Microsoft Word - rp1410b(水野).docx

Similar documents
Microsoft Word - wt1608(北村).docx

調査結果のポイント 家族の健康 1: 配偶者が病気になった場合の不安 (P.13) 3 大不安は 病気が治らないこと 身体的な苦痛 精神的な苦痛 配偶者が有職の場合 4 人に 3 人は 働き方を変えざるを得なくなること 仕事を続けられなくなること にも不安 家族の健康 2: 子どもが病気になった場合

Microsoft Word - notes①1210(的場).docx

Microsoft Word - Report (北村)最終版2.docx

Microsoft Word - Notes①1201(小谷).doc

Microsoft Word - rp1504b(宮木).docx

「学び直し」のための教育訓練給付制度の活用状況|第一生命経済研究所|的場康子

<4D F736F F D20819D819D F F9193C18F FEA816A8DC58F4994C52E646F6378>

日本医師会男女共同参画についての男性医師の意識調査 クロス集計

調査の実施背景 戦後 日本の平均寿命は飛躍的に延び 平成 年 7 月に厚生労働省が発表した 平成 年簡易生命表 によると 65 歳の平均余命は 男性は 8.86 歳 女性は.89 歳となっています 約 0 年あるセカンドライフをより有意義に 楽しく暮らすためには人生設計や事前の準備が必要なのではない

Microsoft Word - ○Report白書1804修正3(北村).docx

三世代で暮らしている人の地域 親子関係 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部研究開発室的場康子 < 減り続ける > 戦後 高度経済成長を迎えた我が国においては 産業構造の変化により都市化 工業化が進む中で 多くの人が地方から都市に移動し核家族化が進んだ 低成長経済に移行した後

Microsoft Word - rp1507b(北村).docx

man2

<4D F736F F D DE97C78CA78F418BC B28DB895F18D908F DC58F49817A2E646F63>

調査の背景と目的 健康長寿社会の実現がわが国の重要課題となる中 企業が人々の健康づくりに取り組むことを促す動きが広がっています また 健康経営 という観点から 企業が従業員の健康づくりに取り組んだり それを推進したりする動きもあります こうした動きと並行して 従業員の健康づくりへの取り組み状況等に関

結婚しない理由は 結婚したいが相手がいない 経済的に十分な生活ができるか不安なため 未婚のに結婚しない理由について聞いたところ 結婚したいが相手がいない (39.7%) で最も高く 経済的に十分な生活ができるか不安なため (2.4%) 自分ひとりの時間が取れなくなるため (22.%) うまく付き合え

Microsoft Word - 02 ™²“¸„‰›Ê.doc

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

PowerPoint プレゼンテーション

平成24年度高齢者の健康に関する意識調査結果 食生活に関する事項

平成29年高齢者の健康に関する調査(概要版)

平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果(概要版)2/4

次に 母親の年齢別 出生順位別の出生数をみていきましょう 図 2-1は母親の年齢別に第 1 子出生数をみるグラフです 第 1 子の出生数は20 年間で1,951 人 (34.6%) 減少しています 特に平成 18 年から平成 28 年にかけて減少率が大きく 年齢別に見ると 20~24 歳で44.8%

「高齢者の健康に関する意識調査」結果(概要)1

Microsoft Word フォーカス(水野).docx

出産・育児調査2018~妊娠・出産・育児の各期において、女性の満足度に影響する意識や行動は異なる。多くは子どもの人数によっても違い、各期で周囲がとるべき行動は変わっていく~

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

相対的貧困率の動向: 2006, 2009, 2012年

Microsoft Word - Focus12月(的場).doc

( ウ ) 年齢別 年齢が高くなるほど 十分に反映されている まあまあ反映されている の割合が高くなる傾向があり 2 0 歳代 では 十分に反映されている まあまあ反映されている の合計が17.3% ですが 70 歳以上 では40.6% となっています

 

平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査 日常生活に関する事項

表 6.1 横浜市民の横浜ベイスターズに対する関心 (2011 年 ) % 特に何もしていない スポーツニュースで見る テレビで観戦する 新聞で結果を確認する 野球場に観戦に行く インターネットで結果を確認する 4.

「終活」に関する意識調査

調査実施の背景 近年 ライフスタイルの多様化が著しく進んでいます 生涯未婚率が上昇し 単身世帯 一人親世帯も増加するなど 世帯構成が大きく変化しました また 25 歳から 39 歳の就業率が上昇し 共働き世帯も増加しました においては 管理職の積極的な登用が推進される一方で非正規社員の占める割合は高

調査の背景 埼玉県では平成 29 年度から不妊に関する総合的な支援施策として ウェルカムベイビープロジェクト を開始しました 当プロジェクトの一環として 若い世代からの妊娠 出産 不妊に関する正しい知識の普及啓発のため 願うときに こうのとり は来ますか? を作成し 県内高校 2 年生 3 年生全員

Microsoft Word - notes①1301(小谷).docx

第4章妊娠期から育児期の父親の子育て 45

調査実施の背景 わが国では今 女性活躍を推進し 誰もが仕事に対する意欲と能力を高めつつワークライフバランスのとれた働き方を実現するため 長時間労働を是正し 労働時間の上限規制や年次有給休暇の取得促進策など労働時間制度の改革が行なわれています 年次有給休暇の取得率 ( 付与日数に占める取得日数の割合

2. 調査結果 1. 回答者属性について ( 全体 )(n=690) (1) 回答者の性別 (n=690) 回答数 713 のうち 調査に協力すると回答した回答者数は 690 名 これを性別にみると となった 回答者の性別比率 (2) 回答者の年齢層 (n=6

Press Release

Microsoft Word - REPORT① 月号(水野).doc

第2章 調査結果の概要 3 食生活

<4D F736F F D C835894AD955C8E9197BF EE CC B83678E9E8E96816A8F4390B38CE32E646F63>

各質問項目の単純集計結果 設問 1. 性別 男性 女性 無回答 設問 2. 年齢 合計 ( 改 3) 代 代 代 代 代 1767

1 調査目的 今年度策定する 津山市総合戦略 で 子どもを産み 育てやすい環境づくりに 向けた取組みを進めるにあたり 出産 子育ての現状を把握するために実施した 2 調査内容の背景と設問設定理由国では 出生率を 2.07 まで高めることで 2060 年に現状の社会構造を維持できる人口 1 億人程度を

Microsoft Word - rp1410a(的場).docx

_世界の女性の.indd

Microsoft Word 「100年人生を考えようLAB」アンケート調査 ニュースレター.docx

スライド 1

人生100年時代の結婚に関する意識と実態

Microsoft Word - リリース doc

調査の概要 少子高齢化が進む中 わが国経済の持続的発展のために今 国をあげて女性の活躍推進の取組が行なわれています このまま女性正社員の継続就業が進むと 今後 男性同様 女性も長年勤めた会社で定年を迎える人が増えることが見込まれます 現状では 60 代前半の離職者のうち 定年 を理由として離職する男

アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国の中学 3 年生までの子どもをもつ父親 母親およびその子どものうち小学 4 年生 ~ 中学 3 年生までの子 該当子が複数いる場合は最年長子のみ 2. サンプル数父親 母親 1,078 組子ども 567 名 3. 有効回収数 ( 率 ) 父親 927

平成25年 国民生活基礎調査【所得票】 結果表一覧(案)

アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国に居住する 30~60 代の既婚男女 2. サンプル数 800 名 3. サンプル抽出方法第一生命経済研究所生活調査モニター 4. 調査方法質問紙郵送調査法 5. 実施時期 2006 年 1 月 6. 有効回収数 ( 率 ) 769 名 (96.1%

タイトル

スライド 1

2016 年 03 月 01 日 サンプル株式会社本社事業場エイギョウブ ジョウホウタロウ様 _SPL ltpaper ストレスチェックキット個人用レポート 裏面のストレスレーダーもお読み下さい ストレスチェック総合 あなたのストレスの状況は

第 1 章アンケートの概要 1-1 調査の目的 1-2 対象者 1-3 調査方法 1-4 実施期間 1-5 調査結果サンプル数 第 2 章アンケート調査結果 2-1 回答者自身について (1) 問 2: 年齢 (2) 問 5: 同居している家族 2-2 結婚について (1) 問

Microsoft Word 年1月(リリース).doc

Microsoft Word - ○201701Report(的場)校正会議再修正版.docx

<342D318A B A2E786C73>

Microsoft Word - rp1501c(北村).docx

◎公表用資料

3 調査項目一覧 分類問調査項目 属性 1 男女平等意識 F 基本属性 ( 性別 年齢 雇用形態 未既婚 配偶者の雇用形態 家族構成 居住地 ) 12 年調査 比較分析 17 年調査 22 年調査 (1) 男女の平等感 (2) 男女平等になるために重要なこと (3) 男女の役割分担意

スライド 1

質問 1 何歳から 長生き だと思いますか? 男性 女性ともに 80 歳 がトップ ( 合計 :42.3% 男性 :43.2% 女性 41.3%) 平均すると 男性が 81.7 歳 女性が 83.0 歳 と女性の方がより高年齢を 長生き と思うという 傾向があり 女性の 5 人に 1 人 (20.8

平成25年度 高齢期に向けた「備え」に関する意識調査結果(概要版)2

(市・町)        調査

<4D F736F F D20819C B83678C8B89CA94E48A E C668DDA97706E65772E646F63>

Ⅲ 調査研究報告 / 若者の結婚観 子育て観等に関する調査 77 交際中 (n=671) 交際経験あり (n=956) 交際経験なし (n=767) 早く結婚したいいい

人生100年時代の生活に関する意識と実態

表紙

「夫婦関係調査2017」発表

附帯調査

調査の実施背景 介護保険制度が 2000 年に創設されてから 10 年余りが過ぎました 同制度は 家族介護をあてにせずに在宅介護ができる支援体制を整えることを目的として発足されたものですが 実際には 介護の担い手としての家族の負担 ( 経済的 身体的 精神的負担 ) は小さくありません 今後 ますま

news a

25~44歳の出産・子育ての意識と実態

 

1 / 5 発表日 :2019 年 6 月 18 日 ( 火 ) テーマ : 貯蓄額から見たシニアの平均生活可能年数 ~ 平均値や中央値で見れば 今のシニアは人生 100 年時代に十分な貯蓄を保有 ~ 第一生命経済研究所調査研究本部経済調査部首席エコノミスト永濱利廣 ( : )

5 教5-1 教員の勤務時間と意識表 5 1 ( 平均時間 経年比較 教員年齢別 ) 中学校教員 調査年 25 歳以下 26 ~ 30 歳 31 ~ 40 歳 41 ~ 50 歳 51 ~ 60 歳 7:22 7:25 7:31 7:30 7:33 7:16 7:15 7:23 7:27 7:25

02 28結果の概要(3健康)(170622)

Microsoft Word - wt1608(北村).docx

平成30年版高齢社会白書(全体版)

15 第1章妊娠出産子育てをめぐる妻の年齢要因

無党派層についての分析 芝井清久 神奈川大学人間科学部教務補助職員 統計数理研究所データ科学研究系特任研究員 注 ) 図表は 不明 無回答 を除外して作成した 設問によっては その他 の回答も除外した この分析では Q13 で と答えた有権者を無党派層と定義する Q13 と Q15-1, 2 のクロ

<4D F736F F F696E74202D AAE90AC94C5817A835F C581698FE39E8A90E690B6816A2E >

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

一人暮らし高齢者に関する意識調査結果 <概要版>2

スライド 1

夫婦間でスケジューラーを利用した男性は 家事 育児に取り組む意識 家事 育児を分担する意識 などに対し 利用前から変化が起こることがわかりました 夫婦間でスケジューラーを利用すると 夫婦間のコミュニケーション が改善され 幸福度も向上する 夫婦間でスケジューラーを利用している男女は 非利用と比較して

厚生労働科学研究費補助金

調査研究方法論レポート

Microsoft Word - wt1607(的場).docx

<4D F736F F D208DC590565F CC97B78D7382C98AD682B782E992B28DB88CB48D652E646F6378>

第 1 章調査の概要 1 調査の目的 県民の結婚や子どもを持つこと 子育てに関する意識や現状を把握し 奈良県において子どもを 生み育てやすい環境づくりを進める取組を検討するための基礎資料を得ることを目的に実施した 2 調査の実施概要 (1) 調査対象 夫婦調査 : 平成 30 年 9 月 1 日現在

3. 家族とのコミュニケーションを増やしたい さらに 家庭で使いやすい IT ツールがあれば使ってみたい と思う オンライン家族 予備軍は 41.2% 家族とのコミュニケーションに IT ツールを 2~3 日に 1 回以下 の頻度で使っている人の中には 今よりも 家族とのコミュニケーションを増やした

表 110 性 別子からの仕送りの有無別個人数 子からの仕送り ありなし 昨年収入ありと答えた人の 男性 歳 歳 歳 歳 歳 0 77

Transcription:

代の健康をめぐる意識と行動 代の不安と備えに関する調査 より 上席主任研究員水野映子目次 1. 調査研究の概要 14 2. 病気になった場合の不安 15 3. 健康管理に関する行動の重要度 実行度 18 4. まとめ - 性別 家族形態別にみた 健康をめぐる不安と行動 - 23 要旨 1 代を対象に実施した調査の結果を用い 病気になったと想定した場合に感じる不安の程度 および身体的 精神的健康の管理に関する行動が重要だと思う程度 ( 重要度 ) できていると思う程度( 実行度 ) を 性別と性 家族形態別に分析した 2 自分が大きな病気になった場合の不安は 精神的な苦痛を感じること 身体的な苦痛を感じること などさまざまあり ほとんどの項目においてよりの不安のほうが大きい また 精神的に頼る人がいないこと 自分の身の回りの世話をしてくれる人がいないこと に不安を感じる割合は単身世帯や自分 親世帯で高い 3 身体的 精神的健康の管理に関する各行動の実行度は 重要度をかなり下回っている また 各行動の重要度 実行度は よりで低い傾向がみられる 4 性 家族形態別にみると 身体的健康の管理に関する行動のうち 規則正しい生活を送る バランスのとれた食生活をする 十分な睡眠 休養をとる 精神的健康の管理に関する行動のうち 人生を楽しむ 生きがいをもつ の実行度は それぞれ男女とも単身世帯で低く 別居している子どもがいる夫婦のみ世帯で高い 5 個人による病気への備えや健康管理とともに それを促すための社会的な取り組み 例えば 代の多様なライフスタイルに合わせたきめ細かな情報提供や啓発などを行うことが今後のさらなる課題と考えられる キーワード : 健康 病気 不安 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 Life Design Autumn 14.10 13

1. 調査研究の概要 (1) 背景と目的一般に 代になると 仕事や家庭での責任が重くなり 心身の負担が増す しかし 若い時に比べると体力が衰え 体調を崩したり病気になったりする人も多くなる 厚生労働省が実施した 国民生活基礎調査 によると 現在の自分の健康状態について よい または まあよい と答えた人の割合は 年齢が上がるほど低くなっているが 特に 代での減り幅はその前後の年代より大きい傾向がみられる ( 図表 1) 代においては 自身の健康状態が悪いとまでは思わないまでも 良いとは感じられない人が増えるといえる また健康状態の変化に伴い 健康をめぐる意識や行動も この年代では変化すると思われる ただし 代とひとくちに言っても その生活状況は一様ではない 未婚 晩婚 晩産化が進んだ現代においては 同じ年代でも 配偶者の有無 子ども 親の有無やその年齢 同別居の状態は人によってかなり異なるため 家族形態も多岐にわたる 自身が病気になった時に家族に及ぶ影響や家族から得られる支援 病気への備えや健康の維持 増進に関する意識 行動も 家族形態に左右されると考えられる そこで本稿では 代の男女を対象に実施した調査の結果を用い 病気になった場合の不安をどう感じているか また身体的 精神的健康の管理に関する行動をどの程度重視し実行しているかを明らかにする また 性別および家族形態別に分析することにより それらの差異にも注目する 図表 1 健康状態に対する意識 41.4 38.7 34.6 39.7 31.3 35.7 31.0.2 よい+まあよい ( ) よい+まあよい ( ) よくない+あまりよくない ( ) よくない+あまりよくない ( ) 11.7 13.4 14.8 13.7 10 0 15~ 19 歳 ~ 24 歳 25~ 29 歳 ~ 34 歳 35~ 39 歳 9.5 ~ 44 歳 10.9 12.0 45~ 49 歳 ~ 54 歳 13.2 55~ 59 歳 ~ 64 歳 65~ 69 歳 ~ 74 歳 75~ 79 歳 ~ 84 歳 85 歳以上 注 : よい まあよい あまりよくない よくない 以外の選択肢には ふつう がある資料 : 厚生労働省 平成 25 年国民生活基礎調査 より作成 14 Life Design Autumn 14.10 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部

(2) 調査概要本稿では 第一生命経済研究所が実施した 代の不安と備えに関する調査 のデータを用いる この調査の概要は以下の通りである 調査対象: 全国の 代男女 3,376 名 調査方法: クロス マーケティングのモニターを用いたインターネット調査 調査時期:13 年 11 月 家族形態の分類にあたっては 1 人暮らしの人 親のみと同居 配偶者のみと同居 配偶者 子どもと同居している人を それぞれ単身世帯 自分 親世帯 夫婦のみ世帯 世帯とした そのうち 単身 自分 親 夫婦のみの各世帯については 別居している子ども ( 以下 別居子 ) の有無によってさらに分けた 図表 2には それぞれの家族形態の構成を性別に示す 本稿で家族形態別の分析を行う際には その他の世帯 およびサンプル数が比較的少ない単身世帯 ( 別居子有 ) と自分 親世帯 ( 別居子有 ) 以外 すなわち単身世帯 ( 別居子無 ) 自分 親世帯( 別居子無 ) 夫婦のみ世帯( 別居子無 有 ) 世帯を用いる なお 単身世帯( 別居子無 ) 自分 親世帯( 別居子無 ) を 以下では単に 単身世帯 自分 親世帯 と表記する 図表 2 回答者の家族形態 ( 性別 ) 合計 単身世帯自分 親世帯夫婦のみ世帯その他の別居子無別居子有別居子無別居子有別居子無別居子有世帯世帯 n 3,376 532 116 294 13 393 227 1,195 6 % 100.0 15.8 3.4 8.7 0.4 11.6 6.7 35.4 18.0 n 1,645 247 65 185 7 179 79 624 259 % 100.0 15.0 4.0 11.2 0.4 10.9 4.8 37.9 15.7 n 1,731 285 51 109 6 214 148 571 347 % 100.0 16.5 2.9 6.3 0.3 12.4 8.5 33.0.0 本稿で用いる家族形態の名称 単身世帯 自分 親世帯 夫婦のみ世帯 ( 別居子無 ) 夫婦のみ世帯 ( 別居子有 ) 世帯 2. 病気になった場合の不安 自分が大きな病気になった場合の不安をたずねた 図表 3の通り 不安 ( 非常に不安 + やや不安 ) を感じる割合の1 位には 精神的な苦痛を感じること (76.3%) 2 位には 身体的な苦痛を感じること (74.6%) があがっている これらに続く 自分が仕事を続けられなくなること 家族に迷惑をかけること 病気が治らないこと 食事や余暇など ふだんの生活に制限が生じること 自分が働き方を変えざるを得なくなること の不安も それぞれ7 割を超えている 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 Life Design Autumn 14.10 15

病気そのものに関する不安関する不安医療に関する不安支援者に関する不安仕事に関する不安日常生活に関する不安家庭生活に 図表 4で性別にみると 自分が仕事を続けられなくなること を除くすべての項目において 不安を感じる割合がよりで高い 特に 精神的な苦痛を感じること 身体的な苦痛を感じること 自分が家事や子育てをできなくなること に不安を感じる割合の男女差は 10ポイント以上もある 図表 3 大きな病気になった場合の不安 図表 4 大きな病気になった場合の不安 ( 性別 ) 0 100 0 100 精神的な苦痛を感じること 27.2 49.1 76.3 精神的な苦痛を感じること.8 81.5 身体的な苦痛を感じること 25.1 49.5 74.6 身体的な苦痛を感じること 69.2 79.7 病気が治らないこと 28.2 44.3 72.5 病気が治らないこと 69.2 75.6 病気や病院 医師に関する 11.8 情報が十分に得られないこと 44.2 56.0 病気や病院 医師に関する情報が十分に得られないこと 52.5 59.4 治療に適した病院 医師が近くにないこと 11.9 37.0 48.9 治療に適した病院 医師が近くにないこと 44.6 53.0 自分の身のまわりの世話をしてくれる人がいないこと 16.7.8 57.5 自分の身のまわりの世話をしてくれる人がいないこと 54.4.4 精神的に 13.3 頼る人がいないこと 37.6.9 精神的に頼る人がいないこと.3 51.5 自分が仕事を続けられなくなること.7 42.7 73.4 自分が仕事を続けられなくなること 73.9 72.7 自分が働き方を変えざるを得なくなること 23.6 46.6.1 自分が働き方を変えざるを得なくなること 69.7.8 食事や余暇など ふだんの生活に制限が生じること 19.0 52.4 71.4 食事や余暇など ふだんの生活に制限が生じること 66.9 75.6 自分の時間が減ること10.9 41.2 52.1 自分の時間が減ること 51.8 52.5 家族に迷惑をかけること 25.7 47.1 72.7 家族に迷惑をかけること.1 75.3 自分が家事や子育てをできなくなること 19.0.7 59.7 自分が家事や子育てをできなくなること 54.0 65.2 非常に不安やや不安 注 1: この他の選択肢には あまり不安ではない まったく不安ではない がある注 2: 自分が仕事を続けられなくなること 自分が働き方を変えざるを得なくなること は有職 (n=2,525) の場合に回答 注 1: 非常に不安 やや不安 の合計注 2: 図表 3と同じ 次に 性 家族形態別に分析した結果 特徴がみられた4 項目について 不安を感じる割合を図表 5に示す 自分の身の回りの世話をしてくれる人がいないこと に不安を感じる割合は 男女とも単身世帯と自分 親世帯で高い これらの世帯での男女差はほとんどないが 16 Life Design Autumn 14.10 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部

配偶者がいる世帯 すなわち夫婦のみ世帯 ( 別居子無 有 ) 世帯では の不安がの不安を上回っている はたとえ夫がいても 身の回りの世話をしてくれる人がいないという不安をかなり感じていることがわかる 精神的に頼る人がいないこと に不安を感じる割合もまた 単身世帯と自分 親世帯で高く 他の世帯で低い ただし男女差はいずれの世帯においてもさほど大きくない 家族に迷惑をかけること に不安を感じる割合は 男女とも単身世帯で最も低い ただし 単身世帯のに比べるとの不安は大きい 単身世帯のは いざとなったらやはり別居している家族を頼らざるを得ない あるいは自分が家族内で担っている役割 例えば介護や家事などの役割を果たせなくなるという不安があるのかもしれない 単身世帯以外における男女や家族形態による差は小さい 自分が家事や子育てをできなくなること に不安を感じる割合は では世帯で最も高く 単身世帯と自分 親世帯で低い 一方 においても不安を感じる割合が最も高いのは世帯だが 最も低いのは夫婦のみ世帯 ( 別居子有 ) である 男女を比較すると 配偶者がいる世帯ではに比べの不安がかなり小さい 夫は妻ほど家事 子育てへの影響を心配していないことがわかる 図表 5 自分が大きな病気になった場合の不安 ( 性 家族形態別 ) < 自分の身の回りの世話をしてくれる人がいないこと> 76.9 74.1 76.1 72.5 62.6 49.2 56.8 39.2 52.9 45.2 < 精神的に頼る人がいないこと> 66.0 69.2 61.5 66.1 46.4 45.9 45.7 41.6.5 43.4 単身 自分 親 夫婦のみ 夫婦のみ < 家族に迷惑をかけること> 76.8 77.0 77.2 74.3 69.5 75.2 71.5 73.4 72.3 58.7 < 自分が家事や子育てをできなくなること> 76.4 64.5 62.8 51.9 49.5 58.7 51.4 53.1 46.2 43.0 注 : 非常に不安 やや不安 の合計 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 Life Design Autumn 14.10 17

3. 健康管理に関する行動の重要度 実行度 (1) 身体的健康の管理に関する行動の重要度 実行度 1) 身体的健康の管理に関する行動の重要度身体的健康の管理に関する行動を6 項目あげ それぞれどのくらい重要だと思うかたずねた 図表 6で各行動の重要度 ( 非常に重要だと思う + やや重要だと思う と答えた割合 ) をみると では 十分な睡眠 休養をとる バランスのとれた食生活をする 適度に運動をする 規則正しい生活を送る という生活習慣に関する 4 項目では100% 近い また 検診 ( 歯科検診以外 ) を定期的に受ける 歯科検診を定期的に受ける という検診受診に関する2 項目の重要度も8 割を超えている 性別にみると 重要度はすべての項目においてよりで高いが 歯科検診を定期的に受ける 以外の項目ではあまり差がない ただし 非常に重要だと思う 割合のみに着目すると より大きな男女差がみられる 特に 十分な睡眠 休養をとる バランスのとれた食生活をする 規則正しい生活を送る 歯科検診を定期的に受ける では 10 ポイント以上の差がある 2) 身体的健康の管理に関する行動の実行度続いて 身体的健康の管理に関する行動が どのくらいできていると思うかたずねた 図表 7での実行度 ( できている + ある程度できている と答えた割合) をみると いずれも前述の重要度よりかなり低い 特に実行度が低いのは 適度に運動をする であり 重要度と64.2ポイントもの差がある 性別にみると 適度に運動をする 以外の項目の実行度はよりで高い 特に 規則正しい生活を送る 歯科検診を定期的に受ける では男女差が10ポイント以上ある 次に 身体的健康の管理に関する行動のうち 生活習慣に関する4 項目の実行度を図表 8で性 家族形態別に示す 十分な睡眠 休養をとる バランスのとれた食生活をする 規則正しい生活を送る の実行度は 男女とも単身世帯で最も低く 夫婦のみ世帯 ( 別居子有 ) で最も高い また 単身世帯の男女を比べると における実行度がより低い 単身世帯 特にでこれらが行われていないといえる 適度に運動する の実行度は では夫婦のみ世帯( 別居子無 有 ) で では夫婦のみ世帯 ( 別居子有 ) でやや高い ただし 他の項目ほど家族形態による差はない 18 Life Design Autumn 14.10 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部

図表 6 身体的健康の管理に関する行動の 図表 7 身体的健康の管理に関する行動の 重要度 ( 性別 ) 実行度 ( 性別 ) 0 100 < 十分な睡眠 休養をとる> 0 < 十分な睡眠 休養をとる>.9 37.5 98.4 13.7 45.1 58.8 54.2 43.2 97.4 10.7 43.8 54.5 67.3 32.0 99.3 16.5 46.3 62.9 < バランスのとれた食生活をする > < バランスのとれた食生活をする > 59.5 38.9 98.4 8.6 52.6 61.1 52.7 44.5 97.2 7.9 48.2 56.1 65.9 33.6 99.5 9.2 56.7 65.9 < 適度に運動をする > < 適度に運動をする >.0 47.0 97.0 8.3 24.5 32.8 45.8.8 96.5 8.3 24.7 33.0 54.1 43.4 97.5 8.4 24.2 32.6 < 規則正しい生活を送る > < 規則正しい生活を送る > 49.0 47.8 96.8 12.4.7 63.0 41.9 53.3 95.2 9.4 47.0 56.4 55.7 42.6 98.3 15.3 54.1 69.4 < 検診 ( 歯科検診以外 ) を定期的に受ける > < 検診 ( 歯科検診以外 ) を定期的に受ける > 33.1 54.3 87.4 25.2.2 55.5 29.1 56.0 85.2 23.7 31.6 55.3 36.9 52.6 89.5 26.7 29.0 55.7 < 歯科検診を定期的に受ける > < 歯科検診を定期的に受ける > 25.9 56.8 82.7 18.6 21.4.0.2 56.2 76.4 13.4 19.2 32.6 31.4 57.3 88.7 23.6 23.6 47.1 非常に重要だと思うやや重要だと思う注 : この他の選択肢には あまり重要だと思わない まったく重要だと思わない がある できているある程度できている注 : この他の選択肢には あまりできていない できていない がある 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 Life Design Autumn 14.10 19

図表 8 生活習慣に関する行動の実行度 ( 性 家族形態別 ) 90 62.1 63.3 < 十分な睡眠 休養をとる > 68.2 74.3 62.2 90 <バランスのとれた食生活をする> 78.4 72.7 68.2 64.2 47.4 56.8 57.0 67.1 54.6 49.5 64.2 68.4 58.4 35.2 単身 自分 親 夫婦のみ 夫婦のみ 61.9 90 < 規則正しい生活を送る> 83.1 67.8 65.1 58.2 68.4.9.3 42.1 74.4.9 90 < 適度に運動をする> 32.6 38.0 38.0.3 28.7.3 33.2 37.8 単身 自分 親 夫婦のみ 夫婦のみ 34.8 32.0 注 : できている ある程度できている の合計 (2) 精神的健康の管理に関する行動の重要度 実行度 1) 精神的健康の管理に関する行動の重要度前述の身体的健康の管理に関する行動と同様に 精神的健康の管理に関する行動がどのくらい重要だと思うかたずねた 図表 9での重要度をみると 人生を楽しむ ストレスを解消する 生きがいをもつ 好きなことに打ち込む では9 割台 世の中の動きに敏感でいる 新しいことに挑戦する では7 割台となっている 性別にみると すべての項目においての重要度がの重要度を上回っている 特に 世の中の動きに敏感でいる の重要度の男女差は 11.2ポイントと比較的大きい 他の項目における重要度の男女差はあまりないが 非常に重要だと思う 割合に注目すると 人生を楽しむ ストレスを解消する 生きがいをもつ においては10ポイント前後の差がある 2) 精神的健康の管理に関する行動の実行度前述の精神的健康の管理に関する行動がどのくらいできていると思うかたずねた 図表 10での実行度をみると いずれも重要度よりかなり低い 特に 人生を楽し Life Design Autumn 14.10 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部

図表 9 精神的健康の管理に関する行動の 図表 10 精神的健康の管理に関する行動の 重要度 ( 性別 ) 実行度 ( 性別 ) 0 100 0 < 人生を楽しむ > < 人生を楽しむ > 46.0.0 96.0 10.1 47.5 57.6 41.0 53.5 94.5 8.0 44.1 52.1.8 46.7 97.5 12.1.8 62.9 < ストレスを解消する > < ストレスを解消する > 44.9.8 95.7 9.6 48.8 58.4 38.7 55.0 93.6 7.7 45.4 53.1.8 46.9 97.6 11.3 52.0 63.3 < 生きがいをもつ > < 生きがいをもつ > 41.5 52.9 94.4 9.7 43.1 52.8 36.9 56.3 93.2 8.0.6 48.6 45.9 49.6 95.6 11.4 45.4 56.8 < 好きなことに打ち込む > < 好きなことに打ち込む > 31.1.7 91.8 12.9 48.0.8 27.9 61.5 89.4 10.5 48.1 58.7 34.2 59.8 94.0 15.1 47.8 62.9 < 世の中の動きに敏感でいる > < 世の中の動きに敏感でいる > 16.6 57.0 73.6 8.2 43.0 51.2 14.7 53.2 67.9 8.3.8 49.1 18.4.7 79.1 8.0 45.1 53.1 < 新しいことに挑戦する > < 新しいことに挑戦する > 17.0 53.4.4 5.9 26.1 32.0 15.2 52.6 67.8 5.4 25.2.6 18.8 54.2 73.0 6.3 27.0 33.3 非常に重要だと思う やや重要だと思う できている ある程度できている 注 : 図表 6 と同じ 注 : 図表 7 と同じ 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 Life Design Autumn 14.10 21

む ストレスを解消する 生きがいをもつ 新しいことに挑戦する の実行度は 重要度とポイント前後の差がある 性別にみると いずれの実行度もよりで高い 特に 人生を楽しむ ストレスを解消する における男女差は10ポイントを超えている 図表 11で性 家族形態別にみると では 人生を楽しむ ストレスを解消する 生きがいをもつ 世の中の動きに敏感でいる 新しいことに挑戦する の実行度が 夫婦のみ世帯 ( 別居子有 ) で最も高い 一方 では 人生を楽しむ 生きが 図表 11 精神的健康の管理に関する行動の実行度 ( 性 家族形態別 ) 59.3 44.1 45.9 < 人生を楽しむ > 62.4 64.5 59.8 73.0 63.3 63.6 52.6 <ストレスを解消する>.3 65.4.4 62.4 64.1 57.5 54.4.6 53.2 48.6 48.8 37.7 < 生きがいをもつ> 64.9 58.7 53.7 55.7 52.5 41.6.9 51.4 67.4 52.6 < 好きなことに打ち込む> 72.5.3 63.6 58.8.0.9 58.2 58.3 < 世の中の動きに敏感でいる > < 新しいことに挑戦する > 62.8 55.0 49.5 53.6 54.1 52.8 48.2 45.6 55.2 48.6 43.2 33.0 35.8 33.2.4 28.1 27.4.4 単身 自分 親 夫婦のみ 夫婦のみ 32.7 32.2 注 : 図表 8 と同じ 22 Life Design Autumn 14.10 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部

いをもつ の実行度は夫婦のみ世帯 ( 別居子有 ) で最も高いが 他の項目の実行度にはその傾向がみられない また 単身世帯のでは 人生を楽しむ 生きがいをもつ 好きなことに打ち込む の実行度が 他の家族形態の人より低い 生きがいや楽しみをもたない あるいはもてない単身者の様子がうかがえる 4. まとめ - 性別 家族形態別にみた 健康をめぐる不安と行動 - (1) 病気になった場合の不安 - 単身世帯や自分 親世帯の人は誰にも頼れない- 大きな病気になったと想定した場合に 精神的に頼る人や身の回りの世話をしてくれる人がいないという不安を感じる割合は 男女とも単身世帯や自分 親世帯の人で特に高かった 今後 1 人暮らしの人や老親のみと同居する人が増加すれば 彼らが病気になった際の精神的 物理的なケアを誰が担うかは さらに課題になると予想される 社会においては病気になった人に対する支援サービスを充実 普及させること 個人においては日頃からそういったサービスに関する情報を得ておくことや いざという時に頼れる人的ネットワークをつくっておくことなどが重要となるだろう 一方 病気になった場合に家事 子育てをできなくなる不安は 世帯ので特に大きかった また 夫婦のみ世帯 ( 別居子無 有 ) および世帯の すなわち夫と同居しているが 身の回りの世話をしてくれる人がいないという不安を感じる割合は 単身世帯や自分 親世帯の男女ほどではないもののかなり高かった 妻は病気になった自分自身や他の家族の面倒をみてくれる人がいないことに対して 夫より不安を抱いているといえる ただし 夫が家事 育児などを日頃から担い いざという時に家族を支えられる存在になれば 妻の不安は軽減されると思われる (2) 健康管理に関する行動 - 意識と行動とのギャップ 男女間 家族形態間のギャップ- 代の人の多くは 前述のように病気に対してさまざまな不安を感じており また生活習慣に留意する 検診を受ける ストレスを解消するといった身体的 精神的健康の管理に関する行動も重視している しかしながら それらの行動を実行できている人はさほど多くない つまり 重要性を感じながらも実際には必ずしも行動に至っていない 性別にみると 身体的 精神的健康の管理に関する行動の重要度や実行度は に比べてで低い の健康に対する関心の薄さが垣間見える さらに家族形態別にみると 特に単身世帯のでは 十分な睡眠 休養をとる バランスのとれた食生活 規則正しい生活をする 人生を楽しむ 生きがいをもつといったことの実行度が低い 心身の健康管理は誰にとっても大切であるが 代 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 Life Design Autumn 14.10 23

の単身にとっては特に課題であるといえる 以上では個人による健康管理について述べたが それを促すための社会的な取り組みも併せて望まれる 代の人々に対しては その多様なライフスタイルに合わせて 健康の維持 増進に関する情報の提供や啓発をきめ細かく行うことが 今後さらに必要であろう ( 研究開発室みずのえいこ ) 24 Life Design Autumn 14.10 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部