専攻医教育プログラム 3 生殖 内分泌 月経困難症 / 月経前症候群の診断と治療 鳥取大学 谷口文紀 第 71 回日産婦学会 2019 名古屋

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は減少しています 膠原病による肺病変のなかで 関節リウマチに合併する気道病変としての細気管支炎も DPB と類似した病像を呈するため 鑑別疾患として加えておく必要があります また稀ではありますが 造血幹細胞移植後などに併発する移植後閉塞性細気管支炎も重要な疾患として知っておくといいかと思います 慢性

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補足 : 妊娠 21 週までの分娩は 流産 と呼び 救命は不可能です 妊娠 22 週 36 週までの分娩は 早産 となりますが 特に妊娠 26 週まで の早産では 赤ちゃんの未熟性が強く 注意を要します 2. 診断 どうなったら TTTS か? (1) 一絨毛膜性双胎であること (2) 羊水過多と羊

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専攻医教育プログラム 3 生殖 内分泌 月経困難症 / 月経前症候群の診断と治療 鳥取大学 谷口文紀 第 71 回日産婦学会 2019 名古屋

疾患概念

定義 月経困難症 ~ 月経期間中に月経に随伴して起こる病的症状をいう 下腹痛 腰痛 腹部膨満感 嘔気 頭痛 疲労 脱力感 食欲不振 いらいら 下痢 憂うつの順に多くみられる 機能性月経困難症と器質性月経困難症に分類される 月経前症候群 (premenstrual syndrome: PMS)~ 月経前 3-10 日の黄体期 に続く身体的あるいは精神的症状で 月経発来とともに減退 消失する いらいら のぼせ 腹部膨満感 下腹部痛 腰痛 頭重感 怒りっぽくなる 頭痛 乳房痛 落ち着かない 憂うつの順に多くみられる 月経前不快気分障害 (premenstrual dyspholic disorder: PMDD) は 精神症状が 主体で強いものをいい PMS の最重症型に位置付けられる 産婦人科の必修知識日本産科婦人科学会編

月経困難症の病態 月経困難症 機能性月経困難症 器質性月経困難症 初経後 2-3 年より始まることが多い 月経 1-2 日目の出血が多いときに強く 痛みの性質は痙攣性 周期性で 頸管の狭小やPG 過剰による子宮の過収縮が原因である 月経前 4-5 日から月経後まで続く持続性の鈍痛のことが多い 子宮内膜症 子宮筋腫 子宮腺筋症 子宮内腔癒着 子宮奇形 子宮内膜ポリープなどの器質的疾患に伴うものをいう 月経前症候群

月経前症候群 (PMS) の重症度 No / Mild PMS Moderate / Severe PMS PMDD 成人 No. (%) N=1,152 1,077 (93.5%) 61 (5.3%) 14 (1.2%) 高校生 No. (%) N=618 529 (85.6%) 73 (11.8%) 16 (2.6%) Takeda T, et al. Arch Womens Ment Health, 2010

診断

月経困難症患者への問診 月経歴 初経年齢 月経周期と持続日数 月経困難の有無と性状出現時期と持続期間 疼痛の程度 日常生活への影響 薬物の使用状況 分娩歴 経妊 経産回数 分娩様式 分娩所見 妊娠 分娩時合併症 異常妊娠( 流産 異所性妊娠 胞状奇胎など ) 手術歴 子宮内操作 手術既往 その他 性交渉の有無 STD 既往 避妊方法

機能性月経困難症の診断と検査 配慮ある丁寧な問診により 良好な信頼関係を図る 内診 超音波検査 CBC CRP CA125 腟分泌物細菌培養 クラミジア検査 画像検査にて月経困難症をきたす器質性疾患を除外する 初交前で内診や経腟超音波検査が難しい場合には 経腹 経直腸超音波検査やMRI 検査を用いる

思春期の月経困難症の原因 原因疾患 疼痛の原因 機能性月経困難症 子宮の過収縮 器質性月経困難症 子宮内膜症 PCOS 無排卵周期症甲状腺機能異常による無排卵周期症子宮奇形 ( 月経モリミナ 重複 双角子宮など ) 炎症性サイトカイン分泌 Unopposed estrogen 分泌による子宮内膜肥厚に起因する子宮内膜剥離量の増加子宮奇形による子宮過収縮副角子宮への月経血貯留広範な子宮内膜領域からの子宮内膜剥離量の増加

機能性月経困難症と子宮内膜症リスク 月経痛 内膜症患者 対照 OR ない / ほとんどない 30 % 48 % 1.0 ときどき 16 % 17 % 1.7 しばしば 54 % 35 % 2.6 (p=0.03) 月経量 内膜症患者 対照 OR 少ない 11 % 12 % 1.0 普通 52 % 63 % 1.0 多い 37 % 25 % 1.6 (p=0.4) Treloar, SA et.al: Am J Obstet Gynecol, 2010 月経時の子宮収縮が強いと 子宮内膜症発症の原因と考えられる月経血逆流量 が増加することが想定される 子宮収縮と月経量の抑制により 内膜症発症を 予防できる可能性がある

思春期の慢性骨盤痛の原因疾患 患者数 (%) 診断 11-13 歳 14-15 歳 16-17 歳 18-19 歳 20-21 歳 子宮内膜症 2 (12) 9 (28) 21 (40) 17 (45) 7 (54) 術後癒着 1 (6) 4 (13) 7 (13) 5 813) 2 (15) 腹膜炎 5 (29) 4 (13) 0 2 (5) 0 卵巣嚢腫 2 (12) 2 (6) 3 (5) 2 (5) 0 子宮奇形 1 (6) 0 1 (2) 0 1 (8) その他 0 1 (3) 2 (4) 1 (3) 0 原因不明 6 (35) 12 (37) 19 (36) 11 (29) 3 (23) 月経困難症および慢性骨盤痛を有する 10 代女性の子宮内膜症罹患率は 40% を超える Laufer MR, et al. J Pediatr Adolesc Gynecol, 1997

器質性月経困難症の診断 子宮筋腫 子宮腺筋症子宮内膜症子宮奇形 問診 ~ 過多月経による貧血 月経痛 不妊 圧迫症状 ( 腰痛 便秘 頻尿 ) を聴取する 内診 ~ 感染や炎症による圧痛 子宮周囲組織との癒着による可動性制限をみる 超音波検査 MRI~チョコレート嚢胞の診断や 筋腫と腺筋症に鑑別に優れる 子宮内膜症 卵巣腫瘍 子宮奇形の診断だけでなく 治療効果の評価に優れる 子宮鏡 ~ 粘膜下筋腫 子宮内膜ポリープなど子宮腔内病変の評価によい 血清マーカー ~CA125は特異的ではないが スクリーニングとして有用 LDHは子宮肉腫の否定に有用である 腹腔鏡検査 ~ 確定診断や 病巣除去 癒着剥離も施行できるが 最も侵襲が高い

月経困難症のある若年女性の 70% が子宮内膜症を有する Janssen EB et.al: Hum Reprod Update 2013 子宮内膜症 なし 30% 子宮内膜症 あり 70% n=146 対象 : PUBMED および EMBASE のデータベースで 子宮内膜症 腹腔鏡 若年者 慢性骨盤痛 のキーワードで検索し,15 試験の中から抽出した月経困難症を有する若年女性 146 名 方法 : 腹腔鏡検査を行い, 内膜症病変の有無を確認して罹患率を算出した.

若年女性における子宮内膜症病変 症例数 平均年齢 赤色病変を 有する患者 若年患者 36 16.6±1.4 86% 子宮摘出術患者 8 37.4±3.4 20% Davis GD et al. J Adolesc Health, 1993 Wright KN et al. Fertil Steril, 2010 思春期女性 (18 歳 ) で最初のケースレポート卵巣チョコレート嚢胞は思春期女性では少ない 35cm 径の腫瘤

子宮内膜症のリスク因子 リスク因子 胎生期 新生児期 低出生体重 思春期 性成熟期 低初経年齢低 BMI ミュラー管奇形 月経周期の短縮低 BMI Shafrir AL, et al. Best Prct Res Clin Obstet Gynaecol, 2018 McLeod BS, et al. Clin Obstet Gynecol, 2010

若年者の子宮内膜症 新生児期の月経血 ( 母体からの卵巣ホルモン消退による子宮出血 ) の経卵管的 逆流が潜在的な子宮内膜症病変を骨盤内に形成し 初経とともに上昇する卵巣ホル モンの刺激により 若年期にが発症するという説 若年期における早期診断が重要であり 発症リスクの高い女性には LEP などによる 薬物治療を勧める 非侵襲的な診断技術による早期診断が難しい

月経前症候群 (PMS) の診断基準 (ACOG, 2005) 1. 過去 3か月以上連続して 月経前 5 日間に 以下の症状のうち少なくとも 1つ以上が存在する 身体的症状乳房痛 腹部膨満感 頭痛 手足のむくみ情緒的症状抑うつ 怒りの爆発 苛立ち 不安 混乱 引きこもり 2. 月経開始後 4 日以内に症状が解消し 13 日目まで再発しない 3. 症状が薬物療法やアルコール使用によるものでない 4. 診療開始後も 3 か月間にわたり症状が起きたことが確認できる 5. 社会的または経済的能力に 明確な障害が認められる

PMS と鑑別すべき疾患 月経周辺期に症状が増悪する疾患 1. 月経困難症 ( 機能性 器質性 ) 2. うつ病 不安障害 3. 片頭痛 ( 悪心 嘔吐や自律神経症状を伴い 鑑別が難しい ) 4. 過敏性腸症候群 5. 慢性疲労症候群 6. てんかん 痙攣 7. アトピー性皮膚炎 気管支喘息 PMS と類似症状を呈する疾患 1. 甲状腺機能異常症 2. 貧血 3. 閉経期の低エストロゲン状態

月経関連片頭痛 片頭痛の発生には 月経が最大のトリガーとなる NSAIDs が無効であることも多い PMS と関連して 月経片頭痛 (menstrual migrane: MM) に注意する 月経開始 2 日前から月経 3 日目にかけて発作が生じる MM の治療が PMS の管理に有用である可能性が示されている

PMS の原因 原因は不明であるが プロゲステロン血中濃度の黄体期中期から後期に低下することが主要な病因として有力視されている プロゲステロンは神経興奮抑制作用を有する プロゲステロンの急速な低下が γ ーアミノ酪酸 (GABA) 神経伝達を抑制させて 神経興奮をきたす 脳内セロトニン分泌低下もGABA 神経伝達に関わる プロゲステロン 5α- ジヒドロプロゲステロンアロプレグナノロン 神経興奮の抑制 GABA 受容体 GABA 作動性の神経抑制

治療

PMS の治療 カウンセリング症状日記による認知療法 ( 疾患の理解と 頻度や発症時期 重症度を認識させる ) 対話による支持療法 ( 家族や第三者 ) 生活指導 休息 有酸素運動 カフェイン 塩分 アルコール摂取制限 禁煙 仕事量の制限 薬物療法軽症 ~ 精神安定剤 鎮痛剤 (NSAIDs) 漢方薬 利尿剤などを使用する 中等症以上 ~ 欧米では選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI) が第一選択であるが 効果は限定的である LEPも有効であるが 精神症状には有効でないことが多い 重症例ではGnRHアゴニストの適応も考慮する

PMS 治療における問題点 PMS/PMDD に対する治療法は確立されていない SSRI 服用者の 70% が 8 か月以内の再発を認めた 副作用のため 10% が服用を中断した報告がある 慢性期の患者ではうつ状態が遷延している場合もあり 精神科医 との協力体制が重要である SSRI などの向精神薬を用いる場合 には精神科医による管理が望ましい

月経困難症の治療 月経困難症 機能性月経困難症 器質性月経困難症 子宮内膜症子宮腺筋症子宮筋腫 PID 子宮 腟の形成不全 奇形 疼痛コントロール NSAIDs LEP LNG-IUS ジドロゲステロン漢方薬抗コリン薬非薬物療法 疼痛コントロール + 原疾患の治療 NSAIDs LEP LNG-IUS ジドロゲステロン DNG GnRH アゴニスト手術療法

機能性月経困難症の治療 薬物療法 NSAIDs~ 子宮内膜由来の COX-2 産生を抑制して PG 産生を阻害する LEP 漢方薬 ~ なるべく早期に服用する ~ 排卵と子宮内膜肥厚が抑制されることにより 経血の減少と PGs 産生 の抑制が期待できる 当帰芍薬散 桂枝茯苓丸 加味逍遙散 温経湯など 副作用が 少ない 抗コリン薬 ~ 平滑筋弛緩作用を有する 黄体ホルモン ~ LNG-IUS~ 黄体ホルモン ( レボノルゲストレル ) が子宮内腔で 局所的に作用する 子宮内膜が脱落膜化 菲薄化し 経血が減少する 初交前では適応とならない 生活指導ストレッチなどの運動 低脂肪食 Vit.Eを含むサプリメント (Vit.E) アルコール摂取制限 禁煙

機能性月経困難症と子宮内膜症リスク Treloar, SA et.al: Am J Obstet Gynecol, 2010 月経困難症 内膜症患者 対照 OR ない/ほとんどない 30 % 48 % 1.0 ときどき 16 % 17 % 1.7 しばしば 54 % 35 % 2.6 (p=0.03) 将来の子宮内膜症発症 進行を予防するために 若年期から長期的な LEP や黄体ホルモン療法が望まれる 長期使用による妊孕性低下を示す報告はない 本人だけでなく 保護者にホルモン療法の安全性と必要性を理解させる

子宮内膜症と月経困難症

Page 28 東京大甲賀かをり先生より

子宮内膜症のライフステージ別治療法の選択 月経困難症 初経結婚拳児希望出産閉経 鎮痛剤 漢方薬 LEP LNG-IUS ジエノゲスト GnRHa LEP LNG-IUS ジエノゲスト GnRHa ジドロゲステロン 手術 手術 不妊治療 手術 聖路加国際病院百枝幹雄先生より

LEP/OC

LEP によるチョコレート嚢胞縮小効果 体積 (cm 3 ) 60 40 * : p<0.002 ** : p<0.001 (vs. 投与前 ) 数値は中央値 20 16.5 10.6 * 6.7 ** 投与前 3 周期後 6 周期後 20 歳から 45 歳までの月経困難症患者で 卵巣チョコレート嚢胞を 有する患者を対象として YAZ を 6 周期内服した. Taniguchi F et.al: EJOGRB, 2015

LEP による疼痛抑制効果 VAS 100 (mm) 80 68 60 * : p<0.001 (vs. 投与前 ) 数値は中央値 40 20 0 27 * 10 * 10 * 投与前 1 周期後 3 周期後 6 周期後 Taniguchi F et.al: EJOGRB, 2015

器質性月経困難症の LEP 治療 機能性月経困難症子宮内膜症子宮筋腫子宮腺筋症 Momoeda M et.al: Int J Womens Health, 2014 LEP は機能性月経困難症と 子宮内膜症 子宮筋腫 子宮腺筋症 による器質性月経困難症の月経痛を長期的に軽減する

子宮内膜症に伴う疼痛改善 LEP 連続投与の評価 月経月経月経 ベースライン観察期 比較試験期 (24 週間 ) 長期継続投与期 (28 週間 ) EE/DRSP 連続投与 プラセボ EE/DRSP 連続投与 ジエノゲスト 国内第 Ⅲ 相臨床試験

子宮内膜症に伴う疼痛改善骨盤痛の VAS 値の変化 (24 週 ) LEP 連続投与の評価 投与群 ベースライン 17~24 週変化量 P 値 EE/DRSP 連続投与群 77.2±16.5 40.5 ± 25.1-36.6 ± 23.9 <0.0001 プラセボ群 77.7±15.6 66.4 ± 21.8-10.7 ± 18.0 ジエノゲスト群 76.3±16.5 25.9 ± 23.5-50.0 ± 25.0 国内第 Ⅲ 相臨床試験

子宮内膜症の疼痛治療 ( 鳥取大学 ) 疼痛 薬物療法 NSAIDs LEP ジエノゲスト GnRHa LNG-IUS 卵巣チョコレート嚢胞 疼痛が強い不妊で自然妊娠を望む 40 歳以上嚢胞径が6-7 cm 以上画像診断の異常など 軽快 再発 軽快 腹腔鏡下手術 再発 術後薬物療法 薬物療法 LEP ジエノゲスト GnRHa LNG-IUS 根治手術

問題点と課題 月経困難症に悩む女性が 医療機関を受診する割合が低い 女性の社会的活動において 月経困難症はハンディキャップとなる 多忙な労働環境や疾患への認識の欠如のために 医療機関の受診が疎かになって診断が遅れる 晩婚化 晩産化により 子宮内膜症の発症リスクが高くなり 妊孕性がさらに低下する