PFI 導入方針... 14 1 PFI 導入の考え方... 14 2 PFI 導入の視点... 15 Ⅲ PFIの導入手順... 17 1 導入フロー... 17 2 導入に向けての検討... 18 3 導入可能性の検討... 20 4 実施方針の策定 公表... 23 5 特定事業の選定 公表... 26 6 事業者の選定 公表... 28 7 契約の締結... 30 8 事業の実施... 32 9 事業の終了... 32 10 留意点... 33 参考 PFI に関するホームページ... 35

Ⅰ PFI の基本概念 1 PFI とは PFI(Private Finance Initiative) とは, 従来公共部門が対応してきた公共施設等の設計, 建設, 維持管理, 運営等について, 民間の資金, 経営能力や技術的能力を活用することによって, 効率的で質の高い公共サービスを提供する新しい事業手法である PFI 事業の対象となる公共施設等 (PFI 法第 2 条 ) 1 道路, 鉄道, 港湾, 空港, 河川, 公園, 水道, 下水道, 工業用水道等の公共施設 2 庁舎, 宿舎等の公用施設 3 賃貸住宅及び教育文化施設, 廃棄物処理施設, 医療施設, 社会福祉施設, 更生保護施設, 駐車場, 地下街等の公益的施設 4 情報通信施設, 熱供給施設, 新エネルギー施設, リサイクル施設 ( 廃棄物処理施設を除く ), 観光施設及び研究施設 5 船舶 航空機等の輸送施設及び人工衛星 ( これらの施設の運行に必要な施設を含む ) 6 前各号に掲げる施設に準ずる施設として政令で定めるもの -1-

2 PFI の導入効果 (1) 低廉かつ良質な公共サービスの提供民間事業者の資金, 経営能力や技術的能力を活用し, 設計 建設 維持管理 運営等の全部または一部が一体的に行われることや, 従来, 公共が負担していたリスクが官民により適切に分担されることなどから, 事業コストの削減と質の高い公共サービスの提供が期待できる (2) 財政支出の平準化 民間事業者が実施するサービスに対して, 契約期間全体にわたって, 公共が対価 を均等に支出することが可能となり, 財政支出の平準化が期待できる (3) 官民の適切な役割分担に基づく新たな協力関係の形成民間事業者の自主性や創意工夫を尊重しつつ, 可能な限り民間事業者に委ねることによって, 官民の適切な役割分担に基づく新たなパートナーシップの形成が期待できる (4) 民間の事業機会の創出による経済の活性化従来, 国や地方公共団体等が行ってきた事業を民間事業者に委ねることから, 民間事業者にとって新たな事業機会が創出されるとともに, 他の収益事業と組み合わせることによっても新たな事業機会が生み出されるなど, 経済の活性化に資する効果が期待できる -2-

3 PFI の基本理念と性格 PFIの基本理念は, 公共施設等の整備等に関する事業については, 公共と民間事業者との適切な役割分担と財政資金の効率的使用の観点を踏まえつつ, 民間事業者に行わせることが適切なものについては, できる限り民間事業者に委ねること PFIによる事業については, 公共と民間事業者との責任分担の明確化を図りつつ, 収益性を確保するとともに, 公共の民間事業者に対する関与を必要最小限とすることにより, 民間事業者の有する技術および経営資源, その創意工夫等が十分に発揮され, 低廉かつ良好なサービスが提供されることであり, この基本理念や期待される効果を実現するため,PFIの導入にあたっては次の5つの原則と3つの主義を担保する必要がある (1) 5つの原則 1 公共性の原則市民ニーズの高い公共性のある事業であること 2 民間経営資源活用の原則民間の資金, 経営能力および技術的能力を活用すること 3 効率性の原則民間事業者の自主性や創意工夫を尊重することにより, 効率的かつ効果的に実施すること 4 公平性の原則事業の選定および民間事業者の選定において, 公平性を担保すること 5 透明性の原則事業の発案から終結まで全過程を通じて透明性を確保すること -3-

(2) 3つの主義 1 客観主義各段階での評価決定について客観性があること 2 契約主義当事者の役割および責任分担等について明確にし, 契約書に明記すること 3 独立主義事業を担う企業体の法人格上の独立性または事業部門の区分経理上の独立性が確保されること -4-

4 PFI の特徴 (1) 民間の資金とノウハウ ( 経営能力および技術的能力 ) の活用 1 PFI 事業者による設計, 建設, 維持管理, 運営等の一体的取り扱い従来の公共工事では, 設計, 建設, 維持管理, 運営等について, それぞれを公共の責任で行っていたが,PFIではそれを民間事業者に一括して委ねることで, 将来の維持管理や運営のコスト削減を考慮した設計や建設など, 民間のノウハウを生かすことができる 2 性能発注の実施従来の公共工事では, 詳細に施設の構造や資材等を定めた仕様書による仕様発注が行われてきたが,PFIでは構造物, 建築資材等の具体的な仕様の特定は最小限とし, 公共が最終的に求める公共サービスの内容や水準を示す性能発注を原則としていることから, 民間事業者は, 構造や資材, 運営方法等について, 求められる水準の中で自由な提案をすることが可能となり, 民間のノウハウを生かすことができる 3 公共サービスの提供実績に応じた支払い PFI 事業者には, 設定された公共サービス水準を達成することが求められ, 公共側はモニタリングにより監視し, サービス水準の達成度に応じた支払いをするのが一般的で, サービスが基準に達しない場合には, 支払いの額の減額が可能とされるなど, サービス水準の確保, さらにはより高い水準のサービスの提供に向けて, 民間のノウハウを生かすことができる -5-

(2) 長期契約の締結 公共が公共施設の建設, 維持管理, 運営を行う従来方式の場合は, 公共と民間との契約の多くは単年度ごとに結ばれてきたが,PFIの場合は, 公共施設の設計, 建設, 維持管理, 運営等を一括して民間事業者に委ねることとなるため, それに対応できるよう長い契約期間が想定されるもので, これまでの事例においては,15 年から30 年程度の期間が多くなっている (3) VFM(Value For Money) の達成 VFMとは, 税金等を原資とする支払いに対して, 最も価値の高いサービスを提供する という考え方であり,PFIでは,VFMの達成が求められる VFMは, 従来方式で公共が整備した場合の公共が負担するコストの推計値 (PS C:Public Sector Comparator) とPFIで実施した場合の公共が負担するコストの推計値との比較によるものである PFIは事業期間全体を通してのコスト削減を目指していることから, 設計, 建設, 維持管理, 運営等の事業期間全体にわたり, 従来方式とPFIそれぞれの場合について, 公共が負担するコストの総計 (LCC:Life Cycle Cost) を現在価値に換算し比較することで検証する VFMの評価基準は, 公共サービスが同一の水準にある場合において, 事業期間全体を通じ公的財政負担の縮減が期待できること 公的財政負担が同一の水準にある場合において公共サービスの水準の向上が期待できることである -6-

VFMの評価 1 従来方式とPFIについて, 設計 建設, 維持管理 運営までを含めた事業のライフサイクル全体のコストを定量的に評価 2 PFIにより民間事業者に移転されるリスクを評価して調整 3 現在価値換算後の公共の負担額を比較 4 サービスの向上等を定性的に評価 5 総合的に比較 従来方式 (PSC) リスク調整額 維持管理費運営費 設 計 費 建 設 費 支払利息 PFI VFM 税金 配当金 維持管理費運営費 設 計 費 建 設 費 支払利息 現在価値 --- 貨幣価値が, 物価変動等の不確定要素や金利水準等の諸要因により, 時間の経過とともに変化することを前提として, 将来の収入や支出を 割引率 を用いて換算した現在の貨幣の価値 (4) 官民のリスク分担 リスクとは, 事故, 需要の変動, 物価や金利の変動, 測量 調査のミスによる計画 仕様の変更, 工事の遅延による工事費の増大, 事業開始の遅れ, 関係法令や税制の変更等の様々な予測のできない事態により損失が発生するおそれのことである 従来の手法では, リスクは基本的に公共側が負担し, 不確定性の高いリスクについては, 発生時に契約当事者間で協議するという形態が一般的であったが,PFIでは, 事業契約期間中に想定される個々のリスクについて, 公共と民間のどちらが発生率を下げられるか, 発生した場合の損失を極力小さくし得るかにより, 公共と民間の間で適切なリスク分担を行うことによって, 事業契約期間を通してのリスク管理コストの最小化を図っていく必要がある -7-

リスク分担の例 段 階 リスクの種類 リスクの概要 リスク負担 公共 民間 募集要項の誤り募集要項の誤りによるもの 法令等の変更 本事業に直接関係する法令等の変更 一般の民間事業者全てに影響を及ぼす法令等の変更 第三者賠償調査 工事による騒音 振動 地盤沈下等による場合 共 住民問題住民反対運動 訴訟に伴う施設整備 事業運営への支障 事故の発生設計 建設 運営における事故の発生 環境の保全設計 建設 運営における環境の保全 事業の中止 延期 公共の指示, 議会の不承認によるもの 事業者の事業放棄, 破綻によるもの 物価変動インフレ デフレによるコストの変動 通 金利変動金利の変動 不可抗力天災, 暴動等による設計変更 中止 延期 計画 測量 調査 公共が実施した測量 地質調査に起因するもの民間が実施した測量 地質調査に起因するもの 設計 設計変更 公共の指示の不備, 変更によるもの民間の指示 判断の不備によるもの 資金調達必要な資金の確保に関すること 建 設 建設用地の確保建設用地の確保 工事遅延 未完工工事遅延 未完工による開業の遅延 工事費増大工事費の見積不足による工事費の増大 需要需要の変動による利用者数の変動 運 運営費運営経費, 維持管理費等の増大 要求性能に不適合 性能営事故 災害による施設の損傷 この表は例示であり, 事業によりリスクの項目や負担区分も異なる -8-

5 PFI の基本的な仕組み PFIの仕組みとしては, 一般的に, 事業の実施方針を定める 公共部門, 契約に基づき, 実際にPFI 事業を行う PFI 事業者,PFI 事業者に出資を行う 民間事業者, さらには, 融資を行う 金融機関 や公共に技術的 法的な助言等を行う アドバイザー, リスクをカバーする 保険会社 などが参画する形態となっている PFIに応募する企業は, サービスの内容が, 設計, 建設, 維持管理, 運営までを含んでいるため, 複数の異業種企業などと企業連合 ( コンソーシアム ) を組むケースが多く, この企業連合に参加する企業が出資して,PFI 事業を遂行するための S PC( 特別目的会社 ) を設立し, このSPCがPFI 事業者として事業を実施するのが一般的である なお,SPCについては,PFI 事業には公共事業としてサービスの安定かつ継続的な提供が求められることから, 企業連合に参加する企業の経営状態がPFI 事業に影響を与えないよう, 親会社から独立した会社となっている 助言等 利用者 行政責任サービス提供利用料金 公共部門 ダイレクトアグリーメント 事業契約 融資契約 PFI 事業者 (SPC) 保険契約 アドバイザー金融機関保険会社 建設工事契約 運営 保守契約 出資 民間事業者 ( 企業連合 ) 建設会社 管理 運営会社 商社等 企業連合 : 当該事業に出資等をしようと考える民間事業者が組成する連合体 コンソーシアムともいう SPC(Special Purpose Company/ 特別目的会社 ): 事業目的などを限定した商法上の株式会社 企業連合を構成する企業が出資して PFI 事業を遂行するために設立する会社のことを指す ダイレクト アグリーメント (Direct Agreement): 公共と金融機関との間の協定であって, 事業主体の事業遂行が不可能になった場合にプロジェクトを継承する企業連合を指名する権利等を金融機関に与えるもの -9-

6 PFI の事業形態 PFIの事業形態としては, 公共部門 PFI 事業者 利用者との関係に着目すると, 次の3つの形態に区分できる これらはPFI 事業の基本的な形態であり, 実際の事業の実施にあたって, これらの形態を参考とし, 最も効果的で効率的なサービスが提供できる事業スキームを構築する必要がある (1) サービス購入型 PFI 事業者が公共施設等の設計, 建設, 運営および維持管理を行い, 行政はそのサービスを購入し対価を支払う PFI 事業者は, 主に行政からの支払いによりコストを回収する 公共部門 料金支払 PFI 事業者 サービス提供 利用者 諸外国の事例 : 一般道路, 学校, 庁舎, 刑務所等国内の事例 : 浄水場発電施設 ( 東京都 ), 小学校 ( 旭川市 ) (2) ジョイントベンチャー型行政と民間の両方の資金を用いて公共施設等の設計, 建設, 運営および維持管理を行うが, 事業の運営は主に民間が主導する PFI 事業者は補助金等の公的支援を活用するとともに, 利用者から利用料金を徴収して事業コストを回収する 補助金等 サービス提供 公共部門 PFI 事業者利用者 諸外国の事例 : 有料道路, 鉄道, 病院国内の事例 : 宿泊施設 ( 神戸市 ), 体育館 ( 帯広市 ) 料金支払 -10-

(3) 独立採算型 行政からの事業許可に基づき,PFI 事業者が公共施設の設計, 建設, 運営および 維持管理を行い, 利用者から徴収する料金収入によって, 事業コストを回収する 認可申請等 サービス提供 公共部門 PFI 事業者利用者 事業許可等 諸外国の事例 : 有料橋, 博物館, 有料公園等 料金支払 国内の事例 : 港湾コンテナターミナル施設 ( 北九州市 ), 立体駐車場 ( 大阪府 ) -11-

7 PFI の事業方式 PFI の事業方式には, 設計, 建設, 維持管理および運営等の事業推進課程における 公共と PFI 事業者との関係に着目した分類として次のような方式がある 実際の事業 実施にあたっては, 様々な観点から検討し, 最適な事業方式を選択する必要がある (1) BTO(Build Transfer Operate) PFI 事業者が資金調達を行い, 施設建設後に当該施設の所有権を公共に譲渡した上で, さらに, 契約で定められた期間中, 施設の維持管理 運営を行って, 資金を回収する方式 ( 契約期間内 ) ( 契約期間終了後 ) 公共団体 4 所有 公共団体 所有 1 契約 PFI 施設 ( 公 ) PFI 施設 ( 公 ) PFI 事業者 2 設計 建設 3 維持管理 運営 PFI 事業者 (2) BOT(Build Operate Transfer) PFI 事業者が資金調達を行い, 施設を建設し, 契約で定められた期間中, 施設を 所有して維持管理 運営を行って, 資金を回収した後, 公共に施設を譲渡する方式 ( 契約期間内 ) ( 契約期間終了後 ) 公共団体 公共団体 6 所有 1 契約 PFI 事業者 PFI 施設 ( 民 ) 2 設計 建設 3 維持管理 運営 4 所有 5 譲渡 ( 有償 無償 ) PFI 事業者 PFI 施設 ( 公 ) -12-

(3) BOO(Build Own Operate) PFI 事業者が資金調達を行い, 施設を建設し, 契約で定められた期間中, 施設の維持管理 運営を行って, 資金を回収する方式 BOT では, 契約期間が終了した時点で施設を公共に譲渡するのに対し, この方式では, 施設の譲渡を行わず, 撤去するか PFI 事業者が保有し続ける ( 契約期間内 ) ( 契約期間終了後 ) 公共団体 公共団体 1 契約 PFI 事業者 PFI 施設 ( 民 ) 2 設計 建設 3 維持管理 運営 4 所有 PFI 事業者 PFI 施設 ( 公 ) 所有 (4) DBO(Design Build Operate) 一般的には PFI 手法として区分されない PFI 事業者に設計, 建設, 運営を一括して委ね, 施設の所有, 資金の調達については公共が行う方式 (5) RO(Rehabilitate Operate) 既存の公共施設等の所有権を公共側が有したまま,PFI 事業者が施設を改修し, 改修後に維持管理 運営等を行う方式 (6) BT(Build Transfer) PFI 事業者が公共施設等を設計 建設し, 公共側に施設の所有権を移転する方式 (7) 民間建設借上方式 PFI 事業者が公共施設等を設計 建設し, 公共が施設を賃借する 公共または民間事業者が維持管理を行い, 公共が運営する 賃貸借期間終了後, 民間事業者が施設の所有権を公共に移転し, または施設を撤去する (8) 公共施設等運営権方式 ( コンセッション方式 ) 利用料金を収受する公共施設等について, 公共側が施設の所有権を有したまま,P FI 事業者が運営権を取得し, 施設の維持管理, 運営等を行う方式 -13-

Ⅱ 函館市における PFI 導入方針 1 PFI 導入の考え方本市においては, 限られた財源を有効に活用し, 質の高いサービスの提供や効率的な行政運営を実現していくため, 行財政改革を推進しており, アウトソーシングの取り組みなど, 民間活力の導入を図っている 民間活力の導入手法としては,PFIをはじめ, 民営化, 外部委託化, 財団や第三セクター方式, リース方式など多くの手法があるが,PFIの適用が見込まれる事業については,VFMの達成など,PFIの導入可能性について積極的に検討し,PFIの適切な導入を図っていくものとする なお,PFIの導入にあたっては, 国の法令や通達はもとより, 国や他の自治体の類似事例などについて調査 研究し, ノウハウの蓄積に努めるなど次のような点に留意し進めていく必要がある PFI 導入にあたっての留意点 1 募集から契約までの手続きが煩雑であり, 時間を要すること PFIは, 新しい事業形態であり, 手続きが煩雑かつ広範囲にわたるため, その負担が大きい 特に, 実施方針の公表, 特定事業の選定, 募集公告, 事業者の決定, 契約の締結など事業開始前に行うべき様々なステップがあり, 時間を要すること 2 PFIの知識を有した人材の育成 PFIについての専門的な知識 経験を有する地方公共団体のスタッフは, 少なく, 特に最初の事業においては, 人材の育成が必要となること 3 VFMの評価や適切なリスク分担のためのデータの蓄積従来方式,PFI 方式のライフサイクルコストを算出するため, 過去の官民の類似施設のデータやリスクを抽出 分析し, 官民の適正なリスクの分担や明確化, 定量化のためにもデータの蓄積が必要となること -14-

2 PFI 導入の視点 本市における PFI については, 以下の視点から導入の検討を進めるものとする (1) 函館市 ( 公共 ) として必要な事業であること PFIは, 公共施設等の建設, 管理運営等について民間活力を導入するものであり, 公共事業としての目的を有しているかどうか, またその事業自体の必要性や緊急性などについて十分な検討を要する なお,PFI の導入自体を目的化し,PFI 手法を無理に適用することや必要性の低い事業をPFI 事業として実施することなどは避けなければならない (2) 民間による事業実施に制度的な障壁がないこと民間事業者が, 施設の整備や運営, 維持管理を行うことについて, 法令や条例など制度的な規制の確認を要する なお, 補助制度や税制度などについても,PFI 導入にあたっての障壁となり得ることから十分に留意する必要がある (4) 長期にわたり安定的に継続される事業であること PFIは一般的に長期にわたる事業について, 公共が民間事業者と契約し, 維持管理 運営までを委ねることになるため, 事業の内容が頻繁に変更され, その都度契約変更が必要となるものには適さない手法であることから, 長期にわたり安定的に継続される事業であるかどうか検討を要する -15-

(5) VFMが見込まれる適当な規模を有する事業であること PFIは, 事業規模が小さい場合には,VFM が見込まれにくい手法であり, 事業規模が大きいほど導入効果は大きく現れてくる また, 従来型の公共事業と比較して, 民間にとっても相当な労力やコストを費やすため, 事業規模がある程度以上のものでなければ費用対効果が発生しないことから, 一般的には事業規模が大きいほど民間の参加意欲は強くなる このようなことから, 本市においては, 施設整備費が 10 億円以上で, 年間のランニングコストが 1 億円以上の事業について,PFI 事業としての可能性の検討を行うこととする なお,1 件当たりの施設整備費やランニングコストが要件に満たない場合にあっても複数の施設をあわせることで条件を満たす場合には可能性の検討を要する -16-

Ⅲ PFIの導入手順 1 導入フロー当市における PFIの導入については 原則として次の手続きに沿って進めるものとする 1 導入に向けての検討 (6 月 ~12 月 ) 事業の発案 事業計画 ( 構想 ) の作成 実施手法の検討 簡易な検討 事業担当部によるPFI 導入可能性の検討 市の方針決定 庁内協議 2 導入可能性の検討 ( 詳細な検討 )(6 月 ~12 月 ) コンサルタント等の選定 詳細な検討のためのコンサルタント等の選定コンサルタント等による詳細な検討 法規制 支援措置 VFMの分析 市場調査導入の適否の決定 詳細な検討により PFI 手法導入の適否を決定 3 実施方針の策定 公表 (3 月 ~6 月 ) 外部アドバイザーの選定 専門知識 ノウハウを有するアドバイザーの選定 事業者選定委員会の設置 実施方針 募集要項の策定 提案書の審査を所掌 実施方針の策定 できる限り具体的に記載 実施方針の公表 報道機関 インターネットなど多様な情報媒体を活用 実施方針説明会の開催 民間事業者に対する説明会の開催 質問受付 回答 意見招請 質問回答は公開 必要に応じた実施方針の見直し 4 特定事業の選定 公表特定事業の選定 公表 VFMの確定 PFI 事業の選定決定 公表 5 事業者の選定 (3 月 ~ 6 月 ) 債務負担行為の設定 入札の場合は募集 ( 入札 ) 公告まで プロポーザルの場合は契まで 募集 ( 入札 ) 要項の配布 公告 実施方針をさらに具体化した募集要項を策定し公表 募集 ( 入札 ) 要項説明会の開催 民間事業者に対する説明会の開催 質問受付 回答 質問回答は公開 提案書受付 提案書を受け付け 事業者の選定 公表 選定基準に基づき選定委員会で事業者を決定 6 契約の締結 (1 月 ~ 3 月 ) 確認 調整 仮契約の締結 事業者との基本協定の締結 交渉 仮契約締結 議会の議決 議会の承認 契約の締結 事業者との契約の締結 公表 7 事 業 の 実 施 設計 工事の実施 事業者による設計 工事の実施 モニタリング ( 監視 ) 適切なサービス水準が確保されているか監視 8 事業の終了 -17-

2 導入に向けての検討 PFI の導入にあたっては,PFI 導入の際の原則や主義, 視点に基づき, 以下の手 順により十分な検討を行うこととする PFI 導入にあたっての原則 主義 視点 5つの原則 ( 公共性 民間経営資源活用 効率性 公平性 透明性 ) ならびに 3つの主義 ( 客観主義 契約主義 独立主義 ) (P3 参照 ) を担保できる PFI 導入の視点 (P16 参照 ) に基づき検討すること 市として必要な事業であること民間による事業実施に制度的な障壁がないこと民間の創意工夫が発揮できる事業であること長期にわたり安定的に継続される事業であること VFMが見込まれる適当な規模を有する事業であること 1 事業担当部において, 事業の必要性や緊急性, 効果, 熟度などについて検討する 2 事業の性格などを踏まえ, 民間活力の活用など事業手法について検討する 3 PFIの適用が見込まれる事業については, 簡易シミュレーションでVFMの簡易評価を行うなどして,PFIの導入可能性や課題などについて幅広く検討する 4 PFI 導入の詳細な検討実施の適否については庁内協議により決定する -18-

民間事業者から発案 PFI 事業では,PFI 法により民間事業者からの発案が認められており, 発案があ った場合は, 事業担当部において, 下記の事項に留意し適切に対応する 1 次の要件が備わっている場合は発案書を受け付ける 事業名発案者の住所 氏名 法人名担当者連絡先発案趣旨事業内容事業スキーム事業費と資金調達方法事業の採算分析想定リスクと公民分担 PFIにより達成される効果 2 公共性や必要性, 緊急性, 効果など市としての事業実施の適否,PFI の適性を 検討する 3 PFI 事業として実施するとした場合は, 自ら発案した場合と同様の手続きによ り進める 4 不採用と決定した場合には, その理由を付して発案者に通知する -19-

3 導入可能性の検討 事業担当部は, 庁内協議により,PFIの導入について詳細に検討することが適当であると判断された事業について, コンサルタント等に委託して, 法制度上の課題や支援措置の適用,PFIの事業形態や事業方式,VFMの検証, さらには, 市場調査等により民間の参入意欲等を把握する 導入可能性調査( 詳細な検討 ) の概要 1 事業内容の検討 1 事業内容の整理 ( 業務の内容 施設の内容等を整理 ) 2 法制度上の課題や支援制度 ( 補助金 税制等 ) の適用検討 3 PFIの枠組み ( 事業形態 事業方式 ) の検討 2 VFMの検証 1 従来方式による場合のコスト (PSC) の算定 2 PFI 事業の採算シミュレーションの算定 ( 事業性の評価 ) 3 民間事業者とのリスク分担の整理と移転リスクの評価 4 現在価値換算後の市の負担額の比較 ( 定量的評価 ) 5 サービス水準の比較 ( 定性的評価 ) 3 市場調査の実施 1 民間意向の把握 ( ヒアリング アンケート調査等 ) 2 調査結果に基づく事業スキームや VFM の再検討 4 調査結果のまとめ 1 導入の適否決定 2 実施方針案 募集要綱案の策定 -20-

外部アドバイザーの選定 1 外部アドバイザーの必要性 PFIを導入する際は, 資金調達や事業運営などの金融 財務面や契約などの法務面, 設計 建設などの技術面についての専門的な知識やノウハウ, さらには民間事業者の事業判断の視点などが必要な場合にあっては, 専門的知識を有する外部アドバイザーを活用し, 的確な助言のもとで手続きを進める必要がある 2 外部アドバイザーの業務外部アドバイザーには,PFIの実施方針の策定から選定した事業者との契約まで, 次のような業務を委託する 実施方針の作成支援 事業者選定委員会の運営支援 特定事業の選定に係る書類等の作成支援 募集要項の作成支援 事業者選考 審査基準の作成支援 質疑への回答作成支援 入札関係書類の作成支援 契約条件の整理, 契約書案の作成, 契約交渉支援など 3 外部アドバイザーの選定外部アドバイザーには, 財務 法務 技術等の分野の知識やノウハウを提供できる事業者を選定する必要がある それぞれの専門調査機関等と個別に委託する方法もあるが, 外部アドバイザー間の連携などを考慮し, 総括アドバイザー ( コンサルタント等 ) を通じて一括して委託することが望ましい -21-

なお, 外部アドバイザーの選定にあたっては, 企画書の提出を求めるプロポーザル 方式を活用するなど, 調査体制や実績, 委託業務への対応, 費用などについて総合的 に検討する必要がある 外部アドバイザーの構成例 函館市 総括アト ハ イサ ー ( コンサルタント等 ) フィナンシャル アト ハ イサ ー ( 財務 金融面 ) リーカ ル アト ハ イサ ー ( 法務面 ) テクニカル アト ハ イサ ー ( 技術面 ) 選定されたアドバイザーは, 当該事業に応募しようとする民間事業者のアドバイザーになるこ とは利益相反の観点から認められないことや, アドバイザーの関係企業等が当該事業に応募する 場合には, 秘密保持および公正さに対する信頼性の確保に留意する必要がある -22-

4 実施方針の策定 公表 (1) 事業者選定委員会の設置 事業担当部は, 事業毎に学識経験者など有識者で構成する事業者選定委員会を要綱設置し, 公平性や透明性などを確保したなかで PFI 事業者の選定を進めていく必要がある なお,PFI の導入によって検討すべき内容は多岐にわたることから, 委員の人選には十分に留意するものとし, 法律, 資金 運営計画, 施設計画など各分野から委員を選定することが望ましい また, 地方自治法において, 総合評価一般競争入札により PFI 事業者を選定する場合には, 学識経験者 2 名以上の意見聴取が必要とされていることから, 選定委員会をその意見聴取の場とするため2 名以上の学識経験者を含むものとする 総合評価一般競争入札では, 地方自治法施行令第 167 条の 10 の 2 第 4 項および同法 施行規則第 12 条の 4 第 2 項の規定により, 学識経験者 2 名以上の意見聴取が義務付け られている 事業者選定委員会の所掌事項 実施方針や特定事業の選定の検討 入札説明書 ( 募集要項 ) 等の検討 事業者の選定方法の検討 仕様書案 契約書案の検討 落札者 ( 優先交渉者 ) の選定基準の検討 策定 提案書の審査 評価 -23-

(2) 実施方針の内容 PFI 法第 5 条に基づき, 実施方針の策定 公表が必要となる 実施方針とは,PF I の導入にあたって, その事業内容や募集方法などについて, 具体的に外部に公表し, 事業を進める意志表示を行うものである 実施方針の内容 1 特定事業の選定に関する事項 事業名称, 公共施設等の管理者等の名称, 事業目的, 事業方式, 事業範囲, 収入 事業期間, 事業スケジュール 遵守法令等, 許認可事項 特定事業の選定の方法 基準など 2 民間事業者の募集および選定に関する事項 募集方法 ( 総合評価一般競争入札 公募型プロポーザル方式 ), 募集スケジュール 応募者の参加資格要件, 提出書類, 審査 選定 契約の考え方など 3 民間事業者の責任の明確化等事業の適正かつ確実な実施の確保に関する事項 責任分担にあたっての基本的考え方 予想される責任分担とリスク分担 事業の実施状況の確認 監視方法など 4 公共施設等の立地ならびに規模および配置に関する事項 施設の立地条件 ( 所在地, 敷地面積, 用途地域, 現況等 ) 土地の取得 貸付条件 建物等の内容 規模 配置など 5 事業計画または契約の解釈について疑義が生じた場合における措置に関する事項 協議方法, 紛争の際の裁判所 など 6 事業の継続が困難となった場合における措置に関する事項 具体的事由, 当事者間の措置, 金融機関との協議 契約解除, 介入, 事業引継等の方法など -24-

7 法制上および税制上の措置ならびに財政上および金融上の支援に関する事項 法制上および税制上の措置内容 財政上および金融上の支援措置 その他支援措置など 8 その他 PFI 事業の実施に関し必要な事項 議会の議決, 債務負担行為の設定 入札参加に係る費用負担 実施方針の説明会の開催 実施方針に対する意見の受付と回答など (3) 実施方針の公表事業担当部は, 実施方針の公表に際して, 説明会を開催するとともに, 広く速やかに事業内容を周知するため, 報道やインターネットなどを活用して公表する また, 実施方針に記載した事業内容や公募方法等について, 民間事業者から質問 意見を受け付け回答する なお, 公表から意見 質問の受付期間は, 民間事業者が十分に検討できるよう一定の日数を確保するとともに, 回答については, 公平性, 透明性を確保するため, 全て書面により行い, その内容は民間事業者の独自のノウハウに係る事項等を除いて, 原則として公表する また, 寄せられた意見等については, 必要に応じ, 実施方針の変更 ( 変更点は公表 ), 特定事業の選定, 民間事業者の募集等に反映する -25-

5 特定事業の選定 公表 (1) 特定事業の選定 公表した実施方針に対する意見 質問等を踏まえ,PFIの導入が有効であると判断された事業について,PFI 法第 7 条に基づき, 特定事業として選定を行う 特定事業の選定は, 実施方針で公表した事業について,PFI 事業で行うことを市として決定し表明するものである 特定事業選定の内容 1 事業概要 事業予定地, 施設整備概要, 事業内容, 事業期間, 事業方式 2 市が自ら事業を実施する場合と PFI 事業として実施する場合の評価 コスト算出による定量的評価前提条件 ( 財政負担額の主な内訳, 共通条件 ( 事業期間 施設規模 割引率 ), 資金調達, 設計費 工事費 工事監理費, 維持管理費 ), 算定方法, 評価結果 民間事業者に移転されるリスクの検討 PFI 事業として実施することの定性的評価 総合的評価 -26-

(2) 特定事業選定の判断基準 特定事業の選定にあたっては, 当該事業を PFI で行うことによって, 公共施設等の 設計 建設 維持管理および運営が効率的かつ効果的に実施できるかどうか (VFM) によって判断する 特定事業の選定の際の VFM は, 詳細な検討等において検討した VFM をもとに算定 する 特定事業の選定における VFM 特定事業の選定にあたっては, 民間事業者に委ねることにより, 公共サービスが同一の水準にある場合において, 事業期間全体を通じ公的財政負担の 縮減が期待できること 公的財政負担が同一の水準にある場合において公共サービスの水準の向上が期待 できること のいずれかの基準が満たされる必要がある 公共サービスの水準の評価は, できる限り定量的に行うことが望ましいが, 定量化が困難 なものを評価する場合においては, 客観性を確保したうえで定性的な評価を行う 具体的には, 計画している事業の概要をもとに, 以下により評価を行う 1 従来方式により市が直接実施する場合の市のコスト ( 負担額 ) を算定 2 PFI で実施する場合のシミュレーションを行い, 市の負担額を算定 (1,2 は, 設計 建設から維持管理 運営まで含めたライフサイクル全体のコストを 定量的に算定 ) 3 PFI により民間事業者に移転されるリスクを金額評価して調整 4 将来のコストや収入等を現在価値に換算し, 市の負担額を比較 5 PFI により見込まれるサービスの向上等について定性的評価を実施 6 1 5 による評価を踏まえ, 総合的に比較し判断 (3) 特定事業の選定結果の公表特定事業の選定を行ったときは, その結果 評価の内容を速やかに公表する 市の財政負担額については, 原則として公表することとするが, その後の入札等において支障がある場合は, 市の財政負担の軽減割合で示すことも可能である -27-

6 事業者の選定 公表 PFIにおける事業者選定については, 公募の方法等により行い, 一般競争入札によることが原則とされており, 総合評価一般競争入札 ( 地方自治法施行令第 167 条の10 の2) の活用を図ることとされているが, 民間事業者の創意工夫を生かす余地の多い事業等については, 地方自治法施行令第 167 条の2 第 1 項各号に基づき, 随意契約も可能とされており, 公募型プロポーザル方式 も採用できることから, 事業内容を勘案したうえで, 比較 検討し, 適切な事業者選定方法を選択する 総合評価一般競争入札の選定手順 (1) 総合評価一般競争入札予定価格の範囲内において, 価格だけではなく, その他の条件 ( 維持管理 運営のサービス水準, 技術力等 ) を総合的に勘案して落札者を決定する方式である この入札方式による場合は, 選考の際の透明性確保のため, 落札者選定基準の設定 総合評価一般競争入札を行うことの適否, 落札者の決定, 落札者決定基準の設定時における2 名以上の学識経験者の意見聴取 総合評価一般競争入札によることおよび落札者決定基準の公告が必要とされている なお, 入札公告時の条件である事業 サービスの内容, 事業者選定基準などの変更ができないことから, 事前に十分な検討と策定期間が必要となる 落札者と契約に至らない場合は, 再入札が必要とされるが, 地方自治法に従い随意契約できる場合もある 事業者選定委員会要求水準書案, 契約書案, 落札者決定基準案等の検討 債務負担行為の議決 入札の公告 入札説明書, 要求水準書, 契約書案, 落札者決定基準書等の公表 現場説明会の開催入札への質問 回答 入札参加資格申請書の受付入札参加資格審査 通知 入札書および提案書の受付 提案に関するヒアリング 事業者選定委員会落札者の選定 落札者の決定 公表 -28-

(2) 公募型プロポーザル方式事業契約を希望する事業者から事業の内容や価格等について, 公募により提案書の提出を求め, 予定価格の範囲内で最も優れた提案を行った事業者と契約を行うもので, 契約方式としては随意契約に分類される また, 選定にあたっては, 応募する事業者の負担を考慮し,2 段階の選定方式も検討する必要がある 事業 サービス内容については, 基本的には, 公募条件によることとなるが, 事業者の提案に応じて, 交渉し契約内容を決定することとなり弾力性がある ただし, 契約交渉に一定の期間を要することとなり, 契約交渉が整わない可能性も残される なお, 優秀提案のほかに, 若干の補欠者 ( 佳作提案 ) を選定し, 最優先交渉権者 ( 優秀提案者 ) との協議が整わなかった場合は, 次順位者と交渉することができる 公募型フ ロホ ーサ ルの選定手順 事業者選定委員会募集要項案 要求水準書案, 条件規定書案, 優先交渉者選定基準案等の検討 募集要項 要求水準書, 条件規定書案, 優先交渉者選定基準等の公表 現場説明会の開催公募への質問 回答 参加資格申請書の受付提案書の受付 提案に関するヒアリング 事業者選定委員会優先交渉者の選定 優先交渉者の決定 公表 債務負担行為の設定 総合評価一般競争入札の場合には, 入札公告前に議会の議決を経て債務負担行為を設定することとなるが, 公募型プロポーザル方式の場合には, 事業者選定後, 契約締結前に議決を得ることとなる (3) 選定結果の公表 事業者の選定結果は, 速やかに公表することとし, 事業者選定過程の透明性を確保す るために, 評価結果, 講評などを公表する -29-

7 契約の締結 (1) 基本協定の締結事業者の選定後, 選定された民間事業者の代表者と基本協定を締結する 事業やスケジュールなどについて, 入札説明書や募集要項の内容に沿って大筋で合意するもので, 選定された民間事業者がPFI 事業者としてSPC(Special Purpose Company) を設立すべきことや契約の調印に向けての市と民間事業者の双方の協力等を定めるものである (2) 契約交渉総合評価一般競争入札の場合には, 基本的には既に示している契約書案に基づくこととなり契約交渉の余地はないが, 選定された民間事業者からの提案に係る部分を加える必要がある ただし, 契約書案の条件や内容を変更する事項を加えることはできない 公募型プロポーザル方式の場合には, 条件規定書をもとに, 選定された民間事業者の提案の取り込みなど契約交渉を行っていく必要がある ただし, 条件規定書で定めた基本的な事項については変更することはできない (3) 仮契約の締結 PFI 法第 12 条および施行令により,PFI 事業の契約金額のうち, 維持管理 運営等に関する金額を除いた施設等の買い入れまたは借入れに要する経費が1 億 5 千万円以上となる事業については, 民間事業者が設立したSPCとの契約の前に仮契約を締結のうえ, 契約の締結について議会の議決を得る必要がある 総合評価一般競争入札 落札者の決定 基本協定の締結 公募型プロポーザル方式 落札者の決定 基本協定の締結 仮契約書の締結 議会の議決 本契約の締結 選定結果 過程の公表 施設等の買入または借入に要する経費が 1 億 5 千万円以上の場合 契約交渉契約内容の合意仮契約書の締結議会の議決本契約の締結 施設等の買入または借入に要する経費が 1 億 5 千万円以上の場合 選定結果 過程の公表 -30-

(4) 契約の締結議決後にSPCと契約を締結することとなるが, 契約は, 選定事業に係る責任とリスクの分担その他契約の当事者間の権利義務を取り決めるものであり, できる限りあいまいさを避ける必要がある 契約書の記載内容例 事業目的, 事業概要, 事業スケジュール, 資金調達に関する事項 土地の賃貸借に関する事項 施設の設計に関する事項 施設の建設に関する事項 施設の維持管理 運営に関する事項 市による業務の確認 監視に関する事項 サービス対価に関する事項 契約期間および契約の終了に関する事項 ( 契約不履行, 契約解除の場合を含む ) 法令変更に関する事項 不可抗力に関する事項 その他必要な事項 ( 公租公課, 管轄裁判所, 金融機関との協議等 ) -31-

8 事業の実施 SPCは, 市との契約に基づいて,PFI 事業 ( 設計, 建設, 維持管理, 運営等 ) を実施する 市は, 契約に定める範囲内で,SPCにより提供される公共サービスの適正な水準の確保や財務状況の確認など, 事業の監視 ( モニタリング ) を適切に行っていく必要がある 施設の建設段階においては, 工事監理などの専門知識が必要となることから, 事業担当課は, 必要に応じ建設担当課の協力あるいは外部への委託により, 適切な施設建設が行われていることや進捗状況などについて監視する 施設の運営開始後においては, 事業担当課が中心となり, 当初想定したサービス水準が維持されているか,SPCが健全な財務状況で運営されているかなどについて監視する 9 事業の終了 契約に定める事業期間の終了時には, 施設の引渡しや取り壊し, 撤去等, あらかじめ契約段階で定めた資産の取り扱いの措置を講じる しかし, 契約段階では予想しえない状況変化も想定されることから, 期間終了前に建物の引渡し等に関する事項について改めて協議を要する -32-

10 留意点 (1) 補助制度上の制限国庫補助負担制度がある事業については,PFIで整備する場合にも同等な措置が講じられるとされているが,BOT BTO 方式, 一括交付 分割交付による違いのある補助金, 現時点ではPFIに対しては適用されない補助金がある PFI 事業に対する地方財政措置 1 地方財政措置を受けるための要件ア施設の所有権が一定期経過後に地方公共団体に移転されること ( 施設整備後直ちに移転する場合を含む ) またはPFI 契約期間が当該施設の耐用年数と同程度の期間継続すること イ通常当該施設を地方公共団体が整備した場合 ( 以下 直営事業の場合 という ) に国庫補助負担制度がある事業については,PFI 事業で整備する場合にも同等の措置が講じられること 2 財政措置の内容 費用区分財政措置 資金手当てのための地方債 PFI 事業者へ転貸するための土地取得費 地方公営事業における PFI 事業 施設整備時に整備相当分の全部又は一部を負担する場合は, 必要に応じて資金手当てのための地方債措置を講じる 必要に応じて資金手当てのための地方債措置を講じる 通常の地方公営事業に対する財政措置と同等の 措置を講じる 3 その他の地方財政措置 施設区分財政措置 国庫補助金対象 地方単独事業 直営事業において財政措置有 直営事業において財政措置無 補助金の内容に応じて, 直営事業の場合と同等の地方債措置または地方交付税措置を講じる 直営事業の場合に準じた地方交付税措置を講じる 公共性が高く, かつ非収益的な施設に限って, 一定の範囲 ( 整備費の 20%) で地方交付税措置を講じる ( 庁舎等公用施設は対象外 ) -33-

(2) 税制上の措置 従来型で公共が実施した場合に非課税となるのに対し,PFI の場合では事業主体が 公共でないため, 課税対象となるケースがある PFI 事業の課税措置 課税対象, 非課税 税目 法人税 法人事業税 法人道民税 事業所税 固定資産税 都市計画税 不動産取得税 登録免許税 課税主体国都道府県市町村市町村市町村都道府県国 P F I BTO BOT 従来型 ( 国 地方公共団体 ) 上記は, 一般的な扱いである BTO の不動産取得税は,PFI 事業者が施設の原始取得者の場合は非課税となる (3) 公の施設に係る指定管理者制度との整合公の施設の管理について議会の議決を経て指定した指定管理者には, 施設の使用許可, 収入としての料金収受を含む, 管理運営を行わせることができるとなっており,PFI 事業者においても公の施設を取り扱う場合には, 指定管理者制度を活用する (4) 行政財産の貸付 PFI 法において, 地方公共団体は必要があると認めるときは, 地方自治法の規定にかかわらず, 行政財産をPFI 事業者に貸付けることができる その際, 適正な対価で使用させることが基本となるが,PFI 法第 71 条において, PFI 事業の用に供する間, 公有財産を無償または時価よりも低い対価で使用させることができる なお, この規定を適用する場合は, 地方自治法第 96 条および第 237 条により, 条例を制定するか, 議会の議決を得る必要がある -34-

参考 PFI に関するホームページ PFI に関する情報, 資料について, 下記のホームページで公開されている 内閣府民間資金等活用推進室 (PFI 推進室 ) PFI 法や事業の実施に関する基本方針, ガイドラインのほか, 民間資金活用推進委員会 (PFI 推進委員会 ) のページでは,PFI 推進委員会の審議状況や全国の PFI 事業の例が紹介されている http://www8.cao.go.jp/p 自治体 PFI 推進センター PFI 事業に関心のある地方自治体, 全国知事会, 全国市長会, 全国町村会および ( 財 ) 地域総合整備財団により構成されており, 自治体の PFI 情報を紹介している http://www.pficenter.jp -35-