ウェブアクセシビリティセミナー JIS X :2010 を活用したウェブアクセシビリティの普及を目指して JIS X :2010 の概要 2010 年 9 月 22 日 渡辺昌洋 NTT サイバーソリューション研究所 Copyright 2010, Nippon Telegr

Similar documents
今日のお話 実装とは? 達成基準と達成方法 実装チェックリストとは? 実装チェックリストの作り方 作成のコツと注意点 まとめ

Microsoft Word - JIS_X_8341-3_表紙.doc

JIS X :2016 附属書 JB に基づく試験結果表示 ( ウェブページ単位 ) 規格の規格番号及び改正年 JIS X :2016 対象範囲 以下のウェブページ ただし 外の以

<4D F736F F F696E74202D E835A A C9F8DB882CC82B288C493E E >

視覚障害者がホームページを音声で読んで利用する場合に メニューのリンク先が分からない箇所があるなど 政党ホームページの利用に大きな支障がある問題を具体的に確認しています また 5 サイトについては全てのページに問題があることが確認されました ( 表 1 参照 ) 表 1: 団体別の達成等級 A に問

1. JIS X :2010に 基 づいた 試 験 概 要 1-1. JIS X :2010に 基 づいた 試 験 の 特 徴 1-2. 試 験 の 基 本 的 な 流 れ 1-3. 規 格 本 文 と 関 連 文 書 1-4. ウェブアクセシビリティ 基 盤 委 員 会 (

JISQ 原案(本体)

情報分野のアクセシビリティ標準について

JIS X :2010を一人で読めるようになろう

16年度第一回JACB品質技術委員会

ISO9001:2015規格要求事項解説テキスト(サンプル) 株式会社ハピネックス提供資料

目次 要旨 1 1. 運用ガイドラインの目的と活用方法 目的と役割 想定する読者と活用方法 各章の概要と想定する活用場面 運用ガイドラインの改定概要 JIS X : 取組が必要な背景 16 2.

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

スライド 1

ISO 9001:2015 から ISO 9001:2008 の相関表 JIS Q 9001:2015 JIS Q 9001: 適用範囲 1 適用範囲 1.1 一般 4 組織の状況 4 品質マネジメントシステム 4.1 組織及びその状況の理解 4 品質マネジメントシステム 5.6 マネジ

ISO 9001:2015 改定セミナー (JIS Q 9001:2015 準拠 ) 第 4.2 版 株式会社 TBC ソリューションズ プログラム 年版改定の概要 年版の6 大重点ポイントと対策 年版と2008 年版の相違 年版への移行の実務

JIS X8341-3改訂の状況

b /b br / b /b b /b i /i b i /b i i -1/14-

SGEC 附属文書 理事会 統合 CoC 管理事業体の要件 目次序文 1 適用範囲 2 定義 3 統合 CoC 管理事業体組織の適格基準 4 統合 CoC 管理事業体で実施される SGEC 文書 4 CoC 認証ガイドライン の要求事項に関わる責任の適用範囲 序文

品質マニュアル(サンプル)|株式会社ハピネックス

AAプロセスアフローチについて_ テクノファーnews

1. 目的と活用方法 2

No.5 Webデザイン

ウェブデザイン技能検定 1 級実技 平成 28 年度 第 4 回 ウェブデザイン技能検定 1 級 実技試験概要 試験にあたっての注意事項 試験者は本試験の留意事項 注意事項に留意して作業を行うこと ペーパー実技試験は 課題 1 から 5 までの 5 課題を 60 分間で行うこと 作業実技試験は 課題

<4D F736F F D DE97C78CA E835A A B E34292E646F6378>

(参考)西宮市アクセシビリティガイドライン(Ver.2.0).pdf

miChecker導入手順書

ホームページのバリアフリー化の推進に関する調査の結果に基づく勧告に対する改善措置状況 ( 回答 ) の概要 調査の実施時期等 1 実施時期平成 21 年 8 月から 22 年 6 月イーガブ 2 調査対象機関全府省 (16 府省 ) の本府省及び外局 34 機関 ( 電子政府の総合窓口 (e-gov


5. 仕様の詳細 (1) 志摩市ホームページの構築の総合コンサルティング ( ア ) 本業務の遂行に際しては 仕様を基本にしつつ本市の希望や考え方を十分に取り入れたホームページの構築に向けて 総合的なコンサルティングを行うこと ( イ ) 本業の仕様は 本市が最低限必要と考えているものである 受託者

全体構成 1 1. 公的機関がウェブアクセシビリティ対応を求められる背景 2. ウェブアクセシビリティに関する規定 ガイドライン等

国保京丹波町病院ホームページ構築業務仕様書

9100 Key Changes Presentation

平成21年度園芸振興事業委託仕様書

JIS Q 27001:2014への移行に関する説明会 資料1

ISO/TC176/SC2/N1291 品質マネジメントシステム規格国内委員会参考訳 ISO 9001:2015 実施の手引 目次 1.0 序文 2.0 ISO 9001:2015 改訂プロセスの背景 3.0 ユーザグループ 4.0 実施の手引 4.1 一般的な手引 4.2 ユーザグループのための具

Microsoft Word - ISO 9001要求事項のエッセンス 改 国府保周

ウェブアクセシビリティガイドライン

平成25年度第4回1級実技問題

ISO9001:2015内部監査チェックリスト

<4D F736F F D E835A A C98AD682B782E98E77906A89FC92F994C52E646F63>

ISMS認証機関認定基準及び指針

本日の内容 レイアウトの前に 基本的な知識 文書の体裁を整える 2

再生材料や部品の利用促進を具体的に進めていることから その努力を示すものとして 本規格では マテリアルリサイクル及びリユースのみを対象としている 機器製造業者が直接その努力に関わるという 観点からも 本規格では 再生資源をマテリアルリサイクルのみに限定している Q5) 自らが資源循環利用をコントロー

<4D F736F F F696E74202D208E8E8CB18F8A944692E88D918DDB93AE8CFC E616C E B8CDD8AB B83685D>

目次 1 経緯及び目的 基本的な考え方 デザイン 基本デザイン ヘッダ フッタ 子ども向け Web サイト情報 見学 体験情報 その他 デザイン上の注意事

数のディジタル化

 

第4回 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会 参考資料5

(5) 納入場所かながわ男女共同参画センター ( 藤沢市鵠沼石上 2-7-1) ただし (3) アについては 納入期日までに直接印刷会社に入稿するほか 同じものをかながわ男女共同参画センターにも納品することとする 2 かながわ女性の活躍応援団 ウェブコンテンツ (woman act.) の制作 (1

チェックリスト Ver.4.0 回答の 書き方ガイド 国立情報学研究所クラウド支援室

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド (PMBOK ガイド ) 第 6 版 訂正表 - 第 3 刷り 注 : 次の正誤表は PMBOK ガイド第 6 版 の第 1 刷りと第 2 刷りに関するものです 本 ( または PDF) の印刷部数を確認するには 著作権ページ ( 通知ページおよび目次の前 )

Microsoft Word - JSQC-Std 目次.doc

(2) 情報は記号や記号等の組み合わせのみで伝えず 文字や音声読み上げソフト等でも伝えられるようにする JIS /JIS 解説 記号によっては音声読み上げソフトで読み上げられなかったり 意図したとおりに読み上げられない場合があります また 音声読み上げソフトで記号を読み

Microsoft Word - AMCC操作説明書 ver1.2.docx

<4D F736F F F696E74202D E835A A C98AD682B782E98EE682E DD8EC097E182CC8FD089EE2E707074>

ホームページを重要な広報ツールとして活用できるよう 利用者が目的とする情報にたどりつきやすいトップページを実現するとともに 医療センター職員によるページ作成過程をシステム化し 情報提供の迅速化と内容の充実を図る このことを実現するために以下の事項を基本方針として本業務を実施すること 1 医療センター

< C582C C58B4B8A6982C682CC95CF8D58935F88EA C30382D31312D33302E786C73>

untitled

マルチエージェントシステムグループの研究計画

<4D F736F F F696E74202D208A778F708FEE95F197AC92CA82F08EC08CBB82B782E98B5A8F E97708B5A8F70816A5F94D196EC8D758E742E >

説明項目 1. 審査で注目すべき要求事項の変化点 2. 変化点に対応した審査はどうあるべきか 文書化した情報 外部 内部の課題の特定 リスク 機会 利害関係者の特定 QMS 適用範囲 3. ISO 9001:2015への移行 リーダーシップ パフォーマンス 組織の知識 その他 ( 考慮する 必要に応

Microsoft Word - IRCA250g APG EffectivenessJP.doc

<4D F736F F D2093C192E895578F8089BB8B408AD A8EC08E7B977697CC FC90B394C5816A2E646F6378>

JIS X :2016 への対応を

ウ暗号化通信必要に応じて,SSLによる暗号化通信を行うこと ⑶ 運用保守サイトを安定的に運営するため, ソフトウェアやサーバ等の保守を行うこと ⑷ マニュアル等の作成サイトの運用管理に関するマニュアルを作成すること なお, 運用管理に関するマニュアルの作成に当たっては, 専門的な知識を持つ者でなくと

JIP-IMAC a

山梨県ホームページ作成ガイドライン

説明項目 1. 審査で注目すべき要求事項の変化点 2. 変化点に対応した審査はどうあるべきか 文書化した情報 外部 内部の課題の特定 リスク 機会 関連する利害関係者の特定 プロセスの計画 実施 3. ISO 14001:2015への移行 EMS 適用範囲 リーダーシップ パフォーマンス その他 (

Microsoft PowerPoint - CEATEC2015-Session1

2008 年度上期未踏 IT 人材発掘 育成事業採択案件評価書 1. 担当 PM 田中二郎 PM( 筑波大学大学院システム情報工学研究科教授 ) 2. 採択者氏名チーフクリエータ : 北山朝也 ( 株式会社ソニー コンピュータエンタテインメントソフトウェアプラットフォーム開発部 ) コクリエータ :

IAF-MD 3:2008 ASRP

本日の内容 レイアウトの前に 基本的な知識 文書の体裁を整える 2

スライド 1

Microsoft PowerPoint _3a-SEO.pptx

なぜ社会的責任が重要なのか

Microsoft Word - Frequently_Asked_Questions_on_ISO_14001-J.docx

(2) 日本語版ページの制作に係る業務全般 企画編集 デザイン 原稿制作等 コンテンツ制作に必要な業務の一切を行うこと 提案において必要があれば 既存ページ内における一部コンテンツ及びデータ移行に関する業務を行うこと サイトで使用する画像の収集と選定及び作成 使用許諾業務を行うこと サイトで使用する

図表 11に都道府県別取得件数 ( 上位 10 位 ) を 図表 12に産業分野別取得件数 ( 上位主要産業分野 ) を 図表 13に産業分野別取得件数の推移を示します 産業分野別件数 ( 図表 12) では最も多いのが 建設 の15,084 件 次いで 基礎金属 加工金属製品 の6,434 件 電

2. 動的コンテンツとは動的コンテンツとは Web ブラウザからの要求に応じて動的に Web ページや画像などを生成する Web コンテンツのことをいいます Web で利用するサーチエンジンやアクセスカウンタ等は この仕組みを用いています 動的コンテンツは大きく次の二つに分類されます (1) Web

進化する ISMS ISMS 適合性評価制度の認証用基準 (ISO/IEC 27001) は 改定の度に進化している Ver. Ver. I

目 次 1. タムラグループの環境活動 1 2. グリーン調達基準 1 第 1 章総則 1 第 2 章取引先様への要求事項 3 第 3 章材料 部品等の選定基準 3 第 4 章取引先様への調査内容 4 附則 5

IAF ID 2:2011 Issue 1 International Accreditation Forum Inc. 国際認定機関フォーラム (IAF) IAF Informative Document ISO/IEC 17021:2006 から ISO/IEC 17021:2011 への マネ

Microsoft Word - RM最前線 doc

メタデータスキーマレジストリ MetaBridge の概要

ページの修正 更新をはじめとしたサイトの管理については受託者にて行うこと 平成 28 年度現在まで運用の静岡市子育て応援総合サイト ちゃむ における 子育てコミュニティページ ( 子育てサークル ) と同様の機能のページを構築すること 子育てサークルの会員登録に係るログイン ID 及びパスワードは各

15288解説_D.pptx

untitled

日経ビジネス Center 2

Microsoft PowerPoint  講演資料.pptx

本日の内容 レイアウトの前に 基本的な知識 文書の体裁を整える 2

Microsoft Word - RefWorksコース doc

1.平成26年度神戸市ユーザー評価「神戸市:トップページ」報告書

5. 文書類に関する要求事項はどのように変わりましたか? 文書化された手順に関する特定の記述はなくなりました プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持し これらのプロセスが計画通りに実行されたと確信するために必要な文書化した情報を保持することは 組織の責任です 必要な文書類の程度は 事業の

<4D F736F F F696E74202D20947A957A8E9197BF5F F90AC89CA94AD955C89EF2E B8CDD8AB B83685D>

2 Web ページの文字のサイズを変更するには 以下を実行します Alt + P キーを押して [ ページ ] メニューを選択します X キーを押して [ 文字のサイズ ] を選択します 方向キーを押して 文字のサイズを [ 最大 ] [ 大 ] [ 中 ] [ 小 ] [ 最小 ] から選択します

大域照明計算手法開発のためのレンダリングフレームワーク Lightmetrica: 拡張 検証に特化した研究開発のためレンダラ 図 1: Lightmetrica を用いてレンダリングした画像例 シーンは拡散反射面 光沢面を含み 複数の面光 源を用いて ピンホールカメラを用いてレンダリングを行った

2 (2) 特定のアプリケーションソフトを用意しなくても内容が閲覧でき る 一般的な形式で添付ファイルを用意する 解説 利用者が特定のアプリケーションソフトを用意しないと閲覧することができないファイル形式のみで情報の提供を行うと アプリケーションソフトを持っていない利用者には情報が伝わりません 特定

untitle

Microsoft PowerPoint プレス発表_(森川).pptx

Transcription:

ウェブアクセシビリティセミナー JIS X 8341-3:2010 を活用したウェブアクセシビリティの普及を目指して JIS X 8341-3:2010 の概要 2010 年 9 月 22 日 渡辺昌洋 NTT サイバーソリューション研究所

自己紹介 渡辺昌洋 ( わたなべまさひろ ) 日本電信電話株式会社サイバーソリューション研究所ヒューマンインタラクションプロジェクト 2008 年度日本規格協会情報技術標準化研究センタ (INSTAC) 改正原案策定 WG 委員 ウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC) 委員 2

講演の前に 今日の講演では JIS X 8341-3の概要をわかりやすくお話ししたいと思っています 多くの例を交えてお話しますので 誤解を生じる可能性があります 内容については JIS X 8341-3:2010を必ずご確認ください

目次 JIS X 8341-3とウェブアクセシビリティ JIS 改正の方針 JISの特徴 JISの関連文書 ウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC) の活動 JISに基づくウェブコンテンツ作成の流れ まとめ 4

JIS X 8341-3 とは 高齢者 障害者等配慮設計指針 - 情報通信における機器, ソフトウェア及びサービス - 第 3 部 : ウェブコンテンツ 2008 年度 日本規格協会情報技術標準化研究センタ (INSTAC) で改正原案を作成 2010 年 8 月 20 日公示 5

ウェブのしくみ 主にテキストデータ ウェブ サーバ ブラウザ 支援技術 ウェブ 制作者 ウェブ 利用者 6

テキストデータの七変化 テキストデータはいろいろな表現に姿を変えることができる ウェブサーバ ウェブブラウザ 光の丘祭のお知らせ 点字ディスプレイ 音声ブラウザ 7

ウェブコンテンツの例 今日はお祭りの日です 8

ウェブコンテンツの例 目立つようにしたい 今日はお祭りの日です 今日はゴミ出しの日です タグ付け 今日はお祭りの日です 明日はお祭りの日です 9

ウェブコンテンツの例 ( ソース ) 今日は < 赤 > お祭り </ 赤 > の日です < 赤 > 今日は </ 赤 > お祭りの日です ( 表示 ) 今日はお祭りの日です 今日はお祭りの日です 10

ウェブコンテンツの例 ( 表示 ) 今日はお祭りの日です 今日はお祭りの日です 文字は赤くなった でも 音声や点字に変換したときに 赤い文字の意味は何だろう? そこで 見栄え ( 赤 ) をタグ付けするのではなく 意味的 ( セマンティック ) なタグ付けをするべきである 11

ウェブコンテンツの例 ( ソース ) 今日は < 強調 > お祭り </ 強調 > の日です < 強調 > 今日は </ 強調 > お祭りの日です ( 表示 ) 今日はお祭りの日です 今日はお祭りの日です ブラウザや支援技術が意味を解釈して表示してくれる 12

ウェブコンテンツの例 ( 表示 1: 対応なし ) 今日はお祭りの日です 今日はお祭りの日です ( 表示 2 : 赤字 ) 今日はお祭りの日です 今日はお祭りの日です ただし ブラウザや支援技術によっては対応していないこともある 13

ウェブコンテンツの例 ( まとめ ) 1. テキストデータが主 2. 意味的 ( セマンティック ) にタグ付けする 3. ブラウザや支援技術が意味を解釈して表示してくれる 4. ただし ブラウザや支援技術によっては対応していないこともある 14

ウェブアクセシビリティとは JIS X 8341-1:2010 の アクセシビリティ の定義 様々な能力をもつ最も幅広い層の人々に対する製品, サービス, 環境又は施設 ( のインタラクティブシステム ) のユーザビリティ ユーザビリティの定義 特定のコンテキストにおいて, 特定のユーザによって, ある製品が, 特定の目標を達成するために用いられる際の, 効果 効率 ユーザの満足度の度合い (ISO 9241-11 Ergonomic requirements for office work with visual display terminals. Part 11: Guidance on Usability (JIS Z 8521)) 15

第 1 部 : 共通指針第2部第5部務機器基本ガイド コンテンツ理装置JIS X 8341シリーズ第セクタ指針 情報処ウェブISO/IEC ガイド 71 JIS Z 8071 JIS X 8341 個別規格 電気通第4部3部信機器事 16

JIS と WCAG 1999 年 W3C(World Wide Web Consortium) が WCAG(Web Content Accessibility Guidelines) 1.0 を勧告 WCAG 1.0 は英語圏の内容が主であった 2004 年 JIS X 8341-3 公示 2008 年 WCAG 2.0 勧告 WCAG 2.0 は漢字文化圏で顕著なアクセシビリティ問題も含まれている 2010 年 JIS X 8341-3 改正 17

JIS 改正の方針 1. WCAG 2.0 を取り込む WCAGは事実上の標準であるのに対し JISは日本工業規格である 書式も違うが 内容的に同じになるように作成した これにより 世界で共通の規格を使えるようになった 2. JIS X 8341-1 との整合性を重視 3. JIS X 8341:2004 との連続性を重視 18

WCAG 2.0 の特徴 試験可能 (testable) であること 具体的な達成基準を規定 技術非依存であること 具体的な実装方法は記載していない W3C では多くの技術情報を用意している 目指すレベルを設定できる A AA AAA の 3 種類のレベルがあり A は最低限 AAA は対応できる場合もある 19

JIS の特徴 試験可能 (testable) であること 具体的な達成基準を規定 技術非依存であること 具体的な実装方法は記載していない W3C の技術情報が参考になるという記述がある ウェブコンテンツのアクセシビリティ達成等級により 目指すレベルを設定できる A AA AAA の 3 種類の達成等級があり A は最低限 AAA は対応できる場合もある 20

WCAG 技術情報の参照 JIS の内容には WCAG 技術情報に関する記述がある ( 例 ) 6.2.1 要件の定義 b) 使用するウェブコンテンツ技術及び実装方法注記 2 W3C が公開する Understanding WCAG 2.0 及び Techniques for WCAG 2.0 が参考になる WCAG 技術情報の日本語訳 日本に合わせた技術情報が必要 ウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC) が整備を進めている 21

情報通信アクセス協議会ウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC) 活動目的 :JIS X 8341-3:2010 の理解と普及を促進 JIS 改正版を実装する際に必要な情報を作成 公開 JIS 改正版に沿った試験や適合性評価を行う際に必要な情報を作成 公開 JIS 改正版だけでは解決しない わからないこと ( ギャップ グレーゾーン ) を埋める ( 狭くする ) ために 委員会の調査 議論を元に, ガイドラインや資料を作成 公開 中立性, 公共性, 権威がある組織として,JIS X 8341-3に基づいて日本のウェブアクセシビリティを前進させる基盤造り 委員構成 改正原案作成メンバー 関連企業 関連省庁 利用者

JIS および WCAG の関連文書 ウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC) のサイトにて公開中 http://www.ciaj.or.jp/access/web/index.html (1) JIS X 8341-3:2010 関連文書 (2) WCAG 2.0 関連翻訳文書 23

(1)JIS X 8341-3:2010 関連文書 JIS X 8341-3:2010 解説 アクセシビリティ サポーテッド (AS) 情報 AS 情報を作成する際に必要となるテストファイル JIS X 8341-3:2010 試験実施ガイドライン ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2010 対応度表記ガイドライン 24

(2)WCAG 2.0 関連翻訳文書 ウェブ コンテンツ アクセシビリティ ガイドライン (WCAG)2.0 WCAG 2.0 解説書 (Understanding WCAG 2.0 日本語訳 ) WCAG 2.0 実装方法集 ( 等級 A AA) (Techniques for WCAG 2.0 日本語訳 ) 等級 AAA の日本語訳も今後公開予定 25

(2)WCAG 2.0 関連文書 原則ガイドライン達成基準 達成基準を満たすことのできる実装方法及び参考にすべき実装方法 主な技術情報 WCAG 2.0 Understanding WCAG 2.0 (WCAG 2.0 解説書 ) Techniques for WCAG 2.0 (WCAG 2.0 実装方法集 ) 26

WCAG 2.0 関連文書の関係 原則 ガイドライン 達成基準 達成基準を満たすことのできる実装方法及び参考にすべき実装方法 WCAG 2.0 規格本文 Understanding WCAG 2.0 どの実装方法を使うべきかなどが解説されている Techniques for WCAG 2.0 実装方法の詳細が解説されている 27

Understanding WCAG 2.0 について JIS X 8341-3 を理解するために必要 原文は W3C のサイトにて公開中 http://www.w3.org/tr/understanding- WCAG20/ 日本語版 (WCAG 2.0 解説書 ) はウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC) のサイトにて公開中 http://www.ciaj.or.jp/access/web/index.html 28

Understanding WCAG 2.0 の内容 1. WCAG 2.0 解説書のイントロダクション 2. ガイドライン 1.1 [ 代替テキスト ] を理解する 3. 達成基準 1.1.1 [ 非テキストコンテンツ ] を理解する 4. WCAG 2.0 への適合を理解する 附録 附録 A 他の文書からの WCAG 2.0 の参照方法 附録 B. ウェブ技術の使用法のアクセシビリティ サポートを文書化する 附録 C メタデータを理解する 附録 D リファレンス 29

1. WCAG 2.0 解説書のイントロダクション イントロダクション アクセシビリティの4つの原則を理解する 1. 知覚可能 2. 操作可能 3. 理解可能 4. 堅牢性 ガイダンスのレイヤー 1. ガイドライン 2. 達成基準 3. 達成基準を満たすことのできる実装方法及び参考にす べき実装方法 30

2. ガイドラインを理解する 1タイトル 2ガイドライン 3 意図 4 参考にすべき実装方法 31

3. 達成基準を理解する 1タイトル 2 達成基準 3 意図 4 具体的なメリット 5 事例 6 関連リソース 7 実装方法及び不適合事例 7-1 達成基準を満たすことのできる実装方法 7-2 さらに対応が望まれる実装方法 ( 参考 ) 7-3 よくある不適合事例 8 重要な用語 32

4. WCAG 2.0 への適合を理解する 適合とは何を意味するのか 適合要件を理解する 適合要件 1: 適合レベル 適合要件 2: ページ全体 適合要件 3: 一連のプロセス 適合宣言 を理解する 適合レベル を理解する アクセシビリティ サポート を理解する プログラムが解釈 を理解する 適合している代替バージョン を理解する ウェブページ を理解する 代替テキスト を理解する 33

WCAG 2.0 ガイダンスのレイヤー 原則 ガイドライン達成基準 達成基準を満たすことのできる実装方法及び参考にすべき実装方法 34

WCAG 2.0 ガイダンスのレイヤー WCAG 2.0 原則 1 ガイドライン 1.1 ガイドライン 1.2 達成基準 1.1.1 達成基準 1.2.1 達成基準 Understanding WCAG 2.0 実装方法 G158 実装方法 G159 Techniques for WCAG 2.0 35

(1)JIS X 8341-3:2010 関連文書 WCAG ではなく JIS の技術情報 JIS X 8341-3:2010 解説 アクセシビリティ サポーテッド (AS) 情報 AS 情報を作成する際に必要となるテストファイル JIS X 8341-3:2010 試験実施ガイドライン ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2010 対応度表記ガイドライン 36

JISに基づくウェブコンテンツ作成の流れ ( 箇条 6~8) 1 WCAG 解説書 WCAG 実装方法集 2 3 目標とする達成等級 ( 達成基準 ) を決定する JIS X 8341-3 依存するウェブコンテンツ技術を決定する 4 使用できる実装方法を確認し 使用する実装方法を決定する ウェブコンテンツを実装する テストファイル アクセシビリティサポーテッド情報 具体的な試験方法 5 達成基準を満たしているか ( 適合性評価 ) 試験を行う 試験実施ガイドライン 実装チェックリストひな型 6 試験結果を表示する 対応度表記ガイドライン 37

JIS に基づくウェブコンテンツ作成の流れ 1 目標とする達成等級 ( 達成基準 ) を決定する 達成等級を決めると対応する達成基準が決まる JIS X 8341-3の箇条 4に一覧表がある その前に JIS 解説書 WCAG 解説書は必読 6.2 設計 a) 適用する達成基準 制作するコンテンツに適用する達成基準を 目標とするアクセシビリティ達成等級に含まれる達成基準から選択しなければならない 38

JIS に基づくウェブコンテンツ作成の流れ 2 依存するウェブコンテンツ技術を決定する 達成基準を満たすために必要な実装方法を WCAG 2.0 解説書で調べる 6.2 設計 b) 使用するウェブコンテンツ技術及び実装方法 ウェブコンテンツに使用する技術 及び各達成基準に適合するための実装方法を明確にしなければならない 39

JIS に基づくウェブコンテンツ作成の流れ 3 使用できる実装方法を確認し 使用する実装方法を決定する 用いるウェブコンテンツ技術がアクセシビリティ サポーテッド (AS) な使用方法であるか確認する WAIC で公開している AS 情報が参考になる WCAG 実装方法集から 詳しい実装方法を調べる 6.2 設計 b) 使用するウェブコンテンツ技術及び実装方法 使用するウェブコンテンツ技術及び実装方法が実際に利用者が利用可能であることを確認しなければならない 40

ウェブコンテンツの例 ( 表示 1: 対応なし ) 今日はお祭りの日です 今日はお祭りの日です ( 表示 2 : 赤字 ) 今日はお祭りの日です 今日はお祭りの日です ただし ブラウザや支援技術によっては対応していないこともある 対応していない作り方をしても利用できない 41

アクセシビリティ サポーテッド情報とは アクセシビリティをサポートしているウェブコンテンツ技術をリスト化した文書 附属書 A この規格を満たすウェブコンテンツ技術及びその実装方法の選び方 を参照 42

JIS に基づくウェブコンテンツ作成の流れ 4 ウェブコンテンツを実装する WCAG 実装方法集に従って ウェブコンテンツを実装する 6.3 制作 開発 箇条 7 の対応する達成基準を満たすように ウェブコンテンツを制作 開発しなければならない 43

JIS に基づくウェブコンテンツ作成の流れ 5 達成基準を満たしているか ( 適合性評価 ) 試験を行う 試験実施ガイドラインを参照し 試験を行う 6.4 検証 対応する達成等級の達成基準が満たされているか確認しなければならない 8 試験方法 44

JIS に基づくウェブコンテンツ作成の流れ 6 試験結果を表示する 表示 = 公開ではない 調達では 納品時に試験結果を添付すること ウェブでは公開すること 試験実施ガイドラインの実装チェックリスト等を参考にし 試験結果を表示する 8.3 試験結果の表示 45

対応度表記ガイドライン ウェブコンテンツのJIS X 8341-3:2010 対応度表記ガイドライン JIS X8341への対応度合いを表記する場合に用いるガイドライン JIS X 8341-3:2010 に適合 JIS X 8341-3:2010 に準拠 JIS X 8341-3:2010 に配慮

まとめ JIS X 8341-3 は ウェブアクセシビリティの品質を計る ものさし です ウェブアクセシビリティの普及のために JIS X 8341-3 をご活用ください 47