成果報告会 平成 29 年度環境技術産学公民連携公募型共同研究事業 連続粉塵モニターの実用化研究成果報告 平成 30 年 3 月 19 日 ( 株 ) 田中電気研究所
1) 開発の背景 狙い 深刻な中国の PM2.5 汚染 対策が進む固定発生源 青空のある川崎の工業地帯 中国からの PM2.5 越境汚染を切掛けとした良質な大気環境への関心 日本では固定発生源対策は進んでいるが 粉塵対策は一般粉塵発生施設の構造だけを規程 粉塵濃度をリアルアイムで測定し 環境負荷低減行動に繋げる測定器を開発 川崎市様との共同研究により 大気環境測定局で公定法との比較などによって 連続粉塵モニターの実用化を研究する
2) 共同研究に使用する連続粉塵モニター試作機写真 連続粉塵モニター外観写真 ( 試作 2 号機 ) 内部構造写真構成図
3) 平成 30 年 3 月まで実施した共同研究内容 1 この機器に対する専門家の意見聴取 第 58 回大気環境学会環境機器展へ出展し 学会参加者から率直な意見を得た 2 受光素子としての光電子倍増管 (PMT: フォトマル ) は非常に感度が高いが周囲温度変化の影響を受ける 温度特性の改善を外注設計会社へ依頼し 安定性の改善ができた 3 川崎市様の保有する大気環境測定局で 重量濃度との相関性の確認 ハイボリウムエアーサンプラーとの同時測定を実施した ( 中原 池上 大師の 3 測定局で実施 ) 4 測定データを管理事務所などでリアルタイム受信監視 データ通信を ZIG BEE 方式で実証試験するための機材購入及びセットアップを実施 5 川崎国際環境技術展に出展 成果発表の機会 子供から大人まで粉塵測定を説明した 印刷工場でのフィールドテストに繋げた
1. 第 58 回大気環境学会環境機器展 来場した専門家 10 名からは 300 万円以上でもZIGBEE 通信などのオプションも充実していれば妥当な価格帯であるとの認識を持つ人が多かった
2. フォトマルの温度特性改善 注 ) 下記の 2 つのトレンドは 温度センサを取り付けた池上局の同一機器で評価 改善 ノイズ被り対策( センサー 基板 ) LED 光量安定化回路見直し これらの検証を行った結果 回路見直しによるノイズの低減 基板への フォトマル温度ドリフト調査 防湿処理を行うことで 安定性が増すことが確認できた 検出アンプゲイン配分見直し 基板への温度 湿度影響調査 屋外でのランニング試験の結果 デー 1では温度による出力は負の 光漏れ込み箇所の探索と対策 特性で変化していたが データ2では温度変化による出力変化が低減 LED 駆動電流観測用治具調査 していることが確認できた
3.1. 川崎市様の保有する大気環境測定局での同時測定 ( 設置写真 ) 中原局 H29.11.2 池上局 H29.11.2 大師局 H29.11.2 上記 3 測定局に機器を設置し ハイボリウムエアーサンプラーとの比較試験を開始した 12 月 15 日までに各測定局で各々 8 回のデータ取得を行った
3.2. 川崎市様の保有する大気環境測定局での同時測定 ( データ ) 緑 : 風速データ紫 : 粉塵濃度データ 風向風速計は不調のためデータなし 緑 : 風速データ紫 : 粉塵濃度データ R=0.877 R=0.693 R=0.921 中原局 池上局 大師局 3 測定局とも 同じ測定実施日の連続測定器とハイボリウムエアーサンプラーとのデータは同様の動きをしていた 風が強く吹くと測定器の指示が下がる傾向がある 吸引されない現象? が起きている可能性あり 今後の検証が必要 その際の下限値は安定しているため この点が正式なゼロ点の可能性がある ゼロ点の調整ポイントとして使える可能性あり 相関係数(R) は凡そ0.7 以上を確認出来た
3.3. 川崎市様の保有するハイボリウムエアーサンプラーの 濾紙 状態 中原局 ( 濾紙 :61,75) 池上局 ( 濾紙 :62,76) 大師局 ( 濾紙 :63,77) 車の排ガスで他の局と比べて色が黒っぽい
4.1 ZIG BEE 通信機器の購入 製品名 MAGIC BEE を購入し 社内で接続検証を実施 パソコン画面上で確認済み 1 月から市内事業所での実証試験を開始
4.2 ZIG BEE 通信機器の設置及び川崎市内の事業所での実証試験 途中に建屋があり距離は伸ばせなかった ルーター機を置ける場所も無かった データ収集用 PC( 小屋の中へ設置 ) < 無線通信 > 直線距離約 70m プレハブ小屋 ZIG BEE 親機 (USB で PC へ ) 標準内蔵のペーパレス記録計 ZIG BEE 子機 2 台プラスチックケースに格納 小屋の中では電波が飛ばないので外に貼り付けた ZIG BEE での取得データ 子機 1 台目 : 測定値 ケース内温度子機 2 台目 : 風向 風速 無線の距離を伸ばすには 目視できる場所に子機を置くこと また少なくともアンテナは外に出す必要があることが分かった
4.3 ZIG BEE 取得データ例 子機 1 台目注 ) 外気温は子機の表面温度 測定値 (%) 子機 2 台目 風向 本体内蔵ペーパレス記録計のトレンド 風速 (m/s) ペーパレス記録計はサンプリング周期 1 秒で ZIG BEE はサンプリング周期 10 秒だが 傾向は十分見て取れる
5.1 川崎国際環境技術展 2018 に実機を出展し 共同研究成果を発表 川崎市発の社会実装技術を全国へ発信 リアルお尻のパッチョが今年も登場! スタンプラリーのコースに入れた頂いたお蔭で 子供から大人まで PM2.5 や粉塵についての測定方法及びモニターの必要性についての説明ができた
5.2 川崎国際環境技術展 2018 の成果 展示会出展の成果として 群馬県の印刷会社でのフィールドテスト実施に繋がっている 工場周辺から飛来する匂いを含んだ粉塵をリアルタイムでモニターし 工場建屋内への侵入を未然に防ぐことができないかを検証中 北 風向 : 赤 東 南 西 粉塵 : 紫 風速 : 緑 風向風速と粉塵濃度 ( 紫 ) との関係が明確になる
6. 共同研究実施におけるご指摘事項 1) 計器のゼロ点をどこで どのようにして決める ( 調整する ) のかがユーザーでは解り難い 2) 風の影響を受けている様に見えるため 吸入口をもっと高い位置に調整できる様な構造にできないか 3)ZIG BEE の PC 画面上のトレンドはその場で現在値は見れるが 過去のデータを参照できない ソフトの改良が必要ではないか 4)ZIG BEE の 10 秒のサンプリングでは瞬時の動きが見て取れない 1 秒程度まで短くできないか 5)ZIG BEE の通信中でも PC のカバーは閉じておきたいという要望は必ず出ると思う カバーを閉じても省電力モードに入らない機種の選定が必要 6) 風向計は軽すぎて動きが激しく トレンドが見づらい もっと慣性のある物にすべきではないか
7. 共同研究の成果 1) 屋上などで軽い粉塵を計測する場合 重量濃度との高い相関が確認できた また安定性 再現性も確認できたので リアルタイムモニターとして実用化できる可能性は高いと言える 2)ZIG BEEを用いて 遠地からリアルタイムに現在の測定値をモニタすることができた データも保存されるので敷地内から外部への漏洩や敷地内での予想外な粉塵の発生を認知できるようになった
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