資料3 国連 持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム HLPF サイドイベント アジア太平洋地域の持続可能な都市づくり 日時 2018年7月17日 場所 国連本部 ニューヨーク 主催 日本国政府 内閣府 外務省 環境省 国連大学サステイナビリ ティ高等研究所 UNU-IAS 国連アジア太平洋経済社会委員会 UNESCAP 地球環境戦略研究機関 IGES 慶應大学SFC SDGs11 都市 にフォーカス 日本からは環境省 北九州市長 また国連 人間居住計画 UN-HABITAT 都市 自治体連合アジア太平洋支部 UCLG-ASPAC 等も登壇 基調講演で蟹江憲史氏よりUNU-IAS及びUNESCAPが共同で作成した SDGs実施のためのマルチ ステークホルダー パートナーシップのためのガイドライ ン を紹介 サイドイベントにおけるパネルディスカッション SDGs達成に向けて アジア太平洋の都市-自治体における役割が益々重要 地域全体での協力を推進するため持続的で具体的な対策が必要 蟹江憲史 慶應義塾大学教授 UNU-IASシニアリサーチフェロー 1
全体として SDGs 推進のための事例が分散的に創出されつつある そのための 相互学習 の場として HLPF( 特にサイドイベント ) が活用されつつあるという印象 Business forum, local action など パートナーシップ関係のネットワーク化が進行しつつある 全般的に 次に来るのは指標 計測という考えがおおむね共有 自治体フォーラムでも Voluntary Local Review の可能性が議論 自主的にネットワークでどんどんやる うまく主流となっていくことを狙う ということが色々起こり始めている 自治体 : ローカルと国とのパートナーシップの重要性が様々な形で強調 また データの重要性が強調 選択的指標の考え方には多くが賛同 2
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企業におけるSDGS対応のあり方 1. 企業活動とSDGsとの紐付け 社会と企業との関連の明確化 持続可能性に関する貢献 グローバルな貢献は思った以上に多い 途上国等の開発計画との紐付け 社内認知度向上 2. 目標達成へのポジティブな活動 ネガティブな活動の明確化 ネガティブなインパクトを減らすための戦略 仕組み 技術の検討へ 目標検討 進捗計測指標検討 SDGsは目標へ向けた改善を重視 大事な のは目標にどれだけ近づいたか 必ずしも現状がどうかということではない 3. SDGsリーディングカンパニーとしてのブランディング 宣伝効果 2017年日本政府がレビュー報告 2019年は国連での首脳級レビュー 4. 中長期経営計画への反映 SDGs課題の解決が中長期的に社会的要求の高い課題 5. 指標の設定 社内 業界 世界的認証 標準化制度構築 表彰や優良事例 トップランナー制度による誘導 4
SDGターゲット12.6 企業報告書 の実施 方法 Fortune Global 500の上位 100社のCSR報告書を利用して ど のようにSDGsが記載されているか その方法を分類 SDGsの記載の有無について 100件のうち 48件が自社のCSR 報告書にSDGsに関する記載あり 46件は 記載なし 6件は 報告書入手不可能 48件に関する分析 一般的記述 自社の活動はSDGsに貢献する と 記載するが それ以上の情報はない マッピング① 目標番号のみ SDG3と11に貢献 と記載するが どの程度人々の健康の増進に貢献する かという情報はない SDGsにより 新たな行動の変容は生じていない マッピング② 目標番号と詳細情報 マッピング①よりも情報は追加される が 新たな行動の変化はない 貢献番 号は 17のうち 2 7個 マッピング③ 17目標で整理 整理参照のため 例 Deutsche Telekom 短期ターゲットや進捗を記載 例 Samsung マッピング④ マテリアリティ分析 重要課題分野に関するSDGsで整理 5
CSR での マッピング と見える化 6
例 : マッピング 2: 番号と詳細情報 例 : マッピング 3:17 目標で整理 BP Royal Dutch Shell 例 : マッピング 4: マテリアリティ分析 Legal & General Nestlé Samsung 7
CSR報告書におけるSDGs記載の特徴 1. マッピング活動をすることが目的となっている マッピングは重要課題の設定や実施計画の策定に役立てるもの 2. どのような活動を行えばSDGsに貢献しているとみなされるか 曖昧 自社の短期目標と指標を立てずに 根拠なくSDGsへの貢献を評価する企業が ほとんど 指標や時系列のデータが不可欠 3. ターゲットレベルの内容ではなく ゴールレベルの内容が利用されている ゴールレベルでは 取り残された人々 の視点や相互関連性の視点を見落としや すい ターゲットレベルで分析したものは1件 Allianz 4. 統合的アプローチを使う企業は極めて少ない Allianz Daimler マテリアリティ分析を行っていても 相乗効果を考察したと理解できる具体的活動 事例は提示されていない 負の影響を分析したのは1件 Samsung 5. CSR活動を実施していても SDGsとの関連性が記されていない CSR活動の内容をSDGsの活動を別物と理解している傾向がある CSR分野では環境分野に関係するものが多いが 統合的アプローチを考えると 社会 経済の視点も必要 8
住友林業 2018年現在の段階では SDGsへ対応中とのことである Goal 3, 5, 7, 8, 11, 12, 13, 15 保続林業という考えが従来からあり サスティナビリティには 取り組んできた 地方創生 低炭素社会 バイオマス 持続可能な森林経営等 ジェンダーでも 雇用 管理職に ついての状況と取り組みを公表 数値あり 重要課題について整理を行ない 現状の課題認識及び基本戦略を同時に特定し 公表 主要な活動について SDGsと紐付けを行なっている これまで通り 独自の目標を設定し 公表 SDGsに紐付けしている 基本的考え方 アプローチについても公表 独自の評価指標に基づいて 達成を評価し 公表 対照表あり 9
重要課題 1 CSR 重要課題と CSR 中期計画 CSR 経営 重要課題 1 CSR 重要課題と CSR 中期計画 CSR 経営 現状の課題認識および基本戦略 評価指標 2 0 1 6 年度 標 2 0 1 6 年度成果 評価 2 0 1 7 年度 標 2 0 2 0 年度 標数値 基本的な考え 世界の森林 積は 違法伐採や過度な焼畑農業などによって減少し続けており 各国で違法伐採 材を市場から排除する法令の導 や規制の強化が進められています 本の森林 特に 林は 林業従事者の減少や 齢化などにより整備が進まず 部では荒廃が懸念されています こうした中 住友林業グループでは を軸に事業を展開しており 国内外において持続可能な森林経営や 材調達を推進しています また 物多様性を育む森林を直接的な事業フィールドとしているため 当社グループでは 物多様性保全を CSR 重要テーマのひとつとして位置付けています CSR 中期計画の進捗と SD Gs 環境共 社会 現状の課題認識および基本戦略 持続可能な 材の取扱い増加と合法性確認を通じた持続的な森林資源の活 評価指標 輸 材における森林認証材販売 率 国産材原 の輸出量 植林 森林認証材 国産材 ( 本 ) の取扱量 ( 海外流通拠点の取扱材 ) 2 0 1 6 年 標 9% 2 0 1 6 年 成果 158 千 m³ 70 千 m³ 評価 2 0 1 7 年 標 2 0 2 0 年 標数値 10.9% 11.0% 12% 100 千 m ³ 200 千 m³ 781 千 m ³ 812 千 m ³ 964 千 m ³ 783 千 m³ 物多様性の保全と両 する 林経営の確 と 然資本としての価値評価 新築 建注 住宅における国産材使 率 ( 住宅事業 ) マルチバランス構法 ビッグフレーム構法 合法性を確認した直輸 材 材製品の取扱いのための 材製品仕 先の審査実施率 ( 材 製品調達部 ) 新規取得等による経営管理 林の SG EC 森林管理認証カバー率 新築 建住宅における 種植栽本数 達成度評価について 標達成 : 標 70% 以上 : 標 70% 未満 : 72% 71% 72% 75% 51% 50% 51% 55% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 40,000 本 30,614 本 35,000 本 210,000 本 /6 年 燃料 チップの取扱量 森林認証材 (SGEC 材 ) 取扱量 ( 国内流通拠点の取扱材 ) 773 千 m ³ 812 千 m ³ 861 千 m ³ 800 千 m³ 55 千 m³ 68 千 m³ 60 千 m³ 85 千 m³ 国産材における未利 材の取扱量 181 千トン 191 千トン 200 千トン 185 千トン 10
Source: http://www.daiwahouse.com/sustainable/csr/pdfs/2017/business.pdf 11
大和ハウス工業 12
ダイワハウス工業 Global 100 に選出され 日本最上位にランクインしている バリューチェーンにおけるSDGsを段階的に分析し SDGs紐付けしている 優先的に取り組む重 要課題を特定 CSR計画に落とし込んでいる 取り組みについては SDGsとの紐付けを行ない ビジュアル化している 自主目標がみられるが SDGsへの紐付けはされていない また 環境に関しては 環境長期ビジョン 2055年の目標 と2025~2030年のマイルストー ンを設定 バックキャスティングというより フォーキャスティングのように見える 目標やターゲットを設定し 公 表 CSR自己評価指標があるが SDGsとの紐付けがない 全ての項目で いつも自己目標を達 成できているとは限らない NPO-NGOとの協働の機会や 実績 2016年42.6% 実施 2018年50%以上 目標 教育支援事業 教育支援実施件数 2016年実施 245件 2018年目標 720件 なども行なっている 13
調達基準と SDGs 2004 年制定の調達基準に基づき 用紙について取引先企業に毎年調査を実施してきました 調達基準 ( 用紙基準 ) 持続可能な森林管理 再生パルプのトレーサビリティ管理 化学物質の遵法管理 無塩素漂白 工場の環境管理 一方 NGO 等の要求が高まり 当社の調達先の活動に対しても批判が高まっていました 保護価値の高い天然林の大規模伐採または皆伐 地域住民の権利の侵害 役人に対する収賄 継続した環境配慮の取り組みとして 用紙調達基準の見直しを進めました 取引先企業の事業活動全体の評価基準を検討 環境 NGO や専門家の助言を参考に新基準を策定 基準に不適合の取引先企業との取引停止を経営提案 調達基準 用紙基準 + 取引先基準 14
用紙のトレーサビリティ強化の動き ABC による番組放送 お客様からの批判 富士ゼロックスオーストラリア取引停止を発表 お客様からの賛同 2011 年 8 月 2 日 2011 年 8 月 4 日 富士ゼロックスグループ全体で取引停止を決定社外へ公表 2011 年 8 月 17 日 2011 年 9 月 1 日 番組を見てショックを受けている 富士ゼロックスはその用紙サプライヤーと取引をやめるべきだ 私は富士ゼロックスの顧客だが 富士ゼロックスがしかるべき対応が無いようなら今後サポートはしない 富士ゼロックスは 環境破壊に加担していることを意味する 今回の素早い決定を支持する 環境保全に向けて取引停止を決定したことを評価したい また 顧客として 価格に関係なく貴社の商品を選択するだろう この決定は グループワイドに展開されなければならない 用紙調達基準の改正を加速 15
認証制度とSDGsの関連が重要に 16
自主的な制度(認証制度) 有効性 認証制度に対する消費者の関心 優先度 マレーシアで食品ラベリングについて一般の消費者にアンケート調査 (n=514). 収入 教育水準と食品ラベリングの認証制度への関心の間の相関関係はない 環境問題への関心と 食品ラベリング 認証制度への関心の間の相関関係はみられる 認証制度が導入されたから時間が経っている制度の認知度が高いものがある 国際的に展開している認証制度より国内のみで実施されている認証制度の認知度が高い傾向 政府などの組織のサポートがある認証制度の認知度が高い傾向 B-C型の環境認証 ラベリング制度の普及には国民の環境問題への関心を高めると共に 政府などの組織がサポートをしていくことが重要で あることを示唆 国際的に展開している認証制度よりも国内のみで実施されている認証制度の認知度が高い傾向にあるという結果に関してはB-C型の制度 に焦点を当てた本事例研究においてはこのような結果になったが B-B型の制度や認証のインセンティブの有無など様々な観点からの分析が 必要 明らかになった点 自主的な制度(認証制度)の乱立は消費者の混乱を招き 制度間のより一層のハーモニザーションが 必要 ある特定の課題 領域の自主的な制度(認証制度)であっても 複数のSDGsの目標と関連するケー スが多い 自主的な制度(認証制度)の推進には 他の制度との連携が重要 他の制度との連携に関しては 政府 地方自治体の公共調達にさらに取り込むことが考えられる他に 企業が自主的に参加している 国際的なプライベイト ガバナンスで導入の方針を打ち出すことや小売サイドで認証制度を促進する仕 組みをつくることなどが考えられる 17
国際認証制度とSDGsとの親和性の把握 SFCやMSCなど 国際認証制度がSDGsのどのターゲットに親和性があるかを特定 各認証制度のどのような基準/活動がどのSDGsターゲットに 貢献 するのか を判 断するためのクライテリアを作成 例 FSC 1.1 2.4 5.5 6.4 6.5 6.6 7.2 8.4 12.1 12.2 12.5 12.6 12.8 12.a 15.1 15.2 15.3 15.4 15.5 15.7 15.8 15.c 16.3 16.5 16.6 16.7 MSC 18 17.1 17.11 17.17
ゴール12 持続可能な生産消費形態を確保する ターゲット 12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案し つつ 持続可能な消費と生産に関する10年計画 枠組み 10YFP を実施し 先進国主導の下 全ての国々が対策を講じる 指標 仮訳 12.1.1 持続可能な消費と生産 SCP に関 する国家行動計画を持っている 又は国家政策に 優先事項もしくはターゲットとしてSCPが組み込まれ ている国の数 12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管 12.2.1 マテリアルフットプリント MF 及び一人 理及び効率的な利用を達成する 当たり GDP当たりのMF 環境 経済 12.2.2 国内総物質消費量(DMC)及び1人当 たり GDP当たりのDMC 12.3 2030年までに小売 消費レベルにおける 12.3.1 グローバル食品ロス指数 GFLI 世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ 収穫後損失などの生産 サプライチェーンにおける食 環境 社会 品ロスを減少させる 12.4 2020年までに 合意された国際的な枠 12.4.1 組みに従い 製品ライフサイクルを通じ 環境上適 有害廃棄物や他の化学物質に関する国際多国間 正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し 環境協定で求められる情報の提供 報告 の義 人の健康や環境への悪影響を最小化するため 化 務を果たしている締約国の数 学物質や廃棄物の大気 水 土壌への放出を大 12.4.2 有害廃棄物の1人当たり発生量 処理 幅に削減する された有害廃棄物の割合 処理手法ごと 社会 環境 経済 12.5 2030年までに 廃棄物の発生防止 削 12.5.1 各国の再生利用率 リサイクルされた物 減 再生利用及び再利用により 廃棄物の発生を 質のトン数 大幅に削減する 環境 経済 19
経済 社会 環境 社会 環境 社会 環境 経済 経済 社会 社会 経済 12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し 12.6.1 持続可能性に関する報告書を発行す 持続可能な取り組みを導入し 持続可能性に関する る企業の数 情報を定期報告に盛り込むよう奨励する 12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な 12.7.1 持続可能な公的調達政策及び行動 公共調達の慣行を促進する 計画を実施している国の数 12.8 2030年までに 人々があらゆる場所において 12.8.1 気候変動教育を含む (i)地球市民教 持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに 育 及び(ii)持続可能な開発のための教育が 関する情報と意識を持つようにする a 各国の教育政策 (b) カリキュラム (c) 教 師の教育 及び(d)児童 生徒 学生の達成度評 価に関して 全ての教育段階において主流化され ているレベル 12.a 開発途上国に対し より持続可能な消費 生 12.a.1 持続可能な消費 生産形態及び環境 産形態の促進のための科学的 技術的能力の強化 に配慮した技術のための研究開発に係る開発途 を支援する 上国への支援総計 12.b 雇用創出 地方の文化振興 産品販促につ 12.b.1 承認された評価監視ツールのある持続 ながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発 可能な観光戦略や政策 実施された行動計画の がもたらす影響を測定する手法を開発 導入する 数 12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考 12.c.1 GDP 生産及び消費 の単位当たり 慮し 貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関す 及び化石燃料の国家支出総額に占める化石燃 る悪影響を最小限に留めつつ 税制改正や 有害な 料補助金 補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮し てその段階的廃止などを通じ 各国の状況に応じて インターリンケージ 市場のひずみを除去することで 浪費的な消費を奨励 目標間の連携 する 化石燃料に対する非効率な補助金を合理化す が重要なカギに る 20
統合実施を計測することが重要に 2030目標とターゲットの設定 Norichika Kanie and Frank Biermann eds., Governing through Goals: Sustainable Development Goals as Governance Innovation (MIT Press, 2017) バックキャスティン グと進捗の計測 自律分散協調の 認識と活用 参加型でボーダーレス なプロセス アク ショ ン タテ割りを超えたメカニ ズムの構築 21