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自動車整備技術の高度化の取組み 参考資料 1

自動車の先進技術の点検整備のために 自動車に搭載された先進技術が使用時においても確実に機能するためには 状態に応じた適切な点検整備を行うことが必要 一方 これらの先進技術は 車に搭載された電子制御装置によりコントロールされているため その点検整備のためには 1 自動車メーカーが定める整備要領書 2 外部から電子制御の状態を読み取るための スキャンツール 3 自動車整備士の研修 育成が不可欠 最近の自動車では 電子化が大きく進展 特に 先進技術は車載の電子制御装置によりコントロール 外観や測定器では劣化 故障の特定が困難 ( 図出典 ) 日本自動車研究所 HP より 先進技術の点検整備のために必要なもの 1 自動車メーカーが定める整備要領書 2 電子制御の状態を読み取るスキャンツール 3 自動車整備士の研修 育成 1

自動車整備技術の高度化検討会 国土交通省自動車局では 自動車整備技術の高度化検討会 を設置し 1 整備要領書の提供の充実 2 汎用スキャンツールの機能拡大 3 先進技術の整備に係る研修制度の創設を推進 < 検討会メンバー > 学識経験者須田教授 ( 東京大学生産技術研究所次世代モビリティ研究センター長 ) 古川教授 ( 芝浦工業大学大学院理工学研究科特任教授 ) 行政機関等自動車技術総合機構軽自動車検査協会国土交通省自動車局整備課 関係団体 ( 一社 ) 日本自動車工業会 ( 一社 ) 日本自動車整備振興会連合会 ( 一社 ) 日本自動車機械器具工業会 ( 一社 ) 日本自動車機械工具協会全国自動車大学校 整備専門学校協会全国自動車短期大学協会 < 検討の経緯 ( 平成 23 年 11 月検討会設置 )> 第 1 回 ~ 第 4 回報告書とりまとめ ( 平成 24 年 7 月 ) 1 汎用スキャンツールの標準仕様 ( パワートレイン AT/CVT ABS/ESC エアバッグ等 ) 2 大型車 ( ディーゼル商用車 ) のスキャンツール 3 スキャンツールを用いた整備の研修制度 第 5 回 ~ 第 8 回報告書とりまとめ ( 平成 25 年 6 月 ) 1 整備事業の IT 化 ネットワーク化の推進 2 国際化への対応 3 一級整備士資格者の活用の検討 4 教科書の改訂 5 特殊整備における新技術への対応 第 9 回 ~ 第 12 回報告書とりまとめ ( 平成 28 年 8 月 ) 1 汎用スキャンツールの新たな標準仕様 ( 自動ブレーキ等の前方センシング等を追加 ) 2 高度診断教育について 3FAINES を通じた整備要領書等の提供の充実 4 人材育成体制の充実 平成 29 年 3 月第 13 回検討会 ( 今後の課題 ) 1 新たな標準仕様のフィージビリティスタディ 2 欧米における整備情報提供の実態把握 3 整備設備 環境の充実 4 人材育成体制の充実 2

1 整備要領書等の提供 キャンツール自動車メーカーの協力のもと 整備要領書など点検整備に必要な情報を ( 一社 ) 日本自動車整備振興会連合会 ( 日整連 ) のシステム (FAINES) へ集約 整備工場は インターネットを通じて FAINES に接続することにより これら情報を入手可能 ( 有料 ) 自動車メーカー リコール メス改善対策情報等ーカサンプリングデータ FAINES ー故障 修理の ( 一社 ) 日本自動車整備振興会連合会 整備要領書技術情報等 整備要領書 ( 修理書 解説書 配線図等 ) 故障整備事例 技術情報 ( 新型車の解説 点検整備のポイント等 ) など 自動車整備工場 点検 整備に必要な情報 インターネットを通じて情報を取得 FAINES の加入状況等 会員数 34,120 事業場 ( 平成 29 年 9 月末時点 ) 入会費 35,000 円 (12,000 円 ) 月額 5,000 円 (1,300 円 ) ( 税抜き 括弧内は自動車整備振興会会員価格 ) 3

2 汎用スキャンツールの機能拡大 ( その 1) 自動運転技術や先進安全技術の中枢を担う電子制御装置の点検整備のためには 外部故障診断装置 ( スキャンツール ) が不可欠 ディーラー系整備工場は系列メーカーの専用スキャンツールを使用するが 一般整備工場では 幅広いメーカー 車種に対応した 汎用スキャンツール が必要 スキャンツールを用いた故障診断 表示例 ダイアグコード検出 P0135: O2 センサ異常 P0120: スロットルポジションセンサー回路異常 接続端子 自動車は電子制御装置 ( 車載コンピュータ ) を数十個搭載しそれぞれ協調制御 接続 スキャンツール 専用スキャンツール 外部から車載コンピュータと通信し故障診断 汎用スキャンツール 自動車メーカーが自社の自動車の整備のために開発したスキャンツール 機能に優れる一方 特定メーカーの車両のみ診断可 主に系列ディーラーが使用 幅広いメーカー 車種に対応したスキャンツール 専用スキャンツールに比べて機能が限定的 主に一般整備工場が使用 4

2 汎用スキャンツールの機能拡大 ( その 2) 汎用スキャンツールの機能拡大 ( 診断可能な車種 装置の拡大 ) を図るため 自動車整備技術の高度化検討会 において 整備事業者 自動車メーカー ツールメーカーの代表が議論 合意 1 整備事業者より 汎用スキャンツールに必要な機能の要望 提案 2 自動車メーカーより スキャンツールの開発に必要な 自動車側の技術情報 の提供 3 ツールメーカーが 汎用スキャンツールを開発 製作 整備事業者 汎用スキャンツールの機能の要望 提案 自動車メーカー 自動車の技術情報の提供 ツールメーカー ( 自動車メーカーから提供される技術情報等に基づき ) 汎用スキャンツールを製作 自動車整備技術の高度化検討会 5

2 汎用スキャンツールの導入状況と普及の促進 国土交通省では 汎用スキャンツールの普及促進のため 平成 25 年度より購入補助を実施 平成 29 年度 補助率 : 装置価格の 1/3 上限額 :15 万円 国土交通省が平成 27 年度に実施したアンケート調査によれば 全国の整備事業者 ( ディーラーを除く ) の約 8 割 ( ) がスキャンツールを導入済み アンケート結果からの推計値 スキャンツールの導入状況 平成 29 年度スキャンツール購入補助 ( 概要 ) 多機能 68% 7% 3% 22% スキャンツール保有率 78% 少機能 機種不明 保有せず 22% 約 8 割の整備事業者がスキャンツールを保有 特に 多機能の機種を保有する事業者が多い 公募期間 : 7 月 24 日 ( 月 )~10 月 31 日 ( 火 ) 対象事業者 : 自動車分解整備事業者優良自動車整備事業者 補助内容 : スキャンツールを新たに購入する場合の経費の一部を補助 補助率 : 1/3 上限額 : 1 事業当たり 15 万円 その他 : 公募期間内であっても先着順に交付決定買い替え 買い増しも可 平成 27 年度 自動車整備技術の高度化検討会 において実施したスキャンツールの使用状況及び活用状況のアンケート調査結果より調査時期 : 平成 27 年 11 月 11 日 ~27 日調査対象 : 全国の 1836 整備事業者 ( ディーラーを除く ) うち 746 事業者より有効回答あり 国土交通省 HP スキャンツールの導入補助事業を開始します http://www.mlit.go.jp/common/001191815.pdf 6

3 自動車整備士の研修 育成 ( その 1) 自動車整備技術の高度化検討会において スキャンツールを用いた先進技術等の点検整備の方法に関する各種研修プログラムを作成 全国の自動車整備振興会等が 管轄地域の自動車整備士等を対象に これらの研修を実施 名称対象者目標内容実施回数 受講人数 基本研修 応用研修 未経験者 基本研修修了者 スキャンツール活用研修 の内容と実績 汎用スキャンツールの一般的操作に関する技術の習得 汎用スキャンツールを用いた高度な診断 整備技術の習得 電気の基礎スキャンツールの基礎 故障コード データモニタなど スキャンツールを用いた故障診断アクティブテスト機能を活用した診断方法など 751 回 9111 人 1205 回 16367 人 フォローアップ研修 応用研修修了者 応用研修の内容のリカレント ( 再訓練 ) ( 応用研修と同じ ) 26 回 427 人 ステップアップ研修 応用研修修了者 新型車の構造 機能 制御方法等を踏まえた整備技術の習得 自動車メーカー発行の解説書の読み方正常データと異常データの見分け方など 202 回 2649 人 平成 24~28 年度実績 7

3 自動車整備士の研修 育成 ( その 2) カメラやレーザ等のセンシング技術を用いた装置 ( 自動ブレーキ等 ) の整備のためには スキャンツールによる診断に加え センサーの軸や角度を調整する エーミング作業 が必要となる 平成 28 年度の検討会では エーミング作業体験会を開催し 課題の洗い出しを行った エーミング作業 自動ブレーキなど 前方や周辺を常時監視する先進技術は センサーのズレが誤作動につながるおそれがあることから センサーの軸や角度の点検 調整 ( エーミング ) が必要 エーミング作業体験会 会場 全国 5 会場 ( 東京 千葉 愛知 静岡 広島 ) 実施日 H28.9.24~10.31 参加者 整備振興会会員( 整備 ) 93 名車体整備組合会員 ( 板塗 ) 19 名 車両 前方センシンク 搭載車両 (11 車種 ) 内容 国内 8メーカが講師 1 事前説明 ( システム概要 機能 調整 点検 ) 2 作業実演 体験 ( ミリ波 / レーサ / カメラ ) 3Q&A アンケート 作業サポートの実施課題の検討 エーミング ターゲット 1 事前説明の様子 2 作業実演の様子 屋内 + 駐車スヘ ース利用 体験会で指摘された主な課題 作業スペース 技能の習熟 自動車分解整備事業場の認証要件より広い場所が必要 エーミング作業を習得するためには 1 日程度の講習が必要 ターケ ットの購入費 ターゲットは 車種ごとに異なり 価格もまちまち ( 体験会で用いた 11 車種のターゲットは 総額約 60 万円 ) 汎用スキャンツールの機能拡充 整備要領書に沿ってエーミング作業を行うためには 汎用スキャンツールの更なる機能拡充が望まれる 8