SAR測定方法の概要

Similar documents
<4D F736F F D20426F64792D CC93C190AB8E8E8CB195FB96405F91E63294C52E646F6378>

スライド 1

比吸収率測定方法作業班報告

スライド タイトルなし

航空無線航行システム (DME) 干渉検討イメージ DME:Distance Measuring Equipment( 距離測定装置 ) 960MHz から 1,215MHz までの周波数の電波を使用し 航空機において 当該航空機から地表の定点までの見通し距離を測定するための設備 SSR:Secon

調査研究の概要 報告書第 Ⅱ 編 (3 頁 ~) Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 2

150MHz 帯デジタルデータ通信設備のキャリアセンスの技術的条件 ( 案 ) 資料 - 作 4-4

3 無線機器の試験技術の研究開発 2.3 局所吸収指針 [1] 主に身体に極めて近接して使用される無線機器等か ら発射される電磁波により 身体の一部が集中的に電磁界にさらされる場合において使用する指針をいう Prcis scannin arm Prob Small -il snsor Raio an

~.15) Nylon12 樹脂 ( 比誘電率 2.1 等組成により異なる 誘電正接.3 等 ) ポリプロピレン樹脂 ( 比誘電率 2.2~2.6 誘電正接.5~.18) ポリカーボネート樹脂 ( 比誘電率 3.1 誘電正接.1) などがある これらのうち 高周波特性に影響する誘電正接が比較的低い材

1 第 5 回情報通信審議会作業班資料資料 60 作 5-2 干渉評価検討結果 1. 評価基準の違いによる離隔距離について - エントランス回線システムにおける机上計算 - 2. アンテナモデルに対する差分 平成 27 年 3 月 6 日 パナソニック株式会社

資料 GHz 以上の人体のばく露評価について 平田晃正 名古屋工業大学 生体電磁環境に関する検討会報告書 ( 案 ) 先進的な無線システムに関する電波防護について 解説資料からの抜粋

送信信号合成モジュール開発資料

目標 近年の電波利用システムを対象とした高精度ばく露量評価手法について調査検討を行ない 得られた成果に基づき 電波防護指針適合性評価手法の確立および電波の安全性に関する医学 生物学的研究に寄与することで 電波防護指針に基づく適正かつ健全な電波利用環境の構築に貢献する 2

仕様 ハードウェア仕様 レシーバー側電源 消費電力 同梱 AC アダプター使用時入力 :AC100 V 50Hz/60 Hz 出力 :DC57 V / 1.14 A PoE 給電装置使用時 DC48 V / 265 ma 同梱 AC アダプター使用時 DC 57 V :1.14 A / 約 65 W

ACモーター入門編 サンプルテキスト

資料 ISDB-T SB 信号から FM 受信機への干渉実験結果 1 実験の目的および方法 実験の目的 90~108MHz 帯のISDB-T SB 信号からFM 放送波への影響について干渉実験を行う 実験方法 FM 放送波を 89.9MHz に ISDB-T SB 信号を 90~10

Microsoft Word - 02__⁄T_ŒÚ”�.doc

.2GHz 帯及び TV ホワイトスペース帯における電波伝搬調査結果 (2) ) 見通し屋外電波伝搬調査 各周波数帯における到達距離およびダイバシティ効果 送受信間の距離や移動による影響を表 に示す場所で確認した 調査した結果 図 2で示すように 800MHz 帯 ホワイトスペース帯.2GHz 帯で

加振装置の性能に関する検証方法 Verification Method of Vibratory Apparatus DC-X デジタルカメラの手ぶれ補正効果に関する測定方法および表記方法 ( 光学式 ) 発行 一般社団法人カメラ映像機器工業会 Camera & Imaging Pr

dji.htm - 無題 <標準モード>

Product News (IAB)

00_testo350カタログ貼込.indd

作成 承認 簡単取扱説明書 ( シュミットハンマー :NR 型 ) (1.0)

諮問第 3 号 国際無線障害特別委員会(CISPR) の諸規格について のうち 無線周波妨害波およびイミュニティ測定法の技術的条件

電磁波レーダ法による比誘電率分布(鉄筋径を用いる方法)およびかぶりの求め方(H19修正)

1.千葉工業大学(長)修正版

技術協会STD紹介

ケーブルの接続と配線

エラー動作 スピンドル動作 スピンドルエラーの計測は 通常 複数の軸にあるセンサーによって行われる これらの計測の仕組みを理解するために これらのセンサーの 1つを検討する シングル非接触式センサーは 回転する対象物がセンサー方向またはセンサー反対方向に移動する1 軸上の対象物の変位を測定する 計測

Untitled-1

LTE-Advanced キャリア・アグリゲーションの測定 アプリケーションノート

スライド 1

構造力学Ⅰ第12回

UM_UPQphoneA01_001r5

無線LAN/Wi-Fiの通信技術とモジュール活用

世界での接続機能を有するデバイス数の推移予測 様々な業界での IoT への注目 今後出現するアプリケーションやビジネスモデル 標準化やデバイス価格の低下などにより 接続デバイス数は増加すると予測 2022 年には合計 290 億のデバイスがネットワークに接続され そのうち 181 億以上は IoT

ィングを使う設計にすることはあまりない これを使うと混雑なく使えるチャネル数が足りなく なるためである 関連記事 : 高速な チャネルボンディング はいいことだけなのか? こうした事情から 無線 LAN の通信が実測で 1Gbps を超えられるかどうかを試したことがあ る人は少ないのではないだろうか

1 入射電力密度について 佐々木謙介

IEC シリーズ イミュニティ試験規格の概要

3. 測定方法 測定系統図 測定風景写真

1

Microsoft PowerPoint - ce07-13b.ppt

eSensor取り扱い説明書.indd

801ZT オンラインマニュアル

<4D F736F F F696E74202D2091E F12D96B390FC92CA904D82D682CC899E97702E707074>

不確かさ 資料 1/8

- 自動車に搭載して用いる電気機器 : 電気通信技術審議会答申 CISPR 諸規格のうち 車両モーターボート点火エンジン駆動の装置からの妨害波の許容値及び測定法 ( 平成 5 年 6 月 21 日答申 ) - 無線操縦装置 トランシーバ及びその他の無線送信機 玩具と共に用いるものも含む -アーク溶接

PowerPoint プレゼンテーション

粒子画像流速測定法を用いた室内流速測定法に関する研究

Android 機器について 接続障害やバーコードデータの出力障害などは Android 機器の電源オフ オンと Wi-Fiをオフにすることで解消するケースが散見されます Android 機器で障害が発生した場合は まず 次の手順をお試し下さい 1. Android 機器の電源を切ります ( 再起動

PowPak Softswitch for Japan

Presentation Title Arial 28pt Bold Agilent Blue

1. 電波防護に関する規制 の現状について

2/17 目次 I. はじめに... 3 II. 操作手順 (Controlの場合) 断面の作成 寸法測定 異なる断面間の寸法測定 繰り返し処理...11 III. 操作手順 (Verifyの場合) 断面の作成... 1

Microsoft Word - EEN_BT04JB-Bluetoothアナライザの正しい配置.doc

国土技術政策総合研究所 研究資料

920MHz 帯 RFID の屋外利用等に関する技術的条件 調査検討報告書概要 2017 年 10 月 19 日 電気興業株式会社

参考資料 3-11 MCA との周波数共用検討

点検基準・積算基準(案)デジタル陸上移動通信システム

第1種映像伝送サービスの技術参考資料

<4D F736F F F696E74202D D824F D F F AAE97B9205B8CDD8AB B83685D>

Microsoft Word - ディスプレイv7TECアプローチ.docx

別紙 3 校正結果報告書( 高周波減衰量巡回比較試験 ) 4. 校正システム 4.1 構成図校正システムの構成図を記載してください 構成図例 指示器にパワーメータを用いた場合のステップ減衰器の減衰量校正システムの構成図例 被校正減衰器 ( 仲介器 )Pad 含む (Pad) (Pad) Port 1

IM920XT外付けアンテナ取扱説明書

<4D F736F F D2094F78EE A8B9797A3816A96B390FC8B408AED82CC8B5A8F B815F904D959496B35F F D86816A2E646F63>

テクニカルガイド「ディスプレイ・キーボード・マウス・スイッチユニット」(2007/05/09)

資料2-8 ドシメトリに関する研究動向

Microsoft Word - NJJ-105の平均波処理について_改_OK.doc

導波管コンポーネント

4. 簡易 NAS としての利用を可能とする USB ポート 搭載 AtermWR8700N(HP モデル ) の背面に搭載した USB ポートに USB ハードディスクや USB メモリを接続して簡易 NAS(Network Attached Storage) として利用が可能 映像や音楽などのデ

送信チャネライサ 要素回路実験装置 ( 衛星通信システム初期設計のための送信チャネライサ およびDBF 方式用励振分布シミュレータ等の試作 ) 衛星搭載移動体通信システムミッション系の高線形性固体増幅器要素試作 受信チャネライサ /DBF 用励振分布シミュレータ試作品 ( 衛星通信システム初期設計の

WF_Remote_UM_JAP.indd

Microsoft PowerPoint - 第06章振幅変調.pptx

V6.5L20 の主な変更点 1. ScanSnap の最新の推奨動作環境 (CPU: Intel Core i5 2.5GHz 以上 メモリ容量 :4GB 以上 ) における PDF ファイルの出力 表示処理を全面的に見直しました ( 1) 特に ScanSnap Organizerの表示性能が大

TITAN マルチコンタクト プローブ TITAN マルチコンタクト プローブは MPI の独自の TITAN RF プロービング技術をさらに発展させた RF/ マイクロ波デバイス特性評価用プローブです 最大 15 コンタクトまでのプロービングが可能で 各コンタクトは RF ロジック バイパス電源の

総合仕様

2015 GN Audio A/S (GN Netcom A/S). All rights reserved. Jabra は GN Audio A/S (GN Netcom A/S) の登録商標です ここに記載されているその他のすべての商標は 各権利者に帰属するものです Bluetooth のワー

JABRA SPORT PACE WIRELESS L ユーザーマニュアル jabra.com/sportpace

実験題吊  「加速度センサーを作ってみよう《

資料1-5 5GHz帯におけるレーダーの概要

Microsoft PowerPoint - 三次元座標測定 ppt

バイバルコロナリーステント 2015 年 1 月作成第 1 版本ステントは 非臨床試験において 条件付きで MRI 検査の危険性がない MR Conditional に該当することが立証されている 下記条件にて留置直後から MRI 検査を安全に施行することができる 静磁場強度 3 テスラ以下 空間勾

Kumamoto University Center for Multimedia and Information Technologies Lab. 熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI 宮崎県美郷

目次 ようこそ...2 JABRA Speak 450 for Cisco の概要...3 接続する...5 の使用方法...7 サポート...8 技術仕様...9 1


0.45m1.00m 1.00m 1.00m 0.33m 0.33m 0.33m 0.45m 1.00m 2

別紙 -1 国土交通省デジタル陸上移動通信システム 点検基準 ( 案 ) 及び点検業務積算基準 ( 案 )

はじめに この So-net インターネット設定ガイド ( 無線 LAN 編 ) は So-net の接続会員で無線 LAN をご利用のお客さまを対象としております このファイルをダウンロードしてパソコンに保存しておくことで インターネットにつながらないときでも いつでもどこでもご確認いただけます

【資料1-2】脳神経外科手術用ナビゲーションユニット基準案あ

目次 各装置仕様... 2 各部の名称... 3 簡易操作手順... 6 データフォーマット... 7 無線設定... 8 無線設定変更手順... 9 Ethernet 設定 HYBRID ROUTER の追加機能について 制限事項... 15

ユーザーマニュアル 製品概要 プロジェクターレンズ 2 投影オン / オフボタン 3 フォーカスリング 4 ボリューム調節ボタン 5 メニューボタン 6 トップホルダー * 7 充電モードボタン 8 LED インジケータ 9 HDMI オスコ

Microsoft PowerPoint - 第7章(自然対流熱伝達 )_H27.ppt [互換モード]

目次 5G( ミリ波 ) 端末の特徴 地域別 5G 導入周波数 ミリ波導入へのポイント 電波防護に関連する 3GPP 規格概要 周波数帯 帯域幅 最大送信電力 電波防護の観点から Handheld 端末で想定されるアンテナモジュールの数と配置 6GHz 以下とミリ波帯アンテナの配置例 5G で考えら

CMOS リニアイメージセンサ用駆動回路 C10808 シリーズ 蓄積時間の可変機能付き 高精度駆動回路 C10808 シリーズは 電流出力タイプ CMOS リニアイメージセンサ S10111~S10114 シリーズ S10121~S10124 シリーズ (-01) 用に設計された駆動回路です セン

形式 :IT60SW1 積層形表示灯インテリジェントタワーシリーズ 無線 LAN 表示灯 ( 小形 直径 60mm Modbus/TCP(Ethernet) 1~5 段ランプ ブリッジ機能 ) 主な機能と特長 接点入力 または PC( パソコン ) から Modbus/TCP で 表示ランプの点灯

ご注意 無線 LAN 利用にあたって ご注意 無線 LAN 利用にあたって 以下の注意事項をよくお読みの上 装置を無線 LAN 環境でご利用ください 無線 LAN 環境で使用する場合 スリープには移行しますが ディープスリープには移行しません 装置の近くに 微弱な電波を発する電気製品 ( 特に電子レ

Application Note 光束の評価方法に関して Light Emitting Diode 目次 1. 概要 2. 評価方法 3. 注意事項 4. まとめ This document contains tentative information; the contents may chang

目次 1. 適用範囲 1 2. 引用規格 1 3. 種類 1 4. 性能 2 5. 構造 2 6. 形状 寸法 3 7. 材料 3 8. 特性 4 9. 試験方法 検査 6 ( 最終ページ :11)

借上物品名数量事項借り上げ物品の特質等 パンチルトアクチュエータコントローラ 1 式 1) パンチルトアクチュエータコントローラ 1 台 (1) PTU-E46 に適合すること ( 専用ケーブル含む ) (2) PC からのネットワーク制御が可能なこと 2) 障害対応 (1) ハードウェア障害等で連

Product News (IAB)

Transcription:

1 資料 - 測定 3-2 国際規格 IEC 62209-2 SAR 測定方法の概要 大西輝夫 平成 22 年 5 月 20 日

2 IEC 62209-1 2 概要 IEC 62209-1 IEC 62209-2 適用範囲 側頭部で使用される無線機器 人体に対し20 cm 以内に近接して使用される無線機器 対象部位 側頭部 側頭部を除く 頭部 胴体 四肢 想定対象機器 主に携帯電話 側頭部以外の携帯電話 無線通信機器 周波数 300 MHz 3 GHz 30 MHz 6 GHz ファントム形状頭部を模擬平面形状 設置方法頬の位置, 傾斜の位置所定の使用状態を模擬 その他 基本的な部分は 62209-1 と同じ

3 測定手順の概要 1. 測定準備 ファントム液剤準備簡易性能試験 3.SAR 測定 表面測定の概念図 2. 測定条件設定周波数帯変調方式アンテナ状態設置方法条件決定方法 3 次元測定の概念図 4. 最大値の決定局所吸収指針値との比較

4 測定の準備 SAR 測定前 24 時間以内に組織模擬液剤の電気的特性を測定 但し 液剤の特性を満足できるなら 1 週間を上限に測定間隔を広げることが可能 周囲および液剤温度は 18 25 の範囲内 測定した導電率と比誘電率の実部は 目標値の 10% 以内 測定した SAR は 規定の式を用いて液剤の電気特性の偏差を補正 被測定機の SAR 測定前に簡易性能試験を実施 平面部に参照アンテナを設置し SAR を測定 参照アンテナとして標準ダイポールを用いた場合 繰り返し不確かさ以内となることが望ましい 但し ±10% 以内 電気定数測定 ダイポールアンテナを用いた簡易性能試験

5 被測定機の準備 被測定機として 内部 一体化 または接続された送信機を使用 意図した動作環境でケーブルが必要な場合以外は 機器にケーブルを接続してはならない 被測定機が唯一外部電力源での動作を意図している場合 製造業者が提供しているケーブルを適切な電力源に接続 使用したアンテナ, アクセサリ類を報告 RF 出力電力と周波数は 内部試験プログラムもしくは模擬基地局により制御 動作条件で定義される最大時間平均 RF 出力電力で送信 これより低いレベルで測定した場合 補正を実施 通常の動作モードが固定されないデューティー比の場合 固定制御されたデューティー比にて測定を行い 最大使用デューティー比に補正 デューティー比が明確でないか固定デューティー比を発生することが困難な場合 可能な動作モードで測定し 適切な補正を実施

6 被測定機の充電 バッテリを想定した電力源の場合 バッテリは測定前に完全に充電し外部給電は行わない 単一充電で連続測定を行う場合は 以下の条件で補正が可能 ドリフトの大きさ以上で補正 累積したドリフトが1 dbを超えた測定における測定結果は採用せず 適切な条件で再測定を実施 不採用再測定 1 db 0.40 db 0.25 db 0.31 db 0.2 db 1 回目 2 回目 3 回目 4 回目 累積ドリフトの概念

7 被測定機の設定 被測定機の特性 ( 動作モード 動作帯域 アンテナの状態など ) に基づき試験を実施 同じ周波数で複数の動作モードが可能な場合 最大時間平均電力が最大となるモードでの試験以外は不必要 待ちうけモードの試験は不必要 複数同時送信の動作モード ( 例えば GSM と Bluetooth が同時に送信するなど ) の場合は このモードも試験を実施 GSM/UMTS Bluetooth 例 ( 出典 :IEC 62630)

8 設置方法 基本的な考え 取り扱い説明書などに記載の 所定の使用 に従って設置 ( 離隔距離, 向きなど ) し試験 所定の使用 が明記されていない場合は 機器の全ての面をファントムに密着させて設置 想定される利用形態による分類 一般機器 身体装着機器 ヒンジか回転可能なアンテナを搭載した機器 身体保持機器 デスクトップ機器 顔正面利用機器 手持ち機器 ( 未確立 ) 手足装着機器 衣服一体型機器

9 設置方法 被測定機はファントム下部に設置 ファントムより大きい機器や SAR が端にある場合 被測定機より少なくとも 20% 大きいファントムを使用 もしくは最大 SAR が得られるように機器を移動する その際 1/3 の領域は重複することが望ましい ( 出典 :IEC 62209-2)

10 設置方法 ( 一般機器 ) 他の機器分類に当てはまらない機器 所定の使用で近接可能な機器の全ての面に対して実施 所定の使用が明記されていない場合は 全ての面を密着 送信機がホスト装置に装着され両者が一体化する場合は 他の機器分類に従って測定することが望ましい アンテナや送信機がホスト装置の位置と独立である場合は 一般機器として取り扱う ( 出典 :IEC 62209-2) ホスト

11 設置方法 ( 身体装着機器 ) キャリーアクセサリにより身体に装着され送信が可能な機器 キャリーアクセサリを用いた所定の使用が明記されている場合は 被測定機をキャリーアクセサリに挿入し平面ファントムに所定の使用どおり設置 導電性でない材質でできているキャリーアクセサリでは 空隙やスペーサで代替可能 特定のキャリングケースを用いないで測定する場合は 離隔距離は 25 mm を越えないこと ( 一般的な離隔距離は 15 mm) ( 出典 :IEC 62209-2) 所定の使用が明記されていない場合は 全ての面を密着

設置方法 ( ヒンジか回転可能なアンテナを搭載した機器 ) 12 様々な状態 ( 伸張 収納 回転など ) をとり得るアンテナを搭載した機器 製造業者提供の取扱説明書に従った設置 アンテナ位置が明示されていない場合 可能ならファントムに対して水平 / 垂直位置で試験 アンテナは被測定機から離れるように回転 最大ばく露条件が得られるように伸縮 2 つ以上の平面で回転するアンテナについては 最大ばく露条件が得られる位置で評価 ( 出典 :IEC 62209-2)

13 設置方法 ( 身体保持機器 ) 典型的な例は 膝の上で使用する機器 ( ノート PC タブレット PC など ) 被測定機の底面を平面ファントムに対して設置 説明書記載の位置関係についても測定 所定の使用が明記されていない場合は 全ての利用可能な面をファントムに直接設置 画面部分は 90 度もしくは 取り扱い説明記載の角度に開く 通常使用で胴体から 200 mm 離れていれば画面側を評価する必要はない ( 出典 :IEC 62209-2)

14 設置方法 ( デスクトップ機器 ) 典型的な例は 使用される時に卓上もしくは机上に配置される無線機搭載デスクトップ PC 所定の使用に相当する距離と向きで設置 所定の使用が明記されていない場合は 全ての利用可能な面をファントムに直接設置 縦置き機器の底面などは測定不必要 ( 出典 :IEC 62209-2)

15 設置方法 ( 顔正面利用機器 ) 典型的な例は 送信する際に利用者の顔からある距離を離して使用する双方向無線機 所定の使用に相当する距離で設置 所定の使用が明記されていない場合は 離隔距離を 25 mm その他の例として 無線通信機能を持つカメラやビデオ 所定の使用が明記されておらず 利用者の顔が直接機器に接する場合 ファントムを密着させて設置する ( 出典 :IEC 62209-2)

16 設置方法 ( 手足装着機器 ) 所定の使用に腕や足にベルトなどの装着を含んだ装置 ベルトなどを開くか取り外し 背面をファントムに密着 ( 出典 :IEC 62209-2) 設置方法 ( 衣服一体型機器 ) 典型的な例は マイクとスピーカーを通して通話するために衣服に埋め込まれた無線機器 無線機器を搭載したヘッドギア 使用形態に相当する離隔距離と向きで設置 ( 出典 :IEC 62209-2)

17 試験手順 被測定機の試験可能な全ての条件 ( 周波数 帯域 動作モード アクセサリ 設置位置など ) の決定 実際の試験条件の選択 物理的な根拠 データ解析 最大値の探索 高速 SAR 評価による最大 SAR 試験条件の決定 高速 SAR 法の不確かさを評価 最大 SAR となる条件は 62209-2 記載の方法により再測定 不確かさを考慮した SAR 許容値を超える条件についても再測定

18 SAR 測定方法の手順 無線システム, 帯域, 構成 各設置位置 N 中心周波数で測定 平均 SAR 全設置位置での測定が終わったか Y SARが最大となる設置の決定下限, 上限周波数で測定 粗い走査 (2 次元 ) 立方体走査 (3 次元 ) 補間ののち, 単位質量相当の体積で平均化 N 中心周波数での各設置位置の測定結果が SAR 許容値の -3 db 以内か Y 全ての条件における最大値 平均 SAR 平均 SAR

19 測定パラメータ 62209-1 62209-2 IS 試験中の液剤温度 液剤温度の許容偏差は ±2 の範囲内 液剤特性測定の液剤温度から ±2 を超えないか SAR 偏差が ±5% 以内 試験周波数 中央付近の周波数 帯域幅が中心周波数の 1% を超え 10% 以下の場合は 最大 最小の周波数も追加 中央付近の周波数 帯域幅が中心周波数の 1% を超え 10% 以下の場合は 最大 最小の周波数も追加 プローブ角度 ( 法線に対して ) < 30 < 5 粗い走査 立方体走査 間隔 < 20 mm 外殻との距離 < 8 mm ( 偏差 ±1 mm) 最小寸法 ; 30mm x 30mm x 30 mm 測定間隔 ; 8 mm( 深さ方向 5 mm) 外殻との距離 > プローブ外径 /2 間隔 < 20 mm (< 3 GHz) < 60 / f mm ( 3 GHz) 外殻との距離 < 8 mm ( 偏差 ± 1 mm) (< 3 GHz) < 8 - f mm ( 偏差 ± 0.5 mm) ( 3 GHz) 最小寸法 ; 30 mm x 30 mm x 30 mm (< 3 GHz) 22 mm x 22 mm x 22 mm まで可 ( 3 GHz) 測定間隔 ; < 24 / f (8 mm は超えない ) 深さ方向間隔 ; < 14 - f mm (5 mm を超えない ) 可変間隔も可外殻との距離 ; 5 mm (< 3 GHz) δ ln(2) /2 ( 3 GHz) ドリフト単一測定ドリフト ±5% 以内許容される累積ドリフトは 1 db 未満 評価試験用アンテナ 標準ダイポール 標準ダイポール標準導波管 ( > 5 GHz)

複数帯域同時送信時の測定 20 複数周波数 (f 1, f 2, 等 ) で同時動作する複数送信モードを搭載する機器に適用 プローブと液剤の使用周波数範囲外のときに適用 測定する帯域以外は送信しない GSM 900 MHz Wi-Fi 2450 MHz GSM + Wi-Fi 例 ( 出典 :IEC 62630) 手順イメージ評価 局所最大 SAR の足し合わせ 各帯域毎に SAR 測定 各々の平均 SAR 最大値を加算 SAR 1 SAR 2 SAR 1 SAR 2 SAR 1 +SAR 2 過大単純 最大 SAR 値の最も高い値を選択 各帯域毎に SAR 測定 各々の SAR 分布を足し合わせ 得られた最大 SAR の変動が 5% 未満なら個別測定の最大値を採用 SAR 1 SAR 2 SAR1 上記より正確 粗い走査から 3 次元 SAR 分布を推定し SAR を計算 各帯域毎に粗い走査 各々 3 次元 SAR 分布を推定し足し合わせ 平均 SAR 最大値を計算 SAR 簡易推定 立方体走査 領域を拡げて各帯域毎に 3 次元 SAR 分布測定 各々の SAR 分布を足し合わせて平均 SAR 最大値を計算 + SAR 厳密大変

21 まとめ 人体に対し 20 cm 以内に近接して使用される無線機器 ( 側頭部以外の利用 ) の SAR 測定方法が国際的に標準規格化 IEC 62209-2 ( 国際規格 ) が 3 月に発行 様々な利用条件を考慮した測定方法 取り扱い説明書などに記載の 所定の使用 に従って設置 ( 離隔距離, 向きなど ) し 試験 複数波源同時送信に対応 試験条件スケーリング ( 高速測定など ) の方法を提供