第 1 回繊維分野におけるエネルギー使用合理化技術開発補助金プロジェクト事後評価検討会資料 5-1 排水処理における余剰汚泥の減容技術開発の概要について 平成 21 年 11 月 19 日 経済産業省製造産業局繊維課 東海染工株式会社
目次 1 1. プロジェクトの概要 2. 目的 政策的位置付け 3. 目標 4. 成果 目標の達成度 5. 事業化 波及効果 6. 研究開発マネジメント 体制等
1. 事業の概要 2 概 要 余剰汚泥の発生量が多い染色排水に対して ゲル槽と汚泥減容槽とを組み合わせたシステム を用いて 汚泥減容効果を検証し エネルギーの低減 環境負荷の低減 最終処分量の削減を図るものである 実施期間 平成 18 年度 ~ 平成 20 年度 (3 年間 ) 予算総額 152.4 百万円 ( 平成 18 年度 :83.1 百万円 19 年度 :41.6 百万円 20 年度 :27.7 百万円 ) 実施者 東海染工株式会社 プロジェクト リーダー 東海染工株式会社塩川正人 ( 主任研究者 )
2. 事業の目的 政策的位置付け 2-1. 事業の目的 3 廃フ ラスチック 1.5% 金属屑 2.6% 木屑 1.4% ばいじん 4% カ ラス 陶器屑 1.2% 鉱さい 5.1% 建設資材 14.5% 廃酸 1.3% 他 3.1% 動物の糞尿 20.9% 合計 4 億 1849 万トン 汚泥 44.3% 産業廃棄物種別排出量 汚泥は 産業廃棄物の約半分を占めることから 排出量を削減することは 社会的にも経済的にも大きな意味を持つ そこで 排水処理の生物処理設備から排出される余剰汚泥に対して 微生物の自己酸化作用を利用して減容させるシステム を適用することにより 産業廃棄物を削減することで省エネを図ることを目的とする
2-2. 政策的位置付け 1 4 エネルギー基本計画 (2007 年 3 月閣議決定 ) 新 国家エネルギー戦略 (2006 年 5 月 ) 第 3 期科学技術基本計画 (2006 年 7 月財政 経済一体改革会議 ) 京都議定書目標達成計画 (2005 年 4 月閣議決定 ) において 推進すべき技術開発としてエネルギーに係る分野が示されている 本研究開発は これらに基づき 二酸化炭素 ( 温室効果ガス ) の排出削減による地球温暖化の抑制に貢献することを目的として 経済産業省において取りまとめた 省エネルギー研究開発プログラム に位置付けられる エネルギー使用合理化繊維関連次世代技術開発 のテーマの一つとして実施されたものである なお 平成 20 年 4 月に経済産業省の研究開発プログラムが再編され エネルギー使用合理化繊維関連次世代技術開発 は 現在 エネルギーイノベーションプログラム の 1-Ⅰ 総合エネルギー効率の向上 / 超燃焼システム技術 に位置付けられている
政策的位置付け 2 経済産業省 技術戦略マップ2009 ( ファイバー分野 ) 環境対策等 の項の 繊維製造関連の環境負荷の低減 排水処理装置 に位置付けられる 5
政策的位置付け 3 6 経済産業省 技術戦略マップ2009 (3R 分野技術 ) 重点課題 : 最終処分量削減 対象物質 : 汚泥 大分類 : 発生抑制技術 ( リデュ-ス ) 小分類 : 発生削減 詳細技術 : 汚泥発生抑制水処理技術 技術番号 :3R1015
政策的位置付け 4 7 経済産業省 省エネルギー技術戦略 2009 超燃焼システム技術の技術戦略マップ の重要技術で 常温に近い条件を使う 方法 生物機能を利用した省エネ型循環産業の構築に資することを目的とした技術 に相当する
3. 目標 3-1. 全体目標 余剰汚泥の発生量の多い染色排水において ゲルを用いた汚泥減容システムの適用性を検証する 具体的には 実設備における余剰汚泥の減容と処理水質の改善 ( 固液分離性の向上 ) を目標とする 研究開発項目目標 指標設定理由 根拠等 実設備における余剰汚泥の減容 実設備における処理水質の改善 ( 固液分離性の向上 ) 実設備における余剰汚泥の減容目標値 =BOD 汚泥転換率 1% 以下 実設備の処理水の B OD SS 濃度とも 20mg/L 以下を目指す 汚泥は BOD 成分をエサとして増殖し 余剰汚泥となる 本研究開発によるシステムは 余剰汚泥を減容させることが目的であり その度合いを BOD 汚泥転換率で評価することとする 従来の活性汚泥法では BOD 汚泥転換率が 40~50% であるため それを限りなくゼロ近づけることを目標とした 放流規制値は BOD 平均濃度 30( 最大 40)mg/L 以下 SS 平均濃度 30( 最大 40)mg/L 以下であり BOD SS 濃度ともに東海染工株式会社内基準である 20 mg/l 以下を目標とした
3-2. 個別要素技術の目標 9 余剰汚泥の発生量の多い染色排水において ゲルを用いた汚泥減容システムの適用性を検証する 具体的には 実設備における余剰汚泥の減容と処理水質の改善 ( 固液分離性の向上 ) を目標とする 要素技術目標 指標設定理由 根拠等 パイロットスケールによる汚泥減容の検証 東海染工の実設備へ導入した後のゲル槽性能 運転管理技術の確立 BOD 汚泥転換率 :1% 以下 処理水 BOD/SS 濃度 :20mg/L 以下 ゲル槽の BOD 除去率 :95% 以上 実設備でのゲル槽での BOD 除去率 :95% 以上 汚泥の特別な管理が不要で薬品の連続的注入 調整を不要とする容易な運転条件の確立を目指す 従来の活性汚泥法では BOD 汚泥転換率 40~50% であり それをゼロに近づける 実設備の放流規制値をクリアする ゲル槽の後段の汚泥減容槽への負荷を低減させるために設定した 余剰汚泥減容が出来 放流水質もクリアする状態で 難しい技術や知識を必要としない容易な運転管理が必要である
実証設備の概念 10 活性汚泥法 ( 従来法 ) 工場排水 活性汚泥槽 沈殿槽 処理水 返送汚泥 余剰汚泥 活性汚泥槽 : 細菌を餌にしている原生動物や後生動物と BOD 成分を分解する細菌等で構成された汚泥により BOD 成分を処理する槽 槽内に汚泥を維持させるため沈殿槽から一部汚泥を返送する [BOD 容積負荷 ( 標準 ):0.45 kg/m 3 日 ] BOD 汚泥転換率 :40~50% 汚泥減容システム 工場排水 余剰汚泥 処理水 ゲル槽 汚泥減容槽 固液分離装置 ゲル槽 : ゲルとは BOD 成分を分解するのに必要な細菌類を高濃度に保持できる微生物固定化担体のこと 細菌類を高濃度に保持できるため 曝気槽に対して 10% の充填で高負荷運転が可能となる [BOD 容積負荷 ( 実績 ) : 平均 2.5 kg/m 3 日 最大 5.0 kg/m 3 日 ] 汚泥減容槽 : 低汚泥負荷で運転し 微生物を自己酸化させ 汚泥の増殖を抑制する BOD 汚泥転換率 :1%
微生物固定化担体 クラゲール ( ゲル ) 11 クラゲール 菌付着 1 ヶ月後 馴養 素材ポリビニルアルコール (PVA) 直径 4mm の球状比重 1.025 微細孔の網目構造 電子顕微鏡写真 微生物 ( 細菌 ) が表面から内部増殖し 約 10 億個 / ケ ル固定化
4. 成果 目標の達成度 4-1. 全体成果 実設備では 導入前の BOD 汚泥転換率 24% から 10% まで減容できたが 目標の 1% 以下には到達できなかった 処理水質は システム導入前に比べて改善されたが 常時目標値は維持できなかった 従って 今後も継続して検討する 目標 指標成果達成度 実設備の BOD 汚泥転換率 1% 以下を目指す 実設備の処理水質の BOD SS 濃度とも 20mg/L 以下を目指す システム導入前の BOD 汚泥転換率 24% から 導入後は約 10% まで減容でき 汚泥処分に要する燃料等のエネルギー及び汚泥処分費は 2/5 まで下げることが出来た しかし目標の 1% 以下には到達できなかったため継続して汚泥減容対策を検討していく BOD は平均 13mg/L で放流目標値の 20mg/L 以下を達成 SS 濃度は システム導入前に比べて平均 20mg/L と改善されているが 一部 2 0mg/L を越えることがあり 常時推移には至っていない 一部達成 一部達成
BOD 濃度 [mg/l] 処理水の BOD 成分濃度グラフ 70 60 50 40 30 20 10 0 ゲル槽導入直後 処理水 ゲル槽導入前ゲル槽導入後 ( 処理能力安定後 ) H18.5.31 H18.9.8 H18.10.26 H19.1.18 H19.3.8 H19.5.10 H19.6.14 H19.7.26 H19.9.6 H19.10.11 H19.11.22 H20.1.10 H20.2.21 H20.3.27 H20.4.23 H20.6.12 H20.7.30 H20.9.18 H20.10.30 H20.12.11
処理水の SS 濃度グラフ SS 濃度 [mg/l] 処理水 60 ゲル槽導入直後 ゲル槽導入前ゲル槽導入後 ( 処理能力安定後 ) 50 40 30 20 10 0 H18.5.31 H18.9.8 H18.10.26 H19.1.18 H19.3.8 H19.5.10 H19.6.14 H19.7.26 H19.9.6 H19.10.11 H19.11.22 H20.1.10 H20.2.21 H20.3.27 H20.4.23 H20.6.12 H20.7.30 H20.9.18 H20.10.30 H20.12.11 H21.1.22
4-2. 個別要素技術成果 15 パイロットスケールでは 目標を達成した 実設備では 導入前の BOD 汚泥転換率 24% から 10% まで減容できたが 目標の 1% 以下には到達できなかった 従って 今後も継続して検討する 要素技術目標 指標成果達成度 パイロットスケールによる汚泥減容の検証 BOD 汚泥転換率 :1% 以下 処理水 BOD/SS 濃度 : 20 mg/l 以下 ゲル槽のBOD 除去率 : 95% 以上 約 4 ヶ月間余剰汚泥を引抜かずに運転出来 BOD 汚泥転換率は 0% であった 処理水 BOD SS 濃度は平均約 10mg/L で 20mg/L 以下を達成した ゲル槽 BOD 除去率は 平均 95% 以上で 目標を達成した 達成
パイロットプラント BOD 処理状況 BOD(mg/L) 16 BOD 処理状況 650 原水 600 ゲル槽 550 処理水 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 3/9 4/28 6/17 8/6 9/25 11/14
パイロットプラント SS 濃度の推移 MLSS(mg/L) 17 処理水 SS 1000 900 800 ゲル槽沈殿槽処理水 処理水 700 600 500 400 300 200 100 0 7/27 8/6 8/16 8/26 9/5 9/15 9/25 10/5 10/15 10/25 11/4
パイロットプラント汚泥減容槽での汚泥減容状況の推移 汚泥量 ( 18 60 汚泥量推移 流入汚泥量積算値 全汚泥量 50 40 汚泥減容分 30 20 10 0 7/17 8/6 8/26 9/15 10/5 10/25 11/14 日付
19 要素技術目標 指標成果達成度 ゲル槽での BOD 除去率は 80 ~90% で 目標を常時達成することは出来なかった 東海染工の実設備へ導入した後のゲル槽性能 実設備でのゲル槽での BOD 除去率 :95% 以上 そこで ゲル槽の安定化運転を図るために 高濃度排水と低濃度排水を分流させたところ 効果が見られたので 引き続き確認していく 一部 達成 運転管理技術の確立 汚泥の特別な管理が不要で薬品の連続的注入 調整を不要とする容易な運転条件の確立を目指す パイロットでは汚泥の管理は不要となったが 実設備では原水の流入負荷変動の影響により BOD 汚泥転換率は 10% に留り 完全な汚泥減容のシステムとして運転することが出来なかった 未達成
実設備でのゲル槽の BOD 処理性 BOD(mg/L) BOD 除去率 (%) 20 500 ゲル槽における担体槽におけるBOD BOD 処理性 原水ゲル槽処理水除去率 100 95% 400 80 300 60 200 40 100 20 0 0 4/28 8/6 11/14 2/22 6/1 9/9 12/18 3/28 7/6 2007 年 2008 年日付 2009 年
5. 事業化 波及効果 21 生物処理槽から排出され 産業廃棄物となっている余剰汚泥は約 1,900 万トン / 年と推定され 予想されるマーケットはおよそ 2 兆円とされる 本研究開発で実証した汚泥減容システムは 汚泥発生量低減による汚泥処分エネルギーの削減 ( 汚泥の脱水 運搬 焼却 埋立などの省エネ ) や 最終処分場の確保が困難という観点からは 活性汚泥法で対応している排水処理設備の全てに波及効果が期待される 狭義的には 多量の余剰汚泥発生に苦慮している当染色業界に対しての波及効果であるが とりわけ多量の余剰汚泥を排出している公共下水場に展開できれば省エネ効果も大きい しかし 汚泥減容効果がまだ目標に達成できていないため検討を継続する 今後の検討課題 1 汚泥減容効果の確認 2 省エネ効果の明確化汚泥引抜き量低減による汚泥処分費 ( 電力費 ) の削減効果を明確にする 3 運転管理技術の確立汚泥管理を殆ど必要としない運転技術を確立する
22 今後の検討課題と売上見通し 2006 本研究終了 2008 2010 2020 2030 波及効果 汚泥減容効果の確認 省エネ効果明確化 運転管理技術の確立 事業化 本研究 技術確立完了 2011~2020 目標装置販売費 10,000 百万円目標数 85 設備 2021~2030 汚泥処分エネルギーの削減 ( 汚泥の脱水 運搬 焼却 埋立等 ) 汚泥運搬量も減り 車両減による CO2 の排出抑制に貢献 微生物を飢餓状態にするため難分解性 COD も分解できる可能性があり 環境負荷低減に寄与できる 装置販売費 20,000 百万円目標数 170 設備
6. 研究開発マネジメント 体制等 6-1. 研究開発計画 23 平成 18 年度本研究開発を遂行する上で ベースとなる技術を確認するため 1/3000 スケールのパイロットプラントを製作し 実証実験を行った その結果を基に実機の改造設計を行い 一部の改造工事に着手した ( 資金 :83.1 百万円 ) 平成 19 年度実設備の改造工事を実施し 7 月より確認作業に入った ( 資金 :41.6 百万円 ) 平成 20 年度目標に到達するための検討を行い 実設備に対し追加改造工事を実施し 検証作業を行った ( 資金 :27.7 百万円 ) ( 資金合計 :152.4 百万円 うち補助金 99.8 百万円 )
6-2. 体制 24 東海染工 染色加工事業部 経理担当管理部長 主任研究者塩川 クラレ ( 協力企業 ) 浜松事業所工場長実施場所責任者 榛葉実験担当 荻窪実験担当 佐野実験担当
6-3. 費用対効果 放流水質を規制値以下に維持し 余剰汚泥の発生を抑えることができ 排水処理における使用電力量の削減 運搬車両が使用するガソリンの削減等 省エネルギーに寄与する また 最終処分場の問題解決にも寄与する 25 原油節約量の予測 1 脱水機の運転エネルギー 72 千 Kwh/ 年 施設 (2003 年度東海染工 浜松事業所実績 ) 原油換算 18KL/ 年 施設 (2.54KL- 原油 /10.000Kwh) 2 処分 ( 運搬 焼却 埋立 ) に要するエネルギー余剰汚泥の処分費の 1/3 を処分に要するエネルギー費と推定する 余剰汚泥の処分費は 35,000 円 / トンとする 余剰発生量を 1,120 トン / 年 施設とすると 原油換算 401KL/ 年 施設 1+2=419KL/ 年 施設のエネルギー削減となる 金額換算では 14,072 千円 / 年 施設 (15 円 /Kwh) (C 重油単価 =35 千円 /KL 原油換算値 =1.08KL 原油 /KL C 重油 )