料編 Ⅹ の設計および使用上の留意事項 (1) シンクロベルトの適正な張り方 ベルトの張り方はベルトがたるまない程度が適正で張り過ぎは ベルトの寿命を低下させます また張りがゆるい場合 衝撃的な負荷または起動トルクが大きいとベルトがプーリ溝からジャンプして乗り上げることがあります ベルトの張りを数値的に管理する場合は 次の手順により行います STEP1 スパンの計算 STEP2 s= C 2 (Dpdp)2 4 1たわみの計算 s : スパン長さ (mm) δ=0.0s C : 軸間距離 (mm) δ : たわみ量 (mm) Dp : 大プーリピッチ円直径 (mm) s : スパン長さ (mm) dp : 小プーリピッチ円直径 (mm) スパンの中央にたわみδmmを与え この時の張り荷重がFδとなるように張りを与えてください 注 衝撃的な負荷または起動トルクが大きくベルトがプーリ溝からジャンプして乗り上げる場合は最高 で張ってください (2) 定数表 1. シンクロベルト定数表 表 11 シンクロベルト 定数表 X XX 3.2 6. 3.0 4.8.2 9.1 表 バンコランシンクロベルト TN 定数表 TN TN1 たわみと張り荷重の計算 02 6.4 7.8.7 2 たわみ荷重の計算 Fδ= +(s/p) Fδ : たわみ荷重 (N) s : スパン長さ (mm) p : ベルトピッチ周長さ (mm) ( 値 ) : 定数 ( 表 1 表 2 表 3) STEP3 張り調整 Fδ= ()+(s/p) 7.7 11.3.2 00 07 0 0 0 0 00 600 9..7.1 2.4 38.1 0.8 76.2 1.6.0.4 2.7.4 17.2.7.0.0 76.0 9.0 2.0 66.0 031 037 1 7 8 394 2 299 429 69 907 14 6 318 496 1 1 9 2 431 690 29 14 26 9 1 61 863 138 98 2 3960 61 11 14 2 17 20 ベルト呼び幅 1.0 2.0 3.0 4.0.0 6.0 7.0 13.0 ベルト幅 mm 1 2 3 4 6 7 13 0.62 0.46 0.29 0.0 2.03 1.41 0.88 0. 2. 1.37 0. 1. 1. 0. 0. 2 2.67 1.67 0.46.18 3.46 2. 0.62 0 2. 1.37 0.62 7.06 4.70 2.94 0.. 表 131 バンコランシンクロベルト 定数表 3.2 1.2 0.8 0.2 4.8 2.1 1.4 0.4 表 1 バンコランシンクロベルト 定数表 13.0 7.0.0 2.0 17.0 3.62 2.26 0.90 8.62.81 3.63 1.60 13.18 8..49 02 031 037 00 07 0 0 6.4 7.9 9..7.1 2.4 38.1 0.8 3..6 8.4 3.7.6 0.6 1.0 1..0 76.0 9.0 2.0 66.0 7.7 11.3.2.0.0.0.0.0.0 1.0.0.0 7.0.0 8.0 394.0 2.0.0 1 1 2.0.0.0.0 1 73.0 7.0 8.0 182.0 0.0 7.0 2 2 2.0 0.0 133.0.0 7.0 0 0 490.0 4 7.0 Fδ s 297 2664 7 66 41 δ 06 39 2 8834 3981 49 S21
料編 3. キングパワーシンクロベルト (KPSII) 定数表 KPS のたわみ荷重 Fδ は以下の式を用いて求めてください S2 Fδ= + W(s/p) 表 31 KPS 定数表 8M 14M 以下の式による 18.96.42 (N)=(W/B1) W : ベルト幅 (mm) B1 : 8M=1 14M= : 表 による 2. スーパートルクシンクロベルト () ハイパフォーマンススーパートルクシンクロベルト (P) 定数表 表 211. P 定数表 : その 1 S1.M S4.M SM PSM P P 表 2. P 定数表 : その 2 S4.M SM PSM P P 表 213. ベルト呼び幅 0 60 70 90 0 1 0 0 0 ベルト幅 mm 4 6 7 8 9 1 2 3 11.0.0.8.0 6.4 14.9 8.3 9.0 18.0 21.4. 14.1 2.0 1.0.3.9.7 18.6 17.0 21.0 33.0.0 21.0 42.0.1 2.4 7.4 29..1 26 33 46 60 74 94 8 7 1 17 7 7 34 79 46 2 1 170 2 18 29 9 2 26 1 29 2 46 4 6 82 82 2 8 291 1 134 34 2 0 417 188 18 11 14 39 21 2 9 73 3 9 0 0 0 1 63 4 0 9 460 0 7 98 6 60 0 9 860 00 2 11 760 670 290 60 600 4 1 0 0 3 0 10 700 2 00 600 700 0 00 10 0 10 0 00 00 0 00 0 60 70 0 1 1 0 0 0 381 2 606 3 7 11 00 4 14 0 1 6 60 17 7 2 90 00 1 0 1 290 0 33 70 43 41 バンコランスーパートルクシンクロベルト 定数表 表 一覧表 KPSII 8M p(mm) 回転数 (rpm) 以下 00 以下 00 以下 00 以下 00 以下 00 以上.0 60 0 4 6 1. 6.0. 43.0 3.0.1 9.0.0. 8.0.0 7. 91.0.0 9.0 14.2 0 以下 10 以下 00 以下 60 以下 382 3 314 6 1 4 3 3 2 2 3 4 9 490 431 373 314 2 3 KPSII 14M 70 p(mm) 回転数 (rpm) 以下 0 以下 600 以下 10 以下 00 以下 00 以上 3990 3 1 60 7 33 0 42 0 7 4 8790 6700 33 000 290 9490 170 6 6900 10 以下 1 以下 60 以下 1706 14 94 117 961 42 1 1471 94 8 2138 81 14 14 16 4. ロングシンクロベルト 表 41. ロングシンクロベルト 定数表 X XX 表 421. ロング ベルト 定数表 : その 1 S4.M SM 1.0 8.0 26 表 4. ロング ベルト 定数表 : その 2 0 02 031 037 00 07 0 0 0 0 00 600 4.8 6.4 7.9 9..7.1 2.4 38.1 0.8 76.2 1.6.4.2 9.1 7.8.7 0 60 0 0 0 0 00 600 700 0 6 8 1 2 0 60 70 18.0 33 9 2.0 1.0.3 2.4.7.0 2.0 7.7.7 17.2 76.0 11.3 2 9 9 0 0 0 9.0 66.0.2 299 6 1 1 429 69 318 496 9 2 2 1 63 4 0 291 9 460 0 6 60 0 9 860 00 907 1 431 29 9 863 2 11 17 0 0 3 0 10 700 ベルト呼び幅 00 10 0 10 0 00 00 0 00 ベルト幅 mm 0 1 1 0 0 0 2 3 3990 0 8790 3 42 6700 90 1 33 0 33 43 41 60 7 0 7 000 9490 290 170 70 70 33 4 6 6900 14 690 14 1 138 3960 14 20 26 61 98 61 2 表 431. バンコランロングシンクロベルト ( オープンエンド ) 定数表 : その 1 11 00 4 00 1 02 031 037 00 07 0 0 0 0 6.4 7.9 9..7.1 2.4 38.1 0.8 76.2 1.6.0 2.0 7.7 76.0 11.3 9.0 66.0.2 299 6 1 182.0 93.0.0 1 4.0 1.0 42.1 4 8 3.0 9.0 7.8 394 2 429 69 907 14 318 496 1 6 9 2 431 690 03 1484 948 14 0 0 1 297 2664 7 66 41 1 6 06 39 2 8834 3981 49 60 17 7 290 S217
料編 表 4. バンコランロングシンクロベルト ( オープンエンド ) 定数表 : その 2 1 2 0 7 0 1 2 0 7 0 2 2 17 7 8 39 8 48 1 88 9 1 118 79 2 149 0 294 8 471 633 883 17 6 2 314 4 88 1 4 8 2 388 9 8 12 794 シンクロベルト 単位重量 [g/mm/m] ベルト分類 ベルト分類 単位重量 [g/mm/m] KPSⅡ KPSⅡ CeptorX CeptorX 3.8 6.6 4. 表 441. バンコランロングシンクロベルト ( エンドレス ) S218 定数表 : その1 ベルト呼び幅 02 031 037 00 07 0 0 0 0 ベルト幅 mm 6.4 7.9 9..7.1 2.4 38.1 0.8 76.2 1.6 1.0 7.0 2.0.0 2.8....7 26.. 64. 33.0 63. 44. 38. 91.0 46. 13..0 62. 4. 21 3 4 7 113 8 341 4 73 1 2 3 表 41. バンコランロング ベルト ( オープンエンド ) 定数表 : その 1 142.0. 2 143. 97. 84.0 表 442. バンコランロングシンクロベルト ( エンドレス ) 定数表 : その 2 SM 4. 99..9 7.0 134.0 11 1 2 0 7 0 1 2 0 7 0.0 26.0 37. 4.0 66.0.0 1.0. 8. 13. 29.0..0.0 44.0 29. 9.0 39. 74. 0.0 81.0 4.0.0 117.. 2. 147.0 98.0 6.0 184.0 2. 82.0 17.0 4.0 3. 211.0 141.0 441. 294.0 4.0 0 0 1 0 2 0 1 0 69 86 4 8 29 0 61 47 73 99 6 2 2 291 34 9 9 1 9 7 63 98 183 6 7 8 0 131 7 263 9 394 92 138 18 2 表 46. バンコランロング ベルト ( エンドレス ) 定数表 SM 表 42. バンコランロング ベルト ( オープンエンド ) 定数表 : その 2 ベルト呼び幅 60 ベルト幅 mm 6 1.0 1 44 2 1 18 1 81 0 92 1 0 2 117 138 0 1 3 3 2 1 4 42 2 6 1 2 0 1 2 0 82. 1 14 1.0 0.0 3.0. 47. 66.0 84. 3. 142.0 181.. 31..0 49.0 66. 84.0 0 139 81 4 0 133 734 26 370 48 3 1 96.0 397.0 29. 00 0 606 34 8 917 67 01 742 487 70 7 137 986 691 00 0 1834 1314 9 CeptorⅥ CeptorⅥ CeptorⅥ P P P バンコラン バンコラン 両面 両面 両面 両面 両面 両面 シンクロベルトシンクロベルトシンクロベルトシンクロベルトシンクロベルトシンクロベルトシンクロベルトバンコランシンクロベルトバンコランシンクロベルトバンコランシンクロベルトバンコランシンクロベルトバンコランシンクロベルトバンコランシンクロベルト両面シンクロベルト両面シンクロベルト両面シンクロベルト SM SM S1.M S4.M SM UG UG D D DS4.M DSM D D MK X X XX UK UK UK T2. D D D 4.6 3..6 8.9 1.3 2.8 3.8.4 9.0 1.2 1.7 1.6 2.9.8.2 1. 2.2 4.3 1 1.8 0.8 1.6 2.6 2.0 4.3 3. 4. S2
料編 (3) プーリアライメント ( 軸の平行度 ) (4) アイドラの使用について () プーリフランジ (6) の取り扱い シンクロベルトはプーリのアライメントが正しく調整されている場合でもプーリの両端のどちらか一方に片寄りします その強さは非常に小さなものですがプーリアライメントが正しく調整されていないと片寄り強さが極端に大きくなり プーリフランジに強く押し付けられるためにベルト側面の摩耗破損が起ります また摩耗だけでなく ベルト心体に均一な張力がかからないため異常な強度疲労をおこし著しく寿命低下します 寿命比率 以上からプーリアライメントは表 に基づいて正しく調整してご使用してください 表 アライメント許容値 S2 0 60 0 ベルト幅 (mm) tanβ( 以下 ) 3 1 1 プーリアライメントとベルト寿命の関係 β ~2 26~60 61~ 6 00 4. 00 β 3 00 シンクロベルト伝動装置にアイドラを使用される場合 最良の伝動装置を得るために以下について配慮してください アイドラの使用例 アイドラの使用は ベルトの曲げによる疲労を増加させますので 下記のようなやむを得ない場合を除きできるだけ使用は避けてください 軸間距離が調整できない場合の張り調整 ベルト振動が問題になるほどの長スパンの分割 障害物をさけるための案内 小プーリ側のかみ合い歯数 ( 接触角度 ) を増す場合 アイドラの使用方法 アイドラは固定設定で必ずゆるみ側でご使用ください 張り側で使用する場合は歯飛びが起りやすくなるため規定以上の強いベルト張りで使用する必要がありベルト寿命にも影響します またできるだけ浅い角度でご使用ください 内側で使用する場合 原動側 歯付プーリをご使用ください アイドラの取り付け位置は大プーリに近づけてください 小プーリの接触角度の減少が少なくなります 外側で使用する場合 原動側 クラウンのない平プーリをご使用ください アイドラの取り付け位置は小プーリに近づけてください KPSⅡ の場合 外側で使用する場合は押え角度 170 以上 アイドラ径は最小プーリ径の2 倍以上を目安としてください アイドラ径 170 以上 従動側 従動側 内側アイドラ径は使用回転数の最小プーリ径以上または外側使用の平プーリは最小プーリ径の1.2~1.4 倍でご使用ください ( 各ベルトにより制約は異なりますので個々の設計の際はお問い合わせください 歯付プーリは 平プーリのようなクラウンをつけませんので 軸の平行度 ベルトの回転により運転中どちらか一方にかたよりますので設計の際には 次の要領でフランジを付けてください 2 軸伝動の場合 2 個のプーリ中 1 個のプーリの両側にフランジを付けるか ( 例 1) お互いに反対側に各々 1 個付けます ( 例 2) ただし 軸間距離が小プーリ径の8 倍以上ある場合 両方のプーリの両側にフランジを付けます ( 例 3) 両側にフランジを付ける場合 小プーリ側につけた方が経済的です 例 1 例 2 dp 例 3 C>8 dp 多軸伝動の場合 プーリ1つおきに両フランジプーリを使用するか ( 例 1) もしくは 取り付け方向の違う片フランジプーリをご使用ください ( 例 2) 例 1 例 2 水平掛けの場合 水平掛けでご使用の場合はベルト自重でプーリよりはみ出す恐れがありますので片方には両側 もう一方には片側 ( 下例 ) にフランジの取付け ( 特に, X, XX 形 ) を確実に行ってください ( 正面図 ) 尚鋳物品へのフランジの取付けはビス止めとしてください (S7ページ) ベルトの保管 ベルトは保管方法が悪いと性能が低下しますので次の条件で保管してください 直射日光を避け常温で保管ください 棚あるいは壁にかけて直接地面に置かないようにしてください 大量につみ重ねたり きつく折り曲げた状態での保管を避けてください 油や薬品が付着しないようにご注意ください ベルトの取り付け ベルトをプーリに取りつける時 無理にフランジを乗り越して取りつけますと早期に切断する恐れがありま すので モーターをスライドさせるかアイドラ装置をゆるめて装着してください ゴムに多量に油が付着すると ベルトが膨潤し ベルトの寿命が低下しますので油が付着しないようにご注意ください ベルトの張りは適正な範囲で調整を行ってください (S21~218ページ) プーリアライメント ( 軸の平行度 ) は基準内 (S2 ページ ) でご使用ください プーリになどがある場合 摩耗が早くなりますのでこれを除いてからご使用ください ベルトの運転 運転中異物がかみ込むとベルト切断に至ることがあります このようなおそれのある場合は ベルトカバーを取付けてください S1
料編 (7) ベルトとプーリの早期損傷の原因と対策 1. 切断 S2 現象原因対策 ( ) ベルトに疲労状態がなく1ヶ所より切断している 2. ベルトが硬くなり表面にクラックが入る 3. ベルト歯が破損している 4. ベルトの歯面帆布が早期に摩耗する. ベルトの側面が摩耗 プーリのミスアライメントが大きあるいは破損していい る 6. ベルトが蛇行する ベルトの無理な折り曲げ ベルト取付け時無理にこじ入れている ベルトの伝動能力が不足している 設計を再検討する ( ベルト幅の増加 プーリ径の増加あるいはベルトの選定をやり直す ) 異物のかみ込み ミスアライメントが大きくプーリフランジヘ乗り上げている 雰囲気温度が高い (90 以上 ) ベルト張りの不足によりスキップが発生している プーリ歯寸法の加工不良 あるいは摩耗により寸法が変化している 急停止が考慮されていない 設計ミスによる噛合歯数の不足 ベルトの張り過ぎ 粉じんがかかっている プーリの外径寸法が左右異なる プーリのミスアライメントが大きい ベルトの保管あるいは取扱いに注意する プーリのスライドあるいはテンションプーリをゆるめてベルトを取付ける ベルトカバーを取付ける プーリのアライメントを調整する 環境を改善するか または耐熱性ベルトを使用する 適正な歯寸法のプーリと取替える 粉じんなどがかかっていればベルトカバーを取付ける 急停止の時問を長くするか あるいはベルトの選定をやり直す 適正な径の背面アイドラプーリをゆるみ側に取付ける あるいは設計変更する ベルトカバーを取付ける アライメントを調整する 適正な外径寸法のプーリと取替える アライメントを調整する (7) ベルトとプーリの早期損傷の原因と対策現象原因対策 7. 縦裂き 8. ゴムの膨潤 9. 金属性の騒音を発生. プーリ歯の摩耗 プーリの端よりベルトがはみ出して走行したとき プーリ位置 プーリアライメントを修正する ベルトがプーリのフランジヘ乗り上げたとき プーリ位置 プーリアライメントを修正する 多量の油がかかる ベルトカバーをつけるか または耐油性ベル トを使用する ベルトの張りすぎ 初張力を調整する 設計値以上の負荷がかかっている 設計を再検討する ベルトの速度が高すぎる ベルトの形の変更も含めてプーリ径を小さく する ベルトの張りすぎ プーリの材質が不適当 より高い硬度のものを使うか表面処理をす る S2