複数の Nios II を構成する際の注意事項

Similar documents
アルテラ USB-Blastre ドライバのインストール方法 for Windows OS

Nios II Flash Programmer ユーザ・ガイド

FPGA 外部のメモリをアバロン・MM・インタフェースへ接続する方法

Microsoft Word - ALT0982_program_epcs_by_niosii_v10.doc

Nios II - PIO を使用した I2C-Bus (2ワイヤ)マスタの実装

Nios II 簡易シミュレーション

Nios II - Vectored Interrupt Controller の実装

Quartus II はじめてガイド - プロジェクトの作成方法

SOPC Builder ペリフェラル 簡易ユーザ・ガイド - PIO (Parallel I/O)

Quartus II Web Edition インストール・ガイド

Nios II SBT Flash Programmer ユーザ・ガイド

オンチップ・メモリ クイック・ガイド for Cyclone III

Quartus II クイック・スタート・ガイド

Nios II カスタム・インストラクションによるキャスト(型変換)の高速化

Quartus II はじめてガイド - デバイス・プログラミング方法

ModelSim-Altera Edition インストール & ライセンスセットアップ Linux ver.11

PCI-Express ハード IP を使用した DMA の実現 for Cyclone V GT FPGA 開発キット(ソフトウェア編)

ModelSim-Altera - RTL シミュレーションの方法

Quartus II クイック・スタートガイド

Quartus II - デバイスの未使用ピンの状態とその処理

Quartus II はじめてガイド - Convert Programming File の使い方

Quartus II はじめてガイド - プロジェクトの作成方法

Nios II マイコン活用ガイド Nios II マイコンボード紹介 ステップ 1 AuCE C3 製品紹介 AuCE C3 は ソフトコア プロセッサ Nios II( アルテラ社 ) を搭載可能なマイコンボードです 弊社の基本ソフトウェアをインストールし FPGA 開発者のデザインと Nios

スライド 1

Quartus Prime - プログラミング・ファイルの生成や変換(Convert Programming Files)

1

PLL クイック・ガイド for Cyclone III

Quartus Prime はじめてガイド - デバイス・プログラミングの方法

RW-5100 導入説明書 Windows7 用 2017 年 7 月 シャープ株式会社

SoC はじめてガイド - HPS-FPGA 間のアクセス方法(Arria® V SoC / Cyclone® V SoC 編)

RW-4040 導入説明書 Windows 7 用 2017 年 7 月 シャープ株式会社

PRIMERGY TX1330 M3 未サポートOS動作検証確認情報

Preloader Generator の使用方法

PRIMERGY TX1320 M2 未サポートOS動作検証確認情報

PRIMERGY TX100 S3 未サポートOS動作検証確認情報

Preloader Generator の使用方法 Ver.14

PRIMERGY BX920S2 未サポートOS動作検証確認情報

FLOATALL 用ライセンス・ファイルの取得および設定方法 for Windows OS

PRIMERGY TX100 S3 未サポートOS動作検証確認情報

BR5010ESLTE-GW 取扱説明書 ログ編 第 1.0 版 2018 年 2 月

RL78開発環境移行ガイド R8C/M16C, H8S/H8SXからRL78への移行(統合開発環境編)(High-performance Embedded Workshop→CS+)

PRIMERGY TX2540 M1 未サポートOS動作検証確認情報

Trueflow 3 Ver3

PRIMERGY RX300 S6 SAS コントローラカード <RAID 5> フリーOS 動作確認情報

PRIMERGY TX100 S1 未サポートOS動作検証確認情報

始める スタート > 全てのプログラム > Cypress > PSoC Creator 2.0 > PSoC Creator 2.0 をクリックします プロジェクトを作成する / 開く Start Page の "Create New Project" をクリックし 要求されたプロジェクト情報を入

AN424 Modbus/TCP クイックスタートガイド CIE-H14

1 はじめに 概要 特徴 動作環境 本マニュアルの見かた 用語集 プロファイルについて 制約事項 ライセンス認証 ( プロファイルのインストール ) を行う..

Nios II IDE によるソフトウェア開発 セクション 2

Silicon Labs 社 CP210x クイックスタートガイド 2015 年 6 月

Nios II 簡易チュートリアル

目次 1. 概要 動作環境

アジェンダ Renesas Synergy TM プラットフォーム構成 ThreadX とは ThreadX の状態遷移 ThreadX とμITRONの機能比較 まとめ ページ 2

PRIMERGY TX150 S7 SAS アレイコントローラカード <RAID 5> フリーOS 動作確認情報

PRIMERGY TX1320 M3 未サポートOS動作検証確認情報

PRIMERGY TX140 S1 未サポートOS動作検証確認情報

PRIMERGY BX920 S1 未サポートOS動作検証確認情報

Notes and Points for TM4C123Gx Internal Flash memory

PRIMERGY TX1320 M1 未サポートOS動作検証確認情報

PRIMERGY TX1310 M1 未サポートOS動作検証確認情報

ご注意 1) 本書の内容 およびプログラムの一部 または全部を当社に無断で転載 複製することは禁止されております 2) 本書 およびプログラムに関して将来予告なしに変更することがあります 3) プログラムの機能向上のため 本書の内容と実際の画面 操作が異なってしまう可能性があります この場合には 実

Notes and Points for TMPR454 Flash memory

バーコードハンディターミナル BT-1000 シリーズセットアップガイド ( 第 1 版 ) CE ***

PRIMERGY RX300S6未サポートOS動作検証確認情報

現行のICカードリーダRW4040インストーラの課題

Flash Loader

UCB User's Manual

DigiCert EV コード署名証明書 Javaコード 署名手順書

はじめにお読みくださいfor HP Smart Zero Client v5.0

USBドライバインストールマニュアル [Windows Vista/Windows 7]

PRIMERGY RX100 S5 未サポートOS動作検証確認情報

AN178 USB仮想シリアルドライバ インストールガイド

Nios II 簡易チュートリアル

Microsoft Word _C2H_Compiler_FAQ_J_ FINAL.doc

r10s4-fn03.pdf

AN1526 RX開発環境の使用方法(CS+、Renesas Flash Programmer)

DigiCert EV コード署名証明書 Microsoft Authenticode署名手順書

Microsoft Word - 作業報告書アプリの操作マニュアル.docx

S1C17 Family Application Note S1C17 シリーズ PORT 多重割り込みアプリケーションノート Rev.1.0

TFTP serverの実装

OS5.2_SSLVPN設定手順書

Warp demo station manual

Microsoft Word - Cubesuite+_78K0R.doc

CLUSTERPRO MC RootDiskMonitor 1.0 for Windows インストールガイド 2013(Mar) NEC Corporation はじめに 製品導入の事前準備 本製品のインストール 本製品の初期設定 本製品のアンインストール

MS104-SH2 USBドライバ(仮想COMポートドライバ)の不具合について

PowerTyper マイクロコードダウンロード手順

目次 1. はじめに ライセンス証書の受領 ライセンス証書に含まれる内容 環境前提条件 準備 インストール環境の確認 ファイル インストール インストール後の Dr

Microsoft PowerPoint - OS07.pptx

内容 1. 仕様 動作確認条件 ハードウェア説明 使用端子一覧 ソフトウェア説明 動作概要 ファイル構成 オプション設定メモリ 定数一覧 変数一

VERITAS Backup Exec for Windows Servers Management Pack for Microsoft Operations Manager ガイド

AGT10(Android (TM) 2.3) ファームウェア更新方法

スタートガイド〈サービス利用準備編〉

はじめに 京セラ製スマートフォンを指定の microusb ケーブル ( 別売 ) またはこれと共通仕様の microusb ケーブル ( 別売 )( 以下 USB ケーブル ) と接続して USB テザリング機能をご使用いただくためには あらかじめパソコンに USB ドライバ をインストールしてい

Scripting Tools for Windows PowerShell リリースノート

Microsoft Word - Cubesuite+_V850_AM.doc

BIGLOBEクラウドホスティング

Notes and Points for ADuCM320 Internal Flash memory

HP USB Port Managerご紹介資料 -シンクライアント

はじめに URBANO PROGRESSO を microusb ケーブル 01 ( 別売 ) またはこれと共通の仕様の microusb ケーブル ( 別売 )( 以下 USB ケーブル ) と接続して USB テザリング機能をご使用いただくためには あらかじめパソコンに USB ドライバ をイン

Imation Lock について Imation Lock を使用するとイメーション Pocket Pro フラッシュドライブ ( 以下フラッシュドラ イブ ) にパスワードで保護されたセキュリティエリアを設定することができます 対応環境 Windows XP Home & Professiona

Transcription:

ver. 1.0 2009 年 4 月 1. はじめに Nios II IDE で ソフトウェアをビルドすると SOPC Builder の GUI 上で Nios II と接続されているペリフェラル用の初期化コードを自動で生成します この各ペリフェラルに対応した初期化コードで ペリフェラルを制御するためにアルテラ社から提供された HAL を利用するための準備や 各ペリフェラルの一般的な理想と考えられる初期状態のレジスタ設定等を行います しかし この自動で生成される各ペリフェラルの初期化コードは 複数の Nios II が構成されたシステムで 且つ複数の Nios II が同一のペリフェラルを共有させたシステムに対応したものでありません 複数の Nios II を構成する場合においての注意事項に関して説明します Page 1 of 5 Altima Corporation

2. 排他制御に関して 周知のとおり 前提として複数のプロセッサがペリフェラルを共有する場合 排他処理が必要です 片方のプロセッサがあるペリフェラルに対して 何らかの処理をするためにアクセスしている最中に 他のプロセッサから同一ペリフェラルに対してのアクセスは避ける必要があります ( フラグ情報を複数のプロセッサが共通で管理すること等で排他アクセスを実現する必要があります ) 前述したように Nios II IDE では SOPC Builder で接続されているペリフェラル用に 初期化コードを自動で生成します (SOPC Builder の GUI 上で Nios II と接続されたペリフェラル用の初期化コードを自動生成します ) 下の図の例のように 複数の Nios II に共通で接続されたペリフェラルが存在する場合には それぞれの Nios II の初期化コード内に 共通で接続されたペリフェラル用の初期化コードが自動でリンクされますが この初期化コードは このような構成時に対応したものではありません 自動で生成されたコードを変更なく採用してしまうと それぞれの Nios II は同一ペリフェラルに対し排他制御をせず初期化を実行してしまいます つまり このような構成は 自動で生成される初期化コードをそのまま変更なく採用する場合において 許された構成ではありません 以下の例では それぞれの Nios II から 共通のペリフェラルへアクセスができるようにハードウェアが接続されていますが 排他制御が非常に手間となり また 割り込みがかかると 目的でない方の Nios II も割り込みを認識してしまう理想的でない構成です また 自動で生成される初期化コードでは動作保証がされない非推奨の構成となっています ver. 1.0 2009 年 4 月 Page 2 of 5 Altima Corporation

3. 自動で生成される初期化コードがサポートされる構成 複数の Nios II をシステムに実現する場合 それぞれの Nios II が単独で利用できるペリフェラルを複数個用意し バスを完全に分離させた構成にします このような構成であれば ツールにより自動生成されたペリフェラル用の初期化コードを変更することなく利用できます この自動生成される初期化コードは それぞれの Nios II に接続されたペリフェラルに対してのみ用意されます 以下の例は それぞれの Nios II から個々のペリフェラルにのみアクセスができるハードウェア構成になっていて 割り込みポートも 接続された Nios II にのみ有効になります 下の図で示されている DMA コンポーネントのみならず UART タイマ SPI 等 すべてのペリフェラルは共有せず それぞれの Nios II 用に専用で独立して接続することが推奨の構成となります ver. 1.0 2009 年 4 月 Page 3 of 5 Altima Corporation

4. 補足情報 システム全体のスループットの向上 排他制御の不要等の利点より すべてのペリフェラルは それぞれのプロセッサごとに個別に用意し構成するのが理想的です しかし そのような構成がとれず ペリフェラルを複数の Nios II で共有する場合には 前述のとおり 自動で生成される初期化コードをそのまま採用すると問題を起こす可能性があります 初期化コードを自動で生成しないペリフェラルと自動で生成するペリフェラルに関して次に示します << 自動で初期化コードを生成しないペリフェラル >> ユーザ ペリフェラル Common Flash Interface Core(CFI フラッシュメモリ コンポーネント ) 以外のメモリコンポーネント ( 例 : SDRAM DDR SDRAM コントローラ コンポーネント オンチップ メモリコンポーネント等 ) << 自動で初期化コードを生成するペリフェラル >> メモリ以外のすべてのアルテラ社から提供されるペリフェラル 詳細は Nios II Software Developer s Handbook (http://www.altera.com/literature/hb/nios2/n2sw_nii5v2.pdf) を確認してください 多くのペリフェラル用に初期化コードが用意されています この自動で生成される初期化コードの処理内容を十分把握する必要があります 例外として System ID Core に関しては 自動で生成される初期化コード内に マルチコア システムにおいて 問題を引き起こす処理が含まれていなく 割り込みのポートも持たないため 複数の Nios II で共有することができます また もともと排他処理を目的として用意されているペリフェラル ( ミューテックス コア メールボックス コア ) についても 複数の Nios II で共有することができます Common Flash Interface Core(CFI フラッシュメモリ コンポーネント ) 以外のメモリコンポーネントは 複数の Nios II でアクセスする領域が重ならないように利用する場合は 共有できます それ以外のコンポーネントに関しては 複数の Nios II から同一のペリフェラルとして共有する場合には注意が必要です 各初期化コード内で行われるもともとの処理内容を理解し 必要に応じて ユーザ側で削除 または変更等をしていただく必要があります 具体的な例としては Common Flash Interface Core(CFI フラッシュメモリ コンポーネント ) であれば フラッシュメモリをクエリモードに入れるコマンドやフラッシュメモリに存在するプログラムを RAM へ展開するブート動作が 複数の Nios II から行われないように対処します DMA コンポーネントであれば 初期化コード内の処理で割り込みの登録がされているので 1 つの Nios II が割り込みを受け付ける状態に入った後 異なる Nios II が初期化コードを実行することで IRQ のノードが一瞬だけ成立してしまい 先に割り込みを受け付けた Nios II が例外処理を実行するが その IRQ のパルス幅が狭いことが原因で正しい例外処理が行われず先に割り込みを受け付けた Nios II が無限ループして停止してしまうことを防ぐために 自動で生成される初期化コードは削除し カスタムで初期化を行います これらの例のように各ペリフェラルに応じて対処が必要です 5. まとめ Nios II でマルチプロセッサ システムを構成する際 様々なペリフェラルは それぞれの Nios II ごとに個別に用意しバスを分離することを推奨します また 複数の Nios II から 同一のペリフェラルを共有する場合には 自動で生成されるそのペリフェラル用の初期化コードでは システムの動作保証がされていないため ユーザの方で 問題が起きないように対処が必要となります ver. 1.0 2009 年 4 月 Page 4 of 5 Altima Corporation

弊社より資料を入手されましたお客様におかれましては 下記の使用上の注意を一読いただいた上でご使用ください 1. 本資料は非売品です 許可無く転売することや無断複製することを禁じます 2. 本資料は予告なく変更することがあります 3. 本資料の作成には万全を期していますが 万一ご不明な点や誤り 記載漏れなどお気づきの点がありましたら 弊社までご一報いただければ幸いです 4. 本資料で取り扱っている回路 技術 プログラムに関して運用した結果の影響については 責任を負いかねますのであらかじめご了承ください 5. 本資料は製品を利用する際の補助的な資料です 製品をご使用になる場合は 英語版の資料もあわせてご利用ください 横浜本社 222-8563 横浜市港区新横浜 1-5-5 マクニカ第二ビル TEL 045-476-2155 FAX 045-476-2156 大阪営業所 532-0011 大阪市淀川区西中島 6-1-3 アストロ新大阪第二ビル 7 階 TEL 06-6307-7670 FAX 06-6307-7671 名古屋営業所 460-0003 名古屋市中区錦 1-6-5 名古屋錦シティビル 7 階 TEL 052-202-1024 FAX 052-202-1025 宇都宮営業所 321-0953 宇都宮市東宿郷 4-2-24 センターズビル 7 階 TEL 028-637-4488 FAX 028-637-4489 ver. 1.0 2009 年 4 月 Page 5 of 5 Altima Corporation