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COSO レポートの概要等について 内部統制フレームワーク と 全社的リスクマネジメント 金融庁検査局専門検査官 ( 公認会計士 ) 窪寺信

目次 Ⅰ 内部統制フレームワーク (COSOⅠ) 公表の経緯 1 Ⅱ 内部統制フレームワーク (COSOⅠ) の影響 2 Ⅲ 内部統制フレームワーク (COSOⅠ) の概要 3 Ⅳ 内部統制フレームワーク (COSOⅠ) と 金融検査マニュアル 4 Ⅴ 全社的リスクマネジメント (COSOⅡ) の概要 6

Ⅰ 内部統制フレームワーク (COSOⅠ) 公表の経緯 米国 1985 年 1987 年 1992 年 1994 年 トレッドウェイ委員会発足 報告書公表 不正な財務報告 不正な財務報告の頻発を背景に 対応策検討の必要性 委員会の支援 トレッドウェイ委員会支援組織委員会 (COSO) 発足 会計プロフェッションや S EC 等への勧告 内部統制に係る課題積み残し 支援 5 団体協力の下 C OSO において 内部統制の概念や評価基準等に関する共通のフレームワークの策定に着手 報告書公表 要約 フレームワーク 外部関係者への報告 評価ツール 報告書公表 外部関係者への報告 への追保 支援団体アメリカ公認会計士協会アメリカ会計学会財務担当経営者協会内部監査人協会これらを総称したものがいわゆる全米会計人協会 COSOの内部統制フレームワーク ( 現管理会計士協会 ) COSOの内部統制報告書 などの呼称で呼ばれるもの 注以下 内部統制フレームワーク という トレッドウェイ委員会 :Treadway Commission トレッドウェイ委員会支援組織委員会 :Committee of Sponsoring Organizations of Treadway Commision 1

Ⅱ 内部統制フレームワーク (COSOⅠ) の影響 1991 年 1992-1994 年 1995 年 1997 年 1998 年 1999 年 2001 年 2002 年 2005 年 ( 米国 ) 1991 年連銀行等邦預金保険公社法 財務報告に係る内部統制の評価 報告と外部監査人による検証の義務化 S&L 破綻 影響 内部統制フレームワーク (COSOⅠ) 監査基準 財務諸表監 ( 米国 ) 査における公開企業等内部統制の評価において 内部統制フレームワーク に基づく評価を導入 内部統制フレームワーク が 内部統制のほぼ標準的なツールに バーゼル銀行監督委員会 アジア経済危機 銀行組織における内部管理体制のフレームワーク 預金等受 ( 日本 ) 入金融機関銀行等に係る検査マニュアル ( 注 1) ベストプラクティスとして金融機関が導入する場合の指針 ( 義務ではない ) 日本公認会計士協会公表 ( 注 2) 財務諸表監査において監査人が遵守する基準 指針 ( 注 3) 財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者による評価の基準と公認会計士等による検証の基準 エンロン事件等 企業改革法 404 条 財務報告に係る内部統制の評価 報告と外部監査人による検証の義務化 金融機関の内部管理体制に対する外部監査に関する実 監査基務指針 ( 注準 統制 1) リスクの評価 ( 注 2) 財務諸表監査における内部統制の ( 日本 ) 評価に 公開企業等 内部統制フレームワーク の概念を導入 全社的リスクマネジメント (COSOⅡ) 企業会計審議会において 財務報告に係る内部統制の評価 検証基準 ( 注 3) を検討中 2

Ⅲ 内部統制フレームワーク (COSOⅠ) の概要 1. 特徴 策定の背景には 会計に関する内部統制の問題があるが それだけでなく事業活動全般にわたる広範な概念 有効な内部統制の構築に資するという目的から その策定及び運用に第一義的な責任を負う経営者の観点に立脚 内部統制を 統制目的を達成するためのプロセスと位置付け 内部統制の有効性は 統制目的に関する合理的な保証を得られるかどうかによって判断されるものとした 経営者による 内部統制の有効性の評価に関する報告等の方法を示した 2. 内部統制の定義 内部統制とは 1 業務の有効性と効率性 2 財務報告の信頼性 3 関連法規の遵守の範疇に分けられる目的の達成に関して合理的な保証を提供することを意図した 事業体の取締役会 経営者およびその他の構成員によって遂行されるプロセスとして定義される また 内部統制は 以下の五つの 相互に関連のある要素 すなわち 1 統制環境 ( 事業体に属する人々の誠実性 倫理的価値観 能力 経営者の哲学 行動様式など ) 2 リスクの評価 ( 目的の達成に関するリスクを識別 分析すること ) 3 統制活動 ( 経営者の命令が実行されているとの保証を与えるのに役立つ方針と手続 ) 4 情報と伝達 5 監視活動によって構成されている 3. 目的と構成要素の関係目的 構成要素 出所 : 鳥羽至英八田進二高田敏文共訳 内部統制の統合的枠組み - 理論篇 - 白桃書房 1996 年 27 頁 3

Ⅳ 内部統制フレームワーク (COSOⅠ) と 金融検査マニュアル -1 内部統制の 3 目的 法規の遵守 財務報告 ( 注 ) 業務 リスク管理 共通点 法令等遵守 信用リスク 市場関連リスク 流動性リスク 事務リスク システムリスク 金融検査マニュアル 統制環境等内部統制の 5 構成要素 ( 注 ) 金融機関の内部管理体制に対する外部監査に関する実務指針 ( 平成 13 年 7 月 16 日日本公認会計士協会 ) を参考に作成 本実務指針は バーゼル銀行銀行監督委員会 銀行組織における内部管理体制のフレームワーク を参照しており 本実務指針においては 上図における 目的 うち 財務報告 が 財務 経営情報 となっている 金融検査マニュアルは リスクの種類別に記述されていることから 上記の内部統制の統制目的とは必ずしも一対一には対応していない 4

内部統制フレームワーク (COSOⅠ) 等と 金融検査マニュアル -2 内部統制フレームワーク 統制環境 リスク評価 Ⅰリスク管理に対する認識等 1. 取締役の認識及び取締役会等の役割 2. 管理者の認識及び役割 3. 企業風土の醸成 Ⅰリスク管理に対する認識等 1. 取締役の認識及び取締役会の役割 2. 管理者の認識及び役割 認識等 1. 取締役の認識及び取締役会の役割 2. 管理者の認識及び役割 Ⅰリスク管理に対する認識等 1. 取締役会等の認識及び役割 2. 管理者の認識及び役割 認識等 1. 取締役の認識及び取締役会等の役割 2. 管理者の認識及び役割 認識等 1. 取締役の認識及び取締役会等の役割 1. リスクの認識と評価 1. リスクの認識と評価 1. リスクの認識と評価 1. リスクの認識と評価 1. リスクの認識と評価 統制活動管理業務と職責の 2. 管理業務 2. 審査管理 2. 管理業務 2. 資金繰りリスク管 Ⅲ 事務リスク管理態勢 Ⅳ 企画 開発体制 3. 職責の分離 3. 与信管理 (1) 市場リスクの管理 1. 事務部門の役割 のあり方 4. 問題債権の管理 (2)ALM 管理 2. 営業店の役割 Ⅴ 体制の整備 5. 自己査定 (3) 特定取引関連 Ⅳ 事務取扱い等 Ⅵ 外部委託管理 6. 償却引当 3. 職責の分離 Ⅶ 防犯 防災 バック アップ 不正利用防止 情報 伝達情報とコミュニケー 4. 情報伝達 4. 情報伝達 3. 情報伝達 ション監視活動 バーゼルフレームワーク ( 注 ) 経営陣による監視と管理重視の企業風土 リスクの認識および評価 モニタリング業務と問題点の是正 監督当局による内部管理体制の評価 リスク管理共通編 Ⅱ 適切なリスク管理態勢の確立 Ⅲ 内部監査 Ⅳ 外部監査 Ⅱ 適切なリスク管理態勢の確立 ( 注 ) 銀行組織における内部管理体制のフレームワーク 信用リスク管理態勢市場関連リスク管理態流動性リスク管理態勢 Ⅰリスク管理に対する Ⅱ 適切なリスク管理態勢の確立 金融検査マニュアル Ⅱ 適切なリスク管理態勢の確立 4. 危機管理体制の確立 事務リスク管理態勢 Ⅰ リスク管理に対する システムリスク管理態 Ⅰ リスク管理に対する Ⅱ 適切なリスク管理態勢の確立 Ⅱ 監査及び問題点の Ⅲ 監査及び問題点の是正是正 1. 内部監査 1. 内部監査 2. 問題点の是正 3. 不祥事件等 2. 外部監査 5

Ⅴ 全社的リスクマネジメント (COSOⅡ) の概要 1. 策定経緯リスクマネジメントに係る認識の高まりを背景に 2004 年 COSOより "Enterprise Risk Management - Integrated Framework"( 全社的リスクマネジメントのフレームワーク ) が公表された 2. 特徴 リスクマネージメントの観点から内部統制フレームワークを包含するような形で整理されたフレームワーク 内部統制フレームワーク においては 戦略や企業目的の設定は内部統制の範疇ではないとして それらを所与として そこから生じるリスクの管理に焦点を当てていたのに対し 全社的リスクマネジメント は 戦略の設定においても適用される 即ち 企業は リスク選好度を含む企業の内部環境等に照らして 適切な戦略目標を策定し 企業のリスク許容度の範囲に収まるように リスクを全社的に統合的にコントロールし 事業目的を遂行できるようにする合理的保証を提供するものとなっている 財務報告に代え 非財務情報を含む 報告 が 構成要素となっている 3. 全社的リスクマネジメントの定義全社的リスクマネジメントとは 企業の取締役会 経営者 その他構成員によって影響を受けるプロセスであり 企業全体の戦略の設定において適用され 企業に影響を与える可能性のある潜在的事象を識別するようにデザインされ リスクをその許容範囲に収まるように管理し 事業目的の遂行に関する合理的保証を提供するものである 目的 4. 目的と構成要素 A B C D 構成要素 A: 戦略 B: 業務 C: 報告 D: 法規遵守 内部環境目的の設定事象の識別リスク評価リスク対応統制活動出所 : 情報 伝達監視活動 Enterprise Risk Management -Integrated Framework, The Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission September 2004"Executive Summary" p 7 6

5. 全社的リスクマネジメントの全体像 選択行為は 経営意思決定の範疇であり リスクマネジメントの対象外 事業体レベル戦略目標 事業活動レベル業務報告法令 戦略等の選択 内部環境 目的設定 ( 策定 ) リスクマネジメント観 リスク選好度 (Risk appetite) リスク風土 取締役会による監督 構成員の誠実性 倫理的価値及び能力 経営者の哲学と経営スタイル 経営者の権限と責任の割当方針及び構成員の組織化 能力開発の方針 再実施 業務 活動単位 潜在事象識別 戦略及び関連目的の実行に影響を及ぼす潜在事象識別 外部要因 内部要因の分析 機会とリスクの識別 リスクの影響度と発生可能性の測定 固有リスクと残存リスク ( 注 ) の評価 リスク評価 各事業単位ごとの評価を 相互影響関係を見極め 事業全体 回避 軽減 共有 受容 のポートフォリオとして評価 固有のリスクを分析し 残存リスク ( 注 ) を 受忍限度 (Risk リスク許容度 (Risk appetite) と比較 Tolerances ) に収まるように対応案を策定 評価 検討 リスク対応 各事業単位ごとの評価の相互影響関係を見極め 事業全体 経営者のリスクと対応と実行が確実に行われるようにする方針 のポートフォリオとしての残存リスクが 全体のリスク許容度 及び手続 に収まるように対応を決定 統制活動 承認 許可 検証 調整 業務達成状況のレビュー 資産保全職務分掌など 情報 伝達 監視活動 ( 注 ) 固有リスク : リスクの発生可能性や影響度に対して経営者が変更を加えるような 行為を全く行わないと仮定した場合のリスク残存リスク : 経営者がリスクに対応した後に残存するリスク 機会 リスク 7

参考文献 鳥羽至英八田進二高田敏文共訳 内部統制の統合的枠組み - 理論篇 - 白桃書房 1996 年 Enterprise Risk Management -Integrated Framework, The Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission September 2004 8