資料 3 時代の要請を受けた 消費者保護の課題について 平成 31 年 4 月 経済産業省商務 サービスグループ 商取引監督課
時代の要請を受けた消費者保護の課題 1 ~ 成年年齢の引下げと新成年への対応 ~ 成年年齢を 20 歳から 18 歳に引下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律が成立 (2018 年 6 月 13 日成立 2022 年 4 月 1 日施行 ) 消費者被害の拡大を防止する施策などの環境整備が必要であるとの指摘から 関係府省庁連絡会議を開催し 総合的かつ効果的な取組みを推進中 ( 第 1 回 2018 年 4 月 16 日 第 2 回 2018 年 9 月 3 日 第 3 回以降未定 ) また 当該連絡会議の下に幹事会を設置し 消費者関係施策について参考人からのヒアリング及び意見交換を行っており 今後その議論を踏まえ 必要に応じて工程表を改定する予定 クレジット分野においては クレジット取引における信用供与の健全性確保 として 2018 年度以降以降も引き続き必要な対応について業界と議論していくこととしている 工程表 項目名施策内容現在までの取組 与信審査について クレジット取引における信用供与の健全性確保 若年者に対する支払可能見込額の調査を一層適切に行う取組を推進 制度として支払可能見込み額の調査を実施するとともに, クレジット業界により自主的な以下の取組を実施 クレジット教育支援活動の強化 ( 全国 400 の高校に教材を無料配布, 教員向けの勉強会, 教育機関への講師派遣等 ) 消費者への理解促進活動の促進 ( 大学 780 校にパンフレット配布, 啓発キャンペーンの実施等 ) 未成年者からクレジット契約の申込を受ける場合, 当該未成年者の親権者に同意を得ることを求める日本クレジット協会を通じて 包括クレジット業者 254 社 個別クレジット業者 146 社に対し 若年者 未成年者との契約の実態把握のための調査を実施 2018 年度 2019 年度 2020 年度 2021 年度 若年者に対する支払可能見込額の調査を通じた過剰与信防止措置を適切に行うとともに, 普及啓発活動を通じてより一層消費者被害対策を推進 引き続き 成年年齢引下げに向けた業界の方針 取組状況等を把握のうえ 必要な対応について業界と議論 ( 出典 ) 法務省 成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議 工程表より抜粋 1
時代の要請を受けた消費者保護の課題 1 ~ 成年年齢の引下げと新成年への対応 ~ 平成 30 年 4 月に経済産業省が日本クレジット協会を通じて実施した未成年者 ( 新成年となる 18~20 歳を含む ) との契約に対する取組に関するアンケートでは 極度額を少額 (10 万円 ~30 万円 ) に設定するなどの自主的な取組が行われていることが確認された また 日本クレジット協会においては 自主ルールの策定や学校でのクレジット教育を支援する活動などの取組が行われている クレジットカードの年代別契約数 2% 8% 30% 16% 23% 21% 教材 配布啓発物のイメージ ~22 歳 23 歳 ~30 歳 31 歳 ~40 歳 41 歳 ~50 歳 51 歳 ~60 歳 61 歳 ~ クレジットカード会社による取組 与信審査は 成年と同様 定収入の確認と返済能力を調査 加えて 以下の自主的な取組を実施 1 極度額を小額に設定 (10~30 万円 ) 約 7 割 230 万円以下の極度額の特例に関わらず 原則支払可能見込額調査を実施 約 6 割 日本クレジット協会による取組 ( 出典 ) 日本クレジット協会による調査 割賦販売法に基づく 認定割賦販売協会 として 適切な支払可能見込額調査の徹底など 自主的取組に係る規則等 ( 自主ルール ) を制定し 会員企業等における遵守を徹底 同時に 未成年者からのクレジット契約の申込時に 親権者の同意を得る旨も定めている クレジット教育支援活動の拡充 強化を進めている ( 出典 ) 日本クレジット協会 HP 平成 30 年 4 月 ~ 平成 31 年 1 月までの取組み例 クレジット教育に係る教材等の提供 ( 全国の高等学校等に案内し 希望のあった約 850 校に対して無償配布 また HP からもダウンロード可能 ) 教員向けの勉強会の実施 (10 地区 10 会場で開催し 約 200 名の教員が参加 ) 教育関係機関への講師派遣 (23 の学校等の教育関係機関に講師を派遣 ) クレジット契約に係る未成年者への対応に関しては 現在 上記のような自主的取組が実施されているが 成年年齢引下げを見据え こうした取組を参考としつつ 新成年への対応をどのように考えるか 2
時代の要請を受けた消費者保護の課題 2 ~ 利用者に対する書面交付義務 ~ 先般の割賦販売法改正において FinTech の更なる参入を見据えて クレジットカード利用時 (2 月超 リボ払い ) における加盟店の書面交付義務を見直し 事前の利用者の承諾を必要とせず 電子メール等による情報提供を可能とする改正を行った ( 但し 書面交付を求められたときは 法定事項を記載した書面交付が必要 ) 他方 包括信用購入あつせん業者については 上記の加盟店のような措置は行われず カード等の交付時 クレジットカード利用時 リボ払い債務請求前に 原則として書面交付が義務付けられている 電子メール等による方法を用いるためには 引き続き利用者の事前の承諾が必要となっている 近時 クレジットカード媒体ではなくQRコード等を用いたスマホ決済が普及するとともに スマホやパソコン等を利用したEC 取引が一般化しており こうした場合には 書面交付ではなく電子メール等による情報提供がよりなじむと考えられる 現行割賦販売法における書面交付義務 ( 包括 ) 考え方 義務の主体 包括信用購入あつせん業者 加盟店 義務の内容 カード等の交付又は付与時の取引条件表示 ( 例 ) カード会員規約の手交 郵送 カード利用時の書面交付 ( 例 ) 毎月の利用明細の郵送 リボ払い債務請求前の書面交付 ( 例 ) 請求書の郵送 カードによる商品購入時の情報提供 ( 例 ) 対面取引におけるレシート 領収書の交付 EC 取引におけるマイページでの表示 電子メール等によることの可否 原則 : 書面交付例外 : 利用者が承諾した場合に電子メール等の方法によることができる 原則 : 情報提供 ( 書面 / 電子メール等のいずれも可 ) 例外 : 書面交付を求められたときは 書面交付 包括信用購入あつせん業者 事業者の印刷や郵送等のコスト 利用者の承諾に係る手続の観点を踏まえ 加盟店の場合と同様 少なくとも 事前の承諾がないとしても 原則として電子メール等の方法を利用することができるとすることについてどう考えるか 見直しを行った場合 会員規約 利用明細等を電子メールやマイページでの表示によって 情報提供ができることとなる 包括信用購入あつせん業者 加盟店 包括信用購入あつせん業者 加盟店の書面交付に関し カード媒体を使用しないスマートフォン パソコン完結型のサービスについては完全電子化すべきという意見があるが これついてどう考えるか 書面交付を求められた場合には 法定事項を記載した書面を交付しなければならないとする現行制度は 結局 書面交付のために 紙媒体やプリンターを備えておく必要があり 事業者のコストとなっている ( 十分な電子化メリットが享受できていない ) 3
参考資料
( 参考 ) 未成年者との契約に対する取組みの実態調査 1 目的と内容 経済産業省は 成年年齢引下げに伴う未成年者との契約に対する取組について確認するため 日本クレジット協会を通じて 包括信用購入あっせん業者 ( 包括クレジット ) 個別信用購入あっせん業者 ( 個別クレジット ) に対して 以下のとおりアンケート調査を行った 調査時期 平成 30 年 4 月 質問項目 未成年者との契約に対する自主的な取組 ( 極度額の小額設定や 特例によらない支払可能見込額調査の実施など各事業者の自主的な取組を調査 ) 集計先 包括クレジットアンケート対象先包括信用購入あっせん業者 254 社うち回答があった 242 社分のデータを集計 個別クレジットアンケート対象先個別信用購入あっせん業者 146 社うち回答があった 134 社分のデータを集計 5
( 参考 ) 未成年者との契約に対する取組みの実態調査 2 結果概要 包括クレジット ( クレジットカード ) 与信審査は 成年と同様 定収入の確認と返済能力を調査 加えて 以下の自主的な取組を実施 1 極度額を小額に設定している (10~30 万円 ) 約 7 割 230 万円以下の極度額の特例に関わらず 原則支払可能見込額調査を実施している 約 6 割 なお 親権者を連帯保証人とする 親権者から同意を得るといった取組も併せて実施している 個別クレジット ( オートローン等 ) 与信審査は 成年と同様 定収入の確認と返済能力を調査 加えて 以下の自主的な取組を実施 110 万円以下の調査の特例に関わらず 原則支払可能見込額調査を実施している 約 6 割 2 年齢 就業状況等にふさわしい商品等かどうかを確認している 約 7 割 なお 親権者を連帯保証人とする 親権者から同意を得るといった取組も併せて実施している 今後の取組 ( 出典 ) 日本クレジット協会による調査 若年者に対する支払可能見込額の調査を通じた過剰与信防止措置を適切に行うとともに, 普及啓発活動を通じてより一層消費者被害対策を推進 引き続き 成年年齢引下げに向けた業界の方針 取組状況等を把握のうえ 必要な対応について業界と議論 6