スライド 1

ITEC 病院運営研究会継続研修 アドバイザーからみた病院 PFI の現状と今後 ~ 病院 PFI 各世代の取り組みを踏まえて ~ 平成 23 年 8 月 29 日 アイテック株式会社 C&E 事業本部第 3 グループ古島洋平

本日の進め方 1.PFI 方式の概要 の実施状況 ~ 各案件における取組事例を踏まえて ~ 3. 病院 PFI で顕在化された今後の課題 2

1.PFI 方式の概要 3

1.PFI 1-1. PFI とは 1 目的 国民の支払う租税に対し最も価値の高い公共サービスを提供すること (VFM の概念 ) 手段 民間の方が効率的に実施できる分野であれば民間が公共サービスを提供 ex. 公共施設等の建設 維持管理 運営等を民間の資金 経営能力及び技術的能力を活用して行う 地方公共団体が発注者として公共事業として行うものであり JR や NTT のような民営化とは異なる 4

1.PFI 1-1. PFI とは 2 ~PFI 法 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律 H11.9 PFI 法施行 同 内閣府 PFI 推進委員会発足 H12.3 基本方針策定 H13~H15 各種ガイドライン公表 H13.12 第一次改正 PFI 法施行 H17.8 第二次改正 PFI 法施行 H23.6 第三次改正 PFI 法施行 ( 一部未施行 ) ア基本理念 (3 条 ) 公共施設等の整備等に関する事業は官民の適切な役割分担ならびに財政資金の効率的使用の観点を踏まえつつ 民間事業者に行わせることが適当なものについては できる限りその実施を民間事業者に委ねるものとする 特定事業 ( 1) は 官民の責任分担の明確化を図りつつ 収益性を確保するとともに 官の関与を必要最小限のものとすることにより民間事業者の経営資源術および創意工夫等が十分に発揮され 低廉かつ良好なサービスが提供されることを旨として行わなければならない 第 2 1 特定事業 :PFI 法でいう PFI 事業のこと イ対象となる公共施設等 (2 条 1) 道路 鉄道 港湾 空港 河川 公園 水道 下水道 工業用水道等の公共施設 庁舎 宿舎等の公用施設 公営住宅および教育文化施設 廃棄物処理施設 医療施設 社会福祉施設 更正保護施設 駐車場 地下街等の公益的施設 情報通信施設 熱供給施設 新エネルギー施設 リサイクル施設 ( 廃棄物処理施設を除く ) 観光施設および研究施設ウ対象となる事業 (2 条 2) 上記対象施設の建設 維持管理 運営又はこれらに関する企画 ( 国民に対するサービスの提供を含む ) に関する事業 市街地再開発事業 土地区画整理事業その他の市街地再開発事業エ公共施設等の管理者等 ( 2)( 2 条 3) 国 : 公共施設の管理又は特定事業の所管大臣 地方公共団体 : 公共施設の管理又は特定事業を所管する地方公共団体の長 その他 : 公共施設等の整備等を行う特殊法人その他の公共法人 ( 3)( 市街地再開発事業 土地区画整理事業その他の市街地開発事業を施行する組合を含む ) 2 公共施設等の管理者等 : 民間事業者に PFI 事業を実施させようとする 公的主体 3 公共法人 : ここでは法人税法第 2 条別表に規定される法人をいう オ実施方針の策定と公表 (5 条 ) 特定事業の選定 ( 4) および民間事業者の選定 ( 5) を行おうとする時は 公共事業等の管理者等は 特定事業の実施に関する方針 ( 以下 実施方針 という ) を定め 公表するものとされている 4 特定事業の選定 : 当該事業を PFI 事業として実施するのが適切であると決定 すること 5 民間事業者の選定 : 当該特定事業を実施する民間事業者を選定すること (2) 国有財産の無償使用等 (12 条 ) 地方公共団体は 必要があると認める時は 選定事業 ( 6) の用に供する間 公有財産を無償又は時価より低い対価で選定事業者に使用させることができる 6 選定事業 : 特定事業として選定された個々の PFI 事業をいう (3) 無利子融資 (13 条 ) 国は 予算の範囲内において 選定事業者 ( 7) に対し 選定事業のうち特に公共性が高いと認めるものに係る資金について無利子で貸付けを行うことができます ( 具体的には日本政策投資銀行による無利子融資制度がある ) 7 選定事業者 : 選定事業を実施する者として選定された民間事業者 (4) 支援等 (16 条 ) 国又は地方公共団体は 特定事業の実施を促進するため 基本方針および実施方針 5

1.PFI 1-1. PFI とは 2 ~PFI 法 PFI(Private Finance Initiative) は 民間が事業主体としてその資金やノウハウを活用して 公共事業を行う方式です PFI 方式は 1980 年代の英国において始まり その後世界的な民営化の流れの中で 各国で導入 普及してきている 英国では 当時首相主導により行財政改革 小さな政府 を目指し 大規模な公的部門の民営化が行われた しかし 次第に民営化すべき事業分野も尐なくなり 小さな政府を維持しながら経済を活性化するめに PFI がその有力な施策 制度として浮上し 社会資本の整備とより良い公的サービスの実現ためにインフラから医療機関までの広い分野において活用された 日本においては 平成 11 年 9 月に 好転しない経済環境や国と地方の財政赤字が危機的な状況のなかで 行政の効率化と公的財政の健全化の必要性から 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律 ( 平成 11 年法律第 117 号 以下 PFI 法 という ) が施行され PFI が本格的に導入された 6

1.PFI 1-1. PFI とは 2 ~PFI 法 PFI は 公共施設等の設計 建設 維持管理および運営に民間の資金やノウハウを活用し 従来の公共が自ら行うよりも効率的に公共サービスを提供すること目的としている PFI の実施状況は 内閣府の発表によると 平成 22 年 12 月時点で 375 事業 ( 実施方針後方案件 ) 総事業費で 3 兆円を超える規模となっている また その拡大や目的達成のために 制度の見直し改善が積極的に行われており 本年 ( 平成 23 年 )6 月の改正を含め 今までに 9 回の法改正が行われている 今回の主な改定内容 1PFI の対象施設の拡大 2 民間事業者による提案制度の導入 3 公共施設等運営権の導入 ( 今回の改定は独立採算型が中心 ) 4 その他 欠格事由 技術提案制度 実施方針の策定の見通し等の公表 職員の派遣等についての配慮 民間資金等活用事業推進会議の設置 7

1.PFI 1-1. PFI とは 3 ~ 理念 5 原則 3 主義 PFI を実施するためには いくつかの条件が定められており その基本的な要素は次のとおりである 5 原則 公共性 民間経営資源活用 効率性 公平性 透明性 3 主義 客観主義 契約主義 独立主義 8

1.PFI 1-1. PFI とは 3 ~ 対象施設 PFI の対象施設は PFI 法第 2 条に次の施設が定められており 2 条 3 においては医療施設が PFI の適格性事業として定められている PFI 対象施設 道路 鉄道 港湾 空港 河川 公園 水道 下水道 工業用水道等 庁舎 宿舎等 賃貸住宅および教育文化施設 廃棄物処理施設 医療施設 社会福祉施設 更生保護施設 駐車場 地下街等 情報通信施設 熱供給施設 新エネルギー施設 リサイクル施設 ( 廃棄物処理施設を除く ) 観光施設及び研究施設 船舶 航空機等の輸送施設及び人工衛星 ( これらの施設の運行に必要な施設を含む ) 9

1.PFI 1-1. PFI とは 4 ~VFM( 費用対効果 ) の考え方 従来型 PFI 施設 施設 整備費 金利 整備費 金利 維持管理 運営費 維持管理 運営費 イニシャル ランニングコスト イニシャル ランニングコスト 10

1.PFI 1-1. PFI とは 5 ~ 関連用語 PFI: 民間資金等活用公共事業 private finance initiative SPC: 特別目的会社 Special Purpose Company BTO: 建設 移管 運営 build transfer operate BOT: 建設 運営 移管 build operate transfer VFM: 効率性 経済性 value for money PSC: 従来型指標 public sector comparator LCC: 生涯費用 life cycle cost 11

1.PFI 1-2.PFI の特徴 1 権限の委譲 民間の創意工夫を活かすため 大幅な裁量 従来 : 仕様発注 ( インプットの指定 ) PFI: 性能発注 ( アウトプット / アウトカムの指定 ) 業績への責任 権限を委譲する代わりに 業績に対する責任 業績の測定 評価 モニタリングが必要 12

1.PFI 1-2. PFI の特徴 2 ~ 従来型公共事業方式との比較 従来型公共事業 設計 施工 運営の分離 / 施設整備時における運営コストの軽視 仕様発注 サービスの提供者と監視者が同一 ( いずれも官 ) 個別 単年度契約 ( 業務委託 ) サービスは 役務提供 中心 PFI 事業 設計 施工 運営の一体化 /LCC ( ライフサイクルコスト ) による調達 性能発注 サービスの提供者 ( 民 ) と監視者 ( 官 ) が分離 長期包括契約 調達を含めた新しい業務委託方式 13

1.PFI 1-2. PFI の特徴 3 ~ 従来型の公共サービス 公共が企画 立案から執行までを行う 公共 企画立案 執行 サービス 住民 業務委託 受託企業受託企業受託企業受託企業 14

1.PFI 1-2. PFI の特徴 4 ~PFI による公共サービス 公共が企画 立案をし 民間が執行する 公共 企画立案 民間 PFI 事業者 執行 サービス 住民 PFI 事業契約 業務委託 受託企業受託企業受託企業受託企業 15

1.PFI 1-3.PFI の事業類型 類型独立採算型サービス購入型ジョイントベンチャー型公共から事業許可を受けた民間が施民間が施設の建設と運営を行い 公官民双方の資金を用いて施設の整備設での整備 運営を行う 民間がリス共に対しサービスを提供すること等にを行い 運営面は民間が主導する 内容クを全面的に負い 利用料金等によりより コストは主として公共からの収権利調整等のプロセスを要するもの投資コストを回収する 入により回収する に適用されることが多い 公共の関与 公共の負担は基本的にない 公共サービス提供の対価としてサー ビス料金を支払う 英国での事例有料橋等 刑務所 病院 道路 スポーツ施設 情報システム等 補助金等の付与を中心とした公的支援措置 再開発 鉄道等 モデル図 公共 事業認可 P F I 事業者 サービス提供 利用料金支払い 利用者 公共 サービス支払い P F I 事業者 サービス提供 利用者 公共 補助金等 P F I 事業者 サービス提供 利用料金支払い 利用者 16

1.PFI 1-4.PFI の事業方式 PFI は 施設 資産の所有形態等により事業方式が類型化されている 現在は PFI 事業者が施設を建設した後 施設の所有権を公共側に移管したうえで その施設の運営を行う BTO 方式が多い 一方 英国などでは PFI 事業者が運営期間中も資産を所有する BOT 方式が主流となっている 資産の所有形態の類型 BTO BOT BOO BLO BLT DBO 事業方式建設 移管 運営 Build Transfer Operate 建設 運営 移管 Build Operate Transfer 建設 保有 運営 Build Own Operate 建設 リース 運営 Build Lease Operate 建設 リース 移管 Build Lease Transfer 設計 建設 運営 Design Build Operate 内容 PFI 事業者が施設を建設 (Build) した後 施設の所有権を公共側に移管 (Transfer) したうえで PFI 事業者がその施設の運営 (Operate) を行う方式 PFI 事業者が自ら資金調達を行い 施設を建設 (Build) し 契約期間にわたり運営 (Operate) 管理を行って 資金回収した後 公共側にその施設を移管 (Transfer) する方式 PFI 事業者が施設を建設 (Build) し そのまま保有 (Own) し続け 事業を運営 (Operate) する方式 PFI 事業者が建設 (Build) した施設を 公共側が買い取り PFI 事業者にその施設をリース (Lease) し PFI 事業者がその施設の運営 (Operate) を行う方式 PFI 事業者が建設 (Build) した施設を 公共側に一定期間リース (Lease) し 予め定められたリース料で事業コストを回収した後 行政に施設の所有権を移管 (Transfer) する方式 PFI 事業者に設計 (Design) 建設(Build) 運営(Operate) を一括して委ね 施設の所有 資金の調達については公共側が行う方式 17

1-5.PFI 事業化の流れ 1.PFI 国 基本方針 内容は あるべき論 官 省 庁 審 議民間資金等活用事業推進委員会 ( 国が設置 ) 必要に応じて自治体に報告を求めることができる 実務的にはセット化の可能性あり選定委員会 ( 自治体が設置 ) アドバイザー 地方自治体 事業の発案 ( 公共主体 ) 基本計画等 で PFI 導入 を位置付け る 実施方針の策定 特定事業先行型の場合には同種の複数事業を位置付けておく (5 条 2の 5) 実施方針は議決不要 ( 議会の常任委員会等への報告で可 :PFI 法には規定なし ) 事業方式の検討 市場調査 ( 民間事業者 の意向把握 ) 事業スキー ムの検討 PSC の検討 ( 第 1 次 ) 特定事業の選定 検討結果より特 定事業を位置付 ける 公共施設の管 理者 ( 首長 ) が決 定 ( 担当課から上 がる公文書の決 裁で可 ) 募集要項作成 説明書 仕様書 契約書案 参考資料の4 点セット PSCの公開 ( PFIの根拠) 報議告会 審査方法 ( 選定方針 ) の検討 公示 現説の実施 事業者の選定 設計協議もしく は総合評価方式 入札による選定 選定方針により 交渉権順位もしく は当落を決定 仕様書に基づく 事業提案 調整 基本協定 仮本契契 基本協定で長期債務負担行為を伴うケースでは議会で 約 約 の議決が必要 承 認 報告 議 会 議会 or 委員会 民間事業者 情報収集 事業への取り組み の検討 ( 第 1 次 ) ヒアリング 見積り PFI 事業への参加を希望する民間事業者 18

1.PFI 1-6. PFI の手続き ( 例 : 長崎市新病院 ) 基本計画の パブリックコメント 実施方針の公表 特定事業の選定 入札公告 参加資格要件確認 提案書の提出 落札者の決定 基本協定締結 事業契約の締結 09 7 月 09 8 月 09 11 月 09 12 月 10 6 月 10 8 月 10 8 月 10 12 月 実施方針とは PFI 法の第 5 条に規定されている手続きで 民間事業者に対して事業の情報を早期に提供し入札に向けて準備をしてもらうとともに 民間からの意見を吸い上げることを主に目的とする 実施方針 には 事業の背景 PFI 導入の経緯と目的 公共事業の管理者 民間へ委託する業務の内容 事業期間 事業方式 事業者選定方式 リスク分担などの事項を盛り込む 特定事業の選定とは 実施方針を定めた事業を PFI 事業として実施することを 公共が決定すること 実施方針を公表した後 民間事業者からの意見や市場調査等の結果を踏まえ PFI の導入によって VFM が見込めると判断された場合 この事業を 特定事業 として正式に決定し公表する 入札公告とは 事業者へ応募をかけること 官報を用いて公表する 要求水準書とは 公共側が当該事業にどのような性能を望んでいるかを具体的に示す資料のこと 応募者はこれに基づいて提案を作成する 19

1.PFI 1-7.PFI 契約の構造 5 変更メカニズム 6 2 サービスの内容 ( 権利 義務 ) 終了 ( 解約 ) の手続き 1 サービス提供開始の前提 建設運営維持管理 契約の終了 3 モニタリング 4 支払メカニズム ( 減額 増額 ) 帰責に応じた 損害 損失 違約金 責任限度等 7 一般的取り決め ( 定義 解釈 書面主義 適用順序 契約上の地位の譲渡 秘密保持等 ) 20

21

病院 PFI: 期待する効果 目的 パートナー 公共病院医療の質 SPC 最適化 協力企業 の向上 サービスの向上 健全経営 設計 建設 調達 運営 SPC 機能 : 医療を提供するプラットフォームの効率的 効果的な構築 医療スタッフがより医療に傾注できるように 22

2-1. 病院 PFI の特徴 1 ~ 事業範囲 ~ 民間事業者の受託不可能 診療業務 医師による診断 診察 治療 看護業務 診療補助業務画像診断患者搬送検体検査機器管理滅菌消毒リネン給食院内清掃 病院管理業務総務 会計診療受付労務管理医事会計施設維持管理診療報酬請求物品購入 管理 病院施設 情報システム 施設設計 建設 所有 23

2-1. 病院 PFI の特徴 2 (1) 性能発注 民間事業者の創意工夫 リスクの移転 (2) 包括契約 効率的な業務提供 委託費用の適正化 (3) 長期契約 習熟による技術の向上 契約更新手続き簡素化 業務監視 ( モニタリング ) BPR 調達 の包括委託 VFM(Value for Money) リスク移転 24

3. 病院 PFI 3-1. 病院 PFI の特徴 3 (1) 性能発注 仕様発注 性能発注 公共 仕様 仕様書 例 : 材料は を使用する 人員は 人配置する 性能 例 : 患者にとって快適な室温に保たれている 民間 実施 サービス提供 仕様書 実施 25

2-1. 病院 PFI の特徴 3 (2) 包括契約 BPR(Business Process Reengineering) が可能 期待 現状 PFI 部門 業務 1. 検査業務 ------------- ------------- 2. 食事提供 ------------- ------------- 3. 業務 4. 業務 業務区分 ------------ ------------ ------------ ------------ ------------ ------------ BPR 再編再構築 A 業務 B 業務 医療スタッフがより医療に傾注できるように 26

27 BPR の例 1 清掃保安警備施設維持管理駐車場管理医療事務受付業務医療連携支援看護補助業務診療材料管理薬品倉庫管理中材滅菌メッセンジャーリネン管理ファシリティマネジメントグループ事務 役務提供グループ物品管理 (SPD) グループ SPC 発注者 PFI 契約建設設計 監理保守メンテ I T 開発 IT グループ材料 薬品調達グループ医療機器調達グループビルマネジメント系企業医療事務系企業 SPD 企業 IT ベンダー ( 設計 ) ゼネコン施設整備グループ 2-1. 病院 PFI の特徴 3 (2) 包括契約

28 BPR の例 2 2-1. 病院 PFI の特徴 3 (2) 包括契約 清掃 ( 一般 ) 医療事務受付業務医療連携支援診療材料管理薬品倉庫管理メッセンジャーホテルサービスグループ経営支援グループ物流管理グループ建設設計 監理施設整備グループ I T 開発中材滅菌看護補助 ( 手術 ) クリーンエリアサポートグループ清掃 ( 特殊 ) SPC ヘルプデスク発注者 PFI 契約材料 薬品調達医療機器調達人材派遣系 + 保安警備企業 + 洗濯工場滅菌系企業医療事務系 +I T ベンダー商社 or 卸系企業 ( 設計 ) ゼネコンフロアマネーシ ャー I T 保守メンテ看護補助 ( 病棟 ) ベッドメイク ( 給食配膳 ) 洗濯 ( 外部 ) 保安警備 ( 経営コンサル )

2-1. 病院 PFI の特徴 3 (2) 包括契約 BPR の例 5: 変化対応 入札段階 運営開始 開院 コア業務 運営計画業務設計 コア業務 SPC 業務 SPC 業務 詳細仕様と価格の明確化 仕様変更内容と価格整合 29

2-1. 病院 PFI の特徴 3 (2) 包括契約 変化への対応 :SPC による費用のコントロール 病院 サービス対価 SPC A 医療事務 B 検査 D 給食 E 薬品 F 診療材料 30

2-1. 病院 PFI の特徴 3 (2) 包括契約 変化への対応 : 価格改定 要求水準変更 物価変動経済指標 診療報酬改定 最終仕様変更 固定額支払 改定対象 - - 従量支払単価 数量例 ) 食事の提供 リネン洗濯等 - - 開院直前 定期見直 Y Y Y % 以上 N 定価の変動 + 市場の状況 - % 以上 % 以上 最終仕様書 N 要求水準 N 31

2-1. 病院 PFI の特徴 3 (3) 長期契約 < 習熟化 > 大 経営への影響 1 募集段階 ( 提案で約束 ) 物品管理改善 2 調達 価格改善 3 品目の統合 代替 4 マネジメント改善 インセンティブ 小 易改善の難易度 流れ難 32

2-1. 病院 PFI の特徴 4 ~ 要求水準書の位置づけ 募集 要求水準書 提案時不変従来的仕様書 審査 不変 : 評価 選定基準のベース 水準達成が条件 必須項目 契約交渉不変 : 水準達成が条件 交渉基準 交渉の対象 : 修正 追加あり 契約 不変 : 契約書に一体的に添付 別途資料 運営 不変 : モニタリング項目の対象 修正 追加あり 各種環境の変化を踏まえ 事業契約書において要求水準の変更の柔軟性を確保 33

2- の実施状況 ~ 先行時代からの流れ ~ 先行事例 課題解決 WTO 総合評価 都道府県 課題抽出 課題解決 都精神医療センター 愛媛県立中央病院 筑波大学附属病院 高知医療センター近江八幡市立八尾市立病院総合医療センター 島根県立こころの医療センター都多摩総合医療センター 小児総合医療センター都がん 感染症医療センター大阪府精神医療センター神戸市立医療センター中央市民病院 34

2-の実施状況 ~ 先行時代からの流れ~ ( 実施方針公表時期 所有形態 事業期間 ) 第 1 世代 第 2 世代 第 3 世代 1 高知医療センター ( 平 13/2 BTO 28 年 ) 2 近江八幡市民病院 ( 平 13/5 BOT 30 年 ) 3 八尾市立病院 ( 平 14/9 BTO 15 年 ) 進化 5 東京都多摩総合医療センター 小児総合医療センター ( 平 16/10 BTO 15 年 ) 進化 6 東京都がん 感染症医療センター ( 平 17/12 BTO 15 年 ) 7 愛媛県立中央病院 ( 平 18/5 BTO 20 年 ) 8 神戸市立中央病院進化 ( 平 18/8 BTO 30 年 ) 11 筑波大学附属病院 ( 平 19/2 BTO 20 年 ) 12 神奈川県立がんセンター ( 平 20/8 BTO 24 年 ) 13 長崎市立新病院 ( 平 21/8 BTO 20 年 ) 精神医療センター 4 島根県立こころの医療センター 9 大阪府精神医療センター 10 東京都精神医療センター ( 平 16/3 BTO 15 年 ) ( 平 18/10 BTO 15 年 ) ( 平 18/12 BTO 15 年 ) 35

2-の実施状況 ~ 先行時代からの流れ~ ( 先例のない中での病院事業への PFI 導入 ) 高知医療センター整備運営 近江八幡市民病院整備運営 八尾市立病院維持管理運営 三者三様のスキームによる取組み 病院事業の特性への認識が不十分な中での PFI 導入 業務が広範多岐にわたるうえ専門性が高い 関係者が多岐 将来的に業務内容変化の可能性が高い 病院職員と SPC 職員との協働業務が多い等々 < 病院事業への PFI 導入に関する課題の顕在化 > PFI 事業者 (SPC) の広範な業務を統括するマネジメント能力が丌十分 36

先行事例 : 第 1 世代高知医療センター 1 高知医療センター HP より 37

先行事例 : 第 1 世代高知医療センター 2 背景 : 県立病院と市立病院の統合 高知県立中央病院 (400 床 : 一般 350 床 結核 50 床 ) 高知市立市民病院 (410 床 : 一般 352 床, 結核 52 床, 感染 6 床 ) 規模 : 病床数 :648 床 ( 救命救急センター ICU PICU NICU 感染症病床など ) 建設予定地 : 移転 高知県高知市池 敷地面積 : 約 52,000 m2 延べ床面積 : 約 57,900 m2 規模 : 地上 11 階 棟屋 1 階 駐車場 : 約 550 台 ( 職員駐車場は東側敷地に別に計画 ) 開院日 : 平成 17 年 3 月 38

先行事例 : 第 1 世代高知医療センター 4 経営指標比較 高知 小牧 岐阜 入院診療単価 53,784 48,197 49,061 円 入院患者数 506 547 522 人 / 日 平均在院日数 12.8 14.2 15.6 日 外来診療単価 9,640 11,217 8,070 円 外来患者数 701 2160 1281 人 / 日 小牧 岐阜は H16 公営企業年鑑 1 救命救急センター 2 経常収支比率上位 2 位 39

先行事例 : 第 1 世代高知医療センター 5 高知医療ピーエフアイ HP より 40

先行事例 : 第 1 世代高知医療センター 6 従来型 PFI 施設整備費 286 億 金利 121 億 維持管理 運営費 1,855 億 施設整備費 223 億 金利 120 億 維持管理 運営費 1,628 億 イニシャルランニングコスト イニシャル ランニングコスト 41

先行事例 : 第 1 世代八尾市立病院 1 PFI の事業範囲 PFI 導入のねらい 現状の評価と課題 設備管理業務 外構施設保守管理業務 警備業務 環境衛生管理業務 植栽管理業務 医療ガス設備保守点検業務 清掃業務 廃棄物処理関連業務 滅菌消毒業務 食事の提供業務 洗濯業務等 物品管理 物流管理業務 検体検査業務 医療機器類の保守点検業務 医療事務業務 看護補助業務 医療機器の更新業務 総合医療情報システム運営 保守 電話交換 図書室運営等売店運営業務食堂 ( 一般 職員 ) 運営業務 一般管理業務 ( 経営支援 ) 施設規模 380 床 ( 病棟単位 10 単位 ) 敷地面積 14,999.98m2建築面積 8,323.68m2延床面積 39,280.07m2 ( 駐車場 :8,843.87m2駐輪場 :340.63m2含む) 八尾市立病院 HP より 42

先行事例 : 第 1 世代近江八幡市民病院 1 施設規模 敷地面積約 56,000m2 構造 規模 RC 造地上 5 階 床面積約 32,900m2 病床数 407 床 設計建設期間平成 15 年 11 月 ~ 平成 18 年春 PFI 近江八幡 HP より 43

先行事例 : 第 1 世代近江八幡市民病院 3 PFI 近江八幡 HP より 44

先行事例 : 第 2 世代 ( 第 1 世代で顕在化した課題に対応 ) 東京都多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター整備運営 東京都がん 感染症医療センター ( 駒込病院 ) 整備運営 主な対応策 発注者が PFI 事業者 (SPC) に求める事項の明確化 業務統括マネジメント能力の確保 BPR の徹底 二段階審査採用 一次審査で医療に対する理解 マネジメント能力を確認 入札時点 ( 提案時点 ) では 協力企業の特定を義務づけず 45

東京都立多摩総合医療センター 小児総合医療センター 病院関連施設の概要 (1) 建築面積 21,877.34 m2 (2) 構造規模鉄筋コンクリート造 梁鉄骨造 鉄骨鉄筋コンクリート造 地下 1 階地上 11 階塔屋 1 階 (3) 病棟配置多摩広域基幹病院 :3~11 階 小児総合医療センター ( からだ ):3 6~7 階 ( こころ ):5 階 (4) 延床面積 119,924.29 m2 事業概要 (1) 事業期間 : 設計 施工期間 + 運営期間約 15 年 1 ヶ月間 (2) 事業方式 : 病院施設 BTO 方式 入札参加者 1 次審査 (4 グループ ) 大林組グループ 鹿島建設グループ 清水建設グループ 三菱商事グループ 2 次審査 (3 グループ ) 鹿島建設グループ 清水建設グループ 三菱商事グループ 大林組グループは 1 次審査で欠格となる 契約の相手方多摩医療 PFI 株式会社 ( 清水建設株式会社が 95% 出資 ) 契約金額 249,092,638,341 円 ( 消費税込み ) 落札者決定から契約締結までの経緯平成 18 年 1 月 31 日清水建設株式会社に落札決定 2 月 10 日清水建設株式会社との基本協定締結 4 月 27 日特別目的会社 多摩医療 PFI 株式会社 設立 8 月 30 日多摩医療 PFI 株式会社との事業契約締結平成 22 年 3 月開院 府中病院 清瀬小児病院 八王子小児病院 梅が丘病院 東京都病院経営本部ホームページより 46

多摩 小児 PFI での取り組み 1 ~ 本整備事業の特徴と課題 国内初の WTO 案件 先行事例の課題解決 2 病院で 1 事業 小児 3 病院の統合 現病院の課題解決 入札制度の枠組みに収めながらも 提案の自由度を確保するにはどうしたらよいか入札条件の明確化? SPCのマネジメント体制を確保するにはどうしたらよいか? マネジメント能力の確保新病院像への提案能力 特徴の異なる2 病院の整備事業を効率よく進めるにはどうしたらよいか? 小児 3 病院の統合とPFI 事業を効率よく同時並行で進めるにはどうしたらよいか? 現病院が抱える施設上 運営上の課題を解決し 効率よく 医療の質と患者サービスを BPR 質の確保向上させるにはどうしたらよいか? 事業者にこれらを伝えるにはどうしたらよいか? 適切な能力を持つ事業者を選定するにはどうしたらよいか? 47

多摩 小児 PFI での取り組み 2 ~ 先行事例 ( 第 Ⅰ 期 ) の課題 事業者選定方法 総花的コミュニケーション価格設定 SPC の役割 業務再編 再構築調達スキームの改善プロジェクトマネージメントの側面 モニタリングと改善 (BPR) の仕組み 48

多摩 小児 PFI での取り組み 3 ~ 事業スキームの工夫 予定価格の公表 仮定的条件の設定 薬品 診療材料の情報提供 コミュニケーションの充実 マネジメント アウトソーシングの採用 提案項目 審査基準の絞込み 49

コミュニケーションの充実 1 ~ 質疑回答 現場説明会の実施 質問回答 (3 回 ) 7 月 ~9 月にかけて計 3 回実施 現場説明会 ( 各病院で 2 回 ) 現場見学だけでなく 医療職者とのコミュニケーションを目的に意見交換会を実施 2 回目は事業者から見学場所の要望を募り ピンポイントで案内できるよう工夫 50

コミュニケーションの充実 2 ~ 現場説明会 ~ 病院概要説明 意見交換会 現場見学 51

マネジメント アウトソーシングの採用 SPC に求める役割の明確化 業務委託統括 経営支援 情報システム統括 開院準備 危機管理 公共 パートナー SPC 病院 最適化 協力企業 設計 建設 維持管理 運営 SPC 機能 : 仕様書作成 業者選定 セルフモニタリング マネジメント 52

提案項目 審査項目の絞込み 1 ~ 審査項目の絞込み 審査テーマの絞込み 開院直後に必ず獲得したいもの 現状の課題解決 新病院像への提案 長期的に獲得したいもの 業務委託統括能力 BPR 能力 プロジェクトマネジメント能力 サービスプロバイダー能力 53

審査項目 提案項目の絞込み 2 ~SPC の役割と要件について アウトプット評価 マネジメントの評価 業務委託統括機能 (BPR 機能 ) 経営支援機能情報システム統括機能開設準備支援機能 SPC 本体に対するモニタリング 54

提案項目 審査項目の絞込み 3 ~BPR ポイントの絞込み 1 診療技術検体検査 給食 看護業務支援 薬剤 ME センター 2 情報管理診療情報管理 医療事務 IT 管理 3 物品管理 SPD 洗濯 ベッドセンター 4 施設管理清掃 施設メンテナンス 保安警備 5 患者利便施設 業務統括機能 BPR ( 業務再編 再構築 ) 基礎審査 仕様書 提案書 性能審査 55

東京都立がん感染症センター ( 現 : 駒込病院 ) 病院関連施設の概要 (1) 建築面積 11,072m2 (2) 構造規模本館 : 鉄骨鉄筋コンクリート造地下 3 階地上 14 階塔屋 2 階別館 : 鉄筋コンクリート造地下 1 階地上 3 階 (3) 病院規模入院規模 801 床外来規模 1 日当たり1,200 人 (31 診療科 ) (4) 延床面積 72,821m2 事業概要 (1) 事業期間 : 設計 施工期間 ( 事業契約締結後 ~ 平成 23 年 9 月 ) 運営期間 17 年間 ( 平成 21 年 4 月 ~ 平成 38 年 3 月 ) (2) 事業方式 :RO 方式 入札参加者 三菱商事グループ (1 グループ ) 落札者グループの構成 ( 代表企業 ): 三菱商事株式会社 ( 落札者を構成する企業 ): 戸田建設株式会社 株式会社麻生 株式会社エヌ ティ ティ データ ( その他特定協力企業 ): 株式会社山下設計 契約の相手方株式会社駒込 SPC( 三菱商事株式会社が67% 出資して設立した特別目的会社 ) 契約金額 186,153,813,196 円 ( うち消費税及び地方消費税の額 8,864,467,295 円 ) 落札者決定から契約締結までの経緯平成 19 年 3 月 19 日三菱商事株式会社 ( 代表企業 ) に落札決定 3 月 23 日三菱商事株式会社外との基本協定締結 7 月 6 日特別目的会社 株式会社駒込 SPC 設立 12 月 21 日株式会社駒込 SPCとの事業契約締結 東京都病院経営本部ホームページより 56

先行事例 : 第 3 世代 ( 第 2 世代で顕在化した課題に対応 ) 愛媛県立中央病院整備等運営事業 主な対応策 SPC のマネジメント体制の質と価格のバランスを重視 病院の単年度収支を鑑みた事業構造のあり方を重視 各種環境変化への事業者側の柔軟性を重視 陳腐化リスク 価格の丌確実性を考慮した調達スキームの改善 モニタリングスキームの見直し ( 双方で課題を共有し 解決する仕組みの構築 ペナルティポイントの相殺の仕組みの導入 ) 57

愛媛県立中央病院 1 病院関連施設の概要 (1) 構造規模 1 号館 ( 新本院 ): 鉄筋コンクリート造 ( 免震構造 ) 地下 2 階 地上 13 階 塔屋 1 階 3 号館 既存棟改修 : 鉄筋コンクリート造地下 1 階 地上 7 階 塔屋 1 階医師公舎 : 地上 6 階 ( 戸数 :35 戸 ) 駐車台数 :823 台 ( うち立体駐車場 :671 台 ) (2) 病院規模入院規模 823 床外来規模 1 日当たり1,700 人 ( 診療科数 :24 診療科 ) (3) 延床面積 1 号館 ( 新本院 ):64,231.28m2 3 号館 既存棟改修 : 7,740.87m2医師公舎 :3,723.10m2 事業概要 (1) 事業期間 : 設計 施工期間 ( 事業契約締結後 ~ 平成 26 年 12 月 ) 運営期間約 20 年間 ( 平成 25 年 6 月 ~ 平成 45 年 3 月 ) (2) 事業方式 : 1 号館 ( 新本院 ) 医師公舎等 BTO 方式 3 号館 RO 方式 主な取組み SPC のマネジメント体制の質と価格のバランスを重視 病院の単年度収支を鑑みた事業構造のあり方を重視 各種環境変化への事業者側の柔軟性を重視 陳腐化リスク 価格の丌確実性を考慮した調達スキームの改善 愛媛県公営企業管理局県立病院課ホームページより 58

愛媛県立中央病院 2 入札参加者 (3グループ) 大林組グループ : ( 代表企業 ) 大林組 ( 設計 施工協力企業 ) 大林組 昭和設計 大成建設グループ : ( 代表企業 ) 大成建設 ( マネジメントサポート企業 ) システム環境研究所 ( 設計 施工協力企業 ) 大成建設 日建設計 三菱商事 鹿島 四国電力グループ : ( 代表企業 ) 三菱商事 ( マネジメントサポート企業 ) 麻生 四国電力 病院システム ( 設計 施工協力企業 ) 鹿島建設 佐藤総合計画 事業の進捗状況一部解体 施工開始 5 月に起工式の予定 落札金額 191,171,046,054 円 ( 消費税等含む ) 落札者決定からのスケジュール ( 予定 ) 平成 20 年 8 月 29 日大成建設株式会社 ( 代表企業 ) に落札決定平成 20 年 9 月基本協定締結平成 20 年 12 月事業契約締結 愛媛県公営企業管理局県立病院課ホームページより 59

愛媛県立中央病院 3 加点審査項目及び評価の視点 愛媛県公営企業管理局県立病院課ホームページより 60

神戸市立中央市民病院 病院施設等の概要 (1) 建築面積 21,266.36 m2 (2) 構造規模鉄骨造 ( 免震構造 ) 地下 1 階地上 9 階塔屋 1 階 (3) 施設面積病院施設 63,927.15 m2 院内保育所 757.09 m2 駐車場等 18,118.54 m2 計 82,802.78 m2 (4) 病院規模入院規模 700 床 事業概要 外来規模 1 日当たり 2,000 人 (1) 事業期間 : 施設整備期間 +30 年間 ( 平成 23 年春 ~ 平成 53 年春 ) (2) 事業方式 :BTO 方式 入札参加者 神戸製鋼 伊藤忠商事グループ (1 グループ ) 落札者グループの構成 ( 応募グループ名 ): 神戸製鋼 伊藤忠商事グループ ( 代表法人 ): 株式会社神戸製鋼所 ( 構成員 ): 伊藤忠商事株式会社 株式会社日建設計 PPP=KOMBI グループは平成 19 年 5 月 30 日に入札辞退書を提出 (PPP=KOMBI グループ ) ( 代表法人 ) : 株式会社ビケンテクノ ( 構成員 ) : 株式会社伊藤喜三郎建築研究所 大林ファシリティーズ株式会社 株式会社きんでん 松下電工株式会社 契約の相手方 事業契約締結済み 株式会社神戸メディカルケアパートナーズ 契約金額 102,378,150,000 円 落札者決定から契約締結までの経緯平成 19 年 8 月 15 日落札者の決定 9 月 21 日基本協定平成 20 年 2 月 12 日事業契約の締結神戸市ホームページより 61

国立大学法人筑波大学附属病院 病院関連施設の概要 (1) 構造規模病院施設新棟 : 地下 1 階 地上 12 階 塔屋 1 階 (2) 病院規模入院規模 800 床 (3) 延床面積 事業概要 外来規模 1 日当たり 1,000~1,200 人 (24 診療科 ) 病院施設新棟 :44,320 m2 ( ホール 渡り廊下含む ) 病院施設既存棟 : 60,014 m2 ( うち改修対象面積 24,680 m2 ) (1) 事業期間 : 設計 施工期間 + 運営期間約 19 年 6 ヶ月間 (2) 事業方式 : 病院施設新棟 BTO 方式 入札参加者 第 1 回入札 2 グループ 病院施設既存棟 RO 方式 日立ビルシステムグループ 清水建設グループ 第 2 回再入札 1 グループ 日立ビルシステムグループ 清水建設グループは第 2 回目の入札前に辞退 落札者グループの構成 ( 代表企業 ): 株式会社日立ビルシステム ( 協力企業 ): 鹿島建設株式会社 三菱商事株式会社 東京電力株式会社株式会社岡田新一設計事務所 株式会社佐藤総合計画 注 ) 上図は事業者提案ではなく 基本設計段階のイメージである 事業の進捗状況 落札者日立ビルシステムグループと事業契約協議中 落札金額 113,398,336,991 円 ( 消費税込み ) 落札者決定からのスケジュール ( 予定 ) 平成 20 年 9 月 4 日日立ビルシステム ( 代表企業 ) に落札決定 筑波大学附属病院再開発推進室ホームページより 62

東京都立精神医療センター ( 現 : 松沢病院 ) 病院関連施設の概要 (1) 構造規模新館 ( 新病棟 ) : 鉄筋コンクリート造地上 7 階 (2) 病院規模入院規模 897 床 (3) 延床面積 事業概要 職務住宅 A B: 鉄筋コンクリート造地上 5 階 社会復帰病棟 改修 : 鉄筋コンクリート造 地上 4 階 地下 1 階 外来規模 1 日当たり 550 人 ( 診療科数 :19 診療科 ) 新館 ( 新病棟 ) :55,142.72 m2 職務住宅 A : 2,004.46 m2 職務住宅 B : 2,716.40 m2 社会復帰病棟 : 9,949.40 m2 (1) 事業期間 : 設計 施工期間 ( 事業契約締結後 ~ 平成 25 年度中 ) 運営期間約 14 年間 ( 平成 24 年 2 月 ~ 平成 39 年 3 月 ) (2) 事業方式 : 新館 ( 新病棟 ) 職務住宅等 BTO 方式 入札参加者 社会復帰病棟 RO 方式 日揮グループ (1 グループ ) 三菱商事グループは一般競争入札参加資格確認後 辞退 落札者グループの構成 ( 代表企業 ): 日揮株式会社 ( 特定協力企業 ): 株式会社昭和設計 設計業務 工事監理業務 日揮株式会社 工事業務 ( その他企業 ): 東京電力株式会社 尾瀬林業株式会社 事業の進捗状況落札者日揮グループと事業契約協議中 落札金額 73,526,250,000 円 ( 消費税込み ) 落札者決定からのスケジュール ( 予定 ) 平成 20 年 3 月 18 日日揮株式会社 ( 代表企業 ) に落札決定平成 20 年 3 月 25 日基本協定締結平成 20 年 12 月 22 日事業契約締結 東京都病院経営本部ホームページより 63

3. 病院 PFI 直近の病院 PFI 事業 関東近畿九州九州 事業名称 神奈川県立がんセンター京都市立病院長崎市立市民病院福岡市立 進捗 事業契約を締結 (H22.3.17) 事業契約を締結 (H22.1.29) 事業契約を締結 (H22.12.27) 事業契約を締結 (H23.8.22) 64

長崎市新市立病院整備運営事業 病院施設等の概要 (1) 新病院棟部分延床面積 :37,888m2( 病院機能部分 ) 階数 :Ⅰ 期棟 ( 地下 2 階 地上 8 階 ) Ⅱ 期棟 ( 地下 2 階 地上 4 階 ) 主体構造 : 鉄筋コンクリート造一部鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄骨造 ( 免震構造 ) 病床数 :500 床 (2) 駐車場延床面積 :9,915m2階数 : 地上 5 階駐車台数 :350 台 事業概要 (1) 事業期間 : 施設整備期間 +18 年間 ( 平成 25 年度 ~ 平成 43 年度 ) (2) 事業方式 :BTO 方式 事業内容 統括マネジメント業務 施設整備業務 ( 設計 施工 工事監理 ) 施設維持管理業務 ( 建築物等保守 建築設備保守 清掃 保安警備 駐車場管理 ) 落札グループ大成建設グループ 応募グループ (4グループ) 大成建設グループ大林組グループ清水建設グループ九電工グループ 契約の相手方 事業契約締結済み 長崎ホスピタルパートナーズ株式会社 契約金額 17,240,772,143 円 事業スケジュール平成 25 年 10 月 :Ⅰ 期棟完成平成 26 年 2 月 :Ⅰ 期棟開院平成 28 年 1 月 :Ⅱ 期棟完成平成 28 年 5 月 : 全面開院平成 43 年 3 月末 :PFI 事業終了 65

長崎市新市立病院整備運営事業 本事業において事業者に求めるもの ~ 総則より抜粋 ~ 本事業において事業者に求めるもの (1) 長崎市新市立病院整備基本計画に対する理解 (2) 性能発注方式への理解 ( 変化に応じた最適なサービスの提供 ) (3) 事業者に期待するもの 1 ソフトとハードの最適な整合を実現するマネジメント機能 市の限りある資源及び資金を有効かつ効果的に活用できる創意工夫を十分発揮し 新市立病院の医療機能を最適な状態で提供できる施設計画の実現 施設設備等の長寿命化を想定した設計 建築と 長期的視点からライフサイクルコストの削減効果のある維持管理の実現 2 効率的なマネジメント体制の構築 利益相反を回避する仕組みを構築した上で 協力企業等との効果的な連携 3 環境負荷の低減 4 確実かつ円滑な開院に向けたスケジュール設定 工程管理 66

長崎市新市立病院整備運営事業 本事業において事業者に求めるもの ~ 総則より抜粋 ~ 5 変化への対応〇施設計画 運用計画の策定にあたって 計画段階における変更に限らず 長期にわたる事業期間であることから 医療や病院を取り巻く環境の変化等が生じることも十分に考えられる 事業者には それらの変化を吸収できるようなフレキシビリティに富んだ施設計画 運用計画を構築と 協議や対応等に対する柔軟性のある姿勢〇事業費の設定に関して 本事業を成功させるためには 維持管理等期間中の病院本体の単年度収支という視点を市としては非常に重要視しており 市において各種事業費の設定にあたり新市立病院における事業収支面からみた支払許容度 ( アフォーダビリティ ) という観点からの検証も実施 また 維持管理等期間中において 病院を取り巻く各種変化に伴い 病院本体の経営状況に応じて 業務範囲や要求水準等の変更 見直しを行う必要性も十分考えられるため それらの病院 PFI 案件の特性を十分理解した上での 各業務の事業費の設定 (4) 安全管理 67

長崎市新市立病院整備運営事業 加点審査の評価項目及び評価の視点 68

長崎市新市立病院整備運営事業 加点審査の評価項目及び評価の視点 69

3. 病院 PFI で顕在化された今後の課題 70

3. 今後の課題 3-1. 病院 PFI で顕在化された今後の課題 第二世代 で改善 進化させることができた内容を 第一世代 にフィードバック ( 事業内容への反映 ) することで かなりの改善がなされている部分もある また 第二世代 のその後の取り組み事例には愛媛県立中央病院 筑波大学 長崎市等があるが これらの事例では東京都のスキームをベースとしながらも 残された課題に対する解決策等 独自の工夫を追加した新たな事業スキームを構築している 事業構造の新たな課題 SPC の役割と制度間の課題 SPC と協力企業の構造について 施設計画の選定条件提示について 医療機器の調達スキーム 薬品 診療材料の調達スキーム 価格改定のルールの明確化 価格改定の対応スキーム モニタリング制度 基本計画の重要性 71

3. 今後の課題 3-1. 事業構造の新たな課題 1 病院単年度収支の改善と一般会計繰入金の抑制 PSC 期間 72

3-1. 事業構造の新たな課題 2 病院単年度収支の改善と一般会計繰入金の抑制 3. 今後の課題 収入 費用 医業収入 入院収入 医業費用 給与費 材料費 50-60% 25-30% 外来収入 経費 その他 委託料 5-10% 医業外収入 補助金 一般会計負担 光熱水費修繕費減価償却費医業外費用 2-3% 1-2% 73

3. 今後の課題 3-1. 事業構造の新たな課題に対する取り組み 発注者側が実施すべき対応 継続運営が可能となる病院の事業収支計画の策定 検証 単年度の支払許容度の把握 予定価格の設定 事業範囲 業務範囲及びサービスレベル( 要求水準 ) の検証 見直し 事業者側に求められる対応 病院事業の特性を踏まえた 事業費の設定及び SPC の事業計画の策定 病院特有の変化に対応できる柔軟性 74

3. 今後の課題 3-2.SPC の役割と制度間の課題 公共の意図したインセンティブは実現されているか SPC 受託業者 事象発生 公共 減額決定? 受託企業への報酬減額 事業者への報酬減額 公共の業績とマネージャーの給料はリンクしているか?? 企業として損失を計上? 職員への減俸? 企業として損失を計上 現場職員への減俸 結果として現場が過度なリスクを負わされていないか?? 75

3. 今後の課題 3-3.SPC と協力企業の構造について 病院 SPC A 医療事務 B 検査 D 給食 全体のコストマネジメント機能 各種変更に対応できるような契約条件の工夫 E 薬品 F 材料 76

3. 今後の課題 3-4. 施設計画の選定条件提示について 基本計画図 募集 運営 業務設計提案 委託費積算 VE 改善 PLAN 運営 運用設計 提案 計画図 設計 効率性 安全性 ソフト ハードの融合 77

3. 今後の課題 3-5. 医療機器の調達スキーム ~ 顕在化した課題 問題点 ~ 標準価格 医療機器の定価はメーカーごとに独自設定 オプション品 付属品の影響 : 本体価格の 20% になるケースも 客観的な 標準価格 の把握は困難 他業務との関連性 ME センターの保持する機能の影響 情報システムとのインターフェース等の影響 公共側との協議が不可欠 価格変動 国際的な競争環境 モデルチェンジの影響 タイムラグにより陳腐化は確実に発生 変動額が大幅となる傾向 78

3. 今後の課題 3-5. 医療機器の調達スキーム ~ 愛媛案件での改善スキームの検討 ~ 協議方法の工夫 市場環境の大幅な変化 他業務との協働に対応 性能と価格の状況に応じた協議 ( 下図 ) 評価方法の工夫 標準価格の把握困難 変動要素も大きい 事業契約締結後 コンサルテーション機能を活用 協議の条件例 性能が同じまたは大きな変化がない 性能が大きく異なる 納入価格の大幅な変動要素なし 入札時の提案履行 別途発注もしくは市場価格変動の証明 協議 納入価格の大幅な変動要素あり 入札時の提案履行もしくは市場価格変動の証明 協議 別途発注 再入札 79

3. 今後の課題 3-6. 医薬品 診療材料等の調達スキーム ~ 顕在化した課題 問題点 ~ 数量変動 使用量は SPC にはコントロール不可能 数量変動は値引率に影響 SPC が負うリスクが大きい 品目変動 もの の標準化は値引率に影響 決定権者は基本的に公共側 医師等の協力が不可欠 標準価格 ( 診療材料 ) 国際的な競争環境 薬価 ( 公定価格 ) に準ずるものがない ベンチマーク基準等の設定が困難 80

公共側 要求水準 = 病院の機能に基づく調達対象 調達方法 能力 調達予定リスト = 現時点で病院が考える最低仕様 基準 事業者提案 1 調達方法や能力を示す提案 2 調達予定リストに対する 1 品目毎の価格 ( 入札価格 ) 3. 今後の課題 3-6. 医薬品 診療材料等の調達スキーム ~ 愛媛案件での改善スキームの検討 ~ 運営開始時 1 調達方法や能力の実現 2 調達リストに対する 1 品目ごとの価格 ( 入札価格 ) 値引率 ベンチマーク モニタリング 合意できない場合 契約の部分解除 81

3. 今後の課題 3-6. 医薬品 診療材料等の調達スキーム ~ 愛媛案件での改善スキームの検討 ~ 運営期間中の運用 = モニタリング方法の工夫 二段階評価の実施 ( 下図 ) 前年度当年前期当年度後期当年度締 市場動向等踏まえモニタリング 市場動向等踏まえモニタリング 目標の協議 決定 減額 直接発注部分解除 調達 暫定価格で支払 調達 暫定価格で支払 増額 82

3. 今後の課題 3-6. 薬品 診療材料の調達スキーム ~ その他の検討事項 ~ 基本原則 数量リスク = 公共 価格リスク = 民間 単価契約 適正価格の判断 調達手法 実績評価 ジェネリック導入の取り決め SPD( 院内役務提供 ) と調達の整理 価格改善機能とディーラ機能の整理 マーケットサウンディング拡大 充実 83

3. 今後の課題 3-7. 価格改定のルールの明確化 ~ 診療報酬改定による契約内容の変化 リスクの最小化 病院経営の根幹となる変更に対し 各案件ごとに想定されるリスクの洗い出しを行い 官民にとって適切な価格改定ルールを策定する必要がある A 見直し + % 以上 Y Y 定価の変動 Y % 以上 N 市場の状況 - % 以上 B 見直し A 見直し B 見直し 品目の変更改変 N C 見直し C 見直し N 84

3-8. 価格改定の対応スキーム 3. 今後の課題 定期的なサービス対価の検証が必要 ( 契約書に規定済み ) 最終仕様書 固定額支払 従量支払単価 数量例 ) 食事の提供 リネン洗濯等 要求水準変更 改定対象 物価変動経済指標 診療報酬改定 最終仕様変更 - - - - 開院直前 定期見直 Y Y Y % 以上 N 定価の変動 N + 市場の状況 - % 以上 % 以上 要求水準 N 85

3. 今後の課題 3-9. モニタリング制度 継続的に質を改善するための仕組みづくり モニタリングの実施に伴う管理負担を軽減でき かつ業務改善が図れるモニタリングの仕組みを検討する必要がある 病院職員の業務も含めた 病院全体の業務の最適化を図る仕組みの検討 事業者側の業務のみではなく 双方一体となった課題解決の場を設ける モニタリング項目の絞り込み 業務報告として必要な書類は提出してもらう必要があるが 些細な項目はモニタリング対象としない ( ただし 提出がなかった等による改善勧告等による仕組みは別途必要 ) 〇質の改善を重視した仕組み 過度なペナルティを課すと問題を隠蔽し 顕在化しない可能性がある そのため ペナルティポイントの相殺 ( 愛媛案件 ) やペナルティが付与されてもすぐに減額とはせず 継続的に問題がある場合にのみ減額を行う ( 長崎案件 ) モニタリング ( 減額を含む ) の仕組みは人事異動等により担当者の変更した場合 公共側の解釈や使い方によって事業者側のリスクが増大することから 入札時点で予め細部まで検討した上で事業契約書 ( 案 ) に盛り込むべきである 86

3. 今後の課題 3-10. 基本計画の重要性 1 ~ 基本計画の意義 事業の目的の明確化 公共 民間相互の認識の一致 PFI 可能性調査 事業者募集にあたっての条件整理 よりよい提案とその実現が確実となる 費用削減の効果 ( リスクの明確化 ) 事業範囲の明確化 要求水準の基礎的条件 審査基準の明確化 VFM 算定の前提条件 先行病院 PFI においても基本計画を公表 87

3. 今後の課題 3-10. 基本計画の重要性 2 ~ 基本計画の策定フロー 新病院の 基本計画 基礎調査 ( 医療需給調査 ) 部門別運営計画 施設整備計画 施設整備の条件整理 事業収支作成 (PSC 作成 ) 運営の条件整理 策定には通常 半年 ~1 年を要する PFI の可能性調査 制約条件等の検討 民間事業者事業範囲の検討 民間事業者参加意欲調査 調査結果集計期待 効果の整理 基本計画 ( 事業収支計画含む ) を踏まえた PFI 事業の各種条件 スキームを検討することが PF I 事業成功の鍵となる 事業ストラクチャの検討 事業性の評価 (VFM) 88

最後に 89

はじめに アイテックの取り組み 病院 PFI 推進ガイドライン 90

ご清聴ありがとうございました 91