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( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

3 出来事時系列 原告が 表示を付した上で本件写真を自身のウェブサイトに掲載 本件アカウント1の開設 本件ツイート行為 2~6の実施 本件写真を本件プロフィール画像に設定 * 原告が Twitte

像 記載の各画像が表示されるように設定した別紙アカウント目録記載アカウント1のアカウントの保有者, 2 ツイッターにおいて, クライアントコンピュータが, 別紙流通情報目録 1⑸ 記載の URL のウェブページにアクセスした際に, タイムラインに表示される自ら投稿した各短文投稿 ( 以下, ツイッタ

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

最高裁○○第000100号

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

できない状況になっていること 約 6 分間のテレビ番組中で 2 分間を超える放映を し たこと等を理由に損害賠償請求が認容された X1 X2 および Y の双方が上告受理申立て 2 判旨 :Y1 敗訴部分破棄 請求棄却 X1,X2 敗訴部分上告却下ないし上告棄却最高裁は 北朝鮮の著作物について日本国

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平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

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長澤運輸事件(東京地判平成28年11月2日)について

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事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

とは, 原告に対する名誉毀損に該当するものであると主張して, 不法行為に基づき400 万円の損害賠償及びこれに対する不法行為日以降の日である平成 24 年 9 月 29 日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いがないか,

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平成  年(オ)第  号

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インターネット上の誹謗中傷対応の基礎(Web公開用)

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法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

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に直接送信する この方法によると, ファイルの在り処を探すのが容易なため, 無駄な通信が少なくて効率的であるという利点はあるが, 匿名性に欠けるうえ, 中央サーバに情報が集中しているため, サーバが停止するとサービス全体が停止するという欠点がある なお,Napster, ファイルローグなどはこの形態

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2. 検索連動型広告 ( より ) 2

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平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

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7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

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5. 当社は 会員に対する事前の通知を行うことなく 本規約を変更できるものとします この場合 本サービスの提供等については 変更後の規約が適用されるものとします 6. 前項の場合 当社は変更前に又は変更後遅滞なく 変更後の本規約を本サイト上にて告知するものとします 第 4 条 ( 本サービスの利用料

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2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

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害者等のために情報を提供する事業を行う者 ( 非営利目的の法人に限る ) を一般的に定める 上記のほか 聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人 ( 法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む ) のうち 聴覚障害者等のための複製又は自動公衆送信を的確かつ円滑に行う

侵害主体論と著作物の私的利用の集積 ロクラクⅡ・まねきTV 最高裁判決の検討を契機として

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原判決は, 控訴人ら及び C の請求をいずれも棄却したので, 控訴人らがこれを不服として控訴した 2 本件における前提事実, 関係法令の定め, 争点及びこれに対する当事者の主張は, 後記 3 のとおり, 原判決を補正し, 後記 4 のとおり, 当審における当事者の主張 を付加するほかは, 原判決 事

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12 12 ( 水 ) No. 14833 1 部 370 円 ( 税込み ) 目 次 リツイート事件 ⑴ 第 1 はじめに本件は 氏名不詳者らにインターネット上の短文投稿サイト ツイッター 上で写真を無断で使用されたと主張し控訴人 X( 一審原告 ) が 米国ツイッター社等に対して 発信者の情報開示請求を行った事案である 1 本件では 氏名不詳者によるツイッターでの投稿 ( ツイート ) が公衆送信権侵害にあたる等一部につい 2 ては争いがなく 氏名不詳者によるリツイート行為が Xの著作権ないし著作者人格権の侵害にあたるかが争点となった リツイート行為について 原審 ( 東京地判平 28 9 15) は 著作権及び著作者人格権いずれについても侵害を否定したが 本判決は 著作権侵害は否定したが 著作者人格権侵害は肯定した 3 リツイート行為は ネット上のリンクを張る行為

( 2 )( 第三種郵便物認可 ) 特許ニュース平成 30 年 12 月 12 日 ( 水曜日 ) の一類型であり 著作者人格権侵害を肯定した本判決は 影響も少なくないと考えられるため 紹介する 第 2 判決の内容 1 事案の概要 (1) Xは ツイッターにおいて Xの著作物である本件写真が 1 氏名不詳者により無断でアカウントのプロフィール画像として用いられ その後当該アカウントのタイムライン及びツイートにも表示されたこと 2 氏名不詳者により無断で画像付きツイートの一部として用いられ タイムラインにも表示されたこと 3 氏名不詳者らにより無断で2のツイートのリツイートがされ 当該氏名不詳者らのアカウントのタイムラインに表示されたことにより Xの本件写真についての著作権 ( 複製権 公衆送信権 公衆伝達権 ) 及び著作者人格権 ( 氏名表示権 同一性保持権 名誉声望保持権 ) が侵害されたと主張して 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( プロバイダ責任制限法 )4 条 1 項に基づき 米国ツイッター社及びツイッタージャパン ( 一審被告ら 被控訴人ら ) に対し 上記 1 3のそれぞれについて 発信者情報の開示を求めた 原判決は 米国ツイッター社に対する請求を一部認容し ツイッタージャパンに対する請求を棄却したので これを不服とするXが控訴した (2) 以下 事案を補足する 1 氏名不詳者は Xに無断で 本件アカウント1のプロフィール画像として本件写真の画像ファイルをアップロードした これにより ツイッターのプロフィール画像ファイル保存 URL 上に同画像ファイルが自動的に保存 表示され 本件アカウント1のタイムラインに本件写真が表示されるようになった また 本件アカウント1からツイートがされ 各ツイートを表示するURLにも自動的に本件写真が表示された 2 氏名不詳者は 本件アカウント2を使用し Xに無断で本件写真の画像ファイルを含むツイートを行った これにより ツイッターのツイート画像ファイル保存 URLに本件写真の画像ファイルが自動的に保存 表示され ( 流通情報 2⑵) 本件ツイート2を表示する URL( 同 ⑴) 及び本件アカウント2のタイムラインに本件写真が本件ツイート2の一部として表示されるようになった 3 氏名不詳者ら ( 本件リツイート者ら ) は それぞれ本件アカウント3 5を用いて本件ツイート2のリツイートをした これにより 本件アカウント3 5の各タイムラインに本件写真が表示された リツイート行為により本件アカウント3 5のタイムラインのURL にリンク先である流通情報 2⑵のURL へのインラインリンクが設定されて 直接ユーザーのパソコン等の端末に画像ファイルのデータが送信されて 本件写真の画像が表示された ここで リツイートによりユーザーのパソコン等の端末に本件写真の画像を表示させるためには どのような大きさや配置で いかなるリンク先からの写真を表示させるか等を指定するためのプログラム (HTMLプログラム CSSプログラム JavaScriptプログラム ) が送信される必要があり リツイート行為の結果として そのようなプログラムが リンク元のウェブページに対応するサーバーからユーザーのパソコン等に送信される そのことにより リンク先の画像とは縦横の大きさが異なった画像や一部がトリミングされた画像が表示されることがあり 本件アカウント 3 5のタイムラインにおいて表示されている画像は 流通情報 2⑵の画像とは異なるものである ( 縦横の大きさが異なるし トリミングされており Xの氏名も表示されていない ) 2 争点及び原審の判断本件は 発信者情報開示請求事件であるため 本件写真をツイッターで使用した氏名不詳者らを

( 第三種郵便物認可 ) 特許ニュース平成 30 年 12 月 12 日 ( 水曜日 )( 3 ) 被告とするものではなく ツイッターを運営している米国ツイッター社及びその子会社のツイッタージャパンを被告としたものである 争点は 1ツイッタージャパンが発信者情報を保有しているか 2 本件アカウント1 及び2につき ツイート及びタイムラインへの本件写真の表示によりXの著作権等が侵害されたことが明らかであるか 3 本件アカウント3 5につき 本件リツイート行為による本件写真の表示によりXの著作権等が侵害されたことが明らかであるか 4 権利の侵害に係る発信者情報の範囲 5 原告が発信者情報の開示を受けるべき正当な理由を有するかである 原審は 1について ツイッタージャパンは発信者情報を有していないとして 同社への請求を棄却した また 2の一部のツイート行為等については争いがなく著作権侵害を認めたが 3のリツイート行為については著作権及び著作者人格権の侵害を否定した 45についても 原審は判断して Xの米国ツイッター社に対する請求の一部を認容した 以下 リツイート行為の著作権及び著作者人格権の侵害の成否に関する本判決の判断を紹介する 3 判旨 公衆送信権侵害 ( 著作権法 23 条 1 項 ) について 控訴人が著作権を有しているのは 本件写真であるところ 本件写真のデータは リンク先である流通情報 2⑵に係るサーバーにしかないから 送信されている著作物のデータは 流通情報 2⑵ のデータのみである 本件リツイート行為によってユーザーのパソコン等の端末に表示される本件写真の画像は それらのユーザーの求めに応じて 流通情報 2⑵のデータが送信されて表示されているといえるから 自動公衆送信 に当たる 自動公衆送信の主体は 当該装置が受信者からの求めに応じ 情報を自動的に送信できる状態を作り出す行為を行う者と解されるところ ( 最高裁平成 23 年 1 月 18 日判決 民集 65 巻 1 号 121 頁参照 ) 本件写真のデータは 流通情報 2⑵のデー タのみが送信されていることからすると その自動公衆送信の主体は 流通情報 2⑵のURL の開設者であって 本件リツイート者らではないというべきである 著作権侵害行為の主体が誰であるかは 行為の対象 方法 行為への関与の内容 程度等の諸般の事情を総合的に考慮して 規範的に解釈すべきであり カラオケ法理と呼ばれるものも その適用の一場面であると解される ( 最高裁平成 23 年 1 月 20 日判決 民集 65 巻 1 号 399 頁参照 ) が 本件において 本件リツイート者らを自動公衆送信の主体というべき事情は認め難い 控訴人は 本件アカウント 3 5の管理者は そのホーム画面を支配している上 ホーム画面閲覧の社会的経済的利益を得ていると主張するが そのような事情は あくまでも本件アカウント3 5 のホーム画面に関する事情であって 流通情報 2 ⑵のデータのみが送信されている本件写真について 本件リツイート者らを自動公衆送信の主体と認めることができる事情とはいえない また 本件リツイート行為によって 本件写真の画像が より広い範囲にユーザーのパソコン等の端末に表示されることとなるが 我が国の著作権法の解釈として このような受け手の範囲が拡大することをもって 自動公衆送信の主体は 本件リツイート者らであるということはできない さらに 本件リツイート行為が上記の自動公衆送信行為自体を容易にしたとはいい難いから 本件リツイート者らを幇助者と認めることはできず その他 本件リツイート者らを幇助者というべき事情は認められない 著作者人格権侵害についてア同一性保持権 ( 著作権法 20 条 1 項 ) 侵害 本件アカウント3 5のタイムラインにおいて表示されている画像は 流通情報 2⑵ の画像とは異なるものである この表示されている画像は 表示するに際して 本件リツイート行為の結果として送信されたHTMLプログラムやCSSプログラム等により 位置や大きさなどが指定されたために 上記のとおり画像が異なっているものであり 流通情報 2⑵の画像データ自体に改変が加えられているものではない

( 4 )( 第三種郵便物認可 ) 特許ニュース平成 30 年 12 月 12 日 ( 水曜日 ) しかし 表示される画像は 思想又は感情を創作的に表現したものであって 文芸 学術 美術又は音楽の範囲に属するものとして 著作権法 2 条 1 項 1 号にいう著作物ということができるところ 上記のとおり 表示するに際して HTMLプログラムやCSSプログラム等により 位置や大きさなどを指定されたために 本件アカウント3 5のタイムラインにおいて表示されている画像は流通目録 3 5のような画像となったものと認められるから 本件リツイート者らによって改変されたもので 同一性保持権が侵害されているということができる この点について 被控訴人らは 仮に改変されたとしても その改変の主体は インターネットユーザーであると主張するが 上記のとおり 本件リツイート行為の結果として送信されたHTMLプログラムやCSSプログラム等により位置や大きさなどが指定されたために 改変されたということができるから 改変の主体は本件リツイート者らであると評価することができるのであって インターネットユーザーを改変の主体と評価することはできない ( 著作権法 47 条の8は 電子計算機における著作物の利用に伴う複製に関する規定であって 同規定によってこの判断が左右されることはない ) また 被控訴人らは 本件アカウント3 5のタイムラインにおいて表示されている画像は 流通情報 2⑴の画像と同じ画像であるから 改変を行ったのは 本件アカウント2の保有者であると主張するが 本件アカウント3 5のタイムラインにおいて表示されている画像は 控訴人の著作物である本件写真と比較して改変されたものであって 上記のとおり本件リツイート者らによって改変されたと評価することができるから 本件リツイート者らによって同一性保持権が侵害されたということができる さらに 被控訴人らは 著作権法 20 条 2 項 4 号の やむを得ない 改変に当たると主張するが 本件リツイート行為は 本件アカウント2において控訴人に無断で本件写真の画像ファイ ルを含むツイートが行われたもののリツイート行為であるから そのような行為に伴う改変が やむを得ない 改変に当たると認めることはできない イ氏名表示権 ( 著作権法 19 条 1 項 ) 侵害本件アカウント3 5のタイムラインにおいて表示されている画像には 控訴人の氏名は表示されていない そして 表示するに際してHTMLプログラムやCSSプログラム等により 位置や大きさなどが指定されたために 本件アカウント3 5のタイムラインにおいて表示されている画像は流通目録 3 5 のような画像となり 控訴人の氏名が表示されなくなったものと認められるから 控訴人は 本件リツイート者らによって 本件リツイート行為により 著作物の公衆への提供又は提示に際し 著作者名を表示する権利を侵害されたということができる このほか 判決は 原告の主張する複製権 公衆伝達権及び名誉声望保持権の侵害を否定した 第 3 解説 1 リンクと著作権侵害本件で問題となったリツイートは リンクの一種であるインラインリンクにより 第三者のツイートが自己のタイムラインに表示されるものである ここで インラインリンク とは ユーザーの操作を介することなく リンク元のウェブページが立ち上がった時に 自動的にリンク先のウェブサイトの画面又はこれを構成するファイルが当該ユーザーの端末に送信されて リンク先のウェブサイトがユーザーの端末上に自動表示されるように設定されたリンク をいうとされる 4 本件は リンクを張る行為が 著作権及び著作者人格権を侵害するかどうかが問題となる 2 裁判例及び学説 (1) リンクを張る行為が著作権侵害となるかどうかについて争われた事件として ロケットニュース24 事件が挙げられる 5 同事件では 原告が撮影しライブストリー

( 第三種郵便物認可 ) 特許ニュース平成 30 年 12 月 12 日 ( 水曜日 )( 5 ) ミング配信した生放送を 原告以外の第三者が その一部を動画共有サイトにアップロードしたところ 被告は 自社の運営する ロケットニュース24 ( 本件ウェブサイト ) に記事を掲載するとともに リンクを張り 本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態にした ( 記事の末尾に 参照元 : ニコニコ動画 と記載 ) この事案において 判決は 本件動画のデータは 本件ウェブサイトのサーバに保存されたわけではなく 本件ウェブサイトの閲覧者が 本件記事の上部にある動画再生ボタンをクリックした場合も 本件ウェブサイトのサーバを経ずに ニコニコ動画 のサーバから 直接閲覧者へ送信されたものといえる すなわち 閲覧者の端末上では リンク元である本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態に置かれていたとはいえ 本件動画のデータを端末に送信する主体はあくまで ニコニコ動画 の管理者であり 被告がこれを送信していたわけではない したがって 本件ウェブサイトを運営管理する被告が 本件動画を 自動公衆送信 をした ( 法 2 条 1 項 9 号の4) あるいはその準備段階の行為である 送信可能化 ( 法 2 条 1 項 9 号の5) をしたとは認められない として 原告の主張する公衆送信権の侵害を否定した また 幇助による不法行為の成否については ニコニコ動画 にアップロードされていた本件動画は 著作権者の明示又は黙示の許諾なしにアップロードされていることが その内容や体裁上明らかではない著作物であり 少なくとも このような著作物にリンクを貼ることが直ちに違法になるとは言い難い そして 被告は 本件ウェブサイト上で本件動画を視聴可能としたことにつき 原告から抗議を受けた時点 すなわち ニコニコ動画 への本件動画のアップロードが著作権者である原告の許諾なしに行われたことを認識し得た時点で直ちに本件動画へのリンクを削除している このような事情に照らせば 被告が本件ウェブサイト上で本件動画へリンクを貼ったことは 原告の著作権を侵害するものとはいえないし 第三者による著作権侵害につき これを違法に幇助したものでも なく 故意又は過失があったともいえないから 不法行為は成立しない とした さらに 判決は 氏名表示権侵害について 被告は 本件動画へのリンクを貼ったにとどまり 自動公衆送信などの方法で 公衆への提供若しくは提示 ( 法 19 条 ) をしたとはいえないのであるから 氏名表示権侵害の前提を欠いている とした (2) 学説等 6 においても リンクを張る行為自体について著作権侵害は成立しないとする考え方が多い リンクを張る行為自体が 著作物の複製行為や自動送信行為等を行うわけではなく 著作物の複製行為や自動送信行為はリンク先のサーバーで行われており そのように解するのが妥当といえよう もっとも リンクを張る行為について 別途 著作者人格権侵害成立の余地を指摘する考えもある 3 本判決について (1) 著作権侵害について本判決は リンク先のサーバーに保存されている流通情報 2⑵のみが送信されていることから 公衆送信権侵害との関係では 流通情報 2 ⑵のデータが送信されている著作物のデータとする インターネット上の情報 特にインラインリンクの場合 情報受領者の元に表示される情報がどのような経路 処理を経て表示されるのか明瞭でないため 上記の認定がなされている 続けて 本判決は 当該侵害情報の自動公衆送信の主体について まねきTV 事件判決 7 に言及し また 侵害主体の判断の際 ロクラク Ⅱ 事件 8 にも言及したうえで 流通情報 2⑵の URLの開設者が主体であるとし リツイート者の主体性を否定する この点は 従来の裁判例 学説の動向に沿うものといえる SNSサービスの普及の程度にもよるが ツイッターの利用者にしてみれば リツイート行為により表示されている情報は あくまで リツイートとは別の元のツイートにより送信され

( 6 )( 第三種郵便物認可 ) 特許ニュース平成 30 年 12 月 12 日 ( 水曜日 ) た情報であると認識しているものと考えられる この点からすれば リツイート者の主体性は低いと考えることができる もっとも リツイート行為により 元のツイートされた情報がより多くの第三者に拡散されていること自体は否定できない ここで インターネット上の自動公衆送信について 一連の流れを分析的に検討し 1 送信可能化行為 ( サーバーに情報を記録するまで ) と2 狭義の自動公衆送信行為 (1 以降の情報が送信される過程 ) を分け インラインリンクを利用したリツイート行為は 情報を新たに拡散している等と捉え 2 狭義の自動公衆送信権の問題として捉え直す見解もある 9 この見解は リツイート行為により ( 先行するツイートによる ) 著作権侵害情報が更に拡散しているような場合には 価値判断としては妥当なものと考えることもできる しかし 先行するツイート行為により すでに公衆送信がなされネット上で広くアクセス可能となっているのであって 上記見解では2 狭義の自動公衆送信行為という概念が曖昧なものとなる 本判決においても 本件リツイート行為によって 本件写真の画像が より広い範囲にユーザーのパソコン等の端末に表示されることとなるが 我が国の著作権法の解釈として このような受け手の範囲が拡大することをもって 自動公衆送信の主体は 本件リツイート者らであるということはできない と判断している また 判決は 本件リツイート行為が自動公衆送信行為を容易にしたとはいい難いとして リツイート行為者らを幇助者と認めることはできないと判断した (2) 著作者人格権侵害について原審は 画像ファイルの改変も行われないから同一性保持権侵害は成立しないし 本件リツイート者らから公衆への本件写真の提供又は提示があるとはいえないから氏名表示権侵害も成立しない として 簡潔に著作者人格権の侵害を否定した これに対して 本判決は 著作者人格権侵害の判断においては 本件写真の画像データのみならず HTMLプログラムやCSSプログラム等のデータも含めて侵害情報であるとして判断している そして リツイート行為の結果として 表示された画像は HTMLプログラムやCSSプログラム等により位置や大きさなどが指定され改変されたと評価でき 改変の主体はリツイート者らであるとして 同一性保持権侵害を認めた 10 さらに リツイート行為によって 著作物の公衆への提供又は提示に際し Xの氏名が表示されなくなったとして 氏名表示権を侵害した旨判断している 公衆送信権等の著作権と著作者人格権は別個の権利であるから 公衆送信権等の侵害の主体と評価できず侵害が成立しない場合であっても 著作者人格権侵害の主体と評価され その侵害が成立することはあり得る 本判決は 公衆送信権 複製権侵害においては リツイート行為における侵害情報の物理的なデータの保存先等を検討し リツイート行為による侵害を否定したのに対して 同一性保持権 氏名表示権については ユーザーの端末で実際に表示されている画像がリツイート行為の結果として送信されたHTMLプログラム CSS プログラム等によって位置や大きさを指定され 改変されていることに着目して リツイート行為による侵害を肯定したと評価できる この点は 原審やロケットニュース24 事件のように公衆送信権等の著作権侵害がないことを認定し 続けて簡潔に著作者人格権侵害も否定する判断過程とは異なる 権利の性格について 前者が財産権であるのに対して 後者が人格権に基づくものであり また 条文の規定も異なるのであるから 判断過程が異なることは 自然なことである 4 まとめ本判決は 権利者に無断で使用された本件写真についてなされたリツイート行為 ( インラインリンク ) について公衆送信権 複製権等の著作権侵害は否定したが 著作者人格権侵害については

( 第三種郵便物認可 ) 特許ニュース平成 30 年 12 月 12 日 ( 水曜日 )( 7 ) 成立を肯定した このような行為は ツイッター以外にもSNSの利用において発生することが少なくない類型と思われる ツイッターは利用者が多く また 他にも様々なSNSを含めネット上の表現がなされており それらの行為に与える影響は無視できないといえる もっとも ネット上のリンクには さまざまな態様があり また具体的状況によってリンクを設定した者の関与の程度も異なる 侵害の成否については 各事案の具体的事情を考慮する必要がある 11 また 本事案は 発信者情報開示請求の事案であり 通常の侵害事件とは異なる点がある すなわち 発信者情報開示請求事件における被告は 問題の行為を行った行為者ではなく プロバイダ等である そして 発信者情報開示請求事件では 行為者の故意 過失の有無について疎明の必要はないとされる 12 したがって 行為者の損害賠償責任の有無については 発信者情報が開示された後の後続の損害賠償請求事件で判断されることとなる 本判決は 上告受理申立てがなされており 今後の動向及び他の同種の事件での裁判所の判断の動向にも注意を向ける必要があろう 13 6 7 8 9 中山信弘 著作権法 第 2 版 ( 有斐閣 2014 年 ) 251 頁 田村善之 著作権法概説第 2 版 ( 有斐閣 2001 年 )187 頁 佐野信 インターネットと著作権 牧野利秋 = 飯村敏明編 新 裁判実務大系著作権関 係訴訟法 ( 青林書院 2004 年 )455 頁など 最判平 23 1 18 民集 65 巻 1 号 121 頁最判平 23 1 20 民集 65 巻 1 号 399 頁野口明生 リンクと送信可能化行為 パテント71 巻 8 号 60 頁 (2018 年 ) 福市航介 リンクと自動公衆送信権 コピライト682 号 24 頁 (2018 年 ) 参照 10 やむを得ない ( 法 20 条 2 項 4 号 ) 改変に該当しないとの本判決の判断も参考になる点である 11 12 13 インラインリンクを張る行為に公衆送信権侵害の幇 助を認めた判決として 札幌地判平 30 6 15 がある 関述之 = 小川直人編 インターネット関係仮処分の 実務 ( きんざい 2018 年 )34 頁 近年 違法なサイトへのリンクを集めたリーチサイ トに対する規制について議論がなされており 本件事案が言及されている リーチサイト規制については 小泉直樹 リーチサイト ジュリスト1525 号 27 頁 (2018 年 ) 中川達也 リーチサイトを通じた侵害コンテンツへの誘導行為への対応 ジュリスト1499 号 24 頁 ( 2016 年 ) などがある -おわり- 1 本判決に関する評釈は 小泉直樹 判評 ジュリスト1524 号 8 頁 (2018 年 ) 高瀬亜富 判評 コピライト690 号 39 頁 (2018 年 ) がある 2 リツイート とは 第三者のツイートについて自己のタイムラインに表示させたり自己のフォロワーにリツイートをしたと知らせたりすることによって 当該第三者のツイートを紹介ないし引用することをいう 3 原審判決に関する評釈は 小泉直樹 判評 ジュリスト1503 号 8 頁 (2017 年 ) 桶田大介 判評 民事判例 14 号 126 頁 (2017 年 ) 青木大也 判評 ジュリスト 1520 号 122 頁 (2018 年 ) などがある 4 いわゆるリンクの態様については いくつかの類型があり 経済産業省 電子商取引及び情報財取引等に関する準則 ( 平成 30 年 7 月 )142 頁に詳しい 5 大阪地判平 25 6 20 判時 2218 号 112 頁

( 8 )( 第三種郵便物認可 ) 特許ニュース平成 30 年 12 月 12 日 ( 水曜日 )